説明

燃料電池

【課題】電流取出部の発熱による絶縁プレートの劣化を抑制することを目的とする。
【解決手段】燃料電池10であって、単セル100と、前記単セルに隣接して配置されたターミナルプレート200と、前記ターミナルプレートの前記単セルと反対側の面に隣接して配置された絶縁プレート300と、前記絶縁プレートの前記ターミナルプレートと反対側の面に隣接して配置されたエンドプレート400と、を備え、前記ターミナルプレートは、燃料電池から電流を取り出すための電流取出部205を有し、前記絶縁プレートは、前記電流取出部近傍において、前記エンドプレートに折れ曲がり、前記電流取出部から離間している折曲部305を有しており、前記エンドプレートは、前記絶縁プレート側の前記折曲部近傍に切欠部を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池の電流取出部の構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
燃料電池は、複数の単セルが積層されており、単セルからエンドプレートに向かって、単セル、ターミナルプレート、絶縁プレート、エンドプレートの順番に部材が配置されている。そして、ターミナルプレートから電流を取り出している(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−285402号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ターミナルプレートの電流取出部は、電流が集中するため発熱し易い。しかし、従来の燃料電池では、電流取出部の発熱による絶縁プレートの劣化については十分に検討されていなかった。
【0005】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決し、電流取出部の発熱による絶縁プレートの劣化を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0007】
[適用例1]
燃料電池であって、単セルと、前記単セルに隣接して配置されたターミナルプレートと、前記ターミナルプレートの前記単セルと反対側の面に隣接して配置された絶縁プレートと、前記絶縁プレートの前記ターミナルプレートと反対側の面に隣接して配置されたエンドプレートと、を備え、前記ターミナルプレートは、燃料電池から電流を取り出すための電流取出部を有し、前記絶縁プレートは、前記電流取出部近傍において、前記エンドプレートに折れ曲がり、前記電流取出部から離間している折曲部を有しており、前記エンドプレートは、前記絶縁プレート側の前記折曲部近傍に切欠部を有している、燃料電池。
この適用例によれば、絶縁プレートは、発熱し易い電流取出部から離間しているので、絶縁プレートの熱による劣化を抑制することが可能である。
【0008】
本発明は、種々の形態で実現することが可能であり、例えば、燃料電池の他、燃料電池における絶縁プレートの劣化抑制方法等、様々な形態で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施例に係る燃料電池の断面の一部を模式的に示す説明図である。
【図2】ターミナルプレートの平面を示す説明図である。
【図3】燃料電池の電流取出部近傍を拡大して示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、本発明の実施例に係る燃料電池の断面の一部を模式的に示す説明図である。燃料電池10は、複数の単セル100と、ターミナルプレート200、210と、インシュレータ300、310と、エンドプレート400、410と、締結ボルト500と、を備える。単セル100はX方向に積層し、燃料電池スタック110を形成している。
【0011】
ターミナルプレート200、210は、燃料電池スタック110のX方向の両端に配置されている金属製のプレートである。ターミナルプレート200、210は、Z方向にインデックスタブ状に突き出た電流取出部205、215を備える。
【0012】
インシュレータ300、310は、それぞれ、ターミナルプレート200、210の単セル100との反対側に配置されるプレートである。インシュレータ300、310は、絶縁性の材料で形成されている。絶縁性の材料として、例えば、非導電性の樹脂や、天然ゴムやブチルゴムなどのゴムなどを用いることが可能である。
【0013】
エンドプレート400は、インシュレータ300のターミナルプレート200と反対側に配置されている金属製のプレートである。エンドプレート410は、インシュレータ310のターミナルプレート210と反対側に配置されている金属製のプレートである。エンドプレート400と、410とは、締結ボルト500により締結されている。締結ボルト500は、例えば、金属で形成されている。したがって、エンドプレート400と410は、電気的に繋がっている。インシュレータ300、310は、エンドプレート400、410、締結ボルト500を介してターミナルプレート200と210とがショートすることを抑制している。
