説明

燃焼排ガス処理ユニット及びCO2供給装置

【課題】効率よく排ガスを処理し、長期間安定してCOを供給する装置を提供することを目的とする。
【解決手段】処理対象のガスが流れる流路と、前記流路内に配置される、第1の電極と第2の電極と誘電体とを少なくとも備え、前記第1の電極と前記第2の電極の間に電圧を印加して放電を発生させることによりプラズマを発生させるプラズマ発生部と、前記処理対象のガスの反応を促進する触媒であって、前記流路内において前記プラズマ発生部によって発生したプラズマが存在する位置に配置され、無機材料上に固定された金粒子を含む触媒を有する触媒部と、を備えることを特徴とする燃焼排ガス処理ユニット。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃焼排ガス処理ユニット及び二酸化炭素(CO2)を供給する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
植物栽培ハウスやコンテナといった密閉空間において植物の成長、光合成を促進させるには空間内のCO2濃度を高くすることが有効であると知られている。そのためには断続的にCO2を供給する方法が必要である。
【0003】
従来、植物栽培ハウス、コンテナ内にCO2を供給する方法として、CO2ガスボンベから供給する方法、ボイラー燃焼を利用する方法がある。
【0004】
CO2ガスボンベから直接供給する方法は、純度の高いCO2ガスの供給が可能であるが、植物栽培ハウスやコンテナといった高容量な空間に断続的に供給することは高コストであるため、ボイラー燃焼を利用する方法が一般的である。
【0005】
ボイラー燃焼によるCO2供給装置として、ボイラー燃焼により発生する排ガスを高温で燃焼し、CO2に分解させる方法(特許文献1、特許文献2)、ボイラー燃焼により発生する排ガスや空気中のCO2を吸着材に蓄積させ、吸着材を加熱しCO2を放出させる方法(特許文献3)、触媒を用いる方法(特許文献4、特許文献5)が報告されている。
【特許文献1】特許第3793848号公報
【特許文献2】特開2010−124802号公報
【特許文献3】特開2006−340683号公報
【特許文献4】実用新案第3025591号公報
【特許文献5】特開2008−201649号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ボイラー燃焼により、煤煙や、窒素酸化物(NOx)、硫黄酸化物(SOx)、炭化水素、一酸化炭素(CO)といった副生成物の有害ガスの発生が懸念される。そのような有害ガスを直接燃焼によりCO2に分解させる方法では、ガス燃焼温度は900℃以上となりエネルギーを大量に投入する問題がある。また、触媒を用いる方法では、300℃程度の触媒層の加熱で炭化水素や、COをCO2に酸化分解できるが、依然有害ガスの燃焼温度は高く、また触媒表面への不純物や反応中間体の吸着による触媒性能が劣化し、触媒活性の持続性に問題がある。
【0007】
そこで本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、効率よく排ガスを処理することにより、長期間安定してCO2を供給する装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち第1の発明は、処理対象のガスが流れる流路と、前記流路内に配置される、第1の電極と第2の電極と誘電体とを少なくとも備え、前記第1の電極と前記第2の電極の間に電圧を印加して放電を発生させることによりプラズマを発生させるプラズマ発生部と、前記流路内における前記プラズマ発生部によって発生したプラズマが存在する位置に設けられる前記処理対象のガスの反応を促進する触媒部であって、無機酸化物上に存在する金粒子を含む触媒を有する触媒部と、を備えることを特徴とする燃焼排ガス処理ユニットである。
【0009】
第2の発明は、前記第1の電極と前記第2の電極と前記誘電体と前記触媒部は、前記処理対象のガスの流れ方向に並べて配置され、それぞれ前記ガスの流れ方向に通気性を有し、前記触媒部は、前記流路における前記放電の発生空間または前記放電の発生空間よりも前記ガスの流れ方向の下流側に形成されることを特徴とする第1の発明に記載の燃焼排ガス処理ユニットである。
【0010】
第3の発明は、前記第1の電極と前記第2の電極と前記誘電体と、前記触媒部は、前記ガスの流れ方向に直交する方向に並べて配置されることを特徴とする第1の発明に記載のガス処理ユニット。
【0011】
第4の発明は、前記触媒部は、少なくとも前記金粒子が接触する部分が無機酸化物である、前記金粒子が固定される無機材料からなる基材をさらに備えることを特徴とする第1から第3の発明のいずれか1つに記載の燃焼排ガス処理ユニット。
【0012】
第5の発明は、前記触媒部は、前記金粒子が表面に固定される無機酸化物粒子と、前記無機酸化物粒子を固定する無機材料からなる基材と、をさらに備えることを特徴とする第1から第3の発明のいずれか1つに記載の燃焼排ガス処理ユニットである。
【0013】
第6の発明は、前記第1の電極と前記第2の電極と前記誘電体は、前記処理対象のガスの流れ方向に並べて配置され、それぞれ前記ガスの流れ方向に通気性を有し、前記触媒部は、前記金粒子が担持された無機酸化物粒子が多数充填されたものであることを特徴とする第1から第3のいずれか1つ発明に記載の燃焼排ガス処理ユニット。
【0014】
第7の発明は、燃料を燃焼してガスを排出するボイラーと、前記ボイラーから排出される排ガスを処理する、第1から第6の発明のいずれかに記載の燃焼排ガス処理ユニットと、を備えることを特徴とするCO供給装置である。
【0015】
第8の発明は、前記ボイラーと前記燃焼排ガス処理ユニットとの間に配置される、排ガスに含まれる煤煙を除去するフィルターと、NOxおよびSOxの少なくともいずれかを吸着する吸着体と、をさらに備えることを特徴とする第7の発明に記載のCO供給装置。
【発明の効果】
【0016】
本発明における燃焼排ガス処理ユニットは、触媒とプラズマの協奏作用(組み合わせ)により、ボイラー燃焼排ガス中のCOや炭化水素を、より低温で効率よくCO2に酸化分解する能力を持続できる。これにより、有害物質を低減した状態で長期間CO2を供給できる燃焼排ガス処理ユニットを提供できる。
【0017】
また、本発明におけるCO2供給装置では、前記燃焼排ガス処理ユニットを、煤煙を捕集するフィルター、NOx、SOxを吸着する吸着体と組み合わせることにより、純度の高いCO2を供給できる装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施形態に係る燃焼排ガス処理ユニットの断面模式図である。
【図2】本発明の実施形態に係る触媒微粒子を固定化した触媒体の模式図である。
【図3】本発明の他の実施形態に係る触媒体の模式図である。
【図4】本発明の他の実施形態に係る触媒体の模式図である。
【図5】本発明の他の実施形態に係る触媒体の模式図である。
【図6】本発明の他の実施形態に係る燃焼排ガス処理ユニットの模式図である。
【図7】本発明の他の実施形態に係る燃焼排ガス処理ユニットの模式図である。
【図8】本発明の他の実施形態に係る燃焼排ガス処理ユニットの断面模式図である。
【図9】本発明の他の実施形態に係る燃焼排ガス処理ユニットの断面模式図である。
【図10】本発明の他の実施形態に係る燃焼排ガス処理ユニットの断面模式図である。
【図11】本発明の他の実施形態に係る燃焼排ガス処理ユニットの模式図である。
【図12】本発明の他の実施形態に係る燃焼排ガス処理ユニットの模式図である。
【図13】本発明の他の実施形態に係るCO供給装置の模式図である。
【図14】実施形態の触媒である金微粒子の構造を示す図である。
【図15】燃焼排ガス処理ユニットの一例を示した模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について詳述する。
【0020】
(第1実施形態)
図1は、本発明の実施形態である燃焼排ガス処理ユニット200の断面を模式的に表した図である。燃焼排ガス処理ユニット200は、処理対象の排ガスが供給される流路内に配置される。そして、図1において、燃焼排ガス処理ユニット200に対して矢印A方向に供給される排ガスを、燃焼排ガス処理ユニット200において発生させるプラズマと、触媒体100の機能によって、CO2に変化させる装置である。
【0021】
燃焼排ガス処理ユニット200は、印加電極11と、接地電極12と、誘電体13と、触媒体100と、(高圧)電源14とを備える。燃焼排ガス処理ユニット200において、これら印加電極11と接地電極12と誘電体13と電源14は、プラズマを発生させるための部材・装置(プラズマ発生部)であり、電源14によって電圧が印加されることで、印加電極11と接地電極12と誘電体13によって、印加電極11と誘電体13との間に放電による低温プラズマ反応層が形成される。燃焼排ガス処理ユニット200において、印加電極11と触媒体100と接地電極12と誘電体13はそれぞれ密着して構成される。なお、印加電極11と接地電極12のいずれか一方が第1の電極であり、他方が第2の電極である。また、他の実施形態において印加電極11と接地電極12がそれぞれ複数組み合わせられる場合にも、いずれか一方の種類の複数の電極それぞれが第1の電極であり、他方の種類の複数の電極それぞれが第2の電極である。
【0022】
印加電極11は、電源14によって電圧が印加される電極である。接地電極12は、接地線12aによって接地されている。そして、印加電極11、接地電極12および誘電体13は、電極面内をガスが通過できる通気性を有する構造である。具体的には、印加電極11と接地電極12と誘電体13の構造としては、格子状や簾状、パンチング加工などによる多孔状やエキスパンドメッシュ状の構造が挙げられ、これらの構造を2種以上組み合わせた構造であってもよい。印加電極11、接地電極12については、針状の構造でもよい。また、印加電極11と接地電極12と誘電体13は、上記した形状・構造のうち、同じ形状・構造であってもよい。図1では、印加電極11はメッシュのような開口が小さく多数存在し、接地電極12と誘電体13はパンチングによる多孔状のように開口は大きく少数にしてある。
