説明

燃料電池電極において触媒担体腐食を緩和するための犠牲材料の使用

【課題】アノードでの局所H2枯渇及びセルリバーサルに対してより耐性を有する改良された膜電極アセンブリを提供する。
【解決手段】燃料電池は、アノード層32と、アノード層上に配置されたポリマー性イオン伝導膜と、ポリマー性イオン伝導膜上に配置されたカソード層38と、カソード層、アノード層、又はその両方における担体炭素よりも速い速度で腐食する有効量の反応性材料と、を含む。反応性材料はカソード触媒層に近接するか又はカソード触媒層内に分配される。変形例において、反応性材料はアノード層にも近接する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は改良された電極耐久性を有する燃料電池に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池は多くの用途において電力原として用いられる。特に、燃料電池は自動車において内燃機関の代替として用いることが提案されている。プロトン交換膜(proton exchange membrane,“PEM”)型燃料電池において、燃料電池のアノードに水素が燃料として供給され、カソードに酸素が酸化剤として供給される。酸素は純粋形態(O2)であってもよく、空気(O2とN2の混合物)であってもよい。PEM型燃料電池は典型的に、膜電極アセンブリ(membrane electrode assembly,“MEA”)を有し、膜電極アセンブリでは、固体ポリマー膜の一方の面にアノード触媒を有し、反対側の面にカソード触媒を有する。MEAは、次いで、一対の多孔性拡散媒体(porous diffusion media,“DM”)にはさまれ、これはさらに一対の非多孔性電気伝導性素子又は板にはさまれる。非多孔性電気伝導性素子又は板は、(1)アノード及びカソードについて電流コレクタとして働き、(2)燃料電池の気体反応体をアノード及びカソード触媒のそれぞれの表面上に分配するための、前記素子又は板の中に形成された適切なチャネル及び/又は開口部を具備する。効率的に電気を製造するために、PEM型燃料電池のポリマー電解質膜(polymer electrolyte membrane)は典型的に、薄く、化学的に安定で、プロトンを輸送し、非導電性で、かつ気体不透過性でなければならない。典型的な用途において、燃料電池は高いレベルの電力を供給するために、多くの個々の燃料電池スタックのアレイで提供される。
【0003】
図1を参照する。従来技術のMEAを有する典型的な燃料電池スタックの局所的なH2燃料飢餓(local H2 fuel starvation)と開始/停止により引き起こされる減成(start/stop induced degradation)中に生じる通常の作動及びプロセスの概略例示図を示す。燃料電池10はアノード層12及びカソード層14を含み、アノード層12とカソード層14の間に配置されたポリマー性イオン伝導膜16を有する。現在、通常のカソード層は1cm2当たり約0.2〜0.4mgの白金を含み、高表面積の炭素担体上に担持された約20〜60質量%の白金を有する典型的なカソード触媒を有する(“x%wt.Pt/C”)。さらに、カソード層は、酸素(空気由来)及びH2ガスの効率的な経路を提供するために、非常に多孔質である。典型的なカソード層において、ポリマーの体積分率は約20%であり、炭素の体積分率は約20%であり、空間容量は約60%である。水素(H2)は、反応体の流動場(flow-field)チャネル20を介し、アノード拡散媒体18を通じてアノード層12へと供給される。燃料電池スタック10の反対側上では、酸素(通常は空気からのO2)がカソード層14へ供給される。通常の作動中に、水素酸化反応(hydrogen oxidation reaction,“HOR”)がアノード層12で生じて、酸素還元反応(oxygen reduction reaction,“ORD”)がカソードで生じる(図1の左側を参照のこと)。酸素は還元されて水を生成し、一方水素は酸化されてプロトンを生成する。プロトンは膜16を横断し、そこで酸素と再結合して水素+酸素の燃料電池の反応全体が完了して水を生成する。
【0004】
そのような燃料電池の作動中、アノード及び/又はカソード上のいずれかにおいて触媒の炭素担体の腐食(corrosion)が時折起こり得る状況となり得る。この炭素腐食は幾つかの理由によって起こり得る:1)一定の作動条件下での燃料電池スタックの多くのセル間でのH2の不均等分配によりセルのうちの1つへ化学量論以下のH2が供給されて(即ち、供給されるH2が適用される電流を維持するのに必要なH2より少ない)、アノード電位の大幅な増加を引き起こし(通常、“セルリバーサル(cell reversal)”と呼ばれる)、アノード触媒の炭素担体の腐食を引き起こし得る(例えば、Handbook of Fuel Cells-Fundamentals, Technology, and Applications(編:W. Vielstich, A. Lamm, H.A. Gasteiger), Wiley (2003): vol. 3, chapter 47, page 611におけるD.P. Wilkinson, J. St.