説明

燃料電池発電装置

【課題】FCユニットと外部空間の間に遮蔽物があるような場所に設置しても、高い発電効率を維持できる燃料電池発電装置を提供することを目的としている。
【解決手段】原料ガスから燃料ガスを生成する燃料生成器と、酸化剤ガスを供給する酸化剤ガス供給部と、燃料ガスと酸化剤ガスとから電力を発生させるセルスタックとを有するFCユニット1と、FCユニット1で回収された熱を貯蔵する貯湯タンクを有する貯湯ユニット20と、FCユニット1と貯湯ユニット20の周囲を囲む遮蔽物と、を少なくとも有し、FCユニット1または貯湯ユニット20と遮蔽物とを接続するとともに、FCユニット1または貯湯ユニット20に供給または排気する気体を導くガイド部材を設けた燃料電池発電装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集合住宅のパイプシャフト(PS)や一般家庭、事業所などの敷地に設置する定置用コージェネレーションシステムに使用される燃料電池発電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、高効率で小規模発電が可能である燃料電池発電装置は、発電の際に発生する熱エネルギーを利用するためのシステム構築が容易であるため、高いエネルギー利用効率が可能な分散型の発電システムとして、開発が進められている。
【0003】
燃料電池発電装置では、発電運転の際、その発電部の本体として配設される燃料電池本体(以降、セルスタックと称する)に、燃料ガスと酸化剤ガスとが各々供給される。そして、セルスタックでは、その供給される燃料ガス中の水素と酸化剤ガス中の酸素とを用いて、所定の電気化学反応が進行する。この電気化学反応の進行により、水素および酸素が有する化学的なエネルギーが、電気的なエネルギーと熱的なエネルギーに変換される。電気的なエネルギーは発生する直流を交流に変換し、家庭などで電力として利用される。熱的なエネルギーは有効利用するために、貯湯タンクで湯などの形で貯え、家庭などで使用する湯などの熱として利用される。
【0004】
そこで、従来の燃料電池発電装置は、図10に示すように、セルスタックなどの発電をおこなう発電部を含む本体パッケージ100と、熱を湯として保持し、さらに湯がないときに湯沸かしをおこなう補助熱源を有する貯湯タンクを含む貯湯パッケージ110とを、別々に配置する例が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
また、セルスタックを含む燃料電池発電システムと補助熱源を含む貯湯システムとを、共通台板に備えて燃料電池コージェネレーションシステムを構成した例が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−111208号公報
【特許文献2】特開2005−32461号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記従来の特許文献1の燃料電池発電装置の構成では、本体パッケージ100と貯湯パッケージ110とを別々に配置するので、占有面積が大きくなるため、設置できる場所が制限されるという課題があった。
【0008】
また、特許文献2の燃料電池コージェネレーションシステムの構成によれば、現場での接続作業をなくすために、共通台板上に部品を固設し一体化することにより設置性を向上させるとともに、本体の設置面積を小さくできるとしている。しかし、上記構成では、排気の吹き出し方向が定まらず、排気の吹き出し面に排気の吹き出しを阻害する壁や物がある場合、燃料電池コージェネレーションシステムが排出した空気やガスを再び吸い込んでしまうために、発電効率が低下するという課題があった。さらに、周囲に十分な開放空間がないと燃料電池コージェネレーションシステムの配置が制限されるという課題もある。
【0009】
本発明は、上記従来の課題を解決するもので、排出した空気やガスなどを再び吸い込む
ことがなく高い発電効率を維持するとともに、外部空間の間に構造物がある場所でも容易に設置できる燃料電池発電装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記従来の課題を解決するために、本発明の燃料電池発電装置は、原料ガスから燃料ガスを生成する燃料生成器と、酸化剤ガスを供給する酸化剤ガス供給部と、燃料ガスと酸化剤ガスとから電力を発生させるセルスタックとを有するFCユニットと、FCユニットで回収された熱を貯蔵する貯湯タンクを有する貯湯ユニットと、FCユニットと貯湯ユニットの周囲を囲む遮蔽物と、を少なくとも有し、FCユニットまたは貯湯ユニットと遮蔽物とを接続するとともに、FCユニットまたは貯湯ユニットに供給または排気する気体を導くガイド部材を設ける。
【0011】
これにより、排出した空気やガスを再び吸い込むことがないため、高い発電効率を維持するとともに、外部空間の間に構造物があっても設置可能な燃料電池発電装置を実現できる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の燃料電池発電装置は、使用するまたは使用した空気などの気体が構造物を介して外部空間と連通するガイド部材を設けることにより、排出した空気やガスを再び吸い込むことがないため高い発電効率を維持できる。そして、周りに壁や扉などがある狭いところにも容易に燃料電池発電装置を設置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態1における燃料電池発電装置の外観を示す斜視図