【0023】
印加電極11および接地電極12としては、電極として機能する材料を用いることができる。印加電極11、接地電極12の材料としては、例えば、Cu、Ag、Au、Ni、Cr、Fe、Al、Ti、W、Ta、Mo、Coなどの金属やその合金、あるいはそれらの酸化物を用いることができる。
【0024】
誘電体13は、絶縁体となる性質を有していればよい。誘電体13の材料としては、例えば、ZrO2、γ-Al2O3、α-Al2O3、θ-Al2O3、η-Al2O3、アモルファスのAl2O3、アルミナナイトライド、ムライト、ステアライト、フォルステライト、コーディエライト、チタン酸マグネシウム、チタン酸バリウム、SiC、Si3N4、Si-SiC、マイカ、ガラスなどの無機材料や、ポリイミド、液晶ポリマー、PTFE、ETFE、PVF(poly vinyl fluoride)、PVDF(poly vinylidene difluoride)、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミドなどの高分子材料が挙げられる。耐プラズマ性、耐熱性を考慮すると無機材料がより好ましい。
【0025】
なお、後述する触媒体100が誘電体としての機能も備える場合(例えば、触媒体の一部が絶縁体であるような場合)、触媒体100を誘電体としても利用できるため、誘電体13を備えなくてもよい。
【0026】
次に、触媒体100について説明する。図2は、本実施形態の触媒体100の断面の一部を模式的に表した図である。触媒体100は、排ガスに含まれる一酸化炭素(CO)を二酸化炭素(CO2)に酸化する反応を促進する触媒である。さらに、本実施形態では触媒体100に対してプラズマを作用させるため、触媒体100によって促進される酸化反応がさらに促進される。
【0027】
本実施形態の触媒体100は、ガスが通過可能な通気性を有する板状あるいはシート状の部材であり、基体10と、基体10に固定される触媒1などから構成される。触媒体100は、プラズマ発生部によって発生されたプラズマが存在する位置(範囲)に配置されている。具体的には、本実施形態では、印加電極11と誘電体13の間(放電空間)に配置されている。触媒体100は、図2において破線の両矢印Bで示す方向にガスが通過可能である。そのため、本実施形態の触媒体100は、フィルター状や、プレート状の部材にパンチング加工などの穿孔処理がされた複数の穴を有するものや、メッシュ状などの通気性を有する構造の基体10に、通気性が維持されるように触媒1が固定された構造となっている。この触媒体100は、燃焼排ガス処理ユニット200においては、触媒1が固定されている面を印加電極11側(ガスの流れ方向における上流側)に向けて配置される方が好ましい。なお、例えば基体10がフィルター状やメッシュ状の場合、基体10内部には空間ができ、触媒体100の製造方法によっては基体10内部に触媒1を固定することもできる。また、基体10の両面に触媒1を固定してもよい。触媒1が基体10の内部にも固定される場合や、両面に固定される場合には、触媒体100をどちらに向けて配置してもよい。
【0028】
触媒1は、触媒微粒子1−aが担体微粒子1−bに担持されたものである。触媒1は、担体微粒子1−bに結合したシランモノマー2が、基体10に対して化学結合3により結合することで、基体10に固定される。シランモノマー2による固定については後述する。
【0029】
触媒1の触媒微粒子1−aは、排ガスに含まれる一酸化炭素(CO)を二酸化炭素(CO2)に酸化する反応を促進する触媒機能を有する。本実施形態の触媒微粒子1−aは、金(Au)の微粒子である。
【0030】
そして、本実施形態の触媒微粒子1−aである金微粒子は、図14に示すように、担体微粒子1−bに対して、多面体構造となるように固定されていることが好ましい。これは、触媒微粒子1−aである金微粒子が、多面体構造であることによりCOをCO2に酸化する反応を触媒する触媒能が高くなり、CO2を効率よく生成できるためである。これは、金微粒子が多面体構造であることにより、配位不飽和なサイトであるコーナー部31やエッジ部32などの接合界面周縁部の比率が大きくなり、非常に高い酸化触媒能を持つようになるためであると推測される。なお、担体微粒子1−bの代わりに、無機粒子1−cや基体10を用いてもよい。
【0031】
また、触媒微粒子1−aは、粒径が50nm以下のものであることが好ましく、1nm以上10nm以下のものがさらに好ましい。粒径が50nmより大きくなると金微粒子が安定となるため触媒作用が起こりにくくなる。また、粒径が1nmより小さいものは物質として非常に不安定となる。粒径が10nmより大きい場合には、金微粒子の接合界面周縁部の長さが短くなり、図14のような多面体構造をとりにくくなるが、粒径を10nm以下とすることにより、触媒微粒子(金微粒子)1−aの接合界面周縁部の比率が十分に大きくなる。
【0032】
この触媒微粒子1−aは、担体微粒子1−bに対して、0.1〜20質量%分固定されることが好ましく、0.5〜10質量%とするのがより好ましい。20質量%以上担持させると、触媒微粒子1−aである金微粒子同士が凝集し、触媒活性が減少するからである。0.1質量%以下では十分な触媒活性が得られないので好ましくない。
【0033】
なお、触媒微粒子1−aとしては、上述のように、少なくともCOをCO2に酸化する反応を促進する触媒機能を有する金微粒子が含まれている必要があるが、他の物質と組み合わせてもよい。具体的には、助触媒と金微粒子を組み合わせた助触媒粒子と金微粒子が混在するものや、各種金属元素を金微粒子と複合化させた複合微粒子からなる複合触媒であってもよい。金微粒子単独の場合や金微粒子に助触媒を混合させた場合には、金微粒子が多面体形状であるとともに上述の大きさの範囲内であればよい。また、金と他の金属元素とを複合した複合微粒子の場合には、複合微粒子に含まれる金の部分が多面体構造であり、金の大きさが上述の大きさの範囲内であればよい。助触媒または複合触媒において用いる金微粒子以外の金属微粒子(ナノ粒子)としては、Pt、Pd、Irなどといった貴金属およびその酸化物、または卑金属およびそれらの酸化物などが挙げられる。これらの貴金属およびその酸化物、卑金属およびその酸化物の微粒子は2種以上混合されて、担体微粒子1−bの表面に担持されてもよい。
【0034】
担体微粒子1−bは、触媒微粒子1−aを担持させるとともに、基体10に担体微粒子1−bを介して触媒微粒子1−aを固定するための粒子である。担体微粒子1−bは、触媒微粒子1−aを担持させることができればどのようなものでもよいが、金属酸化物または主に物理的な吸着性を有する無機化合物を用いることが好ましく、特に金属酸化物が好ましい。
【0035】
金属酸化物としては、例えば、γ-Al2O3、α-Al2O3、θ-Al2O3、η-Al2O3、アモルファスのAl2O3、TiO2、ZrO2、SnO2、SiO2、MgO、ZnO2、Bi2O3、In2O3、MnO2、Mn2O3、Nb2O5、FeO、Fe2O3、Fe3O4、Sb2O3、CuO、Cu2O、NiO、Ni3O4、Ni2O3、CoO、Co3O4、Co2O3、WO3、CeO2、Pr6O11、Y2O3、In2O3、PbO、ThO2などの単一の無機酸化物が挙げられる。また、金属酸化物としては、例えば、SiO2−Al2O3、SiO2−B2O3、SiO2−P2O5、SiO2−TiO2、SiO2−ZrO2、Al2O3−TiO2、Al2O3−ZrO2、Al2O3−CaO、Al2O3−B2O3、Al2O3−P2O5、Al2O3−CeO2、Al2O3−Fe2O3、TiO2−CeO2、TiO2−ZrO2、TiO2−WO3、ZrO2−WO3、SnO2−WO3、CeO2−ZrO2、SiO2−TiO2−ZrO2、Al2O3−TiO2−ZrO2、SiO2−Al2O3−TiO2、SiO2−TiO2−CeO2、セリウム・ジルコニウム・ビスマス複合酸化物などの複合酸化物でもよい。尚、セリウム・ジルコニウム・ビスマス複合酸化物は一般式Ce1−X−YZrBi2−δで表わされる固溶体であり、X、Y、δの値がそれぞれ0.1≦X≦0.3、0.1≦Y≦0.3、0.05≦δ≦0.15の範囲である。
【0036】
また、物理的な吸着性を有する無機化合物としては、例えば、ケイ酸塩としては、ゼオライトA、ゼオライトP、ゼオライトX、ゼオライトYなどの合成ゼオライトや、クリノプチルライトやセピオラオライト、モルデナイトなどの天然ゼオライトなどや、カオリナイト、モンモリロナイト、酸性白土、珪藻土などの層状ケイ酸塩化合物や、オラストナイト、ネプツナイトなどの環状ケイ酸塩化合物が挙げられる。また、リン酸3カルシウム、リン酸水素カルシウム、ピロリン酸カルシウム、メタリン酸カルシウム、ハイドロキシアパタイトなどのリン酸塩化合物や、活性炭や、多孔質ガラスなども挙げられる。
【0037】
これらの担体微粒子1−bは処理対象のガス等の種類に応じて選択して使用されるものである。担体微粒子1−bの平均粒子径は、0.1μm以上500μm以下であれば良い。また、これらの担体微粒子1−bは単体で用いても、2種類以上混合して用いてもよい。なお、ここでいう平均粒子径とは、体積平均粒子径のことをいう。本明細書において、特に記載しない限りは、平均粒子径は体積平均粒子径とする。
【0038】
触媒1の製造方法を説明する。触媒1は、触媒微粒子1−aが、多面体構造で担体微粒子1−bに固定できる方法であればよい。共沈法、析出沈殿法、ゾル−ゲル法、滴下中和沈殿法、還元剤添加法、pH制御中和沈殿法、カルボン酸金属塩添加法等の方法が挙げられ、これらの方法は担体の種類により適宜使い分けることができる。
【0039】
