説明

燃焼機関の排気ガスからの粒子放出を測定する方法およびセンサ装置

本発明は、実質的に使用中に排気管システムまたは相当する排気ガス管内で、燃焼機関の排気ガスからの粒子放出を決定する方法、およびセンサ装置に関し、排気ガスに含まれる放出粒子は帯電され、粒子放出は前記排気ガス管(E)内で放出粒子によって運ばれる電荷を測定することによって決定される。本発明に従えば、帯電の結果として、少なくとも2つの異なる荷電状態にされた放出粒子が存在するように、時間に関して帯電方法および帯電電力を変えて放出粒子を帯電させ、放出粒子の電荷が、前記少なくとも2つの異なる荷電状態にされた放出粒子から測定された差分値としてさらに決定される。本発明は、先行技術よりも正確に粒子放出を測定することを可能とする。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、燃焼機関の排気ガスからの粒子放出を測定する、添付の独立請求項1の前提部分に従う方法に関する。本発明は、添付の独立請求項8に従う方法を実施するセンサ装置にも関する。
【0002】
背景
交通、特に道路交通からの排気ガス放出は、人的活動によって環境に与えられる有害物質の放出のかなりの部分を構成する。一酸化炭素(CO)、炭化水素(HC)および窒素酸化物(NOx)などの有害なガス状排出物に加えて、車両からの排気ガスに含まれる微粒子が深刻な健康被害であることがわかり、したがって、微粒子放出の一定の上限値が法律で規定された。前記制限値は継続的かつ徐々に下げられる傾向にあり、同時にそれらを一様な国際的水準にする傾向にある。排気ガス排出の制限値を規定する機関は、欧州委員会および米国環境保護庁(US−EPA)を含む。
【0003】
排気ガス排出を常に減らすことを目的とする燃焼機関技術の開発と同時に、機関の制御および診断システムがますます重要となる。分野の共通の概念は、いわゆるOBD(車載診断)センサであり、車両の制御システムを制御する、および/または、車両における特定の部品の機能を監視するセンサについて言及する。
【0004】
OBDセンサは、許容制限値内にある車両の排気ガスからの粒子放出を制御するためにも、ますます使用されるであろう。特定の用途は、本発明を考慮して、車両の排気ガスシステムにおいて使用される、いわゆる微粒子捕集体の機能の点検、表示および/または制御である。これらの微粒子捕集体は、特にディーゼル車両の排気ガスシステムにおいて使用される。一定の時間、粒子を集めると、そのような微粒子捕集体はいわゆる再生を必要とし、微粒子捕集体に含まれる粒子は、周知の方法によって、たとえば、微粒子捕集体の温度を上昇させ、同時にすす粒子の燃焼に要する充分な量の空気を微粒子捕集体へ導入することによって、通常燃焼される。
【0005】
米国特許第4939466号明細書は、ディーゼル車両の微粒子捕集体を再生する動作を示す測定方法および装置を示している。該構成は、排気管内の微粒子捕集体の後ろに設置される電荷センサの使用に基づく。再生の間に生じる粒子は、自然電気の、通常は正電荷を有し、排気管内に設置される感知電荷センサによって検出され得る。前記先行文献の教示に従えば、電荷センサは誘導環状電極であってもよい、または網目状構造を同様に有してもよい。微粒子捕集体の再生が起こるとき、センサは検出可能である。
【0006】
米国特許第4456883号明細書は、排気ガスから放出される粒子を測定することによる燃焼機関の動作を決定する方法および装置を示している。測定構成は排気管内に設置される静電センサを含み、燃焼に関連して粒子によって得られる自然電荷に基づいて、機関の別の気筒からの周期的な粒子放出を検出する。周期的な測定結果は、平均粒子放出を決定するために平均化され、または、測定結果は、単気筒の動作において発生する問題を検出するために、時間に関して平均化され得る。
【0007】
排気管の状態下で、粒子の自然帯電を使用することによって粒子を検出する上述の技術において、問題は、粒子の自然帯電が、非常に複雑な方法で、動作状態、機関の搭載に加えて、燃料量などの多くの因子に依存するという事実によってもたらされる。さらに、微粒子捕集体またはフィルタが測定点の前に使用されるとき、測定結果は、微粒子捕集体またはフィルタが、そのようなものとして、通過した粒子の電荷に非常に複雑な方法で影響するという事実によって影響される。
【0008】
解決手段は、単に排気ガスに含まれる粒子の自然帯電に依存するのではなく、測定点の前に粒子を帯電させる別個の帯電器を使用する先行技術からも周知である。
