説明

燃焼装置

【課題】異常燃焼を防止できるとともに、着火不良などの故障原因の特定の迅速化および容易化を図ることにある。
【解決手段】燃料を燃焼する燃焼部(追焚きバーナ80)の着火部(166)の高さを基準に検知レベル(Lf)を設定し、該検知レベル以上に到達した水(63)を取り込んで貯留し、貯留水を媒介として導通する電極(電極部60、62)を備える検知ボックス(冠水検知ボックス58)、前記燃焼部には、供給される前記燃料に点火する点火回路(65)、前記燃焼部に前記燃料を供給する燃料供給路には、該燃料供給路を開閉する開閉弁(追焚き電磁弁50)が備えられる。そして、制御手段(制御部56、マイコン168)は、前記検知ボックスの前記電極が導通した場合、前記点火回路の機能を停止させるとともに、前記開閉弁を閉弁させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスなどの燃料を燃焼させる風呂釜などの燃焼装置の異常着火防止の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ガスなどの燃料を燃焼させる燃焼装置にはたとえば、バランス式風呂釜及びCF式風呂釜等の風呂釜が知られている。この種の風呂釜は浴室内に設置され、浴槽に隣接して配置される。この風呂釜は、加熱した上水を上がり湯パイプやシャワーヘッドから給湯する給湯機能、浴水を加熱する追焚機能を有する。
【0003】
浴槽に隣接する風呂釜は浴室内で湯水に晒されるが、燃料を燃焼させる燃焼室は筐体の底部側に設置されるのが一般的であり、燃焼室にあるバーナやノズルも浴槽排水や外部からの浸水に晒されるおそれがある。浴室排水にはセッケンやシャンプー等の洗剤、毛髪、湯垢などの夾雑物が含まれるため、浴室内の排水口を詰まらせ、排水能力を低下させる原因になる。排水口が詰まり、浴室内の浴槽排水の水位が上昇しまたは外部からの浸水により、風呂釜が水没すると、風呂釜の燃焼室が冠水(浸水)するおそれがある。
【0004】
冠水を生じた場合、それが解消した後、パイロットバーナや給湯(ふろ)バーナの炎口には冠水による水膜が形成され、バーナ炎口に残留した水膜は、乾燥するまでガス噴出を阻害する原因になる。
【0005】
この冠水対策として、風呂釜に設置されているガスの燃焼監視センサとガス弁制御回路との間の信号線に設定された非防水域をガスノズルより低い位置に配置し、この非防水域が水没した際、つまり冠水時には燃焼監視センサの電気信号を阻止し、ガス弁を閉弁状態にするものが知られている(たとえば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平7−324742公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、燃焼装置の故障や燃焼異常が生じた場合、故障診断では、冠水があったか否かを知ることが必要である。既存の技術(たとえば、特許文献1)では、冠水時のガス燃焼を防止できるが、冠水が解消すれば、ガス弁を開弁できるし、信号線の非防水域が乾燥すれば、冠水の痕跡も消失してしまう。
【0008】
冠水の痕跡が消失していれば、故障診断において、着火不良の原因が冠水にあるのか、冠水以外に原因があるのかの特定に手間取るという不都合がある。
【0009】
斯かる課題について、特許文献1にはその開示や示唆はなく、それを解決する構成等についての開示や示唆はない。
【0010】
そこで、本発明の目的は、上記課題に鑑み、異常燃焼を防止できるとともに、着火不良などの故障原因の特定の迅速化および容易化を図ることにある。
【0011】
また、本発明の目的は、冠水検知の誤検知を防止し、冠水検知の信頼性を高めることにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するため、本発明の燃焼装置は、 燃料を燃焼する燃焼部と、前記燃焼部の着火部の高さを基準に検知レベルを設定し、該検知レベル以上に到達した水を取り込んで貯留し、貯留水を媒介として導通する電極を備える検知ボックスと、前記燃焼部に供給される前記燃料に点火する点火回路と、前記燃焼部に前記燃料を供給する燃料供給路に設置され、該燃料供給路を開閉する開閉弁と、前記検知ボックスの前記電極が導通した場合、前記点火回路の機能を停止させるとともに、前記開閉弁の保持電流を解除する制御手段とを備える。
【0013】
上記課題を解決するためには、上記燃焼装置において、さらに、前記電極に接続されている導線の断線を検知する断線検出回路と、
を備え、前記制御手段は、前記断線検知回路の出力により、前記導線の状態情報を出力してもよい。
