燃焼タービンエンジンの燃焼器において材料欠陥を検出する方法、システム及び装置
【課題】燃焼タービンエンジンの燃焼器において材料欠陥を検出する方法、システム及び装置を提供する。
【解決手段】燃焼タービンエンジンの運転中に該燃焼タービンエンジンの燃焼システムの燃焼ダクト148における欠陥173を検出するシステムであって、燃焼ダクト148は、燃焼ガスに曝される高温側と、該高温側の反対側にある低温側とを有する。一実施形態では、システムは、燃焼ダクト148の低温側に向けられ、燃焼ダクト148の低温側に対する可視的変化を検出するよう構成された光検出器165を備える。
【解決手段】燃焼タービンエンジンの運転中に該燃焼タービンエンジンの燃焼システムの燃焼ダクト148における欠陥173を検出するシステムであって、燃焼ダクト148は、燃焼ガスに曝される高温側と、該高温側の反対側にある低温側とを有する。一実施形態では、システムは、燃焼ダクト148の低温側に向けられ、燃焼ダクト148の低温側に対する可視的変化を検出するよう構成された光検出器165を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、全体的に、工業生産プロセス、エンジン又は同様のシステムにおいて生じる可能性がある欠陥(表面欠陥を含む)を検出する方法、システム及び装置に関する。より具体的には、限定ではないが、本出願は、燃焼タービンエンジンの高温ガスに曝され、燃焼器内で見られるような部品上で形成される欠陥の検出に関連する方法、システム及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
作動時には、一般に、燃焼タービンエンジンは、圧縮機により供給される加圧空気と共に燃料を燃焼させることができる。本明細書で使用する場合、特に別途記載のない限り、燃焼タービンエンジンとは、ガスタービンエンジン、航空機エンジン、その他を含む、全てのタイプのタービン又は回転燃焼エンジンを含むことを意味する。結果として得られる高温ガスの流れは、一般的には作動流体と呼ばれ、エンジンのタービンセクションを通って膨張される。作動流体とタービンセクションのロータブレードとの相互作用によって、タービンシャフトの回転が誘起される。このようにして、燃料中に含まれるエネルギーは回転シャフトの機械エネルギーに変換され、例えば、この機械エネルギーを用いて圧縮機のロータブレードを回転させて、燃焼に必要とされる供給加圧空気が生成されるようにし、また、発電機のコイルを回転させて電力が発生するようにすることができる。作動中、高温ガス経路に曝される部品は、過度の機械的及び熱的負荷によって高応力が加わることは理解されるであろう。これは、作動流体の過酷な温度及び速度、並びにタービンの回転速度に起因する。燃焼温度が高いほど熱機関の効率が高くなるので、科学技術では、これらの用途において使用される材料の限界に常に挑戦し続けている。
【0003】
過度の温度、機械的負荷又はこれらの組合せの何れに起因するかによらず、部品の故障は、依然として燃焼タービンエンジンにおける大きな関心事である。故障の大部分の原因を辿ると材料疲労に端を発する場合が多く、通常は、亀裂進展の開始により事前に警報される。より具体的には、材料疲労によって生じる亀裂の形成は、部品が有効寿命の限界に達したことの1次徴候であり、故障に陥ろうとしている可能性が高い。亀裂形成を検出する能力は、特に単一の部品の故障が引き起こす壊滅的損傷を考慮すると依然として重要な産業上の目的である。このような故障事象は、下流側のシステム及び部品を破壊する連鎖反応を引き起こし、高価な補修及び長期にわたる強制運転停止が必要となる。
【0004】
高温ガス経路部品の有効寿命を延ばすことができる1つの手法は、遮熱コーティングのような保護皮膜を利用することである。一般に、露出表面はこれらの皮膜で覆われ、該皮膜が高温ガス経路の最も過酷な温度から部品を隔離する。しかしながら、当業者には明らかな通り、この種の皮膜は、使用中に摩耗又は破砕し、これは通常「皮膜剥離」又は「剥離」と呼ばれるプロセスである。剥離は、影響を受ける部品の表面上の離散領域又はパッチにおいて非被覆又は露出領域の形成及び成長を生じる可能性がある。これらの非保護領域は高温を受け、従って、疲労亀裂及び他の欠陥の早期形成を含む、より急激な劣化を生じやすい。燃焼タービンエンジンにおいて、皮膜剥離は、ライナ及びトランジションピースなど、タービンロータブレード及び燃焼器内の部品における特定の懸念事項である。皮膜剥離を早期に検出することにより、増大した熱歪みから部品が完全に損傷を受ける前又はタービンが強制的にシャットダウンされる前に、オペレータが修正措置をとることができる。
【0005】
燃焼タービンエンジンのオペレータは、運転中に故障する危険のある摩滅した又は損傷を受けた部品の使用を避けなければならないが、有効寿命の尽きるまでは部品を早期に交換しないことに関する相反した関心を持っている。すなわち、オペレータは、各部品の有効寿命を使い果たし、これにより部品交換を行うためのエンジン停止の頻度を低減しながら、部品コストを最小限にしようとする。従って、エンジン部品における正確な亀裂及び/又は皮膜剥離を検出することは、産業上有意に必要なことである。しかしながら、従来の方法は、一般に、部品の定期的な目視検査を必要とする。目視検査は、有用ではあるが、時間がかかると同時に、長い時間期間にわたってエンジンをシャットダウンする必要がある。
【0006】
亀裂の形成及び保護皮膜の剥離に関してエンジン運転中に高温ガス中の部品を監視できることは、長年にわたり尚も必要とされている。必要なことは、エンジンが作動している間の亀裂形成及び剥離を監視し、故障事象が生じる前又は重大な部品の損傷がもたらされる前に必要な措置をとることができるようにするシステムである。このようなシステムはまた、部品交換の必要性は、予想される摩耗ではなく実際の測定された摩耗に基づくことができるので、部品の寿命を延ばすこともできる。加えて、このようなシステムは、目視検査のようなエンジンシャットダウンを必要とする評価実施の必要性又は頻度を低減することになる。これらの目標をコスト効果のある手法で達成できる範囲内において、効率が向上し産業上の需要が高くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第7123031号明細書
【発明の概要】
【0008】
従って、本発明は、燃焼タービンエンジンの運転中に該燃焼タービンエンジンの燃焼システムの燃焼ダクトにおける欠陥を検出するシステムを記載しており、燃焼ダクトは、燃焼ガスに曝される高温側と、該高温側の反対側にある低温側とを有する。一実施形態では、本システムは、燃焼ダクトの低温側に向けられ、燃焼ダクトの低温側に対する可視的変化を検出するよう構成された光検出器を備える。
【0009】
本発明は更に、燃焼タービンエンジンの運転中に該燃焼タービンエンジンの燃焼システムの燃焼ダクトにおける欠陥を検出する方法を含み、燃焼ダクトは、燃焼ガスに曝される高温側と、該高温側の反対側にある低温側とを有する。一実施形態では、本方法は、燃焼ダクトの低温側をインジケータ皮膜で被覆するステップと、インジケータ皮膜を含む視野を有する光検出器を燃焼ダクトの低温側に近接して位置付けるステップと、燃焼タービンエンジンが運転しているときに、光検出器を用いてインジケータ皮膜に対する可視的変化を検出するステップとを含む。
【0010】
本出願のこれら及び他の特徴は、図面及び請求項を参照しながら以下の好ましい実施形態の詳細な説明を精査することによって明らかになるであろう。
【0011】
本発明のこれら及び他の特徴は、添付図面を参照しながら、本発明の例示的な実施形態の以下の詳細な説明を詳細に検討することによって完全に理解され認識されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本出願の実施形態を用いることができる例示的なタービンエンジンの概略図。
【図2】図1のガスタービンエンジンで用いることができる例示的な圧縮機の断面図。
【図3】図1のガスタービンエンジンで用いることができる例示的なタービンの断面図。
【図4】図1のガスタービンエンジンで用いることができ且つ本発明を利用できる例示的な燃焼器の断面図。
【図5】本発明の実施形態を利用できる例示的な燃焼器の切り欠き斜視図。
【図6】本発明の例示的な実施形態による、トランジションピースと、材料欠陥を監視するためのシステムの断面図。
【図7】本発明の実施形態による、欠陥を検出するときの図6のシステムを示す図。
【図8】本発明の代替の実施形態による、トランジションピースと、材料欠陥を監視するためのシステムの断面図。
【図9】本発明の実施形態による、欠陥を検出するときの図8のシステムを示す図。
【図10】本発明の代替の実施形態による、トランジションピースと、材料欠陥を監視するためのシステムの断面図。
【図11】図10の実施形態による燃焼タービンエンジン及び検出器のスタックの概略図。
【図12】本発明の実施形態による、欠陥を検出するときの図10及び11のシステムを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
ここで図面を参照すると、図1は、本発明の実施形態を利用することができるガスタービンエンジン100の概略図である。一般に、ガスタービンエンジンは、加圧空気のストリーム中にて燃料の燃焼によって生成される高温ガスの加圧流からエネルギーを抽出することにより作動する。図1に示すように、ガスタービンエンジン100は、共通のシャフト又はロータにより下流側タービンセクション又はタービン110に機械的に結合される軸流圧縮機106と燃焼システム112とを備えて構成することができ、該燃焼システム112は、図示のように、圧縮機106とタービン110との間に位置付けられる缶型燃焼器である。
【0014】
図2は、ガスタービンエンジン100で用いることができる軸流圧縮機106の図を示す。図示のように、圧縮機106は複数の段を含むことができる。各段は、圧縮機ロータブレード120の列と、これに続く圧縮機ステータブレード122の列とを含むことができる。すなわち、第1の段は、中央シャフトの周りを回転する圧縮機ロータブレード120の列と、これに続いて、運転中に固定を維持する圧縮機ステータブレード122の列とを含むことができる。圧縮機ステータブレード122は、全体的に、互いに円周方向に間隔を置いて配置され、回転軸の周りに固定される。圧縮機ロータブレード120は、ロータの軸線の周りに円周方向に間隔を置いて配置され、運転中にシャフトの周りを回転する。当業者には理解されるように、圧縮機ロータブレード120は、シャフトの周りを回転するときに圧縮機106を介して流れる空気又は作動流体に運動エネルギーを与えるように構成される。当業者には理解されるように、圧縮機106は、図2に示す段を上回る他の多くの段を有することができる。付加された各段は、複数の円周方向に間隔を置いて配置された圧縮機ロータブレード120と、これに続いて複数の円周方向に間隔を置いて配置された圧縮機ステータブレード122とを含むことができる。
【0015】
図3は、ガスタービンエンジン100で使用することができる例示的なタービンセクション又はタービン110の部分図を示す。タービン110は複数の段を含むことができる。3つの例示的な段が示されているが、これよりも多い又は少ない段をタービン110に設けてもよい。第1の段は、運転中にシャフトの周りを回転する複数のタービンバケット又はタービンロータブレード126と、運転中に固定状態を維持する複数のノズル又はタービンステータブレード128とを含む。タービンステータブレード128は、全体的に、互いに円周方向に間隔を置いて配置され、回転軸の周りに固定される。タービンロータブレード126は、シャフト(図示せず)の周りを回転するようタービンホイール(図示せず)上に取り付けることができる。タービン110の第2の段もまた図示されている。同様に第2の段は、複数の円周方向に間隔を置いて配置されたタービンステータブレード128と、これに続いて、回転のため同様にタービンホイール上に取り付けられる複数の円周方向に間隔を置いて配置されたタービンロータブレード126とを含む。第3の段もまた図示されており、同様に、複数の円周方向に間隔を置いて配置されたタービンステータブレード128と、タービンロータブレード126とを含む。タービンステータブレード128及びタービンロータブレード126は、タービン110の高温ガス経路内にあることは理解されるであろう。高温ガス経路を通る高温ガスの流れ方向が矢印で示されている。当業者には理解されるように、タービン110は、図3に示す段を上回る他の多くの段を有することができる。付加された各段は、複数の円周方向に間隔を置いて配置されたタービンステータブレード128と、これに続いて複数の円周方向に間隔を置いて配置されたタービンロータブレード126とを含むことができる。
