説明

燃焼効率改善装置

【課題】 高圧電源などの大型装置を用いなくても、簡易な装置で、自動車のエンジン等の内燃機関の燃焼効率を改善できる装置を提供する。
【解決手段】 液体燃料の燃焼室に、液体燃料を噴射供給する供給管の外周に巻かれる第1のコイル;及び前記第1のコイルに4kHz〜1MHzの帯域で周波数が時間的に変化する交流電流を流す還元型変調電磁場発生器を備え、さらに前記液体燃料の燃焼室に、前記液体燃料の燃焼用空気を供給する吸気管の外周に巻かれる第2のコイルを備えていることが好ましく、前記第1のコイルと第2のコイルは、1本の導線が連続したものであり、還元型変調電磁場発生器を共用していることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のエンジン、船舶のエンジン、ボイラーなどの内燃機関におけるガソリン、軽油等の液体燃料の燃焼効率を改善する装置、及び当該装置を取り付けた自動車のエンジンシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
ガソリンエンジンなどの燃焼効率の改善の観点から、燃料供給量の最適化、噴霧燃料の微粒子化のための噴霧孔の小口径化、多数化とそれに伴う噴射ポンプの高圧化、ピストンとシリンダー面の潤滑の向上、燃焼空気の酸素富化等が検討されている。
【0003】
燃料噴射弁から噴射された燃料の霧化促進による燃焼効率の改善としては、燃料噴射弁の先端部分に荷電電極を設置し、該荷電電極により噴射燃料を帯電させ、燃料内の互いの反発力を利用して霧化を促進する技術が知られている。
【0004】
例えば、特開昭55−96356では、燃料噴射弁から噴射される燃料を帯電させるための第1の高電圧発生装置と、噴射された燃料を燃焼室へ送る吸気管内壁を帯電させる第2の高電圧発生装置を備え、第2の高電圧発生装置により燃料とは逆極性の高電圧を印加された電極が配設され、吸気管内壁が帯電燃料と同極性に帯電されるように構成した内燃機関の燃料噴射装置を提案している。1〜30kVの高電圧発生装置を用いて、燃料及び吸気管内壁を直接マイナスに帯電させ、吸気管の内壁面に燃料が付着することを防止するとともに、ミスト粒子の微粒子化を図っている。
【0005】
しかし、これらの技術においては、燃料噴射弁から噴射される燃料の速度が変化すると、燃料の粒子同士の衝突および摩擦の状態が変化してしまい、燃料の霧化が安定せず、期待するような燃焼効率の向上が得られなかった。燃料の供給速度を考慮して、霧化による燃焼効率の改善を高める帯電燃料制御装置が、例えば、特開2005−98524で提案されている。この帯電燃料制御装置は、燃料噴射弁から噴射された燃料の速度に応じて荷電電極に印加する電圧の周波数を変化させることにより、燃料の帯電量を変化させ、結果として燃料の速度にかかわらず、燃料の霧化の状態を安定させるというものである。具体的には、燃料を帯電させる荷電電極と、荷電電極に所定周波数の電圧を印加する電源装置と、噴射された燃料の速度を検出する燃料速度検出手段と、検出された燃料の速度に応じて、電源装置から荷電電極に印加される周波数を制御する周波数制御手段とを備えた帯電装置である。
【0006】
しかしながら、噴射される燃料を帯電させるためには、荷電電極に数kV〜数10kVといった高電圧を印加するための高電圧電源が必要であり、燃費効率が改善されても、燃料帯電のための消費電力が大きいという問題がある。
【0007】
一方、高電圧電源を必要とせずに、燃料帯電を利用した燃焼効率改善方法として、磁場を利用する方法がある。
【0008】
例えば、特開2005−320901には、エンジン(燃焼室)に混合気を供給するインテークマニホールド等の吸気系管にネオジウム磁石を、所定方向に取り付けることが提案されている。ネオジウム磁石は吸気系管の内部を通る燃料ガスに対して直接、強力な磁力を及ぼすことにより、燃料ガスの陽、陰イオンの整列化を図り、エンジンの出力特性や燃費効率を高めることができるというものである。
【0009】
また、特開2002−364466には、エンジンにおける燃料供給ホースを挟着するように、底部に永久磁石を設置し、内部に防錆剤を充填したケースを設けたエンジン燃料の磁化装置が開示されている。このような磁化装置により、燃料ホース内を通過した燃料は改質され、完全燃焼を促すことができるというものである。
【0010】
