説明

燃料電池用電気化学的触媒

本発明は膜電極接合体及び燃料電池に使用できる、ナノ粒子を含む電気化学的触媒粒子に関する。典型的な実施形態では、本発明は様々な材料によって担持された電気化学的触媒を提供する。好適には、当該触媒はナノ粒子における金属に対する酸素の原子比率が約3〜約6である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナノ粒子を含む、膜電極接合体及び燃料電池に使用できる電気化学粒子に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池とは、水素やメタノール等の燃料の化学エネルギーを直接電気エネルギーに変換する装置である。燃料電池の基本的な物理構造或いは基本構成要素は、電解質層及びその両端に接触する多孔質の陽極・陰極からなる。一般的な燃料電池では、燃料(例えば、メタノールや水素)が陰極触媒に供給され、陰極触媒が燃料分子をプロトン(及び二酸化炭素(メタノールの燃料電池の場合))に変換し、プロトンはプロトン交換膜を通り、電池の陽極側に供給される。陽極触媒において、プロトン(例えば、電子を持たない水素原子)は酸素イオンと反応し、水を形成する。陰極から陽極側へ導電配線を接続することにより、陰極側の燃料(水素又はメタノール)から切り離された電子は陽極側に移動することができ、酸素と結合し酸素イオンを生成し電気が生み出される。陰極での水素又はメタノールの電気化学酸化及び陽極での酸素の還元により動作する燃料電池は、高変換効率、低汚染、軽量のデザイン、高エネルギー密度のため、魅力的な電力源となっている。
【0003】
直接メタノール型燃料電池(DMFC)では、陰極において液体メタノール(CHOH)を水の存在下で酸化させ、CO、水素イオン、電子を生成し、これらが燃料電池の電気出力として外部回路を通過する。水素イオンは電解質を通り、空気中の酸素及び外部回路の電子と反応し陰極において水を生成する。ここで上記回路は完結する。
【0004】
陰極反応: CHOH+HO→CO+6H++6e−
陽極反応: 3/2O+6H++6e−→3H
電池全体の反応: CHOH+3/2O→CO+2H
1990年代初期に最初に開発されたDMFCは、その効率及び出力密度が低いことならびにその他の問題のため、採用されなかった。触媒における改良及びその他の最近の開発は、出力密度を20倍増大させ、効率は最終的に40%に達し得る。これらの電池は、約50℃〜120℃の温度範囲内でテストされてきた。この低い運転温度及び燃料改質装置の必要が全くないことにより、DMFCは、携帯電話、ノート型パソコン、カメラ及びその他の消費者製品さらには自動車用動力装置に至るものといった非常に小規模乃至中規模の利用分野のための優れた候補となっている。DMFCの欠点の1つは、メタノールから水素イオンと二酸化炭素への低温酸化が、より活性の高い触媒を必要とし、このことは一般的に、高価な白金(及び/又はルテニウム)触媒がより大量に必要となることを意味する、という点にある。
【0005】
DMFCは一般的に、一酸化炭素(CO)耐性及び反応性が高いルテニウム(Ru)を触媒構成要素として使用することを必要とする。Ruは、水を解離して、メタノールから生成されるCOからCOへの酸化を促進する含酸素種を作り出す。一部の既存のDMFCは、粒子の表面積対体積比が高いことを理由として、電気酸化触媒としてナノメートルサイズの二元金属PtRu粒子を使用する。Pt/Ruナノ粒子は一般的に炭素担体(例えばカーボンブラック、フラーレン煤又は脱流カーボンブラック)上に提供されて、充填粒子複合触媒構造を生み出す。PtRu炭素充填粒子複合材を作り上げるために最も一般的に使用される技術は、白金及びルテニウム塩化物を含有する溶液の中での炭素担体の含浸とそれに続く熱還元である。
【0006】
多相界面又は接点が、多孔性電極の領域内で、燃料電池反応物質、電解質、活性PtRuナノ粒子及び炭素担体の間に確立される。この界面の性質は、燃料電池の電気化学的性能においてきわめて重要な役割を果たす。充填粒子複合材内の触媒粒子部位の一部分しか利用されていないことが多い。これは、他の部分は反応物質へのアクセスが可能でないか又は炭素担体ネットワーク(電子経路)及び/又は電解質(プロトン経路)に接続されていないためである。加えて、燃料電池に使用される、特性が改善されたPtRu触媒を含む、活性を高めた触媒が必要とされている。
【発明の概要】
【0007】
一つの実施形態において、本発明は電気化学的触媒ナノ粒子を提供する。好適には、ナノ粒子は一つまたは複数の金属を含んでおり、ナノ粒子の当該金属の一つに対する酸素の原子比率は、約3〜約6(好適には、約3.6〜約5、約3.6〜約4、あるいは、約3.6)である。好適には、ナノ粒子は約1nm〜約10nmのサイズである。
【0008】
実施形態のいくつかの例においては、電気化学的触媒ナノ粒子は、Pt、Au、Pd、Ru、Re、Rh、Os、Ir、Fe、Co、Ni、Cu、Ag、V、Cr、Mo、Wのうちの一つまたは複数の金属、およびそれらの合金または混合物を含んでいる。好適には、ナノ粒子はPtRuを含む。そのような好適な実施形態においては、Ruに対する酸素の比率は、約3.6〜6、金属ルテニウムの比率は約30%未満、金属白金の比率は、約70%〜90%である。実施形態の一例において本発明が提供するPtRu電気化学的触媒ナノ粒子は、ナノ粒子におけるRuに対する酸素原子の比率が、約3〜約6であり、金属ルテニウムの比率は約30%未満、金属白金の比率は、約70%〜90%である。好適には、本発明のPtRuナノ粒子は、2θ=30〜44度の範囲内での最大ピークのピーク位置が33.0度以上、37.0度未満の範囲内である。好適には本発明のPtRuナノ粒子は、結晶サイズが3nm以下である。好適にはナノ粒子は窒素を含む。
【0009】
他の実施形態において、本発明は担持された電気化学的触媒を提供する。触媒担持体の例としては、カーボンブラック、カーボンパウダー(架橋されたカーボンパウダーを含む)、ナノワイヤ、カーボンパウダーナノワイヤ(ナノワイヤパウダーとも呼ぶ)複合物が挙げられる。好適には、電気化学的触媒は一つまたは複数の金属を含むナノ粒子を含み、金属の1つに対する当該ナノ粒子の酸素の原子比率は約3〜約6の範囲にある。ナノ粒子のサイズと組成との例を、本明細書を通して記述する。好適な実施形態においては、ナノワイヤ担持電気化学的触媒のナノワイヤは、C、RuO、SiC、GaN、TiO、SnO、WC、MoC、ZrC、WN、および、MoNナノワイヤからなる群から選ばれ、xは正の整数である。実施形態のいくつかの例において、本発明は担持された電気化学的触媒を提供し、当該電気化学的触媒はPtRuナノ粒子を含み、当該ナノ粒子におけるRuに対する酸素の原子比率は、約3〜約6であり、金属ルテニウムの比率は約30%未満、金属白金の比率は、約70%〜90%である。本発明のPtRuナノ粒子は、2θ=30〜44度の範囲内での最大ピークのピーク位置が33.0度以上、37.0度未満の範囲内である。好適には、本発明のPtRuナノ粒子は、結晶サイズが3nm以下である。
【0010】
他のいくつかの実施形態において、本発明の提供する膜電極接合体(MEA)は、本発明の電気化学的触媒ナノ粒子を含む。当該電気化学的触媒ナノ粒子は、好適には、カーボンブラック、カーボンパウダー(架橋されたカーボンパウダーを含む)、ナノワイヤ(例えば、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー)、ナノワイヤパウダー複合物に担持された電気化学的触媒である。さらに、本発明は当該MEAを含む燃料電池を提供する。
【0011】
本発明はまた、カーボンブラック、カーボンパウダー(架橋されたカーボンパウダーを含む)、ナノワイヤ(例えば、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー)、ナノワイヤパウダー複合物に担持された触媒を含む、担持されたPtRu電気化学的触媒ナノ粒子を形成する方法を提供する。好適には、当該ナノ粒子におけるRuに対する酸素の原子比率は、約3〜約6であり、金属ルテニウムの比率は約30%未満、金属白金の比率は、約70%〜90%である。好適には、上記方法はRuClxH0、エチレングリコール、HPtClxH0、及びNaOHを組み合わせて形成されたPtRuコロイド溶液を提供する工程を含む。この溶液はその後、担持体、例えばナノワイヤの懸濁液(例えば炭素含有ナノワイヤ)に加えられてナノワイヤPtRuコロイド溶液を形成する。その後、当該ナノワイヤPtRuコロイド溶液のpHの数値を下げ、その後、ナノワイヤ担持PtRu電気化学的触媒ナノ粒子を回収する。好適には、上記pHを、約24時間のあいだに11へ、次いでpHを7へ、次いでpHを4へ、次いでpHを1へと下げる。
【0012】
本発明のさらなる実施形態、特徴、長所、およびさまざまな実施形態の構造と作用は、添付する図面を参照しつつ、以下で詳述する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
添付する図面を参照しつつ、本発明について述べる。図面において、同じ参照番号は、同じあるいは機能的に類似した構成を示す。ある構成が最初に登場した図面は、対応する参照番号の左端の数字で示される。
【図1】ナノグラファイトで覆ったナノワイヤの表面に堆積した1.67nm PtRu(1:1)ナノ粒子を、異なる二つの倍率で撮影した透過型電子顕微鏡写真の画像である。
【図2A】PtRu電気化学的触媒ナノ粒子の電流(mA/mg)のプロットを、Ruに対する酸素の原子比率の関数として示す図である。
【図2B】炭素及びナノワイヤ担持体に担持された本発明のPtRu電気化学的触媒ナノ粒子をX線回折した結果を示す図である。
【図3】本発明の一実施形態の、ナノワイヤ担持電気化学的触媒の形成方法を示す図である。
【図4A】電気化学的触媒における0.5Vでの電流を、Ru金属の比率として示す図である。
【図4B】電気化学的触媒における0.5Vでの電流を、Pt金属の比率として示す図である。
【図5】EW1000ナフィオンイオノマーを用いた燃料電池における、ナノワイヤに結合したPtRu触媒の電圧及び出力密度(PD)を示す図である。
【図6】Pt触媒及びPtRu触媒とナノワイヤ密度の比率とを異ならせた、本発明の4種類のナノワイヤ結合触媒のそれぞれについての、電流密度と電位対DHEとの関係を示すアノード分極化の結果を示す図である。
【図7】Pt及びPtRuのナノワイヤ結合触媒に対する電流密度の関数としての電圧と出力密度との比較(性能に対するEW1000ナフィオンの影響を含む)を示す図である。
【図8】本発明の濃度を異ならせた2種類のPt触媒結合ナノワイヤのカソード分極を、Pt炭素結合触媒(TKK(田中貴金属工業社製の触媒))と比較しながら示している図である。
【図9】カーボン担持PtRu触媒(TKK(田中貴金属工業社製の触媒))とナノワイヤ担持触媒(172−9D)における電位対DHEと電流密度との関係を、本発明のナノワイヤによって担持されたPtRu電気化学的触媒と比較しながら示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本明細書において図示及び記載された特定の実施例はあくまでも本発明の例であり、それ以外の点においては、いかなるかたちでも本発明の範囲を限定するものではない。実際、簡略化のために、従来の電子技術、製造法、半導体装置、及びナノワイヤ(NW)、ナノロッド、ナノチューブ、ナノリボン技術、及びシステムの他の機能的な面(及びシステムの個々の動作要素の要素)は、本明細書では詳述しない。さらに、簡略化のため、本明細書では本発明はナノワイヤに関連するものとして記述されることが多いが、本発明には他の類似の構造も含まれる。
【0015】
ナノワイヤ(例えば、カーボンナノチューブやカーボンナノファイバー)について多く言及されるが、本明細書中に記述する技術は、他のナノ構造(例えばナノロッド、ナノチューブ、ナノテトラポッド、ナノリボン及び/またはそれらの組み合わせ)にも適用しうる。また、炭素ベースの層(結晶ナノグラファイトコーティングや、非平面炭素(non-basal plane carbon)のような非結晶炭素を含む)をさまざまな物質の表面に作ることができる。上記さまざまな物質としては、従来のファイバー及びファイバー構造、平坦な、曲面の、あるいはでこぼこの表面、及び金属、半導体、セラミック発泡体、網状金属や網状セラミックのようなさまざまな物質が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0016】
本明細書中の「アスペクト比」とは、ナノ構造の第一軸の長さを、第二軸と第三軸との長さの平均で割ったものであって、第二軸と第三軸とは、その長さが互いにほぼ等しい二つの軸のことである。例えば、完全な棒のアスペクト比とは、その長軸を、長軸に垂直な(長軸に対する法線上にある)断面の直径で割ったものである。
【0017】
「ヘテロ構造」との用語は、ナノ構造に関して使われたときには、少なくとも2種類の異なったかつ/または区別しうる物質によって特徴付けられるナノ構造を指す。通常、ナノ構造の一つの領域は第一の種類の物質を含み、ナノ構造の他の領域は第二の種類の物質を含む。他の実施形態では、ナノ構造は第一の物質からなるコアと第二(あるいは第三など)の物質からなるシェルとを含み、異なる種類の物質は、例えばナノワイヤの長軸や、分岐ナノ結晶の腕の長軸や、ナノ結晶の中心の周囲に、放射状に分布している。シェルは、隣接する物質を完全には覆っていなくてもシェルと見なされ、ナノ構造は、隣接する物質を完全に覆っていなくてもヘテロ構造と見なされる。例えば、一つの物質からなるコアを第二の物質からなる複数の小さな島が覆うナノ結晶は、ヘテロ構造である。他の実施形態では、ナノ構造において、異なる種類の物質は異なる場所に分布している。例えば、物質の種類はナノワイヤの主軸(長軸)に沿って分布しているか、あるいは分岐ナノ結晶の腕の長軸に沿って分布している。ヘテロ構造内の異なる領域は全く異なる物質を含み、あるいは異なる領域は基礎物質を含む。
【0018】
本明細書中の「ナノ構造」とは、大きさが、約500nm未満、例えば約200nm未満、約100nm未満、約50nm未満、あるいはさらに約20nm未満の、少なくとも一つの領域あるいは特有の大きさを持つ構造のことである。通常、上記領域あるいは上記特有の大きさは、上記構造の最短の軸に沿っている。そのような構造の例としては、ナノワイヤ(例えば、カーボンナノチューブやカーボンナノファイバー)、ナノロッド、ナノチューブ、分岐ナノ結晶、ナノテトラポッド、トライポッド、バイポッド、ナノ結晶、ナノドット、量子ドット、ナノ粒子、分岐テトラポッド(例えば無機デンドリマー)などがある。ナノ構造は、物質の性質において実質的に同質であってもよいし、あるいは他の実施形態においては異質であってもよい(例えば、ヘテロ構造)。ナノ構造は、例えば、実質的に結晶性であってもよいし、実質的に単結晶性であってもよいし、多結晶性、アモルファス、あるいはそれらの組み合わせであってもよい。一つの側面においては、ナノ構造の三つの寸法のうち一つは、約500nm未満、例えば約200nm未満、約100nm未満、約50nm未満、あるいはさらに約20nm未満である。
【0019】
本明細書中の「ナノワイヤ」という用語は、一般的に、細長い導電性あるいは半導電性の物質(あるいは本明細書で述べる他の物質)であって、少なくとも一つの断面が500nm未満、好ましくは100nm未満であり、アスペクト比(長さ:幅)が10よりも大きい、好ましくは50よりも大きい、さらに好ましくは100よりも大きいものを意図する。
【0020】
本発明のナノワイヤは、物質の性質において実質的に同質であってもよいし、あるいは他の実施形態においては異質であってもよい(例えば、ナノワイヤヘテロ構造)。ナノワイヤは基本的に、従来から存在する一つまたは複数のいかなる物質からも作ることができ、例えば実質的に結晶性であっても、実質的に単結晶性であっても、多結晶であっても、アモルファスであっても、あるいはそれらの組み合わせであってもよい。ナノワイヤの直径はさまざまであってもよいし、あるいは実質的に均一であってもよい。直径が実質的に均一であるとは、直径の変動が最大の領域かつ長さ寸法が少なくとも5nm(例えば、少なくとも10nm、少なくとも20nm、あるいは少なくとも50nm)の領域において、直径の変動が約20%未満(例えば、約10%未満、約5%未満、あるいは約1%未満)であることを意図する。通常、直径は、ナノワイヤの両端から(例えば、当該ナノワイヤの中心部20%、40%、50%または80%を通って)計られる。ナノワイヤは直線であってもよいし、あるいはその長軸の全長あるいは一部において曲がったり折れていたりしていてもよい。他の実施形態では、ナノワイヤあるいはその一部は、二次元または三次元の量子閉じ込めを示すことができる。
【0021】