【0014】
上記課題を解決するためには、上記燃焼装置において、さらに、前記電極の前記導通により冠水を検出する冠水検出回路と、
を備えてもよい。
【0015】
上記課題を解決するためには、上記燃焼装置において、さらに、前記点火回路の機能停止または前記開閉弁の閉弁または断線検知を表示する表示手段と、を備えてもよい。
【0016】
上記課題を解決するためには、上記燃焼装置において、さらに、冠水または断線の検出情報を記録する記録手段と、を備えてもよい。
【発明の効果】
【0017】
以上説明した本発明によれば、次の何れかの効果が得られる。
【0018】
(1) 冠水を生じた際に点火回路の機能を停止し、開閉弁を閉弁するので、ユーザが着火動作を行っても、燃料に着火しないので、異常燃焼を防止でき、安全性を高めることができる。
【0019】
(2) 冠水が解消しても、冠水があったか否かを冠水検知ボックスの貯留水の有無から容易かつ迅速に知ることができる。これにより保守や修理の迅速化を図ることができる。
【0020】
(3) 冠水が解消しても、記録手段の記録により、冠水があったか否かを容易に確認できる。
【0021】
(4) 検知ボックスの電極に接続されている導線の断線を検知するので、冠水検知の信頼性を高め、安全性を向上させることができる。
【0022】
そして、本発明の他の目的、特徴および利点は、添付図面および各実施の形態を参照することにより、一層明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】燃焼処置の一例である風呂釜を示す斜視図である。
【図2】操作パネルの一例を示す図である。
【図3】追焚き系統および給湯系統の一例を示す図である。
【図4】制御系統の一例を示す図である。
【図5】冠水検知ボックスの一例を示す斜視図である。
【図6】冠水検知ボックスを分解して示す斜視図である。
【図7】図5のVII −VII 線断面を示す断面図である。
【図8】冠水検知ボックスの設置例を示す図である。
【図9】制御系統の冠水検出および断線検出の構成例を示す図である。
【図10】冠水検出動作を示す図である。
【図11】断線検出動作を示す図である。
【図12】冠水検出の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図13】断線検出の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図14】風呂釜の操作および動作を示すフローチャートである。
【図15】風呂釜の操作および動作を示すフローチャートである。
【図16】風呂釜の操作および動作を示すフローチャートである。
【図17】風呂釜の操作および動作を示すフローチャートである。
【図18】風呂釜の操作および動作を示すフローチャートである。
【図19】風呂釜の操作および動作を示すフローチャートである。
【図20】アラーム表示の処理手順を示すフローチャートである。
【図21】冠水・断線検出回路の実施例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の実施の形態について、図1を参照する。図1は風呂釜の一例を示している。図1に示す構成は一例であって、この構成に本発明が限定されるものではない。
【0025】
〔風呂釜〕
【0026】
図1に示す風呂釜2は、本発明の燃焼装置の一例であって、BF式ガス風呂釜と称されるものである。この風呂釜2は浴室内に設置され、筐体4の側面にある下部循環パイプ6Aおよび上部循環パイプ6Bが浴槽8(図3)に接続される。この風呂釜2を燃焼させると、浴槽8に通じた風呂釜2内の浴水BWに上昇流を生じ、これにより、浴槽の下層側から浴水BWが下部循環パイプ6Aに流入し、風呂釜2内で加熱された浴水BWが上部循環パイプ6Bから浴槽8に流れる。このサイクルにより、浴水BWが加熱される。
【0027】
筐体4の上面部には、取水部12、上がり湯パイプ14、操作パネル16などが配置されている。取水部12には上水管が接続され、上水が筐体4の内部に取り込まれる。取水部12から取り込まれた上水は筐体4内の給湯熱交換器108(図3)で加熱され、上がり湯パイプ14や、操作パネル16の下面側に接続されているシャワーホース18から給湯〔出湯=HW(図3)〕させることができる。シャワーホース18の先端にはシャワーヘッド20が取り付けられ、このシャワーヘッド20は、操作パネル16の前面部にあるシャワーヘッドホルダー22に保持することができる。
【0028】