【0009】
特開昭63−255651号公報は、粒子測定センサを開示しており、排気ガスに含まれる粒子は、カソード電極によって帯電され、それらがさらにアノード電極に影響を与えるとき、それらの電荷は高感度電流測定に基づいて検出される。
【0010】
特開昭60−100046号公報は、排気管内に設置され、排気ガスの流れ方向における測定電極の前に設置される帯電電極を含む粒子測定センサを開示している。高電圧帯電電極によって、排気ガスに含まれる粒子は、測定電極によって検出される前に、負に帯電される。
【0011】
しかしながら、別個の帯電器が先行技術に従って粒子の帯電に使用されるとき、以下の問題が実際にはもたらされるであろう。
【0012】
原理上は、粒子の数の正確な測定は、粒子の電荷も正確に知られなければならないということを要求するであろう。先行技術の解決手段において、測定結果は、燃焼と関連して、粒子によって得られる自然電荷によって影響されるであろう。なぜなら前記電荷は、帯電器内の粒子によって得られる電荷に加えられるからである。これは測定結果に大きな誤差をもたらすであろう。粒子の元の自然電荷の影響は、帯電器内の粒子の充分に高い電荷密度に加えて、充分に長い滞留時間を使用することによって減少されるであろう。その際、すべての粒子は実質的に同じ方法で帯電され、平衡電荷に達している。しかしながら、実際には、非実用的に大型かつ強力な帯電器が車両に使用されなければならないということになる。さらに、そのような強力な帯電器は、そのようなものとして、部分的に電気的フィルタのように作用し、測定される粒子のいくつかを帯電器の範囲からを取り除く傾向がある。したがって、帯電器に蓄積される粒子は、測定誤差と帯電器の汚染とをともに生じさせる。
【0013】
すべての場合において、排気管内に設置される微粒子捕集体およびフィルタの後ろの、粒子の電荷に基づく粒子排出の測定のために、相対的に少ない数の粒子によって相対的に小さい、通常ピコアンペア程度の電流を測定しなければならない。これは排気管の厳しい状態下で行うことは、特に以下の理由のために困難である。第一に、排気ガスの温度は高く、測定点で通常摂氏数百度であり、排気管に設置される電極の絶縁体において深刻なリーク電流をもたらし、さらに、電極の近くに設置される測定増幅器での部品の上昇する温度のため、深刻な電流ノイズおよびバイアス電流のドリフトをもたらす。第二に、排気ガスは絶縁体を汚染する不純物を含む。結局は、絶縁体の汚染はリーク電流および測定すべき電流信号中のノイズを増加させ、これによって、測定結果においてさらなる誤差をもたらす。排気管内に設置される測定装置のきわめて深刻な問題は、すす粒子によってもたらされる汚染であり、センサ構造の実際の目詰まりとセンサに接続されるすべての電気絶縁体の絶縁性能の劣化とをともに含むであろう。そのうえ、すすの堆積はイオン化または帯電電極の動作を妨げる。
【0014】
簡潔な説明および発明の最も重要な利点
先行技術の方法および装置に特有である前述の問題を、別個の帯電器の使用に基づく粒子測定を行うことによって、新規的かつ進歩的な方法で解決することが本発明の目的である。
【0015】
本発明において、帯電器は粒子を帯電するために使用される。なぜなら、排気管システム内に設置される微粒子捕集体またはフィルタの、それを通過する粒子の電荷分布への影響は、前記微粒子捕集体またはフィルタの後で、最初に人為的に粒子を帯電させるような周知の方法で取り除かれ得るからである。しかしながら、本発明は先行技術の以下の問題も同時に解決することができる。
【0016】
本発明は、粒子の元の自然電荷が測定結果を歪めないように、強力な、これによって、大型でかなりの電力を消費する帯電器を使用するという必要がなくなる。同時に、絶縁体の汚染、および/またはセンサの実際の目詰まりに加えて、電気フィルタのように粒子を捕集し、その結果汚染される高圧帯電器の傾向を含む、大型かつ強力な帯電器によってもたらされるすべての問題が取り除かれる。汚染の傾向が低減されるにつれて、絶縁体および電極構造からのリーク電流が同様に低減され、微小電流の測定の精度および感度を高める。
【0017】
