燃料電池
【課題】簡単且つ経済的な構成で、電極触媒層の端部に劣化促進物質が滞留することを阻止し、固体高分子電解質膜等の劣化を有効に抑制することを可能にする。
【解決手段】燃料電池10は、電解質膜・電極構造体12とアノード側セパレータ14及びカソード側セパレータ16とが積層される。電解質膜・電極構造体12は、固体高分子電解質膜24の両側に、前記固体高分子電解質膜24よりも小さな表面積を有するアノード電極26及びカソード電極28を設ける。アノード側セパレータ14には、アノード電極26に対向して燃料ガス流路34が形成される。燃料ガス流路34を構成する外側流路溝34aの断面積は、内側流路溝34bの断面積よりも大きく設定されるとともに、アノード電極26を構成する電極触媒層26aの外周端部は、前記外側流路溝34aに対向して配置される。
【解決手段】燃料電池10は、電解質膜・電極構造体12とアノード側セパレータ14及びカソード側セパレータ16とが積層される。電解質膜・電極構造体12は、固体高分子電解質膜24の両側に、前記固体高分子電解質膜24よりも小さな表面積を有するアノード電極26及びカソード電極28を設ける。アノード側セパレータ14には、アノード電極26に対向して燃料ガス流路34が形成される。燃料ガス流路34を構成する外側流路溝34aの断面積は、内側流路溝34bの断面積よりも大きく設定されるとともに、アノード電極26を構成する電極触媒層26aの外周端部は、前記外側流路溝34aに対向して配置される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体高分子電解質膜の両側にそれぞれ電極触媒層及びガス拡散層を有する電極が設けられた電解質膜・電極構造体と、セパレータとが積層されるとともに、前記セパレータには、前記電極に対向して反応ガスを電極面方向に沿って流通させる反応ガス流路が形成される燃料電池に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、固体高分子型燃料電池は、高分子イオン交換膜からなる固体高分子電解質膜を採用している。この燃料電池は、固体高分子電解質膜の両側に、それぞれ電極触媒(電極触媒層)と多孔質カーボン(ガス拡散層)からなるアノード電極とカソード電極とを配設した電解質膜・電極構造体(MEA)を、セパレータ(バイポーラ板)によって挟持する発電セルを構成している。通常、燃料電池では、発電セルを所定の数だけ積層した燃料電池スタックが、例えば、車載用燃料電池スタックとして使用されている。
【0003】
一般的に、電解質膜・電極構造体では、アノード電極及びカソード電極が固体高分子電解質膜よりも小さな表面積を有しており、前記固体高分子電解質膜の外周縁部が前記アノード電極及び前記カソード電極の外周から外部に露呈している。さらに、アノード電極及びカソード電極では、電極触媒層がガス拡散層よりも小さな表面積に設定されている場合がある。
【0004】
このため、特に電極触媒層の端部周囲には、固体高分子電解質膜とガス拡散層内部とにより空間部が形成されるとともに、前記空間部には、発電時(電気化学反応時)にカソード電極に生成される水が滞留し易い。さらに、空間部には、酸素と水素とが反応して生成された過酸化水素が溜まり易く、この過酸化水素は、電極中のカーボン担体や白金(Pt)上で分解し、例えば、ヒドロキシラジカル(・OH)が発生する。これにより、固体高分子電解質膜の端部等が劣化し、前記固体高分子電解質膜の耐久性が低下し易くなるとともに、発電効率が低下するという問題がある。
【0005】
そこで、例えば、特許文献1に開示されている燃料電池用膜−電極接合体が知られている。この燃料電池用膜−電極接合体は、燃料ガスが供給される燃料極と酸化剤ガスが供給される酸素極とからなる一対の電極と、前記一対の電極の間に挟装された高分子電解質膜とを含んでいる。そして、電極は、高分子電解質膜と接合された触媒層と拡散層からなり、前記拡散層中には、過酸化物分解剤がセル面方向端部付近に対して端部以外よりも高濃度に存在している。
【0006】
これにより、過酸化物分解剤が拡散層中のセル面方向端部付近に対して端部以外よりも高濃度に存在することで、発電性能を低下させることがなく、有害な過酸化水素等の過酸化物を効率良くセル内から除去することができる。このため、電解質膜や電極触媒層中の電解質の劣化を抑制し、耐久性を向上させた燃料電池を得ることが可能になる、としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−98006号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、上記の特許文献1では、拡散層の端部に、過酸化物分解剤として、例えば、セリウム溶液を塗布及び乾燥させた後、燃料電池用膜−電極接合体を作製している。このため、燃料電池用膜−電極接合体の製造作業全体が相当に煩雑化するとともに、効率的且つ経済的な製造作業が遂行されないという問題がある。
【0009】
本発明は、この種の問題を解決するものであり、簡単且つ経済的な構成で、電極触媒層の端部に劣化促進物質が滞留することを阻止し、固体高分子電解質膜等の劣化を有効に抑制することが可能な燃料電池を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、固体高分子電解質膜の両側にそれぞれ電極触媒層及びガス拡散層を有する電極が設けられた電解質膜・電極構造体と、セパレータとが積層されるとともに、前記セパレータには、前記電極に対向して反応ガスを電極面方向に沿って流通させる反応ガス流路が形成される燃料電池に関するものである。
【0011】
この燃料電池では、反応ガス流路は、複数本の流路溝を備えている。そして、電極の外周に対向する外側流路溝の断面積は、前記電極の他の部位に対向する内側流路溝の断面積よりも大きく設定されるとともに、電極触媒層の外周端部は、前記外側流路溝内に対向して配置されている。
【0012】
また、この燃料電池では、電極は、アノード電極とカソード電極とを有するとともに、前記アノード電極を構成するアノード電極触媒層の外周端部と、前記カソード電極を構成するカソード電極触媒層の外周端部とは、電解質膜・電極構造体とセパレータとの積層方向に対して互いにオフセットして配置される一方、反応ガス流路は、燃料ガス流路と酸化剤ガス流路とを有し、前記アノード電極触媒層の前記外周端部は、前記燃料ガス流路の外側流路溝内に対向し、且つ前記カソード電極触媒層の前記外周端部は、前記酸化剤ガス流路の外側流路溝内に対向することが好ましい。
【0013】
さらに、この燃料電池では、外側流路溝は、セパレータの凸部とシール部材とにより構成されることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、電極触媒層の外周端部は、反応ガス流路に対して電極の他の部位に対向する内側流路溝よりも大きな断面積に設定される外側流路溝内に対向して配置されている。このため、劣化が集中し易い電極触媒層の外周端部において、劣化促進物質が滞留することを良好に阻止することができる。
【0015】
しかも、外側流路溝の断面積は、内側流路溝の断面積よりも大きく設定されるため、前記外側流路溝を流通する反応ガスの流量を増加させることが可能になる。従って、劣化促進物質の滞留が一層確実に阻止されるとともに、電解質膜・電極構造体とセパレータとの位置ずれを有効に吸収することができる。
【0016】
これにより、簡単且つ経済的な構成で、固体高分子電解質膜等の劣化を有効に抑制することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る燃料電池の要部分解斜視図である。