操作パネル16の前面部には、シャワーヘッドホルダー22に隣接して出湯切替つまみ24、温度調節つまみ26が設置されている。出湯切替つまみ24の操作により、上がり湯パイプ14か、シャワーヘッド20かを選択し、出湯先を切り替えることができる。温度調節つまみ26の操作により、上がり湯パイプ14またはシャワーヘッド20の給湯温度を調節できる。
【0029】
筐体4の前面部にはフロントカバー28が設けられ、このフロントカバー28にはガス入口30、水抜き栓32、能力切替つまみ34が設けられている。ガス入口30にはガス管が接続され、燃料であるガスが供給される。水抜き栓32により筐体4内の給水回路の水を排水することができる。能力切替つまみ34は給湯能力の切替えに用いられ、季節などで変化する入水温度に応じて給湯温度を変更することができる。
【0030】
〔操作パネル〕
【0031】
次に、操作パネル16について、図2を参照する。図2は操作パネルの一例を示している。
【0032】
図2に示す操作パネル16には、給湯シャワー点火つまみ36、追焚き点火つまみ38、点火確認ランプ40、電池交換ランプ42、お知らせランプ44、リセットスイッチ46が設置されている。
【0033】
給湯シャワー点火つまみ36または追焚き点火つまみ38のいずれか一方を選択し、回しまたは押回し(操作)により、所望の動作が設定される。給湯シャワー点火つまみ36または追焚き点火つまみ38には、動作切替として消火位置、口火位置、給湯・シャワー位置および追いだき位置が設定され、その操作によって設定位置に切り替えることができる。消火位置は、風呂釜2の燃焼が停止している状態である。たとえば、追焚きを行う場合、追焚き点火つまみ38を押し回し、消火位置から口火位置に操作すればよい。
【0034】
点火確認ランプ40は口火の点火を表示し、これにより口火の点火が確認できる。電池交換ランプ42は、点灯により電池交換時期を知らせる。お知らせランプ44は、点検時期やアラームを報知する。リセットスイッチ46はシステムリセットに用いられる。
【0035】
〔追焚き系統、給湯系統および制御系統〕
【0036】
この風呂釜2の追焚き系統および給湯系統について、図3および図4を参照する。図3は追焚き系統および給湯系統の構成例を示し、図4は給電系統の一例を示している。図3および図4において、図1と同一部分には同一符号を付してある。
【0037】
追焚き系統では、図3に示すように、ガス入口30に接続されたガス管から燃料ガスGが燃料供給路の一例である管路48に供給され、追焚き電磁弁50に至る。この追焚き電磁弁50は管路48を開閉する開閉弁の一例である。追焚き点火つまみ38を押し回し、追焚き電磁弁50を押して吸着させる。これによりパイロット通路を開くと、追焚きマイクロスイッチ52がONし、電池54から制御部56に給電される。この制御部56には冠水を検知する手段の一例として冠水検知ボックス58が接続されている。この冠水検知ボックス58は、冠水時、水取入口59から水63を取り入れ、電極部60と電極部62との間の不導通、水63による導通により冠水(浸水)の有無を検知し、電極部60と電極部62とで検知回路64を構成している。電極部60と電極部62の間には、電池54から制御部56を通して電圧が印加される。正常状態では、電極部60と電極部62との間は空気絶縁の状態であり、電極部60と電極部62との間が通電しなければ、冠水していないことが分かる。
【0038】
冠水があれば、冠水検知ボックス58に取り込まれた水63を媒介として電極部60と電極部62との間が導通し、水63がなければ検知回路64は遮断状態となる。このとき、点火回路65に流れる点火電流が遮断され、その点火機能を停止する。つまり、イグナイタ66の通電が遮断され、この結果、点火を防止できる。
【0039】
冠水検知ボックス58に浸水がなければ、つまり正常状態では、電極部60と電極部62との間が空気絶縁の状態に維持され、電池54から制御部56を通して点火回路65に接続されたイグナイタ66に点火電流が流れ、追焚き点火プラグ68に放電を生じる。追焚き電磁弁50が開き、追焚きパイロットバーナ70が点火すれば、追焚きフレームロッド72に炎電流が検出され、点火確認ランプ40が点灯する。これにより、追焚き準備が完了する。なお、追焚きパイロットバーナ70は燃焼部の一例である。
【0040】
追焚きをする場合に、追焚き点火つまみ38を追焚き位置に操作すれば、追いだきマイクロスイッチ74をONする。このとき、追焚きメイン弁76が開になり、メインノズル78を介して追焚きバーナ80から噴出するガスは、追焚きパイロットバーナ70の炎が火移りして着火し、燃焼する。追焚きバーナ80は燃焼部の一例である。これにより、浴水BWがふろ熱交換器82で追焚きされる。燃焼回数は追焚きマイクロスイッチ74でON、OFFによりカウントする。
