説明

燃焼機器

【課題】 固定タンク内に長期間残存している燃油の使用を防止できる燃焼機器を提供する。
【解決手段】 本体装置1への電源供給が検出できなくなると期間計時手段48でカウントを開始し、次に電源供給が検知できたら固定タンク17内の燃油量を油量センサ18で検出して、固定タンク17内に燃油が残っていればカウントした期間が所定期間以上か判断して、所定期間以上であれば操作部3上でのスイッチ操作をすべて無効にして暖房運転の開始を禁止し、固定タンク17内の燃油を交換するようスピーカ49から音声で報知するので、固定タンク17内に長期間残存している燃油を使用して暖房運転を開始するおそれがなく、変質した燃油が使用されることを防止できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、燃油を燃焼させて室内の暖房をおこなう燃焼機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のものにおいて、本体装置に設置された固定タンク内に燃油の油量を検出する油量センサを備え、該油量センサで検出された油量が所定量以下であれば、給油する必要があることを報知し一定時間後に暖房運転を停止させる燃焼機器において、固定タンク上部に設置され燃油を供給する給油タンクが本体装置から取り外された状態でシーズンオフスイッチが操作されると、油量センサでの検出量が所定量以下であっても無視して暖房運転を続行し、固定タンク内の燃油が無くなるまで暖房運転を続けることで、次の暖房シーズン開始時期まで固定タンク内に燃油を残さず、変質した燃油が使用されるのを防止するものがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−122561号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、この従来のものでは、固定タンク内の燃油を使い切るためには給油タンクを本体装置から抜き、シーズンオフスイッチを操作する必要があるため、使用者がこの作業を怠ると次の暖房シーズン開始時期まで燃油が持ち越されることから、変質した燃油の使用を防止する手段として不完全であった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1では、燃油を燃焼する燃焼部を備えた本体装置と、該本体装置に設置され着脱自在の給油タンクと、該給油タンク下部に位置し燃油の供給を受ける固定タンクと、該固定タンク内の残油量を検出する油量センサと、前記本体装置での暖房運転を制御する制御部とを備えた燃焼機器において、前記制御部は、前記油量センサで燃油が継続して検出された期間をカウントし、所定期間以上継続してカウントしたら暖房運転の開始を禁止し、前記固定タンク内の燃油を入れ替えるよう報知するものである。
【0006】
また、請求項2では、前記制御部は、前記固定タンク内の燃油が検出された期間のカウントを前記本体装置への電源供給が検出できなくなったら開始し、再度本体装置への電源供給を検出したらカウントを終了するものである。
【発明の効果】
【0007】
この発明の請求項1によれば、油量センサで燃油が継続して検出された期間をカウントし、所定期間以上継続してカウントしたら暖房運転の開始を禁止し、固定タンク内の燃油を入れ替えるよう報知するので、固定タンク内に長期間残存した燃油を使用して暖房運転を開始するおそれがなく、燃油の入れ替えを促すことで変質した燃油が使用されることを防止できる。
【0008】
また、請求項2によれば、固定タンク内の燃油が残存している期間のカウントを本体装置への電源供給が検出できない時点で開始し、再度本体装置への電源供給を検出したらカウントを終了するするので、本体装置での暖房運転が実施されていない期間を確実に検出することができ、変質した燃油を使用して暖房運転を開始されることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】この発明の一実施形態を示す燃焼機器の正面斜視図
【図2】同発明を示す断面図
【図3】同発明を示す燃焼系を説明する図
【図4】同発明を示す要部拡大図
【図5】同発明を説明する制御ブロック図
【図6】同発明の本体装置への電源供給検出有無による制御を説明するフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、この発明の一実施形態を図に基づいて説明する。