【図2】前記燃料電池の、図1中、II−II線断面図である。
【図3】前記燃料電池を構成するアノード側セパレータの正面説明図である。
【図4】前記燃料電池を構成するカソード側セパレータの正面説明図である。
【図5】前記燃料電池の起動前の流路説明図である。
【図6】前記燃料電池の起動時のガス置換状態の説明図である。
【図7】本発明の第2の実施形態に係る燃料電池の概略断面説明図である。
【図8】本発明の第3の実施形態に係る燃料電池の概略断面説明図である。
【図9】本発明の第4の実施形態に係る燃料電池の概略断面説明図である。
【図10】本発明の第5の実施形態に係る燃料電池の要部分解斜視図である。
【図11】前記燃料電池を構成するカソード側セパレータの正面説明図である。
【図12】本発明の第6の実施形態に係る燃料電池の要部断面説明図である。
【図13】前記燃料電池の、図12中、XIII−XIII線断面図である。
【図14】前記燃料電池を構成するカソード側セパレータの正面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1及び図2に示すように、本発明の第1の実施形態に係る燃料電池10は、電解質膜・電極構造体12がアノード側セパレータ14及びカソード側セパレータ16間に挟持され、立位姿勢で矢印A方向(例えば、水平方向)に積層される。複数の燃料電池10が矢印A方向に積層されることにより、例えば、車載用燃料電池スタックが構成される。なお、アノード側セパレータ14及びカソード側セパレータ16としては、例えば、カーボンセパレータが使用されるが、これに代えて金属セパレータを用いてもよい。
【0019】
燃料電池10は、横長形状を有し、矢印B方向(水平方向)の一端縁部には、積層方向である矢印A方向に互いに連通して、酸化剤ガス、例えば、酸素含有ガスを供給するための酸化剤ガス入口連通孔18a、冷却媒体を排出するための冷却媒体出口連通孔20b、及び燃料ガス、例えば、水素含有ガスを排出するための燃料ガス出口連通孔22bが、矢印C方向(鉛直方向)に配列して設けられる。
【0020】
燃料電池10の矢印B方向の他端縁部には、矢印A方向に互いに連通して、燃料ガスを供給するための燃料ガス入口連通孔22a、冷却媒体を供給するための冷却媒体入口連通孔20a、及び酸化剤ガスを排出するための酸化剤ガス出口連通孔18bが、矢印C方向に配列して設けられる。
【0021】
電解質膜・電極構造体12は、横長形状を有するとともに、例えば、パーフルオロスルホン酸の薄膜に水が含浸された固体高分子電解質膜24と、前記固体高分子電解質膜24を挟持するアノード電極26及びカソード電極28とを備える。固体高分子電解質膜24の外形寸法は、アノード電極26及びカソード電極28の外形寸法よりも大きく設定される。
【0022】
固体高分子電解質膜24は、フッ素系電解質の他、HC(炭化水素)系電解質が使用される。固体高分子電解質膜24は、例えば、主鎖がポリフェニレン構造であり、スルホン酸基を有する側鎖を有する構造でもよい。
【0023】
図2に示すように、アノード電極26は、後述するように、白金合金が表面に担持された多孔質カーボン粒子を固体高分子電解質膜24の表面に一様に塗布して形成される電極触媒層(アノード電極触媒層)26aと、カーボンペーパ等からなるガス拡散層26bとを有する。カソード電極28は、同様に白金合金が表面に担持された多孔質カーボン粒子を固体高分子電解質膜24の表面に一様に塗布して形成される電極触媒層(カソード電極触媒層)28aと、カーボンペーパ等からなるガス拡散層28bとを有する。
【0024】
電極触媒層26a、28aの表面積は、ガス拡散層26b、28bの表面積よりも小さく設定される。電極触媒層26a、28aの端部位置は、ガス拡散層26b、28bの端部位置よりも内方に配置される。
【0025】
固体高分子電解質膜24は、ガス拡散層26b、28bの端部位置から外方に突出する外周縁部に保護シート部材30a、30bを設ける。保護シート部材30a、30bは、例えば、PEN(ポリエチレンナフタレート)製のフィルム等のガス不透過性材料で構成される。固体高分子電解質膜24の端部が過酸化水素によりダメージを受けることを阻止することができる。
【0026】
図3に示すように、アノード側セパレータ14の電解質膜・電極構造体12に向かう面14aには、燃料ガス入口連通孔22aと燃料ガス出口連通孔22bとに連通する燃料ガス流路34が、矢印B方向に折り返しながら蛇行して矢印C方向に向かって設けられる。燃料ガス流路34は、アノード電極26を構成する電極触媒層26aの外周に対向する2本の外側流路溝34aと、前記外側流路溝34a間に位置して前記電極触媒層26aの外周以外の部位に対向する複数本の内側流路溝34bとを備える。
【0027】
図2及び図3に示すように、外側流路溝34aの断面積は、内側流路溝34bの断面積よりも大きく設定される。具体的には、外側流路溝34aの溝幅L1は、内側流路溝34bの溝幅L2よりも長尺に設定される(L1>L2)。外側流路溝34aの溝深さは、内側流路溝34bの溝深さと同一である。電極触媒層26aの外周端部は、外側流路溝34a内に対向して配置される。
【0028】
図4に示すように、カソード側セパレータ16の電解質膜・電極構造体12に向かう面16aには、酸化剤ガス入口連通孔18aと酸化剤ガス出口連通孔18bとに連通する酸化剤ガス流路36が、矢印B方向に折り返しながら蛇行して矢印C方向に向かって設けられる。酸化剤ガス流路36は、カソード電極28を構成する電極触媒層28aの外周に対向する2本の外側流路溝36aと、前記外側流路溝36a間に位置して前記電極触媒層28aの外周以外の部位に対向する複数本の内側流路溝36bとを備える。
【0029】
図2及び図4に示すように、外側流路溝36aの断面積は、内側流路溝36bの断面積よりも大きく設定される。具体的には、外側流路溝36aの溝幅L3は、内側流路溝36bの溝幅L4よりも長尺に設定される(L3>L4)。外側流路溝36aの溝深さは、内側流路溝36bの溝深さと同一である。電極触媒層28aの外周端部は、外側流路溝36a内に対向して配置される。
【0030】
図1及び図2に示すように、カソード側セパレータ16の面16bには、冷却媒体入口連通孔20aと冷却媒体出口連通孔20bとに連通する冷却媒体流路38が設けられる。冷却媒体流路38は、冷却媒体を矢印B方向に流通させる。
【0031】
アノード側セパレータ14の面14a、14bには、このアノード側セパレータ14の外周縁部を周回して第1シール部材40が一体的又は個別に設けられる(図1〜図3参照)。カソード側セパレータ16の面16a、16bには、このカソード側セパレータ16の外周縁部を周回して第2シール部材42が一体的又は個別に設けられる(図1、図2及び図4参照)。
【0032】
第1シール部材40及び第2シール部材42は、例えば、EPDM、NBR、フッ素ゴム、シリコンゴム、フロロシリコンゴム、ブチルゴム、天然ゴム、スチレンゴム、クロロプレーン、又はアクリルゴム等のシール材、クッション材、あるいはパッキン材を使用する。
【0033】
このように構成される燃料電池10の動作について、以下に説明する。
【0034】
図1に示すように、酸化剤ガス入口連通孔18aに酸素含有ガス等の酸化剤ガスが供給されるとともに、燃料ガス入口連通孔22aに水素含有ガス等の燃料ガスが供給される。さらに、冷却媒体入口連通孔20aに純水やエチレングリコール等の冷却媒体が供給される。
【0035】