-Pierreを参照のこと);2)液体の水により引き起こされたアノード流動場チャネルの妨害によりセル内でH2が不均等に分配して、及び/又はアノード拡散媒体内で水フィルムが形成して(通常、“局所的H2飢餓”と呼ばれる)、カソードからアノードへの膜を通じてのO2透過によりカソード電位が局所的に増加し、次いでカソード触媒の炭素担体が腐食する(例えば、T.W. Patterson, R.M. Darling, Electrochem. Solid-State Lett. 9 (2006) A183を参照のこと);3)燃料電池の停止(即ちH2で満たされたアノード流動場チャネルへの空気の透過)又は燃料電池の開始(即ち空気で満たされたアノード流動場チャネルへのH2の流入)中に、アノード流動場チャネルにおいてH2/空気先端の形成が進行し(通常、“開始/停止減成(start/stop degradation)”と呼ばれる)、カソード電位の局所的な増大を引き起こし、次いでカソード触媒の炭素担体を腐食する(例えば、C.A. Reiser, L. Bregoli, T.W. Patterson, J.S. Yi, J.D. Yang, M.L. Perry, T.D. Jarvi, Electrochem. Solid-State Lett. 8 (2005) A273を参照のこと)。
【0005】
セルリバーサルは化学量論量以下のH2が燃料電池スタックの1又は複数のセルに供給され、燃料電池スタック全体の電流をH2の酸化(H2 → 2H+ + 2e-)により維持できなくなったときに生じる。この場合、電子/プロトンは、アノード電極における代替反応、即ち、炭素酸化反応(“COR”)及び/又はO2放出反応(O2 evolution reaction,“OER”):
OER: H2O→1/2O2+2H++2e-0=+1.23V vs RHE (1)
COR: C+2H2O→CO2+4H++4e-0=+0.21V vs RHE (2)
(式中、E0は可逆的水素電極(Reversible Hydrogen Electrode, “RHE”)電位に標準化された電位である)
により供給されなければならない。OERは慣用的な炭素担体上の白金触媒について無視できるから(例えば、表1に挙げたPt/ケッチェンブラック(Ketjen Black)及びPt/ブラックパール(Black Pearl))、このセルリバーサルは反応(2)に従ってアノード触媒炭素担体の腐食を引き起こし、MEAの性能を迅速に減成させる。
【0006】
アノード電極12における局所的H2飢餓の場合(図1)には、イオン伝導膜18を通じてのカソード層14からのO2透過(通常、“O2クロスオーバー(O2 crossover)”と呼ばれる)は、H2が枯渇する領域において減少し、カソード触媒層14におけるカソード触媒炭素担体の炭素担体腐食を引き起こす。図1に示すように、これは領域20’がまだH2で満たされている一方で領域20’’のH2が不足しているような水妨害によるアノード流動場チャネル20におけるH2の枯渇により生じうる。または、水フィルム22がアノード拡散媒体において形成する場合は、H2は水フィルム22に隣接するアノード触媒層12において枯渇するだろう。かくして、カソード触媒の炭素担体の有意な腐食が、領域20’’又は22に隣接するカソード触媒層14において起こるだろう。これは、MEA性能の不可逆的な減成を引き起こす。
【0007】
開始/停止減成は、燃料電池の開始又は停止のいずれかの間に、アノード流動場チャネルにおけるH2/空気先端の存在で起こる。アノード流動場チャネルの領域20’がH2を含有する一方で領域20’’が空気を含有するときの場合を図1に示す。これはまた、領域20’’に隣接するカソード触媒層14におけるカソード触媒の炭素担体の腐食を引き起こす。
【0008】
セルリバーサルの影響を低減するのに役立つシステム対策は少しある、例えば、各々の個々のセルのセル電圧をモニターして燃料電池スタックの単一のセルのセル電圧の逆転が観察されたときは燃料電池スタックの電力を減少させることである。しかし、この方法や他の手段は全体のコストを増大させるだろう。アノード流動場チャネル及び/又はアノード拡散媒体の氾濫(flooding)による水妨害(water blockage)により生じた局所的H2飢餓は、流動場板の特別な設計により緩和されるかもしれないが、これもコストがかかる。また、米国特許6,855,453号明細書は、触媒を用いて反応(2)を促進させ、それにより同時に炭素腐食反応(1)を抑制して炭素腐食を減少する方法を開示する。グラファイト化炭素担体(より腐食耐性である)の使用は炭素腐食の問題に対する1つの鍵となる解法として認識される。その方法はまだ多くの量の開発研究を必要とし、現在は揺籃期にある。しかし、そのようなグラファイト化担体の戦略単独では、局所的H2飢餓及び開始/停止条件下において炭素腐食率を充分に低減させない。