【図2】本発明の実施の形態1における燃料電池発電装置の外装板を取り外した内部の主な部品の構成を示す斜視図
【図3】本発明の実施の形態1における燃料電池発電装置を燃料電池装置設置場に設置した状態を説明する模式見取り図
【図4】本発明の実施の形態2における燃料電池発電装置の外観を示す斜視図
【図5】本発明の実施の形態3における燃料電池発電装置の外観を示す斜視図
【図6】本発明の実施の形態3における燃料電池発電装置の外装板を取り外した内部の主な部品の構成を示す斜視図
【図7】本発明の実施の形態4における燃料電池発電装置の外観を示す斜視図
【図8】本発明の実施の形態5における燃料電池発電装置の外観を示す斜視図
【図9】本発明の実施の形態5における燃料電池発電装置の外装板を取り外した内部の主な部品の構成を示す斜視図
【図10】従来の燃料電池発電装置の構成を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0014】
第1の発明は、原料ガスから燃料ガスを生成する燃料生成器と、酸化剤ガスを供給する酸化剤ガス供給部と、燃料ガスと酸化剤ガスとから電力を発生させるセルスタックとを有するFCユニットと、FCユニットで回収された熱を貯蔵する貯湯タンクを有する貯湯ユニットと、FCユニットと貯湯ユニットの周囲を囲む遮蔽物と、を少なくとも有し、FCユニットまたは貯湯ユニットと遮蔽物とを接続するとともに、FCユニットまたは貯湯ユニットに供給または排気する気体を導くガイド部材を設ける燃料電池発電装置である。
【0015】
これにより、排出した空気やガスを再び吸い込むことがないため、高い発電効率を維持するとともに、外部空間との間に構造物があっても設置可能な燃料電池発電装置を実現できる。
【0016】
第2の発明は、第1の発明において、ガイド部材が、FCユニットの燃料生成器の排ガスまたは排空気を導く排ガス排空気ガイドである。これにより、発電に悪影響を及ぼす燃焼排ガスの吸い込みを排除して、外部の空気を供給することにより発電効率の低下を防止するとともに、狭い場所でも設置が可能な燃料電池発電装置を実現できる。
【0017】
第3の発明は、第1または第2の発明において、ガイド部材が、貯湯ユニットの排ガスを導く貯湯排ガスガイドである。これにより、補助熱源機で利用した後の酸素濃度の低い空気を外部の空間に排出できる。そのため、狭い空間の空気を補助熱源機に供給しても、安定的な燃焼を維持することができる。
【0018】
第4の発明は、第1から第3のいずれかの発明において、ガイド部材が、FCユニットのセルスタックで発電に用いた後の空気を導く排空気ガイドである。これにより、セルスタックで使用した後の酸素濃度の低い空気のFCユニットへの吸い込みを排除して、セルスタックの電圧の低下や、燃料生成器の燃焼不良による転化率の低下などを防止できる。その結果、発電効率の低下を抑制するとともに、狭い場所でも設置が可能な燃料電池発電装置を実現できる。
【0019】
第5の発明は、第1から第4のいずれかの発明において、ガイド部材が、FCユニットの内部を換気する空気を導く換気ガイドである。これにより、外部の空気をFCユニット内部に供給できるため、換気が不十分な空気の吸い込みによる温度むらに起因する発電低下を未然に防止できる。
【0020】
第6の発明は、第1から第5のいずれかの発明において、ガイド部材が、FCユニットの燃焼に利用する空気を導く燃焼空気ガイドである。これにより、セルスタックで使用した後の酸素濃度の低い空気のFCユニットへの吸い込みを排除して、外部の空気をFCユニットに供給できる。その結果、安定的な燃焼による高い転化率を維持して、発電効率の低下を防止するとともに、狭い場所でも設置が可能な燃料電池発電装置を実現できる。
【0021】
第7の発明は、第1から第5のいずれかの発明において、ガイド部材が、セルスタックで発電時に使用する空気をFCユニットに導く空気ガイドである。これにより、発電に悪影響がある燃焼排ガスの吸い込みを排除して、外部の空気を供給することにより発電効率の低下を防止できる。
【0022】
第8の発明は、第3から第5のいずれかの発明において、ガイド部材が、排ガスと、セルスタックで発電時に用いた後の空気と、FCユニットの内部を換気した後の空気の、少なくとも2つを導く。これにより、複数のガイド部材を装着しにくい場所であっても、外部に燃焼排ガスやセルスタックで使用した後の空気やFCユニットを換気した空気を排出させることができる。その結果、発電効率の低下を防止するとともに、設置が容易で簡単な構造の燃料電池発電装置を実現できる。
【0023】
第9の発明は、第5から第7のいずれかの発明において、ガイド部材が、燃焼に利用する空気と、セルスタックで発電時に用いる空気と、FCユニットの内部を換気するための空気の、少なくとも2つを導く。これにより、複数のガイド部材を装着しにくい場所であっても、外部の空気を供給することができる。その結果、発電効率の低下を防止するとともに、設置が容易で簡単な構造の燃料電池発電装置を実現できる。
【0024】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、本実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0025】
(実施の形態1)
以下に、本発明の実施の形態1の燃料電池発電装置について、図1を用いて説明する。
【0026】
図1は、本発明の実施の形態1における燃料電池発電装置の外観を示す斜視図である。
【0027】