そのようなナノワイヤの例としては、国際特許出願公開WO 02/17362、WO 02/48701、WO 01/03208に記載された半導体ナノワイヤ、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、及びその他の細長い導電性あるいは半導電性の同サイズの構造が挙げられる。これらの文献は参照によって本明細書に援用される。
【0022】
本明細書中の「ナノロッド」という用語は、一般的に、ナノワイヤに類似した細長い導電性あるいは半導電性の物質(あるいは本願に記載した他の物質)であって、そのアスペクト比(長さ対幅)がナノワイヤのアスペクト比よりも小さいものを意図する。二本またはそれ以上のナノロッドをその横軸に沿って繋げ、このようにして繋がったナノロッドが電極間の全長に及んでもよい。あるいは、二本またはそれ以上のナノロッドをその横軸に沿って一直線に並べるとともに、繋がりはしないように、上記二本またはそれ以上のナノロッドの端のあいだに小さな隙間を設けてもよい。この場合、電子は、あるナノロッドから他のナノロッドへ、小さな隙間を越えることによって流れる。上記二本またはそれ以上のナノロッドは、実質的に一直線に並べられて、電子が電極間を移動するときの通路を作るようにしてもよい。
【0023】
ナノワイヤ、ナノロッド、ナノチューブ、ナノリボンにはさまざまな種類の材料を用いることができる。上記材料としては半導体材料があり、その例としてはSi、Ge、Sn、Se、Te、B、C(ダイヤモンドを含む)、P、B−C、B−P(BP)、B−Si、Si−C、Si−Ge、Si−Sn、Ge−Sn、SiC、BN、BP、BAs、AlN、AlP、AlAs、AlSb、GaN、GaP、GaAs、GaSb、InN、InP、 InAs、ZnO、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdS、CdSe、CdTe、HgS、HgSe、HgTe、BeS、BeSe、BeTe、MgS、MgSe、GeS、GeSe、GeTe、SnS、SnSe、SnTe、PbO、PbS、PbSe、PbTe、CuF、CuCl、CuBr、CuI、AgF、AgCl、 AgBr、AgI、BeSiN、CaCN、ZnGeP、CdSnAs、 ZnSnSb、CuGeP、CuSi、(Cu、Ag)(Al、Ga、In、Tl、Fe)(S、Se、Te)、Si、Ge、Al、(Al、Ga、In)(S、Se、Te)、AlCO、及びそのような半導体の二つまたはそれ以上の好適な組み合わせが挙げられる。
【0024】
ナノワイヤは他の物質、例えば、金、ニッケル、パラジウム、イリジウム(iradium)、コバルト、クロミウム、アルミニウム、チタニウム、錫などの金属、金属合金、ポリマー、導電性ポリマー、セラミック、及び/またはそれらの組み合わせから作られてもよい。その他の既知のあるいはのちに開発されるであろう導電性あるいは半導体材料を用いてもよい。
【0025】
本発明のナノワイヤは、有機ポリマー、セラミック、炭化物や窒化物のような無機半導体、酸化物(TiO又はZnO)、カーボンナノチューブ、生物に由来する繊維タンパク質のような化合物などから作られてもよい。例えば、ある実施形態においては、半導体ナノワイヤのような無機ナノワイヤが用いられる。半導体ナノワイヤは、IV族、III-V族、あるいはII-VI族半導体あるいはその酸化物の多数から作られてもよい。ある実施形態では、ナノワイヤは導電性か半導電性であって、炭化物、窒化物、または酸化物である金属材料を含む。その例としては、RuO、SiC、GaN、TiO、SnO、WC、MoC、ZrC、WN、MoNが挙げられる。本明細書を通して、「x」という下付き文字は、化学式で用いられたときは、正の整数(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10等)を指す。ナノワイヤは、弱酸で劣化しない材料から作られることによって、さまざまな種類の燃料電池の反応剤に対応できるようにすることが好適である。本発明のナノワイヤは、カーボンナノチューブを含んでいてもよいし、明確に除外(expressly exclude)していてもよく、いくつかの実施形態では、「ウィスカー」または「ナノウィスカー」、特に直径100nmを超える、あるいは直径、約200nmを超えるウィスカーを除外していてもよい。
【0026】
他の側面では、上記半導体はドーパントを含んでいてもよい。当該ドーパントは、周期表のIII族から選ばれるp型ドーパント、周期表のV族から選ばれるn型ドーパント、B、Al及びInからなる群から選ばれるp型ドーパント、P、As及びSbからなる群から選ばれるn型ドーパント、周期表のII族から選ばれるp型ドーパント、Mg、Zn、Cd及びHgからなる群から選ばれるp型ドーパント、周期表のIV族から選ばれるp型ドーパント、C及びSiからなる群から選ばれるp型ドーパント、Si、Ge、Sn、S、Se及びTeからなる群から選ばれるn型ドーパントからなる群から選ばれる。既知の他のドーパント材料や今後開発されるドーパント材料を用いてもよい。
【0027】
さらに、上記ナノワイヤ又はナノリボンは、カーボンナノチューブ、又は導電性もしくは半導電性有機ポリマー材料(ペンタセンや遷移金属酸化物等)からなるナノチューブを含んでもよい。
【0028】
本明細書中の空間的な記述(例えば、「上方」、「下方」、「上」、「下」、「頂部」、「底部」等)は描写のみを目的としており、本発明の装置はいかなる方向やいかなる方法で空間的に配置されてもよい。
【0029】
ナノ材料は、さまざまな異なる方法によって形成されてきた。例えば、溶液をベースにした界面活性剤を媒介させて結晶成長を行って、量子ドットのような球形の無機ナノ材料や、ナノロッドやナノテトラポッドのような細長いナノ材料を形成する方法が記載されている。ナノ材料を形成するには、気相法を含む他の方法も用いられてきた。例えば、シランガスをレーザ熱分解することによってシリコンナノ結晶が形成されている。
【0030】
他の方法としては、基板をベースにした合成方法があり、その例としては、グリーンらによる文献("Low-temperature wafer scale production of ZnO nanowire arrays," L. Greene, M. Law, J. Goldberger, F. Kim, J. Johnson, Y. Zhang, R. Saykally, P. Yang, Angew. Chem. Int. Ed. 42, 3031-3034, 2003)に記載された、例えばZnOナノワイヤを低温合成する方法や、触媒金粒子を用いるより高い温度でのVLS法などがある。上記触媒金粒子は、コロイドとして、あるいは熱せられることによって粒子を形成する薄膜として、堆積される。このようなナノワイヤを形成するVLS法は、例えば、国際特許出願公開WO 02/017362に記載されている。この国際特許出願公開の開示は、参照によりその全体があらゆる目的で本願に援用される。
【0031】
ナノ構造は、異なる材料に適用しうる多数の便利な方法のいずれによっても形成され、そのサイズを調整され得る。例えば、さまざまな組成のナノ結晶の合成が、例えばPeng et al. (2000) "Shape Control of CdSe Nanocrystals" Nature 404, 59-61; Puntes et al. (2001) "Colloidal nanocrystal shape and size control: The case of cobalt" Science 291, 2115-2117; USPN 6,306,736 to Alivisatos et al. (2001年10月23日) 題名 "Process for forming shaped group III-V semiconductor nanocrystals, and product formed using process;" USPN 6,225,198 to Alivisatos et al. (2001年5月1日) 題名 "Process for forming shaped group II-VI semiconductor nanocrystals, and product formed using process;" USPN 5,505,928 to Alivisatos et al. (1996年4月9日) 題名 "Preparation of III-V semiconductor nanocrystals;" USPN 5,751,018 to Alivisatos et al. (1998年5月12日) 題名"Semiconductor nanocrystals covalently bound to solid inorganic surfaces using self-assembled monolayers;" USPN 6,048,616 to Gallagher et al. (2000年4月11日) 題名 "Encapsulated quantum sized doped semiconductor particles and method of manufacturing same;" and USPN 5,990,479 to Weiss et al. (1999年11月23日) 題名 "Organoluminescent semiconductor nanocrystal probes for biological applications and process for making and using such probes."に記載されている。
【0032】
さまざまなアスペクト比を持つナノワイヤ(直径を調整したナノワイヤを含む)の成長は、例えばGudiksen et al. (2000) "Diameter-selective synthesis of semiconductor nanowires" J. Am. Chem. Soc. 122, 8801-8802; Cui et al. (2001) "Diameter-controlled synthesis of single-crystal silicon nanowires" Appl. Phys. Lett. 78, 2214-2216; Gudiksen et al. (2001) "Synthetic control of the diameter and length of single crystal semiconductor nanowires" J. Phys. Chem. B 105,4062-4064; Morales et al. (1998) "A laser ablation method for the synthesis of crystalline semiconductor nanowires" Science 279, 208-211; Duan et al. (2000) "General synthesis of compound semiconductor nanowires" Adv. Mater. 12, 298-302; Cui et al. (2000) "Doping and electrical transport in silicon nanowires" J. Phys. Chem. B 104, 5213-5216; Peng et al. (2000) "Shape control of CdSe nanocrystals" Nature 404, 59-61; Puntes et al. (2001) "Colloidal nanocrystal shape and size control: The case of cobalt" Science 291, 2115-2117; USPN 6,306,736 to Alivisatos et al. (2001年10月23日) 題名 "Process for forming shaped group III-V semiconductor nanocrystals, and product formed using process;" USPN 6,225,198 to Alivisatos et al. (2001年5月1日) 題名 "Process for forming shaped group II-VI semiconductor nanocrystals, and product formed using process"; USPN 6,036,774 to Lieber et al. (2000年3月14日) 題名 "Method of producing metal oxide nanorods"; USPN 5,897,945 to Lieber et al. (1999年4月27日) 題名 "Metal oxide nanorods"; USPN 5,997,832 to Lieber et al. (1999年12月7日) "Preparation of carbide nanorods;" Urbau et al. (2002) "Synthesis of single-crystalline perovskite nanowires composed of barium titanate and strontium titanate" J. Am. Chem. Soc., 124, 1186; Yun et al. (2002) "Ferroelectric Properties of Individual Barium Titanate Nanowires Investigated by Scanned Probe Microscopy" Nanoletters 2, 447; C.E.Baddour and C.Briens (2005) "Carbon nanotube synthesis: A review" International Journal of Chemical Reactor Engineering 3 R3; 及び K.P.De Jong and J.W. Geus (2000) "Carbon nanofibers: Catalytic Synthesis and Applications" 42 481に記載されている。
【0033】
ある実施形態では、本発明のナノワイヤは、これらの細長い構造を基板表面に成長又は合成させることによって形成される。例えば、US特許出願公開No. US-2003-0089899-A1には、固体基板に付着した金のコロイドから半導体ナノワイヤの均一な集合を気相エピタキシー法を用いて成長させる方法が開示されている。Greene et al. ("Low-temperature wafer scale production of ZnO nanowire arrays", L. Greene, M. Law, J. Goldberger, F. Kim, J. Johnson, Y. Zhang, R. Saykally, P. Yang, Angew. Chem. Int. Ed. 42, 3031-3034, 2003)には、溶液をベースにした、より低温のワイヤ成長工程を用いてナノワイヤを合成する代替法が開示されている。他の細長いナノ材料を合成するために、さまざまな他の方法が用いられる。その例としては米国特許第5,505,928、6,225,198、6,306,736に開示された界面活性剤をベースにしてより短いナノ材料を合成する方法や、カーボンナノチューブを生成する既知の方法(例えば、US-2002/0179434 to Dai et al.を参照)や、成長用基板を用いずにナノワイヤを成長させる方法(例えば、Morales and Lieber, Science, V.279, p. 208 (Jan. 9, 1998)を参照)がある。本明細書で述べるように、これらの異なる材料のどれでもあるいはすべてを、本発明においてナノワイヤを形成する際に用いることができる。用途によっては、形成される基板または物を最終的に何に用いるかに応じて、さまざまな種類のIII-V族、II-VI族、IV族半導体を用いることができる。一般的に、そのような半導体ナノワイヤは、例えば本明細書に援用したUS-2003-0089899-A1に記載されている。
【0034】
分岐ナノワイヤ(例えば、ナノテトラポッド、トライポッド、バイポッド、分岐テトラポッド)の成長は、例えば、Jun et al. (2001) "Controlled synthesis of multi-armed CdS nanorod architectures using monosurfactant system" J. Am. Chem. Soc. 123, 5150-5151; and Manna et al. (2000) "Synthesis of Soluble and Processable Rod-,Arrow-, Teardrop-, and Tetrapod-Shaped CdSe Nanocrystals" J. Am. Chem. Soc. 122, 12700-12706に記載されている。
【0035】