本発明の結果、前述の問題は、帯電器内の限定された容積の排気ガスに含まれる放出粒子の帯電を行うとともに、周期的にまたはパルス状に時間に関して、帯電器のモード、すなわち帯電電力もしくは帯電方法を変えることによって、同時に解決される。したがって、電荷測定手段を使用することによって、少なくとも2つの異なるモードで帯電器によって粒子に発生する電荷との差分値として、粒子の電荷が測定される。通常は、これらの2つの異なるモード、およびそれらによって得られる粒子の荷電状態は、帯電器の帯電電力のオン/オフ切り替えされ、または帯電方法が負の帯電と正の帯電との間で切り替えられるようなものである。
【0018】
これらの目的を達成するために本発明に従う方法は、主に添付の独立請求項1の特徴部分において示されるもので特徴付けられる。本発明に従うセンサ装置は、同様に、主に添付の独立請求項8の特徴部分において示されるもので特徴付けられる。他の従属請求項は本発明の好適な実施の形態を同様に示している。
【0019】
本発明を用いることによって、たとえば帯電が限定された容積で行われるという事実のため、帯電器に要求される電力は低く保たれ得るが、粒子の可能な元の自然電荷にもかかわらず、測定精度は依然として良好である。測定は2つの異なるモード間での差分値の判断に基づくからである。粒子の元の荷電状態は、帯電器内で粒子の帯電時間が非常に短く、電荷が実質的に平衡電荷以下である場合においてさえも、実質的な影響を与えない。この特徴のために、小型の物理的な大きさで帯電器を実施し、同時に絶縁体の不必要な汚染、およびセンサ構造の目詰まりを避けることが可能である。同時に、帯電器自体の「フィルタ効果」、すなわち、ガス流からの粒子の除去、および測定結果にそれによりもたらされる誤差も取り除かれ得る。
【0020】
さらに、本発明に従う測定方法の使用において、絶縁体からのリーク電流は、最終結果に影響しない。なぜなら、それらの結果は、差分測定において自動的に補償されるからである。同様に、測定電子機器からの低周波ノイズだけでなく、測定される微小電流に影響する測定電子機器のドリフトが自動的に補償される。
【0021】
したがって、本発明は、特にOBDの使用に特に適している排気ガスの粒子含有量を測定するためにセンサの実施を可能にし、センサは微粒子捕集体、またはフィルタの後ろで行われる測定のために充分な感度も有する。
【0022】
この場合、発明的かつ新規な着想は、帯電器、および帯電器によって変化した粒子の検出に使用される電荷測定手段、ならびに2つの異なる荷電状態間で行われる差分測定に特に関連するので、帯電器と電荷測定手段はともにそのようなものとして同様に周知であろう様々な方法で行われてもよい。
【0023】
本発明、およびその効果は、添付のさらに詳細な説明から当業者により明確であろう。本発明は選択される実施例を用いて、および添付の図面を参照して説明される。
【0024】
以下において、本発明は選択される実施例を使用することによって説明されるであろう。しかしながら、本発明がそこで特に示される実施形態のみに限定されるのではなく、特許請求の範囲の実施例で示される原理を組合わせることによって、その他の実施形態の実施も可能にすることが明らかである。
【0025】
排出管内の電荷測定手段の前方に設置される別個の帯電器
本発明の第1の実施形態において、帯電器Cは、図1に原理上示すように、流れの方向において、排気ガス管内で電荷測定手段Dの前に、別個の部品として設置される。図1は、帯電器C、本実施例の場合コロナ帯電器のモードが、高圧電源HVによって発生する電圧Vをパルス状にすることによって、時間に関してどのように変化するかを示している。高圧電源HVに加えて、帯電器Cは、電極HVEとコロナ先端Pとを含み、これらは排気ガス管内に設置され、その間で電界が発生して粒子を帯電させる。排気ガス管Eの壁を通る電極HVEの高圧電路は、絶縁体SCを通って導かれる。粒子が帯電される限定された容積VTは、好適には網目状設計を有する電極Nを用いて、本発明に従って形成される。帯電器Cにおいて、粒子は、それらが帯電器の前方ですでに有している自然電荷に加えて、補助帯電を受ける。
【0026】
網目状電極Nは限定された容積VTを規定し、粒子は、帯電器C内で作られる自由イオンが電極Nが規定する容積から漏れないように、帯電される。電極Nがなければ、排気ガスに含まれる粒子に電荷を移していないこれらのイオンは、排気ガスとともに電荷測定手段Dへ運ばれて、測定結果に加えられるであろう。電極Nが規定する限定された容積VT内で、電界は、自由イオンが網目状電極Nへの経路、および網目状電極Nを通る経路を見つけることを妨げるように配置される。しかしながら、前記電界は荷電粒子の移動に有意な作用を及ぼさず、電極のみが帯電器Cからの自由イオンの排出を制限する。