図1に示すように、燃料電池発電装置は、FC(燃料電池:Fuel Cell)ユニット1と、貯湯ユニット20とを少なくとも備え、FCユニット1のFP(改質器:Fuel Processor)排ガス排空気ガイド15と、貯湯ユニット20の貯湯排ガスガイド22を介して遮蔽物の一部を構成する、例えば扉61と接続されている。なお、遮蔽物としては、基本的に、図3で説明するように燃料電池発電システムの周囲を囲む壁や扉で構成されるが、以降では扉を遮蔽物の代表として説明する。
【0028】
ここで、FCユニット1は、扉61と対向する面に設けられた正面外装板2と、側面に設けられた左側面外装板3および右側面外装板と、背面に設けられた背面外装板と、天井に設けられた天井外装板6で内部が囲まれている。このとき、正面外装板2には、燃料電池発電装置の内部に空気を取り込む吸気口7と、燃料電池発電装置の換気を行った空気を排出する換気出口10と、改質反応のための燃焼を行ったFP排ガスと発電に使用した残りの排空気を導くガイド部材として、排ガス排空気ガイドであるFP排ガス排空気ガイド15とが設けられている。
【0029】
また、貯湯ユニット20には、扉61と対向する面に、貯湯ユニット20の内部に空気を取り込む貯湯吸気口21と、貯湯排ガス出口24から排出される燃焼に用いた後の排ガスを導くガイド部材として、貯湯排ガスガイド22が設けられている。
【0030】
そして、燃料電池発電装置で発生する熱は貯湯ユニット20に蓄えられる。
【0031】
また、燃料電池発電装置の正面に設置された扉61には、燃料電池発電装置と扉61間に空気の出入りを発生させる下部スリット62と上部スリット63が設けられている。さらに、FCユニット1のFP排ガス排空気ガイド15と接続されるFP排ガス排空気ガイド出口16と、貯湯ユニット20の貯湯排ガスガイド22に接続される貯湯排ガスガイド出口23が設けられている。
【0032】
以下に、本発明の実施の形態1の燃料電池発電装置について、図2を用いて説明する。
【0033】
図2は、本発明の実施の形態1における燃料電池発電装置の外装板を取り外した内部の主な部品の構成を示す斜視図である。
【0034】
図2に示すように、燃料電池発電装置の第1フレーム30の内部には、酸化剤ガス供給部31と、燃料生成器32と、セルスタック33と、冷却水タンク34と、浄化部36と、回路部37および補機部38とが第1フレーム30に直接または間接に取り付けられている。ここで、酸化剤ガス供給部31は空気などを供給し、燃料生成器32は都市ガスなどの原料ガスから水素を含む燃料ガスを生成する。また、セルスタック33は、酸化剤ガス供給部31から供給された酸素と、燃料生成器32から供給された水素から電力を発生する。冷却水タンク34は、少なくともセルスタック33で発生する熱を熱交換部40で回収して、それにより生じる冷却水を貯める。また、浄化部36は、空気、水および原料ガス中の不純物を取り除く。さらに、回路部37は、燃料電池発電装置の制御およびセルスタック33で発生する直流を交流に変換する。なお、補機部38は、FCユニットを動作させるためのポンプや弁などである。
【0035】
そして、FCユニットは、燃料生成器32と、酸化剤ガス供給部31と、セルスタック33と、これらを保持する第1フレーム30から少なくとも構成されている。
【0036】
また、図2に示すFC換気出口11は、換気ファン41によりFCユニットの内部の空気を外部に排出する排気口である。さらに、FP排ガス排空気出口12は、燃料生成器32の内部で燃焼した後の排ガスとセルスタック33から排出された空気を集めて、FCユニットの外部に排出する排気口である。
【0037】
そして、FCユニットで発生した熱は最終的に貯湯タンク51に湯として貯蔵され、貯湯タンク51に貯蔵された湯は混合弁52で、例えば市水と適切な温度に混合して調節された後、ユーザーに利用される。
【0038】
また、貯湯ユニット49は貯湯タンク51と混合弁52とから少なくとも構成され、本実施の形態では第2フレーム50により保持されている。そして、第2フレーム50には、必要に応じて補助熱源機53を設け、例えば貯湯タンク51に貯蔵された湯の温度が低い場合、補助熱源機53で加熱して、給湯などの湯として使用される。このとき、補助熱源機排気口55は補助熱源機53内部のバーナーが燃焼した際の排ガスを排出する排気口で、FP排ガス排空気出口12と同一の方向に向かって排気される。なお、本実施の形態では燃料電池発電装置の正面、例えば図1に示す扉側に向かって排気する。
【0039】
以下に、本発明の実施の形態における燃料電池発電装置の動作の概略について、図1と図2を参照しながら説明する。
【0040】
まず、燃料電池発電装置を動作させる場合、換気ファン41を作動して、吸気口7から空気を吸い込み、換気出口10から空気を排出する。
【0041】
つぎに、燃料電池発電装置の外部より、メタンやプロパンなどの炭化水素系の原料ガスを導入する。なお、本実施の形態では、都市ガスである13Aガスを使用した。
【0042】
そして、導入された原料ガスは、燃料生成器32の改質触媒と触媒反応として(化1)で示す化学反応を起こす。なお、本化学反応は吸熱反応であるために、反応中も熱を与える必要がある。このとき、(化1)に示す化学反応が発生すると、水素と二酸化炭素が生成される。さらに、生成された二酸化炭素は、(化2)に示す化学反応により一酸化炭素を発生する。
【0043】
つぎに、発生した一酸化炭素は、例えば変成触媒と(化3)に示すシフト化反応により、その濃度が低減される。さらに、例えば選択酸化触媒と(化4)に示す一酸化炭素選択酸化反応により、最終的に、例えば20ppm以下程度の微量になるまで一酸化炭素が除去される。
【0044】
【化1】

【0045】
【化2】