【発明の概要】
【0009】
以上の通り、アノード局所H2飢餓及びセルリバーサルに対してより耐性を有する改良された膜電極アセンブリの必要性が存在する。
発明の概要
本発明は、セルリバーサル及び局所H2飢餓それぞれに際しての、アノード及びカソード触媒炭素担体の炭素腐食を低減することにより改良された耐久性を有する燃料電池の態様を少なくとも1つ提供することにより、先行技術の1又はそれを超える課題を克服する。本態様の燃料電池は、アノード層、アノード層上に配置されたポリマー性イオン伝導膜、ポリマー性イオン伝導膜上に配置されたカソード層、そしてアノード及び/又はカソード触媒炭素担体よりも速い速度で電気的酸化を行う有効量の反応性材料、を含む。カソード層及びアノード層は各々独立して、炭素担体に付着した触媒を含んでなる。反応性材料は、アノード及び/又はカソード触媒層に近接するか又は内部に分配されている。一態様において、この反応性材料は、アノード及び/又はカソード触媒に用いられる炭素担体よりも速い速度で反応(1)に従って腐食する、高表面積の炭素材料である。より一般的には、反応性材料は、アノード及び/又はカソード触媒の炭素担体よりも速い速度で電気的酸化を行う任意の他の材料であってもよく、電子及びプロトンを生成して、次いでアノード及び/又はカソード触媒の炭素担体の腐食を防止する。
【0010】
本発明の更なる利点及び態様はこの説明により明らかとなるだろう。或いは、本発明を実施することにより理解されるだろう。さらに、本発明の利点は、添付した特許請求の範囲に特に指摘された要素及び組み合わせの手段によっても理解され、認知されるであろう。かくして、前記の一般的記載及び以下の詳細な説明の両方が本発明の一定の態様の例示及び説明であって、請求される発明を制限するものではないことを理解すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、先行技術の燃料電池の概略図であり、通常の作動と腐食状況の両方を示す。
【図2】図2は、ポリマー性イオン伝導層とカソード層との間に配置された犠牲層を有する燃料電池の概略図である。
【図3】図3は、ポリマー性イオン伝導層とカソード層との間に配置された第一犠牲層、及びポリマー性イオン伝導層とアノード層との間に配置された第二犠牲層を有する燃料電池の概略図である。
【図4】図4は、カソード層の全体を通じて分散された反応性材料を有する燃料電池の概略図である。
【図5】図5は、カソード層及びアノード層の全体を通じて分散された反応性材料を有する燃料電池の概略図である。
【図6】図6は、50%Pt/グラファイト化ケッチェンの酸素放出、50%Pt/グラファイト化ケッチェン上の炭素腐食、ブラックパールの炭素腐食、についての電流密度対電位のプロットである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
好ましい態様の詳細な説明
本発明の現在の好ましい組成、態様、及び方法についての詳細を以下に示す。これは本発明者らが現在知っている本発明を実施する最良の形態を構成する。図面を目安にする必要はない。しかし、開示する態様は単に本発明の例示であり、多様な形態及び代替形態で具現化され得ることを理解すべきである。故に、本明細書中で開示された特定の詳細は、限定として解釈してはならず、しかし本発明の任意の側面についての代表的な基準として及び/又は当業者に本発明の多様な実施を教示する代表的な基準として解釈されるべきである。
【0013】
実施例又は特に断わりがある場合以外では、本明細書において材料の量、或いは、反応及び/又は使用の条件を示す全ての数量は、本発明の最大の範囲を説明する語句「約」によって修飾されていると理解すべきである。言及される数値限定内の実施が一般的に好ましい。また、逆のことについての言及がなければ、パーセント、「部」、及び割合の値は質量に基づき;用語「ポリマー」は「オリゴマー」、「コポリマー」、「ターポリマー(terpolymer)」等を含み;本発明に関連する所与の目的についての適切な又は好ましい材料の群又はクラスの説明は、群又はクラスのメンバーの任意の2以上の混合物も等しく適切である又は好ましいことを包含し;化学用語における構成要素の説明は本明細書に特定された任意の組み合わせに加えたときに追加された構成要素を言及し、一度混合された混合物の構成要素中における化学相互作用を必ずしも排除せず;頭文字又は他の省略形の最初に示された定義は、本明細書内に続く全ての同じ省略形に適用され、最初に定義された省略形の必要な変更を加えた通常の文法的変形にも適用され;そして、特に逆の断わりがなければ、特性の測定は同じ特性についての先に又は後に言及された同じ方法により測定される。
【0014】
本発明は以下に記載する具体的な態様及び方法に限定されないことも理解すべきであり、具体的な成分及び/又は条件は、勿論変動し得る。その上さらに、本明細書に用いられる用語は、本発明の特定の態様を説明する目的のみに用いられ、如何なる方法においても限定することを意図していない。
【0015】