【0027】
図1において、電荷測定手段Dは環状測定電極内で誘導される電流Iを測定するために配置される。なぜなら、荷電粒子が前記環を通って排気ガスによって運ばれるからである。測定電極DEが検出する電流は、絶縁体SDを通って、増幅器Aに導かれる。類似の電荷測定手段が、たとえば、米国特許第4456883号明細書から周知である。排出管内に設置される測定電極DEは、たとえば米国特許第4939466号明細書から周知であるように、棒状または網目状であってもよい。さらに、そのようなものとして周知であり、当業者にとって自明である、荷電粒子を検出するその他の電極構造が実行可能である。図1は、電荷測定手段Dが検出する電流Iが、帯電器Cのモードの変化の結果として、時間に関してどのように変化するかを示している。
【0028】
本発明における本質的な特徴は、特に粒子を時間に関して変化する方法で帯電させるという事実を利用する、帯電器Cと電荷測定手段Dとの連携である。したがって、帯電器Cと電荷測定手段Dとはともに、そのようなものとして周知であろう様々な方法で行われてもよい。
【0029】
より一般的には、粒子の帯電は、粒子を運ぶガス、この場合は排気ガスのイオン化に基づき、イオンの移動は帯電される粒子の表面上で行われる。この粒子表面上への電荷の移動は、第一に粒子の拡散(いわゆるブラウン拡散)および/または、外部電界によって生じる電気力に基づく。粒子を運ぶガスは、複数の異なる方法、たとえば放射(またはその他の電離)線でガスをイオン化することによって、放電(たとえば、図1において示されるコロナ放電)でガスをイオン化することによって、ガスと相互に作用する表面を電子もしくは荷電粒子を放出する温度まで加熱すること(いわゆる熱放射)によって、ガスと相互に作用する導電面上で発生される強電界(いわゆる電界放出)によって、または、ガスと相互に作用する表面上に焦点を合わせられるエネルギ光(いわゆる光電子放出)によって荷電されてもよい。さらに、そのようなものとして周知である別の方法は、いわゆる直接光イオン化であり、物質における電磁放射線、たとえば光によって引起こされる電子放出に基づく。
【0030】
本発明に関連して、帯電器Cにおいて、前記粒子荷電方法または当業者にとって自明のその他の方法を使用することが可能である。しかしながら、放電に基づき、図1に示されるコロナ帯電器は、その目的のために特に適している。なぜなら、適当な電流および電圧を用いる安定な方法で、排気ガスおよび限定された容積VTにおいて、相対的に高いイオン密度を作るために使用され得るからである。コロナ帯電器の使用の本質的な利点の1つは、電荷を発生する電極点Pにおいて不純物の蓄積を防ぐ特性である。この特徴は、コロナ先端Pの周囲で生じる電気力および保護ガス流(いわゆるコロナ風)の両方に基づく。
【0031】
驚いたことに、本発明者は、コロナ帯電器が前記電極上で不純物の蓄積を鈍化するという事実に加えて、ディーゼルエンジンからの排気ガスの酸化条件下で、コロナ帯電器がコロナ先端Pへ直接のクリーニング効果も有するということを発見した。これは、長期使用においてもコロナ先端Pを清浄に保つことを可能にし、OBD用途を考慮して、本質的に重要である。明らかに、この現象は、酸化性気体雰囲気で蓄積するすすを焼き払う放電によってもたらされる酸化的ラジカルの影響に基づく。
【0032】
本発明に従う構成において、帯電は帯電器Cの帯電電源のオンオフを切り替えることによって周期的に生じ、コロナ先端Pは、放電が不可能である周期の間でも汚染されるであろう。必要ならば、この問題は本発明の好適な実施の形態において、コロナ電流のオンオフを切り替えることによって帯電事象を交互にする代わりに、正および負のコロナ電流の間で切り替えを行うことによって解決される。したがって、コロナ先端Pの汚染を防ぐコロナ電流は常に流され、電流の方向のみが周期的に変化する。
【0033】
本発明の構成において、荷電粒子の検出に使用する電荷測定手段Dもまた、図1および以下の例において示される方法とは異なる、いくつかの方法で行われてもよい。必要ならば、いくつかの電荷測定手段Dがあり、帯電器Cの異なるモード(帯電電力、帯電方法)に対応する測定が、異なる電荷測定手段で行われ、本発明に従う少なくとも2つの異なる荷電状態の間の差分値が、たとえば2つの異なる電荷測定手段によって与えられる信号から決定される。本発明において、2以上の異なる荷電状態を使用することも可能であり、いくつかの差分値を計算することも可能である。この方法において、ある状態では、たとえば線形性のような測定結果の精度を高めることが可能である。