さらに、特開2003−214266には、プラスチックあるいはセラミックスあるいはガラス等の電気絶縁性を有する物質からなる筒状成形体の外表部に複数個の永久磁石をはめ込んだものを、金属シリンダーに収容した燃料改質装置が提案されている。燃料に静電気を帯電させ、帯電した状態で不均一な磁界の中を通過させることにより燃料分子相互間の結合力を弱めさせ、ボイラー等の燃焼器あるいはエンジン等の燃焼室に噴霧あるいは噴射された際の燃料の微粒子化と相互反発による拡散化を促進し、もって燃焼効率の改善と排出ガスの有害性の低減を目的としてなされたもので、永久磁石の有無により、燃料消費量の改善率がよくなることが示されている。
【0011】
【特許文献1】特開昭55−96356号公報
【特許文献2】特開2005−98524号公報
【特許文献3】特開2005−320901号公報
【特許文献4】特開2002−364466号公報
【特許文献5】特開2003−214266号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
磁場を利用する方法は、主として、燃料と空気の混合気体を調整するために、燃料を噴射する噴射口への燃料流路に、磁界を与えている方法である。
【0013】
しかしながら、ネオジウム磁石などの永久磁石による強力な静磁場では、磁石を取り付けた金属管の酸化分解を促進するため、経時的に吸気管の管壁が薄くなり、遂にはピンホールを発生してしまうことが知られている。また、流路管は通常、マイナスに帯電しているのに対し、永久磁石によっては、燃料がプラスに帯電されることから、燃料が管の内壁面に付着しやすくなり、スケールを発生しやすいという問題がある。管内壁に付着したスケールは、静磁場による金属管の酸化分解作用で再び分解されるため、スケールの蓄積は起こらないが、金属管も一緒に酸化分解されて、結局、吸気管の管壁が疲弊してしまう。
【0014】
また、永久磁石の利用による燃料の帯電は、流路を流れる燃料の速度により、電磁場処理効果が異なるため、期待するほどの燃費の改善が得られないのが現状である。
【0015】
本発明は、以上のような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、高圧電源などの大型装置を用いなくても、簡易な装置で、自動車のエンジンの燃焼効率を改善できる装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の燃焼効率改善装置は、液体燃料の燃焼室に、液体燃料を噴射供給する供給管の外周に巻かれる第1のコイル;及び前記第1のコイルに4kHz〜1MHzの帯域で周波数が時間的に変化する交流電流を流す還元型変調電磁場発生器を備えている。
【0017】
さらに、前記液体燃料の燃焼室に、前記液体燃料の燃焼用空気を供給する吸気管の外周に巻かれる第2のコイル;及び前記第1のコイルに4kHz〜1MHzの帯域で周波数が時間的に変化する交流電流を流す還元型変調電磁場発生器を備えていることが好ましく、この場合、前記第1のコイルと第2のコイルは、1本の導線が連続したものであり、共用の還元型変調電磁場発生器により、前記第1のコイル及び第2のコイルに交流電流を流すように構成されていることが好ましい。
【0018】
また、前記第1のコイルと第2のコイルとは、同方向に巻かれていることが好ましく、前記第1のコイル及び第2のコイルは、それぞれ8巻〜15巻きであることが好ましい。
また、前記第2のコイルは、前記吸気管を外装する円筒状のプラスチック管の外表面に巻かれていることが好ましく、前記吸気管の液体燃料噴射部よりも上流側に巻かれていることが好ましい。
さらに、前記還元型変調電磁場発生器に印加する電圧は、通常、12〜100Vであることが好ましい。
【0019】
本発明の自動車のエンジンシステムは、上記本発明の燃焼効率改善装置が取り付けられたものである。
【発明の効果】
【0020】
本発明の燃焼効率改善装置は、連続的に変化する速度に伴って燃焼室に供給される液体燃料、吸気量が異なっても、燃焼室に供給する液体燃料を構成する炭化水素のクラスター状態を解消して、空気との混合状態を改善し、燃焼効率を上げることができる。さらに、本発明の燃焼効率改善装置は、すでにあるエンジンシステムに取り付けて、燃焼効率の改善を図ることもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明の燃焼効率改善装置の一実施形態を図1に基づいて説明する。
【0022】
図1は、本発明一実施形態の燃焼効率改善装置をガソリンエンジンに取り付けた場合の模式図である。