本明細書及び添付する特許請求の範囲において用いられる単数形の冠詞(“a”、“an”、及び“the”)は、その内容についての明確な断わりがない限り、複数形を含む。例えば、単数形の成分についての言及は、複数の成分を含むことを意図する。
【0016】
本願全体について刊行物が参照されるが、これら刊行物の開示の全体をここに参照により本願に援用して本願が属する技術の水準をより完全に説明する。
図2は、本発明の燃料電池の態様の概略図を提供する。燃料電池スタック30はアノード層32を含み、その上にポリマー性イオン伝導膜34が配置されている。ポリマー性イオン伝導膜34はプロトン伝導性材料を含んでなる。変形例において、ポリマー性イオン伝導膜34はアノード層32上に配置されかつ物理的に接触する。アノード層32は典型的にアノード触媒層であり、担体材料上に含浸された触媒を含む。適する触媒は貴金属又はその合金、或いは貴金属/卑金属合金、或いは当該技術分野で知られるH2酸化反応のための他の触媒を含む。適するポリマー性イオン伝導材料の例には、DuPontによりプロトン伝導性膜として開発されたNafion膜、他のパーフルオロスルホン酸イオノマー膜、炭化水素系膜、又はリン酸をイオン伝導物として含む膜(例えばポリベンズイミダゾール系膜)が含まれる。
【0017】
第一犠牲層(sacrificial layer)36がポリマー性イオン伝導膜34上に配置されかつこの膜に接触する。カソード層38は同様に第一犠牲層36上に接触して配置される。カソード層38はカソード触媒層であり、炭素上に担持された触媒を含む。また、適する触媒は貴金属及びその合金、或いは貴金属/卑金属合金、或いは当該技術分野で知られるO2還元反応のための他の触媒を含む。図2には、水素がそれを通じて拡散しアノード層32に到達するアノード拡散媒体40と、電気的プレート(electrical plate)44中のチャネルにより画定された燃料流動チャネル42も示される。一変形例において、第一犠牲層36は1〜20μmの厚さを有する。別の変形例において、第一犠牲層36は1〜10μmの厚さを有する。さらに別の変形例において第一犠牲層36は2〜5μmの厚さを有する。
【0018】
第一犠牲層36は有利にはカソード中の触媒を担持する炭素(「カソード触媒炭素担体」とよぶ)よりも速い速度で電気的酸化(electro-oxidize)を行う有効量の反応性材料を含む。効果的な反応性材料は、カソード層38におけるカソード触媒炭素担体の電気的酸化速度よりも少なくとも2倍速い電気的酸化速度(即ち、腐食速度)を有する。他の変形例において、反応性材料の電気的酸化速度は、カソード層38におけるカソード触媒炭素担体の電気的酸化速度よりも少なくとも5倍速い。さらに他の変形例では、反応性材料の電気的酸化速度は、カソード層38におけるカソード触媒炭素担体の電気的酸化速度よりも少なくとも10倍速い。典型的には、有用な反応性材料は高いBET表面積を有する。一変形例において、BET表面積は約200〜約2000m2/gである。別の変形例において、BET表面積は約200〜約2000m2/gである。
【0019】
特に有用な反応性材料は、カソード層におけるカソード触媒の炭素担体よりも速い速度で電気的酸化を行う種々の炭素を含む。有用な反応性材料用炭素の例は、ブラックパール(Black Pearl)、ケッチェンブラック(Ketjen Black)、バルカンカーボン(Vulcan carbon)、活性化非晶質炭素、当該技術で知られる他の高表面積炭素、及びこれらの組み合わせを含むがこれに限定されない。表1は様々な種類の炭素の炭素腐食速度を示す。表1のデータは、MEAに塗布され、95℃及び120kPa abs H2で操作される可逆的水素標準電極(「RHE」)に対して1.2Vの電位、窒素下、95℃、及び80%相対湿度下で腐食された炭素及び触媒された炭素について計測する。
【0020】
【表1】

【0021】
表1に示されるように、高いBET表面積(Brunauer, S., P.H. Emmett及びE. Teller: J. Am. Soc., 60, 309, 1938に示される方法により測定)を有する炭素、即ち、ブラックパール及びケッチェンブラックは、これら条件下で高い炭素腐食速度を有する。白金(又は他の貴金属及び貴金属酸化物)を有するこれら炭素の触媒は典型的に、これら炭素の腐食速度を2倍向上させる(表1を参照のこと)。より腐食耐性の炭素担体(触媒されていてもされていなくてもよい)、即ち、アセチレンブラック、グラファイト化ケッチェンブラック等、と比較すると、ブラックパール及びケッチェンブラックの腐食速度は有意に高く、カソード触媒がアセチレンブラック又はグラファイト化カーボンブラック(例えばグラファイト化ケッチェンブラック、グラファイト化ブラックパール、グラフアイト化バルカンカーボン等)上に担持されるならば、犠牲炭素(sacrificial carbon)として用いることができるほどである。