【0016】
上述のガスタービンエンジンの性質は、以下のように動作することができる。軸流圧縮機106内の圧縮機ロータブレード120の回転により空気流が加圧される。燃焼器112において、以下でより詳細に説明するように、加圧空気が燃料と混合されて点火されたときにエネルギーが放出される。次いで、燃焼器112からの結果として生じる高温ガスの流れは、タービンロータブレード126の上に配向され、これによりタービンロータブレード126のシャフトの周りの回転を誘起し、従って、ガスの高温流のエネルギーを回転シャフトの機械エネルギーに変換することができる。次に、シャフトの機械エネルギーを利用して、圧縮機ロータブレード120の回転を駆動することができ、加圧空気の必要な供給量が生成され、更に、例えば発電機が電気を発生するようにする。
【0017】
次に進む前に、本発明を明確に理解するために、タービンエンジン及び関連するシステムの特定の部品又は機械部品に言及し且つ説明する用語の選択が必要となる点は理解されるであろう。当業界の用語は、可能な限り、一般に受け入れられる意味と適合するように使用及び利用されることになる。しかしながら、このことは、このようなあらゆる用語は広義の意味が与えられ、本明細書で意図する意味及び添付の請求項の範囲が不当に制限されるように狭義に解釈されるものではないものとする。当業者であれば、特定の部品が複数の異なる用語で呼ばれる場合が多いことは理解されるであろう。加えて、本明細書で単一の要素として説明できる事柄は、別の状況では複数の部品を含み又は複数の部品からなるものとして言及することができ、或いは、本明細書で複数の部品を含むものとして説明できる事柄は、単一要素に構築され、場合によっては単一の要素として言及することができる。従って、本明細書で記載される本発明の範囲を理解する際に、提供される用語及び説明にのみ留意するのではなく、本明細書で記載される部品の構造、構成、機能及び/又は使用に対しても留意すべきである。
【0018】
加えて、複数の記述上の用語を本明細書で定常的に使用する場合があり、この点についてこれらの用語を定義することが有用とすることができる。本明細書で使用するこれらの用語及びその定義は、次の通りである。特に別途指定のない限り、「ロータブレード」という用語は、圧縮機又はタービンの何れかの回転ブレードを意味する表現であり、この回転ブレードには、圧縮機ロータブレード及びタービンロータブレードの両方が含まれる。特に別途指定のない限り、「ステータブレード」という用語は、圧縮機又はタービンの何れかの固定ブレードを意味する表現であり、この固定ブレードには、圧縮機ステータブレード及びタービンステータブレードの両方が含まれる。本明細書では、「ブレード」という用語は、何れかのタイプのブレードを意味するのに使用することになる。従って、特に別途指定のない限り、「ブレード」という用語は、圧縮機ロータブレード、圧縮機ステータブレード、タービンロータブレード及びタービンステータブレードを含む、全てのタイプのタービンエンジンブレードを包含する。更に、本明細書で使用する場合、「下流側」及び「上流側」とは、タービンを通る作動流体のような、流体の流れに対する方向を示す用語である。従って、「下流側」という用語は、一般的に作動流体の流れの方向に対応する方向を意味し、「上流側」という用語は一般的に、作動流体の流れの方向の反対方向を意味する。「前方」又は「リーディング(前)」及び「後方」又は「トレーリング(後)」という用語は一般的に、タービンエンジンの前方端及び後方端を基準とした相対位置を意味している(すなわち、圧縮機はエンジンの前方端にあり、タービンを有する端部は後方端である)。場合によっては、本明細書を考慮して明確になるように、「リーディング(前)」及び「トレーリング(後)」という用語は、回転部品の回転方向を意味することがある。これが当てはまる場合、回転部品の「リーディングエッジ(前縁)」は、回転の先頭にある縁部であり、「トレーリングエッジ(後縁)」は、後方の縁部である。
【0019】
「半径方向」という用語は、軸線に対して垂直方向の移動又は位置を意味する。「半径方向」という用語は、軸線に関して異なる半径方向位置にある要素を記述するために必要となることが多い。このようなケースでは、第1の部品が第2の部品よりも軸線に対してより近接して存在する場合には、本明細書では、第1の部品が、第2の部品の「半径方向内向き」又は「内寄り」にあると記述することができる。これに対して、第1の部品が第2の部品よりも軸線から更に遠くに存在する場合には、本明細書では、第1の部品が、第2の部品の「半径方向外向き」又は「外側寄り」にあると記述することができる。「軸方向」という用語は、軸線に平行な移動又は位置を意味する。最後に、「円周方向」又は「角度位置」という用語は、軸線周りの移動又は位置を意味する。
【0020】
図4及び図5は、ガスタービンエンジンにおいて用いることができ、また、本発明の実施形態を用いることができる例示的な燃焼器130を示している。当業者には理解されるように、燃焼器130は、必要な空気及び燃料を燃焼器に供給する種々のマニホルドを一般に有するヘッド端部163と、端部カバー170とを含むことができる。複数の燃料ライン137は、端部カバーを通り、前方ケース又はキャップ組立体140の後端に位置付けられる燃料ノズル又は燃料噴射装置138に延びることができる。キャップ組立体140は、全体的に円筒形状であり、前方端部にて端部カバー170に固定される点は理解されるであろう。
【0021】
一般に、燃料噴射装置138は、燃焼用に燃料及び空気の混合気を集める。例えば、燃料は天然ガスとすることができ、空気は、圧縮機から供給される加圧空気(この流れが複数の矢印で図5に示される)とすることができる。当業者には理解されるように、燃料噴射装置138の下流側には、燃焼が生じる燃焼室180がある。燃焼室180は、全体的に、流れスリーブ144内に密閉されるライナ146により定められる。流れスリーブ144とライナ146との間にはアニュラスが形成される。トランジションピース148は、ライナ146から下流側のタービンセクション(図4には図示せず)に移るときにライナの円形断面から環状断面に移行する。トランジションピースインピンジメントスリーブ150(以降、「インピンジメントスリーブ150」)は、トランジションピース148を密閉し、同様にインピンジメントスリーブ150とトランジションピース148との間にアニュラスを生成することができる。トランジションピース148の下流側端部において、トランジションピース後方フレーム152は、タービン110の第1の段に位置付けられた翼形部に向けて作動流体の流れを配向することができる。流れスリーブ144及びインピンジメントスリーブ150は通常、貫通して形成されるインピンジメントアパーチャ(図4には図示せず)を有し、該アパーチャにより圧縮機106からの加圧空気の衝突流が、流れスリーブ144とライナ146との間及びインピンジメントスリーブ150とトランジションピース148との間に形成されたキャビティに流入できるようになる点は理解されるであろう。インピンジメントアパーチャを通る加圧空気の流れは、ライナ146及びトランジションピース148の外部表面を対流冷却する。
【0022】
ここで図6から図12を参照すると、燃焼タービンエンジン内のトランジションピース148内部に欠陥を検出する複数の方法を検討する。「欠陥」への言及は、トランジションピース148内部の亀裂形成、並びに通常はトランジションピース148の内部表面に施工される保護皮膜(すなわち、遮熱コーティング)の剥離の両方を含む点は理解されるであろう。
【0023】
図6は、トランジションピース148と、本発明の一実施形態によるトランジションピース148内の材料欠陥を監視するシステムとの断面図を示している。(本明細書で記載されるシステム及び方法は、燃焼システム内のライナ146にも同様に適用できる点は当業者であれば理解されるであろう。複数の例示的な用途におけるトランジションピース148の使用法が以下で示され、これに応じて、燃焼器のライナ146内部でユーザに適用されるものとする。添付の請求項において共に参照される場合、トランジションピース148及びライナ146は、「燃焼ダクト」と呼ばれる。)図7は、例示的な実施形態による、トランジションピース148内の欠陥を検出するときのシステムの作動を示している。トランジションピース148の内部表面は、「高温側」と呼ばれることが多く、従来の遮熱コーティングとすることができる保護皮膜161で被覆することができる点は理解されるであろう。本発明によれば、トランジションピース148の外側表面は、「低温側」と呼ばれることが多く、インジケータ皮膜163で被覆することができる。一実施形態では、以下でより詳細に説明されるインジケータ皮膜163は、亜鉛、カドミウム、マグネシウム又は他の何れかの色鮮やかな粉体などの粉体物質と接着材とを有する皮膜を含むことができる。幾つかの実施形態では、接着材は、高温での良好なクリープ抵抗特性を有するセラミック接着剤(Resbond(商標)919及び920)、セラミックパテ又はエポキシシリコーン、或いは他の同様のタイプの材料もしくは接着材を含むことができる。図示のように、インジケータ皮膜163は、トランジションピース148の低温側の大きな領域に施工することができる。接着材は、トランジションピース148の低温側に皮膜を結合する点は理解される。
【0024】
本発明の実施形態によれば、検出器165は、図6に示すように、トランジションピース148の低温側から反射又は放射される光を検出するように位置付けることができる。検出器165は、トランジションピース148の低温側を監視するための位置及び能力が安定した状態を保つように固定構造体166に接続することができる。検出器165は、トランジションピース148の特定の領域が検出器の視野内にあるように位置付けることができる。幾つかの実施形態では、固定構造体166は、燃焼器ケーシングのセクションを含むことができる。他の実施形態では、固定構造体166は、トランジションピース148を囲むインピンジメントスリーブ150のセクションを含むことができる。検出器165は、望ましいカバレッジ領域が得られるようにトランジションピース148から所定距離に位置付けることができる。
【0025】
一実施形態では、検出器165は、従来の光センサ又は光検出器、すなわち光を検出可能な従来のセンサを備える。より具体的には、検出器は、本明細書で記載されるインジケータ皮膜163に対する変化を検出できるあらゆる従来の光検出器を備えることができる。一実施形態によれば、検出器165は、Bayer形センサ、Foven X3形センサ、3CCD形センサ又は他のタイプのカラーセンサを含むことができる、従来のカラーセンサを備える。代替の実施形態によれば、検出器165は、インジケータ皮膜163をドープするのに用いることが可能な物質を燃焼させたときに発生することができる高輝度の光又は光フラッシュを検出するよう構成されたフォトダイオード光センサ又は他のタイプの光検出器を備える。
【0026】
図6に示すように、検出器165は、コントロールユニット170と通信することができ、該コントロールユニット170は、所定基準を超える色又は光が検出器165により検出されたかどうかを判定するよう構成される。所定基準を超えた場合には、コントロールユニット170は、自動ワーニング信号を送信し又は修正措置を実行するよう構成することができる。例えば、ワーニング信号は、オペレータに対するアラーム又は電子メールもしくは自動メッセージのような他の伝達情報を含むことができ、修正措置は、燃焼タービンエンジンのシャットダウンを含むことができる。