【0034】
帯電器に関して実施される電荷測定手段
本発明の他の実施形態において、帯電器Cおよび電荷測定手段Dは、図2に原理上示すように、1つの小型構造に一体化される。
【0035】
図2の実施形態において、帯電器C内の粒子によって得られる全電荷は、帯電器Cから放電される正味電流を測定することによって測定され得る。この低い(ほぼピコアンペア程度の)放電される正味電流を測定するために、帯電器Cは残余のシステムからガルバニックに分離されて、電流測定は電気的に分離される帯電器Cと、排気ガス管E(同じ壁)にガルバニックに接続される部分との間でなされなければならない。
【0036】
図2において、帯電器Cは、絶縁変圧器Tおよび絶縁体SCを用いて、残余のシステムからガルバニックに分離される。放電される正味電流Inetの測定は、増幅器Aによって帯電器Cの1つの電極(別の極は電極HVEにつながれる)に配置される。増幅器Aは、帯電器Cからの荷電粒子とともに放電される電流を測定する。
【0037】
コロナ帯電器の代わりに、図2の実施形態において、いわゆるスパーク帯電器も使用することが可能であり、網目状電極Nが規定する試料容積VT内に粒子を含むガス試料は、高電圧パルスによって、周期的に、速い放電または電気的破壊で作用することによって帯電される。これらの放電がガス中に正および負イオンをともに発生するとしても、結果はいずれの符号でも、電極配置の形状および大きさに依存するが、以前として正味電荷である。そのようなスパーク源の使用における利点は、効果的な自己浄化性とともに、電極の摩耗が原因の変形、ならびに構造および電極の汚染への放電現象の非感受性である。
【0038】
上述のパルス状イオン生成およびそれに基づく粒子の帯電は、交流(AC)結合測定法を使用することによって、2つの荷電状態を比較するために、当然ながら非常に適しており、直流信号の測定に関わる困難を避けることが可能である。
【0039】
熱放射に基づく帯電器の実施
本発明の第3の実施形態において、帯電器の動作およびガスのイオン化は、熱放射の利用に基づく。図3は、原理的な図でこの目的に適した構成を示しており、帯電器Cと電荷測定手段Dとは、図2の実施形態の方法とわずかに類似する方法で組合わされる。
【0040】
図3の実施形態において、帯電器Cは網目状電極Nに加えて、2つの別の電極、すなわち熱イオン化電極ETおよび遮蔽電極EGを含み、相互の電位差またはその極性は、周期的に変えられてもよい。イオン化電極ETは、たとえば抵抗加熱によって加熱されるように配置され、その熱/白熱表面は、ガス/粒子のイオン化の手段として使用される。
【0041】
イオン化電極ETの電位Vtが周囲の遮蔽電極EGの電位Vgよりも大きいとき、イオン化電極ETによって熱的に生じる負イオンは、電極Nの範囲に移り、その結果、増幅器Aを用いて実施される電流測定が検出する空間に移り得る。他方では、電極EGの電位Vgが電極ETの電位Vtよりも大きいとき、電極Nの範囲への負イオンの移入および測定されることが防がれる。このように、AC測定方法を使用するので、時間での帯電器Cのモードの周期は、センサの内部電界の周期によって、電圧VtおよびVgに依存して実施され得る。
【0042】
熱帯電器Cの機能を周期的にする別の方法は、荷電粒子(電子、イオン)を放出する表面、たとえばイオン化電極ETのパルス加熱である。図4は原理的な図でイオン化電極ETの加熱電流Itが、周期的に粒子を帯電させるために、時間に関して変えられる構成を示している。これによって、帯電に必要なイオンの生成とすすからの前記表面のクリーニングとを組合わせることも可能である。熱は加熱(白熱)イオン化電極から近くの絶縁体表面SC、HCへの放射線によっても伝達されて、それらを清浄に保ちやすくし、測定を妨げるリーク電流を減少することにも注目すべきである。
【0043】
その他の有用なイオン源は、Ni63β放射体またはAm241α放射体などのガスイオン化放射線源を含む。イオン生成のパルス化は、センサの内部電界の結合によって、図3と関連して、熱イオン源の上述に類似の構成によって達成され得る。これらの電界は、たとえばコロナ帯電器の使用のような、その他の帯電方法に関連して使用される。
【0044】