表1から注目されることは、炭素の腐食速度はそのBET表面積の向上により高まるだけではなく、そのグラファイト特性を減少させることによっても高まる(例えば、ケッチェンブラックのBET表面積はグラファイト化ケッチェンブラックの5倍大きいに過ぎない一方で、ケッチェンブラックの腐食速度はグラファイト化ケッチェンブラックの速度の約30倍速い)。一般的に、適する犠牲炭素は、ケッチェンブラック、ブラックパール、活性炭(activated carbon)、及びいわゆるサーマルブラック(thermal black)の場合のように、低いグラファイト特性(即ち、高い非晶質炭素)を有し、及び/又は高いBET表面積を有する炭素である。より一般的な意味では、適する犠牲材料(sacrificial material)は、カソード触媒に用いられる炭素担体の腐食速度に比べて(その質量基準で)より速い速度で腐食する材料である。
【0022】
犠牲層36に塗布できる犠牲材料の量はMEAの性能を減少させないために制限しなければならないことが当業者に明白である。アノード触媒層32で発生したプロトンは、カソード触媒層38においてカソード反応により消費されるために、プロトン伝導性膜34及び犠牲層36の両方を通過しなければならない。故に、犠牲層36のプロトン伝導性は、MEAの性能を有意に低減させないように、高くなければならない。これは、犠牲層36が充分なイオノマー量(プロトン伝導性材料)を有し、充分に薄いことを必要とする。ブラックパール及びケッチェンブラックのような適する犠牲炭素は、高度に構造化された炭素であり、故に、ca.20%容量の低い充填密度である。これは、0.2mg炭素/cm2を充填した犠牲炭素層が、約5μmの厚さを有し、80容量%までのプロトン伝導性イオノマーを含むことを示唆する。より高い充填密度を有する犠牲炭素がしたがって望ましく、それらは犠牲炭素層の厚さを最小化させ、及び/又は層における犠牲炭素の充填を向上させる。故に、本発明の精神に適する反応性材料、特に犠牲炭素は、20容量%に等しいかそれより大きい充填密度を有する材料である。本発明の他の変形例では、反応性材料(又は炭素)は、40容量%に等しいかそれより大きい充填密度を有する。さらに他の変形例では、反応性材料(又は炭素)は50容量%に等しいかそれよりも大きい充填密度を有する。同様に、この層を通じてのプロトン伝導を改良するために、犠牲層の空間容量の有意な部分をプロトン伝導性材料で満たすことができることは当業者に明白である。変形例において、プロトン伝導性材料は約20%から約100%の空間容量を満たす。
【0023】
概して、適する犠牲材料は高い非晶性を有し、高いBET表面積を有し、高い充填密度を有する(例えば低いDBP値により計測、T. Tada, Handbook of Fuel Cells Fundamentals, Technology, and Applications (W, Vielstich, A. Lamm, H.A. Gasteiger編), Wiley (2003) vol. 3, chapter 38, pg. 481を参照のこと)。
【0024】
犠牲炭素層の最良のプロトン伝導性は全ての空間容量がプロトン伝導性材料で埋められたときに生じる一方で、プロトン伝導性材料の最適な空間割合は、犠牲炭素層を通じての電子伝導性が減少しない範囲でプロトン伝導性が最大化したときである。なぜならば、プロトン伝導性材料が導電性材料としても用いられるとき(即ち、プロトン伝導性基を有する電気伝導性ポリマー)以外は、プロトン伝導性材料は一般に電気絶縁性だからである。
【0025】
図中の説明から、犠牲層36に用いることができる他の任意の犠牲材料が、充填密度及び腐食速度について同じ要求を有することも明白だろう。
本態様の一定の他の変形、特に反応性材料が炭素の時には、反応性材料は0.1〜0.4mg/cm2の量で存在する。本態様の他の変形例、特に反応性材料が炭素の時には、反応性材料は0.1〜0.2mg/cm2の量で存在する。より具体的な態様では、0.2mg/cm2の犠牲炭素の充填(分離層として〜5μm厚さ)において、本態様の企図された改良は、犠牲炭素層を有しないMEAと比較して、約5〜10倍である。
【0026】
アノード層32及びカソード層38における触媒を担持するのに用いられる炭素は、丈夫でかつ腐食耐性であるべきである。使用可能なタイプの炭素は、米国特許公報6,855,453に開示されたグラファイト化炭素である。この特許の全開示をここに参照として援用する。このグラファイト化炭素は、熱処理(約3000℃)された炭素であり、標準的な炭素の構造が非晶質から結晶質へと変化されている。他の適するカソード触媒炭素担体は、アセチレンブラック類である。一般に、上記の通り、犠牲層の有効性を表す重要な測定は、犠牲材料と、カソード触媒層におけるカソード触媒の炭素担体との間の腐食速度の比である。
【0027】