図1において、1はエンジンルーム(燃焼室)であり、液体燃料(ガソリン)を供給する金属製の燃料供給管2及び空気を供給する吸気管3が接続されている。
【0023】
燃料供給管2は、自動車の燃料タンク(図示せず)からフューエルポンプにより送り出された高圧燃料を燃焼室1に噴射するようになっている。吸気管3は、布製のジャバラ状となっていて、とりこんだ外気を、エアクリーナー4で塵等を除去した後、燃焼室1の吸気バルブの開閉に応じて、燃焼室1に吸い込まれるようになっている。
【0024】
吸気管3の外周には、円筒状のプラスチック管が外挿されていて、そのプラスチック管の表面に導線を8回〜15回ほど巻いた空気流路用コイル6が取り付けられる。空気流路用コイル6の巻終り端は、燃料供給管の外周に同導線を8回〜15回ほど巻いた燃料流路用コイル7の巻始端となっている。つまり、空気流路用コイル6と燃料流路用コイル7とは、連続した1本の導線により形成されている。
【0025】
空気流路用コイル6の巻始端及び燃料流路用コイル7の巻終端は、還元型変調電磁場発生器10に接続されている。還元型変調電磁場発生器10は、インバータ11を介して自動車の電源に接続されていて、また、インバータ11はAC100V程度の電源12に接続されている。
【0026】
還元型磁場発生器10は、4kHz〜1MHzの帯域で周波数が時間的に変化する交流電流を、各コイル6,7に通電して、交流変調電磁場を形成できるようになっている。具体的には、2種類以上の周波数信号をmsecオーダーの所定時間間隔で組み合わせて使用することにより、コイル6,7に流れる電流値を変化させ、これに比例して発生電磁場強度は変化するので、複数種類の電磁場が組み合わされることで、複数のピーク値を有する電磁場強度信号が定期的に発生させることができる。一定時間間隔で同一周波数の電磁波信号を繰り返して出力する場合だけでなく、時間間隔も任意に可変してもよい。また発生する電磁場強度も選択する周波数ごとに任意に可変してもよい。
このようにして、コイル6,7に通電する交流電流周波数を時間とともに、4kHz〜1MHzの帯域で変化させることにより得られる交流変調電磁場の作用で、吸気管3を流れる空気、燃料供給管2を流れる電流がマイナスに帯電できる。一方、4kHz未満では、磁界処理される燃料、空気がプラス帯電される傾向にある。
【0027】
以上のような構成を有する燃焼効率改善装置は、下記のように作用する。
キーエンジンの始動とともに、還元型変調電磁場発生器10が作動し、コイル6,7に時間とともに周波数が変化する交流電流が流れる。ガソリンタンクから噴射口に到る燃料供給流路を流れる燃料(ガソリン)を構成する炭化水素系化合物は、分子内の引力でクラスター状態になっているが、コイルに流れる電流により誘起される交流変調電磁場から電磁波振動を受けて、炭素分子が共鳴振動し、炭素分子間に働いているファンデルワールス力が切断され、クラスター状態が解消されて、分子レベルにまで分散されると考えられる。
一方、吸気管3内を流れる空気、酸素に対しても、吸気管用コイル6を流れる電流により誘起される電磁界により、空気のクラスター状態が解消され、分子レベルの分散が起こると考えられる。従って、燃焼室1に噴射された燃料構成分子及び吸入された空気(酸素分子)は、いずれもクラスター状態が解消して分子レベルとなっているので、互いに分子レベルで混じり合った混合気が燃焼室1内で調製される。そして、燃焼室1において、エンジンの圧縮行程、点火プラグへの通電による爆発行程を経て、ガソリンの燃焼が起こる。分子レベルでまじりあった混合気の燃焼は、完全燃焼の割合が高くなり、結果として、燃焼効率が上がると考えられる。
さらに、完全燃焼の割合増大により、排気ガス中に含まれる不完全燃焼物が減少し、結果として、排気ガスのクリーン化も達成できる。
【0028】
また、還元型変調電磁場装置10を用いて高周波電圧を印加しているので、燃料を構成する炭素分子は、マイナスに帯電できる。燃料供給管2の内壁は、通常、マイナスに帯電しているので、マイナス帯電同士の反発力から、管内壁面に、燃料構成分子に起因するスケールが付着することを防止できる。燃料供給管の内壁面への燃料分子の付着抑制は、管の酸価劣化の防止にもなるので、燃料供給効率の経時的低下も防止できる。
【0029】