高純度の要求が、特に測定される信号I、Inetを合計するリーク電流を上回るすべてのこれらの電気絶縁体に規定されることは、当業者にとって自明であろう。排気ガス管Eの状態下で、絶縁体の温度の上昇は通常それらの絶縁性能も損なう。測定される低い電流のために、1つの/複数の電荷測定電極のすぐ近くに測定機器を設置する必要があり、車両の排気ガス管内の高温は測定機器の加熱もまたもたらす。これは、たとえば測定機器がもたらすノイズを増加させるであろう。
【0045】
電子機器の高すぎる温度、ならびに絶縁体の汚染、および加熱によってもたらされる低下した絶縁性能の問題は、本発明の一実施形態において、絶縁体の汚染を防ぐために、保護送風だけでなく電気機器および絶縁体の空冷の原理を組合わせることによって解決される。
【0046】
図5は、原理的な図で、絶縁体SCが多孔質のガス透過性材料から成る構成を示している。測定機器を含む増幅器Aおよび高圧電源HVは、測定機器を冷却するガス(通常、空気)がハウジングBに吹き込まれるとき、前記ガスが、排気ガス管Eの中へ、完全に、または部分的に絶縁体SCを通って排出されるように、共通のハウジングB内に設置される。絶縁体SCを通って排出されるガスは、ガスがハウジングB内部で絶縁体SCと部品をともに冷却するとき、同時に絶縁体の表面の汚染を効果的に防ぐ。
【0047】
図5の帯電器は、拡散帯電、すなわちたとえばコロナ帯電器の使用に基づくので、そのようなイオン量および電荷容量の範囲で作動することが可能であり、粒子の帯電は、実質的にイオン密度と帯電時間との積のみに依存する。この状態において、図5に原理上示される構成において、増幅器Aによって検出される放電される電荷(正味電流Inet)は、網目状電極Nによって規定される電荷容量を通るガス流の速度にかかわらず、粒子含有量に比例する。差分測定のために行われる比較測定において、測定結果で粒子の元の電荷の影響を取り除くことが可能である。これは、帯電器のモードの周期的な結合が正電荷粒子と負電荷粒子との間で行われるとき、特に実現される。
【0048】
以下において、本発明に従うセンサ構造の実施で考慮される事実が、さらに詳細に議論される。
【0049】
帯電器Cが発生させる帯電周期(帯電器のオン/オフ周期)の相対的時間長さは、各用途で要求されるように自由に変えられてもよい。前記時間長さは等しくてもよく、その際、帯電器は1:1のパルス比で作動する。前記帯電周期における帯電器の電力も、0または100%以外に選択されてもよい。必要ならば、帯電電力は2以上の異なる電力レベル間で、周期的に変えられてもよい。連続する帯電周期の周波数は、当該用途に従って、たとえば0.1〜10Hzに選択されるであろう。
【0050】
図6および図7は、原理上、試料容積VTからのイオンの漏れをさらに減らすだけでなく、本発明に従うセンサ装置の静電遮蔽をより高める解決手段を示す。
【0051】
網目状電極Nの1つ重要な機能は、電極HVEが発生させる電界と、排気ガス管Eの壁との間で生じる浮遊容量を減少させることである。この浮遊容量は、図6において破線で描かれるコンデンサCAによって示されており、測定される電流Inetに影響を与え、測定誤差をもたらす。網目状電極Nの別の機能は、上述のように試料量VTからの自由電子の漏れを防ぐために、その内部で形成される電界を使用することである。電極Nの電気的機能に関連するこれらの目的を達成するために、電極Nが形成する網目などは、できるだけ緻密にすべきである。その際、排気ガスおよびそれに含まれる粒子が前記電極を流れることはより困難であり、電極の構造は完全に目詰まりする可能性がある。
【0052】
電子工学および流体技術の両方を考慮して、最適動作が図6の構成によって得られ、限定された試料容積VTを規定する網目状電極Nは、さらにもう1つの網目状補助電極NSに包まれる。したがって、電極の網目状またはその他の有孔構造が、その中の孔の数/大きさを増加することによって、隙間が多く/まばらとなるように配置されたとしても、これらの電極N,NSはともに浮遊容量CAを防ぐために効果的な静電遮蔽を構成し、それらは試料量VTからの自由電子の漏れも効果的に防ぎ、それらは目詰まりを起こさず、排気ガスおよび試料量VTを通る粒子の流れを妨げない。電気および流体技術という意味の機能を考慮して、2以上の連続的なまばらの網目状電極N,NSの組合せは、ただ1つの電極より良い妥協案を提供する。
【0053】
図6に示すように、その他の補助電極NSは、電極Nと電気的に接続され得る、または図7に示すように、電極Nとは異なる電位−Vが補助電極と接続され得る。
【0054】