図4に示すように、酸化剤ガスは、酸化剤ガス入口連通孔18aからカソード側セパレータ16の酸化剤ガス流路36に導入される。酸化剤ガスは、酸化剤ガス流路36を構成する複数本の流路溝である外側流路溝36a及び内側流路溝36bに沿って、矢印B方向に折り返しながら蛇行して矢印C方向に向かって流通する。このため、酸化剤ガスは、電解質膜・電極構造体12のカソード電極28に沿って移動する(図1及び図2参照)。
【0036】
一方、燃料ガスは、図3に示すように、燃料ガス入口連通孔22aからアノード側セパレータ14の燃料ガス流路34に導入される。この燃料ガス流路34では、燃料ガスが複数本の流路溝である外側流路溝34a及び内側流路溝34bに沿って、矢印B方向に折り返しながら蛇行して矢印C方向に向かって流通する。従って、燃料ガスは、電解質膜・電極構造体12のアノード電極26に沿って移動する(図1及び図2参照)。
【0037】
これにより、電解質膜・電極構造体12では、カソード電極28に供給される酸化剤ガスと、アノード電極26に供給される燃料ガスとが、電極触媒層28a、26a内で電気化学反応により消費され、発電が行われる。
【0038】
次いで、カソード電極28に供給されて消費された酸化剤ガスは、酸化剤ガス出口連通孔18bに排出される。同様に、アノード電極26に供給されて消費された燃料ガスは、燃料ガス出口連通孔22bに排出される。
【0039】
一方、冷却媒体入口連通孔20aに供給された冷却媒体は、アノード側セパレータ14及びカソード側セパレータ16間に形成された冷却媒体流路38に導入される。冷却媒体は、冷却媒体流路38に沿って矢印B方向に移動し、電解質膜・電極構造体12の発電面全面にわたって冷却した後、冷却媒体出口連通孔20bに排出される。
【0040】
この場合、第1の実施形態では、図2に示すように、燃料ガス流路34を構成する外側流路溝34aの断面積は、内側流路溝34bの断面積よりも大きく設定されるとともに、アノード電極26を構成する電極触媒層26aの外周端部は、前記外側流路溝34aに対向して配置されている。このため、外側流路溝34aでの燃料ガスの流通量は、内側流路溝34bでの燃料ガスの流通量よりも増加し、劣化が集中し易い電極触媒層26aの外周端部において、劣化促進物質が滞留することを確実に阻止することが可能になる。
【0041】
同様に、酸化剤ガス流路36を構成する外側流路溝36aの断面積は、内側流路溝36bの断面積よりも大きく設定されるとともに、カソード電極28を構成する電極触媒層28aの外周端部は、前記外側流路溝36aに対向して配置されている。従って、外側流路溝36aでの酸化剤ガスの流通量は、内側流路溝36bでの酸化剤ガスの流通量よりも増加し、劣化が集中し易い電極触媒層28aの外周端部において、劣化促進物質が滞留することを確実に阻止することができる。
【0042】
しかも、外側流路溝34a、36aの断面積は、内側流路溝34b、36bの断面積よりも大きく設定されるため、燃料ガス及び酸化剤ガスの流量を増加させることが可能になる。これにより、劣化促進物質の滞留が一層確実に阻止されるとともに、電解質膜・電極構造体12とアノード側セパレータ14及びカソード側セパレータ16との位置ずれを有効に吸収することができる。このため、簡単且つ経済的な構成で、固体高分子電解質膜24等の劣化を有効に抑制することが可能になるという効果が得られる。
【0043】
また、第1の実施形態では、燃料電池10の起動時にガス置換を行う際、電極触媒層26a、28aの外周端部の劣化を良好に抑制することができる。具体的には、図5に示すように、燃料電池10の停止時には、燃料ガス流路34及び酸化剤ガス流路36に酸化剤ガス(空気)が充填されている。
【0044】
そして、燃料電池10を起動する際には、先ず、燃料ガス流路34を酸化剤ガスから燃料ガス(水素ガス)に置換させる処理が施される。ここで、燃料ガス流路34に燃料ガスが供給されると、図6に示すように、アノード電極26を構成するガス拡散層26bでは、内側流路溝34b及び外側流路溝34aに対向する部位に存在していた酸化剤ガスが燃料ガスと置換する。
【0045】
一方、ガス拡散層26bのアノード側セパレータ14の山部(内側流路溝34b間及び前記内側流路溝34bと外側流路溝34aとの間)に対向する部位では、酸化剤ガスが燃料ガスに置換され難い。従って、山部に対向する部位が高電位になり、カーボンの腐食が惹起され易い。
【0046】
その際、特に電極触媒層26aの外周端部に対応する部位は、外側流路溝34aに対向して燃料ガスの置換が良好に遂行されている。これにより、電極触媒層26aの外周端部での劣化を確実に抑制することができる。その後、山部に対向する部位でも、燃料ガスの置換が行われ、燃料電池10の始動が開始される。
【0047】
図7は、本発明の第2の実施形態に係る燃料電池50の概略断面説明図である。なお、第1の実施形態に係る燃料電池10と同一の構成要素には、同一の参照符号を付して、その詳細な説明は省略する。また、以下に説明する第3以降の実施形態においても同様に、その詳細な説明は省略する。
【0048】
燃料電池50は、アノード側セパレータ14とカソード側セパレータ16の間に、電解質膜・電極構造体52を挟持する。電解質膜・電極構造体52は、固体高分子電解質膜24をアノード電極54及びカソード電極56により挟持する。アノード電極54を構成する電極触媒層26aSは、カソード電極56を構成する電極触媒層28aLよりも小さな表面積に設定される。
【0049】
電極触媒層26aSの外周端部は、燃料ガス流路34を構成する外側流路溝34a内に対向して配置されるとともに、電極触媒層28aLの外周端部は、酸化剤ガス流路36を構成する外側流路溝36a内に対向して配置される。
【0050】
このように構成される第2の実施形態では、それぞれ外周端部位置が積層方向に異なる電極触媒層26aS、28aLの各外周端部は、外側流路溝34a、36a内に対向して配置されている。これにより、電極触媒層26aS、28aLの各外周端部において、劣化物質が滞留することを阻止することができ、簡単且つ経済的な構成で、固体高分子電解質膜24等の劣化を有効に抑制することが可能になる等、上記の第1の実施形態と同様の効果が得られる。
【0051】
図8は、本発明の第3の実施形態に係る燃料電池60の概略断面説明図である。
【0052】
燃料電池60は、アノード側セパレータ14とカソード側セパレータ16の間に、電解質膜・電極構造体62を挟持する。電解質膜・電極構造体62は、固体高分子電解質膜24をアノード電極64及びカソード電極66により挟持する。アノード電極64を構成する電極触媒層26aLは、カソード電極66を構成する電極触媒層28aSよりも大きな表面積に設定される。
【0053】
電極触媒層26aLの外周端部は、燃料ガス流路34を構成する外側流路溝34a内に対向して配置されるとともに、電極触媒層28aSの外周端部は、酸化剤ガス流路36を構成する外側流路溝36a内に対向して配置される。
【0054】
このように構成される第3の実施形態では、それぞれ外周端部位置が積層方向に異なる電極触媒層26aL、28aSの各外周端部は、外側流路溝34a、36a内に対向して配置されている。これにより、電極触媒層26aL、28aSの各外周端部において、劣化物質が滞留することを阻止することができ、簡単且つ経済的な構成で、固体高分子電解質膜24等の劣化を有効に抑制することが可能になる等、上記の第1及び第2の実施形態と同様の効果が得られる。
【0055】
図9は、本発明の第4の実施形態に係る燃料電池70の概略断面説明図である。
【0056】