【0041】
また、給湯系統では、ガス入口30に供給された燃料ガスGは燃料供給路の一例である管路84を通じて給湯電磁弁86に至る。この給湯電磁弁86は管路84を開閉する開閉弁の一例である。給湯シャワー点火つまみ36を押し回し、給湯電磁弁86が押されて開となり、閉止弁がパイロット通路を開にする。これにより、給湯マイクロスイッチ88がONし、電池54から制御部56に給電される。この場合、冠水検知ボックス58の電極部60と、電極部62との間に電圧が印加され、正常状態では、電極部60と電極部62との間は空気絶縁の状態である。つまり、電極部60と電極部62との間は遮断状態であり、通電しないので浸水がないことが分かる。浸水があれば、既述のとおりである。
【0042】
冠水検知ボックス58に浸水がなければ、つまり正常状態では、電極部60と電極部62との間が空気絶縁の状態にあるから、電池54から制御部56を通して点火回路65のイグナイター66に点火電流が流れ、給湯点火プラグ90に放電を生じる。給湯電磁弁86が開き、給湯パイロットバーナ92が点火すれば、給湯フレームロッド94に炎電流が検出され、点火確認ランプ40が点灯する。これにより、給湯の準備が完了する。給湯パイロットバーナ92は燃焼部の一例である。
【0043】
給湯する場合、給湯シャワー点火つまみ36を給湯・シャワー位置に操作する。給湯シャワー切替つまみ36を給湯・シャワー位置に操作すれば、給湯マイクロスイッチ96がONする。このとき、水入口98から上水が流入し、ダイヤフラム弁100が動作してガス弁102を開く。メインノズル104を介して給湯バーナ106から噴出するガスGは、給湯パイロットバーナ92の炎から火移りして燃焼する。この燃焼熱は、給湯熱交換器108で上水に熱交換される。これにより、シャワーヘッド20または上がり湯パイプ14から出湯する。出湯の温度調節は、温度調節つまみ26で水量により調節するか、能力切替つまみ34で燃焼能力切り替えで行なう。この場合も、燃焼回数は給湯マイクロスイッチ96のON、OFFによりカウントする。
【0044】
〔燃焼中の冠水〕
【0045】
燃焼中であっても、冠水検知ボックス58に侵入した水63で、電極部60と電極部62とが導通すれば、検知回路64が導通状態となり、制御部56が冠水状態を検知する。このとき、弁を吸着状態に保持する保持電流が解除されるので、追焚き電磁弁50又は給湯電磁弁86は閉状態となり、管路48、84が閉じられる。この結果、燃焼が停止されるが、ユーザが再度着火動作を行っても着火することはなく、爆発着火を防止することができる。
【0046】
〔冠水検知ボックスの構成〕
【0047】
次に、冠水検知ボックス58について、図5、図6および図7を参照する。図5は冠水検知ボックス58の外観、図6は分解した冠水検知ボックス、図7は冠水検知ボックスの一部を切り欠いて示している。
【0048】
この冠水検知ボックス58には、図5に示すように、冠水した水63を貯留する容器部110が備えられている。この容器部110は絶縁材料で形成され、たとえば、絶縁性合成樹脂で成形されている。この容器部110は直方体の容器であり、幅広の側面には水取入口59が形成されている。この容器部110は蓋部112で閉じられ、水取入口59以外から容器部110に水63が侵入しないように構成されている。蓋部112と容器部110との長手方向の接合部には導線引出口114が形成され、各導線引出口114にはU字形の導線支持部116が設けられている。この導線引出口114から電極部60側の導線118、120が引き出されている。
【0049】
容器部110には取付金具122が設置され、この取付金具122は容器部110の底面部に沿って設置され、容器部110の底面部および側面部は、取付金具122の一端部に形成された立壁部123で設置されている。取付金具122の他端部には固定部124(図6)が形成され、この固定部124には固定ビス126が取り付けられている。取付金具122は、冠水検知ボックス58のアース電極を構成するため、導電性が良く、耐蝕性の高い金属板たとえば、ステンレス板で形成されている。
【0050】
この取付金具122の側面部には端子部128が形成され、固定ビス130によってアース線132が接続されるとともに、容器部110の内部に設置された電極部62と接続される。つまり、電極部62は水取入口59から取入られて貯留された水63と接触するとともに接地電極を構成している。
【0051】