図3は、本発明の燃料電池の別の態様の概略図を提供する。この態様は、図2に関連して記載される態様に相当するが、アノード層32とポリマー性イオン伝導膜34との間に第二犠牲層が配置されている。さらに、この態様は、背景技術の欄で述べたセルリバーサルの状況下でのアノード腐食耐性を可能とする。燃料電池スタック44は、アノード層32を含み、その上に第二犠牲層48が配置される。この態様において、ポリマー性イオン伝導膜34は犠牲層48上に配置される。変形例において、ポリマー性イオン伝導膜34は、ポリマー性イオン伝導第二犠牲層48に物理的に接触しかつその上に配置される。アノード層32は典型的にアノード触媒層であり、担体材料上に含浸された触媒を含む。犠牲炭素層36は、ポリマー性イオン伝導膜34に接触してその上に配置される。カソード層38は同様に犠牲層36に接触してその上に配置される。カソード層38はカソード触媒層であり、炭素上に担持された触媒を含む。一変形例において、第二犠牲層48は1〜20μmの厚さを有する。別の変形例において、第二犠牲層48は1〜10μmの厚さを有する。さらに別の変形例において、第二犠牲層48は2〜5μmの厚さを有する。
【0028】
本態様において、第一犠牲層36及び第二犠牲層48の両方は、カソード及びアノードにおいて触媒を担持する炭素よりも速い速度で電気的酸化を行う反応性材料を有効量含む。この態様において、第一犠牲層36及び第二犠牲層48の両方は、カソード及びアノードにおける触媒を担持する炭素よりも速い速度で電気的酸化を行う有効量の反応性材料を含む。効果的な反応性材料はカソード層38及びアノード層32における触媒炭素担体の電気的酸化速度よりも少なくとも2倍速い電気的酸化速度(即ち腐食速度)を有する。好ましくは、反応性材料の電気的酸化速度は、カソード層38及びアノード層32における触媒炭素担体の電気的酸化速度よりも5倍大きい。最も好ましくは、反応性材料の電気的酸化速度は、カソード層38及びアノード層32における触媒炭素担体の電気的酸化速度よりも10倍大きい。この態様において、犠牲層48及び36の特徴は、図2の上記説明と同じである。
【0029】
図4は本発明の燃料電池の更に別の態様の概略図を提供する。燃料電池60はアノード層32を含み、その上にポリマー性イオン伝導膜34が配置される。変形例において、ポリマー性イオン伝導膜34はアノード層32に物理的に接触して上に配置される。アノード層32は典型的にアノード触媒層であり、担体材料上に含浸された触媒を含む。カソード層62は同様にポリマー性イオン伝導膜34上に配置される。有効量の反応性材料64がカソード層62全体を通じて分配(即ち、分散)される。カソード層62は、炭素上に担持された触媒を含む。上記の通り、反応性材料64は、図2の記載に関連して上記した量と同じである有効量で、カソードにおける触媒を担持する炭素よりも速い速度で電気的酸化を行う材料である。さらに、量、空間容量、炭素の使用を含む反応性材料の特徴は、図2の説明に関連して上記したものと同じである。
【0030】
図5は本発明の燃料電池の更に別の態様の概略図を示す。燃料電池70はアノード層72を含み、その上にポリマー性イオン伝導膜34が配置される。変形例において、ポリマー性イオン伝導膜34は、アノード層72に物理的に接触してその上に配置される。アノード層72は担体材料上に含浸された触媒を含む。カソード層62は同様にイオン伝導膜34上に配置される。有効量の反応性材料64がアノード層72及びカソード層62の全体を通じて分配(即ち分散)される。上記の通り、カソード層62はカソード触媒層であり、炭素上に担持された触媒を含む。上記の通り、反応性材料64は、図2の説明に関連して上記した量と同じ量である有効量で、カソードにおける触媒を担持する炭素よりも速い速度で電気的酸化を行う材料である。さらに、量、空間容量、及び炭素の使用を含む反応性材料の特徴は、図2の説明に関連する上記のものと同じである。
【0031】
上記の本発明の態様の各々は、個別の層中の犠牲材料又は電極内部に分散された犠牲材料のいずれも含む。適する犠牲材料は炭素であり、詳細には、高BET表面積及び/又は低グラファイト特性の両方から由来し得る高い炭素腐食速度を有することが知られるタイプの炭素である(例えば、非グラファイト化ファーナスブラック(non-graphitized furnace black)、サーマルブラック、活性炭等)。本発明の使用に適するタイプの炭素の例は、ブラックパール、ケッチェンブラック等を含むがこれらに限定されない。高い非晶性、低い構造性(即ち、低いDBP値を有する炭素)、及び/又は高いBET表面積を有する炭素は、特に本発明の犠牲炭素として使用するのに適する。本発明の別の変形例では、犠牲炭素は炭素腐食速度を触媒する触媒性添加物(表1を参照のこと)を含み、それにより低濃度の触媒活性添加物を用いることができる(0.5〜50質量%、好ましくは0.5〜5質量%)。適する貴金属添加物の例は、貴金属、貴金属合金、貴金属/卑金属合金、又はその酸化物が含まれるがこれらに限定されない。具体的な例には、金属形態又は酸化物形態、ならびび合金、及びその混合物であるPt、Pd、Ir、Ru、及びRhが含まれるがこれらに限定されない。
【0032】
