説明

燃料電池用電解質膜とその製造方法、膜電極接合体、及び燃料電池

【課題】高分子フィルムに重合性の酸を含浸させて得られる電解質膜を備える燃料電池において、電解質膜外への酸成分の溶出を抑制するとともに、十分な強度を有する電解質膜を提供する。
【解決手段】重合可能な二重結合を有する表面処理剤で表面処理された無機粒子を含有するポリマーフィルムに重合性酸モノマーを含浸させた後、この重合性酸モノマーを重合させることで、十分な強度を有する電解質膜を得る電解質膜とその製造方法、

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高温、無加湿でも作動可能な燃料電池用の電解質膜とその製造方法、膜電極接合体、及び燃料電池に関する。
【背景技術】
【0002】
高分子フィルムとリン酸から成る膜は、150℃以上の高温、無加湿で作動する燃料電池の電解質膜として利用できることが知られている。ところが、リン酸は、液体の酸であるために電池運転中に電解質膜から膜外へ溶出し、電池性能の低下や周辺機材の腐食を引き起こす可能性が指摘されている。この欠点を解消するため、リン酸の代わりに重合性の酸モノマーであるビニルホスホン酸やビニルスルホン酸を高分子フィルムに含浸させた後にこれらのモノマーを重合し、膜外への酸成分溶出を抑制する方法が知られている(例えば、特許文献1および特許文献2を参照)。また、重合性の酸モノマー成分に少量の架橋剤を添加することで、酸の溶出はさらに低減される。
【0003】
ただし、この方法には、得られる電解質膜の強度が十分でないという、問題がある。とりわけ、上記方法で得られる電解質膜は、高温下で圧縮されると薄膜化しやすいといった性質を持つ。この性質は、電池運転中に電解質膜に穴が開いて、電池性能の急激な低下を引き起こす原因となりやすい。
【0004】
この問題を解決するためには、高分子フィルムを補強する公知の方法を適用することが考えられる。高分子フィルムの補強方法としては、繊維を含有させる、無機粒子を添加する、といった方法が一般に知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2005−527073号公報
【特許文献2】特表2005−527075号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1および特許文献2のように、高分子フィルムに重合性の酸を含浸させて電解質膜を得る方法においては、繊維を含有させる、無機粒子を添加する、といった公知の補強方法を適用すると、独自の問題が発生する。すなわち、繊維を含有させる補強方法を用いると、高分子フィルムに重合性の酸を含浸させる工程で、フィルムに皺が発生しやすいという問題が発生する。また、無機粒子を添加する補強方法を用いると、この方法を単に適用するだけでは、高分子フィルムを作製する際、無機粒子が凝集して均一なキャスト液(高分子を溶剤に溶解させたもの)が得られず、その結果として強度のあるフィルムが得られない、という問題が発生しやすい。
【0007】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、高分子フィルムに重合性の酸を含浸させて得られる燃料電池用電解質膜とその製造方法、この電解質膜を備える膜電極接合体および燃料電池において、電解質膜外への酸成分の溶出を抑制するとともに、十分な強度を有する電解質膜を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、重合可能な二重結合を有する表面処理剤で表面処理された無機粒子を含有するポリマーフィルムに重合性酸モノマーを含浸させた後、この重合性酸モノマーを重合させることにより、電解質膜外への酸成分の溶出を抑制できるとともに、十分な強度を有する電解質膜が得られることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明のある観点によれば、重合可能な二重結合を有する表面処理剤で表面処理された無機粒子を含有するポリマーフィルムに、重合性酸モノマーを含浸させた後、前記重合性酸モノマーを重合させて得られる、燃料電池用電解質膜が提供される。
【0010】
ここで、前記燃料電池用電解質膜において、前記前記無機粒子が、前記ポリマーフィルム中に1質量%以上50質量%以下含有されることが好ましい。
【0011】
また、前記燃料電池用電解質膜において、前記ポリマーフィルムが、下記一般式(I)で表されるポリマーからなるフィルムであることが好ましい。
【0012】
【化1】

・・・(I)
【0013】
前記一般式(I)で、R1〜R6は、水素原子、アルキル基、アリル基、スルホン酸基、水酸基、ニトロ基、アミノ基のうちのいずれか1種以上の置換基であり、nは10〜10000である。
【0014】
また、前記燃料電池用電解質膜において、前記重合性酸モノマーが、ビニルホスホン酸であることが好ましい。
【0015】
また、前記燃料電池用電解質膜において、前記表面処理剤が、メタクリルシラン、ビニルシラン及びアクリルシランからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
【0016】
また、前記燃料電池用電解質膜において、前記重合性酸モノマーとともに架橋剤が含浸されてもよい。
【0017】
また、本発明の別の観点によれば、ポリマーを含有する溶液中に、重合可能な二重結合を有する表面処理剤で表面処理された無機粒子を添加し、塗布液を調製する塗布液調製工程と、前記塗布液を基材上に塗布し、前記無機粒子を含有するポリマーフィルムを成膜する成膜工程と、前記ポリマーフィルムを、重合性酸モノマーを含有する溶液中に浸漬させ、前記ポリマーフィルムに前記重合性酸モノマーを含浸させる酸含浸工程と、前記重合性酸モノマーを重合反応させる重合工程と、を含む、燃料電池用電解質膜の製造方法が提供される。
【0018】
ここで、燃料電池用電解質膜の製造方法において、前記前記無機粒子を、前記ポリマーフィルムと前記無機粒子の合計量100質量部に対して、1質量部以上50質量部以下添加することが好ましい。
【0019】
また、燃料電池用電解質膜の製造方法において、前記ポリマーフィルムが、下記一般式(I)で表されるポリマーからなるフィルムであることが好ましい。
【0020】
【化2】

・・・(I)
【0021】
前記一般式(I)で、R1〜R6は、水素原子、アルキル基、アリル基、スルホン酸基、水酸基、ニトロ基、アミノ基のうちのいずれか1種以上の置換基であり、nは10〜10000である。
【0022】
また、燃料電池用電解質膜の製造方法において、前記重合性酸モノマーが、ビニルホスホン酸であることが好ましい。
【0023】
また、燃料電池用電解質膜の製造方法において、前記表面処理剤が、メタクリルシラン、ビニルシラン及びアクリルシランからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
【0024】
また、燃料電池用電解質膜の製造方法において、前記重合性酸モノマーを含有する溶液が、架橋剤を含有していてもよい。
【0025】
また、本発明のさらに別の観点によれば、酸素極と、燃料極と、前記酸素極と前記燃料極との間に位置する、上述した燃料電池用電解質膜と、を備える、膜電極接合体が提供される。
【0026】
また、本発明のさらに別の観点によれば、上記膜電極接合体を備える、燃料電池が提供される。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、高分子フィルムに重合性の酸を含浸させて得られる燃料電池用電解質膜とその製造方法、この電解質膜を備える膜電極接合体および燃料電池において、重合可能な二重結合を有する表面処理剤で表面処理された無機粒子を含有するポリマーフィルムに重合性酸モノマーを含浸させた後、この重合性酸モノマーを重合させることにより、電解質膜外への酸成分の溶出を抑制するとともに、十分な強度を有する電解質膜を得ることが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下に、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。
【0029】
(1.燃料電池の構成)
初めに、本発明の好適な実施形態に係る燃料電池の構成について説明する。本実施形態に係る燃料電池は、膜電極接合体がセパレータにより挟持された構造を有しており、150℃以上の高温かつ無加湿条件においても作動可能な電池である。本実施形態に係る膜電極接合体は、燃料極と、酸素極と、燃料極と酸素極との間に挟まれた電解質膜とからなっている。以下、膜電極接合体の各構成要素について詳細に説明する。
【0030】
(1.1.燃料極)
燃料極は、燃料電池のアノードとして機能する電極であって、電極触媒を含む触媒層とガス拡散層とからなる。より詳細には、燃料極では、外部から燃料極の拡散層を経て水素ガスが供給され、以下の電極反応が進行する。燃料極における電極触媒としては、通常、白金または白金ルテニウム触媒が使用され、この触媒がカーボンブラック等の炭素系担体に担持されている。
→ 2H + 2e
【0031】
上記電極反応により発生したプロトンは、電解質膜を通って酸素極に移動する。一方、電子は外部回路を通って酸素極に到達する。この電流が外部に電力として取り出される。
【0032】
(1.2.酸素極)
酸素極(空気極ともいう。)は、燃料電池のカソードとして機能する電極であって、電極触媒を含む触媒層とガス拡散層とからなる。より詳細には、酸素極では、以下の電極反応が進行する。燃料極における電極触媒としては、通常、白金触媒が使用され、この触媒がカーボンブラック等の炭素系担体に担持されている。
1/2O + 2H +2e → H
【0033】
酸素極では、上記反応により、外部回路を経て到達した電子と、電解質膜中を移動してきたプロトンと、外部から酸素極の拡散層を経て導入された分子が触媒上で反応して水が生成する。
【0034】
(1.3.電解質膜)
電解質膜は、燃料(水素ガス)と酸化剤(空気中の酸素ガス)が混ざり合わないように隔離するとともに、燃料極で生成されるプロトンを酸素極まで移送する機能を有する。本実施形態では、電解質膜として、膜外への酸成分の溶出を抑制するために、ポリマーフィルムに、液体酸であるリン酸の代わりに、重合性の酸モノマーを含浸させた電解質膜を使用している。また、膜の強度を向上させるために、重合可能な二重結合を有する表面処理剤で表面処理された無機粒子を、電解質膜を構成するポリマーフィルムに含有させている。以下、本実施形態に係る電解質膜の構成について詳細に説明する。
【0035】
(1.3.1.ポリマーフィルム)
本実施形態に係る電解質膜のマトリックスをなすポリマーフィルムとは、ポリマーが均質な状態、または、多孔性を有した状態で、膜状あるいはフィルム状になっているものを指す。このようなポリマーフィルムを形成するポリマーの構成成分としては、高温、無加湿の状態で使用可能なポリマーフィルムであれば特に限定はされないが、例えば、ポリベンズイミダゾール類、ポリ(ピリジン類)、ポリ(ピリミジン類)、ポリイミダゾール類、ポリベンゾチアゾール類、ポリベンゾオキサゾール類、ポリオキサジアゾール類、ポリキノリン類、ポリキノキサリン類、ポリチアジアゾール類、ポリ(テトラザピレン類)、ポリオキサゾール類、ポリチアゾール類、ポリビニルピリジン類及びポリビニルイミダゾール類、等からなる群より選択されるポリマーを使用できる。これらのポリマーは、単独で用いられてもよく、または、複数種を混合して用いられてもよい。具体的には、ポリマーフィルムの構成成分として、ポリベンズイミダゾール(以下、PBIと略す。)、ポリイミダゾール、ポリベンズチアゾール、ポリベンゾオキサゾール、ポリトリアゾール、ポリオキサジアゾール、ポリチアジアゾール、ポリピラゾール、ポリキノキサリン、ポリ(ピリジン)、ポリ(ピリミジン)及びポリ(テトラザピレン)、等が好ましいポリマーである。
【0036】
特に、前記ポリマーの構成成分は、下記一般式(I)の構造単位を含んでいることが好ましく、このような構造単位を含むことによって、耐熱性に優れるとともに、重合性酸モノマーを多量に含浸させることが可能な電解質膜を得ることができる。これにより、本実施形態に係る燃料電池を高温で作動させることができ、さらに、重合性酸モノマーを多量に含浸させることにより、プロトン伝導性を高めることができる。
【0037】
【化3】

・・・(I)
【0038】
前記一般式(I)で、R1〜R6は、水素原子、アルキル基、アリル基、スルホン酸基、水酸基、ニトロ基、アミノ基のうちのいずれか1種以上の置換基であり、nは10〜10000である。
【0039】
(1.3.2.表面処理された無機粒子)
本実施形態に係る電解質膜は、上述したポリマーフィルム中に、重合可能な二重結合を有する表面処理剤で表面処理された無機粒子を含有する。このように、表面処理された無機粒子をポリマーフィルム中に含有させることで、表面処理しない無機粒子を含有させる場合に比べて、ポリマーフィルムを形成する際の塗布液(ポリマーフィルムを構成するポリマーを溶剤に溶かした溶液:キャスト液)中の無機粒子の分散性が良好となり、均一なポリマーフィルムが得やすくなる。また、後述するように、重合性酸モノマーをポリマーフィルムに含浸させた後、重合性酸モノマーの二重結合を重合反応させる際、重合性酸モノマーの二重結合は、無機粒子の表面にある二重結合とも結合を形成することにより、ポリマーフィルムの膜強度を向上させることができる。
【0040】
<無機粒子>
本実施形態に係るポリマーフィルム中に含有させる無機粒子としては、上記表面処理剤により表面に二重結合を形成可能なものであれば特に限定はされないが、例えば、シリカ粒子、アルミナ粒子、酸化チタン粒子、金属単体で構成される粒子、金属の合金粒子、等が挙げられる。特に、表面処理剤による表面処理後の安定性の観点から、無機粒子としてシリカ粒子を使用することが好適である。
【0041】
<表面処理剤>
「重合可能な二重結合を有する表面処理剤」とは、後述する重合性酸モノマーの二重結合を形成可能な二重結合を有する表面処理剤である。このような表面処理剤としては、例えば、メタクリルシラン、ビニルシラン及びアクリルシランからなる群より選択される少なくとも1種を使用することが好ましい。これらの表面処理剤を使用することにより、表面処理剤を仲立ちとして後述する重合性酸モノマーと無機粒子の間に化学結合を形成させることができ、ポリマーフィルムの膜強度を向上させ、また、重合性酸モノマーの膜からの溶出を抑制することができる。
【0042】
<表面処理された無機粒子の含有量>
上記表面処理剤により表面処理された無機粒子のポリマーフィルム中の含有量(重合性酸モノマーを含浸していない状態での配合比率)は、1質量%以上50質量%以下であることが好ましく、10質量%以上30質量%以下とすることがさらに好ましい。表面処理された無機粒子の含有量が1質量%よりも小さいと、上述した膜強度の向上効果が十分でなく、表面処理された無機粒子の含有量が50質量%よりも大きいと、電解質膜のプロトン伝導度が低下するおそれがある。
【0043】
(1.3.3.重合性酸モノマー)
本実施形態における「重合性酸モノマー」とは、その構造中に、炭素間二重結合、炭素間三重結合、窒素炭素間二重結合、エポキシ環、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、アルデヒド基、等の付加重合反応や縮合反応によって原子間で結合を生成する機能を有する官能基を有し、かつ、ホスホン酸基、スルホン酸基、リン酸基、カルボン酸基、水酸基、等の水素原子をプロトンとして解離する能力を有する官能基を有すモノマーを指す。本実施形態において、重合性酸モノマーとして好適なものは、ビニルホスホン酸、ビニルスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等であり、これらのモノマーを単独で、または、混合して用いることができる。特に、重合性酸モノマーとしてビニルホスホン酸を使用することが好ましい。ビニルホスホン酸は、耐熱性に優れ、また、ビニル基の重合性も高いため、電解質膜の性能をコントロールしやすいという利点がある。
【0044】
(1.3.4.架橋剤)
本実施形態において、表面処理された無機粒子を含有するポリマーフィルムに重合性酸モノマーを含浸させた後に重合性酸モノマーを重合させて得られる電解質膜は、架橋剤をポリマーフィルムに含浸させることにより、架橋構造を有することが好ましい。このような構造をとることによって、得られる電解質膜の耐熱性を向上させることができる。この場合の「架橋構造を有する」とは、重合性酸モノマーを重合させて得られるポリマーの構造中に、架橋剤に由来する構造を含むことを意味する。すなわち、「架橋構造を有する」状態において、重合性酸モノマーの二重結合と架橋剤の二重結合とが重合しており、このとき、架橋剤が2つ以上の二重結合を有する場合には、例えば、重合性酸モノマーが重合して得られたポリマー鎖が2本ある場合には、「架橋構造を有する」状態では、2本のポリマー鎖の間を架橋剤が橋かけしている状態となっている。ここで、架橋剤としては、重合可能な二重結合をその構造中に2つ以上含む化合物であることが好ましい。このような架橋剤の具体例としては、ポリエチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、N’,N−メチレンビスアクリルアミド、エチレンジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、アリルメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、グリセリンジメタクリレート、ジウレタンジメタクリレート、トリメチルプロパントリメタクリレート、エバクリルのようなエポキシアクリレート、カルビノール、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン、ジビニルベンゼン、ビスフェノールAジメチルアクリレート、ジビニルスルホン、ジエチレングリコールジビニルエーテル等が挙げられる。なお、これらの化合物は単独で、または、複数種を混合して用いることができる。
【0045】
(1.3.5.電解質膜中のその他の成分)
本実施形態における電解質膜中には、プロトン伝導を補助するために、上述した成分以外の他の成分が含まれていてもよい。このような他の成分としては、例えば、可塑剤、ポリエーテルなどがある。これらの具体例としては、プロトン伝導性を有するもので、一般に公知なものなら特に限定はされないが、例えば、可塑剤としてはフタル酸ジオクチル等、ポリエーテルとしてはポリエチレングリコール等が挙げられる。
【0046】
(1.3.6.重合処理後に得られる電解質膜)
本実施形態に係る電解質膜は、上記表面処理された無機粒子を含有するポリマーフィルムに重合性酸モノマーを含浸させた後に、この重合性酸モノマーを重合させて得られる膜である。すなわち、本実施形態に係る電解質膜は、上述した重合性酸モノマーが重合可能な官能基を利用して重合して得られた、プロトン解離性を有する酸性基を有するポリマーが、表面処理された無機粒子を含有するポリマーフィルム中に共存している状態を指す。より詳しくは、ポリマーフィルムを構成するポリマーのポリマー鎖の間隙に、重合性酸モノマーが重合して得られるポリマーが存在している状態を指す。また、別の形態として、ポリマーフィルムが多孔質である場合には、重合性酸モノマーが重合して得られるポリマーが、多孔質のポリマーフィルムの空孔部分に充填されている状態を指す。
【0047】
なお、重合性酸モノマーが重合して得られるポリマーは、例えば、重合性酸モノマーがビニルホスホン酸である場合には、ポリビニルホスホン酸であり、重合性酸モノマーが2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸である場合には、ポリ−2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸である。また、重合性酸モノマーとして複数種のモノマーを混合して用いる場合、得られるポリマーはこれらモノマーの共重合ポリマーとなる。
【0048】
(2.燃料電池の製造方法)
以上、本実施形態に係る燃料電池の構成について詳細に説明したが、続いて、上述した構成を有する本実施形態に係る燃料電池の製造方法について、詳細に説明する。本実施形態に係る燃料電池は、まず、燃料極、酸素極及び電解質膜を作製し、これらを用いて膜電極接合体を作製した後に、この膜電極接合体を用いて製造することができる。以下、各工程について順を追って説明する。
【0049】
(2.1.電極の作製)
燃料極(アノード)及び酸素極(カソード)は、燃料電池が作動する際に供給されるガスに接する電極層であり、公知の技術によって得られるものを使用することができる。
【0050】
(2.2.電解質膜の作製)
本実施形態に係る電解質膜は、以下に説明するように、塗布液調製工程と、成膜工程と、酸含浸工程と、重合工程とを経て作製される。
【0051】
(2.2.1.塗布液調製工程)
塗布液調製工程は、ポリマーを含有する溶液中に、重合可能な二重結合を有する表面処理剤で表面処理された無機粒子を添加し、塗布液(キャスト液)を調製する工程である。
【0052】
<無機粒子の表面処理>
まず、上述したシリカ粒子等の無機粒子の表面を、メタクリルシラン、ビニルシラン及びアクリルシラン等のシランカップリング剤を用いてシランカップリング処理等により表面処理し、表面に重合可能な二重結合を有する無機粒子を作製する。無機粒子の表面処理方法としては、無機粒子と表面処理剤を含んだ溶液を混合した後、無機粒子を取り出して乾燥させる方法、等が用いられる。表面処理された無機粒子としては、市販されているものを使用してもよい。
【0053】
<キャスト液の作製>
次に、上述したポリマーフィルムを形成するためのポリマー(例えば、PBI等)を溶剤に溶解させた溶液を作製し、この溶液に、上記のようにして得られた表面処理された無機粒子を添加し、スターラ等で撹拌して均一な溶液とすることにより、ポリマーフィルムを形成するための塗布液(キャスト液)を作製する。均一な溶液となっているかどうかは、作成されたキャスト液がほぼ透明な外観を有している場合には、均一な溶液になっていると判断することができる。このキャスト液に用いる溶剤としては、PBI等のポリマーとの溶解性等を考慮すると、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルプロピオアミド、2−ピロリジノン、N−メチルピロリドン等の有機溶剤を用いることが好ましい。
【0054】
なお、本実施形態に係る電解質膜の製造に用いるキャスト液中には、必要に応じて、添加剤として、溶液の粘度調整用の水または溶剤を添加してもよい。
【0055】
(2.2.2.成膜工程)
成膜工程は、上述のようにして作製したキャスト液を、ガラス基板等の基材上に塗布し、表面処理された無機粒子を含有するポリマーフィルムを成膜する工程である。具体的には、キャスト液を基材上に展開し、隙間を調整したアプリケータで展開したキャスト液の厚みを調整する、等の公知の方法により塗布した後に、キャスト液中の溶剤を蒸発させることによい、基材上にポリマーフィルムを成膜する。乾燥温度は、40℃〜100℃程度とすればよく、乾燥方法としては、ヒータ等の公知の方法を用いることができる。
【0056】
(2.2.3.酸含浸工程)
酸含浸工程は、上記成膜工程で作製されたポリマーフィルムを、重合性酸モノマーを含有する溶液中に浸漬させ、ポリマーフィルムに重合性酸モノマーを含浸させる工程である。ポリマーフィルムに、重合性酸モノマーを含む溶液を含浸させる方法としては、ポリマーフィルムを、重合性酸モノマーを含む溶液に浸漬すれば良い。より短い時間で酸含浸工程を終了させるためには、重合性酸モノマーを含む溶液を40℃〜90℃の範囲に加熱し、加熱した溶液中で、ポリマーフィルムに重合性酸モノマーを含浸させる方法が有効である。
【0057】
ここで、本実施形態では、重合性酸モノマーを含む溶液中に、必要に応じて架橋剤を添加してもよい。架橋剤を添加することにより、形成された電解質膜の耐熱性等を向上させることができる。架橋剤の具体例については上述したとおりである。また、重合性酸モノマーを含む溶液への架橋剤の添加量としては、形成された電解質膜の耐熱性向上等の観点から、重合性酸モノマー100質量%に対し、0.1質量%以上50質量%以下の範囲が好ましく、1質量%以上30質量%以下の範囲がより好ましい。
【0058】
(2.2.4.重合工程)
重合工程は、酸含浸工程でポリマーフィルムに含浸させた重合性酸モノマー中の重合可能な置換基を重合反応させて、この重合性酸モノマーを重合させる工程である。本実施形態では、ポリマーフィルム中に表面に重合可能な二重結合を有する無機粒子が含有されているため、重合性酸モノマー中の重合可能な置換基は、無機粒子表面の二重結合とも反応して、膜強度を向上させることができる。また、重合性酸モノマーの溶液中に架橋剤が含有されている場合には、重合性酸モノマー中の重合可能な置換基は、架橋剤とも反応して、膜の耐熱性を向上させることができる。
【0059】
重合性酸モノマーの重合方法としては、重合開始剤を用いて熱を加えて重合(熱重合)させる方法、紫外線を照射して重合させる方法、プラズマを照射して重合させる方法、電離性放射線(例えば、α線,β線,陽子線,電子線,中性子線等の粒子線や、γ線,X線等の電磁放射線)を照射して重合させる方法などを用いることができる。熱重合では、重合開始剤を含む重合性酸モノマー溶液を含浸させたポリマーフィルムをオーブン等で加熱する。加熱温度、加熱時間等の加熱条件は、得られる電解質膜の特性を見ながら調整することが可能である。このとき、重合開始剤として、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩基酸、アゾビスイソブチルニトリル等を前記溶液に添加する。紫外線による重合では、前記溶液を含浸させたポリマーフィルムに紫外線を照射する。プラズマによる重合では、前記溶液を含浸させたポリマーフィルムにプラズマを照射する。電離性放射線による重合では、前記溶液を含浸させたポリマーフィルムに電離性放射線を照射する。紫外線による重合、プラズマによる重合、電離性放射線による重合において、紫外線、プラズマ、電離性放射線の強度、照射時間等の照射条件は、得られる電解質膜の特性を見ながら調整することが可能である。
【0060】
ここで、本実施形態における重合性酸モノマーの重合方法としては、上述した各種の方法のうちで、電離性放射線を利用する重合方法、特に、電子線を利用する重合方法が好ましい。このように、電離性放射線(特に、電子線)を照射して重合すると、他の方法により重合する場合と比べ、電解質膜の製造における重合性酸モノマーの重合に要する時間を従来よりも大幅に短縮することができる。また、電離性放射線による重合方法の場合には、重合開始剤を用いる必要がないので、重合開始剤の偏在による重合班の発生や、脱泡や製品化した後に重合開始剤が残留していることによる悪影響などを抑制することができる。
【0061】
(2.3.膜電極接合体の作製)
次に、以上のようにして作製された各電極及び電解質膜を用いて、膜電極接合体を作製する。膜電極接合体を作成する方法としては、電解質膜を燃料極と酸素極に狭持させれば良い。具体的には、例えば、固体高分子型燃料電池(PEFC)の場合には、上述のようにして得た電解質膜の両側を電極としての触媒層で挟み、さらにガス拡散層を設け、これらを一体化して膜電極接合体を作製する。また、電極と電解質膜との密着性を高める目的で、膜電極接合体の膜面方向に圧力がかかる状態でプレスすることも推奨される。
【0062】
(2.4.燃料電池の作製)
さらに、本実施形態に係る燃料電池は、上述のようにして得た膜電極接合体を用いて、公知の方法により製造することができる。すなわち、上述のようにして得られた膜電極接合体の両側を金属セパレータ等のセパレータで挟み、単位セルを構成し、この単位セルを複数並べることにより、燃料電池スタックを製造することができる。
【実施例】
【0063】
次に、実施例を用いて本発明を更に具体的に説明するが、本発明が、下記の実施例のみに限定されるものではない。
【0064】
(実施例1)
ポリベンズイミダゾール(以下、PBIと略す)の10質量%ジメチルアセトアミド(以下、DMACと略す)溶液を調製し、表面をメタクリルシランで処理した平均粒径15nmのシリカ粒子(アドマテック社製SX008−DFA)のDMAC溶液をPBI100質量部に対してシリカ粒子の質量が10質量部となるよう添加し、30分間スターラで撹拌してキャスト液とした。このキャスト液をガラス基板上にキャスト(塗布)し、このガラスを60℃のヒータ上にのせ、溶剤を蒸発させて、厚み80μmのシリカ粒子含有PBIフィルムを得た。
【0065】
次いで、ビニルホスホン酸(東京化成製、以下、VPAと略す。)100質量部に水20質量部を加えたドープ液(重合性酸モノマー含浸用の溶液)を作製し、2×2センチ角に切断したシリカ粒子含有PBIフィルムを80℃で3時間浸漬させた後、ドープ液に重合開始剤(和光純薬製、商品名「V50」)を0.03質量部添加して、フィルムをさらに1時間浸漬させた。
【0066】
その後、フィルムをドープ液から引き上げ、過剰に付着しているドープ液を除去し、100℃、真空で18時間熱処理を行って、フィルム中に含まれる化学種の二重結合を重合させて電解質膜とした。
【0067】
(実施例2)
キャスト液中のシリカ粒子の質量比をPBI100質量部に対して30質量部とした以外は、実施例1と同様に電解質膜を作製した。
【0068】
(比較例1)
キャスト液に添加するシリカ粒子をメタクリルシランで表面処理していないシリカ粒子(日本アエロジル製、アエロジル300)とした以外は、実施例1と同様に電解質膜を作製した。
【0069】
(比較例2)
キャスト液中にシリカ粒子を添加せずにPBIフィルムを作製した以外は、実施例1と同様に電解質膜を作製した。ただし、この際、ドープ液には、架橋剤として、ポリエチレングリコールジメタクリレート(Aldrich社製)をVPA100質量部に対して3質量部添加した。
【0070】
(比較例3)
ドープ液の中にポリエチレングリコールジメタクリレートを添加しなかった点以外は、比較例2と同様に電解質膜を作製した。
【0071】
(フィルムの強度確認)
ガラス基板にキャストしたフィルムを剥離させるときの状態、および得られたフィルムをハンドリングした状態から判定した。フィルムを剥離させる際にフィルムに破損なくキャストした状態のまま剥離させることができ、剥離したフィルムを90度以上に折り曲げたときフィルムに破損がない状態であれば良好と判断した。
【0072】
(電解質膜へのVPAドープ率の測定)
VPAの含浸処理により電解質膜へドープされたVPAの割合であるドープ率を、ドープ前のシリカ粒子含有PBIフィルムの質量をA、VPAがドープされた電解質膜の質量をBとして、以下の式(1)から算出した。
VPAドープ率(%)=(B−A)×100/A ・・・(1)
【0073】
(電解質膜のプロトン伝導度の測定)
上記のようにして得られた電解質膜を直径9mmに切り取り、外径13mm、内径9mmの円形のテフロン(登録商標)製のスペーサにはめ込んだ後、これを白金を電極とした伝導度測定用セルに組みこんだ。このセルを150℃で一昼夜保持した後、150℃、無加湿条件下で、交流インピーダンス法によりプロトン伝導度を測定した。
【0074】
(電解質膜の耐圧縮性の評価)
上記のようにして得られた電解質膜の突刺強度を、INSTRON製デジタル材料試験機55R−5867型を用いて、圧子先端をφ1mmのセラミック材とし、試験速度5mm/minの条件で測定し、電解質膜の耐圧縮性を評価した。
【0075】
VPAドープ率、プロトン伝導度及び耐圧縮性の評価結果を表1に示す。
【0076】
【表1】

【0077】
(膜中の酸成分の溶出性の評価)
また、上記のようにして得られた電解質膜を、およそ2cm四方に切り取り、ろ紙(キリヤマろ紙、No5−C)に挟み、180gの荷重を負荷した状態で、150℃、空気中で1.5時間処理した。処理前の電解質膜の質量X、処理後の電解質膜の質量Yをそれぞれ測定し、電解質膜のVPAドープ率をDとしたとき、Z=X×D/(100+D)から算出される電解質膜中の酸成分の質量Zを使って、以下の式(2)から膜中の酸成分溶出率を算出した。
酸成分溶出率(%)=(X−Y)×100/Z ・・・(2)
【0078】
膜中の酸成分の溶出性の評価の結果を表2に示す。
【0079】
【表2】

【0080】
表1に示すように、実施例1と比較例1の結果を比べると、キャスト後に得られるシリカ粒子含有PBIフィルムにおいて、表面をメタクリルシラン処理したシリカ粒子を用いれば十分な強度を有するフィルムが得られるのに対し、表面をメタクリルシラン処理しないシリカ粒子を用いた場合にはガラス板から剥離させる際に破損してしまうような強度の小さいフィルムしか得られないことがわかった。また、実施例1及び2と比較例2とを比べると、表面をメタクリルシランで処理したシリカ粒子を添加した電解質膜は、シリカ粒子を添加しない電解質膜よりもVPAドープ率が小さいにも関わらず、大きなプロトン伝導度を示し、かつ大きな突刺強度を示すことがわかった。
【0081】
また、表2に示すように、実施例2と比較例3の結果を比べると、表面をメタクリルシランで処理した電解質膜は、シリカ粒子を添加しない電解質膜よりも酸成分の溶出率が小さいことがわかった。この差異は、重合可能な二重結合を有する表面処理剤であるメタクリルシランで表面処理されたシリカ粒子と重合性酸モノマーであるビニルスルホン酸とが反応して結合を形成し、電解質膜からの酸成分の溶出を抑制している結果と判断することができる。
【0082】
以上、本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
重合可能な二重結合を有する表面処理剤で表面処理された無機粒子を含有するポリマーフィルムに、重合性酸モノマーを含浸させた後、前記重合性酸モノマーを重合させて得られる、燃料電池用電解質膜。
【請求項2】
前記無機粒子が、前記ポリマーフィルム中に1質量%以上50質量%以下含有される、請求項1に記載の燃料電池用電解質膜。
【請求項3】
前記ポリマーフィルムが、下記一般式(I)で表されるポリマーからなるフィルムである、請求項1または2に記載の燃料電池用電解質膜。
【化1】

・・・(I)
前記一般式(I)で、R1〜R6は、水素原子、アルキル基、アリル基、スルホン酸基、水酸基、ニトロ基、アミノ基のうちのいずれか1種以上の置換基であり、nは10〜10000である。
【請求項4】
前記重合性酸モノマーが、ビニルホスホン酸である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の燃料電池用電解質膜。
【請求項5】
前記表面処理剤が、メタクリルシラン、ビニルシラン及びアクリルシランからなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の燃料電池用電解質膜。
【請求項6】
前記重合性酸モノマーとともに架橋剤が含浸される、請求項1〜5のいずれか1項に記載の燃料電池用電解質膜。
【請求項7】
ポリマーを含有する溶液中に、重合可能な二重結合を有する表面処理剤で表面処理された無機粒子を添加し、塗布液を調製する塗布液調製工程と、
前記塗布液を基材上に塗布し、前記無機粒子を含有するポリマーフィルムを成膜する成膜工程と、
前記ポリマーフィルムを、重合性酸モノマーを含有する溶液中に浸漬させ、前記ポリマーフィルムに前記重合性酸モノマーを含浸させる酸含浸工程と、
前記重合性酸モノマーを重合反応させる重合工程と、
を含む、燃料電池用電解質膜の製造方法。
【請求項8】
前記無機粒子を、前記ポリマーフィルムと前記無機粒子の合計量100質量部に対して、1質量部以上50質量部以下添加する、請求項7に記載の燃料電池用電解質膜の製造方法。
【請求項9】
前記ポリマーフィルムが、下記一般式(I)で表されるポリマーからなるフィルムである、請求項7または8に記載の燃料電池用電解質膜の製造方法。
【化1】

・・・(I)
前記一般式(I)で、R1〜R6は、水素原子、アルキル基、アリル基、スルホン酸基、水酸基、ニトロ基、アミノ基のうちのいずれか1種以上の置換基であり、nは10〜10000である。
【請求項10】
前記重合性酸モノマーが、ビニルホスホン酸である、請求項7〜9のいずれか1項に記載の燃料電池用電解質膜。
【請求項11】
前記表面処理剤が、メタクリルシラン、ビニルシラン及びアクリルシランからなる群より選択される少なくとも1種である、請求項7〜10のいずれか1項に記載の燃料電池用電解質膜。
【請求項12】
前記重合性酸モノマーを含有する溶液が、架橋剤を含有する、請求項7〜11のいずれか1項に記載の燃料電池用電解質膜の製造方法。
【請求項13】
燃料極と、
酸素極と、
前記酸素極と前記燃料極との間に位置する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の燃料電池用電解質膜と、
を備える、膜電極接合体。
【請求項14】
請求項13に記載の膜電極接合体を備える、燃料電池。




【公開番号】特開2013−93260(P2013−93260A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−235703(P2011−235703)
【出願日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【出願人】(390019839)三星電子株式会社 (8,520)
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】129,Samsung−ro,Yeongtong−gu,Suwon−si,Gyeonggi−do,Republic of Korea
【Fターム(参考)】