【0027】
作動時には、インジケータ皮膜163の接着材は、粉体皮膜をトランジションピース148の低温側に結合する。欠陥173の形成がなければ、インジケータ皮膜163は、トランジションピース148の低温側と結合したままであるように構成することができ、これに応じて、検出器165は、そこから反射又は放射された光に変化がないことを検知する点は理解されるであろう。
【0028】
図7に示すように、欠陥173は、トランジションピース148内部に形成される可能性がある。上述のように、欠陥173は、保護皮膜161の剥離を生じる亀裂をトランジションピース148内部に含むことができ、或いは、欠陥173は、トランジションピース148からの保護皮膜161の浸食又は剥離を含むことができる。欠陥173が形成されると、トランジションピース148の温度が増大し、トランジションピース148の低温側のセクションに沿って形成される「ホットスポット」を生じさせる。トランジションピース148を貫通する亀裂を含む欠陥173の場合には、これは、亀裂を通して吸い込まれる高温ガスを含むことができ、これによりトランジションピース148の低温側に沿って遙かに大きな温度上昇を生じさせる可能性がある。
【0029】
温度上昇を考慮すると、本発明の実施形態によれば、皮膜は、接着材がその接着特性を失い始めるように及び/又は粉体物質が溶解し始めるように構成することができる点は理解されるであろう。当業者には理解されるように、これらの状態により、トランジションピース148の低温側が、インジケータ皮膜163のカバレッジを失い、すなわち図7に示すようにベアのパッチを生じるようになる可能性がある。検出器165がカラーセンサを備える場合には、これにより検出器165が検出可能な色変化を引き起こすことになる。例えば、トランジションピース148の色は、熱的に過酷な状態に起因して変化することができる。或いは、例えば、トランジションピース148の色はグレーとすることができ、インジケータ皮膜163が白色である場合、インジケータ皮膜163を除去することにより明確な色変化を生じるようになる。上述のように、例示的な実施形態では、色変化の検出により、コントロールユニット170は、欠陥173が存在する可能性があること及び/又は修正措置をとる必要がある旨のワーニング通知を提供することができる。システムの感度は、ワーニング通知が送出される前に検出器から受け取った信号に関して異なる基準を用いることにより調整することができる点は理解されるであろう。
【0030】
代々の実施形態では、インジケータ皮膜163は、吸い込まれた高温通路ガスの高温に曝されたときに、高輝度の光及び/又は高輝度のフラッシュが入る物質(マグネシウムなど)を含むことができる。別の手法では、この事象はまた、皮膜が剥離(材料溶解又は接着特性が失われたことに起因する)して、トランジションピース148の低温側に沿って燃焼器の空気入口(図示せず)に又はトランジションピースとライナ(フラシール経路)との間の漏洩経路を通って、もしくは亀裂を通って流れた後に検出することができる。遊離した要素163aは、燃焼して、これによりトランジションピース/ライナの高温側で検出可能な高輝度の光を放出することができ、このような高輝度の光は、トランジションピース後端又はスタックにて設置される分光器により検出することができる(図10から図12において示されるシステムと同様)。この場合、検出器165は、このような高輝度の光及び/又は高輝度のフラッシュを検知できる光検出器又は分光器を含むことができる。例えば、検出器165は、フォトダイオードを含むことができる。この場合、欠陥173形成時に生じる可能性がある高温及び/又は吸込みガスにより、マグネシウム又は他のこのような物質が高輝度の光又は高輝度のフラッシュを生成するようにすることができる。例示的な実施形態では、高輝度の光及び/又はフラッシュの検出により、コントロールユニット170は、欠陥173が存在する可能性があること及び/又は修正措置をとる必要がある旨のワーニング通知を提供することができる。システムの感度は、ワーニング通知が送出される前に検出器165から受け取った信号に関して異なる基準を用いることにより調整することができる点は理解されるであろう。
【0031】
別の代替の実施形態では、2つの従来の実施形態は、色変化と高輝度の光及び/又はフラッシュの両方を検出する組合せた実施形態を形成することができる。このような実施形態では、異なる検出モードは、欠陥173の変化するカテゴリーを伝達するように構成することができる点は理解されるであろう。例えば、検出器165による色変化の検出は、トランジションピース148の内側表面からの保護皮膜161の浸食により生じるホットスポットを示すことができる。他方、高輝度の光及び/又はフラッシュの検出は、トランジションピース148の亀裂を通る高温流れ経路ガスの吸込みを含むより深刻な問題を示すことができる。何れの場合においても、当然のことながら当業者には理解されるように、システムの特性及び所望の感度に応じてパラメータを調整することができる。
【0032】
図8は、トランジションピース及び本発明による材料欠陥を監視するシステムの断面図を示し、図9は、例示的な実施形態による、欠陥を検出したときのシステムの作動を示している。
【0033】
上記で検討した実施形態と同様に、トランジションピースの内部表面は、従来の遮熱コーティングとすることができる保護皮膜161で被覆することができる。トランジションピース148の外部表面は、インジケータ皮膜163で被覆することができる。この実施形態では、インジケータ皮膜163は、本明細書で記載される性能基準を満たすあらゆる従来の皮膜とすることができる。例えば、インジケータ皮膜163は、一部の好ましい実施形態では、高温で良好なクリープ抵抗特性を有するセラミック接着材、セラミックパテ又はエポキシシリコーン、或いは、他の同様のタイプの材料又は接着材を含むことができる。図示のように、インジケータ皮膜163は、トランジションピース148の低温側の大きな領域に施工することができる。皮膜の接着品質によって、トランジションピース148の低温側にインジケータ皮膜が結合される点は理解されるであろう。好ましい実施形態では、インジケータ皮膜163は、約0.001から0.80インチまでの厚みを有するように施工することができる。
【0034】
本発明の代替の実施形態によれば、近接センサ175は、トランジションピース148に対する位置が固定されるように固定構造体166に接続することができる。近接センサ175は、トランジションピース148の特定の領域が近接センサ175の視野内にあるように位置付けることができる。幾つかの実施形態では、固定構造体166は、燃焼器ケーシングのセクションを含むことができる。他の実施形態では、固定構造体166は、トランジションピース148を囲むインピンジメントスリーブ150のセクションを含むことができる。検出器165は、特定の近接センサ175の性能特性に従って、トランジションピース148から好適な距離に位置付けることができる。1つの好ましい実施形態では、近接センサ175は、レーザ近接プローブである。他の実施形態では、近接センサ175は、渦電流センサ、容量センサ、マイクロ波センサ又は他の何れかの同様のタイプの装置とすることができる。
【0035】
図8に示すように、近接センサ175は、コントロールユニット170と通信することができ、該コントロールユニット170は、近接センサとインジケータ皮膜163との間の距離の変化が所定基準を超えたことを近接センサ175により検出されたかどうかを判定するよう構成される。所定基準を超えた場合には、コントロールユニット170は、自動ワーニング信号を送信し又は修正措置を実行するよう構成することができる。例えば、ワーニング信号は、オペレータに対するアラーム、或いは電子メール又は自動メッセージのような他の伝達情報を含むことができ、修正措置は、燃焼タービンエンジンのシャットダウンを含むことができる。
【0036】
作動時には、インジケータ皮膜163の接着材は、一般に、皮膜をトランジションピース148の低温側に結合する。欠陥173の形成がなければ、インジケータ皮膜163は、トランジションピース148の低温側に結合したままであるように構成することができ、これに応じて、近接センサ175は、インジケータ皮膜163の表面までの距離(図8において「d1」で示される)に変化がないことを検知する点は理解されるであろう。
【0037】
図9に示すように、欠陥173は、トランジションピース148内部に形成される可能性がある。上述のように、欠陥173は、保護皮膜161の剥離を生じる亀裂をトランジションピース148内部に含むことができ、或いは、欠陥173は、内部に亀裂が存在せずに形成されたトランジションピース148からの保護皮膜161の浸食又は剥離を含むことができる。欠陥173が形成されると、トランジションピース148の温度が増大し、トランジションピース148の低温側のセクションに沿って形成される「ホットスポット」を生じさせる。トランジションピース148を貫通する亀裂を含む欠陥173の場合には、これは、亀裂を通して吸い込まれる高温ガスを含むことができ、これによりトランジションピース148の低温側に沿って遙かに大きな温度上昇を生じさせる可能性がある。
【0038】
温度上昇を考慮すると、本発明の実施形態によれば、皮膜は、接着材がその接着特性を失い始めるように及び/又は粉体物質が溶解し始めるように構成することができる点は理解されるであろう。当業者には理解されるように、これらの状態により、トランジションピース148の低温側が、インジケータ皮膜163のカバレッジを失い、すなわち図7に示すようにベアのパッチを生じるようになる可能性がある。近接センサ175は、トランジションピース148までの距離の変化を測定することができる(すなわち、近接センサ175は、距離が、図9に「d2」で示される距離まで増大したことを示すことができる)。例示的な実施形態では、距離の変化の検出により、コントロールユニット170は、欠陥173が存在する可能性があること及び/又は修正措置をとる必要がある旨のワーニング通知を提供することができる。システムの感度は、ワーニング通知が送出される前に必要な距離の変化に関して異なる基準を用いることにより調整することができる点は理解されるであろう。
【0039】
図10及び11は、本発明による材料欠陥監視システムを含む、トランジションピースと下流側スタックの図をそれぞれ示しており、図12は、例示的な実施形態による欠陥を検出したときのシステムの作動を示している。
【0040】
上記で検討した実施形態と同様に、トランジションピースの内部表面は、従来の遮熱コーティングとすることができる保護皮膜161で被覆することができる。トランジションピース148の外部表面は、インジケータ皮膜163で被覆することができる。この実施形態では、インジケータ皮膜163は、以下でより詳細に説明するように、高温で良好なクリープ抵抗特性を有するセラミック接着材、セラミックパテ又はエポキシシリコーン、或いは、他の同様のタイプの材料又は接着材を含むことができる。以下でより詳細に説明するように、インジケータ皮膜163は、下流側に配置されるガス分析器又はセンサ181により検出可能な物質を含むことができる。特定の好ましい実施形態では、この検出可能な物質は希土類元素である。他の実施形態では、検出可能な物質は、カドミウム又はマグネシウムとすることができる。他の物質を用いてもよい点は理解されるであろう。図示のように、インジケータ皮膜163は、トランジションピース148の低温側の大きな領域に施工することができる。皮膜の接着品質によって、トランジションピース148の低温側にインジケータ皮膜が結合される点は理解されるであろう。
【0041】
本発明の代替の実施形態によれば、上述のように、ガス分析器181は、燃焼器の下流側の好適な位置に配置することができる。このような好ましい位置の1つは、図11に示すような燃焼タービンのスタック178内である。ガスセンサ181は、当業者であれば理解できるように、記載された用途に好適な従来のあらゆるガス分析器を含むことができる。好ましい実施形態では、ガスセンサ181は、クロマトグラフィーアナライザーを備える。他のタイプの従来のガスセンサを用いることもできる。
【0042】
