説明

燃料電池

【課題】セルモニタの劣化を抑制し易くする。
【解決手段】燃料電池10であって、積層された複数の単セル100と、前記複数の単セルの積層方向両端に配置されるエンドプレート110、120(122、126)と、前記エンドプレート122の前記単セル100側と反対側の第1面に配置されるセルモニタ200と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池用セルモニタの搭載に関するものである。
【背景技術】
【0002】
燃料電池における発電状態をモニタするために、セルモニタが配置されている。従来のセルモニタは、スタックケース内の燃料電池スタックの上方又は下方に搭載されていた(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開公報WO2006/090922
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし従来の燃料電池では、スタックケース内は、高温、多湿になりやすいため、セルモニタが劣化し易いという問題があった。
【0005】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決し、セルモニタの劣化を抑制し易くすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0007】
[適用例1]
燃料電池であって、積層された複数の単セルと、前記複数の単セルの積層方向両端に配置されるエンドプレートと、前記エンドプレートの前記単セル側と反対側の第1面に配置されるセルモニタと、を備える、燃料電池。
この適用例によれば、セルモニタをエンドプレートの前記単セル側と反対側の面に配置するので、セルモニタを高温環境から回避させやすい。その結果、セルモニタの劣化を抑制し易くすることが可能となる。
【0008】
本発明は、種々の形態で実現することが可能であり、例えば、燃料電池の他、セルモニタの配置方法等、様々な形態で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第1の実施例に係る燃料電池を模式的に示す説明図である。
【図2】比較例の燃料電池を模式的に示す説明図である。
【図3】本発明の第2の実施例に係る燃料電池を模式的に示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[第1の実施例]
図1は、本発明の第1の実施例に係る燃料電池を模式的に示す説明図である。図1(A)は、燃料電池をY方向から見たときの説明図であり、図1(B)は、燃料電池をZ方向から見たときの説明図である。燃料電池10は、スタックケース400に納められている。燃料電池10は、複数の単セル100と、エンドプレート110、120と、締結パイプ130と、セルモニタ200と、を備える。単セル100はX方向に積層されて燃料電池スタック105を形成している。燃料電池スタック105のX方向両側には、それぞれエンドプレート110、120が配置されている。
【0011】
第1のエンドプレート110は、例えば金属製の平板である。第1のエンドプレート110には、冷媒供給配管300と、冷媒排出配管310と、燃料ガス供給配管320と、燃料ガス排出配管(図示せず)と、酸化ガス供給配管340と、酸化ガス排出配管(図示せず)と、が接続されている。第2のエンドプレート120は、単セル側プレート122と、外側プレート126とを備える。単セル側プレート122は、例えば金属製の平板である。単セル側プレート122の外側プレート126側の面には凹部123が形成され、単セル100側の面には凹部124が形成されている。
【0012】
冷媒供給配管300と、単セル側プレート122の凹部124とは、冷媒供給マニホールド305により接続されている。なお、冷媒供給マニホールド305は、第1のエンドプレート110及び単セル100を貫通している。また、冷媒排出配管310と、凹部124とは、冷媒排出マニホールド315により接続されている。なお、冷媒排出マニホールド315は、第1のエンドプレート110及び単セル100を貫通している。凹部124は、冷媒供給マニホールド305と冷媒排出マニホールド315とを繋ぎ、単セル側プレート122を冷却するための冷媒を流す流路として機能する。したがって、凹部124を、「冷媒流路124」とも呼ぶ。
【0013】
締結パイプ130は、第1のエンドプレート110と、第2のエンドプレート120とを連結し、燃料電池スタックを締結するために用いられている。
【0014】
セルモニタ200は、単セル100の電位、電流、温度等、単セルの状態を監視するための装置である。セルモニタ200は、単セル側プレート122の凹部123に中に配置されている。そして、セルモニタを格納した凹部123を覆うように外側プレート126が配置されている。本実施例では、外側プレート126の単セル側プレート122側にも凹部が設けられているが、外側プレート126の凹部は無くてもよい。すなわち、凹部123の中にセルモニタを完全に納めることが可能であれば、外側プレート126はフラットであってもよい。セルモニタ200と各単セル100とは、セルモニタケーブル210により接続されている。なお、図1(A)では、セルモニタケーブル210は、一部のみ記載している。