次に、基体10は、触媒1を固定して、触媒体100を板状の部材として構成するための基材である。そして基体10は、上述のように、通気性を有する構造となっており、例えば、パンチング加工により多数の貫通孔が形成されているシート状のものや、繊維状、布状、メッシュ状で、織物、網物、不織布などから構成される繊維構造体(フィルター状)のものを用いることができる。その他、使用目的に合った種々の形状及びサイズ等のものを適宜利用できる。
【0040】
基体10は、燃焼排ガス処理ユニット200の処理対象ガスである燃焼による排ガスの温度が高温であるため、耐熱性に優れた無機材料が好ましい。また、無機材料のほうが耐プラズマ性がより高く、好ましい。ただし、基体10に用いられる無機材料としては、金属材料や、セラミックスや、ガラスなどが好ましく、触媒微粒子1−aを直接固定する場合は、触媒微粒子固定部分の材料は金属酸化物が好ましい。また、本実施形態では、触媒微粒子1−aが担持された担体微粒子1−bは、シランモノマー2によって基体10に固定されるが、シランモノマー2が脱水縮合反応により基体10に共有結合するためには、基体10は表面に酸化物の薄膜が形成されていることが好ましい。
【0041】
本発明の基体10に用いられる金属材料としては、タングステン、モリブデン、タンタル、ニオブ、TZM(Titanium Zirconium Molybdenum)、W−Re(tungsten-rhenium)などの高融点金属や、銀、ルテニウムなどの貴金属及びそれらの合金または酸化物、チタン、ニッケル、ジルコニウム、クロム、インコネル、ハステロイなどの特殊金属、アルミニウム、銅、ステンレス鋼、亜鉛、マグネシウム、鉄などの汎用金属およびこれら汎用金属を含む合金またはこれら汎用金属の酸化物を用いることができる。また、各種めっき及び真空蒸着や、CVD法や、スパッタ法などにより、上述した金属、合金または酸化物の被膜が形成された部材を金属材料として用いてもよい。
【0042】
なお、上述した金属表面及びその合金表面には、通常、自然酸化薄膜が形成されており、シランモノマー2を結合させるために、この自然酸化薄膜を利用することができる。この場合には、予め、酸化薄膜の表面に付着している油分や汚れを通常の公知の方法により除去することが、安定に、かつ、均一に担体微粒子1−bを固定するためには好ましい。シランモノマー2の結合のために自然酸化膜を利用する代わりに、金属表面又は合金表面に、公知の方法により化学的に酸化薄膜を形成したり、陽極酸化などの電気化学的な公知の方法により酸化薄膜を形成してもよい。
【0043】
さらに、本発明の基体10に用いられるセラミックスとしては、土器、陶器、せっき、磁気などの陶磁器、ガラス、セメント、石膏、ほうろう及びファインセラミックスなどのセラミックスを用いることができる。構成するセラミックスの組成は、元素系、酸化物系、水酸化物系、炭化物系、炭酸塩系、窒化物系、ハロゲン化物系、及びリン酸塩系などのセラミックスを用いることができ、また、それらの複合物でもよい。
【0044】
また、本発明の基体10に用いられるセラミックスとしては、さらに、チタン酸バリウム、チタン酸ジルコン酸鉛、フェライト、アルミナ、フォルステライト、ジルコニア、ジルコン、ムライト、ステアタイト、コーディエライト、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、炭化ケイ素、ニューカーボン、ニューガラスなどや、高強度セラミックス、機能性セラミックス、超伝導セラミックス、非線形光学セラミックス、抗菌性セラミックス、生分解性セラミックス、及びバイオセラミックスなどのセラミックスを用いることが可能である。
【0045】
また、本発明の基体10に用いられるガラスとしては、ソーダ石灰ガラス、カリガラス、クリスタルガラス、石英ガラス、カルコゲンガラス、有機ガラス、ウランガラス、アクリルガラス、水ガラス、偏光ガラス、強化ガラス、合わせガラス、耐熱ガラス・硼珪酸ガラス、防弾ガラス、ガラス繊維、ダイクロ、ゴールドストーン(茶金石・砂金石・紫金石)、ガラスセラミックス、低融点ガラス、金属ガラス、及びサフィレットなどのガラスを用いることが可能である。
【0046】
また、本発明の基体10にはその他に、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、超早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、低熱ポルトランドセメント、耐硫酸塩ポルトランドセメント、及びポルトランドセメントに高炉スラグ、フライアッシュ、シリカ質混合材を添加した混合セメントである高炉セメント、シリカセメント、及びフライアッシュセメントなどのセメントを使用することが可能である。
【0047】
また、本発明の基体10にはその他に、チタニアや、ジルコニア、アルミナ、セリア(酸化セリウム)、ゼオライト、アパタイト、シリカ、活性炭、珪藻土などを使用することができる。さらに、本実施形態の無機酸化物には、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、錫などからなる金属酸化物を用いることも可能である。
【0048】
次に、触媒1の基体10に対する固定方法について説明する。本実施形態における触媒1は、触媒微粒子1−aが担持された担体微粒子1−bの表面に結合したシランモノマー2が、脱水縮合反応して形成される化学結合3(共有結合)によって基体10と結合することにより基体10に保持されている。
【0049】
シランモノマー2によって触媒微粒子1−aが担持された担体微粒子1−bを基体10に結合するメカニズムを説明する。担体微粒子1−bに結合したシランモノマー2は、不飽和結合部または反応性官能基を担体微粒子1−bに対して外側に向けて配向して結合する。これは、シランモノマー2の片末端であるシラノール基が親水性であるため、同じく親水性である担体微粒子1−bの表面に引きつけられやすく、一方、逆末端の不飽和結合部または反応性官能基は疎水性であるため、担体微粒子1−bの表面から離れようとするからである。このため、シランモノマー2のシラノール基は、担体微粒子1−bの表面に脱水縮合反応により共有結合し、シランモノマー2は不飽和結合部または反応性官能基を外側に向けて配向しやすい。したがって、多くのシランモノマー2については、不飽和結合部または反応性官能基を外側に向けて担体微粒子1−bと共有結合する。そして、担体微粒子1−bの表面に結合したシランモノマー2の外側に向いている不飽和結合部または反応性官能基は、この不飽和結合部または反応性官能基同士が結合して、担体微粒子1−b同士が結合すると共に、基体10の表面とも結合することにより、担体微粒子1−bが基体10に固定される。
【0050】
換言すると、本実施形態で用いられる触媒体100では、不飽和結合部または反応性官能基を有する反応性に優れたシランモノマー2を用いることで、シランモノマー間の化学結合3により基体10上の複数の担体微粒子1−b同士を不飽和結合部または反応性官能基同士の結合によって結合するとともに、基体10と対向する担体微粒子1−b表面のシランモノマー2と基体10表面との間で不飽和結合部または反応性官能基による化学結合3を形成することで、担体微粒子1−bを基体10上に固定している。
【0051】
脱水縮合により担体微粒子1−bに共有結合するシランモノマー2が有する不飽和結合部または反応性官能基としては、ビニル基、エポキシ基、スチリル基、メタクリロ基、アクリロキシ基及びイソシアネート基などが挙げられる。
【0052】
上記の不飽和結合部または反応性官能基を有するシランモノマー2の例としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(ビニルベンジル)−2−アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシランの塩酸塩、2−(3、4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシランなどが挙げられる。
【0053】
次に、触媒1を基体10に固定して触媒体100を製造する製造方法について説明する。
【0054】
まず、不飽和結合部または反応性官能基を有するシランモノマー2を触媒微粒子1−aが担持された担体微粒子1−bに共有結合させる。担体微粒子1−bへのシランモノマー2の結合は通常の方法により形成させることができる。例えば、触媒微粒子1−aが担持された担体微粒子1−bが、水、メタノール、エタノール、MEK(methyl ethyl ketone)、アセトン、キシレン、トルエンなどの分散媒に分散した分散液にシランモノマー2を加え、その後、還流下で加熱させながら、担体微粒子1−bの表面にシランモノマー2を脱水縮合反応により共有結合させる方法がある。
【0055】
また、別の方法として、触媒微粒子1−aが担持された担体微粒子1−bを粉砕により微粒子化し、微粒子化したものを上記いずれかの分散媒に分散して得られた分散液にシランモノマー2を加える、或いは、シランモノマー2を上記担体微粒子1−bに加えてから粉砕により微粒子化して分散媒に分散させる。そして、分散液を固液分離して100℃から180℃で加熱してシランモノマー2を担体微粒子1−bの表面に脱水縮合反応により共有結合させる方法でもよい。
【0056】
ここで、触媒1におけるシランモノマー2の量は、担体微粒子1−bの平均粒子径にもよるが、担体微粒子1−bの質量に対して0.01質量%以上から40.0質量%以下であれば、担体微粒子1−b同士の結合および担体微粒子1−bと基体10との結合の結合強度は、実用上問題ない。なお、結合に関与しない余剰のシランモノマー2があっても良い。
【0057】
次に、シランモノマー2が表面に化学結合している担体微粒子1−bをメタノールやエタノール、MEK(methyl ethyl ketone)、アセトン、キシレン、トルエンなどの分散媒に混合し、分散させる。ここで、分散を促進させる為に、必要に応じて界面活性剤や、塩酸、硫酸などの鉱酸や、酢酸、クエン酸などのカルボン酸などを加えるようにしてもよい。続いて、ビーズミルやボールミル、サンドミル、ロールミル、振動ミル、ホモジナイザーなどの装置を用いて担体微粒子1−bを分散媒中で解砕・分散させ、担体微粒子1−bを含むスラリーを作製する。
【0058】
続いて、以上のようにして得られた担体微粒子1−bが分散したスラリーを、基体10の表面に塗布する。スラリーの基体10への塗布方法としては、一般に行われているスピンコート法、ディップコート法、スプレーコート法、キャストコート法、バーコート法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法を用いればよく、目的に合った塗布ができれば特に限定されない。
【0059】
そして、必要に応じて、加熱乾燥などで分散媒を除去することにより、基体10と、担体微粒子1−bとが化学結合する。具体的には、分散媒を除去することで、担体微粒子1−bの表面のシランモノマー2間で化学結合3を形成させることにより担体微粒子1−b同士を結合させるとともに、シランモノマー2と基体10との間に化学結合3を形成させることにより、担体微粒子1−bを基体10上に固定させる。
【0060】
本実施形態においては、基体10とシランモノマー2とを化学結合3させる方法として、グラフト重合による結合方法を用いることが好ましい。利用可能なグラフト重合としては、例えばパーオキサイド触媒を用いるグラフト重合、熱や光エネルギーを用いるグラフト重合、放射線によるグラフト重合(放射線グラフト重合)などが挙げられ、基体10や担体微粒子1−bの形状や形態に応じて適宜選択して用いられる。
【0061】
なお、シランモノマー2のグラフト重合を効率良く、かつ、均一に行わせるために、予め、基体10の表面に対して、コロナ放電処理やプラズマ放電処理や、火炎処理や、クロム酸や過塩素酸などの酸化性酸の水溶液や水酸化ナトリウムなどを含むアルカリ性水溶液による化学的な処理、などの親水化処理をしてもよい。
【0062】
以上が触媒体の構造および製造方法である。以上に説明した触媒体100によれば、基体10に結合した担体微粒子1−bは、シランモノマー2により強固に基体10上で保持されるので、触媒1が基体10から剥がれることを確実に防ぐことができる。
【0063】
つぎに、燃焼排ガス処理ユニット200に用いられる電源14は、高電圧を印加可能な電源である。電源14としては、AC高電圧、パルス高電圧、DC高電圧、DCバイアスにACあるいはパルスを重畳させたもの、マイクロウェーブなどの高電圧電源を用いることができる。この電源14により、印加電極11と接地電極12と誘電体13によって形成される放電空間にプラズマが発生するように、印加電極11と接地電極12に所定の電位を印加すればよい。電源14による印加電圧は、処理対象とする排ガス中の処理物質等の濃度などにより変動するが、通常1〜20kV、好ましくは2〜10kVである。また、その周波数は数十Hz〜数kHz、マイクロウェーブの場合、数GHzである。
【0064】
以上が、本実施形態の燃焼排ガス処理ユニット200の構成である。
【0065】
次に、以上に説明した本実施形態における燃焼排ガス処理ユニット200による燃焼排ガス処理について説明する。本実施形態の燃焼排ガス処理ユニット200で処理される物質は燃焼排ガス中に含まれるCOと炭化水素である。炭化水素としては特に限定されず、例えば、メタン、エタン、プロパン、ブタン、プロピレン、エチレン、ベンゼン等が挙げられる。
【0066】
まず、燃焼排ガスを処理する場合には、まず、排ガスを供給する流路内に配置される燃焼排ガス処理ユニット200において、電源14によって、印加電極11に電圧を印加した状態で、図1において印加電極11側から接地電極12側の方向(矢印A方向)に排ガスを供給する。供給された排ガスは、プラズマと金触媒により、COや未燃燃料を酸化してCO2に分解される。
【0067】
そして、排ガスを処理している過程で、触媒微粒子1−aである金微粒子は、ガスとの接触により表面が被毒して触媒活性が失われる場合がある。しかし、本実施形態では、COからCO2への酸化反応を促進するためのプラズマが、金触媒表面をクリーニングするため、触媒活性が保たれる。従って、触媒微粒子1−aは長期間触媒活性が保たれ、CO2を安定して供給することができる。
【0068】
なお、本実施形態の燃焼排ガス処理ユニット200は、排ガスを処理して、CO2に分解し、CO2を供給することができるが、本実施形態の排ガス処理ユニット200において処理可能な排ガスとしては、たとえば、重油や灯油のほか液化石油ガス(LPG)や都市ガスなどを燃料とし、バーナーの燃焼により発生するCOや未燃燃料ガスである。このような排ガスを、触媒体100に対して流すとともにプラズマを作用させることにより、効率的に燃焼排ガス中のCOをCO2に酸化したり未燃燃料をCO2に酸化分解することができる。
【0069】
なお、本実施形態においては、燃焼排ガス処理ユニット200が、触媒1を独立した触媒体100として備えるとして説明したがこれに限られない。触媒1が、印加電極11、接地電極12あるいは誘電体13の表面に触媒微粒子1−aが固定化された構成でもよい。また、これらの構成を組み合わせてもよい。この場合、触媒微粒子1−aを直接電極(11、12)や誘電体13に固定する場合、電極や誘電体の材料としては無機酸化物が好ましい。
【0070】
また、本実施形態では、誘電体13を接地電極12に密着させた構成としたが、これに限られない。プラズマを発生させることができればよく、誘電体13が、少なくとも印加電極11と接地電極12のいずれかに密着していればよい。また、印加電極11と接地電極12のそれぞれに誘電体13が密着して、誘電体13の間に触媒体100を備える構成にしてもよい。
【0071】
また、図1においては、印加電極11と、触媒体100と、誘電体13とを密着させて配置したが、これに限られない。誘電体13を印加電極11か接地電極12のいずれかに密着させて配置されていれば、それ以外の部分は、隙間をあけて配置してもよい。図1の例では、印加電極11と触媒体100の間や、触媒体100と誘電体13との間に隙間を開けてもよい。
【0072】
また、本実施形態では、触媒体100は、印加電極11と誘電体13との間に配置されているとして説明したが、これに限られない。ガスの流路においてプラズマが存在する位置に触媒体100が存在すれば、COからCO 2への酸化反応をより促進できるため、例えば、印加電極11、誘電体13、接地電極12で構成されるプラズマ発生部の、ガスの流れ方向における下流側に配置されてもよい。
【0073】
また、本実施形態では、印加電極11をガスの流れ方向における上流側に配置するとして説明したが、これに限られず、接地電極12側からガスを流してもよい。
【0074】
以上説明した本実施形態によれば、金触媒微粒子が担持された触媒体100によれば、基体10に結合した担体微粒子1−bはシランモノマー2により強固に基体10上で保持されるので、剥がれなどを抑制することができる。
【0075】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態を説明する。図3は、本実施形態における触媒体100の断面の一部を模式的に表した図である。なお、以下の説明において第1の実施形態と共通する構成については、同じ符号を付して説明を省略する。
【0076】
本実施形態の触媒体100は、触媒微粒子1−aである金微粒子が基体10の表面にファンデルワールス力や物理的吸着などにより固定されている。本実施形態の金微粒子は、無機微粒子ではなく基体10の表面に固定されるが、第1実施形態と同様に、多面体の形状であることが好ましい。また、触媒微粒子1−aの粒径も同様であり、50nm以下のものであることが好ましく、1nm以上10nm以下のものがさらに好ましい。多面体形状である点および粒径が所定範囲であるのが好ましい理由は、第1実施形態で説明したとおりであり、COからCO2への酸化反応の触媒作用がより高まるためである。
【0077】
触媒微粒子1−aの基体10への担持量は、基体10に対して0.5〜20質量%とするのが好ましく、さらに0.5〜10質量%とするのがより好ましい。この理由としては、20質量%以上担持させると触媒微粒子1−a同士が凝集し、触媒活性が減少するからである。
【0078】
触媒微粒子1−aを基体10に担持する方法としては特に限定されるものではないが、具体的な例として、共沈法、析出沈殿法、ゾル−ゲル法、滴下中和沈殿法、還元剤添加法、pH制御中和沈殿法、カルボン酸金属塩添加法等の方法が挙げられ、これらの方法は担体の種類により適宜使い分けることができる。
【0079】
以下に析出沈殿法を例として、本発明の触媒体の調整法について具体的に説明する。析出沈殿法の具体的な方法としては、まず、金化合物を溶解させた水溶液を20〜90℃、好ましくは50〜70℃に加温、攪拌しながら、pH3〜10、好ましくはpH5〜8になるようにアルカリ溶液にて調整し、その後、基体10に添加したのち、100〜200℃にて加熱乾燥する。
【0080】
用いられる金化合物水溶液としては、例えば、HAuCl4・4H2Oや、NH4AuCl4や、KAuCl4・nH2Oや、KAu(CN)4や、Na2AuCl4や、KAuBr4・2H2Oや、NaAuBr4などが挙げられ、金化合物の濃度は1×10−2〜1×10−5mol/Lとするのが好ましい。
【0081】
以上の本実施形態によれば、金触媒微粒子1−aを直接、基体10に固定するため、基体そのものが担体となるので、担持微粒子を必要とせず、金触媒微粒子の凝集を抑制できるという効果が得られる。
【0082】
なお、本実施形態においても、触媒微粒子1−aは、助触媒との混合粒子でもよいし、複合粒子でもよい。
【0083】
また、触媒体100は、基体10表面に、触媒微粒子1−aの他に、マンガンやコバルトなどの酸化物微粒子をさらに担持させたものでもよい。これはこれらの酸化物微粒子が、触媒微粒子1−aに有害物質が付着するのを抑制するので、長期に渡り、安定して触媒の活性が持続できるからである。
【0084】
(第3実施形態)
次に第3実施形態を説明する。図4は、本実施形態の触媒体100の断面の一部を模式的に表した図である。第3実施形態の触媒体100は、触媒微粒子1−aが固定された無機粒子1−cが、通気方向に通気性を有する容器に多数充填されたものである。従って、図4に示す通気方向に処理対象の排ガスを流すと、無機粒子1−c間の隙間を流れて無機粒子1−c上の触媒微粒子1−aに接触して、COからCO2への酸化反応が促進される。なお、本実施形態の触媒微粒子1−aが担持された無機粒子1−cを収容する容器は、ガスが内部に入る面と内部から出ていく面が、無機粒子1−cの粒径よりも小さい開口部が形成されるなど、通気性を確保しつつ無機粒子1−cが外部に漏れ出ない構造であればよい。また、この容器の材料は特に限定されないが、上述した実施形態における基材10の材料を用いてよい。
【0085】
本実施形態の無機粒子1−cに用いられるものとしては、担体微粒子1−bと同様の物質を用いてもよく、分解する有害有機化合物等の種類に応じて選択して使用されるものである。無機粒子1−cの平均粒子径は、100μm以上5000μm以下、好ましくは100〜1000μmが良い。また、これらの無機粒子は単体で用いても、2種類以上混合して用いてもよい。
【0086】
触媒微粒子1−aは、無機粒子1−cの表面に固定されている。この無機粒子1−cと触媒微粒子1−aとの複合粒子(他の機能性微粒子を併用する場合には母粒子である無機粒子1−cと触媒微粒子1−aと他の機能性微粒子との複合粒子)の製造方法は、無機粒子1−cと触媒微粒子1−aとを複合化できれば特に限定されないが、例えば、乳鉢などで無機粒子1−cと子粒子(触媒微粒子1−a)とを混ぜ合わせることで触媒微粒子1−aが無機粒子1−cに埋め込まれた複合粒子を形成することができる。また、その他に例えば、無機粒子1−cと触媒微粒子1−aを衝突させるなどして機械的に無機粒子1−cと子粒子を結合させる高速気流衝撃法や、無機粒子1−cと触媒微粒子1−aに強い圧力を加えることにより生じるエネルギーによって無機粒子1−cと子粒子とを結合させる表面融合法などのメカノケミカル法によっても形成することができる。
【0087】
具体的に、触媒微粒子1−aを無機粒子1−cに埋め込んで固定することにより複合微粒子を作成可能な装置としては、汎用的なボールミルの他、回転翼式では株式会社カワタのスーパーミキサー、震蕩式では浅田鉄工株式会社のペイントシェーカーなどが例示でき、この他にも株式会社奈良機械製作所製のハイブリダイゼーションシステム(登録商標)やホソカワミクロン株式会社のメカノフュージョン(登録商標)、媒体流動乾燥機などが例示されるが、特にこれらの装置には限定されない。
【0088】
さらに、他の混合方法として、例えば転動式ボールミル、高速回転粉砕機、高速気流衝撃法粉砕機、媒体攪拌型ミル、機械的融合装置を用いることができる。これらの操作因子としては、例えば高速回転粉砕機にあっては、攪拌速度、メディア質量、攪拌時間などの調整などで触媒微粒子1−aの無機粒子1−cへの埋め込み度(埋め込まれる深さ)を調節でき、高速気流衝撃法粉砕機にあっては、キャリアガスの圧力、滞留時間などの調整などで触媒微粒子1−aの無機粒子1−cへの埋め込み度を調節できる。
【0089】
複合化処理では、母粒子に対する触媒微粒子1−aの割合が、0.5質量%以上、40質量%未満となるように、上述したような複合微粒子を作成可能な複合装置に投入される。また、上述の装置による複合化処理において、攪拌時間などを調整することで、表面が平滑な抗ウイルス剤の複合微粒子を形成することができる。つまり、複合化処理において、母粒子に触媒微粒子1−aが埋め込まれた後、さらにその複合微粒子が互いに衝突することにより、触媒微粒子1−aが母粒子により深く埋め込まれるため、触媒微粒子1−aが母粒子の表面から突出していない滑らかな表面が形成される。
【0090】
本実施形態によれば、金触媒微粒子を比較的粒径の大きな無機粒子に担持する構成により、触媒微粒子が凝集せず、さらに、粒径が大きいため飛散しにくく基体に固定化する必要がない。
【0091】
(第4実施形態)
次に、第4実施形態を説明する。図5は、本実施形態に係る触媒体100の断面の一部を模式的に表した図である。本実施形態は、触媒体100が、多孔質の酸化被膜の細孔内に触媒微粒子1−aが固定された構造であることを特徴とする。
【0092】
本実施形態の触媒体100は、基体10の表面に酸化皮膜4が形成されている。酸化皮膜4には多数の細孔5が形成されている。そして、酸化皮膜4の多数の細孔5内に、触媒微粒子1−aが充填されている。触媒体100は、通気性が必要であるため、例えば、パンチング加工により、触媒体100を貫通する穴が複数形成されている。そして、本実施形態の触媒体100は、燃焼排ガス処理ユニット200において、酸化皮膜4側が、電極と対向し、かつ、ガスの流れ方向における上流の方向に向くように配置されるのが好ましい。
【0093】
触媒体100は、金属板を陽極酸化処理して酸化被膜を形成した金属を、第1の実施形態において例示したいずれかの材料で形成した基体10の表面に接着などにより固定したものでもよいし、基体10としての金属板を酸化処理して、基体10の表面に酸化被膜4を形成したものでもよい。金属板としては、例えば、アルミニウム、タンタル、ニオブ、チタン、ハフニウム、ジルコニウム、亜鉛、タングステン、ビスマス、アンチモンが挙げられる。好ましくは、陽極酸化により細孔ができやすいアルミニウムやチタンがよい。なお、金属板の形状は特に限定されないが、全体の厚さは好ましくは、0.05〜1.0mm、より好ましくは0.08〜0.35mm、さらに好ましくは0.1〜0.3mmである。
【0094】
酸化処理の方法は公知の方法を用いることができ、例えば、酸濃度1〜10質量%の溶液中で、酸化被膜を形成する金属板を陽極として通電する方法を用いることができ、結晶性を制御するためには加熱処理をしてもよい。また、γ-アルミナやα-アルミナなどの結晶性を有する酸化皮膜を形成する場合は、炭酸ナトリウムや、燐酸ナトリウムを含む水溶液中で火花放電をアルミニウム上に形成させる方法や、硫酸水素ナトリウムと硫酸水素アンモニウムを含む溶融塩中で陽極酸化する方法が用いられる。陽極酸化処理に用いられる溶液としては、例えば燐酸、クロム酸、蓚酸、硫酸、クエン酸、マロン酸、酒石酸水溶液等を使用することができる。金属板の金属材料によっては、陽極酸化により細孔5が形成され、酸化処理における印加電圧、処理温度、処理時間などの条件により、細孔5の径、細孔の間隔、膜厚などを調整することができる。
【0095】
触媒微粒子1−aは、酸化皮膜4の表面に吸着させ、さらに、燃焼排ガスと接触しても脱着しない程度に酸化皮膜4に固定する。触媒微粒子1−aを酸化皮膜4に固定する方法は、特に限定されず、例えば、析出沈殿法、析出還元法、含漬法、イオン交換法、共沈法、沈着法、混練法、水熱合成法、気相合成法等の公知の方法を用いることができる。
【0096】
本実施形態によれば、金属材料などに触媒微粒子1−aを固定する場合、酸化被膜4の表面に固定されるため、強固に固定されるという効果が得られる。特に陽極酸化処理により形成される細孔5内に触媒微粒子1−aを固定した場合には、より強固に固定され、触媒微粒子1−aが脱落することが防止され、長期間安定して触媒作用が得られる。
【0097】
なお、本実施形態では、触媒微粒子1−aを酸化皮膜4に直接担持させるとして説明したが、これに限られない。酸化皮膜4の表面に担体微粒子1−bを析出させ、担体微粒子1−bの表面に触媒微粒子1−aを担持させてもよい。ただし、酸化皮膜4に触媒微粒子1−aを直接担持させる方法の方が、製造が容易である。
【0098】
(第5実施形態)
次に、第5実施形態について説明する。図6は、本実施形態の燃焼排ガス処理ユニット300の模式図である。本実施形態は、燃焼排ガス処理ユニットの他の実施形態である。具体的には、本実施形態の燃焼排ガス処理ユニット300は、第1の実施形態で説明した燃焼排ガス処理ユニット200を、処理対象のガスの流れ方向に複数積層させた構成であることを特徴とする。
【0099】
本実施形態は、燃焼排ガス処理ユニット300は、複数の印加電極11と、複数の接地電極12と、複数の誘電体13と、複数の触媒体100と、電源14と、を備える。そして、本実施形態の燃焼排ガス処理ユニット300においては、印加電極11と接地電極12と誘電体13が交互に設置されて低温プラズマ反応層8が構成され、その低温プラズマ反応層8における印加電極11と接地電極12の間に、触媒微粒子が担持された触媒体100が配置されている。なお、印加電極11、触媒体100、誘電体13、接地電極12の1セットが、第1の実施形態の燃焼排ガス処理ユニット200に対応する。また、複数の印加電極11と複数の接地電極12のいずれかが第1の電極であり、他方が第2の電極である。また、複数の印加電極11と複数の接地電極12と複数の誘電体13と電源14とがプラズマ発生部を構成する。
【0100】
この燃焼排ガス処理ユニット300に対して、矢印aの方向で排ガスが流入し、矢印bの方向で装置内から分解された排ガスが排出される。燃焼排ガス処理ユニット300において、上述のようにプラズマ反応層8は、印加電極11と接地電極12及び触媒体100が複数積層された多層構造となっている。各層に金触媒を担持した触媒体100が設置され、それを多層構造とすることによって、それぞれの電極間において有害ガス等を高度に除去することができる。
【0101】
本実施形態によれば、多層構造により、多量のガス中の有害ガスを効率よく分解できる。
【0102】
(第6実施形態)