【0046】
【化3】

【0047】
【化4】

【0048】
つぎに、上記燃料生成器32の化学反応により、原料ガスから生成した水素、二酸化炭素と水蒸気、および微量な一酸化炭素を含む燃料ガスがセルスタック33に送られる。また、空気ブロワやコンプレッサーなどの酸化剤ガス供給部31から供給される空気は、浄化部36の空気浄化部分に送られるとともに、セルスタック33に送られる。なお、本実施の形態では酸化剤ガス供給部31から空気を浄化部36に送る例で説明したがこれに限られず、浄化部36を通った空気を酸化剤ガス供給部31よりセルスタック33に導いてもよい。
【0049】
これにより、セルスタック33は、送られてきた空気中の酸素と水素で(化5)に示す化学反応により水を生成するとともに、熱と電気を発生する。
【0050】
【化5】

【0051】
そして、セルスタック33で発生した電気は、回路部37で直流から交流に変換することにより、燃料電池発電装置外の外部機器などの電力として利用される。また、セルスタック33で発生した熱は、冷却水タンク34に保持されている冷却水がセルスタック33を通流することによりセルスタック33から持ち運ばれる。そして、熱を運ぶ冷却水が冷却水タンク34に再び戻って、循環する。このとき、循環する冷却水は、経路中に配置された熱交換部40で貯湯タンク51につながる水と熱交換されることにより、冷却水の温度がほぼ一定に保たれる。
【0052】
また、セルスタック33で消費されなかった燃料ガスはオフガスとして燃料生成器32のバーナーに供給され燃焼される。そして、燃焼により発生した熱は、燃料生成器32において、(化1)の吸熱反応で必要とされる熱として有効に利用される。
【0053】
なお、本実施の形態では、FCユニットで発生する熱のうち、セルスタック33で発生する熱のほか、セルスタック33で使用されず排出される空気と燃料生成器32のバーナーで発生したFP排ガスの熱も熱交換部によって回収し、冷却水の温度を上昇させることに使用される。また、本実施の形態ではFCユニットを動作させるポンプや熱交換部などの補機は補機部38に収納してあるが、FCユニットを構成する燃料生成器32やセルスタック33などに関係する各補機を個別に配置し、全体に分散して設けてもよい。
【0054】
また、FCユニットで発生した熱により加熱された冷却水と、熱交換部40で熱交換して温度が上昇した水は、貯湯タンク51に貯められる。
【0055】
そして、図示しないが、貯湯タンク51の底部から水が取り出され、貯湯側接続部の配管部分を通り、FC貯湯接続部材を介して、FC側接続部に水が流れ込み、熱交換部40
に導かれる。さらに、熱交換部40で温度が上昇した水は、FC側接続部から、FC貯湯接続部材を介して、貯湯側接続部に流れ込んだ後、貯湯タンク51の上部から水が戻される。つまり、貯湯タンク51の水は、底部から取り出されて加熱された後、再度上部に戻ることになるため、貯湯タンク51の水温は底部では低いが、上部は高温となるので、給湯などの湯として利用できる。
【0056】
なお、本実施の形態では、貯湯タンク51の上部には60℃以上の湯が溜まるように循環する水の量を調整しているが、40℃以上100℃未満であれば、任意に調整することができる。そのため、家庭などで燃料電池発電装置の湯を利用する場合には、貯湯タンク51の上部から温度の高い水(つまり湯)が混合弁52に流れ込むことになる。このとき、混合弁52は、ユーザーが要求した水の温度になるように、貯湯タンク51からの湯と、外部で接続されている水道配管などの水とを混合して、ユーザーが要求する温度に調整する。これにより、風呂や台所などのユーザーの要求した場所で要求した温度の水を利用できるようになる。
【0057】
しかし、燃料電池発電装置の動作開始時や貯湯タンク51に貯められている湯の量を超える量の需要が生じた場合には、貯湯タンク51の上部の水であってもユーザーの要求する温度の湯を供給できない場合がある。その場合には、混合弁52で外部の水を混合した後、補助熱源機53で加熱しユーザーの要求する温度にして利用される。
【0058】
なお、本実施の形態では、FCユニットと貯湯ユニットの水などの接続・輸送および電気信号の受け渡しをFC貯湯接続部材で行なう例で説明したが、これに限られない。例えば、水のFCユニットから貯湯ユニットへの流れ、貯湯ユニットからFCユニットへの水の流れおよびFCユニットと貯湯ユニットとの電気および信号の流れを別々の部品でおこなってもよい。
【0059】
以下に、本実施の形態のポイントである燃料電池発電装置と扉とを接続するガイド部材であるFP排ガス排空気ガイド15と貯湯排ガスガイド22の作用と効果について説明する。
【0060】
そこで、まず、燃料電池発電装置がFP排ガス排空気ガイド15と貯湯排ガスガイド22を備えていない場合に生じる現象について説明する。
【0061】
一般的に、室外環境に設置される燃料電池発電装置において、例えばFCユニット内には、様々なガスや微量物質が存在する。
【0062】
つまり、都市ガスなどの原料ガスや燃料生成器で作られる燃料ガス、またはセルスタック33での発電において空気を利用するため、発電に空気中の酸素を消費するので、セルスタック33から排出される排空気の酸素濃度が非常に少なくなる。
【0063】
また、改質反応に用いるために、セルスタック33から排出された燃料ガスを燃料生成器32のバーナーで燃焼させて熱を供給している。そのとき、燃焼した後の燃焼排ガスには、水分や二酸化炭素のほかに、窒素酸化物や硫黄酸化物などの微量成分が含まれている。そして、これらの微量成分は、セルスタック33に供給される空気に混入すると、セルスタック33での発電を生じる電気化学反応を阻害して発電効率を低下させる。