【0015】
図2は、比較例の燃料電池を模式的に示す説明図である。比較例では、エンドプレート120は1枚のプレートであり、セルモニタ200が、燃料電池スタック105のZ方向に配置されている。
【0016】
比較例では、セルモニタ200が剥き出し状態のため外力により損傷する恐れがある。これに対し、第1の実施例では、セルモニタ200は、第2のエンドプレート120の内部、すなわち、単セル側プレート122の凹部123の中に配置され、凹部123は、外側プレート126により蓋が被せられている。すなわち、セルモニタ200は、単セル側プレート122、外側プレート126により囲われている。その結果、外力によるセルモニタ200の損傷を抑制することが可能となる。
【0017】
また、比較例では、セルモニタ200を冷却することは困難である。これに対し、第1の実施例では、凹部124に流す冷媒により単セル側プレート122を冷却し、単セル側プレート122によりセルモニタ200を冷却することが可能である。その結果、熱によるセルモニタ200の劣化を抑制することが、可能となる。以上のように、第1の実施例によれば、セルモニタ200の劣化を抑制することが容易となる。なお、凹部124を備えていなくても、単セル側プレート122に隣接する単セル100を冷却することにより、単セル側プレート122を冷却することが可能である。
【0018】
[第2の実施例]
図3は、本発明の第2の実施例に係る燃料電池を模式的に示す説明図である。第2の実施例は、締結パイプ130(135)が中空になっており、セルモニタケーブル210(210L、210R)が、締結パイプ130(135)の内部を通っている点が第1の実施例と異なる。
【0019】
第2の実施例によれば、セルモニタケーブル210は、締結パイプ130の中を通っているので、セルモニタケーブル210が外力により損傷することを抑制することが可能である。また、セルモニタケーブル210の本数は、単セル100の数と同じである。単セル100の数が多いと、セルモニタケーブル210の本数も多くなり、セルモニタケーブル210の引き回しが複雑になるが、第2の実施例によれば、締結パイプ130の中にセルモニタケーブル210を通すので、セルモニタケーブル210の引き回しが複雑になり難い。
【0020】
なお、本実施例では、第1のエンドプレート110側の単セル100Lと接続されるセルモニタケーブル210Lは、第1の締結パイプ130の中を通り、第2のエンドプレート120側の単セル100Rと接続されるセルモニタケーブル210Rは、第2の締結パイプ135の中を通っている。燃料電池10は、一般に複数の締結パイプ130を備えているので、単セル100ごとに、セルモニタケーブル210を各締結パイプに分けて通すようにしてもよい。こうすれば、1つの締結パイプ130にセルモニタケーブル210が集中することを抑制することが可能となる。
【0021】
以上、いくつかの実施例に基づいて本発明の実施の形態について説明してきたが、上記した発明の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨並びに特許請求の範囲を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれることはもちろんである。
【符号の説明】
【0022】
10…燃料電池
100、100L、100R…単セル
105…燃料電池スタック
110…第1のエンドプレート
120…第2のエンドプレート
122…単セル側プレート
123…凹部
124…凹部(冷媒流路)
126…外側プレート
130、135…締結パイプ
200…セルモニタ
210、210L、210R…セルモニタケーブル
300…冷媒供給配管
305…冷媒供給マニホールド
310…冷媒排出配管
315…冷媒排出マニホールド
320…燃料ガス供給配管
340…酸化ガス供給配管
400…スタックケース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池であって、
積層された複数の単セルと、
前記複数の単セルの積層方向両端に配置されるエンドプレートと、
前記エンドプレートの前記単セル側と反対側の第1面に配置されるセルモニタと、
を備える、
燃料電池。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−257804(P2010−257804A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−107218(P2009−107218)
【出願日】平成21年4月27日(2009.4.27)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】