次に、第6実施形態を説明する。図7は、本実施形態の燃焼排ガス処理ユニット400の模式図である。図8は、本実施形態の燃焼排ガス処理ユニット400の断面を示す模式図である。なお、図7は、図8に示した構造の燃焼排ガス処理ユニット400を分解した状態を示す分解斜視図である。燃焼排ガス処理ユニット400は、プレートまたはシート状の誘電体13の片面に印加電極11、反対の片面に接地電極12が設置され、誘電体13の両面で放電しプラズマを発生する特徴をもっている。また、本実施形態の燃焼排ガス処理ユニット400は、触媒体100の面に沿って処理対象のガスを流して処理する点が燃焼排ガス処理ユニット200や300と異なる。以下、本実施形態の燃焼排ガス処理ユニット400の構成を説明するが、上述した実施形態における構成と共通する構成については同じ符号を付し説明を省略する。
【0103】
本実施形態の印加電極11および接地電極12は、それぞれ、多数の電極で構成される櫛歯状の電極である。そして、印加電極11と、接地電極12と、誘電体13は、誘電体13が、印加電極11と接地電極12の少なくともいずれか一方に接触した状態で、配列される。従って、印加電極11と接地電極12と誘電体13が全て密着して積層されていてもよい。また触媒体100とプラズマ存在領域9が重複するためには、印加電極11と接地電極12の厚さは、薄い方が好ましい。
【0104】
印加電極11と接地電極12の間に交流で高電圧の電圧を印加すると、印加電極11と誘電体13との間で誘電体13上に沿面放電がおこり、プラズマが発生する。同様に、接地電極12と誘電体13との間で誘電体13の表面上に沿面放電がおこり、プラズマが発生する。
【0105】
次に、触媒体100は、これまでに説明した実施形態の触媒体と同様の構成である。そして、本実施形態の触媒体100は、図7に示すように、印加電極11の外側と接地電極12の外側に配置される。また、上述のように、燃焼排ガス処理ユニット400では、処理対象のガスは、触媒体100を貫通するように流れるのではなく、触媒体100の表面に沿って流れて、CO2への反応を促進する。従って、本実施形態の触媒体100は、上述した燃焼排ガス処理ユニット200や300において用いられる通気性を有する構造でもよいし、通気性のないシート状やプレート上の構造でもよい。
【0106】
また、触媒体100を通気性のない構造とする場合には、表面にエンボス加工などにより凹凸が形成されていてもよい。触媒体100の表面に凹凸が形成されていると、流通するガスとの接触面積が増加し、COからCO2への酸化反応をより促進することができる。
【0107】
以上の構成の本実施形態の燃焼排ガス処理ユニット400において、ガスを処理する場合には、図7に(矢印c−dで)示すように、印加電極11の櫛歯と櫛歯の間に櫛歯に沿ってガスを流す。櫛歯の間を通ったガスは、燃焼排ガス処理ユニット400の向こう側に抜けるか、触媒体100が通気性を有する場合には触媒体100を通過する。また、接地電極12側にガスを流す場合、櫛歯状の電極に通気性を持たせればよく、(接地電極12側の矢印c−dで示すように)通気性を有する接地電極12を通ってその通気可能な部分を通って、同様に印加電極11の櫛歯の方向に沿ってガスを流すことができる。なお、この場合に触媒体100が通気性を有する場合には、ガスは電極側から隣接する触媒体100に抜けて通過したり、逆に触媒体100から電極に抜けて通過したりすることができる。
【0108】
また、電極の厚さが薄い場合には、図8に示すように、プラズマ存在領域9が触媒体100の外側にもあるため、図7の矢印a−bに示すように触媒体100の外側にガスを流してもよい。これにより、流れるガスは、印加電極11と接地電極12のそれぞれ外側に配置される触媒体100に接触しながら流れることで、COからCO2への酸化反応が促進される。さらに、印加電極11と誘電体13との間での放電によって発生するプラズマおよび接地電極12と誘電体13との間での放電によって発生するプラズマが、COからCO2への酸化反応をさらに促進する。
【0109】
本実施形態によれば、触媒体100の面に沿ってガスを流してガスを処理する構成としても、COからCO2への酸化反応が促進され、排ガスから効率よくCO2を供給する燃焼排ガス処理ユニット400を提供することができる。特に、触媒体100の面に沿ってガスを流すため、ガスと触媒体100との接触時間が増え、COからCO2への酸化反応において、より触媒体100による反応促進作用が得られる。
【0110】
また、本実施形態では、誘電体13の両側で放電によるプラズマを発生させることができ、印加電極11と接地電極12と誘電体13の1セットで効率よくガスを処理することができる。
【0111】
なお、本実施形態においては、燃焼排ガス処理ユニット400として、誘電体13の一方の面側に印加電極11を配置し、誘電体13の他方の面側に接地電極12を配置して、それらの外側に触媒体100を配置した構成を説明したがこれに限られない。触媒体100が処理対象の流れるガスに接触し、かつ、印加電極11、接地電極12および誘電体13によって発生するプラズマの発生空間に処理対象のガスが流れて、プラズマが処理対象のガスに対して作用する構造であればよい。具体的には、誘電体としての機能を有する触媒体100であれば誘電体13に触媒体100を固定し、さらに触媒体100の外側に電極を配置する方法や、触媒体100を電極表面に固定する方法、またこれらを2種以上組み合わせてもよい。また、触媒体100や誘電体13が通気性を有する場合には、櫛歯に沿った方向ではなく、触媒体100や誘電体13の面に直交する方向に処理対象のガスを流通させてもよいことは言うまでもない。
【0112】
(第7実施形態)
次に、第7実施形態を説明する。図9は、本実施形態の燃焼排ガス処理ユニット500を模式的に示した図である。本実施形態の燃焼排ガス処理ユニット500は、第6実施形態の燃焼排ガス処理ユニット400の変形例である。
【0113】
燃焼排ガス処理ユニット500は、第6実施形態の燃焼排ガス処理ユニット400が、電極(11、12)や誘電体13の積層方向に複数積層されて構成されたものである。この燃焼排ガス処理ユニット500では、処理対象のガスは、燃焼排ガス処理ユニット400におけるガスの流路と同様に、電極の櫛歯の間から触媒体100を通る、あるいは燃焼排ガス処理ユニット400を積層する際、ユニット間にプラズマ存在領域が途切れない程度に隙間を設けて、その隙間にガスが流れる。そして、流れるガスは、触媒体100とプラズマの採用によりCOからCO2への酸化反応が促進される。
【0114】
本実施形態によれば、燃焼排ガス処理ユニット500は、燃焼排ガス処理ユニット400が複数積層された構成であるため、有害ガスを高度に除去して、CO2をより効率的に供給することができるという効果が得られる。
【0115】
(第8実施形態)
次に、第8実施形態を説明する。図10は、本実施形態の一例である燃焼排ガス処理ユニット600の断面の一部を模式的に表した図である。本実施形態の燃焼排ガス処理ユニット600は、無声放電によりプラズマを発生させる。
【0116】
燃焼排ガス処理ユニット600は、高電圧電源14を用い電圧を印加してプラズマを発生させる印加電極11と接地電極12と誘電体13を設置した低温プラズマ反応層において、両電極の間に触媒体100が設置される。これらの電極と誘電体13と触媒体100とは互いに密着して積層されている。図10では、印加電極11と接地電極12の両方に対して誘電体13がそれぞれ密着して積層されているが、誘電体13はいずれか一つだけでもよい。
【0117】
また、触媒体100は誘電体13に密着していてもよいし、密着していなくてもよい。両方の誘電体に密着させる場合、触媒体100は通気性が必要であるが、少なくとも一方の誘電体13に密着させない場合は、触媒体100は通気性がなくても良い。本実施形態の燃焼排ガス処理ユニット600の場合は、図10の矢印a方向からガスを流入させ、他方の端部側から矢印b方向にガスを排出させることで、ガスの分解を行う。燃焼排ガス処理ユニット600は、多層構造とすることで、多量の処理対象ガスを効率よく分解でき、処理対象のガス量(濃度)や、流速などの使用条件に応じて、処理対象ガスを効率よく酸化分解できるように設置される。触媒体100は単層でも複数層に分けてもどちらでもよく、任意に設定できる。
【0118】
(第9実施形態)
次に、第9実施形態を説明する。図11は、本実施形態の燃焼排ガス処理ユニット700の断面の一部を模式的に表した図である。
【0119】
燃焼排ガス処理ユニット700は、筒型の印加電極11と接地電極12と触媒体100が、年輪状に径方向外側に積層して構成される円筒状の構造である。高電圧電源14を用い電圧を印加してプラズマを発生する印加電極11と接地電極12と誘電体13を設置した低温プラズマ反応層8に、両電極の間に触媒体100が設置される。図では、印加電極11と接地電極12ともに誘電体13が密着して積層されているが、誘電体13は一つだけでもよい。処理ユニット700の場合は、円形の両端面の一方からガスを流入させ、他方の端面側から排出させることで、ガスの分解を行う。処理ユニット700のプラズマ反応層8は、年輪状の多層構造としてもよく、多層構造とすることで、第5の実施形態の燃焼排ガス処理ユニット300(図6)または第7の実施形態の燃焼排ガスユニット500(図9)の多層構造の場合と同様に、多量の排ガスを効率よく分解できる。排ガス量や、流速などの使用条件に応じて、排ガスを効率よく分解できるように、プラズマ反応層8に設置される、触媒体100の筒型年輪状の枚数は複数でも一枚でも任意に設定できる。
【0120】
(第10実施形態)
次に、第10実施形態を説明する。図12は、本実施形態の燃焼排ガス処理ユニット800の構成を示す模式図である。本実施形態の燃焼排ガス処理ユニット800は、第9の実施形態で説明した円筒状の燃焼排ガス処理ユニット700を4つ組み合わせて構成されるものである。このように、円筒状の燃焼排ガス処理ユニット700を複数組み合わせることで、さらに多量の排ガスを効率よく分解できる。
【0121】
なお、図12においては、燃焼排ガス処理ユニット800は、燃焼排ガス処理ユニット700を縦2列横2列で配列しているが、これに限られない。燃焼排ガス処理ユニット800を設置する場所の形状などに合わせて、適宜配列することができる。例えば、縦や横に1列に並べてもよいし、燃焼排ガス処理ユニット800の断面が長方形、台形、三角形などの各種多角形あるいは、円形になるように、複数の燃焼排ガス処理ユニット700を配列してもよい。