ナノ粒子の合成は、例えばUSPN 5,690,807 to Clark Jr. et al. (1997年11月25日) 題名 "Method for producing semiconductor particles"; USPN 6,136,156 to El-Shall, et al. (2000年10月24日) 題名 "Nanoparticles of silicon oxide alloys;" USPN 6,413,489 to Ying et al. (2002年7月2日) 題名"Synthesis of nanometer-sized particles by reverse micelle mediated techniques;" 及び Liu et al. (2001) "Sol-Gel Synthesis of Free-Standing Ferroelectric Lead Zirconate Titanate Nanoparticles" J. Am. Chem. Soc. 123, 4344に記載されている。ナノ粒子の合成は、ナノ結晶やナノワイヤや分岐ナノワイヤの成長について述べた上記の引用文献にも記載されており、それらの文献では得られるナノ構造のアスペクト比は、約1.5未満である。
【0036】
コアシェルナノ構造へテロ構造、すなわちナノ結晶及びナノワイヤ(ナノロッド等)のコアシェルへテロ構造の合成は、例えばPeng et al. (1997) "Epitaxial growth of highly luminescent CdSe/CdS core/shell nanocrystals with photostability and electronic accessibility" J. Am. Chem. Soc. 119, 7019-7029; Dabbousi et al. (1997) "(CdSe)ZnS core-shell quantum dots: Synthesis and characterization of a size series of highly luminescent nanocrysallites" J. Phys. Chem. B 101, 9463-9475; Manna et al. (2002) "Epitaxial growth and photochemical annealing of graded CdS/ZnS shells on colloidal CdSe nanorods" J. Am. Chem. Soc. 124, 7136-7145; 及び Cao et al. (2000) "Growth and properties of semiconductor core/shell nanocrystals with InAs cores" J. Am. Chem. Soc. 122, 9692-9702に記載されている。同様のアプローチを他のコアシェルナノ構造の成長にも適用できる。
【0037】
ナノワイヤの長軸に沿って異なる材料が異なる部位に分布しているナノワイヤへテロ構造の成長は、例えばGudiksen et al. (2002) "Growth of nanowire superlattice structures for nanoscale photonics and electronics" Nature 415, 617-620; Bjork et al. (2002) "One-dimensional steeplechase for electrons realized" Nano Letters 2, 86-90; Wu et al. (2002) "Block-by-block growth of single-crystalline Si/SiGe superlattice nanowires" Nano Letters 2, 83-86; 及び US特許出願第60/370,095号(2002年4月2日) to Empedocles: 題名 "Nanowire heterostructures for encoding information."に記載されている。同様のアプローチは他のヘテロ構造の成長にも適用できる。
【0038】
本明細書に記載するように、また共同譲渡された2005年11月21日出願の仮特許出願第60/738,100号(その全内容は参照によって本明細書に援用される)に記載するように、複数のシェルを持つナノワイヤ構造も製造することができる。その例としては、導電性内核ワイヤ(ドープされていてもされていなくてもよい)(例えば、電子伝達に必要な導電性を与えるため)と、触媒(及び/またはポリマー電解質)とを結合させるのに適した表面を提供する一つまたは複数の外殻層を挙げることができる。例えば、一実施形態では、最も外側のシェル層をシリコンカーバイドに変換することによって、触媒(及び/またはポリマー電解質)を結合させる表面(SiC)を提供し、必要な導電性を与える導電性カーボンナノチューブ核を提供する多層あるいは多壁のカーボンナノチューブ(MWNT)を形成してもよい。別の実施形態では、核は高ドープ材料(例えばドープしたシリコン)から成り、その核の上に炭化物や窒化物のような材料(例えばSiC)でできたシェルを形成してもよい。シリコンを核の材料として用いることによって、シリコンナノワイヤの製造に関して知られている広範な経験的知識と製造基盤とを活用することができる。SiC、WC、MoCのような炭化物シェルあるいは混合炭化物(例えばWsiC)を、制御された表面反応を用いて核材料の周囲に形成してもよい。SiC、WC、MoCは、導電性が高く、化学的に安定であることが知られている。さらに、これらの材料は、メタノール酸化に際してPtのような貴金属に似た触媒性質を持っていることが判明しており、そのため、ナノワイヤの「鳥の巣」MEAの性能をさらに高めることができる。シェルの前駆材料は、原子層堆積(ALD)によって核ナノワイヤ表面(例えばシリコン)上に堆積され、その後、例えば高温カーボサーマル反応によって炭化物へ変換されてもよい。
【0039】
本発明の実施に際して用いることができるナノワイヤの例としては、カーボン含有ナノワイヤが挙げられ、この例としては米国特許出願公開第2007-0212538号及び米国特許出願公開第2008-0280169号に記載されているものが挙げられる。両文献の開示内容のすべては、あらゆる目的で、参照により本明細書に援用される。米国特許出願公開第2007-0212538号及び米国特許出願公開第2008-0280169号に開示しているように、好適な実施形態においては、ナノワイヤは相互接続されたナノワイヤネットワークを作ることができる。このナノワイヤネットワークは複数のナノワイヤ構造を有し、さまざまなナノワイヤコアに付着する、ナノグラファイトの板の形状をしたカーボンベースの構造が上記ナノワイヤ構造を結び付ける。
【0040】
ナノワイヤが高密度に密集した構造は、ナノグラファイトの板がナノワイヤ同士を結ぶものもそうでないものも、本明細書を通して「鳥の巣」構造とも呼ばれる。この構造は細孔構造を有しており、ナノワイヤとナノグラファイトの板との間の細孔のサイズは、メソ細孔やマクロ細孔であることが好適である。本明細書でいう「メソ細孔」は、マイクロ細孔(直径約2nm未満と定義される)よりも大きく、マクロ細孔(直径、約50nmよりも大きいと定義される)よりも小さく、そのため、約30nmよりも大きく約200nmよりも小さい直径の細孔サイズを有する細孔である。相互接続されたナノワイヤネットワーク300には、マイクロ細孔が実質的には存在しない、つまり、マイクロ細孔(直径約2nm未満)が全細孔の約0.1%未満しかないことが好適である。
【0041】
〔電気化学的触媒〕
一つの実施形態において、本発明は電気化学的触媒ナノ粒子(本明細書を通して、ナノ粒子、触媒ナノ粒子、触媒とも呼ぶ)を提供する。好適には、電気化学的触媒ナノ粒子は、一つまたは複数の金属を含む。本明細書に記載する方法を用いて形成した電気化学的触媒ナノ粒子は、ナノ粒子における金属の一種に対する酸素の原子比率が、約2〜約6の範囲である。本明細書でいう「原子比率」とは、ある要素の原子の数の、他の要素の原子の数に対する比率である。例えば、ナノ粒子における金属の一種に対する酸素の原子比率は、ナノ粒子における金属の一種の原子の数に対する、ナノ粒子における酸素の原子の数の比率を意味する。好適には、原子比率は、ナノ粒子の主要な構成金属に対する、ナノ粒子の酸素の原子の数として得られる。
【0042】
好適には、ナノ粒子における一つまたは複数の金属に対するナノ粒子の酸素の原子比率は、約2.5〜6の範囲、例えば約3〜約6、約3.1〜約6、約3.2〜約6、約3.3〜約6、約3.4〜約6、約3.5〜約6、約3.6〜約6、約3.7〜約6、約3.8〜約6、約3.9〜約6、約4〜約6、約4.1〜約6、約4.2〜約6、約4.3〜約6、約4.4〜約6、約4.5〜約6、約4.6〜約6、約4.7〜約6、約 4.8〜約6、約4.9〜約6、約5〜約6、約5.1〜約6、約5.2〜約6、約5.3〜約6、約5.4〜約6、約5.5〜約6、約5.6〜約6、約5.7〜約6、約5.8〜約6、あるいは約5.9〜約6の範囲にある。本明細書でいう「約」とは、数値について用いられたときには、その数値の±10%の範囲内の数値を含むことを示す。例えば、「約5」は4.5〜5.5の範囲を含む。別の実施形態では、ナノ粒子における一つまたは複数の金属に対するナノ粒子の酸素の原子比率は、約3〜5の範囲、例えば約3.1〜約5、約3.2〜約5、約3.3〜約5、約3.4〜約5、約3.5〜約5、約3.6〜約5、約3.7〜約5、約3.8〜約5、約3.9〜約5、約4.0〜約5、約4.1〜約5、約4.2〜約5、約4.3〜約5、約4.4〜約5、約4.5〜約5、約4.6〜約5、約4.7〜約5、約4.8〜約5、約4.9〜約5の範囲、あるいは約3〜約4、例えば、約3.1〜約4、約3.2〜約4、約3.3〜約4、約3.4〜約4、約3.5〜約4、約3.6〜約4、約3.7〜約4、約3.8〜約4、約3.9〜約4、または約3.6の範囲にある。
【0043】
本発明の実施形態によると、ナノ粒子における一つまたは複数の金属に対するナノ粒子の酸素の原子比率は、3よりも大きく6以下であり、好ましくは3.6以上5.1以下であり、より好ましくは3.6以上5以下であり、さらに好ましくは3.6以上4以下であり、特に好ましくは3.6である。
【0044】
好適には、上記電気化学的触媒ナノ粒子の少なくとも一つの金属は、Pt、Au、Pd、Ru、Re、Rh、Os、Ir、Fe、Co、Ni、Cu、Ag、V、Cr、Mo、Wのうち1つ以上及びその合金または混合物からなる群より選ばれる。例えば、上記電気化学的触媒ナノ粒子は、好適にはPtとRuとの混合物を含み、好適にはPtRuナノ粒子である。
【0045】
本明細書中の「ナノ粒子」とは、大きさが、約500nm未満、好適には、約200nm未満、約100nm未満、約50nm未満、約20nm未満、あるいは、約10nm未満の、少なくとも一つの領域あるいは特有の大きさを持つ、粒子、結晶、球、あるいは他の形状の構造を意図する。好適には、本発明の電気化学的触媒ナノ粒子の寸法のすべては、約50nm未満であり、好適には約1nm〜約30nm、約1nm〜約20nm、約1nm〜約10nm、約1nm〜約9nm、約1nm〜約8nm、約1nm〜約7nm、約1nm〜約6nm、約1nm〜5nm、約1nm〜約4nm、約1nm〜約3nm、あるいは約1nm〜約2nm、例えば、約1nm、約2nm、約3nm、約4nm、約5nm、約6nm、約7nm、約8nm、約9nm、あるいは約10nmである。
【0046】
好適には、本発明の電気化学的触媒ナノ粒子はPtRuを含み、Ruに対する酸素の原子比率は、約3〜約6、好適には約3.6〜約6、約3.6〜約5、約3.6〜約4、あるいは約3.6である。
【0047】
電気化学的触媒ナノ粒子の一つまたは複数の金属(例えばRu)に対する酸素の原子比率が約3.0よりも大きい(例えば、約3.6〜約6)本発明の電気化学的触媒ナノ粒子は、電極(陰極を含む)として使われたときには、より高い触媒活性を示す。電極として使われたときとは、メタノール燃料電池のような燃料電池の膜電極接合体(MEA)の一部として使われたときを含む。
【0048】
本発明の電気化学的触媒ナノ粒子に対して行った物理的性質決定(x線回折とx線光電分光法を含む)によれば、当該ナノ粒子の金属(例えばRu)に対する当該ナノ粒子の酸素の原子比率は、約3よりも大きく、好適には、約3.6よりも大きい。
【0049】
好適な実施形態では、上記電気化学的触媒ナノ粒子は、ルテニウム(Ru)を酸化物あるいは水酸化物として含む。好適には、当該ナノ粒子における金属ルテニウムの比率は、約40%未満(存在するルテニウムのうち、残りは酸化ルテニウム(RuO、xは0から2)、あるいは水酸化ルテニウム(Ru(OH)、xは0〜3))である。本明細書においては「金属ルテニウム」とは、酸化物あるいは水酸化物の形態ではなく、還元された金属の形態で存在するルテニウムを意図する。好適には、本発明の電気化学的触媒ナノ粒子における金属ルテニウムの比率は、約30%未満、約25%未満、約20%未満、約15%未満、約10%未満、例えば、9%未満又は約9%、8%未満又は約8%、7%未満又は約7%、6%未満又は約6%、5%未満又は約5%、4%未満又は約4%、3%未満又は約3%、2%未満又は約2%、1%未満又は約1%、又は0%である。
【0050】
好適には、電気化学的触媒ナノ粒子はPtRuを含み、金属ルテニウムの比率は約30%未満である。PtRu触媒ナノ粒子が用いられている好適な実施形態では、当該ナノ粒子における金属白金の比率は、約60%〜約90%、好適には、約70%〜約90%、又は、約80%〜約90%、例えば87%未満又は約87%である。
【0051】
実施形態のいくつかの例において、本発明はPtRu電気化学的触媒ナノ粒子を提供し、当該ナノ粒子におけるRuに対する酸素の原子比率は、約3〜約6である。好適なナノ粒子では、金属ルテニウムの比率は約30%未満、金属白金の比率は、約70%〜90%である。好適には、上記PtRuナノ粒子におけるRuに対する酸素の原子比率は、約3.6〜約4、金属ルテニウムの比率は約10%未満、金属白金の比率は、約70%〜約90%である。
【0052】
いかなる理論によっても制限されるものではないが、例えば、PtRuナノ粒子における酸化ルテニウムのような酸化物の形態において、酸素の比率が、約3.6〜6であれば、当該電気化学的触媒ナノ粒子間の凝集または凝集体(agglomeration or aggregation)を減らすのに役立ち、それによってナノ粒子のサイズが、約1nm〜約10nm、好適には、約1nm〜約5nm、より好適には、約1nm〜約3nmに保たれると考えられる。ナノ粒子間の凝集の量を減らすことによって、ナノ粒子のサイズを約1nm〜約10nmの個々のナノ粒子として維持することで、当該ナノ粒子が例えばMEA及び/あるいは燃料電池(図2A参照)の陽極又は陰極に用いられたときの全活性を高めることができる。さらに、別の実施形態では、上記ナノ粒子は、窒素を、例えば約0.5〜5%、好適には、約0.5〜2%、あるいは、約0.5〜1.5%の割合で含んでいる。いかなる理論によっても制限されるものではないが、上記ナノ粒子、例えばPtRuナノ粒子において、窒素が約0.5〜5%であれば、小さなサイズの粒子を形成するのに役立つ。
【0053】
本発明の触媒は、X線光電子分光法(XPS)によって分析することにより、金属の化学状態を分析することができる。それぞれの化学状態による結合エネルギーの差により、金属となっているか、酸化物となっているか、塩化物となっているか、等が分かる。測定結果は、通常行われているように、C1sのメインピークを基準にしてピークシフトを求め、補正した値を用いる。また、それぞれの化学状態由来のピークにピーク分割し、その面積比から、化学状態の組成比が分かる。また、各ピークのエネルギーシフトから、価数や結合状態に関する情報が得られる。
【0054】
XPSは、各種市販のものを用いることができ、例えば、PHI製のQuantera SXMを用いることができる。測定条件は、特に限定されるものではなく、通常用いられる条件を用いることができる。
【0055】
本発明におけるX線回折測定は、通常の測定条件で実施される方法で問題ない。参考までに、本発明の実施例での測定条件を以下に記載する。X線源にCuKα(波長0.154nm)を用い、スキャン速度を2度/分、サンプリングピッチを0.02度にして、連続スキャン法で測定した。連続スキャン法ではなく、ステップ操作法でも測定は可能であり、その場合はステップ幅を0.02度程度に設定するのが一般的である。触媒金属の粒子サイズが小さい場合、得られる回折パターンがブロードになり、ピークとノイズとの判別が困難になることがあるが、積算回数を増やしたり保持時間を延ばすことでノイズが小さくなり、ピークの判別が容易となる。なお、白金単独のX線回折パターンとしては、JCPDSカード #04−0802など(JCPDS: Joint Committee Powder Diffraction Standard)を参考にすることができる。
【0056】
図2Bに示すように、本発明のPtRuナノ粒子は、2θ=30〜44度の範囲内での最大ピークのピーク位置が33.0度以上、37.0度未満の範囲内であることを特徴とする。
【0057】
本発明の触媒では、ピーク位置が白金単独のX線回折パターンのピーク位置よりも低角度側に確認されており、ブロードなピークとなっていることが特徴である。なお、通常の合金触媒では、ピーク位置が白金単独のX線回折パターンのピーク位置よりも高角度側にシフトするため、特異な挙動であると考えられる。高活性化の機構は明らかではないが、3nm以下の微細な粒子になっていること、アモルファスに近い構造になっていること等が影響しているものと推測される。
【0058】
本発明のPtRuナノ粒子の粒径は、3nm以下であることが好ましい。また、本発明のPtRuナノ粒子の粒径は、1nm以上であることが好ましい。1nm未満であると、凝集が起こりやすいと考えられるため好ましくない。
【0059】
本明細書で述べるように、上記電気化学的触媒ナノ粒子は、さまざまな膜電極接合体や燃料電池に用いることができる。典型的な実施形態では、上記ナノ粒子は、さまざまな触媒担持体(本明細書では「担持体」ともいう)、例えば炭素担持体(例:カーボンブラック(例:Cabot VULCAN(登録商標) XC72)、フラーレン煤、脱硫化カーボンブラック)に付着あるいは結合させることができる。本明細書を通して、カーボンブラックとは、石油製品を不完全燃焼させて作られた物質を指す。カーボンブラックとは、体積に比して極めて高い表面積を持つ不定形炭素の一形態である。
【0060】
別の実施形態において、本発明はカーボンパウダー(架橋されたカーボンパウダーを含む)を含む触媒担持体を提供する。さらに別の実施形態において、本発明は、ナノワイヤ担持電気化学的触媒(本明細書を通して、及び米国特許出願公開第2007-0212538号と米国特許出願公開第2008-0280169において、触媒結合ナノワイヤとも呼ぶ)を提供する。他の実施形態において、本発明の触媒担持体は、ナノワイヤとカーボンパウダーの複合物(本明細書ではカーボンパウダーナノワイヤ複合物あるいはナノワイヤパウダー複合物と呼ぶ)とを含みうる。この複合物には、架橋されたカーボンパウダーも含まれる。
【0061】
本明細書で述べるとおり、本発明の電気化学的触媒は一つまたは複数の金属を含むナノ粒子を含み、当該ナノ粒子における一つまたは複数の金属に対する当該ナノ粒子における酸素の原子比率は、約3〜約6である。本明細書を通して述べるとおり、好適には、金属に対する酸素の原子比率は、約3.6〜約5、好適には、約3.6〜約4、あるいは、約3.6である。
【0062】
本明細書で述べるとおり、本発明のさまざまな担持体(カーボンブラック、カーボンパウダー(架橋されたカーボンパウダーを含む)、ナノワイヤ、ナノワイヤパウダー複合物など)によって担持される上記ナノ粒子は、好適には、約1nm〜約10nm、あるいは、約1nm〜約5nm、好適には、約1nm〜約3nmの大きさである。典型的な実施形態では、ナノ粒子はPt、Au、Pd、Ru、Re、Rh、Os、Ir、Fe、Co、Ni、Cu、Ag、V、Cr、Mo、W及びそれらの合金または混合物のうち一つまたは複数を含む。典型的な実施形態では、上記さまざまな担持体によって担持される上記ナノ粒子は、PtRu(PtRuナノ粒子を含む)を含み、当該ナノ粒子におけるRuに対する酸素の比率は、本明細書を通して述べるとおり、約3.6〜約6、好適には、約3.6〜約5、約3.6〜約4、あるいは、約3.6である。
【0063】
さらに、上記ナノ粒子(好適にはPtRuナノ粒子)における金属ルテニウムの比率は、約30%未満、好適には、約20%未満、約10%未満、あるいは、約5%未満である。PtRu電気化学的触媒ナノ粒子が上記担持体に担持されている実施形態では、金属白金の比率は、約70%〜約95%である。本発明のPtRuナノ粒子は、2θ=30〜44度の範囲内での最大ピークのピーク位置が33.0度以上、37.0度未満の範囲内であることを特徴とする。好適には、本発明の上記PtRuナノ粒子は、結晶サイズが3nm以下である。
【0064】
典型的な実施形態では、ナノワイヤに担持された、あるいはカーボンパウダーとナノワイヤとの複合物に担持された電気化学的触媒は、RuO、SiC、GaN、TiO、SnO、WC、MoC、ZrC、WN、または、MoNナノワイヤを含み、xは正の整数である。好適には、上記ナノワイヤは、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、SiCナノワイヤのような炭素含有ナノワイヤであり、これには米国特許出願公報第2007-0212538号及び米国特許出願公報第2008-0280169号に開示されたような相互接続されたナノワイヤネットワーク(interconnected nanowire networks)も含まれる。
【0065】
実施形態において、本発明はPtRuナノ粒子を含むナノワイヤ担持電気化学的触媒を提供し、当該ナノ粒子におけるRuに対する酸素の原子比率は、約3〜約6、金属ルテニウムの比率は約30%未満、金属白金の比率は、約70%〜約90%である。さらなる実施形態において、上記ナノワイヤ担持電気化学的触媒はナノ粒子を含み、当該ナノ粒子におけるRuに対する酸素の原子比率が約3.6〜約4、金属ルテニウムの比率が約10%未満、金属白金の比率が、約70%〜約90%である。本発明のPtRuナノ粒子は、2θ=30〜44度の範囲内での最大ピークのピーク位置が33.0度以上、37.0度未満の範囲内であることを特徴とする。好適には、本発明の上記PtRuナノ粒子は、結晶サイズが3nm以下である。
【0066】
本発明はまた、カーボンブラックと架橋されたカーボンパウダーを含む触媒担持体を提供し、当該パウダーはその上に少なくとも一つの金属触媒が堆積されている。本明細書を通して述べるとおり、これらの触媒担持体は、燃料電池の膜電極接合体で用いることができる。上記触媒担持体は、Pt、Au、Pd、Ru、Re、Rh、Os、Ir、Fe、Co、Ni、Cu、Ag、V、Cr、Mo、Wまたはそれらの合金または混合物を含む触媒材料(ナノ粒子を含む)を含みうる。好適には、上記触媒は、本明細書を通して述べるとおり、PtRu電気化学的触媒ナノ粒子であり、これにはRuに対する酸素の原子比率が、約3.6〜約6の範囲にあるものが含まれる。本明細書を通して、上記PtRu電気化学的触媒ナノ粒子の模範的なサイズとさらなる性質とが述べられる。
【0067】
本発明の架橋されたカーボンパウダー担持体は、カーボンパウダーから延びるグラフェンシート(及び/またはナノグラファイト板)を通して適切に架橋される。そのような架橋を作るグラフェンシートとカーボンパウダー間の相互作用については、米国特許出願公開第2007/0212538号全体に述べられている。グラフェン層は、カーボンパウダーの面から成長する。当該グラフェン層はグラフェンのa−b端を通してカーボンパウダー及びお互いと結びついている。実施形態では、グラフェン層は、グラファイトの構造におけるように、相互に結合することができる。好適には、ナノグラファイト板は、約100枚未満のグラフェンシートを含み、さらに好適には、約2〜15枚のグラフェンを含む。ナノグラファイト板のa−b面(つまり、グラフェン層の面)はどんな大きさでもよいが、一般的に10ナノメートル〜100ナノメートルのオーダーである。好適には、上記ナノグラファイト板のa−b面における長さは約100nm未満である。一般的には、グラフェン及び/またはナノグラファイト板は、カーボンパウダーから、約1nm〜約500nm、好適には数ナノメートル〜数十ナノメートルあるいは数百ナノメートルのオーダーで離れており、カーボンパウダーの他の粒子を結んでいる。
【0068】
好適には、上記架橋されたカーボンパウダー触媒担持体は、プロトン伝導性ポリマー(例えばナフィオンのようなイオノマー)を、当該パウダーと接触するかたちでさらに含んでいる。そのような触媒担持体はDMFCのような燃料電池に含ませることができる。上記カーボンパウダー間に存在する大きな細孔は、架橋グラフェン層によって減らすことができる。この架橋グラフェン層は細孔を塞ぎ、それによって触媒を用意するのに必要な貴金属(例えばPt及び/またはRu)の量を減らすことができる。さらに、上記架橋されたカーボンパウダーは、燃料電池の触媒層とポリマー電解質膜との間に改善された界面を提供し、それによって触媒層の層間剥離を減らす。カーボンパウダーをグラファイト化及び架橋したあとのカーボンパウダー担持体を、ボールミル、グラインド、その他の機械的方法を用いて機械加工することによって、カーボンパウダー担持体のサイズを調整することができる。
【0069】
さらなる実施形態では、本発明は、無機ナノワイヤのネットワークとカーボンパウダーとの複合物を含む触媒担持体(例えばナノ構造を持つ触媒担持体)を提供し、上記ナノワイヤ及び/または上記パウダーは、その上に少なくとも一つの金属触媒を堆積している。典型的なナノワイヤ、例えば本明細書に記載した鳥の巣構造(例えばグラフェンシートを含むSiCナノワイヤ)を、上記触媒担持体に用いることができる。適切な触媒、例えば本明細書に記載したPtRuを含む触媒ナノ粒子を用いることができる。典型的な実施形態では、本明細書で述べたように、カーボンパウダーはグラフェンシートを介して架橋されるか、あるいはグラフェンシートを介してナノワイヤに結合させることができる。
【0070】
本発明の無機ナノワイヤのネットワークとカーボンパウダーとの複合物(カーボンパウダーナノワイヤ複合物、あるいはナノワイヤパウダー複合物)を含む上記触媒担持体は、DMFCのような燃料電池において、改善された性能を示す。いかなる理論によっても制限されるものではないが、この改善された性能は、カーボンパウダーが上記ナノワイヤ構造間の空間に捕獲され、それによって捕獲されるCO及び/または水が減るあるいはなくなることに起因すると思われる。さらに、上記カーボンパウダーは、燃料電池における触媒層とポリマー電解質膜間との界面を改善し、それによって層間剥離を減らす。
【0071】
ナノワイヤ構造を有し、相互接続されたナノワイヤネットワークを備える上記触媒担持体(カーボンパウダー、カーボンブラック、カーボンパウダーナノワイヤ複合物が挙げられる)は、本発明の電気化学的触媒(本明細書を通して「担持された電気化学的触媒」とも呼ぶ)を含み、燃料電池のさまざまな用途や構成に用いることができる。上記担持された電気化学的触媒は、燃料電池のカソードとして、例えば、ナノワイヤまたはカーボンブラックまたはカーボンパウダーまたは相互接続されたナノワイヤネットワークまたはカーボンパウダーナノワイヤ複合物と、直径約1nm〜約10nm、約1nm〜3nm、あるいは、約3nm〜約5nmのPtRuナノ粒子とを含むカソードとして用いることができる。上記担持された電気化学的触媒はまた、例えば触媒作用を持つ直径約1nm〜約10nm、より好適には、約1nm〜約5nmのPtRuナノ粒子を用いることによって、燃料電池のアノードとしても用いることができる。図1に、約1.67nmのナノ粒子を示す。典型的なアノード触媒では、上記PtRuナノ粒子は、PtとRuとの原子比率が約0.1〜約20、より好適には、約0.5〜約3である。
【0072】
本発明はまた、ナノワイヤまたはカーボンブラックまたはカーボンパウダーまたは相互接続されたナノワイヤネットワークまたはカーボンパウダーナノワイヤ複合物に担持された本発明の電気化学的触媒ナノ粒子を含む膜電極接合体を提供する。本明細書を通して述べるとおり、好適には、上記電気化学的触媒ナノ粒子は一つまたは複数の金属を含み、当該ナノ粒子における一つまたは複数の金属に対する酸素の原子比率は、約3〜約6(約3.6〜約5、約3.6〜約4、あるいは、約3.6)である。典型的なナノ粒子はPtRuナノ粒子を含み、Ruに対する酸素の比率は、約3.6〜約6、金属ルテニウムの比率は約30%、金属白金の比率は、約70%〜約90%である。本発明のPtRuナノ粒子は、2θ=30〜44度の範囲内での最大ピークのピーク位置が33.0度以上、37.0度未満の範囲内であることを特徴とする。好適には、本発明の上記PtRuナノ粒子は、結晶サイズが3nm以下である。本発明の膜電極接合体は、メタノール燃料電池、蟻酸燃料電池、エタノール燃料電池、水素燃料電池、またはエチレングリコール燃料電池のような燃料電池の部品として用いることができる。
【0073】
本発明の膜電極接合体(MEA)は、好適には、本明細書で開示された上記電気化学的触媒ナノ粒子をカソード触媒及び/またはアノード触媒の一部品として含み、さらに膜(例えばナフィオン(登録商標)膜、デュポン社、ウィルミントン、デラウェア州)を含んでいる。そのようなMEAは、本技術分野において周知の方法、例えば米国特許第6,933,033号、第6,926,985号、及び第6,875,537号で開示された方法を用いて製造することができる。なお、これらの米国特許の開示内容は、その全体が参照によって本明細書に援用される。典型的な実施形態では、上記膜の一方の側にはカソード触媒が、もう一方の側にはアノード触媒が配置される。ガス拡散層(例えばカーボンファイバークロス)、両極性プレート、エンドプレート(例えば、機械加工されたグラファイトまたは成形伝導性ポリマー複合物)とともにそのようなMEAを含む燃料電池も、本技術分野の周知の方法で製造することができる。ナノワイヤまたはカーボンブラックまたはカーボンパウダーまたは相互接続されたナノワイヤネットワークまたはカーボンパウダーナノワイヤ複合物に担持された本明細書開示の電気化学的触媒ナノ粒子を用いて製造できる燃料電池の例としては、プロトン交換膜燃料電池(PEMFC)や直接メタノール型燃料電池(DMFC)がある。上記担持された電気化学的触媒ナノ粒子はまた、例えばリチウムバッテリーや電気化学的キャパシタに用いるアノードやカソードを製造するために用いることができる。そのようなバッテリーやキャパシタの要素と構造は、本技術分野で周知である。
【0074】
本発明の一実施形態において、本発明のアノード(及び/またはカソード)電極のナノワイヤの部分は、成長基板上に合成し、その後、燃料電池の膜電極接合体構造に移して、組み込んでもよい。上記膜電極接合体構造の例としては、米国特許出願公開第2007-0212538号及び米国特許出願公開第2008-0280169号に記載されているものが挙げられる。
【0075】
上記ナノワイヤを成長させたあと、上記ナノワイヤはその合成場所から適切に採集(harvest)される。上記独立したナノワイヤはその後、ガス拡散層やプロトン交換膜のような燃料電池部品の関連表面に、例えばスプレー/ブラシペインティング、溶液コーティング、キャスティング、電解質堆積、ナノワイヤの溶液のフィルタリング、及びそれらの方法の組み合わせによって導入あるいは堆積されうる。好適には、本発明の電気化学的触媒ナノ粒子がその後導入される。堆積は、問題の部品(例えば、一層または複数層のガス拡散層またはプロトン交換膜)をそのようなナノワイヤの溶液に浸すことのみで行うか、あるいはそれに加えて問題の部品の全体あるいは一部を事前に処理しておくことで、表面または表面の一部をナノワイヤ付着に適した形態にする(functionalize)。米国特許出願公開第2007-0212538号と米国特許出願公開第2008-0280169号とに記載されているように、上記ナノワイヤを溶液(例えばメタノール、エチレングリコール、あるいは水)に導入し、フィルタ濾過(例えばポリビニリデンフッ化物(PVDF)膜で真空フィルタ濾過)することによって、乾燥および洗浄したあと、フィルタから分離した上記ナノワイヤに高密度で絡まり合ったマット(dense, interwined mat)あるいは「鳥の巣構造」が得られ、その後、上記ナノワイヤは高温で熱処理(例えばアニール)される。こうしてできたナノワイヤの多孔性シート(ナノグラファイト板と相互に結合しているもの、および、していないもの)はその後、燃料電池の膜電極接合体に組み込むことができる。他のさまざまな堆積方法、例えば米国特許出願公開第20050066883号(公開日:2005年3月31日)と米国特許第6,962,823号(これらの開示内容すべては、いかなる目的であれ参照によって本明細書に援用される)に記載の方法を用いることができる。上記ナノワイヤは、一つまたは複数の燃料電池部品、例えば一つまたは複数のバイポーラプレート及び/またはガス拡散層及び/またはプロトン交換膜上に、直接成長させてもよい。
【0076】
通常、燃料電池は一般にアノード電極、カソード電極、及びプロトン交換膜(PEM)を含む。これら三つの部品からなる複合体を膜電極接合体(MEA)と呼ぶ。米国特許出願公開第2007-0212538号と米国特許出願第No. 11/808,76号とに記載されているように、PEMFCにおいて、従来のカーボン粒子の代わりにナノワイヤを触媒担持体及び電子伝導性媒体として用いてMEAを製造してもよい。ナノ構造を有する触媒担持体及びナノワイヤ(例えばSiCやGaNのようなナノワイヤ)上で表面官能基を形成することは比較的容易であるため、本発明のPtナノ粒子及び/あるいはPtRuナノ粒子のような触媒ナノ粒子は(プロトン導電性ポリマー(ナフィオン(登録商標)など)と同様に)、ナノ構造を有する触媒担持体及びナノワイヤ上に、例えば粒子を凝集させることなく、容易に堆積することができる。触媒粒子の一つ一つは、その後、ナノワイヤシェルを介してアノード(及びカソード)に直接結合する。相互接続されたナノワイヤにおける多数の電気的結合により、Ptから電子伝導層への電子的ルートが確保される。
【0077】
ナノワイヤまたはカーボンブラックまたはカーボンパウダーまたは相互接続されたナノワイヤネットワークまたはカーボンパウダーナノワイヤ複合物によって担持された本発明の電子化学的触媒ナノ粒子を含む燃料電池の一例は、好適には、アノードバイポーラ(双極性)電極プレートと、カソードバイポーラ電極プレートと、プロトン交換膜と、アノード電極と、アノードガス拡散層と、カソード電極と、カソードガス拡散層と、ナノワイヤまたはカーボンブラックまたはカーボンパウダーまたは相互接続されたナノワイヤネットワークまたはカーボンパウダーナノワイヤ複合物による触媒担持体とを含む。この触媒担持体は、燃料電池の一方の側におけるアノード電極及びカソード電極と、もう一方の側におけるプロトン交換膜とのあいだに位置している。一般的に、複数の燃料電池またはMEAを組み合わせて一つの燃料電池スタックを形成することができる。当該スタックにおける複数の燃料電池をバイポーラプレートによって直列に連結して、個々の燃料電池の電圧が加算されるようにする。
【0078】
好適には、本明細書で開示したナノワイヤまたはカーボンブラックまたはカーボンパウダーまたは相互接続されたナノワイヤネットワークまたはカーボンパウダーナノワイヤ複合物による触媒担持体と電気化学的触媒ナノ粒子とは、ナノワイヤ及び/またはカーボンブラック及び/またはカーボンパウダーの表面に分散するポリマー電解質材料の中に分散して、プロトン(例えばH)伝送のために十分な接触点を提供する。ポリマー電解質は、例えば、ポリエチレン酸化物、ポリ(エチレンコハク酸塩)、ポリ(β‐プロピオラクトン)、ナフィオン(登録商標)(デュポンケミカルズ社、ウィルミントン、より販売)のような硫酸化フルオロポリマーのようなさまざまなポリマーから作ることができる。適切なカチオン交換膜は、例えば米国特許第5,399,184号に記載されており、その開示内容は参照によって本明細書に援用される。あるいは、プロトン伝導膜は、多孔性のマイクロ構造を持つ発泡膜(expanded membrane)であってもよく、当該発泡膜ではイオン交換材料が膜に浸入して膜の内部体積(interior volume)を効果的に満たす。参照によってその開示内容が本明細書に含まれる米国特許第5,635,041号は、発泡ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)から作られたそのような膜を記載している。上記発泡ポリテトラフルオロエチレン膜は、小繊維によって互いに結合されたノードからなるマイクロ構造を有している。同様の構造は米国特許第4,849,311号に記載され、その開示内容は参照によって本明細書に援用される。さらなる実施形態では、プロトンシャトル分子(proton shuttle molecules)を上記ナノワイヤに付着させてもよい。例えば、米国特許出願公開第2007-0212538号と米国特許出願公開第2008-0280169号とに記載されているように、-SO3H基を含む短い炭化水素鎖(例えば2個〜6個の炭素の長さ)を上記ナノワイヤにグラフトすることができる。そのようなプロトンシャトル分子を使うことで、必要とされるナフィオン(登録商標)またはその他のイオノマーの量を減らすことができ、それによって触媒作用のあるナノ粒子の利用可能な表面積を増やすことができる。
【0079】
相互接続されたナノワイヤネットワークを形成するナノワイヤは、さまざまなワイヤが互いに接触する地点において、任意に融合させるか架橋させることによって、より安定して強く、硬くなりうる膜電極接合体を形成し得る。上記ナノワイヤには、化学的架橋を形成する表面化学基を備えさせて、それによってその下のナノワイヤを架橋してもよい。例えば、上記ナノワイヤは、それらの交点に少量の伝導性あるいは半伝導性の物質を堆積させることによって、表面架橋するかあるいは互いに融合させてもよい。例えば、SiCナノワイヤ(あるいは、例えばSiCシェル層を持つカーボンナノチューブナノワイヤ)を、それらの交点にアモルファスもしくは多結晶SiCを堆積することによって架橋させることができる。
【0080】
米国特許出願公開第2007-0212538号と米国特許出願公開第2008-0280169号とで開示されているナノワイヤネットワークは、好適には、電気化学的触媒ナノ粒子(例えば、白金、ルテニウム、PtRu)用の担持体として使われる。この電気化学的触媒ナノ粒子は、例えばナノワイヤをコーティングするか、あるいはナノワイヤ上に堆積される。例えば、図1に示される、ナノグラファイトにコーティングされたナノワイヤの表面に堆積した1.67nmのPtRu(1:1)ナノ粒子を二つの異なる倍率で撮った透過型電子顕微鏡画像を参照されたい。一般的に、燃料電池にどの触媒が適しているかは、選ばれる反応物によって決まる。例えば、電気化学的触媒ナノ粒子(本明細書を通して触媒金属とも呼ぶ)は、白金(Pt)、ルテニウム(Ru)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、金(Au)、クロミウム(Cr)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、マンガン(Mn)、テクネチウム(Tc)、レニウム(Re)、オスミウム(Os)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)、ニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)、銅(Cu)、銀(Ag)、亜鉛(Zn)、スズ(Sn)、アルミニウム(Al)、及びそれらの組み合わせや合金(例えば二元金属PtRuナノ粒子)の一つまたは複数からなる群から選ばれるが、それらに限定されるものではない。水素あるいはメタノール燃料の酸化に適した触媒材料としては、Pd、Pt、Ru、Rh、Pt:Ruのような金属が挙げられる。
【0081】
本明細書に述べるとおり、好適には、ナノワイヤまたはカーボンブラックまたはカーボンパウダーまたは相互接続されたナノワイヤネットワークまたはナノワイヤカーボンパウダー複合物によって担持される電気化学的触媒ナノ粒子は、酸素を、一つまたは複数の金属に対して、約3.6〜約5の原子比率で含み、そのサイズは、約1〜10nmである。好適には、上記電気化学的触媒ナノ粒子はPtRuを含み、金属ルテニウムの比率は約30%未満、金属白金の比率は、約70%〜約90%である。本発明のPtRuナノ粒子は、2θ=30〜44度の範囲内での最大ピークのピーク位置が33.0度以上、37.0度未満の範囲内であることを特徴とする。好適には、本発明の上記PtRuナノ粒子は、結晶サイズが3nm以下である。
【0082】
上記電気化学的触媒ナノ粒子は、ナノワイヤまたはカーボンブラックまたはカーボンパウダーまたは相互接続されたナノワイヤネットワークまたはナノワイヤカーボンパウダー複合物による触媒担持体の表面に、薄膜(例えば、厚さ、約10オングストローム未満)(または一連の触媒粒子)として堆積、あるいは他の方法を用いて結合させてもよい。この堆積あるいは結合は、例えば化学気相、電気化学的蒸着(電気メッキや無電解化学メッキ)、物理的気相成長法、溶液含浸沈殿法(solution impregnation and precipitation)、コロイド粒子の吸着と堆積、原子層堆積、及びそれらの組み合わせなどの、さまざまな触媒堆積法を用いて行われる。本明細書に記載する方法でコーティングされた触媒金属の量は、触媒金属とナノワイヤまたはカーボンブラックまたはカーボンパウダーまたは相互接続されたナノワイヤネットワークまたはナノワイヤカーボンパウダー複合物材料との総量に対して、好ましくは約0.5〜85重量%、好適には、約10〜85重量%、約20〜80重量%、さらに好適には約20〜60重量%、例えば約30〜55重量%である。
【0083】
あるいは、一つの実施形態では、上記電気化学的触媒ナノ粒子は、ナノワイヤまたはカーボンブラックまたはカーボンパウダーまたは相互接続されたナノワイヤネットワークまたはナノワイヤカーボンパウダー複合物による触媒担持体の表面に、溶液に溶かした複数のナノメートルサイズの金属触媒粒子(例えば、直径、約1〜50nm、例えば、直径約10nm未満、例えば、直径約1〜5nmあるいは約1〜3nm)として堆積してもよい。上記ナノワイヤまたはカーボンブラックまたはカーボンパウダーまたは相互接続されたナノワイヤネットワークまたはカーボンパウダーナノワイヤ複合物による触媒担持体の表面を、一つまたは複数の機能リンカー部分(functional linker moieties)(例えば化学的に反応的な基)、例えば一つまたは複数のカルボン酸基、硝酸基、水酸基、アミノ基、スルホン酸基などによって誘導することで、上記ナノ粒子は担持体の表面により容易に結合することができる。上記電気化学的触媒ナノ粒子(あるいは膜)は、担持体に均一に付着させてもよいし不均一に付着させてもよい。上記電気化学的触媒ナノ粒子は、球形であっても、半球形であってもよく、球形でなくてもよい。上記電気化学的触媒ナノ粒子は、上記担持体の表面に複数の島を形成してもよいし、あるいは上記担持体の表面に連続したコーティングを、コアシェル構成におけるように、ナノワイヤなどの長さに沿って筋や輪として形成してもよい。上記電気化学的触媒ナノ粒子を上記ナノワイヤまたはカーボンブラックまたはカーボンパウダーまたは相互接続されたナノワイヤネットワークまたはカーボンパウダーナノワイヤ複合物による触媒担持体の表面に付着させることは、担持体が燃料電池のMEAに組み込まれる/堆積される前に行ってもよいし、あとに行ってもよい。一実施形態では、上記電気化学的触媒ナノ粒子は、均一サイズ分布(uniform size distribution)が、約50%未満、例えば約30%未満、例えば約20%未満の触媒粒子の集合から選ぶことができる。
【0084】
化学的リンカー分子(chemical linker molecule)を用いて上記電気化学的触媒ナノ粒子を上記ナノワイヤまたはカーボンブラックまたはカーボンパウダーまたは相互接続されたナノワイヤネットワークまたはカーボンパウダーナノワイヤ複合物に結合させるときは、上記化学的リンカーは上記電気化学的触媒ナノ粒子と担持体との間の電気結合を促進するように選択してもよいし、あるいはその後、上記化学的リンカーを除去して電気結合を促進してもよい。例えば、熱、真空、化学薬品、またはそれらの組み合わせを任意で担持体に適用して上記リンカー分子を除去し、触媒を担持体と直接物理的に接触させることによって触媒粒子と担持体との間に強固な電気結合を作り出してもよい。上記構造を熱して触媒と担持体との界面をアニールし、両者間の電気接触を改善してもよい。適切な温度と加熱条件は当業者に周知である。
【0085】
本発明のナノワイヤ担持電気化学的触媒ナノ粒子は、米国特許出願公開第2007-0212538号と米国特許出願公開第2008-0280169号とに開示されたさまざまな方法を用いて作成することができる。好適には、一つまたは複数のナノワイヤが、溶液中に分散される。その後、一つまたは複数の触媒金属が溶液に加えられて溶液が還流され、それによって触媒金属がナノワイヤと結合する。ナノワイヤの分散及びその後の還流に用いる溶液は、適切ならば如何なるものであってもよい。溶液の例としては、アルコールまたは水をベースとした溶液の他、エチレングリコールのような有機溶液が挙げられる。
【0086】
本明細書を通して述べるとおり、典型的な実施形態では、ナノワイヤは少なくとも第一官能基によって誘導化される。当該第一官能基は、触媒金属を結合するものであり、例えば、硝酸、カルボン酸基、水酸基、アミノ基、スルホン酸基である。
【0087】
上記ナノワイヤ溶液を還流したあと、上記ナノワイヤ担持電気化学的ナノ粒子(本明細書を通して、触媒金属結合ナノワイヤとも呼ぶ)をフィルタによって濾過して、触媒金属と結合した固体ナノワイヤ分散液を作り、その後乾燥させる。
【0088】
触媒堆積のあと、ナフィオン(登録商標)のようなプロトン伝導性ポリマーを、触媒粒子部位間のナノワイヤまたはカーボンブラックまたはカーボンパウダーまたは相互接続されたナノワイヤネットワークまたはカーボンパウダーナノワイヤ複合物の表面に任意で堆積する。これは、例えば、担持体の表面に第二の官能基(用いるときは、触媒官能基とは異なる)によって官能性を持たせることによって行われ、当該第二の官能基は電解質を優先的に結合するか、あるいは、両立および/または制御されたウエッチング(consistent and/or controlled wetting)を促進する。ポリマーは、ナノワイヤの表面にある連続した膜であってもよいし、連続しない膜であってもよい。例えば、ポリマー電解質は、ワイヤの表面で均一に濡れた状態であってもよいし、ワイヤの長さに沿って点接触していてもよい。上記ナノワイヤまたはカーボンブラックまたはカーボンパウダーまたは相互接続されたナノワイヤネットワークまたはカーボンパウダーナノワイヤ複合物は、当該担持体表面にシラン化学反応によって結合するスルホン酸化炭化水素分子またはフッ素化炭素分子または両タイプの短鎖ポリマーまたは炭化水素分鎖によって官能性を備え得る。当業者ならば、本明細書で任意に用いられるさまざまな官能化や官能化技術(例えば、分離カラム、バイオアッセイなどを作る技術に類似した技術)を熟知している。あるいは、イオノマーを担持体に化学的結合部分を介して結合させる代わりに、担持体を直接官能化してプロトン伝導性にしてもよい。例えば、担持体を、周知の官能化化学反応を用いて、過フッ素化スルホン酸化炭化水素のような表面コーティングによって官能化することができる。
【0089】
例えば、関連する部分及び他の化学に関する詳細は、そのような部及び化学の構成/使用の方法と同様、例えばHermanson Bioconjugate Techniques Academic Press (1996), Kirk-Othmer Concise Encyclopedia of Chemical Technology (1999) Fourth Edition by Grayson et al. (ed.) John Wiley & Sons, Inc., New York and in Kirk-Othmer Encyclopedia of Chemical Technology Fourth Edition (1998 and 2000) by Grayson et al. (ed.) Wiley Interscience (print edition)/ John Wiley & Sons, Inc. (e-format)に記載されている。さらに関連する情報は、 CRC Handbook of Chemistry and Physics (2003) 83rd edition by CRC Pressに記載されている。プラズマ手法等によりナノワイヤ表面に組み込むこともできる導電性及び他のコーティングの詳細は H. S. Nalwa(ed.), Handbook of Organic Conductive Molecules and Polymers, John Wiley & Sons 1997に記載されている。また"ORGANIC SPECIES THAT FACILITATE CHARGE TRANSFER TO/FROM NANOCRYSTALS," 米国特許6,949,206も参照されたい。官能化された表面への追加部分の結合などに関連する有機化学に関する詳細は、例えば、Greene (1981) Protective Groups in Organic Synthesis, John Wiley and Sons, New York, 及びSchmidt (1996) Organic Chemistry Mosby, St Louis, MO, and March’s Advanced Organic Chemistry Reactions, Mechanisms and Structure, Fifth Edition (2000) Smith and March, Wiley Interscience New York ISBN 0-471-58589-0、及び 米国特許公開第20050181195号(公開日2005年8月18日)に記されている。当業者ならば、本発明における表面の官能化のために適用できる他の多くの関連文献や技術に習熟している。
【0090】