犠牲炭素層の厚さを最適化する様々な考慮が組み入れられる。例えば、層の厚さが増加すると、燃料電池のプロトン輸送抵抗性が増加する。0.2mg/cm2での犠牲炭素層の充填と高い構造性を有するカーボンブラック(例えばケッチェンブラック、ブラックパール等)の使用は、約5μmの厚さとなるだろう。膜の厚さは典型的に約25μmであることを思い出すべきである。プロトンは犠牲炭素層を通過してカソードに到達しなければならないから、犠牲炭素層はイオン伝導剤としても機能しなければならず、したがって、空間容量におけるより多量のイオノマーを犠牲炭素層内に形成することが望ましい。しかし、電子伝導性要求には、犠牲炭素層における炭素量を向上させることが望ましい傾向がある。このため、より高い充填密度を有する犠牲炭素が望ましい。本発明に概説される犠牲層の厚さは、1〜20μmであり、好ましくは1〜10μmであり、最も好ましくは2〜5μmである。
【0033】
図6には、電流密度対電位のプロットが示されている。図6において、50%Pt/グラファイト化ケッチェン(0.4mg/cm2)上の酸素放出(oxygen evolution)についての電流密度対電位は、上に挙げた反応(1)に従って与えられる。燃料電池の作動中、カソードからアノードへポリマー性イオン伝導膜を通じて透過するO2分子は、O2クロスオーバー電流(O2crossover current)として表すことができる。本発明に従って、このO2クロスオーバー電流は、カソード触媒層からの酸素放出電流及び炭素腐食電流と、犠牲炭素腐食電流との合計により釣り合うことができる。炭素腐食反応は上記の反応(2)に従う。図6は、カソード層がPt/グラファイト化ケッチェンブラックを含み、犠牲炭素層がブラックパール炭素であるときの例を示す。図6に示されたものにおいて犠牲炭素が用いられなければ、Pt/グラファイト化ケッチェンブラックの腐食電流により77%のO2クロスオーバー電流が釣り合うことも見出される。犠牲炭素が存在するとき、犠牲炭素層の腐食から生じるO2クロスオーバー電流に釣り合うのに必要な電流の残りを有するPt/グラファイト化ケッチェンブラックの腐食により、O2クロスオーバー電流の4%しか釣り合わない。優先して腐食されるという犠牲炭素層の能力は、図6におけるブラックパール腐食についての電流密度耐電位プロットから容易に見出され、このプロットの交点はO2クロスオーバー電流を有する。従って、図6は犠牲炭素が触媒層における触媒担体として用いられる炭素よりもより容易に腐食されることを実証する。
【0034】
本発明の態様を例示し説明しているが、これら態様が本発明の全ての可能な形態を例示し説明するとは意図していない。むしろ、本明細書に用いられる用語は、限定というよりも説明のための用語であり、本発明の精神及び範囲から逸脱しない範囲内で多様な変形が行われることが理解される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アノード触媒層;
アノード触媒層上に配置されるポリマー性イオン伝導膜;
カソード触媒炭素担体上に配置されるカソード触媒を含んでなり、かつポリマー性イオン伝導膜上に配置されるカソード触媒層;及び
カソード触媒炭素担体よりも速い運動速度で電気的酸化を行う、カソード触媒層に近接するか又はカソード触媒層内に分配される有効量の反応性材料
を含んでなる燃料電池。
【請求項2】
カソード触媒層及びポリマー性イオン伝導層の間に配置される第一犠牲層をさらに含んでなり、該犠牲層が反応性材料の少なくとも一部を含んでなる、請求項1に記載の燃料電池。
【請求項3】
犠牲層が、空間容量を有する層と、その空間容量の少なくとも一部を埋めるプロトン伝導性材料とを含んでなる、請求項2に記載の燃料電池。
【請求項4】
プロトン伝導性材料が電気伝導性である、請求項3に記載の燃料電池。
【請求項5】
プロトン伝導性材料が約20%から約100%の空間容量を埋める、請求項3に記載の燃料電池。
【請求項6】
アノード触媒層及びポリマー性イオン伝導層との間に配置される第二犠牲層をさらに含んでなり、該第二犠牲層は反応性材料の少なくとも一部を含んでなる、請求項2に記載の燃料電池。
【請求項7】
反応性材料の腐食速度が、カソード触媒炭素担体の腐食速度の少なくとも2倍である、請求項1に記載の燃料電池。
【請求項8】
反応性材料の腐食速度が、カソード触媒炭素担体の腐食速度の少なくとも5倍である、請求項1に記載の燃料電池。
【請求項9】
反応性材料の腐食速度が、カソード触媒炭素担体の腐食速度の少なくとも10倍である、請求項1に記載の燃料電池。
【請求項10】
反応性材料が約20容量%に等しいかそれよりも大きい充填密度を有する、請求項1に記載の燃料電池。
【請求項11】
反応性材料が約40容量%に等しいかそれよりも大きい充填密度を有する、請求項1に記載の燃料電池。
【請求項12】
反応性材料が約50容量%に等しいかそれよりも大きい充填密度を有する、請求項1に記載の燃料電池。
【請求項13】
反応性材料の少なくとも一部がアノード触媒層の全体を通じて分散されている、請求項12に記載の燃料電池。
【請求項14】
反応性材料の少なくとも一部がカソード触媒層の全体を通じて分散されている、請求項1に記載の燃料電池。
【請求項15】