燃料電池70は、アノード側セパレータ72とカソード側セパレータ74の間に、電解質膜・電極構造体12を挟持する。アノード側セパレータ72は、矢印C方向に幅広な外側流路溝34aLと幅狭な内側流路溝34bとを有する一方、カソード側セパレータ74は、矢印C方向に幅広な外側流路溝36aLと幅狭な内側流路溝36bとを有する。
【0057】
外側流路溝34aLの範囲内には、アノード電極26の電極触媒層26aが配置されるとともに、第1シール部材40が配置される。外側流路溝36aLの範囲内には、カソード電極28の電極触媒層28aが配置されるとともに、第2シール部材42が配置される。
【0058】
従って、第4の実施形態では、簡単且つ経済的な構成で、固体高分子電解質膜24等の劣化を有効に抑制することが可能になる等、上記の第1〜第3の実施形態と同様の効果が得られる。
【0059】
図10は、本発明の第5の実施形態に係る燃料電池80の要部分解斜視図である。
【0060】
燃料電池80は、電解質膜・電極構造体82とアノード側セパレータ84及びカソード側セパレータ86とを備える。電解質膜・電極構造体82は、例えば、上記した電解質膜・電極構造体12、52又は62のいずれを使用してもよい。アノード側セパレータ84及びカソード側セパレータ86は、例えば、カーボンセパレータにより構成される。
【0061】
アノード側セパレータ84の電解質膜・電極構造体82に向かう面84aには、矢印B方向に延在する燃料ガス流路88が設けられる。燃料ガス流路88は、アノード電極26を構成する電極触媒層26aの外周上下に対向する2本の外側流路溝88aと、前記外側流路溝88a間に位置して前記電極触媒層26aの外周以外の部位に対向する複数本の内側流路溝88bとを備える。外側流路溝88aの断面積は、流路幅を広く設定することにより内側流路溝88bの断面積よりも大きく設定される。
【0062】
図11に示すように、カソード側セパレータ86の電解質膜・電極構造体82に向かう面86aには、矢印B方向に延在する酸化剤ガス流路90が設けられる。酸化剤ガス流路90は、カソード電極28を構成する電極触媒層28aの外周に対向する2本の外側流路溝90aと、前記外側流路溝90a間に位置して前記電極触媒層28aの外周以外の部位に対向する複数本の内側流路溝90bとを備える。外側流路溝90aの断面積は、流路幅を広く設定することにより内側流路溝90bの断面積よりも大きく設定される。
【0063】
図10に示すように、カソード側セパレータ86の他方の面86bには、アノード側セパレータ84の他方の面84bに対向して冷却媒体流路92が形成される。冷却媒体流路92は、冷却媒体を矢印B方向に向かって流通させる。
【0064】
このように構成される第5の実施形態では、簡単且つ経済的な構成で、固体高分子電解質膜24等の劣化を有効に抑制することが可能になる等、上記の第1〜第4の実施形態と同様の効果が得られる。
【0065】
図12及び図13に示すように、本発明の第6の実施形態に係る燃料電池100は、電解質膜・電極構造体102とアノード側セパレータ104及びカソード側セパレータ106とを備える。電解質膜・電極構造体102は、例えば、上記した電解質膜・電極構造体12、52又は62のいずれを使用してもよく、例えば、前記電解質膜・電極構造体12と同様に構成される。
【0066】
アノード側セパレータ104及びカソード側セパレータ106は、例えば、鋼板、ステンレス鋼板、アルミニウム板、めっき処理鋼板、あるいはその金属表面に防食用の表面処理を施した金属板等の金属セパレータにより構成される。
【0067】
アノード側セパレータ104の電解質膜・電極構造体102に向かう面104aには、波形状にプレス加工して断面凹凸形状を有する燃料ガス流路108が形成される。燃料ガス流路108は、アノード電極26を構成する電極触媒層26aの外周上下に対向する2本の外側流路溝108aと、前記外側流路溝108a間に位置して前記電極触媒層26aの外周以外の部位に対向する複数本の内側流路溝108bとを備える。外側流路溝108aの断面積は、流路幅を広く設定することにより内側流路溝108bの断面積よりも大きく設定される。
【0068】
燃料ガス流路108の入口近傍及び出口近傍には、それぞれ複数のエンボスを有する入口バッファ部110a及び出口バッファ部110bが設けられる。
【0069】
図14に示すように、カソード側セパレータ106の電解質膜・電極構造体102に向かう面106aには、矢印B方向に延在する酸化剤ガス流路112が設けられる。酸化剤ガス流路112は、カソード電極28を構成する電極触媒層28aの外周に対向する2本の外側流路溝112aと、前記外側流路溝112a間に位置して前記電極触媒層28aの外周以外の部位に対向する複数本の内側流路溝112bとを備える。外側流路溝112aの断面積は、流路幅を広く設定することにより内側流路溝112bの断面積よりも大きく設定される。
【0070】
酸化剤ガス流路112の入口近傍及び出口近傍には、それぞれ複数のエンボスを有する入口バッファ部114a及び出口バッファ部114bが設けられる。
【0071】
カソード側セパレータ106の他方の面106bには、アノード側セパレータ104の他方の面104bに対向して冷却媒体流路116が形成される(図12参照)。冷却媒体流路116は、冷却媒体を矢印B方向に向かって流通させる。
【0072】
このように構成される第6の実施形態では、簡単且つ経済的な構成で、固体高分子電解質膜24等の劣化を有効に抑制することが可能になる等、上記の第1〜第5の実施形態と同様の効果が得られる。なお、流路深さを深くすることにより、外側流路溝の断面積を大きくしてもよい。
【符号の説明】
【0073】
10、50、60、70、80、100…燃料電池
12、52、62、82、102…電解質膜・電極構造体
14、16、72、74、84、86、104、106…セパレータ
18a…酸化剤ガス入口連通孔 18b…酸化剤ガス出口連通孔
20a…冷却媒体入口連通孔 20b…冷却媒体出口連通孔
22a…燃料ガス入口連通孔 22b…燃料ガス出口連通孔
24…固体高分子電解質膜 26、54、64…アノード電極
28、56、66…カソード電極
26a、26aL、26aS、28a、28aL、28aS…電極触媒層
26b、28b…ガス拡散層 30a、30b…保護シート部材
34、88、108…燃料ガス流路
34a、36a、34aL、36aL、90a、108a、112a…外側流路溝
34b、36b、90b、108b、112b…内側流路溝
36、112…酸化剤ガス流路 38…冷却媒体流路
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体高分子電解質膜の両側にそれぞれ電極触媒層及びガス拡散層を有する電極が設けられた電解質膜・電極構造体と、セパレータとが積層されるとともに、前記セパレータには、前記電極に対向して反応ガスを電極面方向に沿って流通させる反応ガス流路が形成される燃料電池に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、固体高分子型燃料電池は、高分子イオン交換膜からなる固体高分子電解質膜を採用している。この燃料電池は、固体高分子電解質膜の両側に、それぞれ電極触媒(電極触媒層)と多孔質カーボン(ガス拡散層)からなるアノード電極とカソード電極とを配設した電解質膜・電極構造体(MEA)を、セパレータ(バイポーラ板)によって挟持する発電セルを構成している。通常、燃料電池では、発電セルを所定の数だけ積層した燃料電池スタックが、例えば、車載用燃料電池スタックとして使用されている。
【0003】