【0064】
また、燃焼排ガスが、燃料電池発電装置内を換気する空気に混入した場合は、燃料生成器32などに用いられる断熱材に水分が移動して、断熱性能を低下させる。その結果、所定の温度を維持するために、無駄なエネルギーが必要となり、発電や熱回収の効率低下を生じる。
【0065】
また、セルスタック33の発電に使用した後の排空気は酸素濃度が低いので、燃料生成器32の燃焼用空気に混入した場合、酸素不足により燃焼が維持できなくなる場合や不完全燃焼を発生させる場合がある。その結果、原料ガスから燃料ガスの生成に支障をきたし、発電効率や熱回収効率を低下させてしまう。
【0066】
また、排空気が換気のための空気に混入した場合、FCユニット内の酸素濃度が低くなるため、センサーなどの誤動作を発生させ、発電の中断などにより、発電効率や熱回収効率を低下させてしまう。
【0067】
そこで、ガイド部材として設けたFP排ガス排空気ガイド15と貯湯排ガスガイド22の作用と効果について、図3を用いて説明する。
【0068】
図3は、本発明の実施の形態における燃料電池発電装置を燃料電池装置設置場に設置した状態を説明する模式見取り図である。なお、図3は、燃料電池発電装置を燃料電池装置設置場に設置したときの上部から見た状態で示している。
【0069】
図3に示すように、燃料電池発電装置の前面は扉61を備え、両側面および背面は壁65で囲まれている。このとき、燃料電池発電装置設置場60の空気は、図1に示した扉61に設けられた下部スリット62と上部スリット63により換気が行われる。また、燃料電池発電装置には、原料ガスが原料ガス配管66から供給され、給排水が給排水菅67から行われる。さらに、FCユニットを換気する空気は、燃料電池発電装置の下部の周りの燃料電池発電装置設置場60から吸い込まれ、上部に排出される。
【0070】
そして、発電のために、セルスタック33で使用される空気は、燃料電池発電装置の下部の周りの燃料電池発電装置設置場60から吸い込まれ、FP排ガス排空気ガイド15によりFP排ガス排空気ガイド出口16から外部に排出される。また、燃料生成器32の燃焼に使用される空気も、燃料電池発電装置の下部の周りの燃料電池発電装置設置場60から吸い込まれ、FP排ガス排空気ガイド15によりFP排ガス排空気ガイド出口16から外部に排出される。
【0071】
つまり、FP排ガス排空気ガイド15がない場合、燃焼排ガスや排空気が、燃料電池発電装置設置場60の、壁65と扉61で囲まれた狭い空間に排出される。そのため、換気の空気、セルスタック33の発電用の空気や燃料生成器32の燃焼用の空気として、排出された燃焼排ガスや排空気が再び吸い込まれることがある。
【0072】
しかし、本実施の形態によれば、周りに構造物などが存在する狭い空間に燃料電池発電装置を配置しても、FP排ガス排空気ガイド15により、排空気や排ガスを外部の空間に確実に排出できる。その結果、燃焼排ガスや排空気が再びFCユニットに吸い込まれることを防止して、高い発電効率や熱回収効率を維持できる燃料電池発電装置を実現できる。
【0073】
(実施の形態2)
以下に、本発明の実施の形態2の燃料電池発電装置について、図4を用いて説明する。
【0074】
図4は、本発明の実施の形態2における燃料電池発電装置の外観を示す斜視図である。
【0075】
そして、本実施の形態の燃料電池発電装置は、FCユニット1と扉61の間で、FCユニット1のFC換気出口にガイド部材として、さらに換気ガイドであるFC換気出口ガイド68を設けた点で、実施の形態1とは異なる。他の構成や動作は実施の形態1と同じであるので、説明を書略する。
【0076】
つまり、図4に示すように、燃料電池発電装置は、FC(燃料電池:Fuel Cell)ユニット1と、貯湯ユニット20とを少なくとも備え、FCユニット1のFP(改質器:Fuel Processor)排ガス排空気ガイド15およびFC換気出口ガイド68と、貯湯ユニット20の貯湯排ガスガイド22を介して扉61と接続されている。
【0077】
また、燃料電池発電装置の正面に設置された扉61には、燃料電池発電装置と扉61間に空気の出入りを発生させる下部スリット62と上部スリット63が設けられている。さらに、FCユニット1のFP排ガス排空気ガイド15と接続されるFP排ガス排空気ガイド出口16およびFC換気出口ガイド68と接続されるFC換気出口ガイド出口69と、貯湯ユニット20の貯湯排ガスガイド22に接続される貯湯排ガスガイド出口23が設けられている。
【0078】
以下に、本実施の形態のポイントである燃料電池発電装置と扉とを接続するFC換気出口ガイド68の作用と効果について説明する。
【0079】
一般的に、FCユニットを換気する空気には、FCユニットに用いられる機器から発生する油などの微量成分や、継ぎ手などから漏れる原料ガスや燃料ガスが含まれている。そして、燃料電池発電装置の周囲に構造物などの遮蔽物(例えば扉など)がある狭い空間においては、空気の流れ(換気)が少ないので、燃料電池発電装置設置場に油などの微量成分や、継ぎ手などから漏れる原料ガスや燃料ガスが滞留する。
【0080】
つまり、FC換気出口ガイド68がない場合、微量成分、原料ガスや燃料ガスが、燃料電池発電装置と扉61などで囲まれた狭い空間に排出され、FC吸気口7や貯湯吸気口21から、再び吸い込まれることがある。そして、これらの微量成分、原料ガスや燃料ガスが、セルスタック33に供給される空気に混入すると、セルスタック33での発電を生じる電気化学反応を阻害して発電効率を低下させる。
【0081】