犠牲層が1〜20μmの厚さを有する、請求項1に記載の燃料電池。
【請求項16】
犠牲層が1〜10μmの厚さを有する、請求項1に記載の燃料電池。
【請求項17】
犠牲層が2〜5μmの厚さを有する、請求項1に記載の燃料電池。
【請求項18】
反応性材料が炭素を含んでなる、請求項1に記載の燃料電池。
【請求項19】
反応性材料が200〜2000m2/gの犠牲炭素のBET表面積を有する、請求項1に記載の燃料電池。
【請求項20】
アノード触媒層;
アノード触媒層上に配置されるポリマー性イオン伝導膜;
炭素担体上に配置されるカソード触媒を含んでなり、かつポリマー性イオン伝導膜上に配置されるカソード触媒層;及び
カソード触媒炭素担体よりも速い速度で電気的酸化を行う、カソード触媒層に近接するか又はカソード触媒層内に分配される有効量の犠牲炭素
を含んでなる燃料電池。
【請求項21】
カソード触媒層及びポリマー性イオン伝導層の間に配置された第一犠牲層をさらに含んでなり、該犠牲炭素層が犠牲炭素の少なくとも一部を含んでなる、請求項1に記載の燃料電池。
【請求項22】
犠牲層が空間容量を有する層と、その空間容量の少なくとも一部を埋めるプロトン伝導性材料とを含んでなる、請求項21に記載の燃料電池。別の変形では、プロトン伝導性材料は電気伝導性でもある。
【請求項23】
プロトン伝導性材料が約20%〜約100%の空間容量を埋める、請求項22に記載の燃料電池。
【請求項24】
アノード触媒層とポリマー性イオン伝導膜との間に配置される第二犠牲炭素層を更に含んでなり、該第二犠牲炭素層が犠牲炭素の少なくとも一部を含んでなる、請求項20に記載の燃料電池。
【請求項25】
犠牲炭素の少なくとも一部がカソード触媒層の全体を通じて分散されている、請求項20に記載の燃料電池。
【請求項26】
犠牲炭素の少なくとも一部がアノード触媒層の全体を通じて分散されている、請求項25に記載の燃料電池。
【請求項27】
犠牲炭素が200〜2000m2/gである犠牲炭素のBET表面積を有する、請求項20に記載の燃料電池。
【請求項28】
犠牲炭素が、ブラックパール、ケッチェンブラック、バルカンカーボン、活性化非晶質炭素、高表面積炭素、これらの混合物、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される炭素である、請求項20に記載の燃料電池。
【請求項29】
犠牲炭素が、金属形態、金属酸化物形態、合金、又はその混合物としてのPt、Pd、Ir、Ru、及びRhからなる群から選択される貴金属添加物を含む、請求項20に記載の燃料電池。
【請求項30】
犠牲炭素が0.1〜0.4mg/cm2の量で存在する、請求項20に記載の燃料電池。
【請求項31】
犠牲炭素の腐食速度が、カソード触媒炭素担体の腐食速度の少なくとも2倍である、請求項20に記載の燃料電池。
【請求項32】
犠牲炭素の腐食速度が、カソード触媒炭素担体の腐食速度の少なくとも5倍である、請求項20に記載の燃料電池。
【請求項33】
犠牲炭素の腐食速度が、カソード触媒炭素担体の腐食速度の少なくとも10倍である、請求項20に記載の燃料電池。
【請求項34】
犠牲炭素が約20容量%に等しいかそれよりも大きい充填密度を有する、請求項20に記載の燃料電池。
【請求項35】
犠牲炭素が約40容量%に等しいかそれよりも大きい充填密度を有する、請求項20に記載の燃料電池。
【請求項36】
犠牲炭素が約50容量%に等しいかそれよりも大きい充填密度を有する、請求項20に記載の燃料電池。
【請求項37】
犠牲層が1〜20μmの厚さを有する、請求項20に記載の燃料電池。
【請求項38】
犠牲層が1〜10μmの厚さを有する、請求項20に記載の燃料電池。
【請求項39】
犠牲層が2〜5μmの厚さを有する、請求項20に記載の燃料電池。
【請求項40】
アノード触媒層;
アノード触媒層上に配置されるポリマー性イオン伝導膜;
200〜2000m2/gのBET表面積を有する炭素を含んでなり、かつポリマー性イオン伝導層上に配置される第一犠牲炭素層;及び
炭素担体上に配置されるカソード触媒を含んでなり、かつポリマー性イオン伝導膜上に配置されるカソード触媒層
を含んでなる燃料電池。
【請求項41】
アノード触媒層とポリマーイオン伝導性層との間に配置される第二犠牲層を更に含んでなる、請求項40に記載の燃料電池。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−253039(P2012−253039A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−197040(P2012−197040)
【出願日】平成24年9月7日(2012.9.7)
【分割の表示】特願2007−187949(P2007−187949)の分割
【原出願日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【出願人】(505212049)ジーエム・グローバル・テクノロジー・オペレーションズ・インコーポレーテッド (221)
【Fターム(参考)】