この冠水検知ボックス58の容器部110には、図6に示すように、島状に柱状の立上り部134が立設され、この立上り部134は容器部110と一体に形成された絶縁部である。この立上り部134には、電極部60が固定ビス136によって固定されるとともに、既述の導線118、120を共通に接続したラグ端子部138が固定される。すなわち、導線118、120はラグ端子部138で共通に接続されて短絡されているとともに、電極部60に電気的に接続されている。電極部60は導電性が良く、耐蝕性の高い金属板たとえば、ステンレス板で形成されている。この電極部60には、立上り部134の壁面に沿って容器部110の底面側に垂下される検知部142を備えている。
【0052】
また、容器部110には、電極部60と離間してつまり空気絶縁を介在させて電極部62が配置され、この電極部62はコ字形の電極体であって、導電性が良く耐蝕性の高い金属板たとえば、ステンレス板で形成されている。容器部110の内壁面に配置された電極部62は、端子部128に位置決めされたアース線132のラグ端子部133から端子部128の固定孔129および容器110の固定孔135に挿通した固定ビス130にナット131を取り付けて固定されるとともに、アース線132と電気的に接続されている。
【0053】
電極部62は図7に示すように、容器部110の底面部146に配置されている。電極部62と電極部60の間には間隔148が設定されている。この間隔148で水63の最低検知レベルLが構成されている。つまり、間隔148は、水63がなければ空気絶縁間隔を構成している。図7に示す状態は、水63を介して電極部60、62が導通し、検知回路64が冠水を検知している状態である。
【0054】
そして、検知回路64には、冠水を検出する冠水検出回路140(図9)が接続されているとともに、断線検出回路150(図9)が接続されている。断線検出回路150では、電極部60に接続されている導線118、120およびその接続の状態を検出する。断線検出には、電極部60に共通に接続された一対の導線118、120で構成される閉回路を利用する。すなわち、正常時には、共通のラグ端子部138で導線118、120が短絡されているので、正常時には導通状態、断線時には遮断状態となることを利用し、導線118、120間が断線状態にあるか正常であるかを検出する。具体的には、導線118、120間にチェック電圧を印加しまたはチェック電流を流すことにより、電流の有無で正常か断線かを判断すればよい。また、導線118、120間の抵抗値を監視し、その値から判断してもよい。
【0055】
斯かる構成によれば、水位が冠水検知ボックス58の水取入口59よりも高いレベルになると、水63は水取入口59から容器部110に流入する。容器部110内の水位が最低検知レベルL(図7)以上になると、電極部60、62が水63を媒介として導通し、冠水が検知される。
【0056】
冠水検知ボックス58は、蓋部112で閉塞されているので、埃や水の侵入を防止でき、冠水の検知精度を維持することができる。
【0057】
冠水検知ボックス58では、水取入口59を備えているが、この水取入口59に代え、水取入口59と同等の機能として容器部110内に水がしみ込むなどにより水63を取り入れる構成であってもよいし、水取入口59の位置は蓋部112であってもよい。
【0058】
冠水時、冠水検知ボックス58の容器部110に水63が入ると、該水63が残留している場合にはその水63により、蒸発などで消失した場合には、水63の痕跡が容器部110の内壁に生じるので、容器部110から冠水の有無を目視で確認できる。
【0059】
また、検知回路64の導線118、120の状態を検出できるので、断線による誤検知を防止することができ、冠水検知の信頼性が高められる。
【0060】
〔冠水検知ボックスの配置〕
【0061】
次に、冠水検知ボックス58の配置および冠水検知について、図8を参照する。図8は風呂釜の冠水検知ボックスの設置部分を示している。図8において、図3と同一部分には同一符号を付してある。
【0062】
風呂釜2の筐体4は一定の高さを持った複数の脚部152を備え、各脚部152により浴室の床面156に設置される。浴室の底面156の水位が排水不良などにより上昇し、筺体4が長時間に亘って水没すると、パッキンなどを用いて水の侵入を阻止する構造を備えている筺体4であっても、水が侵入する冠水状態に晒される場合がある。
【0063】
この筐体4の内部には追焚きバーナ80が設置され、この追焚きバーナ80の燃料導入口158にはメインノズル78が設置されている。追焚きバーナ80の燃焼口側には追焚き点火プラグ68、追焚きパイロットバーナ70が設置されている。追焚き点火プラグ68にはイグナイタ66が接続され、イグナイタ66には制御部56が接続されている。追焚きバーナ80や追焚きパイロットバーナ70は燃料を燃焼する燃焼部の一例である。