なお、電磁場による分子の共鳴振動による分子間引力の切断は、管内を流れる流体の種類、量などにより、異なる。このため、自動車のように、速度変化に応じて、吸気管内を流れる空気の量が変化し、これに伴って噴射する燃料の量も変化し、また吸入される空気組成も一定ではない。従って、永久磁石を用いたときのように一定の電磁場では、その効果が得られる場合と得られない場合があり、結果として、燃焼効率の改善は、常に帯電させることができるような強力な電場、磁場でなければならなかったが、本発明では、4kHz〜1MHzの帯域で周波数が時間的に変化する交流電流を通電することから、速度変化や流体の組成変化があっても、形成された電磁場は、総体的に、燃料、空気の双方に対して、マイナス帯電、微粒子分散化させることが可能となる。
【0030】
なお、以上のような構成を有する装置において、空気流路用コイルの巻き数、燃料流路用コイルの巻き数は、いずれも限定せず、エンジンの大きさ等に応じて適宜選択できるが、自動車のガソリンエンジンの場合、8〜15巻き程度、好ましくは10〜13巻き程度、密に巻かれることが好ましく、また、空気流路用コイルの巻き数と燃料流路用コイルの巻き数は、同じであることが好ましい。コイルの巻方向は、流路における燃料及び空気の流れる方向に対して、右巻、左巻いずれであってもよいが、生じる電磁場が同方向となるように、空気流路用コイルと燃料供給路用コイルの巻き方向は同方向とすることが好ましい。
【0031】
また、図1の態様では、空気流路用コイルは、吸気管に外挿した円筒状プラスチック管の表面に巻かれていたが、本発明の燃焼効率改善装置はこれに限定せず、吸気管の表面に直接コイルが巻かれていてもよい。さらに、図2に示すように、断面C形状のプラスチック管を吸気管に外挿し、このC状プラスチック管の表面にコイルを巻いてもよい。長手方向に沿って形成された開口部を押し広げることで、吸気管に着脱自在に取り付けることが可能となる。
【0032】
さらに、上記実施形態では、還元型変調電磁場発生器を、インバータを介して、自動車のバッテリー及び交流電源に接続したが、本発明の燃焼効率改善装置の仕様態様はこれに限定されない。要するに、還元型変調電磁場発生器の始動をキーエンジンの始動と連動できるように接続していればよく、また還元型変調電磁場発生器の作動のための電圧も12〜100V程度で足りる。
【0033】
さらにまた、上記実施形態では、燃焼室内で燃料と空気の混合気が調製されるタイプのエンジンであったが、本発明の燃焼効率改善装置が適用されるエンジンの種類はこれに限定されない。例えば、図3に示すように、エアクリーナーで塵等が除去された空気を燃焼室に供給する吸気管23の途中に、燃料供給管22が接続されていて、例えばエアクリーナーに取り付けられたエアフローメータからの情報に応じて、燃料を噴射し、混合気を吸気管23内で調製して、吸気バルブ24から燃焼室21に吸入するインジェクションタイプのエンジンであってもよい。この場合、空気流路用のコイル26は、燃料供給管22との接続部分よりエアクリーナー側(上流側)に巻かれることが好ましい。
なお、図3中、20は排気バルブであり、27は燃料供給用コイルである。
【0034】
またさらに、上記実施形態では、燃料流路用コイル(第1のコイル)及び空気流路用コイル(第2のコイル)の双方を備え、2つのコイルに交流電流を流す還元型変調電磁場発生器は1台で共用した場合であったが、本発明はこれに限定されず、第1のコイル及び第2のコイルを別々の還元型変調電磁場発生器に接続してもよい。さらにまた、燃料流路用コイルだけを備え、空気流路用コイルは備えていないものであってもよい。燃料を構成する炭化水素のクラスター状態の解消だけでも、燃焼効率の改善に寄与できる。従って、上記実施例では、自動車のエンジンに適用した場合であったが、例えば、ボイラーや船舶のエンジンのような内燃機関であっても、軽油などの液体燃料を燃焼室に供給する供給管に第1のコイルをまくことにより、内燃機関の燃焼効率を上げることができる。
【0035】
本発明のエンジンシステムは、本発明の燃焼効率改善装置が取り付けられていればよく、エンジンの種類は特に限定せず、現在、公知の内燃機関を利用している自動車のエンジンに適用可能である。好ましくは混合気を圧縮し、点火により爆発させるガソリンエンジンである。ガソリンエンジンの燃焼室の形状、種類も限定しない。
【実施例】
【0036】
日産の乗用車「ノート」(平成17年登録)で、約5000kmを4か月間走行し、平均走行距離数を毎月算出し、4か月の平均を求めたところ、11.25km/Lであった。