MEAに用いるイオノマー上のスルホン酸基の密度を高めてイオノマーの側鎖を変化させることにより、イオノマー(例:ナフィオン)の表面基及び平衡重量(equilibrant weight)を含む諸特徴を、保持された電気化学的触媒に合わせることができる。これにより、電解質イオノマーと接触する触媒の比率を上げることができる。例えば、平衡重量(equilibrant weight)(EW)が1000のナフィオンイオノマー、あるいはEWがより低く(例えば850)より短い側鎖イオノマー(例:Hyflon)を、直接メタノール型燃料電池において、担持された電気化学的触媒とともに用いることができる。ナノワイヤを用いれば、担持された電気化学的触媒がナノワイヤ担持体上に一列に並び、それによって当該触媒はナノワイヤ構造における大きな細孔に露出され、調整されたイオノマーが効率的に触媒に接触し、イオノマーと接触する触媒の比率を増やす。本発明中の「調整されたイオノマー」とは、本発明のナノワイヤまたはカーボンブラックまたはカーボンパウダーまたは相互接続されたナノワイヤネットワークまたはカーボンパウダーナノワイヤ複合物による担持体の諸特徴に合っているために、適切に合っていないイオノマーに比べて多量のイオノマーが触媒に到達することができるイオノマーを意図する。好適には、イオノマーは平衡重量(equilibrant weight)が1000または850である。
【0091】
ポリマー触媒コーティングは、上記ナノワイヤまたはカーボンブラックまたはカーボンパウダーまたは相互接続されたナノワイヤネットワークまたはカーボンパウダーナノワイヤ複合物の表面に、例えばシラン基によって直接結合されてもよいし、あるいはリンカー結合基または他の適切な化学的反応基を介して結合し、置換シラン、ジアセチレン、アクリル酸塩、アクリルアミド、ビニール、スチリル、酸化シリコン、酸化ホウ素、酸化リン、N−(3−アミノプロピル)3−メルカプト-ベンズアミド、3−アミノプロピル-トリメトキシシラン、3−メルカプトプロピル-トリメトキシシラン、3−マレイミドプロピル-トリメトキシシラン、3−ヒドラジドプロピル-トリメトキシシラン、トリクロロ-パーフルオロオクチルシラン、ヒドロキシスクシニミド、マレイミド、ハロアセチル、ヒドラジン、エチルジエチルアミノプロピルカルボジイミドなどのような結合剤との結合化学反応(誘導化)に加わってもよい。当業者に知られている他の表面官能化化学反応(surface functional chemistries )を用いてもよい。
【0092】
さらに、可溶性過フッ素化スルホン酸化イオノマー(例えばナフィオン(登録商標))をナノワイヤやカーボンパウダー間の空間、あるいはそれらの混合物中に配置してもよい。その構造(例えば、相互接続されたナノワイヤまたはカーボンパウダーまたはナノワイヤとカーボンパウダー多孔性シート)は、バイポーラプレート及び/またはプロトン交換膜の一つの上の本来の位置に形成されないときは、プロトン交換膜の両側のバイポーラプレートにそれぞれ配置されるガス拡散層の間に位置し、複合体がホットプレスされて、本発明の完全な膜電極接合体燃料電池を形成する。プレスする温度は、その温度範囲でプロトン交換膜が軟化する温度とする。例えば、ナフィオン(登録商標)の場合には、摂氏125℃までの温度である。プレスする圧力は約 200kgf/cmである。
【0093】
燃料/酸素をアノード/カソード電極の表面に効率よく分配するために、従来の燃料電池では、通常、ガス拡散層を、燃料電池の一方の側にあるアノード電極と双極プレートとの間、他方の側にあるカソード電極と双極プレートとの間に必要とする。通常、カーボンファイバークロスがガス拡散層として用いられる。本発明の相互接続されたナノワイヤ複合膜電極触媒担持体複合体(the interconnecting nanowire composite membrane electrode catalyst support assembly)ならば、ナノワイヤベースの電極の優れた構造により、このガス拡散層をなくすことができる。
【0094】
さらなる実施形態では、図3のフローチャート300に示すように、本発明はナノワイヤによって担持されたPtRu電気化学的触媒ナノ粒子を形成する方法を提供する。本明細書に述べるとおり、好適には、当該ナノ粒子におけるRuに対する酸素の原子比率は、約3〜約6、金属ルテニウムの比率は約30%未満、金属白金の比率は、約70%〜約95%である。
【0095】
典型的な実施形態では、フローチャート300に示すように、工程302においてPtRuコロイド溶液が提供される。好適な実施形態では、上記PtRuコロイド溶液は、RuClxH0、エチレングリコール、HPtClxH0、NaOHを組み合わせることによって形成される。好適には、RuClxH0の量は約100mg〜約500mg、あるいは、約200mg〜約300mg、あるいは、約250mgである。使用されるHPtClxH0の量は、好適には、約300mg〜約700mg、あるいは、約400mg〜約600mg、あるいは、約500mgである。好適には、0.5M NaOHを、約20mL〜約80mL、あるいは、約30mL〜約60mL、あるいは、約50mLの量で用いる。ただし、これらの作用物質の量及び濃度は説明のためだけに示されたものであり、当業者ならば、より大きいサイズまたはより小さいサイズのサンプルを形成するために量及び濃度を変えうること、及び最終的に得られる製品を変えることなしに量及び濃度を変更しうることは、容易に理解できるであろう。適切な混合方法及び材料は、本技術分野において周知である。
【0096】
フローチャート300の工程304において、上記PtRuコロイド溶液をその後、ナノワイヤの懸濁液に加え、ナノワイヤPtRuコロイド溶液を形成する。典型的な実施形態においては、上記ナノワイヤは、本明細書や米国特許出願公開第2007-0212538号と米国特許出願公開第2008-0280169号とに記載されているような炭素含有ナノワイヤである。好適には、上記ナノワイヤはエチレングリコールに懸濁されるが、他の水溶液(あるいは非水溶液)、例えば水やエタノールを用いてもよい。当業者ならば、上記コロイド溶液と上記ナノワイヤ懸濁液の量を容易に調整して、より大きなあるいはより小さなサンプルを作ったり、ナノワイヤ上の触媒濃度がより高いあるいはより低いものを作ったりすることができる。
【0097】
図3のフローチャート300の工程306において、上記ナノワイヤPtRuコロイド溶液のpHが、下げられる。好適には、pHは当初のレベルから約12〜10に、好適には約11に下げ、それから、約6〜9に、好適には7に下げ、それから、約3〜5に、好適には約4に下げ、それから最終的に、約1〜2に、好適には約1に下げられる。実施形態では、pHを下げるのには、約16〜30時間、例えば約18から30時間、あるいは約24時間かける。これらの数値だけでなく、これらの数値の間のpHレベルも用いることができる。好適な実施形態では、PHは約11に下げられ、それから、約7に下げられて、約18時間、pHを7に維持する。pHはそれから約4に下げられ、約4時間、pHを4に維持する。最後に、pHは約1に下げられ、約1時間、pHを1に維持し、それからナノワイヤを回収する。溶液のpHを下げるためには、硝酸やHClなど、適切ならば如何なる酸を用いてもよい。
【0098】
フローチャート300の工程308において、上記ナノワイヤによって担持されたPtRu電気化学的触媒はその後、上記溶液から回収される。典型的な実施形態において、この回収工程では、上記溶液をフィルタによって濾過し、その後上記ナノワイヤを(例えば、脱イオン水で)洗浄し、混入物やその他の破片を取り除く。
【0099】
好適な実施形態において、上記方法はさらに、フローチャート300における工程310、すなわち上記ナノワイヤによって担持されたPtRu電気化学的触媒を回収した後(例えば濾過と洗浄後)に加熱する工程を含む。例えば、上記ナノワイヤによって担持されたPtRu触媒を、約3〜10時間、好適には約5時間、約150〜300℃に、例えば約150〜200℃に、あるいは、約180℃に加熱する。
【0100】
同様な方法を用いて、本発明の電気化学的ナノ粒子触媒を含むカーボンブラックまたはカーボンパウダー(架橋されたカーボンパウダーを含む)またはナノワイヤカーボンパウダー複合物を生成してもよい。
【0101】
〔電気化学的触媒ナノ粒子を含む膜電極接合体及び燃料電池〕
本明細書を通して述べるとおり、本発明はまた、本発明の電気化学的触媒ナノ粒子を含む膜電極接合体(MEA)、及び当該ナノ粒子とMEAを含む燃料電池を提供する。MEAを形成する方法の例は、米国特許出願公開第2007-0212538号と米国特許出願公開第2008-0280169号とに開示されている。好適な実施形態では、ガス拡散層、例えばテフロン(登録商標)(デュポン社)で処理された表面を持つ、例えばテフロン(登録商標)で処理されたカーボンペーパーや織布(例:カーボン布)を任意に設置してもよい。担持された電気化学的触媒は、それから、任意に設置されたガス拡散層に隣接するように配置される。構成同士を隣接するように配置するとは、それらのさまざまな構成を重ねたり、塗布したり、噴霧したり、コーティングしたり、広げたり、あるいはその他のあらゆる適用方法を含む。
【0102】
それから、担持された電気化学的触媒組成に隣接するように、膜層が配置される。好適には、膜層はナフィオン(登録商標) やその他のスルホン化ポリマーのようなプロトン伝導性ポリマーを含む。それから、膜層に隣接して、担持された電気化学的触媒の第二の組成が配置される。典型的な実施形態では、米国特許仮出願公開No. 61/108,301(2008年10月24日出願、"Membrane Electrode Assemblies with Interfacial Layer," Atty. Docket No. 2132.0600000/DJF/JKM)に開示されるように、プロトン伝導性ポリマーは界面層を含んでもよい。
【0103】
好適な実施形態では、ナノワイヤによって担持された電気化学的触媒は、ナノワイヤインク溶液を含み、好適には、界面活性剤またはポリマー(例えば、ナノワイヤの分散を助けるため)及び/またはナフィオン(登録商標)のようなイオノマーのような追加要素を一つまたは複数含む。好適には、さまざまなナノワイヤ溶液におけるナノワイヤの濃度は、体積比で(by volume)約0.01%〜約50%、例えば約0.1%〜約20%である。好適には、触媒金属連結ナノワイヤの第一及び第二組成は、ナフィオン(登録商標)のようなイオノマーを一つまたは複数さらに含むナノワイヤ溶液である。
【0104】
本発明のMEA及び燃料電池を形成するために用いられる典型的なナノワイヤ担持電気化学的触媒ナノ粒子は、本明細書を通して述べられる諸要素を含む。さらなる実施形態では、カーボンブラックまたはカーボンパウダーまたはカーボンパウダーナノワイヤ複合物による本発明の担持体を用いて、MEA及び燃料電池を形成してもよい。本明細書に記載する、金属に対する酸素の原子比率が約3.6〜約5であるナノ粒子を、MEAと燃料電池とに適切に使用する。好適には、担持された電気化学的触媒ナノ粒子を用いて、MEAおよび燃料電池のアノード及びカソードを生成する。
【0105】
電気化学的触媒ナノ粒子、好適にはナノワイヤまたはカーボンブラックまたはカーボンパウダーまたは相互接続されたナノワイヤネットワークまたはカーボンパウダーナノワイヤ複合物によって担持された電気化学的触媒ナノ粒子を含むMEAと燃料電池のさらなる製造方法は、米国特許出願公開第2007-0212538号と米国特許出願公開第2008-0280169号とによって開示されている。MEAのさまざまな層を配置する方法としては、積層(layering)やブラッシングなどがあり、好適な実施形態では、噴霧がある。ナノワイヤまたはカーボンブラックまたはカーボンパウダーまたは相互接続されたナノワイヤネットワークまたはカーボンパウダーナノワイヤ複合物によって担持される電気化学的触媒ナノ粒子(例えば、水溶液またはアルコール溶液に溶かしたナノワイヤ)を噴霧することによって、層の厚さと密度とを調整することができる。さらに、一つまたは複数のイオノマーを噴霧する溶液に加えてもよく、これによって、担持される電気化学的触媒ナノ粒子と一つまたは複数のイオノマーとの溶液を噴霧することができる。イオノマーの例は本明細書を通して記載されており、スルホン化ポリマー(例:ナフィオン(登録商標))などを含む。
【0106】
本発明の方法によって形成される膜電極接合体は、さまざまな燃料電池電極を生成する際に(例えば、燃料電池電極スタックを形成する際に)用いることができる。燃料電池の例としては、酸化燃料電池、例えばメタノール燃料電池、蟻酸燃料電池、エタノール燃料電池、水素燃料電池、エチレングリコール燃料電池、及び当業者に知られているその他の燃料電池が挙げられる。
【0107】
例えば、本発明はまた、燃料電池膜電極接合体を提供する。例えば、米国特許出願公開第2007-0212538号と米国特許出願公開第2008-0280169号とに開示されているように、適切なMEAは、一つまたは複数のナノワイヤを含むガス拡散層を任意で含んでいてもよい。MEAはさらに、本発明の担持された電気化学的触媒ナノ粒子の第一組成と、ガス拡散層に隣接するイオノマーとを含む。MEAの例はまた、上記第一の担持された電気化学的触媒ナノ粒子に隣接するプロトン伝導性膜層(好適には界面層を含む)と、当該プロトン伝導性膜層に隣接する担持された電気化学的触媒ナノ粒子の第二の組成とイオノマーとを含む。さらなる実施形態では、MEAは、担持された触媒の第二の組成に隣接するガス拡散層を任意でさらに含んでもよい。
【0108】
本明細書を通して述べるとおり、MEAで用いるナノワイヤの一例は、ナノワイヤのネットワークにおける各ナノワイヤが、当該ナノワイヤネットワークにおける少なくとも一つの他のナノワイヤと接触し、当該ナノワイヤネットワークにおける一つまたは複数の他のネットワークと電気的に接触しているナノワイヤである。例えば、当該ネットワークにおける少なくとも一つのナノワイヤは分岐構造を持つ。本発明の実施に用いるナノワイヤの一例は、RuO、SiC、GaN、TiO、SnO、WC、MoC、ZrC、WN、および、MoNのナノワイヤ(本明細書で述べるとおり、xは正の整数(例えば全整数)を指す)からなる群より選ばれる。好適には、MEAは、メタノール燃料電池、蟻酸燃料電池、エタノール燃料電池、水素燃料電池、またはエチレングリコール燃料電池のような酸化燃料電池の部品である。
【0109】
本発明の燃料電池電極スタックでは、n番目のMEA層に至るまで、あるいは最終的に目標とするMEA層に至るまで、任意の数のMEA層を形成することができる。好適には、燃料電池電極スタックの端には、エンドプレートとバイポーラプレートとが含まれる。通常、バイポーラプレートとエンドプレートとは高い導電性を有し、グラファイト、金属、導電性ポリマー、及びそれらの合金や複合物から作製することができる。ステンレス、アルミニウム合金、炭素及びその複合物のような材料は、コーティングしている場合でもしていない場合でも、燃料電池におけるバイポーラエンドプレートの実行可能なよい選択肢である。バイポーラプレート及びエンドプレートはまた、複合構造に組み込まれた高導電性または半導電性ナノワイヤを含む複合物材料(例えば、金属、導電性ポリマーなど)から作られていてもよい。バイポーラプレートは好適には両側にチャネル及び/または溝を有しているが、エンドプレートは通常、燃料電池の部品と接している側(つまり、内表面)にだけチャネル及び/または溝を有しており、外表面はそのようなチャネルまたは溝を有していない。好適には、最終的に目的とする燃料電池スタックが得られるまで、さまざまな燃料電池部品を繰り返し配置し/積層し/スタックする。
【0110】
最終的な燃料電池スタックをそれから締め合わせ(clamped together)、燃料を適切な電解質(例えば、エチレングリコール溶液、メタノール、蟻酸、ホルムアルデヒド、あるいは小アルコール)に含浸させる。本明細書を通して開示されている構成、本技術分野において知られている構成をさらに加えて、実用的な燃料電池にしてもよい。
【0111】
本発明の電気化学的触媒ナノ粒子とナノワイヤまたはカーボンブラックまたはカーボンパウダーまたは相互接続されたナノワイヤネットワークまたはカーボンパウダーナノワイヤ複合物によって担持された電気化学的触媒ナノ粒子は、本明細書で開示された諸特徴を持たない他の触媒に比べて触媒活性が増大しているので、特定の用途で必要とされる触媒粒子の量を減らすことができ、それによって材料費を減らし、燃料電池の製造にかかる費用を減らすことができる。さらに、電極で使用する触媒がより少ないので、より薄い電極を製造することができ、それによって電極の抵抗を減らすことができる。
【0112】
当業者ならば、本明細書に記載された方法及び応用例に対して、他の適当な修正及び調整を、本発明及びその実施形態の範囲から外れることなしに行いうることは容易に理解できるであろう。本発明を詳細に記載してきたので、本発明は以下の実施例を参照することでより明確に理解できるであろう。以下の実施例はあくまでも説明のために本明細書に記すものであり、本発明を限定するものではない。
【0113】
〔実施例〕
〔実施例1:電気化学的触媒ナノ粒子及びナノワイヤ担持電気化学的触媒ナノ粒子の作成〕
材料:
RuCl・xH0(アルドリッチ社)、HPtCl・xH0(アルドリッチ社)、無水エチレングリコール(アルドリッチ社)、0.5M NaOHエチレングリコール溶液。
作成:
250mgのRuCl・xH0を300mLの三つ口フラスコに加えた。30mLのエチレングリコールを加え、透明な溶液ができるまで磁性攪拌子で攪拌した(約数時間)。500mgのHPtCl・xH0と20mLのさらなるエチレングリコールとを追加した。50mLの0.5M NaOH溶液を加え、当該溶液をArガスで浄化した。そのあと、当該溶液を油浴で、約165℃で約3時間加熱し、PtRuコロイド溶液を生成した。
【0114】
10mLのエチレングリコールに懸濁した100mgの浸炭ナノワイヤを高周波音による分解で分散した。分散溶液は250mLのビーカーに移した。
【0115】
それから、15mLのPtRuコロイド溶液をナノワイヤに加え、適切な濃度の硝酸を滴下して加えて、当該溶液のpHを11にした。さらなる一酸化窒素(必要に応じて、10mLの0.0000065%硝酸、10mLの0.0002%硝酸、10mLの0.01%硝酸と0.2%硝酸)を滴下して加え、当該溶液をpH7にした。当該溶液を18時間、攪拌した。さらなる一酸化窒素(0.2%硝酸)を滴下して加え、当該溶液のpHを4にした。当該溶液をさらに4時間攪拌し、さらなる硝酸(6%硝酸)を滴下して加えて、溶液のpHを1にした。当該溶液をさらに1時間攪拌し、フィルタで濾過した。硝酸濃度を特定の濃度にすることで、pHの下降率を調節することができる。
【0116】
フィルタで濾過したナノワイヤ担持電気化学的触媒ナノ粒子を、脱イオン水で三回洗浄した後に脱イオン水に懸濁し、フィルタで濾過し、その後に再度洗浄した。ナノワイヤによって担持された電気化学的触媒ナノ粒子を120℃で一晩、真空状態で乾燥させ、その後、180℃にて空気中で5時間加熱した。
【0117】
上記の方法でナノワイヤによって担持されたPtRu電気化学的触媒ナノ粒子のロットをいくつか作製し、x線回折及びx線光電子分光法にて性質を決定し、触媒の表面特徴、とりわけルテニウムに対する酸素の原子比率を決定した。ナノワイヤによって担持されたPtRu電気化学的触媒ナノ粒子をそれから電極へと形成し、異なるロットの全体活性を測定した。
【0118】
これらの試験の結果を図2Aに示す。同図は、異なるロット毎に、0.5Vでの全活性(mA/mg)と、Ruに対する酸素の測定比率との関係を示している。図2Aに示すように、Ruに対する酸素の原子比率が、約3を超える(たとえば、約3.6を超える)ナノ粒子では、ナノ粒子の全体活性が著しく上昇し、それはRuに対する酸素の原子比率が約3未満のナノ粒子の活性に比べて、約2倍〜5倍を上回る数値である。
【0119】
PtRu/NWおよびPtRu/C01は、本発明の触媒粒子を担持したものである。PtRu/NWは担持体としてナノワイヤ(NW)を用いており、PtRu/C01は担持体としてケッチェンブラックEC(以降、「KB」と表記する)(登録商標)を用いている。その他の作製条件については、PtRu/NWとPtRu/C01とは同じである。PtRu/C02は、田中貴金属工業社製触媒(TEC66E50)である。下表において、PtRu/C03〜PtRu/C06はPtRu/C01とロットのみが異なり(作製条件は同じ)、PtRu/C07〜PtRu/C09はPtRu/C01と担持量のみが異なるロットである(作製条件は添加コロイド量を変えている)。PtRu/C10およびPtRu/C11はコロイド担持法を用いて作製された触媒である。これらのデータより、本発明の触媒(PtRu/NW、PtRu/C01およびPtRu/C03〜PtRu/C09)は、PtRu/C02、PtRu/C10およびPtRu/C11とはピーク位置が異なることが確認された。
【0120】
【表1】

【0121】
調製した触媒をマックサイエンス社製MXP18を使用して、40kV、40mAでX線源にCuKα(波長0.154nm)を用いて測定を行った。2θ=10〜80度の範囲でスキャン速度を2度/分、サンプリングピッチを0.02度にして、連続スキャン法による粉末X線回折測定を行った。データについては、X-ray Powder Research Software Systemを用いて、スムージング処理、バックグラウンド除去、Kα2除去、ピークサーチの4種を行った。
【0122】
相互接続されたナノワイヤネットワークに担持されたPtRu電気化学的触媒ナノ粒子のいくつかのロットの特徴を、炭素担持体に担持した市販のPtRu触媒とともに、以下の表2に示す。
【0123】
【表2】

【0124】
図4Aと4Bとに、表2の触媒の0.5Vでの電流値を示す。図4AはRu金属の比率、図4BはPt金属の比率として表されている。
【0125】
なお、X線光電子分光法(XPS)の測定条件は以下の通りである。
・ 励起X線:monochromatic Al Kα 1,2線(1486.6eV)
・ X線径:100μm
・ 光電子脱出角度:45°(試料表面に対する検出器の傾き)
・ 粉体試料の固定法:インジウム箔に粉体試料を押し付けて固定
・ 横軸補正:C1sメインピークを284.3eVにした。
【0126】
データ処理については以下の通りである。
・ スムージング:9-point smoothing
・ ルテニウムの定量には、Ru3p3/2ピークを使用した。白金の金属成分のPt4fは、高エネルギー側に裾を引く非対称な形状を示す。このため、Pt0成分については、非対称ピークを用いて分割を行った。非対称パラメータは、白金標準試料のPt4fピーク形状を参考にした。
【0127】
本発明の触媒は、X線回折分析結果により、結晶性が低いことが確認された。一般的に、結晶性が低い触媒は耐久性(安定性)に劣ると推測されるが、本発明の触媒は、従来の触媒と同等の耐久性(安定性)を有することが確認された。
【0128】
〔実施例2:適合するイオノマーを有するMEAを形成〕
本発明の担持された電気化学的触媒(例:PtRuナノワイヤ触媒)は、市販の炭素担持触媒(例:PtRuカーボンブラックまたはカーボンペーパー)に比べて明確な利点を有している。その利点としては、一次孔(primary pores)がないこと(例:20nm未満の細孔がないこと)、ナノワイヤ触媒の多孔性構造と使用されるイオノマーとのあいだで大きさが適合していること、浸炭ナノワイヤから電流を効率的に回収できることが挙げられる。
【0129】
イオノマー上のスルホン基の密度を増大させてイオノマーの側鎖を変化させることによって、イオノマー(例:ナフィオン)をナノワイヤによって担持された電気化学的触媒に適合させることができ、それによって、電解質イオノマーと接触している触媒の比率を上げることができる。例えば、平衡重量(equilibrant weight)(EW)が1000であるナフィオンイオノマー、あるいはより低いEW(例:850)を有し側鎖がより短いイオノマー(例:Hyflon)は、直接メタノール型燃料電池におけるナノワイヤ担持電気化学的触媒の性能を上げる。ナノワイヤによって担持された電気化学的触媒はナノワイヤ担持体上で一直線に並び、それによって触媒をナノワイヤ構造における大きな細孔に露出させ、それによって調節されたイオノマーが効率的に触媒に接触し、イオノマーと接触している触媒の比率を上げる。
【0130】
本発明のナノワイヤ結合電気化学的触媒を含む5cmのメタノール燃料電池の性能特徴をさまざまな方法で決定する。図5に、EW1000ナフィオンイオノマーを用いた燃料電池におけるナノワイヤに結合したPtRu触媒の電圧と出力密度(PD)とを示す。40℃で3Mメタノール溶液のDMFCにおいて2mg/cmの非常に低い充填率で28%のPtRu結合ナノワイヤ触媒を含む触媒の0.23VにおけるPDは、48mW/cmと計算された。
【0131】
図6は、Pt触媒及びPtRu触媒とナノワイヤ密度の比率とを異ならせた本発明の4種類のナノワイヤ結合触媒のそれぞれについての、電流密度と電位対DHEとの関係を示すアノード分極化の結果である。32%PtRu/NW触媒はPtRu/C触媒よりもより高い性能を示した。これは32%PtRu/NWの充填率が2mg/cmで52%PtRu/C(2.4mg/cmまたは3mg/cm)よりも低いためである。図6において使用されるMEAは、次のものを含む。52%PtRu/C(TKK)−アノード/26%Pt/NW−カソード,2.4mg/cm,EW1100イオノマー、52%PtRu/C(TKK)−アノード/40%Pt/NW−カソード,3mg/cm,EW1100、32%PtRu/NW−アノード/46%Pt/C(TKK)−カソードEW1000,2mg/cm、28%PtRu/NW−アノード/46%Pt/C(TKK)−カソード,EW1100,0.5mg/cm
【0132】
図7に示すのは、Pt及びPtRuのナノワイヤ結合触媒に対する電流密度の関数としての、電圧と出力密度とを比較(性能に対するEW1000ナフィオンの影響を含む)したものである。図7において使用されるMEAは、次のものを含む。52%PtRu/C(TKK)−アノード/26%Pt/NW−カソード,2.4mg/cm,EW1100イオノマー、52%PtRu/C(TKK)−アノード/40%Pt/NW−カソード,2mg/cm,EW1100、32%PtRu/NW−アノード/46%Pt/C(TKK)−カソードEW1000,2mg/cm。同じアノードPtRu/C触媒が使用された場合、40%Pt/NWカソードは26%Pt/NWカソード触媒よりも高い性能を示した。46%Pt/Cカソードが使用された場合、32%PtRu/NWアノードは、PtRu/Cアノードと同様のDMFC性能を与えた。PtRu/NWアノード層におけるイオノマー(EW1000)は触媒においても良好な性能を示した。この図における結果は、Pt/NWカソード触媒が有望な結果を示したことを示している。
【0133】
図8は、本発明の濃度を異ならせた2種類のPt触媒結合ナノワイヤのカソード分極化を、Pt炭素結合触媒(TKK)(田中貴金属工業社製の触媒)と比較しながら示している。0.3A/cmの電流密度で0.71Vの電圧となった。これは、40%Pt/NW及び26%Pt/NWカソード触媒の両方が、水素‐空気燃料電池条件下で、従来のPt/C触媒と同様の性能を示す直接的な証拠を提示するものである。
【0134】
図9は、PtRuカーボン担持触媒(TKK)におけるアノード電位とPtRu金属重量毎の総電流(mA/mg−PtRu)の関係を、本発明の4種類のPtRuナノワイヤ担持アノード触媒と比較しながら示している。EW1000のナフィオンをカーボン担持触媒並びにナノワイヤ担持触媒(それぞれ0.45mg/cm、2mg/cmの充填率)に使用した。上記ナノワイヤ担持PtRu触媒は、同じイオノマーEW1000のカーボン担持触媒よりもはるかに良好な全体活性を示した。EW1100、EW1000のナフィオン、EW850のHyflonをナノワイヤ担持PtRu触媒に使用し比較を行った。PtRu/NW触媒に関してEW850>EW1000>EW1100という性能における明確な傾向が観察された。PtRuナノワイヤ担持電気化学的触媒の金属の含有量は30%だった。3mol/Lのメタノールをアノードに水素をカソードに供給し40℃でアノードの分極性能を評価した。その結果を表3に示す。
【0135】
【表3】

【0136】
以上、本発明の実施形態の様々な例を提示した。本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。これらの実施例を本明細書で提示したのは説明のためであり、限定のためではない。本明細書に含まれる教示内容に基づけば、代替の実施形態(本明細書で記載された内容の同等物、延長案、変形、逸脱等)は当業者には明らかであろう。そのような代替案も、本発明の範囲と精神に含まれる。
【0137】
本明細書で言及したすべての刊行物、特許、特許出願は本発明が属する技術分野における当業者の技術レベルを示しており、それらは参照によって本明細書に援用され、それは、個々の刊行物、特許、特許出願が参照によって援用されると具体的かつ個別に示された場合と同等の効果を有する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一つまたは複数の金属を含む電気化学的触媒ナノ粒子であって、当該ナノ粒子における金属の一つに対する酸素の原子比率が3よりも大きく6以下であることを特徴とする電気化学的触媒ナノ粒子。
【請求項2】
ナノ粒子のサイズが、約1nm〜約10nmであることを特徴とする請求項1に記載の電気化学的触媒ナノ粒子。
【請求項3】
ナノ粒子における金属の一つに対する酸素の原子比率が、約3.6〜約5であることを特徴とする請求項1に記載の電気化学的触媒ナノ粒子。
【請求項4】
ナノ粒子における金属の一つに対する酸素の原子比率が、約3.6〜約4であることを特徴とする請求項1に記載の電気化学的触媒ナノ粒子。
【請求項5】
ナノ粒子における金属の一つに対する酸素の原子比率が、約3.6であることを特徴とする請求項1に記載の電気化学的触媒ナノ粒子。
【請求項6】
上記金属はPt、Au、Pd、Ru、Re、Rh、Os、Ir、Fe、Co、Ni、Cu、Ag、V、Cr、Mo、W及びそれらの合金または混合物の一つまたは複数を含むことを特徴とする請求項1に記載の電気化学的触媒ナノ粒子。
【請求項7】
上記ナノ粒子がPtRuを含むことを特徴とする請求項1に記載の電気化学的触媒ナノ粒子。
【請求項8】
Ruに対する酸素の比率が約3.6〜約6であることを特徴とする請求項7に記載の電気化学的触媒ナノ粒子。
【請求項9】
Ruに対する酸素の比率が約3.6〜約5であることを特徴とする請求項7に記載の電気化学的触媒ナノ粒子。
【請求項10】
Ruに対する酸素の比率が約3.6〜約4であることを特徴とする請求項7に記載の電気化学的触媒ナノ粒子。
【請求項11】
Ruに対する酸素の比率が約3.6であることを特徴とする請求項7に記載の電気化学的触媒ナノ粒子。
【請求項12】
金属ルテニウムの比率が約30%未満であり、金属白金の比率が約70%〜約87%であり、上記ナノ粒子が窒素を含んでいることを特徴とする請求項7に記載の電気化学的触媒ナノ粒子。
【請求項13】
金属ルテニウムの比率が約20%未満であることを特徴とする請求項12に記載の電気化学的触媒ナノ粒子。
【請求項14】
金属ルテニウムの比率が約10%未満であることを特徴とする請求項12に記載の電気化学的触媒ナノ粒子。
【請求項15】
金属ルテニウムの比率が約2%未満であることを特徴とする請求項12に記載の電気化学的触媒ナノ粒子。
【請求項16】
上記PtRuナノ粒子は、2θ=30〜44度の範囲内での最大ピークのピーク位置が33.0度以上、37.0度未満の範囲内であることを特徴とする請求項7に記載の電気化学的触媒ナノ粒子。
【請求項17】
上記PtRuナノ粒子の結晶サイズが3nm以下であることを特徴とする請求項7に記載の電気化学的触媒ナノ粒子。
【請求項18】
ナノ粒子におけるRuに対する酸素の原子比率が3よりも大きく6以下であり、金属ルテニウムの比率が約30%未満であり、金属白金の比率が、約70%〜約87%であることを特徴とするPtRu電気化学的触媒ナノ粒子。
【請求項19】
ナノ粒子におけるRuに対する酸素の原子比率が約3.6〜約4であり、金属ルテニウムの比率が約2%未満であり、金属白金の比率が約70%〜約87%であり、当該ナノ粒子が窒素を含んでいることを特徴とする請求項18に記載のPtRu電気化学的触媒ナノ粒子。
【請求項20】
上記PtRuナノ粒子は、2θ=30〜44度の範囲内での最大ピークのピーク位置が33.0度以上、37.0度未満の範囲内であることを特徴とする請求項19に記載のPtRu電気化学的触媒ナノ粒子。
【請求項21】
上記PtRuナノ粒子の結晶サイズが3nm以下であることを特徴とする請求項19に記載のPtRu電気化学的触媒ナノ粒子。
【請求項22】
一つまたは複数の金属を含むナノ粒子を含み、当該ナノ粒子における金属の一つに対する酸素の原子比率が3よりも大きく6以下であることを特徴とするナノワイヤ担持電気化学的触媒。
【請求項23】
上記ナノ粒子のサイズが約1nm〜約10nmであることを特徴とする請求項22に記載のナノワイヤ担持電気化学的触媒。
【請求項24】
上記ナノ粒子における金属の一つに対する酸素の原子比率が約3.6〜約5であることを特徴とする請求項22に記載のナノワイヤ担持電気化学的触媒。
【請求項25】
上記ナノ粒子における金属の一つに対する酸素の原子比率が約3.6〜約4であることを特徴とする請求項22に記載のナノワイヤ担持電気化学的触媒。
【請求項26】
上記ナノ粒子における金属の一つに対する酸素の原子比率が約3.6であることを特徴とする請求項22に記載のナノワイヤ担持電気化学的触媒。
【請求項27】
上記金属はPt、Au、Pd、Ru、Re、Rh、Os、Ir、Fe、Co、Ni、Cu、Ag、V、Cr、Mo、W及びそれらの合金または混合物の一つまたは複数を含むことを特徴とする請求項22に記載のナノワイヤ担持電気化学的触媒。
【請求項28】
上記ナノ粒子はPtRuを含むことを特徴とする請求項22に記載のナノワイヤ担持電気化学的触媒。
【請求項29】