一般的に、電解質膜・電極構造体では、アノード電極及びカソード電極が固体高分子電解質膜よりも小さな表面積を有しており、前記固体高分子電解質膜の外周縁部が前記アノード電極及び前記カソード電極の外周から外部に露呈している。さらに、アノード電極及びカソード電極では、電極触媒層がガス拡散層よりも小さな表面積に設定されている場合がある。
【0004】
このため、特に電極触媒層の端部周囲には、固体高分子電解質膜とガス拡散層内部とにより空間部が形成されるとともに、前記空間部には、発電時(電気化学反応時)にカソード電極に生成される水が滞留し易い。さらに、空間部には、酸素と水素とが反応して生成された過酸化水素が溜まり易く、この過酸化水素は、電極中のカーボン担体や白金(Pt)上で分解し、例えば、ヒドロキシラジカル(・OH)が発生する。これにより、固体高分子電解質膜の端部等が劣化し、前記固体高分子電解質膜の耐久性が低下し易くなるとともに、発電効率が低下するという問題がある。
【0005】
そこで、例えば、特許文献1に開示されている燃料電池用膜−電極接合体が知られている。この燃料電池用膜−電極接合体は、燃料ガスが供給される燃料極と酸化剤ガスが供給される酸素極とからなる一対の電極と、前記一対の電極の間に挟装された高分子電解質膜とを含んでいる。そして、電極は、高分子電解質膜と接合された触媒層と拡散層からなり、前記拡散層中には、過酸化物分解剤がセル面方向端部付近に対して端部以外よりも高濃度に存在している。
【0006】
これにより、過酸化物分解剤が拡散層中のセル面方向端部付近に対して端部以外よりも高濃度に存在することで、発電性能を低下させることがなく、有害な過酸化水素等の過酸化物を効率良くセル内から除去することができる。このため、電解質膜や電極触媒層中の電解質の劣化を抑制し、耐久性を向上させた燃料電池を得ることが可能になる、としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−98006号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、上記の特許文献1では、拡散層の端部に、過酸化物分解剤として、例えば、セリウム溶液を塗布及び乾燥させた後、燃料電池用膜−電極接合体を作製している。このため、燃料電池用膜−電極接合体の製造作業全体が相当に煩雑化するとともに、効率的且つ経済的な製造作業が遂行されないという問題がある。
【0009】
本発明は、この種の問題を解決するものであり、簡単且つ経済的な構成で、電極触媒層の端部に劣化促進物質が滞留することを阻止し、固体高分子電解質膜等の劣化を有効に抑制することが可能な燃料電池を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、固体高分子電解質膜の両側にそれぞれ電極触媒層及びガス拡散層を有する電極が設けられた電解質膜・電極構造体と、セパレータとが積層されるとともに、前記セパレータには、前記電極に対向して反応ガスを電極面方向に沿って流通させる反応ガス流路が形成される燃料電池に関するものである。
【0011】
この燃料電池では、反応ガス流路は、複数本の流路溝を備えている。そして、電極の外周に対向する外側流路溝の断面積は、前記電極の他の部位に対向する内側流路溝の断面積よりも大きく設定されるとともに、電極触媒層の外周端部は、前記外側流路溝内に対向して配置されている。
【0012】
また、この燃料電池では、電極は、アノード電極とカソード電極とを有するとともに、前記アノード電極を構成するアノード電極触媒層の外周端部と、前記カソード電極を構成するカソード電極触媒層の外周端部とは、電解質膜・電極構造体とセパレータとの積層方向に対して互いにオフセットして配置される一方、反応ガス流路は、燃料ガス流路と酸化剤ガス流路とを有し、前記アノード電極触媒層の前記外周端部は、前記燃料ガス流路の外側流路溝内に対向し、且つ前記カソード電極触媒層の前記外周端部は、前記酸化剤ガス流路の外側流路溝内に対向することが好ましい。
【0013】
さらに、この燃料電池では、外側流路溝は、セパレータの凸部とシール部材とにより構成されることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、電極触媒層の外周端部は、反応ガス流路に対して電極の他の部位に対向する内側流路溝よりも大きな断面積に設定される外側流路溝内に対向して配置されている。このため、劣化が集中し易い電極触媒層の外周端部において、劣化促進物質が滞留することを良好に阻止することができる。
【0015】
しかも、外側流路溝の断面積は、内側流路溝の断面積よりも大きく設定されるため、前記外側流路溝を流通する反応ガスの流量を増加させることが可能になる。従って、劣化促進物質の滞留が一層確実に阻止されるとともに、電解質膜・電極構造体とセパレータとの位置ずれを有効に吸収することができる。
【0016】
これにより、簡単且つ経済的な構成で、固体高分子電解質膜等の劣化を有効に抑制することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る燃料電池の要部分解斜視図である。
【図2】前記燃料電池の、図1中、II−II線断面図である。
【図3】前記燃料電池を構成するアノード側セパレータの正面説明図である。
【図4】前記燃料電池を構成するカソード側セパレータの正面説明図である。
【図5】前記燃料電池の起動前の流路説明図である。
【図6】前記燃料電池の起動時のガス置換状態の説明図である。
【図7】本発明の第2の実施形態に係る燃料電池の概略断面説明図である。
【図8】本発明の第3の実施形態に係る燃料電池の概略断面説明図である。
【図9】本発明の第4の実施形態に係る燃料電池の概略断面説明図である。
【図10】本発明の第5の実施形態に係る燃料電池の要部分解斜視図である。
【図11】前記燃料電池を構成するカソード側セパレータの正面説明図である。
【図12】本発明の第6の実施形態に係る燃料電池の要部断面説明図である。
【図13】前記燃料電池の、図12中、XIII−XIII線断面図である。
【図14】前記燃料電池を構成するカソード側セパレータの正面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1及び図2に示すように、本発明の第1の実施形態に係る燃料電池10は、電解質膜・電極構造体12がアノード側セパレータ14及びカソード側セパレータ16間に挟持され、立位姿勢で矢印A方向(例えば、水平方向)に積層される。複数の燃料電池10が矢印A方向に積層されることにより、例えば、車載用燃料電池スタックが構成される。なお、アノード側セパレータ14及びカソード側セパレータ16としては、例えば、カーボンセパレータが使用されるが、これに代えて金属セパレータを用いてもよい。
【0019】
燃料電池10は、横長形状を有し、矢印B方向(水平方向)の一端縁部には、積層方向である矢印A方向に互いに連通して、酸化剤ガス、例えば、酸素含有ガスを供給するための酸化剤ガス入口連通孔18a、冷却媒体を排出するための冷却媒体出口連通孔20b、及び燃料ガス、例えば、水素含有ガスを排出するための燃料ガス出口連通孔22bが、矢印C方向(鉛直方向)に配列して設けられる。
【0020】
燃料電池10の矢印B方向の他端縁部には、矢印A方向に互いに連通して、燃料ガスを供給するための燃料ガス入口連通孔22a、冷却媒体を供給するための冷却媒体入口連通孔20a、及び酸化剤ガスを排出するための酸化剤ガス出口連通孔18bが、矢印C方向に配列して設けられる。
【0021】