図11に示すように、ガスセンサ181は、コントロールユニット170と通信することができ、該コントロールユニット170は、分析されたガスがインジケータ皮膜163の検出可能な物質を含むかどうかを判定するよう構成される。コントロールユニット170は、検出可能な物質の所定の閾値を超えたかどうかを判定するよう構成することができる。所定閾値を超えた場合には、コントロールユニット170は、自動ワーニング信号を送信し又は修正措置を実行するよう構成することができる。例えば、ワーニング信号は、オペレータに対するアラーム、或いは電子メール又は自動メッセージのような他の伝達情報を含むことができ、修正措置は、燃焼タービンエンジンのシャットダウンを含むことができる。
【0043】
作動時には、インジケータ皮膜163の接着材は、一般に、皮膜をトランジションピース148の低温側に結合する。欠陥173の形成がなければ、インジケータ皮膜163は、トランジションピース148の低温側に結合したままであるように構成することができ、これに応じて、ガスセンサは、スタック170を通って流れる燃焼生成物内にインジケータ皮膜163の検出可能物質の検出がないことを検知する点は理解されるであろう。
【0044】
図9に示すように、欠陥173は、トランジションピース148内部に形成される可能性がある。上述のように、欠陥173は、保護皮膜161の剥離を生じる亀裂をトランジションピース148内部に含むことができ、或いは、欠陥173は、内部に亀裂が存在せずに形成されたトランジションピース148からの保護皮膜161の浸食又は剥離を含むことができる。欠陥173が形成されると、トランジションピース148の温度が増大し、トランジションピース148の低温側のセクションに沿って形成される「ホットスポット」を生じさせる。トランジションピース148を貫通する亀裂を含む欠陥173の場合には、これは、亀裂を通して吸い込まれる高温ガスを含むことができ、これによりトランジションピース148の低温側に沿って遙かに大きな温度上昇を生じさせる可能性がある。
【0045】
温度上昇を考慮すると、本発明の実施形態によれば、皮膜は、接着材がその接着特性を失い始めるように及び/又は粉体物質が溶解し始めるように構成することができる点は理解されるであろう。当業者には理解されるように、これらの状態により、インジケータ皮膜163がトランジションピース148の低温側から腐食するようになる可能性がある。腐食したインジケータ皮膜163(図12において「163a」で示される)の一部は、トランジションピース148の低温側に沿って燃焼器の空気入口(図示せず)に流動する可能性がある。失われた部分163aが燃焼し、これによりインジケータ皮膜163内で検出可能物質を放出することができる。或いは、検出可能物質は、ホットスポットの生成時に放出され及び/又はトランジションピース148を貫通して形成される亀裂を通じて高温ガス流路内に吸い込まれることができる。
【0046】
上述のように燃焼器の下流側及び1つの好ましい実施形態ではスタック178内部に配置されるガスセンサ181は、インジケータ皮膜163の検出可能な物質を検出することができる。例示的な実施形態では、検出可能な物質の検出により、コントロールユニット170は、欠陥173が存在する可能性があること及び/又は修正措置をとる必要がある旨のワーニング通知を提供することができる。システムの感度は、修正措置がとられる前に検出された物質の異なる閾値レベルを必要とすることにより調整できる点は理解されるであろう。このようにして、トランジションピースの壊滅的故障を回避することができる。
【0047】
或いは、本発明の別の実施形態によれば、トランジションピース148の高温側上の保護皮膜161(例えば、遮熱コーティング)は、検出可能物質でドープすることができる。その結果、スタック178又は他の下流側位置におけるガスセンサ181は、保護皮膜161が剥離したときに検出可能物質の軌跡を検出することができる。このことは、保護皮膜の剥離及び/又は亀裂形成を表すことになる。
【0048】
エンジンの作動中に亀裂形成及び皮膜剥離を監視することにより、定期的な目視検査の必要性を低減することができ、また、エンジン停止時間も短縮することができる点は理解されるであろう。理解されるように、典型的にはトランジションピースは、数千時間の運転後に燃焼システムが診断チェックを受けるまで検査されない。エンジンの作動中に亀裂形成及び皮膜剥離を監視することにより、他の場合にはこの検査が行われるまでは気付かれなかったであろう有意な欠陥の形成を検出することができる。欠陥の重大度によっては、エンジンが継続して運転され且つ修正措置がとられない場合、特に故障により下流側部品に損傷をもたらすトランジションピースの放出を行う場合には、重大な損傷を生じる可能性がある。このような事象は、本発明のリアルタイム監視機能が利用可能である場合には回避することができる。
【0049】
当業者には明らかな通り、幾つかの例示的な実施形態に関して上述された多くの様々な特徴及び構成は、本発明の他の実施可能な実施形態を形成するよう更に選択的に適用することができる。簡潔にするため及び当業者の能力を考慮して、各々の可能な繰り返しは本明細書で詳細には述べていないが、添付の複数の請求項によって包含される全ての組合せ及び可能な実施形態は、本出願の一部をなすものとする。加えて、本発明の複数の例示的な実施形態の上記の説明から、当業者であれば改善、変更及び修正が理解されるであろう。当該技術分野の範囲内にあるこのような改善、変更及び修正はまた、添付の請求項によって保護されるものとする。更に、上記のことは、本出願の好ましい実施形態にのみに関連しているが、添付の請求項及びその均等物によって定められる本出願の精神及び範囲から逸脱することなく、当業者によって多くの変更及び修正を本明細書において行うことができる点を理解されたい。
【符号の説明】
【0050】
148 トランジションピース
161 保護皮膜
163 インジケータ皮膜
165 検出器
166 固定構造体
170 コントロールユニット
173 欠陥
【技術分野】
【0001】
本出願は、全体的に、工業生産プロセス、エンジン又は同様のシステムにおいて生じる可能性がある欠陥(表面欠陥を含む)を検出する方法、システム及び装置に関する。より具体的には、限定ではないが、本出願は、燃焼タービンエンジンの高温ガスに曝され、燃焼器内で見られるような部品上で形成される欠陥の検出に関連する方法、システム及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
作動時には、一般に、燃焼タービンエンジンは、圧縮機により供給される加圧空気と共に燃料を燃焼させることができる。本明細書で使用する場合、特に別途記載のない限り、燃焼タービンエンジンとは、ガスタービンエンジン、航空機エンジン、その他を含む、全てのタイプのタービン又は回転燃焼エンジンを含むことを意味する。結果として得られる高温ガスの流れは、一般的には作動流体と呼ばれ、エンジンのタービンセクションを通って膨張される。作動流体とタービンセクションのロータブレードとの相互作用によって、タービンシャフトの回転が誘起される。このようにして、燃料中に含まれるエネルギーは回転シャフトの機械エネルギーに変換され、例えば、この機械エネルギーを用いて圧縮機のロータブレードを回転させて、燃焼に必要とされる供給加圧空気が生成されるようにし、また、発電機のコイルを回転させて電力が発生するようにすることができる。作動中、高温ガス経路に曝される部品は、過度の機械的及び熱的負荷によって高応力が加わることは理解されるであろう。これは、作動流体の過酷な温度及び速度、並びにタービンの回転速度に起因する。燃焼温度が高いほど熱機関の効率が高くなるので、科学技術では、これらの用途において使用される材料の限界に常に挑戦し続けている。
【0003】
過度の温度、機械的負荷又はこれらの組合せの何れに起因するかによらず、部品の故障は、依然として燃焼タービンエンジンにおける大きな関心事である。故障の大部分の原因を辿ると材料疲労に端を発する場合が多く、通常は、亀裂進展の開始により事前に警報される。より具体的には、材料疲労によって生じる亀裂の形成は、部品が有効寿命の限界に達したことの1次徴候であり、故障に陥ろうとしている可能性が高い。亀裂形成を検出する能力は、特に単一の部品の故障が引き起こす壊滅的損傷を考慮すると依然として重要な産業上の目的である。このような故障事象は、下流側のシステム及び部品を破壊する連鎖反応を引き起こし、高価な補修及び長期にわたる強制運転停止が必要となる。
【0004】
高温ガス経路部品の有効寿命を延ばすことができる1つの手法は、遮熱コーティングのような保護皮膜を利用することである。一般に、露出表面はこれらの皮膜で覆われ、該皮膜が高温ガス経路の最も過酷な温度から部品を隔離する。しかしながら、当業者には明らかな通り、この種の皮膜は、使用中に摩耗又は破砕し、これは通常「皮膜剥離」又は「剥離」と呼ばれるプロセスである。剥離は、影響を受ける部品の表面上の離散領域又はパッチにおいて非被覆又は露出領域の形成及び成長を生じる可能性がある。これらの非保護領域は高温を受け、従って、疲労亀裂及び他の欠陥の早期形成を含む、より急激な劣化を生じやすい。燃焼タービンエンジンにおいて、皮膜剥離は、ライナ及びトランジションピースなど、タービンロータブレード及び燃焼器内の部品における特定の懸念事項である。皮膜剥離を早期に検出することにより、増大した熱歪みから部品が完全に損傷を受ける前又はタービンが強制的にシャットダウンされる前に、オペレータが修正措置をとることができる。
【0005】
燃焼タービンエンジンのオペレータは、運転中に故障する危険のある摩滅した又は損傷を受けた部品の使用を避けなければならないが、有効寿命の尽きるまでは部品を早期に交換しないことに関する相反した関心を持っている。すなわち、オペレータは、各部品の有効寿命を使い果たし、これにより部品交換を行うためのエンジン停止の頻度を低減しながら、部品コストを最小限にしようとする。従って、エンジン部品における正確な亀裂及び/又は皮膜剥離を検出することは、産業上有意に必要なことである。しかしながら、従来の方法は、一般に、部品の定期的な目視検査を必要とする。目視検査は、有用ではあるが、時間がかかると同時に、長い時間期間にわたってエンジンをシャットダウンする必要がある。
【0006】
亀裂の形成及び保護皮膜の剥離に関してエンジン運転中に高温ガス中の部品を監視できることは、長年にわたり尚も必要とされている。必要なことは、エンジンが作動している間の亀裂形成及び剥離を監視し、故障事象が生じる前又は重大な部品の損傷がもたらされる前に必要な措置をとることができるようにするシステムである。このようなシステムはまた、部品交換の必要性は、予想される摩耗ではなく実際の測定された摩耗に基づくことができるので、部品の寿命を延ばすこともできる。加えて、このようなシステムは、目視検査のようなエンジンシャットダウンを必要とする評価実施の必要性又は頻度を低減することになる。これらの目標をコスト効果のある手法で達成できる範囲内において、効率が向上し産業上の需要が高くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第7123031号明細書
【発明の概要】
【0008】
従って、本発明は、燃焼タービンエンジンの運転中に該燃焼タービンエンジンの燃焼システムの燃焼ダクトにおける欠陥を検出するシステムを記載しており、燃焼ダクトは、燃焼ガスに曝される高温側と、該高温側の反対側にある低温側とを有する。一実施形態では、本システムは、燃焼ダクトの低温側に向けられ、燃焼ダクトの低温側に対する可視的変化を検出するよう構成された光検出器を備える。
【0009】
本発明は更に、燃焼タービンエンジンの運転中に該燃焼タービンエンジンの燃焼システムの燃焼ダクトにおける欠陥を検出する方法を含み、燃焼ダクトは、燃焼ガスに曝される高温側と、該高温側の反対側にある低温側とを有する。一実施形態では、本方法は、燃焼ダクトの低温側をインジケータ皮膜で被覆するステップと、インジケータ皮膜を含む視野を有する光検出器を燃焼ダクトの低温側に近接して位置付けるステップと、燃焼タービンエンジンが運転しているときに、光検出器を用いてインジケータ皮膜に対する可視的変化を検出するステップとを含む。