【0014】
エンドプレート410には、燃料電池10に燃料ガスを供給、排出するための燃料ガス配管600や酸化ガスを供給、排出するための酸化ガス配管610が接続されている。
【0015】
図2は、ターミナルプレートの平面を示す説明図である。ターミナルプレート200は、略四角形状の平板である。ターミナルプレート200は、4辺のうちの一辺に、インデックスタブ状の電流取出部205を有する。また、ターミナルプレート200は、四隅に、締結ボルトを通す開口部202を有している。なお、ターミナルプレート210(図示せず)は、ターミナルプレート200とほぼ同じ形状を有しているが、反応ガス(燃料ガス、酸化ガス)や冷媒を流すためのマニホールドを形成するための開口部を備えている点が異なる。なお、インシュレータ300と310、エンドプレート400と410の違いも、マニホールドを形成するための開口部を備えていないか、備えているか、の違いである。すなわち、インシュレータ300と、エンドプレート400は、開口部を備えており、インシュレータ310と、エンドプレート410は、開口部を備えていない。ターミナルプレート200では、電流取出部205に電流iが集中するため、電流密度が大きい。そのため、電流取出部205は、ターミナルプレート200の他の部分に比べて発熱する。
【0016】
図3は、燃料電池の電流取出部近傍を拡大して示す説明図である。図3(A)は、本実施例を示す説明図であり、図3(B)は、比較例を示す説明図である。図3(A)に示す本実施例では、エンドプレート400は、インシュレータ300側の面の電流取出部205近傍に切欠部405を備える。インシュレータ300は、電流取出部205近傍において、切欠部405側に折れ曲がり、電流取出部205から離間している。なお、この折れ曲がった部分を「折曲部」と呼ぶ。
【0017】
図3(B)に示す比較例では、エンドプレート400には、切欠部405が無く、インシュレータ300は、折れ曲がっていない。そのため、インシュレータ300は、電流取出部205と接している。
【0018】
燃料電池10の動作時には、電流取出部205に電流が集中し、電流取出部205が発熱する。比較例では、電流取出部205の熱は、インシュレータ300に伝わり、インシュレータ300の温度が上がる。そのため、インシュレータ300が熱により劣化し易くなる。また、インシュレータ300を、ある程度の耐熱性を有する材料、すなわち高価な材料で形成する必要がある。一方、本実施例では、インシュレータ300と電流取出部205とは接触していない。そのため、電流取出部205の温度が上がっても、インシュレータの温度は上がりにくい。そのため、本実施例では、インシュレータの熱による劣化を抑制することが可能となる。また、インシュレータ300の材料として、耐熱性の低い安価な材料を用いることが可能である。
【0019】
本実施例では、ターミナルプレート200の電流取出部205近傍を例にとって説明したが、ターミナルプレート210の電流取出部215近傍においても同様である。
【0020】
以上、いくつかの実施例に基づいて本発明の実施の形態について説明してきたが、上記した発明の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨並びに特許請求の範囲を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれることはもちろんである。
【符号の説明】
【0021】
10…燃料電池
100…単セル
110…燃料電池スタック
200、210…ターミナルプレート
202…開口部
205、215…電流取出部
300、310…インシュレータ
305…折曲部
400、410…エンドプレート
405…切欠部
500…締結ボルト
600…燃料ガス配管
610…酸化ガス配管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池であって、
単セルと、
前記単セルに隣接して配置されたターミナルプレートと、
前記ターミナルプレートの前記単セルと反対側の面に隣接して配置された絶縁プレートと、
前記絶縁プレートの前記ターミナルプレートと反対側の面に隣接して配置されたエンドプレートと、
を備え、
前記ターミナルプレートは、燃料電池から電流を取り出すための電流取出部を有し、
前記絶縁プレートは、前記電流取出部近傍において、前記エンドプレートに折れ曲がり、前記電流取出部から離間している折曲部を有しており、
前記エンドプレートは、前記絶縁プレート側の前記折曲部近傍に切欠部を有している、
燃料電池。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−262769(P2010−262769A)
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−110938(P2009−110938)
【出願日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】