次いで、還元型変調電磁場発生器(5kHz〜1MHzの帯域で周波数が変化)を備えた燃焼効率改善装置を、図1の態様で取り付けた。インバータからの電源は、自動車車体内のシガレットソケットに差し込むことにより、自動車のキーエンジンと連動させた。また、空気流路用コイル及び燃料用コイルは、VSF単線ビニールコード、サイズ1.25mmを、それぞれ11回巻することで形成した。
このようにして、燃焼効率改善装置を取り付けた後、約4000km走行し、平均走行距離を毎月算出し、3か月の平均を求めた。13.25km/Lであった。
ガソリン1Lあたりの走行距離数が向上したことが確認できた。
【0037】
燃焼効率改善装置を取り付けた自動車のマフラーの排出部に花粉用マスクを取り付け、30分間アイドリングをした。アイドリング後、花粉用マスクをとりはずし、目視で観察したところ、水分が付着していただけで、ばい煙と考えられる黒色物の付着は認められなかった。また、排ガスの匂いもなかった。従って、本発明の燃焼効率改善装置は、完全燃焼度が高く、不完全燃焼による排気ガス中のばい煙、窒素酸化物なども低減できることを確認できた。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明の燃焼効率改善装置は、簡易小型の装置で、燃焼室に連結された吸気管及び燃料流路管にコイルを巻きつけ、交流変調電磁場を発生させる還元型変調電磁場装置を取り付けるだけで、燃焼効率を改善することができる。また、自動車や船舶、ボイラーなどの内燃機関の組み立て時だけでなく、すでに組み立てられたエンジンにも、別途取り付け可能である。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の燃焼効率改善装置を説明するための模式図である。
【図2】吸気管に取り付けるプラスチック管の別の実施例を示す図である。
【図3】本発明の燃焼効率改善装置を取り付けた別の態様を示す模式図である。
【符号の説明】
【0040】
1,21 燃焼室
2,22 燃料供給管
3,23 吸気管
5,5’ プラスチック管
6,26 空気流路用コイル
7,27 燃料流路用コイル
10 交流変調電磁場発生器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体燃料の燃焼室に、液体燃料を噴射供給する供給管の外周に巻かれる第1のコイル;及び
前記第1のコイルに4kHz〜1MHzの帯域で周波数が時間的に変化する交流電流を流す還元型変調電磁場発生器
を備えた液体燃料の燃焼効率改善装置。
【請求項2】
前記液体燃料の燃焼室に、前記液体燃料の燃焼用空気を供給する吸気管の外周に巻かれる第2のコイル;及び
前記第2のコイルに4kHz〜1MHzの帯域で周波数が時間的に変化する交流電流を流す還元型変調電磁場発生器
を、さらに備えている請求項1に記載の液体燃料の燃焼効率改善装置。
【請求項3】
前記第1のコイルと第2のコイルは、1本の導線が連続したものであり、
共用の還元型変調電磁場発生器により、前記第1のコイル及び第2のコイルに交流電流を流す請求項2に記載の燃焼効率改善装置。
【請求項4】
前記第1のコイルと第2のコイルとは、同方向に巻かれている請求項2又は3に記載の燃焼効率改善装置。
【請求項5】
前記第1のコイル及び第2のコイルは、8巻〜15巻きである請求項2〜4のいずれかに記載の燃焼効率改善装置。
【請求項6】
前記吸気管を外装する円筒状のプラスチック管の外表面に、前記第2のコイルが巻かれている請求項2〜5のいずれかに記載の燃焼効率改善装置。
【請求項7】
前記第2のコイルは、前記吸気管の液体燃料噴射部よりも上流側に巻かれている請求項2〜6のいずれかに記載の燃焼効率改善装置。
【請求項8】
前記還元型変調電磁場発生器に印加する電圧は、12〜100Vである請求項1〜7のいずれかに記載の燃焼効率改善装置。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれかに記載の燃焼効率改善装置が取り付けられている自動車のエンジンシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−293577(P2009−293577A)
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−150062(P2008−150062)
【出願日】平成20年6月9日(2008.6.9)
【出願人】(508171859)有限会社エコムーブ (2)