【0010】
本出願のこれら及び他の特徴は、図面及び請求項を参照しながら以下の好ましい実施形態の詳細な説明を精査することによって明らかになるであろう。
【0011】
本発明のこれら及び他の特徴は、添付図面を参照しながら、本発明の例示的な実施形態の以下の詳細な説明を詳細に検討することによって完全に理解され認識されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本出願の実施形態を用いることができる例示的なタービンエンジンの概略図。
【図2】図1のガスタービンエンジンで用いることができる例示的な圧縮機の断面図。
【図3】図1のガスタービンエンジンで用いることができる例示的なタービンの断面図。
【図4】図1のガスタービンエンジンで用いることができ且つ本発明を利用できる例示的な燃焼器の断面図。
【図5】本発明の実施形態を利用できる例示的な燃焼器の切り欠き斜視図。
【図6】本発明の例示的な実施形態による、トランジションピースと、材料欠陥を監視するためのシステムの断面図。
【図7】本発明の実施形態による、欠陥を検出するときの図6のシステムを示す図。
【図8】本発明の代替の実施形態による、トランジションピースと、材料欠陥を監視するためのシステムの断面図。
【図9】本発明の実施形態による、欠陥を検出するときの図8のシステムを示す図。
【図10】本発明の代替の実施形態による、トランジションピースと、材料欠陥を監視するためのシステムの断面図。
【図11】図10の実施形態による燃焼タービンエンジン及び検出器のスタックの概略図。
【図12】本発明の実施形態による、欠陥を検出するときの図10及び11のシステムを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
ここで図面を参照すると、図1は、本発明の実施形態を利用することができるガスタービンエンジン100の概略図である。一般に、ガスタービンエンジンは、加圧空気のストリーム中にて燃料の燃焼によって生成される高温ガスの加圧流からエネルギーを抽出することにより作動する。図1に示すように、ガスタービンエンジン100は、共通のシャフト又はロータにより下流側タービンセクション又はタービン110に機械的に結合される軸流圧縮機106と燃焼システム112とを備えて構成することができ、該燃焼システム112は、図示のように、圧縮機106とタービン110との間に位置付けられる缶型燃焼器である。
【0014】
図2は、ガスタービンエンジン100で用いることができる軸流圧縮機106の図を示す。図示のように、圧縮機106は複数の段を含むことができる。各段は、圧縮機ロータブレード120の列と、これに続く圧縮機ステータブレード122の列とを含むことができる。すなわち、第1の段は、中央シャフトの周りを回転する圧縮機ロータブレード120の列と、これに続いて、運転中に固定を維持する圧縮機ステータブレード122の列とを含むことができる。圧縮機ステータブレード122は、全体的に、互いに円周方向に間隔を置いて配置され、回転軸の周りに固定される。圧縮機ロータブレード120は、ロータの軸線の周りに円周方向に間隔を置いて配置され、運転中にシャフトの周りを回転する。当業者には理解されるように、圧縮機ロータブレード120は、シャフトの周りを回転するときに圧縮機106を介して流れる空気又は作動流体に運動エネルギーを与えるように構成される。当業者には理解されるように、圧縮機106は、図2に示す段を上回る他の多くの段を有することができる。付加された各段は、複数の円周方向に間隔を置いて配置された圧縮機ロータブレード120と、これに続いて複数の円周方向に間隔を置いて配置された圧縮機ステータブレード122とを含むことができる。
【0015】
図3は、ガスタービンエンジン100で使用することができる例示的なタービンセクション又はタービン110の部分図を示す。タービン110は複数の段を含むことができる。3つの例示的な段が示されているが、これよりも多い又は少ない段をタービン110に設けてもよい。第1の段は、運転中にシャフトの周りを回転する複数のタービンバケット又はタービンロータブレード126と、運転中に固定状態を維持する複数のノズル又はタービンステータブレード128とを含む。タービンステータブレード128は、全体的に、互いに円周方向に間隔を置いて配置され、回転軸の周りに固定される。タービンロータブレード126は、シャフト(図示せず)の周りを回転するようタービンホイール(図示せず)上に取り付けることができる。タービン110の第2の段もまた図示されている。同様に第2の段は、複数の円周方向に間隔を置いて配置されたタービンステータブレード128と、これに続いて、回転のため同様にタービンホイール上に取り付けられる複数の円周方向に間隔を置いて配置されたタービンロータブレード126とを含む。第3の段もまた図示されており、同様に、複数の円周方向に間隔を置いて配置されたタービンステータブレード128と、タービンロータブレード126とを含む。タービンステータブレード128及びタービンロータブレード126は、タービン110の高温ガス経路内にあることは理解されるであろう。高温ガス経路を通る高温ガスの流れ方向が矢印で示されている。当業者には理解されるように、タービン110は、図3に示す段を上回る他の多くの段を有することができる。付加された各段は、複数の円周方向に間隔を置いて配置されたタービンステータブレード128と、これに続いて複数の円周方向に間隔を置いて配置されたタービンロータブレード126とを含むことができる。
【0016】
上述のガスタービンエンジンの性質は、以下のように動作することができる。軸流圧縮機106内の圧縮機ロータブレード120の回転により空気流が加圧される。燃焼器112において、以下でより詳細に説明するように、加圧空気が燃料と混合されて点火されたときにエネルギーが放出される。次いで、燃焼器112からの結果として生じる高温ガスの流れは、タービンロータブレード126の上に配向され、これによりタービンロータブレード126のシャフトの周りの回転を誘起し、従って、ガスの高温流のエネルギーを回転シャフトの機械エネルギーに変換することができる。次に、シャフトの機械エネルギーを利用して、圧縮機ロータブレード120の回転を駆動することができ、加圧空気の必要な供給量が生成され、更に、例えば発電機が電気を発生するようにする。
【0017】
次に進む前に、本発明を明確に理解するために、タービンエンジン及び関連するシステムの特定の部品又は機械部品に言及し且つ説明する用語の選択が必要となる点は理解されるであろう。当業界の用語は、可能な限り、一般に受け入れられる意味と適合するように使用及び利用されることになる。しかしながら、このことは、このようなあらゆる用語は広義の意味が与えられ、本明細書で意図する意味及び添付の請求項の範囲が不当に制限されるように狭義に解釈されるものではないものとする。当業者であれば、特定の部品が複数の異なる用語で呼ばれる場合が多いことは理解されるであろう。加えて、本明細書で単一の要素として説明できる事柄は、別の状況では複数の部品を含み又は複数の部品からなるものとして言及することができ、或いは、本明細書で複数の部品を含むものとして説明できる事柄は、単一要素に構築され、場合によっては単一の要素として言及することができる。従って、本明細書で記載される本発明の範囲を理解する際に、提供される用語及び説明にのみ留意するのではなく、本明細書で記載される部品の構造、構成、機能及び/又は使用に対しても留意すべきである。
【0018】
加えて、複数の記述上の用語を本明細書で定常的に使用する場合があり、この点についてこれらの用語を定義することが有用とすることができる。本明細書で使用するこれらの用語及びその定義は、次の通りである。特に別途指定のない限り、「ロータブレード」という用語は、圧縮機又はタービンの何れかの回転ブレードを意味する表現であり、この回転ブレードには、圧縮機ロータブレード及びタービンロータブレードの両方が含まれる。特に別途指定のない限り、「ステータブレード」という用語は、圧縮機又はタービンの何れかの固定ブレードを意味する表現であり、この固定ブレードには、圧縮機ステータブレード及びタービンステータブレードの両方が含まれる。本明細書では、「ブレード」という用語は、何れかのタイプのブレードを意味するのに使用することになる。従って、特に別途指定のない限り、「ブレード」という用語は、圧縮機ロータブレード、圧縮機ステータブレード、タービンロータブレード及びタービンステータブレードを含む、全てのタイプのタービンエンジンブレードを包含する。更に、本明細書で使用する場合、「下流側」及び「上流側」とは、タービンを通る作動流体のような、流体の流れに対する方向を示す用語である。従って、「下流側」という用語は、一般的に作動流体の流れの方向に対応する方向を意味し、「上流側」という用語は一般的に、作動流体の流れの方向の反対方向を意味する。「前方」又は「リーディング(前)」及び「後方」又は「トレーリング(後)」という用語は一般的に、タービンエンジンの前方端及び後方端を基準とした相対位置を意味している(すなわち、圧縮機はエンジンの前方端にあり、タービンを有する端部は後方端である)。場合によっては、本明細書を考慮して明確になるように、「リーディング(前)」及び「トレーリング(後)」という用語は、回転部品の回転方向を意味することがある。これが当てはまる場合、回転部品の「リーディングエッジ(前縁)」は、回転の先頭にある縁部であり、「トレーリングエッジ(後縁)」は、後方の縁部である。
【0019】
「半径方向」という用語は、軸線に対して垂直方向の移動又は位置を意味する。「半径方向」という用語は、軸線に関して異なる半径方向位置にある要素を記述するために必要となることが多い。このようなケースでは、第1の部品が第2の部品よりも軸線に対してより近接して存在する場合には、本明細書では、第1の部品が、第2の部品の「半径方向内向き」又は「内寄り」にあると記述することができる。これに対して、第1の部品が第2の部品よりも軸線から更に遠くに存在する場合には、本明細書では、第1の部品が、第2の部品の「半径方向外向き」又は「外側寄り」にあると記述することができる。「軸方向」という用語は、軸線に平行な移動又は位置を意味する。最後に、「円周方向」又は「角度位置」という用語は、軸線周りの移動又は位置を意味する。
【0020】
図4及び図5は、ガスタービンエンジンにおいて用いることができ、また、本発明の実施形態を用いることができる例示的な燃焼器130を示している。当業者には理解されるように、燃焼器130は、必要な空気及び燃料を燃焼器に供給する種々のマニホルドを一般に有するヘッド端部163と、端部カバー170とを含むことができる。複数の燃料ライン137は、端部カバーを通り、前方ケース又はキャップ組立体140の後端に位置付けられる燃料ノズル又は燃料噴射装置138に延びることができる。キャップ組立体140は、全体的に円筒形状であり、前方端部にて端部カバー170に固定される点は理解されるであろう。
【0021】
一般に、燃料噴射装置138は、燃焼用に燃料及び空気の混合気を集める。例えば、燃料は天然ガスとすることができ、空気は、圧縮機から供給される加圧空気(この流れが複数の矢印で図5に示される)とすることができる。当業者には理解されるように、燃料噴射装置138の下流側には、燃焼が生じる燃焼室180がある。燃焼室180は、全体的に、流れスリーブ144内に密閉されるライナ146により定められる。流れスリーブ144とライナ146との間にはアニュラスが形成される。トランジションピース148は、ライナ146から下流側のタービンセクション(図4には図示せず)に移るときにライナの円形断面から環状断面に移行する。トランジションピースインピンジメントスリーブ150(以降、「インピンジメントスリーブ150」)は、トランジションピース148を密閉し、同様にインピンジメントスリーブ150とトランジションピース148との間にアニュラスを生成することができる。トランジションピース148の下流側端部において、トランジションピース後方フレーム152は、タービン110の第1の段に位置付けられた翼形部に向けて作動流体の流れを配向することができる。流れスリーブ144及びインピンジメントスリーブ150は通常、貫通して形成されるインピンジメントアパーチャ(図4には図示せず)を有し、該アパーチャにより圧縮機106からの加圧空気の衝突流が、流れスリーブ144とライナ146との間及びインピンジメントスリーブ150とトランジションピース148との間に形成されたキャビティに流入できるようになる点は理解されるであろう。インピンジメントアパーチャを通る加圧空気の流れは、ライナ146及びトランジションピース148の外部表面を対流冷却する。