電解質膜・電極構造体12は、横長形状を有するとともに、例えば、パーフルオロスルホン酸の薄膜に水が含浸された固体高分子電解質膜24と、前記固体高分子電解質膜24を挟持するアノード電極26及びカソード電極28とを備える。固体高分子電解質膜24の外形寸法は、アノード電極26及びカソード電極28の外形寸法よりも大きく設定される。
【0022】
固体高分子電解質膜24は、フッ素系電解質の他、HC(炭化水素)系電解質が使用される。固体高分子電解質膜24は、例えば、主鎖がポリフェニレン構造であり、スルホン酸基を有する側鎖を有する構造でもよい。
【0023】
図2に示すように、アノード電極26は、後述するように、白金合金が表面に担持された多孔質カーボン粒子を固体高分子電解質膜24の表面に一様に塗布して形成される電極触媒層(アノード電極触媒層)26aと、カーボンペーパ等からなるガス拡散層26bとを有する。カソード電極28は、同様に白金合金が表面に担持された多孔質カーボン粒子を固体高分子電解質膜24の表面に一様に塗布して形成される電極触媒層(カソード電極触媒層)28aと、カーボンペーパ等からなるガス拡散層28bとを有する。
【0024】
電極触媒層26a、28aの表面積は、ガス拡散層26b、28bの表面積よりも小さく設定される。電極触媒層26a、28aの端部位置は、ガス拡散層26b、28bの端部位置よりも内方に配置される。
【0025】
固体高分子電解質膜24は、ガス拡散層26b、28bの端部位置から外方に突出する外周縁部に保護シート部材30a、30bを設ける。保護シート部材30a、30bは、例えば、PEN(ポリエチレンナフタレート)製のフィルム等のガス不透過性材料で構成される。固体高分子電解質膜24の端部が過酸化水素によりダメージを受けることを阻止することができる。
【0026】
図3に示すように、アノード側セパレータ14の電解質膜・電極構造体12に向かう面14aには、燃料ガス入口連通孔22aと燃料ガス出口連通孔22bとに連通する燃料ガス流路34が、矢印B方向に折り返しながら蛇行して矢印C方向に向かって設けられる。燃料ガス流路34は、アノード電極26を構成する電極触媒層26aの外周に対向する2本の外側流路溝34aと、前記外側流路溝34a間に位置して前記電極触媒層26aの外周以外の部位に対向する複数本の内側流路溝34bとを備える。
【0027】
図2及び図3に示すように、外側流路溝34aの断面積は、内側流路溝34bの断面積よりも大きく設定される。具体的には、外側流路溝34aの溝幅L1は、内側流路溝34bの溝幅L2よりも長尺に設定される(L1>L2)。外側流路溝34aの溝深さは、内側流路溝34bの溝深さと同一である。電極触媒層26aの外周端部は、外側流路溝34a内に対向して配置される。
【0028】
図4に示すように、カソード側セパレータ16の電解質膜・電極構造体12に向かう面16aには、酸化剤ガス入口連通孔18aと酸化剤ガス出口連通孔18bとに連通する酸化剤ガス流路36が、矢印B方向に折り返しながら蛇行して矢印C方向に向かって設けられる。酸化剤ガス流路36は、カソード電極28を構成する電極触媒層28aの外周に対向する2本の外側流路溝36aと、前記外側流路溝36a間に位置して前記電極触媒層28aの外周以外の部位に対向する複数本の内側流路溝36bとを備える。
【0029】
図2及び図4に示すように、外側流路溝36aの断面積は、内側流路溝36bの断面積よりも大きく設定される。具体的には、外側流路溝36aの溝幅L3は、内側流路溝36bの溝幅L4よりも長尺に設定される(L3>L4)。外側流路溝36aの溝深さは、内側流路溝36bの溝深さと同一である。電極触媒層28aの外周端部は、外側流路溝36a内に対向して配置される。
【0030】
図1及び図2に示すように、カソード側セパレータ16の面16bには、冷却媒体入口連通孔20aと冷却媒体出口連通孔20bとに連通する冷却媒体流路38が設けられる。冷却媒体流路38は、冷却媒体を矢印B方向に流通させる。
【0031】
アノード側セパレータ14の面14a、14bには、このアノード側セパレータ14の外周縁部を周回して第1シール部材40が一体的又は個別に設けられる(図1〜図3参照)。カソード側セパレータ16の面16a、16bには、このカソード側セパレータ16の外周縁部を周回して第2シール部材42が一体的又は個別に設けられる(図1、図2及び図4参照)。
【0032】
第1シール部材40及び第2シール部材42は、例えば、EPDM、NBR、フッ素ゴム、シリコンゴム、フロロシリコンゴム、ブチルゴム、天然ゴム、スチレンゴム、クロロプレーン、又はアクリルゴム等のシール材、クッション材、あるいはパッキン材を使用する。
【0033】
このように構成される燃料電池10の動作について、以下に説明する。
【0034】
図1に示すように、酸化剤ガス入口連通孔18aに酸素含有ガス等の酸化剤ガスが供給されるとともに、燃料ガス入口連通孔22aに水素含有ガス等の燃料ガスが供給される。さらに、冷却媒体入口連通孔20aに純水やエチレングリコール等の冷却媒体が供給される。
【0035】
図4に示すように、酸化剤ガスは、酸化剤ガス入口連通孔18aからカソード側セパレータ16の酸化剤ガス流路36に導入される。酸化剤ガスは、酸化剤ガス流路36を構成する複数本の流路溝である外側流路溝36a及び内側流路溝36bに沿って、矢印B方向に折り返しながら蛇行して矢印C方向に向かって流通する。このため、酸化剤ガスは、電解質膜・電極構造体12のカソード電極28に沿って移動する(図1及び図2参照)。
【0036】
一方、燃料ガスは、図3に示すように、燃料ガス入口連通孔22aからアノード側セパレータ14の燃料ガス流路34に導入される。この燃料ガス流路34では、燃料ガスが複数本の流路溝である外側流路溝34a及び内側流路溝34bに沿って、矢印B方向に折り返しながら蛇行して矢印C方向に向かって流通する。従って、燃料ガスは、電解質膜・電極構造体12のアノード電極26に沿って移動する(図1及び図2参照)。
【0037】
これにより、電解質膜・電極構造体12では、カソード電極28に供給される酸化剤ガスと、アノード電極26に供給される燃料ガスとが、電極触媒層28a、26a内で電気化学反応により消費され、発電が行われる。
【0038】
次いで、カソード電極28に供給されて消費された酸化剤ガスは、酸化剤ガス出口連通孔18bに排出される。同様に、アノード電極26に供給されて消費された燃料ガスは、燃料ガス出口連通孔22bに排出される。
【0039】
一方、冷却媒体入口連通孔20aに供給された冷却媒体は、アノード側セパレータ14及びカソード側セパレータ16間に形成された冷却媒体流路38に導入される。冷却媒体は、冷却媒体流路38に沿って矢印B方向に移動し、電解質膜・電極構造体12の発電面全面にわたって冷却した後、冷却媒体出口連通孔20bに排出される。
【0040】
この場合、第1の実施形態では、図2に示すように、燃料ガス流路34を構成する外側流路溝34aの断面積は、内側流路溝34bの断面積よりも大きく設定されるとともに、アノード電極26を構成する電極触媒層26aの外周端部は、前記外側流路溝34aに対向して配置されている。このため、外側流路溝34aでの燃料ガスの流通量は、内側流路溝34bでの燃料ガスの流通量よりも増加し、劣化が集中し易い電極触媒層26aの外周端部において、劣化促進物質が滞留することを確実に阻止することが可能になる。
【0041】
同様に、酸化剤ガス流路36を構成する外側流路溝36aの断面積は、内側流路溝36bの断面積よりも大きく設定されるとともに、カソード電極28を構成する電極触媒層28aの外周端部は、前記外側流路溝36aに対向して配置されている。従って、外側流路溝36aでの酸化剤ガスの流通量は、内側流路溝36bでの酸化剤ガスの流通量よりも増加し、劣化が集中し易い電極触媒層28aの外周端部において、劣化促進物質が滞留することを確実に阻止することができる。
【0042】
しかも、外側流路溝34a、36aの断面積は、内側流路溝34b、36bの断面積よりも大きく設定されるため、燃料ガス及び酸化剤ガスの流量を増加させることが可能になる。これにより、劣化促進物質の滞留が一層確実に阻止されるとともに、電解質膜・電極構造体12とアノード側セパレータ14及びカソード側セパレータ16との位置ずれを有効に吸収することができる。このため、簡単且つ経済的な構成で、固体高分子電解質膜24等の劣化を有効に抑制することが可能になるという効果が得られる。
【0043】
また、第1の実施形態では、燃料電池10の起動時にガス置換を行う際、電極触媒層26a、28aの外周端部の劣化を良好に抑制することができる。具体的には、図5に示すように、燃料電池10の停止時には、燃料ガス流路34及び酸化剤ガス流路36に酸化剤ガス(空気)が充填されている。
【0044】
そして、燃料電池10を起動する際には、先ず、燃料ガス流路34を酸化剤ガスから燃料ガス(水素ガス)に置換させる処理が施される。ここで、燃料ガス流路34に燃料ガスが供給されると、図6に示すように、アノード電極26を構成するガス拡散層26bでは、内側流路溝34b及び外側流路溝34aに対向する部位に存在していた酸化剤ガスが燃料ガスと置換する。
【0045】
一方、ガス拡散層26bのアノード側セパレータ14の山部(内側流路溝34b間及び前記内側流路溝34bと外側流路溝34aとの間)に対向する部位では、酸化剤ガスが燃料ガスに置換され難い。従って、山部に対向する部位が高電位になり、カーボンの腐食が惹起され易い。
【0046】
その際、特に電極触媒層26aの外周端部に対応する部位は、外側流路溝34aに対向して燃料ガスの置換が良好に遂行されている。これにより、電極触媒層26aの外周端部での劣化を確実に抑制することができる。その後、山部に対向する部位でも、燃料ガスの置換が行われ、燃料電池10の始動が開始される。
【0047】
図7は、本発明の第2の実施形態に係る燃料電池50の概略断面説明図である。なお、第1の実施形態に係る燃料電池10と同一の構成要素には、同一の参照符号を付して、その詳細な説明は省略する。また、以下に説明する第3以降の実施形態においても同様に、その詳細な説明は省略する。
【0048】
燃料電池50は、アノード側セパレータ14とカソード側セパレータ16の間に、電解質膜・電極構造体52を挟持する。電解質膜・電極構造体52は、固体高分子電解質膜24をアノード電極54及びカソード電極56により挟持する。アノード電極54を構成する電極触媒層26aSは、カソード電極56を構成する電極触媒層28aLよりも小さな表面積に設定される。
【0049】
電極触媒層26aSの外周端部は、燃料ガス流路34を構成する外側流路溝34a内に対向して配置されるとともに、電極触媒層28aLの外周端部は、酸化剤ガス流路36を構成する外側流路溝36a内に対向して配置される。
【0050】
このように構成される第2の実施形態では、それぞれ外周端部位置が積層方向に異なる電極触媒層26aS、28aLの各外周端部は、外側流路溝34a、36a内に対向して配置されている。これにより、電極触媒層26aS、28aLの各外周端部において、劣化物質が滞留することを阻止することができ、簡単且つ経済的な構成で、固体高分子電解質膜24等の劣化を有効に抑制することが可能になる等、上記の第1の実施形態と同様の効果が得られる。
【0051】
図8は、本発明の第3の実施形態に係る燃料電池60の概略断面説明図である。
【0052】
燃料電池60は、アノード側セパレータ14とカソード側セパレータ16の間に、電解質膜・電極構造体62を挟持する。電解質膜・電極構造体62は、固体高分子電解質膜24をアノード電極64及びカソード電極66により挟持する。アノード電極64を構成する電極触媒層26aLは、カソード電極66を構成する電極触媒層28aSよりも大きな表面積に設定される。
【0053】
電極触媒層26aLの外周端部は、燃料ガス流路34を構成する外側流路溝34a内に対向して配置されるとともに、電極触媒層28aSの外周端部は、酸化剤ガス流路36を構成する外側流路溝36a内に対向して配置される。
【0054】
このように構成される第3の実施形態では、それぞれ外周端部位置が積層方向に異なる電極触媒層26aL、28aSの各外周端部は、外側流路溝34a、36a内に対向して配置されている。これにより、電極触媒層26aL、28aSの各外周端部において、劣化物質が滞留することを阻止することができ、簡単且つ経済的な構成で、固体高分子電解質膜24等の劣化を有効に抑制することが可能になる等、上記の第1及び第2の実施形態と同様の効果が得られる。
【0055】
図9は、本発明の第4の実施形態に係る燃料電池70の概略断面説明図である。
【0056】
燃料電池70は、アノード側セパレータ72とカソード側セパレータ74の間に、電解質膜・電極構造体12を挟持する。アノード側セパレータ72は、矢印C方向に幅広な外側流路溝34aLと幅狭な内側流路溝34bとを有する一方、カソード側セパレータ74は、矢印C方向に幅広な外側流路溝36aLと幅狭な内側流路溝36bとを有する。
【0057】
外側流路溝34aLの範囲内には、アノード電極26の電極触媒層26aが配置されるとともに、第1シール部材40が配置される。外側流路溝36aLの範囲内には、カソード電極28の電極触媒層28aが配置されるとともに、第2シール部材42が配置される。
【0058】
従って、第4の実施形態では、簡単且つ経済的な構成で、固体高分子電解質膜24等の劣化を有効に抑制することが可能になる等、上記の第1〜第3の実施形態と同様の効果が得られる。
【0059】
図10は、本発明の第5の実施形態に係る燃料電池80の要部分解斜視図である。
【0060】
燃料電池80は、電解質膜・電極構造体82とアノード側セパレータ84及びカソード側セパレータ86とを備える。電解質膜・電極構造体82は、例えば、上記した電解質膜・電極構造体12、52又は62のいずれを使用してもよい。アノード側セパレータ84及びカソード側セパレータ86は、例えば、カーボンセパレータにより構成される。
【0061】
アノード側セパレータ84の電解質膜・電極構造体82に向かう面84aには、矢印B方向に延在する燃料ガス流路88が設けられる。燃料ガス流路88は、アノード電極26を構成する電極触媒層26aの外周上下に対向する2本の外側流路溝88aと、前記外側流路溝88a間に位置して前記電極触媒層26aの外周以外の部位に対向する複数本の内側流路溝88bとを備える。外側流路溝88aの断面積は、流路幅を広く設定することにより内側流路溝88bの断面積よりも大きく設定される。
【0062】
図11に示すように、カソード側セパレータ86の電解質膜・電極構造体82に向かう面86aには、矢印B方向に延在する酸化剤ガス流路90が設けられる。酸化剤ガス流路90は、カソード電極28を構成する電極触媒層28aの外周に対向する2本の外側流路溝90aと、前記外側流路溝90a間に位置して前記電極触媒層28aの外周以外の部位に対向する複数本の内側流路溝90bとを備える。外側流路溝90aの断面積は、流路幅を広く設定することにより内側流路溝90bの断面積よりも大きく設定される。
【0063】
図10に示すように、カソード側セパレータ86の他方の面86bには、アノード側セパレータ84の他方の面84bに対向して冷却媒体流路92が形成される。冷却媒体流路92は、冷却媒体を矢印B方向に向かって流通させる。
【0064】