【0064】
冠水検知ボックス58は燃焼部としてたとえば、追焚きバーナ80、メインノズル78の着火部166を基準とした高さに位置決めされて固定されている。この実施の形態では、筐体4の底板160に固定ビス162で固定されている断面V字形の固定金具164に冠水検知ボックス58の取付金具122が固定ビス126で固定されている。つまり、冠水検知ボックス58は、燃料ガスGの着火部166より低い位置に設置され、冠水検知ボックス58の冠水の検知レベルLfが設定されている。すなわち、検知レベルLfは、冠水検知ボックス58の水取入口59の下限縁レベルであり、このレベルが追いだき点火プラグ68、メインノズル78、追焚きバーナ80の高さより低い位置に設定されている。つまり、検知レベルLfを超える冠水を冠水検知ボックス58に取り込み、冠水を検知することにより、追いだき点火プラグ68、メインノズル78、追焚きバーナ80が水没する前に冠水を検知し、点火や燃料噴射を防止する。
【0065】
このような構成では、床面156の水位が検知レベルLfに達すると、水取入口59から冠水検知ボックス58に水63が流れ込む。つまり、追いだき点火プラグ68、メインノズル78、追いだきバーナ80が冠水する前の段階で冠水検知ボックス58に水63が流れ込み、冠水を検知することができる。従って、冠水による点火動作異常を未然に防止するための冠水検知を行う。
【0066】
この冠水検知について、検知レベルLfを低く設定すれば、点火動作に異常が生じない水位であっても、冠水として検知することになり、実用性が問題となる。そこで、検知レベルLfは、異常発生直前の水位レベルに設定すればよい。
【0067】
また、冠水が消失しても、冠水検知ボックス58の容器部110は水63を貯留するので、水63が残存する限り、電極部60、62が水63を媒介として導通する。このため、検知回路64は水63が残存する限り、導通状態を維持し、点火回路65の点火機能を停止状態、燃料噴射を遮断状態に制御する。このため、着火部166に対する着火が継続的に防止され、燃料ガスGの点火が防止される。
【0068】
そして、冠水が解消しても、容器部110内に水63が残存し、またはその痕跡を容器部110の内部状況から把握することができる。このため、故障診断などのメンテナンスにおいて、冠水の有無を容易に確認でき、冠水による故障の特定のほか、補修作業の容易化、迅速化を図ることができる。
【0069】
〔冠水検出および制御系統〕
【0070】
次に、制御系統について、図9を参照する。図9は風呂釜の制御系統の一例を示している。図9において、図1ないし8と同一部分には同一符号を付してある。
【0071】
図9に示す制御部56には制御主体としてマイクロコンピュータ(マイコン)168が備えられ、このマイコン168には既述の冠水検出回路140および断線検出回路150を備える冠水・断線検出部170が接続されている。マイコン168は内部に書き込まれたプログラムを実行し、給湯制御、追焚き制御、冠水検出制御、断線検出制御、アラームなどの表示制御などを実行する。
【0072】
マイコン168には記憶部172、口火タイマー174、風呂タイマー176、ランプ駆動回路178、スイッチ入力検出回路180が接続され、図示しない各種の検出回路や入力回路が接続されている。記憶部172は、冠水があったことを表す冠水情報や、断線のあったことを表す断線情報、これらのアラーム履歴を記録する記録手段の一例であり、それぞれを表す記号や、日時を記録する。この記憶部172にはたとえば、EPROMなどの記録媒体を用いればよい。口火タイマー174は口火の燃焼時間をカウントする。風呂タイマー176は追焚きバーナ80や給湯バーナ106の燃焼時間をカウントする。
【0073】
ランプ駆動回路178は、マイコン168から出力される異常などのアラーム情報に基づく、ランプ点灯出力により、点火確認ランプ40、電池交換ランプ42、お知らせランプ44を点灯させる。
【0074】
スイッチ入力検出回路180は、リセットスイッチ46の入力を監視し、リセットスイッチ入力をマイコン168に入力する。
【0075】
〔冠水検出回路〕
【0076】
次に、冠水検出回路140の冠水検出について、図10を参照する。図10は冠水検出回路の冠水検出を示している。図10において、図9と同一部分には同一符号を付してある。
【0077】
冠水検出回路140には、電極部60が導線118、120によって接続されているとともに、電極部62がアース線132によって接続されているとともに、マイコン168が接続されている。