Ruに対する酸素の比率が約3.6〜約6であることを特徴とする請求項28に記載のナノワイヤ担持電気化学的触媒。
【請求項30】
Ruに対する酸素の比率が約3.6〜約5であることを特徴とする請求項28に記載のナノワイヤ担持電気化学的触媒。
【請求項31】
Ruに対する酸素の比率が約3.6〜約4であることを特徴とする請求項28に記載のナノワイヤ担持電気化学的触媒。
【請求項32】
Ruに対する酸素の比率が約3.6であることを特徴とする請求項28に記載のナノワイヤ担持電気化学的触媒。
【請求項33】
金属ルテニウムの比率が約30%未満であり、金属白金の比率が約70%〜約87%であり、上記ナノ粒子が窒素を含むことを特徴とする請求項28に記載のナノワイヤ担持電気化学的触媒。
【請求項34】
金属ルテニウムの比率が約20%未満であることを特徴とする請求項33に記載のナノワイヤ担持電気化学的触媒。
【請求項35】
金属ルテニウムの比率が約10%未満であることを特徴とする請求項33に記載のナノワイヤ担持電気化学的触媒。
【請求項36】
金属ルテニウムの比率が約2%未満であることを特徴とする請求項33に記載のナノワイヤ担持電気化学的触媒。
【請求項37】
上記PtRuナノ粒子は、2θ=30〜44度の範囲内での最大ピークのピーク位置が33.0度以上、37.0度未満の範囲内であることを特徴とする請求項28に記載のナノワイヤ担持電気化学的触媒。
【請求項38】
上記PtRuナノ粒子の結晶サイズが3nm以下であることを特徴とする請求項28に記載のナノワイヤ担持電気化学的触媒。
【請求項39】
上記ナノワイヤがRuO、SiC、GaN、TiO、SnO、WC、MoC、ZrC、WN、および、MoN(xは正の整数)のナノワイヤからなる群から選ばれることを特徴とする請求項22に記載のナノワイヤ担持電気化学的触媒。
【請求項40】
PtRuナノ粒子を含み、当該ナノ粒子におけるRuに対する酸素の原子比率が3よりも大きく6以下であり、金属ルテニウムの比率が約30%未満であり、金属白金の比率が約70%〜約90%であることを特徴とするナノワイヤ担持電気化学的触媒。
【請求項41】
上記ナノ粒子におけるRuに対する酸素の原子比率が約3.6〜約4であり、金属ルテニウムの比率が約2%未満であり、金属白金の比率が約70%〜約87%であり、上記ナノ粒子が窒素を含むことを特徴とする請求項40に記載のナノワイヤ担持電気化学的触媒。
【請求項42】
上記ナノワイヤがRuO、SiC、GaN、TiO、SnO、WC、MoC、ZrC、WN、および、MoN(xは正の整数)のナノワイヤからなる群から選ばれることを特徴とする請求項40に記載のナノワイヤ担持電気化学的触媒。
【請求項43】
上記PtRuナノ粒子は、2θ=30〜44度の範囲内での最大ピークのピーク位置が33.0度以上、37.0度未満の範囲内であることを特徴とする請求項40に記載のナノワイヤ担持電気化学的触媒。
【請求項44】
上記PtRuナノ粒子の結晶サイズが3nm以下であることを特徴とする請求項40に記載のナノワイヤ担持電気化学的触媒。
【請求項45】
一つまたは複数の金属を含む電気化学的触媒ナノ粒子を含み、当該ナノ粒子における金属の一つに対する酸素の原子比率が3よりも大きく6以下であることを特徴とする膜電極接合体。
【請求項46】
上記ナノ粒子のサイズが約1nm〜約10nmであることを特徴とする請求項45に記載の膜電極接合体。
【請求項47】
上記ナノ粒子における金属の一つに対する酸素の原子比率が約3.6〜約5であることを特徴とする請求項45に記載の膜電極接合体。
【請求項48】
上記ナノ粒子における金属の一つに対する酸素の原子比率が約3.6〜約4であることを特徴とする請求項45に記載の膜電極接合体。
【請求項49】
上記ナノ粒子における金属の一つに対する酸素の原子比率が約3.6であることを特徴とする請求項45に記載の膜電極接合体。
【請求項50】
上記金属はPt、Au、Pd、Ru、Re、Rh、Os、Ir、Fe、Co、Ni、Cu、Ag、V、Cr、Mo、W及びそれらの合金または混合物の一つまたは複数を含むことを特徴とする請求項45に記載の膜電極接合体。
【請求項51】
上記ナノ粒子がPtRuを含むことを特徴とする請求項45に記載の膜電極接合体。
【請求項52】
Ruに対する酸素の比率が約3.6〜約6であることを特徴とする請求項51に記載の膜電極接合体。
【請求項53】
Ruに対する酸素の比率が約3.6〜約5であることを特徴とする請求項51に記載の膜電極接合体。
【請求項54】
Ruに対する酸素の比率が約3.6〜約4であることを特徴とする請求項51に記載の膜電極接合体。
【請求項55】
Ruに対する酸素の比率が約3.6であることを特徴とする請求項51に記載の膜電極接合体。
【請求項56】
金属ルテニウムの比率が約30%未満であり、金属白金の比率が約70%〜約87%であり、上記ナノ粒子が窒素を含むことを特徴とする請求項51に記載の膜電極接合体。
【請求項57】
金属ルテニウムの比率が約20%未満であることを特徴とする請求項56に記載の膜電極接合体。
【請求項58】
金属ルテニウムの比率が約10%未満であることを特徴とする請求項56に記載の膜電極接合体。
【請求項59】
金属ルテニウムの比率が約2%未満であることを特徴とする請求項56に記載の膜電極接合体。
【請求項60】
上記PtRuナノ粒子は、2θ=30〜44度の範囲内での最大ピークのピーク位置が33.0度以上、37.0度未満の範囲内であることを特徴とする請求項51に記載の膜電極接合体。
【請求項61】
上記PtRuナノ粒子の結晶サイズが3nm以下であることを特徴とする請求項51に記載の膜電極接合体。
【請求項62】
PtRu電気化学的触媒ナノ粒子を含み、当該ナノ粒子におけるRuに対する酸素の原子比率が約3〜約6であり、金属ルテニウムの比率が約30%未満であり、金属白金の比率が約70%〜約90%であることを特徴とする膜電極接合体。
【請求項63】
上記ナノ粒子におけるRuに対する酸素の原子比率が約3.6〜約4であり、金属ルテニウムの比率が約10%未満であり、金属白金の比率が約70%〜約87%であり、上記ナノ粒子が窒素を含んでいることを特徴とする請求項62に記載の膜電極接合体。
【請求項64】
上記電気化学的触媒ナノ粒子がナノワイヤ担持電気化学的触媒ナノ粒子であることを特徴とする請求項62に記載の膜電極接合体。
【請求項65】
燃料電池の部品であることを特徴とする請求項62に記載の膜電極接合体。
【請求項66】
メタノール燃料電池、蟻酸燃料電池、エタノール燃料電池、水素燃料電池、またはエチレングリコール燃料電池の部品であることを特徴とする請求項65に記載の膜電極接合体。
【請求項67】
上記PtRuナノ粒子は、2θ=30〜44度の範囲内での最大ピークのピーク位置が33.0度以上、37.0度未満の範囲内であることを特徴とする請求項62に記載の膜電極接合体。
【請求項68】
上記PtRuナノ粒子の結晶サイズが3nm以下であることを特徴とする請求項51に記載の膜電極接合体。
【請求項69】
ナノ粒子におけるRuに対する酸素の原子比率が約3〜約6であり、金属ルテニウムの比率が約30%未満であり、金属白金の比率が約70%〜約90%であるナノワイヤ担持PtRu電気化学的触媒ナノ粒子を形成する方法であって、
(a)RuClxH0、エチレングリコール、HPtClxH0、NaOHを組み合わせてPtRuコロイド溶液を作る工程と、
(b)工程(a)で作られた溶液をナノワイヤの懸濁液に加えてナノワイヤPtRuコロイド溶液を作る工程と、
(c)上記ナノワイヤPtRuコロイド溶液のpHを下げる工程と、
(d)上記ナノワイヤ担持PtRu電気化学的触媒ナノ粒子を回収する工程と、を含む方法。
【請求項70】
上記加える工程は、工程(a)で作られた溶液を炭素含有ナノワイヤの懸濁液に加える工程を含むことを特徴とする請求項69に記載の方法。
【請求項71】
上記pHを下げる工程は、約24時間のあいだに、硝酸を用いて、上記pHを11へ、その後pHを7へ、その後pHを4へ、その後pHを1へ下げる工程を含むことを特徴とする請求項69に記載の方法。
【請求項72】
上記回収する工程は、上記ナノワイヤ担持PtRu電気化学的触媒ナノ粒子をフィルタで濾過して洗浄する工程を含むことを特徴とする請求項69に記載の方法。
【請求項73】
上記回収工程の後、上記ナノワイヤ担持PtRu電気化学的触媒ナノ粒子を約180℃に、約5時間加熱する工程をさらに含むことを特徴とする請求項69に記載の方法。
【請求項74】
燃料電池の膜電極接合体用の触媒担持体であって、架橋されたカーボンパウダーを含み、当該パウダーはその上に少なくとも一つの金属触媒が堆積されている触媒担持体。
【請求項75】
上記触媒金属はPt、Au、Pd、Ru、Re、Rh、Os、Ir、Fe、Co、Ni、Cu、Ag、V、Cr、Mo、W及びそれらの合金または混合物の一つまたは複数を含むことを特徴とする請求項74に記載の触媒担持体。
【請求項76】
上記触媒金属は、直径が約10nm未満または約5nm未満のナノ粒子を含むことを特徴とする請求項74に記載の触媒担持体。
【請求項77】
上記架橋されたカーボンパウダーは、グラフェンシートで架橋されていることを特徴とする請求項74に記載の触媒担持体。
【請求項78】
上記カーボンパウダーと接するプロトン伝導性ポリマーをさらに含むことを特徴とする請求項74に記載の触媒担持体。
【請求項79】
上記膜電極接合体は、直接メタノール型燃料電池(DMFC)の部品であることを特徴とする請求項74に記載の触媒担持体。
【請求項80】
上記触媒金属は、PtRuを含むナノ粒子を含むことを特徴とする請求項74に記載の触媒担持体。
【請求項81】
上記ナノ粒子におけるRuに対する酸素の原子比率が、約3.6〜約6であることを特徴とする請求項80に記載の触媒担持体。
【請求項82】
Ruに対する酸素の原子比率が、約3.6〜約5であることを特徴とする請求項81に記載の触媒担持体。
【請求項83】
Ruに対する酸素の原子比率が、約3.6〜約4であることを特徴とする請求項81に記載の触媒担持体。
【請求項84】
Ruに対する酸素の原子比率が、約3.6であることを特徴とする請求項81に記載の触媒担持体。
【請求項85】
金属ルテニウムの比率が約30%未満であり、金属白金の比率が約70%〜約87%であり、上記ナノ粒子が窒素を含んでいることを特徴とする請求項80に記載の触媒担持体。
【請求項86】
金属ルテニウムの比率が約20%未満であることを特徴とする請求項85に記載の触媒担持体。
【請求項87】
金属ルテニウムの比率が約10%未満であることを特徴とする請求項85に記載の触媒担持体。
【請求項88】
金属ルテニウムの比率が約2%未満であることを特徴とする請求項85に記載の触媒担持体。
【請求項89】
上記PtRuナノ粒子は、2θ=30〜44度の範囲内での最大ピークのピーク位置が33.0度以上、37.0度未満の範囲内であることを特徴とする請求項80に記載の触媒担持体。
【請求項90】
上記PtRuナノ粒子の結晶サイズが3nm以下であることを特徴とする請求項80に記載の触媒担持体。
【請求項91】
燃料電池の膜電極接合体用の触媒担持体であって、無機ナノワイヤのネットワークとカーボンパウダーとの複合物を含み、当該ナノワイヤはその上に少なくとも一つの金属触媒が堆積されていることを特徴とする触媒担持体。
【請求項92】
上記触媒金属はPt、Au、Pd、Ru、Re、Rh、Os、Ir、Fe、Co、Ni、Cu、Ag、V、Cr、Mo、W及びそれらの合金または混合物の一つまたは複数を含むことを特徴とする請求項91に記載の触媒担持体。
【請求項93】
上記触媒金属は、直径が約10nm未満または約5nm未満のナノ粒子を含むことを特徴とする請求項91に記載の触媒担持体。
【請求項94】
上記ナノワイヤはRuO、SiC、GaN、TiO、SnO、WC、MoC、ZrC、WN、及び、MoNのナノワイヤを含む群から選ばれることを特徴とする請求項91に記載の触媒担持体。
【請求項95】
上記ナノ粒子と接するプロトン伝導性ポリマーをさらに含むことを特徴とする請求項91に記載の触媒担持体。
【請求項96】
上記膜電極接合体は、直接メタノール型燃料電池(DMFC)の部品であることを特徴とする請求項91に記載の触媒担持体。
【請求項97】
上記触媒金属はPtRuを含むナノ粒子を含むことを特徴とする請求項91に記載の触媒担持体。
【請求項98】
上記ナノ粒子におけるRuに対する酸素の原子比率が、約3.6〜約6であることを特徴とする請求項97に記載の触媒担持体。
【請求項99】
Ruに対する酸素の原子比率が、約3.6〜約5であることを特徴とする請求項98に記載の触媒担持体。
【請求項100】
Ruに対する酸素の原子比率が、約3.6〜約4であることを特徴とする請求項98に記載の触媒担持体。
【請求項101】
Ruに対する酸素の原子比率が、約3.6であることを特徴とする請求項98に記載の触媒担持体。
【請求項102】
金属ルテニウムの比率が約30%未満であり、金属白金の比率が約70%〜約87%であり、上記ナノ粒子が窒素を含んでいることを特徴とする請求項97に記載の触媒担持体。
【請求項103】
金属ルテニウムの比率が約20%未満であることを特徴とする請求項102に記載の触媒担持体。
【請求項104】
金属ルテニウムの比率が約10%未満であることを特徴とする請求項102に記載の触媒担持体。
【請求項105】
金属ルテニウムの比率が約2%未満であることを特徴とする請求項102に記載の触媒担持体。
【請求項106】
上記PtRuナノ粒子は、2θ=30〜44度の範囲内での最大ピークのピーク位置が33.0度以上、37.0度未満の範囲内であることを特徴とする請求項97に記載の触媒担持体。
【請求項107】
上記PtRuナノ粒子の結晶サイズが3nm以下であることを特徴とする請求項97に記載の触媒担持体。
【請求項108】
燃料電池の膜電極接合体用の触媒担持体であって、カーボンブラックを含み、当該カーボンブラックはその上に少なくとも一つの金属触媒が堆積されていることを特徴とする触媒担持体。
【請求項109】
上記触媒金属はPt、Au、Pd、Ru、Re、 Rh、Os、Ir、Fe、Co、Ni、Cu、Ag、V、Cr、Mo、W及びそれらの合金または混合物の一つまたは複数を含むことを特徴とする請求項108に記載の触媒担持体。
【請求項110】
上記触媒金属は直径が約10nm未満または約5nm未満のナノ粒子を含むことを特徴とする請求項108に記載の触媒担持体。
【請求項111】
上記カーボンブラックと接するプロトン伝導性ポリマーをさらに含むことを特徴とする請求項108に記載の触媒担持体。
【請求項112】
上記膜電極接合体は、直接メタノール型燃料電池(DMFC)の部品であることを特徴とする請求項108に記載の触媒担持体。
【請求項113】
上記触媒金属はPtRuを含むナノ粒子を含むことを特徴とする請求項108に記載の触媒担持体。
【請求項114】
上記ナノ粒子におけるRuに対する酸素の原子比率が、約3.6〜約6であることを特徴とする請求項113に記載の触媒担持体。
【請求項115】
Ruに対する酸素の原子比率が約3.6〜約5であることを特徴とする請求項114に記載の触媒担持体。
【請求項116】
Ruに対する酸素の原子比率が、約3.6〜約4であることを特徴とする請求項114に記載の触媒担持体。
【請求項117】
Ruに対する酸素の原子比率が約3.6であることを特徴とする請求項114に記載の触媒担持体。
【請求項118】
金属ルテニウムの比率が約30%未満であり、金属白金の比率が約70%〜約87%であり、上記ナノ粒子が窒素を含んでいることを特徴とする請求項113に記載の触媒担持体。
【請求項119】
金属ルテニウムの比率が約20%未満であることを特徴とする請求項118に記載の触媒担持体。
【請求項120】
金属ルテニウムの比率が約10%未満であることを特徴とする請求項118に記載の触媒担持体。
【請求項121】
金属ルテニウムの比率が約2%未満であることを特徴とする請求項118に記載の触媒担持体。
【請求項122】
上記PtRuナノ粒子は、2θ=30〜44度の範囲内での最大ピークのピーク位置が33.0度以上、37.0度未満の範囲内であることを特徴とする請求項113に記載の触媒担持体。
【請求項123】
上記PtRuナノ粒子の結晶サイズが3nm以下であることを特徴とする請求項113に記載の触媒担持体。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2012−507120(P2012−507120A)
【公表日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−533335(P2011−533335)
【出願日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際出願番号】PCT/US2009/061686
【国際公開番号】WO2010/048407
【国際公開日】平成22年4月29日(2010.4.29)
【出願人】(505082822)ナノシス・インク. (32)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】