【0122】
(第11の実施形態)
次に、第11の実施形態を説明する。図13は、本実施形態のCO2供給装置900の構成を示す構成図である。本実施形態は、上述の実施形態において説明した、燃焼排ガス処理ユニット(200〜800)を利用して、ボイラーから排出される排ガスを処理してCO2を供給するCO2供給装置の一例である。
【0123】
本実施形態のCO2供給装置900は、ボイラー20と、ファン21と、フィルター22と、吸着体23と、燃焼排ガス処理ユニット24と、電源14と、を備える。そして、ボイラー20、フィルター22、吸着体23、燃焼排ガス処理ユニット24、ファン21は、配管30によって接続されており、ボイラー20から排出されたガスは、全て、ボイラー20の下流側に配置されるこれらの部材を通過して、排ガス処理がされた後、ファン21からCO2の供給対象空間に供給される。以下、CO2供給装置900の各構成を説明する。
【0124】
ボイラー20は、燃料を燃焼して水蒸気を得る装置であるが、本実施形態のCO2供給装置900では、CO2の元のガスである排ガスの供給装置として機能する。なお、ボイラー20は、CO2供給装置900において排ガスを排出するための専用のボイラーでもよいし、水蒸気や温水を供給する目的で使用されるボイラーを利用してもよい。
【0125】
ファン21は、ボイラー20から排出され、燃焼排ガス処理ユニット24を通過したガスをCO2供給装置900から、CO2の供給対象空間に供給する。
【0126】
フィルター22は、燃焼排ガス処理ユニット24よりもガスの流れ方向における上流側に配置される。フィルター22は、ボイラー20における燃料の燃焼により発生する煤煙を除去するバグフィルターである。フィルター22の形状、構造は、ガスが通過できる形状であればよく、例えばフィルター形状や、パンチング加工などで多孔が存在するプレート形状、メッシュ形状、またこれらを2種類以上組み合わせて用いてもよい。
【0127】
吸着体23は、NOxとSOxの少なくともいずれかを吸着させ、ガス中から除去するものである。ただし、ボイラー20において用いられる燃料の種類によって、NOxあるいはSOxのうち排出されないガス成分がある場合には、排出されないガス成分を吸着できる必要はない。
【0128】
吸着体23はガスが通過できる構造であればよく、例えばフィルター形状や、パンチング加工などで多孔が存在するプレート形状、メッシュ形状、またこれらを2種類以上組み合わせて用いることでもよい。
【0129】
吸着体23は、図13に示すように、フィルター22と燃焼排ガス処理ユニット24の間に配置される。吸着体23が、フィルター22とプラズマ放電空間(燃焼排ガス処理ユニット24)の間に配置されることで、フィルター22によって煤煙が除去されたガスに対して、吸着体23においてNOxやSOxが除去され、そのガスが燃焼排ガス処理ユニット24に供給されることになる。そのため、燃焼排ガス処理ユニット24によるCO2の収率をより向上させることができるという効果が得られる。ただし、燃焼排ガス処理ユニット24のガスの流れ方向における下流側に配置してもよい。
【0130】
本実施形態で用いられる吸着体23に用いられる吸着物質としては、無機酸化物や、ケイ酸塩や、リン酸塩化合物などがあげられる。無機酸化物としては、例えば、SiO2、Al2O3、TiO2、ZrO2、SnO2、Fe2O3、Sb2O3、WO3、CeO2などの単一の無機酸化物や、SiO2・Al2O3、SiO2・B2O3、SiO2・P2O5、SiO2・TiO2、SiO2・ZrO2、Al2O3・TiO2、Al2O3・ZrO2、Al2O3・CaO、Al2O3・B2O3、Al2O3・P2O5、Al2O3・CeO2、Al2O3・Fe2O3、TiO2・CeO2、TiO2・ZrO2、SiO2・TiO2・ZrO2、Al2O3・TiO2・ZrO2、SiO2・Al2O3・TiO2、SiO2・TiO2・CeO2などの複合酸化物が挙げられる。さらに、吸着性を有するケイ酸塩としては、ゼオライトA、ゼオライトP、ゼオライトX、ゼオライトYなどの合成ゼオライトや、クリノプチルライトやセピオラオライト、モルデナイトなどの天然ゼオライトなどや、カオリナイト、モンモリロナイト、酸性白土、珪藻土などの層状ケイ酸塩化合物や、オラストナイト、ネプツナイトなどの環状ケイ酸塩化合物が挙げられる。また、リン酸3カルシウム、リン酸水素カルシウム、ピロリン酸カルシウム、メタリン酸カルシウム、ハイドロキシアパタイトなどのリン酸塩化合物や、さらには、活性炭や、多孔質ガラスなども挙げられる。これらの吸着物質はその使用目的に応じて使用されるものであり、粉末状であったり、或いは、加圧されて錠剤状に成形されてあってもよい。
【0131】
そして、本実施形態の燃焼排ガス処理ユニット24は、これまでに説明した第1の実施形態および第5〜第10の実施形態の燃焼排ガス処理ユニットのいずれかを用いることができる。ガスの流量や、処理するガスの種類などの条件に応じて、最適な燃焼排ガス処理ユニットを選択すればよい。
【0132】
電源14についても、これまでに説明した実施形態における電源と同様であり、燃焼排ガス処理ユニット24における、印加電極と接地電極との間に高圧の電圧を印加し、プラズマを発生させる。
【0133】
以上が、本実施形態のCO2供給装置900の構成である。
【0134】
以上説明した実施形態において、第5実施形態から第10実施形態における触媒体100は、第1実施形態から第4実施形態において説明した触媒体100のどれを用いてもよい。
【実施例】
【0135】
次に、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明はこれらの実施
例のみに限定されるものではない。
【0136】
(金微粒子を担持した触媒体(アルミナ織物)の作製)
無機微粒子として、市販のジルコニア(酸化ジルコニウム)微粒子(日本電工株式会社製、PCS)を溶媒であるメタノールに対して10.0質量%、シランモノマーとして3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製、KBM−503)を無機微粒子に対して5.0質量%加えて、塩酸を用いてpHを3.0に調整した。調整後ビーズミルにより平均粒子径20nmに粉砕分散した。
【0137】
その後、凍結乾燥機により固液分離して120℃で加熱し、シランモノマーをジルコニア微粒子の表面に脱水縮合反応により化学結合させて被覆を形成した。得られた表面処理されたジルコニア微粒子をメタノールに対して10.0質量%となるように調製し、ビーズミルにより平均粒子径17nmに再度粉砕分散し、ジルコニア微粒子分散液を作製した。
【0138】
次に、表面をアルカリ洗剤で洗浄後、イオン交換水で洗浄し、メタノールに浸漬後、乾燥機で乾燥させたアルミナ(酸化アルミニウム)織物((株)ニチビ製)を、上記ジルコニア微粒子分散液に浸漬させ、エアーブロアーで余剰分を除去した後、110℃、2分間乾燥した。次に、ジルコニア微粒子分散液を塗布したアルミナ織物に電子線を200kVの加速電圧で5Mrad照射することで、ジルコニア微粒子をシランモノマーのグラフト重合によりアルミナ織物に結合させた前駆体を作製した。
【0139】
続いて、無機微粒子に金を担持する処理として、0.5mmolの塩化金酸(HAuCl4・4H2O)を100mlの水に溶解させ、70℃に加温してNaOH水溶液でpH7に調製し、上記前駆体を1時間浸漬させた。次に、上記水溶液からアルミナ織物を取り出し、水洗処理を3回行った。その後、窒素雰囲気下、100℃で4時間加熱し、金微粒子を担持したアルミナ織物を得た。金の担持量をICPにて測定したところ、1.3wt%であった。
【0140】
(金微粒子を担持した触媒体(炭化ケイ素織物)の作製)
前記金微粒子を担持した触媒体において、アルミナ織物の代わりに、炭化ケイ素繊維からなるチラノ(登録商標)織物(宇部興産(株)製)を使用した以外は、上記と同様の手順で金微粒子を担持した炭化ケイ素織物を得た。また、金の担持量をICPにて測定したところ、1.3wt%であった。
【0141】
(金微粒子を担持した触媒体(ジルコニア織物)の作製)
前記金微粒子を担持した触媒体において、アルミナ織物の代わりにジルコニア(酸化ジルコニウム)織物(巴工業(株)製、ZYW−15)を使用した以外は、上記と同様の手順で金微粒子を担持したジルコニア織物を得た。また、金の担持量をICPにて測定したところ、1.3wt%であった。
【0142】
(金微粒子を担持した触媒体(PET不織布)の作製)
前記金微粒子を担持した触媒体において、アルミナ織物の代わりにPET製不織布(40g/m2、旭化成せんい(株)製)を使用した以外は、上記と同様の手順で金微粒子を担持したPET不織布を得た。金の担持量をICPにて測定したところ、1.3wt%であった。
【0143】
(金微粒子を担持した触媒体(アルミニウム板)の作製)
99.7wt%で厚さ0.2mmのアルミニウム板を、NaHSO4とNH4HSO4とを重量比で1:1の割合で混合し170℃に加温して生成した溶融塩に浸漬する。浸漬したアルミニウムを陽極として、そして対極にSUS304を用い、170Vの電位を印加することで、アルミニウム板の表面にα−アルミナ酸化皮膜を形成した。続いて、0.5mmolの塩化金酸(HAuCl4・4H2O)を100mlの水に溶解させた塩化金酸の水溶液を70℃に加温して、NaOH水溶液でpH7に調製し、前記α−アルミナ酸化皮膜を形成したアルミニウム板を1時間浸漬させた。次に、上記水溶液からα―アルミナ皮膜を形成したアルミニウム板を取り出し、水洗処理を3回行った。その後、窒素雰囲気下、100℃で4時間加熱し、金微粒子を担持したα―アルミナ皮膜形成アルミニウム板(触媒体)を得た。金の担持量をICPにて測定したところ、1.3wt%であった。
【0144】
