説明

燃料電池車両用冷却装置

【課題】冷却モジュールの大きさを小さく、かつ単純にして、車両前方からの空気の流れ障害を減らして冷却ファンの容量を小さくできる燃料電池車両用冷却装置を提供する。
【解決手段】車両の前方に配置され、外部空気を用いて熱交換する方式で冷却水を冷却して燃料電池スタック16と電気動力装置を統合管理する統合型ラジエーター10を有して構成され、統合型ラジエーターは、冷却水の流動形態に応じて高温領域と低温領域に分けられ、高温領域を介して流れた冷却水により燃料電池スタックを冷却し、低温領域を介して流れた冷却水により電気動力装置14を冷却する。高温領域と低温領域は、統合型ラジエーターの同一面上に配置され、燃料電池スタック用冷却水の一部は、高温領域を通過して冷却された後、燃料電池スタックを冷却させ、燃料電池スタック用冷却水の他の一部は、高温領域と低温領域を順次通過してさらに冷却された後、電気動力装置を冷却させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池車両用冷却装置に関するものであり、より詳しくは、車両前方からの空気の流れの障害を減らしてラジエーターの通過風量を増やした燃料電池車両用冷却装置に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池車両において、燃料電池は、酸素と水素の化学的反応エネルギーを電気エネルギーに転換して駆動力を発生させるものであり、この過程で燃料電池内の化学的反応により熱が発生し、発生した熱を効果的に除去することが燃料電池の性能確保に必須である。
【0003】
図1は、従来技術による燃料電池車両用冷却モジュールの一例を示す概略図であって、燃料電池車両用冷却装置は、車両の前面に位置したコンデンサ1、ラジエーター、及び冷却ファン4で構成されて、インバータとモータなどの電気動力装置と燃料電池スタックでなる駆動システムを冷却している。そして、ラジエーターは、電気動力装置用ラジエーター2と燃料電池スタック用ラジエーター3でなっている。
【0004】
電気動力装置用ラジエーター2はコンデンサ1の下部に配置され、燃料電池スタック用ラジエーター3はコンデンサ1と冷却ファン4との間に配置されるのが一般的である。
電気動力装置用ラジエーター2と燃料電池スタック用ラジエーター3は、別個の冷却水循環ラインを有して、冷却水を電気動力装置と燃料電池スタックのそれぞれに供給して電気動力装置と燃料電池スタック用ラジエーター3を冷却し、再び電気動力装置用ラジエーター2と燃料電池スタック用ラジエーター3に戻す循環をしている。
【0005】
しかしながら、燃料電池スタックは、図2に示すように、アイドル(idle)または低速ではスタック発熱量が低いが、内燃機関のエンジンとは異なり、車速が増加するほどスタック発熱量がエンジンに比べて急速に増加する特性があり、図3に示すように、高速になるほどスタック発熱量がラジエーターの性能よりも高まって放熱量の不足が発生し、これによって車速が低下する問題点がある。
【0006】
また、車両前方に位置するコンデンサ1と電気動力装置用ラジエーター2が空気抵抗体となって外部からの風が遮られることから、燃料電池スタック用ラジエーター3を充分良く冷却するために冷却ファン4の容量を大きくして風量を増すことが必要となる。また、燃料電池スタックの放熱性能を高くするために各ラジエーターの大きさを大きくしようとすると、システムのレイアウトが複雑になってパッケージ及び前方衝突性能を悪化させる問題点がある。
【0007】
車両の燃料電池の冷却については、冷却装置の縮小化を図るために、嵩の大きい熱交換器を使用しない燃料電池冷却装置〔特許文献1〕、冷却システムの小型化が可能な冷却装置〔特許文献2〕の提案があり、また冷却水の温度制御のために、スタックで要求される温度を維持する車両の燃料電池冷却水の温度調節装置〔特許文献3〕などが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2011−040401号公報
【特許文献2】特開2004−259615号公報
【特許文献3】特開2009−140902号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
これらの問題点を解決するための本発明の目的は、冷却モジュールの大きさを小さく、かつ単純にして、車両前方からの空気の流れ障害を減らして冷却ファンの容量を小さくできる燃料電池車両用冷却装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するためになされた本発明の燃料電池車両用冷却装置は、車両の前方に配置され、外部空気を用いて熱交換する方式で冷却水を冷却して燃料電池スタックと電気動力装置を統合管理する統合型ラジエーターを有して構成され、統合型ラジエーターは、冷却水の流動形態に応じて高温領域と低温領域に分けられ、高温領域を介して流れた冷却水により燃料電池スタックを冷却し、低温領域を介して流れた冷却水により電気動力装置を冷却する。
【0011】
以下、さらに好ましい実施形態を述べる。
高温領域と低温領域は、統合型ラジエーターの同一面上に配置され、燃料電池スタック用冷却水の一部は、高温領域を通過して冷却された後、燃料電池スタックを冷却させ、燃料電池スタック用冷却水の他の一部は、高温領域と低温領域を順次通過してさらに冷却された後、電気動力装置を冷却させるようにする。
【0012】
高温領域は、直下方に流動する冷却水流路を有し、燃料電池スタック用冷却水を下方向に流し、低温領域は、上下方向に交互に屈曲形成された冷却水流路を有し、高温領域を通過した冷却水の一部をさらに外部空気に晒して冷却する。
【0013】
統合型ラジエーターを流れた冷却水の一部と電気動力装置用冷却水とを熱交換する板状熱交換器がさらに備えられ、電気動力装置用冷却水の温度を下げることで電気動力装置を冷却させる。統合型ラジエーターから排出された燃料電池スタック用冷却水は、板状熱交換器を通過した後、水冷式コンデンサにより冷却させた後、高温領域から排出された燃料電池スタック用冷却水と合流するようにする。
【発明の効果】
【0014】
本発明による燃料電池車両用冷却装置は、次のような長所を有している。
1.スタック、コンデンサ、電気動力装置をそれぞれ個別に冷却するのではなく、1つの統合型ラジエーターに流れる冷却水を用いて、燃料電池スタックと電気動力装置を同時に統合して熱管理することにより、統合型ラジエーターの放熱性能を向上させることができる。
【0015】
2.統合型ラジエーターを冷却水の流動形態に応じて高温領域と低温領域に分け、高温領域は短時間に多量の冷却水を流して基本的に放熱量の多い燃料電池スタックを冷却させ、低温領域は高温領域を通過した冷却水の一部をS字状形態に長く流動させてさらに冷却して、放熱量の比較的少ない電気動力装置を冷却させている。
【0016】
3.従来は、燃料電池スタックの最大放熱量に合わせた仕様構成に従って過度なファン風量を設定したが、本発明では一般走行条件及びラジエーターの冷却性能に余裕がある場合には、他の部品の冷却にも使用することができ、統合ラジエーターにより全体燃料電池車量システムを効率的に熱管理することができる。
【0017】
4.従来の空冷式熱交換器の電気動力装置用ラジエーターとコンデンサの代りに、水冷式コンデンサを適用することにより、車両前方に設置された電気動力装置用ラジエーターとコンデンサによる空気抵抗をなくし、車両前面の冷却モジュールを単純化させることができる。
【0018】
5.冷却モジュールの大きさを小さくすることで、前面衝突に対しての耐久性を向上させ、車両の耐衝突性能が向上でき、車両の商品性を高めることができる。
6.従来の電気動力装置用ラジエーターとコンデンサをなくすことにより、走行時の車両前面のグリルから流入する空気の流動抵抗が減って、ファンモータの容量を小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】従来技術による燃料電池車両用冷却モジュールの一例を示す概略図である。
【図2】エンジンと燃料電池スタックの発熱量を比較した棒グラフである。
【図3】一般ラジエーターと燃料電池スタックの熱量を、車速との関連でみたグラフである。
【図4】本発明の一実施形態による1つのラジエーター型燃料電池車両用冷却装置の斜視図である。
【図5】図4の構成要素を説明する概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、好ましい実施形態を挙げ、図面を参照しつつ本発明を詳細に説明する。
図4は、本発明の一実施形態によるラジエーター型燃料電池車両用冷却装置の斜視図であり、図5は、図4の構成要素を説明する概略図である。
本発明は、燃料電池車両用冷却装置に関するものであり、従来のコンデンサと電気動力装置用ラジエーターによる前面からの風の流入の妨げをなくし、車両前方からの空気のラジエーター通過風量を増やした燃料電池車両用冷却装置に関するものである。
【0021】
本発明による燃料電池車両用冷却装置は、1つの統合型ラジエーター10と冷却ファン11で構成される。
冷却ファン11は、外部空気が車両前方のラジエーターグリルを介して車両内部に流入するように誘導している。
【0022】
統合型ラジエーター10は、内部に冷却水が流れる冷却水流路を有し、冷却水流路に流れる冷却水を、流入された外部の冷たい空気と熱交換させて冷却水を冷却させ、冷たくなった冷却水を燃料電池スタック16と電気動力装置14などに供給して燃料電池スタック16と電気動力装置14などを冷却させることができる。燃料電池スタック16と電気動力装置14などを冷却させた後の冷却水は、再び統合型ラジエーター10に戻すことで、冷却水を循環させている。
【0023】
統合型ラジエーター10は、通常長方形に形成され、ラジエーターの大きさ、風速、及び流量は燃料電池車量システムの全体発熱量を処理するように設計され、ラジエーターの内部に流れる冷却水の流動形態に応じてラジエーターを高温領域と低温領域に分けている。高温領域を流れた冷却水は、燃料電池スタック16の冷却に用いられ、低温領域を流れた冷却水は、電気動力装置14(インバータ及びモータなど含む)の冷却に用いられる。
【0024】
高温領域は、低温領域よりも放熱面積を大きくして、冷却水はラジエーターの上端部から直下方向に向って流れる。このとき、高温領域を流れる冷却水の流量を低温領域を流れる冷却水の流量よりも多くし、例えば、高温領域の冷却水の流量は150〜200リットル/分である。このように、冷却水の流動方向及び流動形態が上下一直線の形態である場合、冷却水の流量は多いが、ラジエーターの上端部から下端部まで冷却水の流動距離が短いため、外部空気に晒される露出時間、すなわち冷却水と外部空気との熱交換時間が短くなり、高温領域における冷却水の温度は、後述する低温領域における冷却水より高くなる。
【0025】
低温領域は、高温領域よりも放熱面積が小さく、冷却水をラジエーターの上端部でS字状に昇降しながら流し、低温領域を流れる冷却水の流量を高温領域を流れる冷却水の流量よりも少なくする。例えば、低温領域の冷却水流量は50〜100リットル/分である。このように冷却水の流動方向及び流動形態がS字状である場合、冷却水の流量は少ないが、ラジエーターの上下方向に屈曲形成された冷却水の流動距離が長いため、外部空気に晒される露出時間、すなわち冷却水と外部空気との熱交換時間が長くなり、低温領域における冷却水の温度は、前述した高温領域における冷却水より低くすることができる。
【0026】
燃料電池スタック16の冷却には、統合型ラジエーター10と燃料電池スタック16との間を第1冷却水循環ライン17で連結し、冷却水を第1冷却水循環ライン17に通して燃料電池スタック16と統合型ラジエーター10を循環させて行っている。
【0027】
統合型ラジエーター10の上端部の一側(高温領域)には冷却水流入管10aが形成され、燃料電池スタック16で温度が高くなった冷却水を冷却水流入管10aを介して統合型ラジエーター10に流入させている。
【0028】
統合型ラジエーター10の下端部の一側(高温領域)には第1冷却水排出管10bが形成され、高温領域を流れた大部分の冷却水(約全体流入量の2/3程度)を第1冷却水排出管10bから排出し、燃料電池スタック16に供給している。
【0029】
また、統合型ラジエーター10の下端部の他側(低温領域)には、第2冷却水排出管10cが形成され、高温領域からさらに低温領域を流れた冷却水を第2冷却水排出管10cから排出し、板状熱交換器13に供給している。
【0030】
この時、冷却水流入管10aと第1冷却水排出管10bは、第2冷却水排出管10cよりも相対的に大きい直径とするのが好ましい。これは、燃料電池スタック16の発熱量が、電気動力装置14及びコンデンサの発熱量よりも相対的に大きいことから、燃料電池スタック16への冷却水の供給量を増やすことにより燃料電池スタック16で発生する熱を効率良く冷却し、高速運転でも車速の低下を防止できるようにするためである。
【0031】
ここで、統合型ラジエーター10の内部(高温領域と低温領域)に流れる冷却水は、燃料電池スタック用冷却水であって、電気動力装置用冷却水と区分される。具体的に説明すると、燃料電池スタック用冷却水は、燃料電池スタック16の内部を循環しながら燃料電池スタック16を冷却させるために用いられ、電気動力装置用冷却水は、インバータ及びモータなどの電気動力装置14の内部及び周縁部を循環しながら電気動力装置14を冷却するために用いられる。
【0032】
本発明は、また、電気動力装置14を冷却させるための板状熱交換器13を提供するものである。板状熱交換器13は、冷却水用熱交換器であって、燃料電池スタック用冷却水と電気動力装置用冷却水を互いに熱交換させることにより、統合型ラジエーター10の低温領域で排出された燃料電池スタック用冷却水を用いて電気動力装置用冷却水を冷却させている。
【0033】
板状熱交換器13は、燃料電池スタック用冷却水と電気動力装置用冷却水の熱交換のために、第1〜第4ポート13a〜13dを有し、これらのポートのうち、第1ポート13aは、流入ポートであって、第1連結ライン18を介して統合型ラジエーター10の第2冷却水排出管10cに連結され、統合型ラジエーター10の低温領域からの冷却水が供給される。
【0034】
第2ポート13bは、排出ポートであって、第1ポート13aの反対側に配置され、第2連結ライン20を介して水冷式コンデンサ15に連結され、板状熱交換器13で電気動力装置用冷却水と熱交換した後の加温された冷却水を水冷式コンデンサ15に送っている。
【0035】
第3ポート13cと第4ポート13dは、それぞれ流入及び排出ポートであって、第2冷却水循環ライン19を介して電気動力装置14に連結され、電気動力装置用冷却水が第3ポート13cを介して板状熱交換器13に流入して燃料電池スタック用冷却水と熱交換し、冷却された電気動力冷却水を第4ポート13dを介して排出して電気動力装置14に供給し、電気動力装置14を冷却している。
この時、板状熱交換器13の内部で、燃料電池スタック用冷却水と電気動力装置用冷却水が混合しないようにする。
【0036】
本発明は、また、板状熱交換器13から出た燃料電池スタック用冷却水を、水冷式で冷却する水冷式コンデンサ15を提供する。水冷式コンデンサ15は、入口側が第2連結ライン20を介して板状熱交換器13に、そして出口側が第3連結ライン21を介して第1冷却水循環ライン17に連結されている。これにより、低温領域の燃料電池スタック用冷却水が、板状熱交換器13で熱交換した後で水冷式コンデンサ15に導入されて水冷式で冷却され、その後高温領域の燃料電池スタック用冷却水に合流する。
【0037】
ここで、板状熱交換器13と水冷式コンデンサ15は、外部空気を用いた空冷式ではなく、冷却水を用いた水冷式で作動しており、車両の前方に位置していなくても良く、設置場所の選択自由度を高くして、従来のコンデンサ及び電気動力装置用ラジエーターに代わることができる。
【0038】
本発明による燃料電池車両用冷却装置の作動状態を説明すれば次の通りである。
統合型ラジエーター10は、車体の長手方向に対して車体の幅方向の同一面上に冷却水の流動形態に応じて分けられる高温領域と低温領域を有している。
高温領域は、下方向(DOWN)の冷却水流路を有し、このような冷却水流路の構造により冷却水の流動を上下一直線方向にし、燃料電池スタック16から統合型ラジエーター10に流入した冷却水を外部空気に相対的に短時間晒すことで、多量の冷却水を冷却することができる。
【0039】
一方、低温領域は、S字状の冷却水流路を有し、このような冷却水流路の構造により冷却水の流動を上下方向に複数回屈曲して流し、高温領域を通過した燃料電池スタック用冷却水の一部を、相対的に長時間外部空気に晒すことができ、少量であっても充分冷却された冷却水とすることができる。
【0040】
燃料電池スタック用冷却水の流れ方向及び作用を説明する。
燃料電池スタック16を出た燃料電池スタック用冷却水(例えば、77℃)は、統合型ラジエーター10の冷却水流入管10aを介して統合型ラジエーター10の高温領域に流入する。そして、高温領域に流入した大部分の冷却水は、高温領域の冷却水流路を介して下方向に移動しつつ外部空気と熱交換して冷却され(68℃)、冷却された燃料電池スタック用冷却水は、第1冷却水排出管10bを介して排出され、第1冷却水循環ライン17を介して燃料電池スタック16に供給される。
【0041】
燃料電池スタック16に供給された冷却水は、燃料電池スタック16の内部を循環しながら燃料電池スタック16で発生した熱を吸収して燃料電池スタック16を冷却させ、冷却水そのものは加温(77℃)される。加温された燃料電池スタック用冷却水は、再び第1冷却水循環ライン17を介して統合型ラジエーター10に戻って冷却され、このように循環することにより燃料電池スタック16を冷却させることができる。
【0042】
一方、高温領域を通過した一部の冷却水は、低温領域に移動してさらに外部空気と熱交換して、高温領域の冷却水よりもさらに低い温度(50℃)に冷却され、第2冷却水排出管10cを介して排出され、第1連結ライン18から板状熱交換器13に送られる。
【0043】
板状熱交換器13に流入された低温領域の燃料電池スタック用冷却水は、板状熱交換器13で電気動力装置用冷却水と熱交換することにより、電気動力装置用冷却水を冷却させる。すなわち、板状熱交換器13は、統合型ラジエーター10の低温領域から供給された燃料電池スタック用冷却水の一部を用いて電気動力装置14を冷却させることができる。
【0044】
具体的に説明すると、板状熱交換器13で冷却された電気動力装置用冷却水は、第2冷却水循環ライン19を介して電気動力装置14に流入し、電気動力装置14を循環しながら電気動力装置14で発生した熱を吸収し、再び板状熱交換器13に戻り、この循環により電気動力装置14を冷却させることができる。
【0045】
板状熱交換器13で熱交換した低温領域の燃料電池スタック用冷却水は、第2連結ライン20を介して水冷式コンデンサ15に流れ、水冷式コンデンサ15で冷却された後、第2連結ライン20を介して高温領域の燃料電池スタック用冷却水に合流する。
【0046】
したがって、本発明によれば、スタック、コンデンサ、電気動力装置14をそれぞれ個別の冷却システムを持つのではなく、1つの統合型ラジエーター10に流れる冷却水を用いて燃料電池スタック16と電気動力装置14を同時に統合的に熱管理することができ、統合型ラジエーターの放熱性能を向上させることができる。
【0047】
また、統合型ラジエーター10を冷却水の流動形態に応じて高温領域と低温領域に分け、高温領域は短時間に多量の冷却水を下方向に誘導し、基本的に放熱量の多い燃料電池スタック16を冷却させ、低温領域は高温領域を通過した冷却水の一部をさらにS字状の形態に長く流動させて冷却して、この低温領域の燃料電池スタック用冷却水を用いて放熱量の比較的少ない電気動力装置14を冷却させている。
【産業上の利用可能性】
【0048】
従来、燃料電池スタックの最大放熱量に合わせた仕様構成に従って過度なファン風量を設定したが、本発明では一般走行条件でラジエーターの冷却性能に余裕がある場合、他部品の冷却に使用することができ、統合ラジエーターにより全体燃料電池車量システムを効率的に熱管理することができる。それだけでなく、従来の空冷式熱交換器の電気動力装置用ラジエーターとコンデンサの代りに、水冷式コンデンサを適用することにより、車両前方に設置された電気動力装置用ラジエーターとコンデンサによる空気の流れの障害となる空気抵抗を小さくし、車両前面の冷却モジュールを単純化させることができる。そして、従来あった電気動力装置用ラジエーターとコンデンサをなくすことにより、走行時の車両前面のグリルから流入する空気の量を増やすことで、ファンモータの容量を小さくしても冷却を満足できるようにすることができる。さらに、冷却モジュールの大きさを小さくて前面衝突に対する耐久性を向上させ、車両の耐衝突性能の向上による商品性を高めることができる。
【符号の説明】
【0049】
10;統合型ラジエーター
10a;(統合型ラジエーターの)冷却水流入管
10b;(統合型ラジエーターの)第1冷却水排出管
10c;(統合型ラジエーターの)第2冷却水排出管
11;冷却ファン
12;ファンモータ
13;板状熱交換器
13a;(板状熱交換器の)第1ポート
13b;(板状熱交換器の)第2ポート
13c;(板状熱交換器の)第3ポート
13d;(板状熱交換器の)第4ポート
14;電気動力装置(電装品)
15;水冷式コンデンサ
16;燃料電池スタック
17;第1冷却水循環ライン
18;第1連結ライン
19;第2冷却水循環ライン
20;第2連結ライン
21;第3連結ライン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の前方に配置され、外部空気を用いて熱交換する方式で冷却水を冷却して燃料電池スタック(16)と電気動力装置(14)を統合管理する統合型ラジエーター(10)を有して構成され、
前記統合型ラジエーター(10)は、冷却水の流動形態に応じて高温領域と低温領域に分けられ、前記高温領域を介して流れた冷却水により前記燃料電池スタック(16)を冷却し、前記低温領域を介して流れた冷却水により前記電気動力装置(14)を冷却することを特徴とする燃料電池車両用冷却装置。
【請求項2】
前記高温領域と前記低温領域は、前記統合型ラジエーター(10)の同一面上に配置され、前記燃料電池スタック用冷却水の一部は、前記高温領域を通過して冷却された後、前記燃料電池スタック(16)を冷却させ、前記燃料電池スタック用冷却水の他の一部は、前記高温領域と前記低温領域を順次通過してさらに冷却された後、前記電気動力装置(14)を冷却させることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池車両用冷却装置。
【請求項3】
前記高温領域は、直下方に流動する冷却水流路を有し、前記燃料電池スタック用冷却水を下方向に流すことを特徴とする請求項2に記載の燃料電池車両用冷却装置。
【請求項4】
前記低温領域は、上下方向に交互に屈曲形成された冷却水流路を有し、前記高温領域を通過した冷却水の一部をさらに外部空気に晒して冷却することを特徴とする請求項2に記載の燃料電池車両用冷却装置。
【請求項5】
統合型ラジエーター(10)を流れた冷却水の一部と電気動力装置用冷却水とを熱交換する板状熱交換器(13)がさらに備えられ、前記電気動力装置用冷却水の温度を下げることで前記電気動力装置(14)を冷却させることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池車両用冷却装置。
【請求項6】
前記統合型ラジエーター(10)から排出された燃料電池スタック用冷却水は、前記板状熱交換器(13)を通過した後、水冷式コンデンサにより冷却させた後、前記高温領域から排出された前記燃料電池スタック用冷却水と合流することを特徴とする請求項5に記載の燃料電池車両用冷却装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−57309(P2013−57309A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−271581(P2011−271581)
【出願日】平成23年12月12日(2011.12.12)
【出願人】(591251636)現代自動車株式会社 (1,064)
【出願人】(500518050)起亞自動車株式会社 (449)
【Fターム(参考)】