本発明に従うセンサ装置において、排気ガスに含まれるただ1つの粒子によって試料容積VTで得られる電荷は、平衡電荷あるいはそれに満たないものであろうということが、当業者にとって自明であろう。粒子の充分な滞留時間をもって、粒子は試料を通過するときに平衡電荷を得て、測定結果は主に排気ガスの流量と粒子密度との積に依存する。試料容積VTでの粒子の滞留時間が、平衡電荷を生成するために必要とされるものよりも短いという状況では、測定結果は試料容積VTの電荷密度と滞留時間との積に依存している。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】別個の帯電器および電荷測定手段の使用に基づく、本発明の第1の実施形態を、原理的な図で示す。
【図2】電荷測定手段が帯電器に接続して行われる本発明の他の実施形態を、原理的な図で示す。
【図3】熱帯電器および静電遮蔽の使用に基づく、本発明の第3の実施形態を、原理的なブロック図で示す。
【図4】周期的に動作する熱帯電器の使用に基づく、本発明の第4の実施形態を、原理的なブロック図で示す。
【図5】冷却および汚染防止のガス流の使用に基づく、本発明の第5の実施形態を、原理的なブロック図で示す。
【図6】静電遮蔽を実施する方法を、原理的なブロック図で示す。
【図7】静電遮蔽を実施する他の方法を、原理的なブロック図で示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
実質的に使用中に排気管システムまたは相当する排気ガス管内で、燃焼機関の排気ガスからの粒子放出を規定する方法であって、排気ガスに含まれる放出粒子が帯電され、粒子放出が前記排気ガス管(E)内で放出粒子によって運ばれる電荷を測定することによって決定される方法において、帯電の結果として、少なくとも2つの異なる荷電状態にされた放出粒子が存在するように、時間に関して帯電方法および帯電電力を変えて放出粒子を帯電させ、放出粒子の電荷が、前記少なくとも2つの異なる荷電状態にされた放出粒子から測定された差分値としてさらに規定されることを特徴とする方法。
【請求項2】
放出粒子の帯電が、排気ガスが供給される限定された試料容積において行われ、イオンおよび/または電子が、周期的またはパルス状に、時間に関して含有量または極性を変えることによって該排気ガスに導入されることを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項3】
帯電電力が、実質的にオンモードとオフモードとの間で、前記試料容積(VT)において変えられることを特徴とする、請求項2記載の方法。
【請求項4】
帯電方法が、前記試料容積(VT)において実質的に負の帯電と正の帯電との間で変えられることを特徴とする、請求項2記載の方法。
【請求項5】
放出粒子が、コロナ放電に基づいて帯電されることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
放出粒子によって得られる電荷が、帯電の間に放出粒子によって得られる正味電荷(Inet)として決定されることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
放出粒子が、帯電器(C)であって、残余のシステムから分離した帯電器(C)を用いてガルバニックに帯電され、放出粒子によって得られる正味電荷(Inet)が前記帯電器(C)からの放出粒子によって運ばれる放電電流を測定することによって決定され、該放電電流が前記帯電器(C)と、排気ガス管(E)の壁にガルバニックに接触する点との間で測定されることを特徴とする、請求項6記載の方法。
【請求項8】
実質的に使用中の排気管システムまたは相当する排気ガス管内で、燃焼機関の排気ガスからの粒子放出を決定するセンサ装置であって、前記排気ガス管(E)内に配置され、排気ガスに含まれる放出粒子を帯電させる少なくとも1つの帯電器(C)と、前記排気ガス管(E)内に配置され、放出粒子によって運ばれる電荷を測定する少なくとも1つの電荷測定手段(D)とを含むセンサ装置において、前記少なくとも1つの帯電器(C)が、時間に関して帯電方法もしくは帯電電力を変えることによって、少なくとも2つの異なる荷電状態にされた放出粒子が存在するように配置され、前記少なくとも1つの電荷測定手段(D)が、前記少なくとも2つの異なる荷電状態にされた放出粒子から測定された差分値として、放出粒子の電荷を決定するように配置されることを特徴とするセンサ装置。