1は本体装置であり、2は本体装置1の上面を構成する上面板、3は上面板2にあり各種スイッチで操作を行う操作部、4は操作部3で行った操作内容等を液晶画面に表示する液晶パネル、5は本体装置1の正面側にあり温風を案内するルーバー6が設置された温風吹出口、7は家庭用コンセントに差し込むことで本体装置1に電気を供給する電源プラグである。
【0011】
8は背面の温風取入口9にファンガード10を介して取り付けられた対流ファン、11は前記温風取入口9と温風吹出口6とを連通する送風ボックス、12は前記送風ボックス11内にバーナヘッド13を突出して設けられた燃焼部としてのバーナ、14は前記バーナヘッド13を囲堯して燃焼空間を形成する燃焼筒、15は前記送風ボックス11内で燃焼筒14の真上に配設された遮熱板である。
【0012】
16は灯油などの燃油を供給する給油タンク、17は給油タンク16から供給された燃油を所定量溜める固定タンク、18は固定タンク17内の燃油量をフロートで測定する油量センサ、19は固定タンク17内の燃油を送油管20及び送油ノズル21を介してバーナ12へ圧送する電磁ポンプ、22は燃焼用空気を送風管23を介して送風する燃焼ファンである。
【0013】
24は燃油を気化する気化器、25は気化器24を燃油が気化可能な温度まで加熱する気化ヒータ、26は気化器24の温度を検出する気化温度センサ、27はバーナヘッド13の外周に設けられた炎孔網、28は燃焼熱を気化器24へ回収する熱回収リング、29は気化ガスにスパーク放電して点火する点火器、30は炎の状態を監視するフレームロッドである。
【0014】
操作部3には、暖房運転の開始と停止を指示する運転スイッチ31と、所定の暖房運転時間が経過した後も続けて暖房運転を実行する延長スイッチ32と、気化器24を保温して運転スイッチ31操作後から数秒で暖房運転を開始する秒速点火スイッチ33と、現在時刻や所定の時刻になると暖房運転を開始するタイマー運転の設定を可能とする時刻設定スイッチ34と、暖房運転での設定温度や現在時刻を調節する数値調節スイッチ35と、子どものいたずら防止のため運転スイッチ31の停止指示以外の操作を無効にするチャイルドロックスイッチ36と、前記時刻設定スイッチ34で暖房運転の開始時刻を二通り設定可能なタイマー運転スイッチ37と、最大火力を40%抑え設定温度が21℃以上の際、強制的に20℃まで下げて消費電力を低下させたエコ運転を実行するエコスイッチ38とが備えられており、各種スイッチを操作して暖房運転の制御を変更する。
【0015】
更に、運転スイッチ31が操作され暖房運転の開始が指示されると点灯する運転ランプ39と、自動消火する15分前になると点滅する延長ランプ40と、秒速点火スイッチ33が操作されると点灯する秒速点火ランプ41と、二通りの中で操作したタイマー運転スイッチ37が点灯するタイマー運転ランプ42と、エコスイッチ38が操作されエコ運転が開始されると点灯するエコランプ43とが操作部3に備わっており、各種スイッチ操作の有無を視覚で簡単に確認できるものである。
【0016】
44は本体装置1の制御をおこなうマイコンで構成された制御部であり、暖房運転開始からの時間をカウントして所定時間(例えば3時間)経過すると自動消火する消し忘れタイマ−手段45と、時刻設定スイッチ34で設定した時刻に暖房運転を開始させ、運転開始から所定時間(1時間)経過すると自動消火する予約タイマー手段46と、残り燃油量が所定量以下になると前記電磁ポンプ19の駆動パルス数をカウント開始し、このカウントしたパルス数が所定値以上になると自動消火する燃料切れ消火手段47と、本体装置1への電源供給が検出できなくなると図示しないバッテリーによって動作し、再度電源供給が検出されるまでの期間を計時する期間計時手段48とが備わっている。
【0017】
49は運転スイッチ31や延長スイッチ32等が操作された際にメロディや効果音で報知するスピーカである。
【0018】
次に、本体装置1への電源供給の有無による制御について図6のフローチャートを用いて説明する。
まず、制御部44は、電源プラグ7がコンセントから抜かれた等で本体装置1への電源供給が検出できないか判断して(S101)、本体装置1への電源供給が検出できなければ、期間計時手段48で電源供給が検出できない期間のカウントを開始する(S102)。