しかし、本実施の形態によれば、FC換気出口ガイド68に接続された扉61のFC換気出口ガイド出口69を介して、微量成分、原料ガスや燃料ガスを外部の空間に放出することができる。これにより、FCユニットを換気した空気が燃料電池置場に滞留することがなくなる。そして、燃料生成器32での燃焼用の空気や、セルスタック33の発電用の空気や、FCユニットの換気用の空気として取り入れられることがなくなる。その結果、狭い場所に設置してもセルスタック33の発電への悪影響を防止して、高い発電効率や熱回収効率を維持できる燃料電池発電装置を実現できる。
【0082】
(実施の形態3)
以下に、本発明の実施の形態3の燃料電池発電装置について、図5と図6を用いて説明する。
【0083】
図5は、本発明の実施の形態3における燃料電池発電装置の外観を示す斜視図である。図6は、本発明の実施の形態3における燃料電池発電装置の外装板を取り外した内部の主な部品の構成を示す斜視図である。
【0084】
そして、本実施の形態の燃料電池発電装置は、FCユニット1と扉61の間で、FCユニット1のFP燃焼空気入口70にガイド部材として、燃焼空気ガイドであるFP燃焼空気入口ガイド71を設けた点で、実施の形態1とは異なる。他の構成や動作は実施の形態1と同じであるので、説明を省略する。なお、実施の形態1では、FP燃焼空気入口はFCユニット1の内部(外装板で囲まれた領域)に設けられているため図示されていない。
【0085】
つまり、図5と図6に示すように、燃料電池発電装置は、FC(燃料電池:Fuel Cell)ユニット1と、貯湯ユニット20とを少なくとも備え、FCユニット1のFP(改質器:Fuel Processor)排ガス排空気ガイド15およびFP燃焼空気入口ガイド71と、貯湯ユニット20の貯湯排ガスガイド22を介して扉61と接続されている。
【0086】
また、燃料電池発電装置の正面に設置された扉61には、燃料電池発電装置と扉61間に空気の出入りを発生させる下部スリット62と上部スリット63が設けられている。さらに、FCユニット1のFP排ガス排空気ガイド15と接続されるFP排ガス排空気ガイド出口16およびFP燃焼空気入口ガイド71と接続されるFP燃焼空気入口ガイド入口72と、貯湯ユニット20の貯湯排ガスガイド22に接続される貯湯排ガスガイド出口23が設けられている。
【0087】
以下に、本実施の形態のポイントである燃料電池発電装置と扉とを接続するFP燃焼空気入口ガイド71の作用と効果について説明する。
【0088】
一般的に、燃料電池発電装置の周囲に構造物などの遮蔽物(例えば、扉や壁など)がある狭い空間においては、空気の流れ(換気)が少ないので、燃料電池発電装置設置場に油などの微量成分や、継ぎ手などから漏れる原料ガスや燃料ガスが滞留する。
【0089】
このとき、FP燃焼空気入口ガイド71がない場合、滞留した微量成分、原料ガスや燃料ガスが、FCユニット1のFP燃焼空気入口から、燃料生成器32の燃焼で使用する空気として、再び吸い込まれることがある。そして、これらの微量成分、原料ガスや燃料ガスが、燃料生成器32に供給される空気に混入すると、燃料生成器32の燃料ガスの生成効率などを低下させる。
【0090】
しかし、本実施の形態によれば、燃料生成器32の燃焼で使用する空気として、は、外部の空間からFP燃焼空気入口ガイド入口72、FP燃焼空気入口ガイド71を介して、図6に示すFP燃焼空気入口70によりFCユニットに取り入れることができる。これにより、燃料電池発電装置の周囲に構造物などの遮蔽物(例えば、扉や壁など)がある狭い空間において、通常の酸素と窒素以外の微量成分やガス成分を含む空気が燃料電池発電装置設置場60に滞留していても、それらを利用する必要がない。そのため、燃料生成器32での燃焼に影響を与えず、安定した燃焼を維持できる。また、空気中の酸素成分などが変動しないため、燃料生成器で余分に原料ガスや燃料ガスを消費することがないので、燃料生成器の効率を高めることができる。その結果、狭い場所に設置してもセルスタック33の発電や燃料生成器への悪影響を防止して、高い発電効率や熱回収効率を維持できる燃料電池発電装置を実現できる。
【0091】
なお、上記では、燃料生成器に空気を導く燃焼空気ガイドを例に説明したが、同様に、セルスタックの空気を導く空気ガイドを設けてもよい。これにより、セルスタックに安定した酸素濃度の空気を供給できる。その結果、セルスタックの発電効率を安定に維持することができる。
【0092】
(実施の形態4)
以下に、本発明の実施の形態4の燃料電池発電装置について、図7を用いて説明する。
【0093】
図7は、本発明の実施の形態4における燃料電池発電装置の外観を示す斜視図である。
【0094】
そして、本実施の形態の燃料電池発電装置は、FCユニット1と扉61の間で、FCユニット1のFC吸気口とFP燃焼空気入口をまとめたFC空気総入口ガイド74と、FC
排気出口とFP排ガス排空気出口をまとめたFC空気総出口ガイド77を、ガイド部材として設けた点で、実施の形態1とは異なる。他の構成や動作は実施の形態1と同じであるので、説明を書略する。
【0095】
つまり、図7に示すように、燃料電池発電装置は、FC(燃料電池:Fuel Cell)ユニット1と、貯湯ユニット20とを少なくとも備え、FCユニット1のFC空気総入口ガイド74およびFC空気総出口ガイド77と、貯湯ユニット20の貯湯排ガスガイド22を介して扉61と接続されている。
【0096】