【0022】
ここで図6から図12を参照すると、燃焼タービンエンジン内のトランジションピース148内部に欠陥を検出する複数の方法を検討する。「欠陥」への言及は、トランジションピース148内部の亀裂形成、並びに通常はトランジションピース148の内部表面に施工される保護皮膜(すなわち、遮熱コーティング)の剥離の両方を含む点は理解されるであろう。
【0023】
図6は、トランジションピース148と、本発明の一実施形態によるトランジションピース148内の材料欠陥を監視するシステムとの断面図を示している。(本明細書で記載されるシステム及び方法は、燃焼システム内のライナ146にも同様に適用できる点は当業者であれば理解されるであろう。複数の例示的な用途におけるトランジションピース148の使用法が以下で示され、これに応じて、燃焼器のライナ146内部でユーザに適用されるものとする。添付の請求項において共に参照される場合、トランジションピース148及びライナ146は、「燃焼ダクト」と呼ばれる。)図7は、例示的な実施形態による、トランジションピース148内の欠陥を検出するときのシステムの作動を示している。トランジションピース148の内部表面は、「高温側」と呼ばれることが多く、従来の遮熱コーティングとすることができる保護皮膜161で被覆することができる点は理解されるであろう。本発明によれば、トランジションピース148の外側表面は、「低温側」と呼ばれることが多く、インジケータ皮膜163で被覆することができる。一実施形態では、以下でより詳細に説明されるインジケータ皮膜163は、亜鉛、カドミウム、マグネシウム又は他の何れかの色鮮やかな粉体などの粉体物質と接着材とを有する皮膜を含むことができる。幾つかの実施形態では、接着材は、高温での良好なクリープ抵抗特性を有するセラミック接着剤(Resbond(商標)919及び920)、セラミックパテ又はエポキシシリコーン、或いは他の同様のタイプの材料もしくは接着材を含むことができる。図示のように、インジケータ皮膜163は、トランジションピース148の低温側の大きな領域に施工することができる。接着材は、トランジションピース148の低温側に皮膜を結合する点は理解される。
【0024】
本発明の実施形態によれば、検出器165は、図6に示すように、トランジションピース148の低温側から反射又は放射される光を検出するように位置付けることができる。検出器165は、トランジションピース148の低温側を監視するための位置及び能力が安定した状態を保つように固定構造体166に接続することができる。検出器165は、トランジションピース148の特定の領域が検出器の視野内にあるように位置付けることができる。幾つかの実施形態では、固定構造体166は、燃焼器ケーシングのセクションを含むことができる。他の実施形態では、固定構造体166は、トランジションピース148を囲むインピンジメントスリーブ150のセクションを含むことができる。検出器165は、望ましいカバレッジ領域が得られるようにトランジションピース148から所定距離に位置付けることができる。
【0025】
一実施形態では、検出器165は、従来の光センサ又は光検出器、すなわち光を検出可能な従来のセンサを備える。より具体的には、検出器は、本明細書で記載されるインジケータ皮膜163に対する変化を検出できるあらゆる従来の光検出器を備えることができる。一実施形態によれば、検出器165は、Bayer形センサ、Foven X3形センサ、3CCD形センサ又は他のタイプのカラーセンサを含むことができる、従来のカラーセンサを備える。代替の実施形態によれば、検出器165は、インジケータ皮膜163をドープするのに用いることが可能な物質を燃焼させたときに発生することができる高輝度の光又は光フラッシュを検出するよう構成されたフォトダイオード光センサ又は他のタイプの光検出器を備える。
【0026】
図6に示すように、検出器165は、コントロールユニット170と通信することができ、該コントロールユニット170は、所定基準を超える色又は光が検出器165により検出されたかどうかを判定するよう構成される。所定基準を超えた場合には、コントロールユニット170は、自動ワーニング信号を送信し又は修正措置を実行するよう構成することができる。例えば、ワーニング信号は、オペレータに対するアラーム又は電子メールもしくは自動メッセージのような他の伝達情報を含むことができ、修正措置は、燃焼タービンエンジンのシャットダウンを含むことができる。
【0027】
作動時には、インジケータ皮膜163の接着材は、粉体皮膜をトランジションピース148の低温側に結合する。欠陥173の形成がなければ、インジケータ皮膜163は、トランジションピース148の低温側と結合したままであるように構成することができ、これに応じて、検出器165は、そこから反射又は放射された光に変化がないことを検知する点は理解されるであろう。
【0028】
図7に示すように、欠陥173は、トランジションピース148内部に形成される可能性がある。上述のように、欠陥173は、保護皮膜161の剥離を生じる亀裂をトランジションピース148内部に含むことができ、或いは、欠陥173は、トランジションピース148からの保護皮膜161の浸食又は剥離を含むことができる。欠陥173が形成されると、トランジションピース148の温度が増大し、トランジションピース148の低温側のセクションに沿って形成される「ホットスポット」を生じさせる。トランジションピース148を貫通する亀裂を含む欠陥173の場合には、これは、亀裂を通して吸い込まれる高温ガスを含むことができ、これによりトランジションピース148の低温側に沿って遙かに大きな温度上昇を生じさせる可能性がある。
【0029】
温度上昇を考慮すると、本発明の実施形態によれば、皮膜は、接着材がその接着特性を失い始めるように及び/又は粉体物質が溶解し始めるように構成することができる点は理解されるであろう。当業者には理解されるように、これらの状態により、トランジションピース148の低温側が、インジケータ皮膜163のカバレッジを失い、すなわち図7に示すようにベアのパッチを生じるようになる可能性がある。検出器165がカラーセンサを備える場合には、これにより検出器165が検出可能な色変化を引き起こすことになる。例えば、トランジションピース148の色は、熱的に過酷な状態に起因して変化することができる。或いは、例えば、トランジションピース148の色はグレーとすることができ、インジケータ皮膜163が白色である場合、インジケータ皮膜163を除去することにより明確な色変化を生じるようになる。上述のように、例示的な実施形態では、色変化の検出により、コントロールユニット170は、欠陥173が存在する可能性があること及び/又は修正措置をとる必要がある旨のワーニング通知を提供することができる。システムの感度は、ワーニング通知が送出される前に検出器から受け取った信号に関して異なる基準を用いることにより調整することができる点は理解されるであろう。
【0030】
代々の実施形態では、インジケータ皮膜163は、吸い込まれた高温通路ガスの高温に曝されたときに、高輝度の光及び/又は高輝度のフラッシュが入る物質(マグネシウムなど)を含むことができる。別の手法では、この事象はまた、皮膜が剥離(材料溶解又は接着特性が失われたことに起因する)して、トランジションピース148の低温側に沿って燃焼器の空気入口(図示せず)に又はトランジションピースとライナ(フラシール経路)との間の漏洩経路を通って、もしくは亀裂を通って流れた後に検出することができる。遊離した要素163aは、燃焼して、これによりトランジションピース/ライナの高温側で検出可能な高輝度の光を放出することができ、このような高輝度の光は、トランジションピース後端又はスタックにて設置される分光器により検出することができる(図10から図12において示されるシステムと同様)。この場合、検出器165は、このような高輝度の光及び/又は高輝度のフラッシュを検知できる光検出器又は分光器を含むことができる。例えば、検出器165は、フォトダイオードを含むことができる。この場合、欠陥173形成時に生じる可能性がある高温及び/又は吸込みガスにより、マグネシウム又は他のこのような物質が高輝度の光又は高輝度のフラッシュを生成するようにすることができる。例示的な実施形態では、高輝度の光及び/又はフラッシュの検出により、コントロールユニット170は、欠陥173が存在する可能性があること及び/又は修正措置をとる必要がある旨のワーニング通知を提供することができる。システムの感度は、ワーニング通知が送出される前に検出器165から受け取った信号に関して異なる基準を用いることにより調整することができる点は理解されるであろう。
【0031】
別の代替の実施形態では、2つの従来の実施形態は、色変化と高輝度の光及び/又はフラッシュの両方を検出する組合せた実施形態を形成することができる。このような実施形態では、異なる検出モードは、欠陥173の変化するカテゴリーを伝達するように構成することができる点は理解されるであろう。例えば、検出器165による色変化の検出は、トランジションピース148の内側表面からの保護皮膜161の浸食により生じるホットスポットを示すことができる。他方、高輝度の光及び/又はフラッシュの検出は、トランジションピース148の亀裂を通る高温流れ経路ガスの吸込みを含むより深刻な問題を示すことができる。何れの場合においても、当然のことながら当業者には理解されるように、システムの特性及び所望の感度に応じてパラメータを調整することができる。
【0032】
図8は、トランジションピース及び本発明による材料欠陥を監視するシステムの断面図を示し、図9は、例示的な実施形態による、欠陥を検出したときのシステムの作動を示している。
【0033】
上記で検討した実施形態と同様に、トランジションピースの内部表面は、従来の遮熱コーティングとすることができる保護皮膜161で被覆することができる。トランジションピース148の外部表面は、インジケータ皮膜163で被覆することができる。この実施形態では、インジケータ皮膜163は、本明細書で記載される性能基準を満たすあらゆる従来の皮膜とすることができる。例えば、インジケータ皮膜163は、一部の好ましい実施形態では、高温で良好なクリープ抵抗特性を有するセラミック接着材、セラミックパテ又はエポキシシリコーン、或いは、他の同様のタイプの材料又は接着材を含むことができる。図示のように、インジケータ皮膜163は、トランジションピース148の低温側の大きな領域に施工することができる。皮膜の接着品質によって、トランジションピース148の低温側にインジケータ皮膜が結合される点は理解されるであろう。好ましい実施形態では、インジケータ皮膜163は、約0.001から0.80インチまでの厚みを有するように施工することができる。
【0034】
本発明の代替の実施形態によれば、近接センサ175は、トランジションピース148に対する位置が固定されるように固定構造体166に接続することができる。近接センサ175は、トランジションピース148の特定の領域が近接センサ175の視野内にあるように位置付けることができる。幾つかの実施形態では、固定構造体166は、燃焼器ケーシングのセクションを含むことができる。他の実施形態では、固定構造体166は、トランジションピース148を囲むインピンジメントスリーブ150のセクションを含むことができる。検出器165は、特定の近接センサ175の性能特性に従って、トランジションピース148から好適な距離に位置付けることができる。1つの好ましい実施形態では、近接センサ175は、レーザ近接プローブである。他の実施形態では、近接センサ175は、渦電流センサ、容量センサ、マイクロ波センサ又は他の何れかの同様のタイプの装置とすることができる。
【0035】