【0078】
冠水検出回路140による冠水検出は、マイコン168による冠水監視制御によって実行され、継続的または断続的に検知回路64を通電状態に制御する。図10のAに示すように、電極部60、62に水63が介在しなければ、検知回路64は遮断状態、つまり、オープン状態となる。この時、電極部60、62は空気絶縁の状態であるから、電極部60、62間は絶縁状態、つまり抵抗R=∞ないし高抵抗を呈する。これにより、冠水検出回路140では冠水状態にないことが検出され、この検出出力(OFF出力)がマイコン168に取り込まれる。
【0079】
これに対し、冠水時には、検出レベルLfを超える水63が冠水検知ボックス58に取り込まれ、電極部60、62が水63を媒介として導通する。すなわち、電流iが流れる状態である。これにより、冠水検出回路140では冠水状態であることが検出され、この検出出力(ON出力)がマイコン168に取り込まれる。
【0080】
次に、断線検出回路150の断線検出について、図11を参照する。図11は断線検出回路の断線検出を示している。図11において、図10と同一部分には同一符号を付してある。
【0081】
断線検出回路150には、電極部60に接続された導線118、120が接続されているとともに、マイコン168が接続されている。
【0082】
断線検出回路150による断線検出は、マイコン168による断線監視制御によって実行され、継続的または断続的に導線118、120間を通電状態に制御する。図11のAに示すように、電極部60に導線118、120が接続されていれば、つまり、導線118、120間は導通状態、つまり抵抗R=0ないし低抵抗を呈する。すなわち、電流iが流れる状態である。これにより、断線検出回路150では導線118、120に断線や接続不良が無いことが検出され、正常状態を表す検出出力(ON出力)がマイコン168に取り込まれる。
【0083】
これに対し、図11のBに示すように、断線時には、導線118、120間は非導通状態、すなわち、抵抗R=∞ないし高抵抗状態となる。すなわち、電流iが流れない状態である。これにより、断線検出回路150では導線118、120に断線や接続不良であることが検出され、異常状態を表す検出出力(OFF出力)がマイコン168に取り込まれる。
【0084】
また、図11のCに示すように、他の断線時として、導線118、120の何れか一方たとえば、導線120に断線を生じている場合がある。この場合も導線118、120間は非導通状態、すなわち、抵抗R=∞ないし高抵抗状態となる。すなわち、電流iが流れない状態である。同様に、断線検出回路150では導線118、120に断線や接続不良であることが検出され、異常状態を表す検出出力(OFF出力)がマイコン168に取り込まれる。
【0085】
〔冠水検出の処理〕
【0086】
次に、冠水検出の処理手順について、図12を参照する。図12は冠水検出の処理手順の一例を示している。
【0087】
図12に示す処理手順は、冠水検出方法であり、マイコン168で実行されるプログラムの一例である。この処理手順では、冠水検出のタイミングの到来により割込み動作を実行し、冠水検出処理に移行する(ステップS11)。この冠水検出処理では、冠水検出回路140の検出出力を参照し、電極部60、62間すなわち、検知回路64が導通しているか否かを判定する(ステップS12)。
【0088】
電極部60、62間が導通していれば(ステップS12のYES)、電極部60、62間が導通したことつまり、その事実を表す冠水情報を記憶部172に記録する(ステップS13)。アラーム処理、電磁弁の閉弁処理などの異常回避処理を実行する(ステップS14)。記憶部172に記録する冠水情報はたとえば、冠水を表す記号、冠水の日時であり、この情報を読出せば、冠水のあったことを確認でき、アラーム表示に用いることができる。
【0089】
また、電極部60、62間が導通していなければ(ステップS12のNO)、正常であるから通常処理を実行し(ステップS15)、追焚き動作または給湯動作にリターンする。
【0090】
〔断線検出の処理〕
【0091】
次に、断線検出の処理手順について、図13を参照する。図13は断線検出の処理手順の一例を示している。
【0092】
図13に示す処理手順は、断線検出方法であり、マイコン168で実行されるプログラムの一例である。この断線検出の処理手順は、既述の冠水検出と同時期に実行すればよく、たとえば、冠水検出の前処理として実行する。そこで、この処理手順においても、冠水検出前の断線検出タイミングの到来により割込み動作を実行し、断線検出処理に移行する(ステップS21)。この断線検出処理では、断線検出回路150の検出出力を参照し、電極部60に接続された導線118、120が導通しているか否かを判定する(ステップS22)。導線118、120間が導通していれば(ステップS22のYES)、正常であるから冠水検出処理(図12)に移行する(ステップS23)。