また、燃料電池発電装置の正面に設置された扉61には、燃料電池発電装置と扉61間に空気の出入りを発生させる下部スリット62と上部スリット63が設けられている。さらに、FCユニット1のFC空気総入口ガイド74と接続されるFC空気総入口ガイド入口75およびFC空気総出口ガイド77と接続されるFC空気総出口ガイド出口78と、貯湯ユニット20の貯湯排ガスガイド22に接続される貯湯排ガスガイド出口23が設けられている。
【0097】
以下に、本実施の形態のポイントである燃料電池発電装置と扉とを接続するFC空気総入口ガイド入口75およびFC空気総出口ガイド77の作用と効果について説明する。
【0098】
まず、FCユニットで使用する全ての空気は、外部空間よりFC空気総入口ガイド入口75から吸い込まれ、FC空気総入口ガイド74を介して、FC空気総入口73からFCユニットに供給される。
【0099】
そして、FCユニットの内部で、燃料生成器32の燃焼に使用する空気と、セルスタック33で発電に用いる空気と、FCユニットの換気に用いる空気とに分配して供給される。
【0100】
その後、燃料生成器32の燃焼に使用された後の空気と、セルスタック33で発電に用いられた後の空気と、FCユニットの換気に用いられた後の空気は集められ、FC空気総出口76から、FC空気総出口ガイド77を介して、FC空気総出口ガイド出口78より外部に放出される。
【0101】
これにより、燃料電池発電装置の周囲に構造物などの遮蔽物(例えば、扉や壁など)で囲まれた狭い空間である燃料電池発電装置設置場の内部の空気を全く使用しない。そのため、燃料電池発電装置設置場60に、微量物質などの、発電や燃焼に悪影響がある成分を含む空気が存在しても、それらの空気を利用しないので、燃料電池発電装置の発電や燃焼には一切影響することがない。
【0102】
また、燃料電池発電装置の各部に外部空間から空気を取り入れる入口と排出する出口を、1つのFC空気総入口73と1つのFC空気総出口ガイド77に集約することにより、燃料電池発電装置の設置工事などを簡略化できる。
【0103】
つまり、本実施の形態によれば、狭い場所に容易に設置できるとともに、セルスタックの発電や燃料生成器への悪影響を防止して、高い発電効率や熱回収効率を維持できる燃料電池発電装置を実現できる。
【0104】
(実施の形態5)
以下に、本発明の実施の形態5の燃料電池発電装置について、図8と図9を用いて説明する。
【0105】
図8は、本発明の実施の形態5における燃料電池発電装置の外観を示す斜視図である。図9は、本発明の実施の形態5における燃料電池発電装置の外装板を取り外した内部の主な部品の構成を示す斜視図である。
【0106】
そして、本実施の形態の燃料電池発電装置は、FCユニット1と扉61の間で、FC空気総入口ガイドと貯湯吸気口をまとめた全空気入口ガイド80と、FC空気総出口ガイドと貯湯排ガスガイドをまとめた全空気出口ガイド83をガイド部材として設けた点で、実施の形態4とは異なる。他の構成や動作は実施の形態4と同じであるので、説明を書略する。
【0107】
つまり、図8と図9に示すように、燃料電池発電装置は、FC(燃料電池:Fuel Cell)ユニット1と、貯湯ユニット20とを少なくとも備え、全空気入口ガイド80および全空気出口ガイド83を介して扉61と接続されている。
【0108】
また、燃料電池発電装置の正面に設置された扉61には、燃料電池発電装置と扉61間に空気の出入りを発生させる下部スリット62と上部スリット63が設けられている。さらに、燃料電池発電装置の全空気入口ガイド80と接続される全空気入口ガイド入口81および全空気出口ガイド83と接続される全空気出口ガイド出口84が設けられている。
【0109】
以下に、本実施の形態のポイントである燃料電池発電装置と扉とを接続する全空気入口ガイド80および全空気出口ガイド83の作用と効果について説明する。ここで、全空気とは、燃料電池発電装置で使用される空気であり、具体的にはFCユニットで使用する全ての空気と補助熱源機53で使用する空気を合わせたものである。
【0110】
まず、燃料電池発電装置で使用する空気は、外部空間より全空気入口ガイド入口81から吸い込まれ、全空気入口ガイド80を介して、全空気入口79から貯湯ユニット20およびFCユニット1に供給される。
【0111】
そして、貯湯ユニット20の補助熱源機53で使用する空気と、FCユニットの内部の燃料生成器32の燃焼に使用する空気と、セルスタック33で発電に用いる空気と、FCユニットの換気に用いる空気が分配して供給される。
【0112】
その後、燃料生成器32の燃焼に使用された後の空気と、セルスタック33で発電に用いられた後の空気と、FCユニットの換気に用いられた後の空気、および補助熱源機53で燃焼した後の空気は、全空気出口82から全空気出口ガイド83を介して、扉61の全空気出口ガイド出口84から外部の空間に放出される。
【0113】
なお、貯湯ユニット20の補助熱源機53の燃焼に用いられた空気は、酸素の濃度が低く、水蒸気を含み、窒素酸化物などの不純物を含むことが多い。そのため、この空気がFCユニットに取り込まれ、燃料生成器32での燃焼用の空気に流れ込んだ場合、不完全燃焼や燃焼を維持できない状態が発生して、余分なエネルギーや発電の停止が発生して、発電効率が低下する。
【0114】
また、セルスタック33の発電用の空気として取り込まれた場合、酸素濃度が低いことと、不純物による発電反応の阻害などにより、発電効率が低下する。さらに、FCユニット29の換気用の空気に用いられた場合、燃料生成器32の断熱材に水分を与えるため、断熱性能が低下し、余分なエネルギーの消費により発電効率が低下する。
【0115】
しかし、本実施の形態によれば、FCユニットで使用された空気だけでなく、補助熱源機53で使用した空気も、FCユニットに吸い込まれることがないため、高い発電効率を