図8に示すように、近接センサ175は、コントロールユニット170と通信することができ、該コントロールユニット170は、近接センサとインジケータ皮膜163との間の距離の変化が所定基準を超えたことを近接センサ175により検出されたかどうかを判定するよう構成される。所定基準を超えた場合には、コントロールユニット170は、自動ワーニング信号を送信し又は修正措置を実行するよう構成することができる。例えば、ワーニング信号は、オペレータに対するアラーム、或いは電子メール又は自動メッセージのような他の伝達情報を含むことができ、修正措置は、燃焼タービンエンジンのシャットダウンを含むことができる。
【0036】
作動時には、インジケータ皮膜163の接着材は、一般に、皮膜をトランジションピース148の低温側に結合する。欠陥173の形成がなければ、インジケータ皮膜163は、トランジションピース148の低温側に結合したままであるように構成することができ、これに応じて、近接センサ175は、インジケータ皮膜163の表面までの距離(図8において「d1」で示される)に変化がないことを検知する点は理解されるであろう。
【0037】
図9に示すように、欠陥173は、トランジションピース148内部に形成される可能性がある。上述のように、欠陥173は、保護皮膜161の剥離を生じる亀裂をトランジションピース148内部に含むことができ、或いは、欠陥173は、内部に亀裂が存在せずに形成されたトランジションピース148からの保護皮膜161の浸食又は剥離を含むことができる。欠陥173が形成されると、トランジションピース148の温度が増大し、トランジションピース148の低温側のセクションに沿って形成される「ホットスポット」を生じさせる。トランジションピース148を貫通する亀裂を含む欠陥173の場合には、これは、亀裂を通して吸い込まれる高温ガスを含むことができ、これによりトランジションピース148の低温側に沿って遙かに大きな温度上昇を生じさせる可能性がある。
【0038】
温度上昇を考慮すると、本発明の実施形態によれば、皮膜は、接着材がその接着特性を失い始めるように及び/又は粉体物質が溶解し始めるように構成することができる点は理解されるであろう。当業者には理解されるように、これらの状態により、トランジションピース148の低温側が、インジケータ皮膜163のカバレッジを失い、すなわち図7に示すようにベアのパッチを生じるようになる可能性がある。近接センサ175は、トランジションピース148までの距離の変化を測定することができる(すなわち、近接センサ175は、距離が、図9に「d2」で示される距離まで増大したことを示すことができる)。例示的な実施形態では、距離の変化の検出により、コントロールユニット170は、欠陥173が存在する可能性があること及び/又は修正措置をとる必要がある旨のワーニング通知を提供することができる。システムの感度は、ワーニング通知が送出される前に必要な距離の変化に関して異なる基準を用いることにより調整することができる点は理解されるであろう。
【0039】
図10及び11は、本発明による材料欠陥監視システムを含む、トランジションピースと下流側スタックの図をそれぞれ示しており、図12は、例示的な実施形態による欠陥を検出したときのシステムの作動を示している。
【0040】
上記で検討した実施形態と同様に、トランジションピースの内部表面は、従来の遮熱コーティングとすることができる保護皮膜161で被覆することができる。トランジションピース148の外部表面は、インジケータ皮膜163で被覆することができる。この実施形態では、インジケータ皮膜163は、以下でより詳細に説明するように、高温で良好なクリープ抵抗特性を有するセラミック接着材、セラミックパテ又はエポキシシリコーン、或いは、他の同様のタイプの材料又は接着材を含むことができる。以下でより詳細に説明するように、インジケータ皮膜163は、下流側に配置されるガス分析器又はセンサ181により検出可能な物質を含むことができる。特定の好ましい実施形態では、この検出可能な物質は希土類元素である。他の実施形態では、検出可能な物質は、カドミウム又はマグネシウムとすることができる。他の物質を用いてもよい点は理解されるであろう。図示のように、インジケータ皮膜163は、トランジションピース148の低温側の大きな領域に施工することができる。皮膜の接着品質によって、トランジションピース148の低温側にインジケータ皮膜が結合される点は理解されるであろう。
【0041】
本発明の代替の実施形態によれば、上述のように、ガス分析器181は、燃焼器の下流側の好適な位置に配置することができる。このような好ましい位置の1つは、図11に示すような燃焼タービンのスタック178内である。ガスセンサ181は、当業者であれば理解できるように、記載された用途に好適な従来のあらゆるガス分析器を含むことができる。好ましい実施形態では、ガスセンサ181は、クロマトグラフィーアナライザーを備える。他のタイプの従来のガスセンサを用いることもできる。
【0042】
図11に示すように、ガスセンサ181は、コントロールユニット170と通信することができ、該コントロールユニット170は、分析されたガスがインジケータ皮膜163の検出可能な物質を含むかどうかを判定するよう構成される。コントロールユニット170は、検出可能な物質の所定の閾値を超えたかどうかを判定するよう構成することができる。所定閾値を超えた場合には、コントロールユニット170は、自動ワーニング信号を送信し又は修正措置を実行するよう構成することができる。例えば、ワーニング信号は、オペレータに対するアラーム、或いは電子メール又は自動メッセージのような他の伝達情報を含むことができ、修正措置は、燃焼タービンエンジンのシャットダウンを含むことができる。
【0043】
作動時には、インジケータ皮膜163の接着材は、一般に、皮膜をトランジションピース148の低温側に結合する。欠陥173の形成がなければ、インジケータ皮膜163は、トランジションピース148の低温側に結合したままであるように構成することができ、これに応じて、ガスセンサは、スタック170を通って流れる燃焼生成物内にインジケータ皮膜163の検出可能物質の検出がないことを検知する点は理解されるであろう。
【0044】
図9に示すように、欠陥173は、トランジションピース148内部に形成される可能性がある。上述のように、欠陥173は、保護皮膜161の剥離を生じる亀裂をトランジションピース148内部に含むことができ、或いは、欠陥173は、内部に亀裂が存在せずに形成されたトランジションピース148からの保護皮膜161の浸食又は剥離を含むことができる。欠陥173が形成されると、トランジションピース148の温度が増大し、トランジションピース148の低温側のセクションに沿って形成される「ホットスポット」を生じさせる。トランジションピース148を貫通する亀裂を含む欠陥173の場合には、これは、亀裂を通して吸い込まれる高温ガスを含むことができ、これによりトランジションピース148の低温側に沿って遙かに大きな温度上昇を生じさせる可能性がある。
【0045】
温度上昇を考慮すると、本発明の実施形態によれば、皮膜は、接着材がその接着特性を失い始めるように及び/又は粉体物質が溶解し始めるように構成することができる点は理解されるであろう。当業者には理解されるように、これらの状態により、インジケータ皮膜163がトランジションピース148の低温側から腐食するようになる可能性がある。腐食したインジケータ皮膜163(図12において「163a」で示される)の一部は、トランジションピース148の低温側に沿って燃焼器の空気入口(図示せず)に流動する可能性がある。失われた部分163aが燃焼し、これによりインジケータ皮膜163内で検出可能物質を放出することができる。或いは、検出可能物質は、ホットスポットの生成時に放出され及び/又はトランジションピース148を貫通して形成される亀裂を通じて高温ガス流路内に吸い込まれることができる。
【0046】
上述のように燃焼器の下流側及び1つの好ましい実施形態ではスタック178内部に配置されるガスセンサ181は、インジケータ皮膜163の検出可能な物質を検出することができる。例示的な実施形態では、検出可能な物質の検出により、コントロールユニット170は、欠陥173が存在する可能性があること及び/又は修正措置をとる必要がある旨のワーニング通知を提供することができる。システムの感度は、修正措置がとられる前に検出された物質の異なる閾値レベルを必要とすることにより調整できる点は理解されるであろう。このようにして、トランジションピースの壊滅的故障を回避することができる。
【0047】
或いは、本発明の別の実施形態によれば、トランジションピース148の高温側上の保護皮膜161(例えば、遮熱コーティング)は、検出可能物質でドープすることができる。その結果、スタック178又は他の下流側位置におけるガスセンサ181は、保護皮膜161が剥離したときに検出可能物質の軌跡を検出することができる。このことは、保護皮膜の剥離及び/又は亀裂形成を表すことになる。
【0048】
エンジンの作動中に亀裂形成及び皮膜剥離を監視することにより、定期的な目視検査の必要性を低減することができ、また、エンジン停止時間も短縮することができる点は理解されるであろう。理解されるように、典型的にはトランジションピースは、数千時間の運転後に燃焼システムが診断チェックを受けるまで検査されない。エンジンの作動中に亀裂形成及び皮膜剥離を監視することにより、他の場合にはこの検査が行われるまでは気付かれなかったであろう有意な欠陥の形成を検出することができる。欠陥の重大度によっては、エンジンが継続して運転され且つ修正措置がとられない場合、特に故障により下流側部品に損傷をもたらすトランジションピースの放出を行う場合には、重大な損傷を生じる可能性がある。このような事象は、本発明のリアルタイム監視機能が利用可能である場合には回避することができる。
【0049】
当業者には明らかな通り、幾つかの例示的な実施形態に関して上述された多くの様々な特徴及び構成は、本発明の他の実施可能な実施形態を形成するよう更に選択的に適用することができる。簡潔にするため及び当業者の能力を考慮して、各々の可能な繰り返しは本明細書で詳細には述べていないが、添付の複数の請求項によって包含される全ての組合せ及び可能な実施形態は、本出願の一部をなすものとする。加えて、本発明の複数の例示的な実施形態の上記の説明から、当業者であれば改善、変更及び修正が理解されるであろう。当該技術分野の範囲内にあるこのような改善、変更及び修正はまた、添付の請求項によって保護されるものとする。更に、上記のことは、本出願の好ましい実施形態にのみに関連しているが、添付の請求項及びその均等物によって定められる本出願の精神及び範囲から逸脱することなく、当業者によって多くの変更及び修正を本明細書において行うことができる点を理解されたい。
【符号の説明】
【0050】
148 トランジションピース
161 保護皮膜
163 インジケータ皮膜
165 検出器
166 固定構造体
170 コントロールユニット
173 欠陥
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼タービンエンジンの運転中に該燃焼タービンエンジンの燃焼システムの燃焼ダクトにおける欠陥を検出するシステムであって、前記燃焼ダクトが、燃焼ガスに曝される高温側と、該高温側の反対側にある低温側とを有し、前記システムが、前記燃焼ダクトの低温側に向けられ、前記燃焼ダクトの低温側に対する可視的変化を検出するよう構成された光検出器を備える、システム。
【請求項2】
前記高温側が保護皮膜を有し、前記光検出器が、前記高温側の保護皮膜における欠陥によって引き起こされる前記低温側への温度上昇により生じる低温側に対する可視的変化を検出するよう構成される、請求項1記載のシステム。
【請求項3】
前記欠陥が、前記高温側上の領域からの前記保護皮膜の剥離を含み、前記剥離の領域が、前記低温側に対する温度上昇を引き起こすのに必要なサイズに相当する閾値サイズを少なくとも有する、請求項2記載のシステム。
【請求項4】
前記燃焼ダクトの低温側に配置されたインジケータ皮膜を更に備え、前記インジケータ皮膜は、前記低温側上の領域が運転中に少なくとも閾値温度に達したときに可視的変化を有するように構成され、前記光検出器は、前記インジケータ皮膜の可視的変化を検出するよう構成される、請求項2記載のシステム。