(金微粒子を担持した触媒体(アルミナビーズ)の作製)
直径が500μmの純度99.99wt%のα−アルミナ(酸化アルミニウム)ビーズ(大明化学工業株式会社製)に、金微粒子を担持したα―アルミナビーズ(触媒体)を得た。金の担持量をICPにて測定したところ、0.5wt%であった。
【0145】
(金微粒子を担持した触媒体(ジルコニアビーズ)の作製)
直径が500μmの純度99.5wt%のジルコニア(酸化ジルコニウム)ビーズを使用した以外は、上記と同様の手順で金微粒子を担持したジルコニアビーズ(触媒体)を得た。金の担持量をICPにて測定したところ、0.5wt%であった。
【0146】
(低温プラズマ反応器)
本実施例では、図15に示す低温プラズマ印加手段を備えたプラズマ反応器1000を用いた。12は円柱状のガラス管に高電圧電極を設けた接地電極、11は外壁に銀ペーストの塗布、銅テープにより電極を形成した印加電極である。100は反応に用いる金微粒子を担持した触媒体である。14は交流高圧電源を示す。また、印加電極11に電源14によって電圧を印加することで、放電を発生させ、プラズマ存在領域9にプラズマが発生する。
【0147】
プラズマの発生には、ファンクションジェネレータと高電圧アンプで構成されたAC 高電圧電源を用いた。印加電圧は0〜30kVpk−pkの範囲に設定し、周波数は50 Hzに固定した。放電電力は、V-Q リサージュ法により求めた。
【0148】
燃焼排ガスに含まれる有害ガスの除去試験として、CO酸化反応試験を実施した。CO酸化反応試験はCOガスの初期濃度が1000ppm、流量が500mL/minになるよう調整し、プラズマ反応器1000に流通させた。ガス分析は、プラズマ反応器1000を通過したガスを、光路長2.4mのガスセルを装備したFTIRにより、CO、CO2の定量分析を行なった。CO酸化反応率は下記の式より算出した。
CO酸化反応率(%) = {(初期CO濃度−反応後のCO濃度)/初期CO濃度} × 100
【0149】
(実施例1)
金微粒子を担持したアルミナ織物を上記反応器に入れ、プラズマを印加させ、CO酸化反応試験を実施した。印加電圧は26.28 kVpk−pk放電電力は0.38Wとした。
【0150】
(比較例1)
実施例1の金微粒子を担持したアルミナ織物を上記反応器に入れ、プラズマを印加せずに、CO酸化反応試験を実施した。
【0151】
(比較例2)
上記反応器に金微粒子を担持したアルミナ織物を入れず、プラズマを印加させ、CO酸化反応試験を実施した。印加電圧は26.28 kVpk−pk放電電力は0.38Wとした。
【0152】
実施例1と比較例1、2の条件を表1に示す。
【0153】
【表1】

【0154】
実施例1と比較例1、2の条件でCOガスを流し、CO酸化反応試験を実施した。その結果を表2に示す。なお、CO酸化反応率は、上記式により求められるCOの反応率であるが、求められた酸化反応率の分だけCOがCOに酸化されて、COが生成されていることを示す。
【0155】
【表2】

【0156】
上記の結果から、プラズマのみ(比較例2)では、COを酸化できなかった。プラズマを印加せず金触媒のみ(比較例1)では、時間の経過とともにCOの酸化反応率が低下し、金触媒とプラズマを併用することで、CO酸化反応率が維持することが確認された。
【0157】
続いてCOガスを流通させ、室温にて経時によるCO酸化反応試験を実施した。図10に示すガス処理装置600に流通させた。接地電極12はアルミナ板で形成し、印加電極11は誘電体13の外側に、銅テープにより形成した電極である。誘電体13はα−アルミナである。印加電極11に接する誘電体13と、接地電極12に接する誘電体13との間の隙間(隙間は1mm)に触媒体100を配置した。プラズマの発生には、ファンクションジェネレータと高電圧アンプで構成されたAC 高電圧電源を用いた。印加電圧は0〜30kVpk−pkの範囲に設定し、周波数は50 Hzに固定した。放電電力は、V-Q リサージュ法により求めた。
【0158】
COガスの初期濃度は1000ppm、流量が500mL/minになるよう調整し、ガス処理装置600に流通させた。ガス分析は、ガス処理装置600を通過したガスを、光路長2.4mのガスセルを装備したFTIRにより、CO、CO2の定量分析を行なった。
【0159】
(実施例2)
金微粒子を担持した炭化ケイ素織物を上記反応器に入れ、プラズマを印加させ、CO酸化反応試験を実施した。印加電圧は7.2Vpk−pk放電電力は0.5Wとした。
【0160】
(実施例3)
金微粒子を担持したジルコニア織物を上記反応器に入れ、プラズマを印加させ、CO酸化反応試験を実施した。印加電圧は7.2 kVpk−pk放電電力は0.5Wとした。
【0161】
(実施例4)
金微粒子を担持したαアルミナ皮膜形成アルミ板を上記反応器に入れ、プラズマを印加させ、CO酸化反応試験を実施した。印加電圧は7.2 kVpk−pk放電電力は0.5Wとした。
【0162】
(実施例5)
金微粒子を担持したα─アルミナビーズを上記反応器に入れ、プラズマを印加させ、CO酸化反応試験を実施した。印加電圧は7.2kVpk−pk放電電力は0.5Wとした。
【0163】
(実施例6)
金微粒子を担持したジルコニアビーズを上記反応器に入れ、プラズマを印加させ、CO酸化反応試験を実施した。印加電圧は7.2kVpk−pk放電電力は0.5Wとした。
【0164】
(実施例7)
金微粒子を担持したPET不織布を上記反応器に入れ、プラズマを印加させ、CO酸化反応試験を実施した。印加電圧は7.2 kVpk−pk放電電力は0.5Wとした。
【0165】
実施例2から7の条件を表3に示す。
【0166】
【表3】

【0167】
実施例2から7の条件でCOガスを流し、CO酸化反応試験を実施した。その結果を表4に示す。
【0168】
【表4】

【0169】
上記の結果から、実施例7においてガス流通0.5時間後のCO酸化反応率は高いが、20時間後の基体の状態を確認したところ、有機材料であるPET不織布自体が劣化しているのを確認した。基体に無機材料を使用している実施例2から6ではCO酸化反応率が維持することが確認された。基体に無機材料を使用することで、基体が劣化せず触媒活性の低下を抑制できる。
【符号の説明】
【0170】
100 触媒体
200 燃焼排ガス処理ユニット
300 他の実施形態の燃焼排ガス処理ユニット
400 他の実施形態の燃焼排ガス処理ユニット
500 他の実施形態の燃焼排ガス処理ユニット
600 他の実施形態の燃焼排ガス処理ユニット
700 他の実施形態の燃焼排ガス処理ユニット
800 CO2供給装置
900 プラズマ反応器
1−a 触媒微粒子
1−b 担体微粒子
1−c 無機粒子
2 シランモノマー
3 化学結合
4 酸化皮膜
5 細孔
8 放電空間
9 プラズマ存在領域
10 基体
11 印加電極
12 接地電極
13 誘電体
14 電源
20 ボイラー
21 送風ファン
22 フィルター
23 吸着体
24 燃焼排ガス処理ユニット
31 接合界面周縁部(コーナー部)
32 接合界面周縁部(エッジ部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理対象のガスが流れる流路と、
前記流路内に配置される、第1の電極と第2の電極と誘電体とを少なくとも備え、前記第1の電極と前記第2の電極の間に電圧を印加して放電を発生させることによりプラズマを発生させるプラズマ発生部と、
前記流路内における前記プラズマ発生部によって発生したプラズマが存在する位置に設けられる前記処理対象のガスの反応を促進する触媒部であって、無機酸化物上に存在する金粒子を含む触媒を有する触媒部と、
を備えることを特徴とする燃焼排ガス処理ユニット。
【請求項2】
前記第1の電極と前記第2の電極と前記誘電体と前記触媒部は、前記処理対象のガスの流れ方向に並べて配置され、それぞれ前記ガスの流れ方向に通気性を有し、
前記触媒部は、前記流路における前記放電の発生空間または前記放電の発生空間よりも前記ガスの流れ方向の下流側に形成されることを特徴とする請求項1に記載の燃焼排ガス処理ユニット。
【請求項3】
前記第1の電極と前記第2の電極と前記誘電体と、前記触媒部は、前記ガスの流れ方向に直交する方向に並べて配置されることを特徴とする請求項1に記載のガス処理ユニット。
【請求項4】
前記触媒部は、少なくとも前記金粒子が接触する部分が無機酸化物である、前記金粒子が固定される無機材料からなる基材をさらに備えることを特徴とする請求項1から3のいずれか1つに記載の燃焼排ガス処理ユニット。
【請求項5】
前記触媒部は、前記金粒子が表面に固定される無機酸化物粒子と、
前記無機酸化物粒子を固定する無機材料からなる基材と、をさらに備えることを特徴とする請求項1から3のいずれか1つに記載の燃焼排ガス処理ユニット。
【請求項6】
前記触媒部は、前記金粒子が担持された無機酸化物粒子が多数充填されたものであることを特徴とする請求項1から3のいずれか1つに記載の燃焼排ガス処理ユニット。
【請求項7】
燃料を燃焼してガスを排出するボイラーと、
前記ボイラーから排出される排ガスを処理する、請求項1から6のいずれかに記載の燃焼排ガス処理ユニットと、を備えることを特徴とするCO供給装置。
【請求項8】
前記ボイラーと前記燃焼排ガス処理ユニットとの間に配置される、排ガスに含まれる煤煙を除去するフィルターと、NOxおよびSOxの少なくともいずれかを吸着する吸着体と、をさらに備えることを特徴とする請求項7に記載のCO供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2013−78759(P2013−78759A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−207202(P2012−207202)
【出願日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【出願人】(391018341)株式会社NBCメッシュテック (59)
【Fターム(参考)】