維持できる燃料電池発電装置を実現できる。
【0116】
また、燃料電池発電装置の周囲に構造物などの遮蔽物(例えば、扉や壁など)で囲まれた狭い空間である燃料電池発電装置設置場の内部の空気を全く使用しない。そのため、燃料電池発電装置設置場60に、微量物質などの、発電や燃焼に悪影響がある成分を含む空気が存在していても、それらの空気を利用しないので、燃料電池発電装置の発電や燃焼には一切影響しない。その結果、信頼性や安定性に優れた燃料電池装置を実現できる。
【0117】
また、燃料電池発電装置の各部に外部空間から空気を取り入れる入口と排出する出口を、1つの全空気入口ガイド80と1つの全空気出口ガイド83に集約することにより、燃料電池発電装置の設置工事などを簡略化できる。
【0118】
なお、本実施の形態では、全空気入口ガイド80と全空気出口ガイド83は、補助熱源機53で使用する空気あるいは使用した後の空気と、FCユニットで使用する空気あるいは使用した後の空気が通過する部分が独立した構成を例に説明したが、これに限られない。例えば、一つの配管の内部を分離する壁を設けても、複数の配管を一つに束ねる構成としてもよい。また、FCユニットの内部で、燃料生成器32、セルスタック33およびFCユニットの換気で使用するあるいは使用した後の空気の通流する経路を分離する構成としてもよい。これにより、補助熱源機53、燃料生成器32、セルスタック33およびFCユニットの換気において使用する空気の量が変化しても、それぞれが他に影響を与えることがないため、高い発電効率を維持できる。
【産業上の利用可能性】
【0119】
本発明かかる燃料電池発電装置は、発電や燃焼に影響する成分を含む空気を使用しない構成が可能であるため、一般の一戸建て住宅や集合住宅のほか、業務用で狭い場所に燃料電池発電装置を設置する場合に有用である。
【符号の説明】
【0120】
1 FCユニット
2 正面外装板
3 左側面外装板
6 天井外装板
7 吸気口
10 換気出口
11 FC換気出口
12 FP排ガス排空気出口
15 FP排ガス排空気ガイド(排ガス排空気ガイド)
16 FP排ガス排空気ガイド出口
20 貯湯ユニット
21 貯湯吸気口
22 貯湯排ガスガイド
23 貯湯排ガスガイド出口
24 貯湯排ガス出口
30 第1フレーム
31 酸化剤ガス供給部
32 燃料生成器
33 セルスタック
34 冷却水タンク
36 浄化部
37 回路部
38 補機部
40 熱交換部
41 換気ファン
49 貯湯ユニット
50 第2フレーム
51 貯湯タンク
52 混合弁
53 補助熱源機
55 補助熱源機排気口
60 燃料電池発電装置設置場
61 扉
62 下部スリット
63 上部スリット
65 壁
66 原料ガス配管
67 給排水菅
68 FC換気出口ガイド
69 FC換気出口ガイド出口
70 FP燃焼空気入口
71 FP燃焼空気入口ガイド
72 FP燃焼空気入口ガイド入口
73 FC空気総入口
74 FC空気総入口ガイド
75 FC空気総入口ガイド入口
76 FC空気総出口
77 FC空気総出口ガイド
78 FC空気総出口ガイド出口
79 全空気入口
80 全空気入口ガイド
81 全空気入口ガイド入口
82 全空気出口
83 全空気出口ガイド
84 全空気出口ガイド出口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原料ガスから燃料ガスを生成する燃料生成器と、酸化剤ガスを供給する酸化剤ガス供給部と、前記燃料ガスと前記酸化剤ガスとから電力を発生させるセルスタックとを有するFCユニットと、
前記FCユニットで回収された熱を貯蔵する貯湯タンクを有する貯湯ユニットと、前記FCユニットと前記貯湯ユニットの周囲を囲む遮蔽物と、を少なくとも有し、
前記FCユニットまたは前記貯湯ユニットと前記遮蔽物とを接続するとともに、前記FCユニットまたは前記貯湯ユニットに供給または排気する気体を導くガイド部材を設ける燃料電池発電装置。
【請求項2】
前記ガイド部材が、前記FCユニットの前記燃料生成器の排ガスまたは排空気を導く排ガス排空気ガイドである請求項1に記載の燃料電池発電装置。
【請求項3】
前記ガイド部材が、前記貯湯ユニットの排ガスを導く貯湯排ガスガイドである請求項1または2に記載の燃料電池発電装置。
【請求項4】
前記ガイド部材が、前記FCユニットの前記セルスタックで発電に用いた後の空気を導く排空気ガイドである請求項1から3のいずれか1項に記載の燃料電池発電装置。
【請求項5】
前記ガイド部材が、前記FCユニットの内部を換気する空気を導く換気ガイドである請求項1から4のいずれか1項に記載の燃料電池発電装置。
【請求項6】
前記ガイド部材が、前記FCユニットの燃焼に利用する空気を導く燃焼空気ガイドである請求項1から5のいずれか1項に記載の燃料電池発電装置。
【請求項7】
前記ガイド部材が、前記セルスタックで発電時に使用する空気を前記FCユニットに導く空気ガイドである請求項1から6のいずれか1項に記載の燃料電池発電装置。
【請求項8】
前記ガイド部材が、前記排ガスと、前記セルスタックで発電時に用いた後の空気と、前記FCユニットの内部を換気した後の空気の、少なくとも2つを導く請求項3から5のいずれか1項に記載の燃料電池発電装置。
【請求項9】
前記ガイド部材が、前記燃焼に利用する空気と、前記セルスタックで発電時に用いる空気と、前記FCユニットの内部を換気するための空気の、少なくとも2つを導く請求項5から7のいずれか1項に記載の燃料電池発電装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate