説明

燃焼システム及びこれを組み立てる方法

【課題】ガスタービンエンジン用の燃焼システムを提供すること。
【解決手段】燃焼システムは、内側ケーシング構造体124と、外側ケーシング構造体122と、内側ケーシング構造体124及び外側ケーシング構造体122間に装着されて内側ケーシング構造体及び外側ケーシング構造体に結合されるようになる燃焼室フレーム200と、を含む。燃焼システムは、内側ライナ134と、外側ライナ136とを更に備えることができ、内側及び外側ライナが、燃焼室フレーム200に結合されて燃焼室302の半径方向境界を形成するようになり、燃焼室フレーム200が燃焼室302の前方境界を形成するように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野は、総括的には燃焼システムに関し、より具体的には、ガスタービンエンジン燃焼システム及びこれを組み立てる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの公知のガスタービンエンジンは、燃料を加圧空気と混合し、該混合気を点火燃焼させて燃焼ガスを発生させる燃焼システムを含む。燃焼ガスは、タービンシステム内に向けられてタービンを回転駆動し、これによりタービンに対して回転可能に結合されたファン、圧縮機、及び/又は発電機を駆動する。幾つかのガスタービンエンジン(例えば、航空機の推進ガスタービンエンジン)では、燃焼ガスは、タービンシステムから周囲空気中に排出され、これにより航空機用のスラストが得られる。幾つかの他のガスタービンエンジン(例えば、複合サイクル発電プラントにおけるガスタービンエンジン)では、燃焼ガスは、タービンシステムから蒸気を生成させるのに使用される熱回収蒸気発生器に向けられ。
【0003】
殆どの公知の燃焼システムは、燃焼プロセスと関連した大きな温度及び圧力勾配を生じる。この温度及び圧力勾配は、燃焼システムに作用する応力源となる可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第7024863号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、燃焼プロセスと関連した温度及び圧力勾配に良好に耐えながら、ガスタービンエンジンの効率的な運転を可能にする燃焼システムを提供するのが有用といえる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
1つの態様では、ガスタービンエンジン用の燃焼システムを組み立てる方法が提供される。本方法は、燃焼室フレーム、内側ケーシング構造体、及び外側ケーシング構造体を準備するステップを含む。本方法はまた、内側ケーシング構造体及び外側ケーシング構造体間に燃焼室フレームを装着して、該燃焼室フレームが内側ケーシング構造体及び外側ケーシング構造体に結合されるようにするステップを含む。
【0007】
別の態様では、ガスタービンエンジン用の燃焼システムが提供される。本燃焼システムは、内側ケーシング構造体及び外側ケーシング構造体を含む。本燃焼システムは更に、内側ケーシング構造体及び外側ケーシング構造体間に装着されて、内側ケーシング構造体及び外側ケーシング構造体に結合されるようになる燃焼室フレームを含む。
【0008】
更に別の態様では、内側ケーシング構造体及び外側ケーシング構造体を有するガスタービンエンジン燃焼システム用の燃焼室フレームが提供される。燃焼室フレームは、内側フレームセグメント、外側フレームセグメント、及び内側フレームセグメントから外側フレームセグメントまで延びた中間フレームセグメントを含む。燃焼室フレームは、内側ケーシング構造体及び外側ケーシング構造体間に装着されて、内側フレームセグメントが内側ケーシング構造体に結合され且つ外側フレームセグメントが外側ケーシング構造体に結合されるように構成される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】例示的なガスタービンエンジンの概略図。
【図2】図1に示すガスタービンエンジンで用いるための燃焼室フレームの前方斜視図。
【図3】図2に示す燃焼室フレームの前方斜視図の拡大部分の図。
【図4】図2に示す燃焼室フレームの後方斜視図。
【図5】図4に示す燃焼室フレームの後方斜視図の拡大部分の図。
【図6】図2に示す燃焼室フレームの前方図。
【図7】線7−7に沿った図6に示す燃焼室フレームの断面図。
【図8】図6の線8−8に沿った図2−図7に示す燃焼室フレームを有する、図1に示すガスタービンエンジンの燃焼システムの概略断面図。
【図9】図8に示す概略断面図の拡大部分の図。
【図10】図6の線10−10に沿った図2−図7に示す燃焼室フレームを有する、図1に示すガスタービンエンジンの燃焼システムの別の概略断面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下の詳細な説明は、限定ではなく例証として燃焼システム及びこれを組み立てる方法を記載している。本明細書は、最良の形態であると現在思われるものを含む、燃焼システムを当業者が実施し利用するのを可能にし、またその燃焼システムの幾つかの実施形態、改造形態、変形形態、代替形態、及び使用法について記載している。燃焼システムは、好ましい実施形態、すなわちガスタービンエンジンに適用されるものとして本明細書では説明されている。しかしながら、燃焼システム及びこれを組み立てる方法は、広範囲に及ぶシステムの一般的用途、及び/又は他の様々な商業用途、工業用途、及び/又は消費者用途を有することが企図される。
【0011】
図1は、中心軸線Cに沿って整列された、ファンシステム102、圧縮機システム104、燃焼システム106、高圧タービンシステム108、及び低圧タービンシステム110を含む例示的なガスタービンエンジン100の概略図である。作動時には、空気は、ファンシステム102を通って流れて圧縮機システム104に供給される。加圧空気は、燃焼システム106に送給され、この燃焼システム106において、加圧空気が燃料と混合され点火され、燃焼ガスを生成する。燃焼ガスは、燃焼システム106からタービンシステム108、110を通って流れ、排出システム112を介してガスタービンエンジン100から流出する。他の実施形態では、ガスタービンエンジン100は、あらゆる好適な方法で配置されたあらゆる好適な数のファンシステム、圧縮機システム、及び/又はタービンシステムを含むことができる。
【0012】
図2〜図6は、燃焼システム106の燃焼室フレーム200の斜視図であり、図7は、図6の線7−7に沿った燃焼室フレーム200の断面図である。図2〜図7で使用される場合のガスタービンエンジン100内での向きに関する燃焼室フレーム200の表現(例えば、燃焼室フレーム200の「構成要素X」は、燃焼室フレーム200の構成要素Yの「軸方向前方」又は「軸方向後方」に延びるなどの表現)は、該燃焼室フレーム200がガスタービンエンジン100内に取り付けられた時のような向きになるよう構成されることを意味するものとし、このような向きの表現は、本開示の技術的範囲をガスタービンエンジン100内に実際に取り付けられるこれらの燃焼室フレーム200のみに限定することを意図したものではない。むしろ、本開示は、ガスタービンエンジン内に取り付けられるか否かに関係なく、一般的に燃焼室フレーム200に適用されることを意図したものである。
【0013】
燃焼室フレーム200は、燃焼室フレームが半径Rを有するように軸線Cの周りで環状である。燃焼室フレーム200は、内側フレームセグメント202、外側フレームセグメント204、及び内側フレームセグメント202から外側フレームセグメント204まで延びた中間フレームセグメント206を含む。例示的な実施形態では、内側フレームセグメント202、外側フレームセグメント204、及び中間フレームセグメント206は、同一材料で一体的に形成される。幾つかの実施形態では、内側フレームセグメント202、外側フレームセグメント204、及び/又は中間フレームセグメント206は、あらゆる好適な結合方法(例えば、溶接法)を用いて互いに個別に形成して結合することができる。他の実施形態では、内側フレームセグメント202、外側フレームセグメント204、及び/又は中間フレームセグメント206は、異なる材料で形成することができる。
【0014】
内側フレームセグメント202は、内側フランジ208、プレナム210、及び複数の継手212を含む。内側フランジ208、プレナム210、及び継手212は、一体的に形成される。内側フランジ208は、プレナム210から半径方向内向きに延び、複数の円周方向に間隔を置いて配置された内側フランジボルト孔214を含む。プレナム210は、内側フランジ208から軸方向前方に延び、4つの等間隔に配置された後方に面する出口スロット218と共に、一対の180°反対の半径方向に延びるバルブアダプタ216を含む。継手212は、互いに円周方向に間隔を置いて配置され、プレナム210から中間フレームセグメント206まで延びて複数の内側ライナ冷却流れ取入アパーチャ220を形成する。例示的な実施形態では、内側ライナ冷却流れ取入アパーチャ220は、ほぼ矩形の形状である。他の実施形態では、内側ライナ冷却流れ取入アパーチャ220は、本明細書で説明するように燃焼室フレーム200が機能できるようにするあらゆる好適な形状を有することができる。好適には、内側フレームセグメント202は、内部に燃焼室フレーム200が取り付けられることになる関連のガスタービンエンジン又は他のシステムの所望の空気力学的及び/又は熱力学的特性に適合するような、内側フランジボルト孔214、バルブアダプタ216、出口スロット218、及び/又は内側ライナ冷却流れ取入アパーチャ220のあらゆる数及び寸法を有することができる。
【0015】
中間フレームセグメント206は、一体的に形成されるアーチ形内側カウル222、ドーム構造体224、及びアーチ形外側カウル226を含む。内側カウル222は、環状であり、内側フレームセグメント202の継手212とドーム構造体224との間に配置され、外側カウル226は、環状であり、ドーム構造体224が内側カウル222から外側カウル226まで延びるように、外側フレームセグメント204とドーム構造体224との間に配置される。内側カウル222の湾曲した前方表面223は、各内側ライナ冷却流れ取入アパーチャ220の周辺部の後方部分を形成して、そこを通って円滑な(すなわち、拘束の少ない)空気流を可能にする。ドーム構造体224は、内側リム228、外側リム230、及び内側リム228から外側リム230に延びたウェブ232を含む。内側リム228は、内側リップ部270及び複数の円周方向に間隔を置いて配置された内側ライナボルト孔234を有し、外側リム230は、外側リップ部272及び複数の円周方向に間隔を置いて配置された外側ライナボルト孔236を有する。
【0016】
ウェブ232は、複数の円周方向に配置され実質的に軸方向に向いた小穴238を含む。幾つかの実施形態では、内側リム228はまた、内側カウル222と内側ライナボルト孔234との間に配置され、複数の円周方向に間隔を置いて配置された半径方向外向きに延びるタブ240を有し、1つのタブ240が各小穴238と関連付けられてその下方に配置されるようにすることができる。例示的な実施形態では、以下により詳細に説明するように、複数のディフレクタ242がウェブ232に結合(例えば、ロウ付け)されて、各ディフレクタ242がそれぞれ1つの小穴238を囲んで、燃焼プロセスに関連した熱からウェブ232の後面244を全体的にシールドできるようになる。他の実施形態では、ディフレクタ242は、ウェブ232に結合された単一の環状ディフレクタユニットとして一体的に形成することができる。好適には、内部に燃焼室フレーム200が取り付けられることになる関連のガスタービンエンジン又は他のシステムの所望の空気力学的及び/又は熱力学的特性に適合するような、中間フレームセグメント206は、内側ライナボルト孔234、外側ライナボルト孔236、及び/又は小穴238のあらゆる数及び寸法を有することができる。
【0017】
外側フレームセグメント204は、複数の円周方向に間隔を置いて配置された支持体246を含み、これらは中間フレームセグメント206の外側カウル226と一体的に形成され、該外側カウル226から軸方向前方に延びる。例示的な実施形態では、支持体246は、9個の支持体246の1つのグループ248と、8個の支持体246の他のグループ249とに配置され、グループ248、249間の空間250は、各グループ248、249内の個々の支持体246間の空間252よりも大きい。以下により詳細に説明するように、各空間250は、1つのバルブアダプタ216と円周方向に整列されて、冷却管162(図10)用のクリアランスを設けることができる。他の実施形態では、支持体246は、各グループにおいてあらゆる好適な数の支持体246を有するあらゆる好適な数のグループに配置することができる。或いは、支持体246は、燃焼室フレーム200の円周部の周りに等間隔で配置することができる(すなわち、外側フレームセグメント204は、グループで配置された支持体246を有することができない)。
【0018】
各支持体246は、支持ボルト孔260を形成するスペーサ258にて一体的に接合される一対の斜め配向アーム256を含む。幾つかの実施形態では、締結装置を支持ボルト孔260の周りでスペーサ258に結合することができる(例えば、例示的な実施形態では、以下により詳細に説明するように、バスケットナット262が、支持ボルト孔260の周りでスペーサにリベット止めされ、燃焼室フレーム200を取り付けた時により大きな公差をもたらすことができ、従って、スペーサ258の半径方向内側表面264は、アーチ形ではなく平坦な起伏部を有し、バスケットナット262をスペーサ258に接して着座させることができるようにする)。他の実施形態では、締結装置は、スペーサ258に結合されなくてもよい。
【0019】
例示的な実施形態では、各支持体246は、アーム256間にスペースを有し、このスペースは実質的にU字形の外側ライナ冷却流れ取入アパーチャ266を形成するためのスペーサ258におけるよりも外側カウル226においてより大きくなっている。従って、隣接する支持体246間の各スペース252は、実質的に逆U字形の外側ライナ冷却流れ取入アパーチャ268となる。このようにして、支持体246の各グループ248、249は、実質的に逆U字形の外側ライナ冷却流れ取入アパーチャ268と噛み合った実質的にU字形の外側ライナ冷却流れ取入アパーチャ266を有する。外側カウル226の湾曲した前方表面225は、各々実質的にU字形の外側ライナ冷却流れ取入アパーチャ266及び各々実質的に逆U字形の外側ライナ冷却流れ取入アパーチャ268の周辺部の軸方向後方部分を形成し、そこを通ってより円滑な(すなわち、拘束の少ない)空気流を可能にする。幾つかの実施形態では、支持体246は、軸方向に変化する半径方向の厚みを有し、運転中に燃焼室フレーム200上の温度勾配によって誘起される曲げを可能にすることができる(すなわち、各支持体246は、これらの間領域におけるよりもスペーサ258の近くで及び/又は外側カウル226の近くでより厚肉になり、ガスタービンエンジン100の高サイクル疲労(HCF)又は低サイクル疲労(LCF)時に支持体246が曲ることができるようにすることができる)。或いは、外側フレームセグメント204は、内部に燃焼室フレーム200が取り付けられることになる関連のガスタービンエンジン又は他のシステムの所望の空気力学的及び/又は熱力学的特性に適合するように、あらゆる好適な方法で構成され間隔を置いて配置された支持体246のあらゆる好適な数及び寸法を有することができる。
【0020】
図8及び図9は、図6の線8−8に沿った燃焼室フレーム200を有するガスタービンエンジン100の燃焼システム106の概略断面図である。例示的な実施形態では、燃焼システム106は、燃焼システム106の外側ケーシング構造体122及び内側ケーシング構造体124を形成するために、燃焼器/ディフューザ/ノズル(CDN)モジュール118と高圧タービン(HPT)ケース120との間に結合された燃焼器ケース114及び前方内側ノズル支持体(FINS)を含む。外側ケーシング構造体122及び内側ケーシング構造体124は、圧縮機システム104から排出される加圧空気10用の流路300を形成する。
【0021】
燃焼システム106は更に、燃焼室302と、各々が燃料ノズル128、点火装置130、及び混合器132を有する複数の円周方向に間隔を置いて配置された燃焼器組立体126とを含む。燃焼室302は、燃焼室フレーム200によって少なくともその一部が形成される前方境界部と、燃焼室フレーム200に結合され該燃焼室フレーム200から後方に延びる内側ライナ134並びに外側ライナ136によって少なくともその一部が形成された半径方向境界部と、を有する。燃焼室フレーム200は、内側フランジ208によって内側ケーシング構造体124に結合される(すなわち、内側フランジ208は、内側フランジボルト孔214に挿入される複数のボルト138によってFINS116とCDN118との間にボルト止めされる)。
【0022】
内側ライナ134は、該内側ライナ134の前方端部144が位置合わせの目的で内側リム228の内側リップ部270に当接するように、内側ライナボルト孔234内に挿入される複数のボルト142によって燃焼室フレーム200の内側リム228にボルト止めされる。同様に、外側ライナ136は、該外側ライナ136の前方端部148が位置合わせの目的で外側リム230の外側リップ部272に当接するように、外側ライナボルト孔236内に挿入される複数のボルト146によって燃焼室フレーム200の外側リム230にボルト止めされる。更に、内側ライナ134の後方端部150は、高圧タービンシステム108のタービンノズル154に結合された内側リーフスプリング152に当接させ又はその近傍で浮動可能に着座され、また外側ライナ136の後方端部156は、高圧タービンシステム108のタービンノズル154に同様に結合された外側リーフスプリング158に当接させ又はその近傍で浮動可能に着座される。このようにして、燃焼室フレーム200は、流路300にわたって延びて、加圧空気10の第1の部分12を燃焼室302内に配向し、加圧空気10の第2の部分14を燃焼器ケース114と外側ライナ136との間に形成された外側ライナ冷却流路304内に配向し、更に、加圧空気10の第3の部分16を内側ライナ134とFINS116との間に形成された内側ライナ冷却流路306内に配向する。
【0023】
各燃焼器組立体126において、燃料ノズル128は、外側ケーシング構造体122を通り、1つの実質的に逆U字形の外側ライナ冷却流れ取入アパーチャ268を通って1つの小穴238内に延びる。混合器132は、小穴238の周りで燃焼室フレーム200のウェブ232に浮動可能に結合されて、燃料ノズル128を囲み、各タブ240は、組立時及び運転時に、燃焼室フレーム200を基準にして混合器132をクロックさせること、及び/又は燃焼室フレーム200を基準にして混合器132の半径方向及び/又は軸方向変位に対する限界停止部をもたらすことを可能にする。点火装置130は、外側ケーシング構造体122を貫通して延びて、点火装置130が燃焼室302と連通状態になるように外側ライナ136に結合される。
【0024】
運転時には、加圧空気10の第1の部分12は、内側カウル222と外側カウル226との間を混合器132を通って燃焼室302内に流れる。加圧空気10の第2の部分は、実質的にU字形の外側ライナ冷却流れ取入アパーチャ266、実質的に逆U字形の外側ライナ冷却流れ取入アパーチャ268、及び支持体246のグループ248,249間の大きなスペース250を通って外側ライナ冷却流路304内に流れる。加圧空気10の第3の部分16は、内側ライナ冷却流れ取入アパーチャ220を通って内側ライナ冷却流路306内に流れる。このようにして、混合器132は、加圧空気10の第1の部分12を旋回させ、燃料ノズル128がこの旋回した第1の部分12内に燃料を噴射し、点火装置130が、混合気を点火させて高温の燃焼ガスを発生させ、該燃焼ガスが燃焼室302から出てタービンノズル154内に流れる。加圧空気10の第2の部分14及び第3の部分16は、燃焼プロセス中に外側ライナ136及び内側ライナ134それぞれの冷却を可能にする。例示的な実施形態では、内側カウル222及び外側カウル226は、より小さなサイズにされ、燃焼室302内に流れる加圧空気10の第1の部分12を増加させ且つライナ冷却流路304、306内に流れる加圧空気10の第2及び第3の部分14、16を減少させ、これによりガスタービンエンジン100のエミッションをより少なくすることができる。
【0025】
図10は、図6の線10−10に沿った燃焼室フレーム200を有するガスタービンエンジン10の燃焼システム106の概略断面図である。例示的な実施形態では、ガスタービンエンジン100はまた、外側ケーシング構造体122から支持体246のグループ248、249間のスペースを通って半径方向内向きに延びた複数の冷却管162を有するタービン冷却マニホルド送給システムを含む。冷却管162は、プレナム210のバルブアダプタ216に結合され、冷却管162がファンシステム102及び/又は圧縮機システム104からプレナム210内に冷却空気の流れ18を導くようにする。流れ18は、プレナム210内の燃焼室フレーム200の周りで円周方向に向けられ、出口スロット218を通ってプレナム210から流出し、その後、内側ライナ冷却流路306の半径方向内向きにあるバイパスダクト(図8)を介して高圧タービンシステム108及び/又は低圧タービンシステム110内に流れる。
【0026】
本明細書で説明した方法及びシステムは、ガスタービンエンジン燃焼システムにおけるより前方及びより低温領域内に燃焼室フレームを装着可能にし、これにより燃焼室フレームに与えられる作動応力を減少させ、燃焼室フレームの有効寿命を延ばすことを可能にする。本明細書で説明する方法及びシステムはまた、燃焼プロセス中に燃焼室ライナの半径方向膨張を可能にした燃焼室フレームの構造上の支持を強化するために内側及び外側ケーシング構造体の両方に燃焼室フレームを結合し、これにより燃焼室フレームの有効寿命を延ばしながら、燃焼室フレームに与えられる作動応力を良好に吸収するのを可能にする。本明細書で説明する方法及びシステムは更に、ドーム構造体をカウルと統合して、これにより製造コストを減少させ、且つドーム構造体及びカウルが燃焼室ライナに結合される接合部を介した空気流漏洩を減少させることよって動作効率を向上させることを可能にする。
【0027】
本明細書で説明した方法及びシステムはまた、混合器、ドーム構造体、及び/又はカウルを構造的に支持するように構成されない燃焼室ライナの使用を可能にする(例えば、ライナは、セラミックマトリックス複合材(CMC)材料で製造することができる)。本明細書で説明する方法及びシステムはまた、燃料ノズルの近くに燃焼室フレームを設置し、これにより燃料ノズルを基準とした混合器、ドーム構造体、及び/又はカウルの軸方向及び半径方向の変位に対する良好な制御を可能にし(例えば、燃料ノズルを基準にした混合器、ドーム構造体、及び/又はカウルの回転を減少させるのを可能にする)、これにより燃焼室フレームに与えられる作動応力を減少させると共に、燃焼室フレームの有効寿命を延ばすことができる。加えて、本明細書で説明する方法及びシステムは、組立時に燃焼システム構成要素をクロックさせ(例えば、外側ライナに対して点火装置をクロックする)て、これにより製造コストを減少させることができる。
【0028】
燃焼システム及びこれを組み立てる方法の例示的な実施形態を上記で詳細に説明した。本方法及びシステムは、本明細書で説明する特定の実施形態に限定されるものでなく、むしろ、本方法及びシステムの構成要素は、本明細書で説明する他の構成要素から独立して及び別個に利用することができる。例えば、本明細書で記載される方法及びシステムは、他の産業及び/又は消費者向けの用途を有することができ、本明細書で記載されるロータブレードでの実施に限定されるものではない。むしろ、本発明は、他の多くの産業に関連して実施し且つ利用することができる。
【0029】
種々の特定の実施形態について本発明を説明してきたが、請求項の技術的思想及び範囲内にある修正により本発明を実施することができる点は、当業者であれば理解されるであろう。
【符号の説明】
【0030】
10 加圧空気
12 第1の部分
14 第2の部分
16 第3の部分
18 流体の流れ
100 ガスタービンエンジン
102 ファンシステム
104 圧縮機システム
106 燃焼システム
108 高圧タービンシステム
110 低圧タービンシステム
112 排出システム
114 燃焼器ケース
114 フィン
118 CDNモジュール
120 HPTケース
122 外側ケーシング構造体
124 内側ケーシング構造体。
126 燃焼器組立体
128 燃料ノズル
130 点火装置
132 混合器
134 内側ライナ
136 外側ライナ
138 ボルト
140 ボルト
142 ボルト
144 前方端部
146 ボルト
148 前方端部
150 後方端部
152 内側リーフスプリング
154 タービンノズル
156 後方端部
158 外側リーフスプリング
162 冷却管
164 バイパスダクト
200 燃焼室フレーム
202 内側フレームセグメント
204 外側フレームセグメント
206 中間フレームセグメント
208 内側フランジ
210 プレナム
212 継手
214 内側フランジボルト孔
216 バルブアダプタ
218 出口スロット
220 内側ライナ冷却流れ取入アパーチャ
222 内側カウル
223 前方面
224 ドーム構造体
225 前方表面
226 外側カウル
228 内側リム
230 外側リム
232 ウェブ
234 内側ライナボルト孔
236 外側ライナボルト孔
238 小穴
240 タブ
242 ディフレクタ
244 後面
246 支持体
248 グループ
249 グループ
250 空間
252 空間
256 アーム
258 スペーサ
260 支持ボルト孔
262 バスケットナット
264 半径方向内側表面
266 実質的にU字形の外側ライナ冷却流れ取入アパーチャ
268 実質的に逆U字形の外側ライナ冷却流れ取入アパーチャ
270 内側リップ部
272 外側リップ部
300 流路
302 燃焼チャンバ
304 外側ライナ冷却流路
306 内側ライナ冷却流路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスタービンエンジン(100)用の燃焼システム(106)であって、
内側ケーシング構造体(124)と、
外側ケーシング構造体(122)と、
前記内側ケーシング構造体及び前記外側ケーシング構造体間に装着されて前記内側ケーシング構造体及び前記外側ケーシング構造体に結合されるようになる燃焼室フレーム(200)と、
を備える、燃焼システム(106)。
【請求項2】
内側ライナ(134)と、
外側ライナ(136)と、
を更に備え、前記内側及び外側ライナが、前記燃焼室フレーム(200)に結合されて、前記内側及び外側ライナが燃焼室(302)の半径方向境界を形成するようになり、前記燃焼室フレームが前記燃焼室の前方境界を形成するようになる、請求項1記載の燃焼システム(106)。
【請求項3】
前記燃焼室フレーム(200)が、環状燃焼室フレームである、請求項1記載の燃焼システム(106)。
【請求項4】
前記環状燃焼室フレーム(200)が、
環状内側カウル(222)と、
環状外側カウル(226)と、
前記内側カウルから前記外側カウルまで延びた環状ドーム構造体(224)と、
を含み、前記内側カウル、前記外側カウル、及び前記ドーム構造体が一体的に形成される、請求項3記載の燃焼システム(106)。
【請求項5】
前記環状ドーム構造体(224)が、複数の円周方向に配置された小穴(238)を含み、該小穴の各々が、燃料ノズル(128)を受けるようなサイズにされる、請求項4記載の燃焼システム(106)。
【請求項6】
前記ドーム構造体(224)に結合されて前記小穴(238)の少なくとも1つを囲むようにするディフレクタ(242)を更に備える、請求項5記載の燃焼システム(106)。
【請求項7】
内側ケーシング構造体(124)及び外側ケーシング構造体(122)を有するガスタービンエンジン燃焼システム(106)用の燃焼室フレーム(200)であって、
内側フレームセグメント(202)と、
外側フレームセグメント(204)と、
前記内側フレームセグメントから前記外側フレームセグメントまで延びた中間フレームセグメント(206)と、
を備え、前記燃焼室フレームが、前記内側ケーシング構造体及び前記外側ケーシング構造体間に装着されて、前記内側フレームセグメントが前記内側ケーシング構造体に結合され且つ前記外側フレームセグメントが前記外側ケーシング構造体に結合されるように構成される、燃焼室フレーム(200)。
【請求項8】
前記燃焼室フレームが、内側ライナ(134)及び外側ライナ(136)に結合されて、該内側ライナ及び外側ライナが燃焼室(302)の半径方向境界を形成し且つ前記燃焼室フレームが前記燃焼室の前方境界を形成するように構成される、請求項7記載の燃焼室フレーム(200)。
【請求項9】
前記燃焼室フレームが環状燃焼室フレームである、請求項7記載の燃焼室フレーム(200)。
【請求項10】
前記内側フレームセグメント(202)が、環状内側フランジ(208)を含む、請求項15記載の燃焼室フレーム(200)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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