【請求項9】
前記センサ装置が限定された試料容積を形成するための手段(N,NS)を含み、試料容積に対して、およびそれに導入される排気ガスに対して、前記少なくとも1つの帯電器(C)が、帯電器(C)の帯電電力または帯電方法を変えることによって周期的にまたはパルス状に含有量または極性を変えることによって、イオン、および/または電子を生成させるように配置されることを特徴とする、請求項8記載のセンサ装置。
【請求項10】
限定された試料容積を形成する前記手段が、排気ガスの流れ、および排気ガスに含まれる放出粒子に対して透過性である網目状またはその他の構造を有する、単一の電極または互いに上述の種類の複数の電極(NS)から成ることを特徴とする、請求項9記載のセンサ装置。
【請求項11】
前記少なくとも1つの帯電器(C)の帯電電力が、実質的にオン状態とオフ状態との間で変えられることを特徴とする、請求項8〜10のいずれか1項に記載のセンサ装置。
【請求項12】
前記少なくとも1つの帯電器(C)の帯電方法が、実質的に負の帯電と正の帯電との間で変えられることを特徴とする、請求項8〜11のいずれか1項に記載のセンサ装置。
【請求項13】
前記少なくとも1つの帯電器(C)が熱放射に基づく帯電器であることを特徴とする、請求項8〜12のいずれか1項に記載のセンサ装置。
【請求項14】
前記少なくとも1つの帯電器(C)、が電磁放射の使用に基づく帯電器であることを特徴とする、請求項8〜12のいずれか1項に記載のセンサ装置。
【請求項15】
前記少なくとも1つの帯電器(C)、および前記少なくとも1つの電荷測定手段(D)が、実質的に1つのセンサ構造(C,D)を形成するために、構造的に一体化されることを特徴とする、請求項8〜14のいずれか1項に記載のセンサ装置。
【請求項16】
前記少なくとも1つの帯電器(C)が、排気ガス管(E)内の排気ガスの流れ方向において、前記少なくとも1つの電荷測定手段(D)の前に、分離して配置されることを特徴とする、請求項8〜14のいずれか1項に記載のセンサ装置。
【請求項17】
前記少なくとも1つの電荷測定手段(D)が、放出粒子によって得られる電荷を、前記少なくとも1つの帯電器(C)からの放出粒子によって得られる正味電荷(Inet)として決定するために配置されることを特徴とする、請求項8〜16のいずれか1項に記載のセンサ装置。
【請求項18】
前記少なくとも1つの帯電器(C)が残余のシステムからガルバニックに分離され、前記少なくとも1つの電荷測定手段(D)が、放出粒子によって得られる正味電荷(Inet)を、前記帯電器(C)からの放出粒子によって運ばれる放電電流を測定することによって決定するために配置され、該放電電流が前記帯電器(C)と、排気ガス管(E)の壁とガルバニックに接する点との間で測定されることとを特徴とする、請求項17記載のセンサ装置。
【請求項19】
センサ装置が、ガス流を用いて、前記少なくとも1つの帯電器(C)および/または前記少なくとも1つの電荷測定手段(D)、ならびにそれに関連する部品を冷却する手段をさらに含むことを特徴とする、請求項8〜18のいずれか1項に記載のセンサ装置。
【請求項20】
前記ガス流が、前記部品を冷却し、その汚染を防ぐために、センサ装置の構造を通って、電気絶縁体として使用される、1以上の多孔質および/または有孔の部品(SC)を通って、排気ガス管(D)へさらに導かれることを特徴とする、請求項19記載のセンサ装置。
【請求項21】
センサ装置が、静電遮蔽に基づき、センサ装置内の電界の内部変化によってもたらされるノイズ電流を取り除く手段(N,NS,EG)を含むことを特徴とする、請求項8〜20のいずれか1項に記載のセンサ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2007−514923(P2007−514923A)
【公表日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−516251(P2006−516251)
【出願日】平成16年6月22日(2004.6.22)
【国際出願番号】PCT/FI2004/050099
【国際公開番号】WO2004/113904
【国際公開日】平成16年12月29日(2004.12.29)
【出願人】(504061008)
【氏名又は名称原語表記】Dekati Oy
【住所又は居所原語表記】Osuusmyllynkatu 13,Tampere,Finland
【Fターム(参考)】