【請求項5】
前記可視的変化は、前記低温側からの前記インジケータ皮膜の係脱を含み、前記インジケータ皮膜が第1の色を有し、前記燃焼ダクトの低温側が第2の色を有し、前記光検出器は、前記第1の色と前記第2の色との間の差違を検出するよう構成される、請求項4記載のシステム。
【請求項6】
前記可視的変化が色の変化を含み、前記光検出器が色の変化を検出するよう構成される、請求項4記載のシステム。
【請求項7】
前記光検出器が、Bayer形センサ、Foven X3形センサ及び3CCD形センサのうちの1つを含む、請求項6記載のシステム。
【請求項8】
前記可視的変化が、前記インジケータ皮膜の燃焼を含む、請求項4記載のシステム。
【請求項9】
前記インジケータ皮膜が、燃焼時に高輝度の光を放出するドープ剤を含み、前記光検出器が、前記ドープ剤に燃焼により放出される高輝度光を検出するよう構成された光検出器及び分光器のうちの1つを含む、請求項8記載のシステム。
【請求項10】
前記ドープ剤がマグネシウムを含む、請求項8記載のシステム。
【請求項11】
光検出器と通信するコントロールユニットを更に備え、前記コントロールユニットが、前記光検出器により検出された可視的変化が所定閾値を超えるかどうかを判定するよう構成され、前記コントロールユニットは、前記光検出器により検出された可視的変化が前記所定閾値を超えた場合にワーニング通信を送信するよう構成されている、請求項2記載のシステム。
【請求項12】
前記燃焼ダクトがトランジションピース及びライナのうちの1つを含み、前記光検出器が、燃焼器ケーシング、インピンジメントスリーブ及び流れスリーブのうちの1つに取り付けられる、請求項2記載のシステム。
【請求項13】
前記保護皮膜が遮熱コーティングを含み、前記インジケータ皮膜が接着材を含み、該接着材が、セラミック接着材、セラミックパテ及びエポキシシリコーンのうちの1つを含む、請求項4記載のシステム。
【請求項14】
前記インジケータ皮膜が接着材を含み、前記インジケータ皮膜の接着材が、閾値温度に達するまで前記燃焼ダクトの低温側に結合するよう構成され、前記インジケータ皮膜の接着材は、前記閾値温度に達したときに劣化するよう構成される、請求項5記載のシステム。
【請求項15】
燃焼タービンエンジンの運転中に該燃焼タービンエンジンの燃焼システムの燃焼ダクトにおける欠陥を検出する方法であって、前記燃焼ダクトが、燃焼ガスに曝される高温側と、該高温側の反対側にある低温側とを有し、前記方法が、
前記燃焼ダクトの低温側をインジケータ皮膜で被覆するステップと、
前記インジケータ皮膜を含む視野を有する光検出器を前記燃焼ダクトの低温側に近接して位置付けるステップと、
前記燃焼タービンエンジンが運転しているときに、前記光検出器を用いて前記インジケータ皮膜に対する可視的変化を検出するステップと、
を含む、方法。
【請求項16】
前記燃焼ダクトの高温側を保護皮膜で被覆するステップを更に含み、前記インジケータ皮膜に対する可視的変化は、前記低温側が閾値温度に達することにより生じ、前記閾値温度は、前記保護皮膜内の所定サイズの欠陥に相当し、前記欠陥が、前記高温側からの前記保護皮膜の剥離を含む、請求項15記載の方法。
【請求項17】
前記低温側上の領域が運転中に少なくとも閾値温度に達したときに、前記インジケータ皮膜が可視的変化を有するように構成され、前記光検出器が、前記インジケータ皮膜の可視的変化を検出するよう構成される、請求項15記載の方法。
【請求項18】
前記可視的変化が、前記低温側からの前記インジケータ皮膜の係脱を含み、前記インジケータ皮膜が第1の色を有し、前記燃焼ダクトの低温側が第2の色を有し、前記光検出器は、前記第1の色と前記第2の色との間の差違を検出するよう構成される、請求項15記載の方法。
【請求項19】
前記可視的変化が色の変化を含み、前記光検出器が色の変化を検出するよう構成される、請求項15記載の方法。
【請求項20】
前記可視的変化が、前記インジケータ皮膜の燃焼を含む、請求項15記載の方法。
【請求項21】
前記インジケータ皮膜が、燃焼時に高輝度の光を放出するドープ剤を含み、前記光検出器が、前記ドープ剤に燃焼により放出される高輝度光を検出するよう構成された光検出器及び分光器のうちの1つを含む、請求項20記載の方法。
【請求項22】
前記光検出器により検出された可視的変化が所定閾値を超えるかどうかを判定するステップを更に含む、請求項15記載の方法。
【請求項23】
前記燃焼ダクトがトランジションピース及びライナのうちの1つを含み、前記光検出器が、燃焼器ケーシング、インピンジメントスリーブ及び流れスリーブのうちの1つに取り付けられ、前記保護皮膜が遮熱コーティングを含み、前記インジケータ皮膜が接着材を含み、該接着材が、セラミック接着材、セラミックパテ及びエポキシシリコーンのうちの1つを含む、請求項16記載の方法。
【請求項24】
前記インジケータ皮膜が接着材を含み、前記インジケータ皮膜の接着材が、閾値温度に達するまで前記燃焼ダクトの低温側に結合するよう構成され、前記インジケータ皮膜の接着材は、前記閾値温度に達したときに劣化するよう構成される、請求項18記載の方法。
【請求項1】
燃焼タービンエンジンの運転中に該燃焼タービンエンジンの燃焼システムの燃焼ダクトにおける欠陥を検出するシステムであって、前記燃焼ダクトが、燃焼ガスに曝される高温側と、該高温側の反対側にある低温側とを有し、前記システムが、前記燃焼ダクトの低温側に向けられ、前記燃焼ダクトの低温側に対する可視的変化を検出するよう構成された光検出器を備える、システム。
【請求項2】
前記高温側が保護皮膜を有し、前記光検出器が、前記高温側の保護皮膜における欠陥によって引き起こされる前記低温側への温度上昇により生じる低温側に対する可視的変化を検出するよう構成される、請求項1記載のシステム。
【請求項3】
前記欠陥が、前記高温側上の領域からの前記保護皮膜の剥離を含み、前記剥離の領域が、前記低温側に対する温度上昇を引き起こすのに必要なサイズに相当する閾値サイズを少なくとも有する、請求項2記載のシステム。
【請求項4】
前記燃焼ダクトの低温側に配置されたインジケータ皮膜を更に備え、前記インジケータ皮膜は、前記低温側上の領域が運転中に少なくとも閾値温度に達したときに可視的変化を有するように構成され、前記光検出器は、前記インジケータ皮膜の可視的変化を検出するよう構成される、請求項2記載のシステム。
【請求項5】
前記可視的変化は、前記低温側からの前記インジケータ皮膜の係脱を含み、前記インジケータ皮膜が第1の色を有し、前記燃焼ダクトの低温側が第2の色を有し、前記光検出器は、前記第1の色と前記第2の色との間の差違を検出するよう構成される、請求項4記載のシステム。
【請求項6】
前記可視的変化が色の変化を含み、前記光検出器が色の変化を検出するよう構成される、請求項4記載のシステム。
【請求項7】
前記光検出器が、Bayer形センサ、Foven X3形センサ及び3CCD形センサのうちの1つを含む、請求項6記載のシステム。
【請求項8】
前記可視的変化が、前記インジケータ皮膜の燃焼を含む、請求項4記載のシステム。
【請求項9】
前記インジケータ皮膜が、燃焼時に高輝度の光を放出するドープ剤を含み、前記光検出器が、前記ドープ剤に燃焼により放出される高輝度光を検出するよう構成された光検出器及び分光器のうちの1つを含む、請求項8記載のシステム。
【請求項10】
前記ドープ剤がマグネシウムを含む、請求項8記載のシステム。
【請求項11】
光検出器と通信するコントロールユニットを更に備え、前記コントロールユニットが、前記光検出器により検出された可視的変化が所定閾値を超えるかどうかを判定するよう構成され、前記コントロールユニットは、前記光検出器により検出された可視的変化が前記所定閾値を超えた場合にワーニング通信を送信するよう構成されている、請求項2記載のシステム。
【請求項12】
前記燃焼ダクトがトランジションピース及びライナのうちの1つを含み、前記光検出器が、燃焼器ケーシング、インピンジメントスリーブ及び流れスリーブのうちの1つに取り付けられる、請求項2記載のシステム。
【請求項13】
前記保護皮膜が遮熱コーティングを含み、前記インジケータ皮膜が接着材を含み、該接着材が、セラミック接着材、セラミックパテ及びエポキシシリコーンのうちの1つを含む、請求項4記載のシステム。
【請求項14】
前記インジケータ皮膜が接着材を含み、前記インジケータ皮膜の接着材が、閾値温度に達するまで前記燃焼ダクトの低温側に結合するよう構成され、前記インジケータ皮膜の接着材は、前記閾値温度に達したときに劣化するよう構成される、請求項5記載のシステム。
【請求項15】
燃焼タービンエンジンの運転中に該燃焼タービンエンジンの燃焼システムの燃焼ダクトにおける欠陥を検出する方法であって、前記燃焼ダクトが、燃焼ガスに曝される高温側と、該高温側の反対側にある低温側とを有し、前記方法が、
前記燃焼ダクトの低温側をインジケータ皮膜で被覆するステップと、
前記インジケータ皮膜を含む視野を有する光検出器を前記燃焼ダクトの低温側に近接して位置付けるステップと、
前記燃焼タービンエンジンが運転しているときに、前記光検出器を用いて前記インジケータ皮膜に対する可視的変化を検出するステップと、
を含む、方法。
【請求項16】
前記燃焼ダクトの高温側を保護皮膜で被覆するステップを更に含み、前記インジケータ皮膜に対する可視的変化は、前記低温側が閾値温度に達することにより生じ、前記閾値温度は、前記保護皮膜内の所定サイズの欠陥に相当し、前記欠陥が、前記高温側からの前記保護皮膜の剥離を含む、請求項15記載の方法。
【請求項17】
前記低温側上の領域が運転中に少なくとも閾値温度に達したときに、前記インジケータ皮膜が可視的変化を有するように構成され、前記光検出器が、前記インジケータ皮膜の可視的変化を検出するよう構成される、請求項15記載の方法。
【請求項18】
前記可視的変化が、前記低温側からの前記インジケータ皮膜の係脱を含み、前記インジケータ皮膜が第1の色を有し、前記燃焼ダクトの低温側が第2の色を有し、前記光検出器は、前記第1の色と前記第2の色との間の差違を検出するよう構成される、請求項15記載の方法。
【請求項19】
前記可視的変化が色の変化を含み、前記光検出器が色の変化を検出するよう構成される、請求項15記載の方法。
【請求項20】
前記可視的変化が、前記インジケータ皮膜の燃焼を含む、請求項15記載の方法。
【請求項21】
前記インジケータ皮膜が、燃焼時に高輝度の光を放出するドープ剤を含み、前記光検出器が、前記ドープ剤に燃焼により放出される高輝度光を検出するよう構成された光検出器及び分光器のうちの1つを含む、請求項20記載の方法。
【請求項22】
前記光検出器により検出された可視的変化が所定閾値を超えるかどうかを判定するステップを更に含む、請求項15記載の方法。
【請求項23】
前記燃焼ダクトがトランジションピース及びライナのうちの1つを含み、前記光検出器が、燃焼器ケーシング、インピンジメントスリーブ及び流れスリーブのうちの1つに取り付けられ、前記保護皮膜が遮熱コーティングを含み、前記インジケータ皮膜が接着材を含み、該接着材が、セラミック接着材、セラミックパテ及びエポキシシリコーンのうちの1つを含む、請求項16記載の方法。
【請求項24】
前記インジケータ皮膜が接着材を含み、前記インジケータ皮膜の接着材が、閾値温度に達するまで前記燃焼ダクトの低温側に結合するよう構成され、前記インジケータ皮膜の接着材は、前記閾値温度に達したときに劣化するよう構成される、請求項18記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−140939(P2012−140939A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−280635(P2011−280635)
【出願日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−280635(P2011−280635)
【出願日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【Fターム(参考)】
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