【0019】
S102で本体装置1への電源供給が検出できない期間のカウントを開始したら、制御部44は、電源プラグ7がコンセントに差し込まれた等で本体装置1への電源供給が検出できたか判断し(S103)、本体装置1への電源供給が検出できたら、固定タンク17内に残っている燃油量を油量センサ18で確認し(S104)、燃油が固定タンク17内に残っているか判断する(S105)。
【0020】
S105で固定タンク17内に燃油が残っていると判断したら、制御部44は、期間計時手段48でカウントした本体装置1への電源供給が検出できなかった期間を確認し(S106)、本体装置1への電源供給が検出できなかった期間が所定期間(例えば6ヶ月)以上か判断して(S107)、燃油が所定期間以上継続して固定タンク17内に残っていると判断したら、操作部3上でのスイッチ操作をすべて無効にして暖房運転の開始を禁止し、固定タンク17内に残存している燃油を新しい燃油に交換するようスピーカ49から音声でアナウンスする(S108)。
【0021】
S105で固定タンク17内に燃油が残っていないと判断されたか、S107で電源供給が検出できなかった期間が所定期間に達していないと判断されたら、燃油は固定タンク17内に残存していないとして、通常通りに暖房運転の開始を可能とする(S109)。
【0022】
以上のように、本体装置1への電源供給が検出できない期間をカウントし、再度電源の供給が検出できた際、固定タンク17内に燃油が残存していれば暖房運転を禁止して燃油の入れ替えを促す報知をすることで、暖房シーズン終了時に固定タンク17内に燃油が残存した状態のまま放置し、次の暖房シーズン時に長期間固定タンク17内に残っていた燃油を使用して暖房運転が実行されることを防止できるので、変質した燃油により送油管20や送油ノズル21内で発生するタール詰まり等で暖房運転の効率が低下することを防止できる。
【0023】
なお、本発明は上記内容に限定されるものではなく、例えば、給油タンク16の重量を検出する重量検出手段を設置し、本体装置1への電源供給が所定期間以上検出できず、その間、前記重量検出手段で検出された重量が継続して所定量以上であれば、長期間給油タンク16内に燃油が入っている状態だとして、次に本体装置1への電源供給が検出された際に暖房運転を禁止し燃油の入れ替えを報知する等、本体装置1内に長期間燃油が残存している状態を検出する手段であればよいものである。
【0024】
また、今回の実施形態ではスピーカ49で音声によって燃油の入れ替えを報知する制御だが、例えば、液晶パネル4に燃油の入れ替えを促す文章を表示する等の制御でもよく、使用者に燃油を交換する必要があると伝わる手段であればよいものである。
【符号の説明】
【0025】
1 本体装置
12 バーナ
16 給油タンク
17 固定タンク
18 油量センサ
44 制御部
48 期間計時手段
49 スピーカ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃油を燃焼する燃焼部を備えた本体装置と、該本体装置に設置され着脱自在の給油タンクと、該給油タンク下部に位置し燃油の供給を受ける固定タンクと、該固定タンク内の残油量を検出する油量センサと、前記本体装置での暖房運転を制御する制御部とを備えた燃焼機器において、前記制御部は、前記油量センサで燃油が継続して検出された期間をカウントし、所定期間以上継続してカウントしたら暖房運転の開始を禁止し、前記固定タンク内の燃油を入れ替えるよう報知することを特徴とする燃焼機器。
【請求項2】
前記制御部は、前記固定タンク内の燃油が検出された期間のカウントを前記本体装置への電源供給が検出できなくなったら開始し、再度本体装置への電源供給を検出したらカウントを終了することを特徴とする請求項2に記載の燃焼機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−2738(P2013−2738A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−134415(P2011−134415)
【出願日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【出願人】(000000538)株式会社コロナ (753)
【Fターム(参考)】