このように構成される第5の実施形態では、簡単且つ経済的な構成で、固体高分子電解質膜24等の劣化を有効に抑制することが可能になる等、上記の第1〜第4の実施形態と同様の効果が得られる。
【0065】
図12及び図13に示すように、本発明の第6の実施形態に係る燃料電池100は、電解質膜・電極構造体102とアノード側セパレータ104及びカソード側セパレータ106とを備える。電解質膜・電極構造体102は、例えば、上記した電解質膜・電極構造体12、52又は62のいずれを使用してもよく、例えば、前記電解質膜・電極構造体12と同様に構成される。
【0066】
アノード側セパレータ104及びカソード側セパレータ106は、例えば、鋼板、ステンレス鋼板、アルミニウム板、めっき処理鋼板、あるいはその金属表面に防食用の表面処理を施した金属板等の金属セパレータにより構成される。
【0067】
アノード側セパレータ104の電解質膜・電極構造体102に向かう面104aには、波形状にプレス加工して断面凹凸形状を有する燃料ガス流路108が形成される。燃料ガス流路108は、アノード電極26を構成する電極触媒層26aの外周上下に対向する2本の外側流路溝108aと、前記外側流路溝108a間に位置して前記電極触媒層26aの外周以外の部位に対向する複数本の内側流路溝108bとを備える。外側流路溝108aの断面積は、流路幅を広く設定することにより内側流路溝108bの断面積よりも大きく設定される。
【0068】
燃料ガス流路108の入口近傍及び出口近傍には、それぞれ複数のエンボスを有する入口バッファ部110a及び出口バッファ部110bが設けられる。
【0069】
図14に示すように、カソード側セパレータ106の電解質膜・電極構造体102に向かう面106aには、矢印B方向に延在する酸化剤ガス流路112が設けられる。酸化剤ガス流路112は、カソード電極28を構成する電極触媒層28aの外周に対向する2本の外側流路溝112aと、前記外側流路溝112a間に位置して前記電極触媒層28aの外周以外の部位に対向する複数本の内側流路溝112bとを備える。外側流路溝112aの断面積は、流路幅を広く設定することにより内側流路溝112bの断面積よりも大きく設定される。
【0070】
酸化剤ガス流路112の入口近傍及び出口近傍には、それぞれ複数のエンボスを有する入口バッファ部114a及び出口バッファ部114bが設けられる。
【0071】
カソード側セパレータ106の他方の面106bには、アノード側セパレータ104の他方の面104bに対向して冷却媒体流路116が形成される(図12参照)。冷却媒体流路116は、冷却媒体を矢印B方向に向かって流通させる。
【0072】
このように構成される第6の実施形態では、簡単且つ経済的な構成で、固体高分子電解質膜24等の劣化を有効に抑制することが可能になる等、上記の第1〜第5の実施形態と同様の効果が得られる。なお、流路深さを深くすることにより、外側流路溝の断面積を大きくしてもよい。
【符号の説明】
【0073】
10、50、60、70、80、100…燃料電池
12、52、62、82、102…電解質膜・電極構造体
14、16、72、74、84、86、104、106…セパレータ
18a…酸化剤ガス入口連通孔 18b…酸化剤ガス出口連通孔
20a…冷却媒体入口連通孔 20b…冷却媒体出口連通孔
22a…燃料ガス入口連通孔 22b…燃料ガス出口連通孔
24…固体高分子電解質膜 26、54、64…アノード電極
28、56、66…カソード電極
26a、26aL、26aS、28a、28aL、28aS…電極触媒層
26b、28b…ガス拡散層 30a、30b…保護シート部材
34、88、108…燃料ガス流路
34a、36a、34aL、36aL、90a、108a、112a…外側流路溝
34b、36b、90b、108b、112b…内側流路溝
36、112…酸化剤ガス流路 38…冷却媒体流路
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体高分子電解質膜の両側にそれぞれ電極触媒層及びガス拡散層を有する電極が設けられた電解質膜・電極構造体と、セパレータとが積層されるとともに、前記セパレータには、前記電極に対向して反応ガスを電極面方向に沿って流通させる反応ガス流路が形成される燃料電池であって、
前記反応ガス流路は、複数本の流路溝を備え、
前記電極の外周に対向する外側流路溝の断面積は、前記電極の他の部位に対向する内側流路溝の断面積よりも大きく設定されるとともに、
前記電極触媒層の外周端部は、前記外側流路溝内に対向して配置されることを特徴とする燃料電池。
【請求項2】
請求項1記載の燃料電池において、前記電極は、アノード電極とカソード電極とを有するとともに、
前記アノード電極を構成するアノード電極触媒層の外周端部と、前記カソード電極を構成するカソード電極触媒層の外周端部とは、前記電解質膜・電極構造体と前記セパレータとの積層方向に対して互いにオフセットして配置される一方、
前記反応ガス流路は、燃料ガス流路と酸化剤ガス流路とを有し、
前記アノード電極触媒層の前記外周端部は、前記燃料ガス流路の外側流路溝内に対向し、且つ前記カソード電極触媒層の前記外周端部は、前記酸化剤ガス流路の外側流路溝内に対向することを特徴とする燃料電池。
【請求項3】
請求項1又は2記載の燃料電池において、前記外側流路溝は、前記セパレータの凸部とシール部材とにより構成されることを特徴とする燃料電池。
【請求項1】
固体高分子電解質膜の両側にそれぞれ電極触媒層及びガス拡散層を有する電極が設けられた電解質膜・電極構造体と、セパレータとが積層されるとともに、前記セパレータには、前記電極に対向して反応ガスを電極面方向に沿って流通させる反応ガス流路が形成される燃料電池であって、
前記反応ガス流路は、複数本の流路溝を備え、
前記電極の外周に対向する外側流路溝の断面積は、前記電極の他の部位に対向する内側流路溝の断面積よりも大きく設定されるとともに、
前記電極触媒層の外周端部は、前記外側流路溝内に対向して配置されることを特徴とする燃料電池。
【請求項2】
請求項1記載の燃料電池において、前記電極は、アノード電極とカソード電極とを有するとともに、
前記アノード電極を構成するアノード電極触媒層の外周端部と、前記カソード電極を構成するカソード電極触媒層の外周端部とは、前記電解質膜・電極構造体と前記セパレータとの積層方向に対して互いにオフセットして配置される一方、
前記反応ガス流路は、燃料ガス流路と酸化剤ガス流路とを有し、
前記アノード電極触媒層の前記外周端部は、前記燃料ガス流路の外側流路溝内に対向し、且つ前記カソード電極触媒層の前記外周端部は、前記酸化剤ガス流路の外側流路溝内に対向することを特徴とする燃料電池。
【請求項3】
請求項1又は2記載の燃料電池において、前記外側流路溝は、前記セパレータの凸部とシール部材とにより構成されることを特徴とする燃料電池。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2013−114843(P2013−114843A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−258750(P2011−258750)
【出願日】平成23年11月28日(2011.11.28)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月28日(2011.11.28)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
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