【0093】
また、導線118、120間が遮断状態であれば(ステップS22のNO)、その異常状態すなわち、その断線があったことを記憶部172に記録し(ステップS24)、既述の冠水検出処理(図12)に移行することなく、アラーム処理、電磁弁の閉弁処理などの異常回避処理を実行する(ステップS25)。記憶部172に記録する断線情報はたとえば、断線を表す記号、断線の日時であり、この情報を読出せば、断線の事実を確認でき、アラーム表示に用いることができる。
【0094】
〔風呂釜の操作および動作〕
【0095】
次に、風呂釜の操作および動作について、図14、図15、図16、図17、図18および図19を参照して説明する。図14ないし図19は点火及びその導電動作の手順を示している。図14ないし図19において、符号a、b、c、d、fはフローチャート間の連結部を示している。
【0096】
この手順は既述の冠水検出処理および断線検出処理が含まれ、ユーザ操作、該ユーザ操作による風呂釜2の動作の一例である。この手順では、図14に示すように、給湯シャワー点火つまみ36(または追いだき点火つまみ38)を消火位置から口火位置までの押し回しにより(ステップS101)、給湯マイクロスイッチ88(または追いだきマイクロスイッチ52)がONし、制御部56に通電され、給湯電磁弁86(追いだき電磁弁50)が開かれる(ステップS102)。
【0097】
この状態で、電池54の残量および制御部56のチェックが実行される(ステップS103〜S108)。電池54の電圧が適正レベルより低い低電圧レベルVL以上であるかを判定し(ステップS105)、適正レベルより低ければ(ステップS103のNO)、電池切れを報知するアラーム表示をする(ステップS104)。電池54の電圧が低電圧レベルVL以上であれば(ステップS103のYES)、電池交換レベルVC 以上であるかを判定し(ステップS105)、電池交換レベル未満であれば、電池交換を促す報知としてアラーム表示をする。このアラーム表示は電池交換ランプ42を点滅させる。電池54に異常がなければ、制御部56が正常か否かを判断し(ステップS106)、異常があれば、異常を報知するアラーム表示を行う。この場合、お知らせランプ44を点滅させる。
【0098】
この制御部56のチェックの後、冠水検知ボックス58の断線チェックと、冠水判定をする(ステップS107、S108)。導線チェックでは、導線118、120に制御部56から電流を流し、導線118、120が正常か異常(断線)かを判定する(ステップS107)。つまり、正常であれば導線118、120に電流が流れるので、その電流の有無で断線の有無を知ることができる。導線118、120が断線していれば(ステップS107のNO)、アラーム表示を行う。このアラーム表示では、点火確認ランプ40及びお知らせランプ44を点滅させる。この断線チェックは口火が着火した後も実行され、口火が着火した後は一分毎に断線チェックを実行する。
【0099】
冠水判定では、導線118、120およびアース線132に通電し、電極部60と電極部62との間に電圧を印加し、電極部60と電極部62との間に電流が流れるか否かを確認する。例えば、一定時間の通電が生じた場合には、冠水状態であると判定し、アラーム表示を行う。通電がなければ(ステップS108のYES)、冠水状態にないと判断する。
【0100】
冠水がなければ、擬似炎検出、電磁弁・マイクロスイッチの配線導通チェック、使用回数が閾値を超えたか否かをチェックを行い(ステップS109)、点火動作に移行する。異常があればアラーム表示を行う(ステップS104)。
【0101】
点火動作では、電池54からイグナイタ66に通電し、給湯点火プラグ90(追いだき点火プラグ68)の放電により(ステップS110)、給湯パイロットバーナ92(追いだきパイロットバーナ70)に点火する。給湯フレームロッド94(追いだきフレームロッド72)が炎電流を検出し(ステップS111)、給湯電磁弁86(追いだき電磁弁50)の開弁を維持させてガスGを流し、これにより、点火確認ランプ40が点灯する(ステップS112)。
【0102】
このとき、口火タイマー174が追焚きパイロットバーナ70または給湯パイロットバーナ92の燃焼時間の計測を開始する(ステップS113)。例えば、計測時間が一定時間たとえば、90〔分〕の経過を判断し(ステップS114)、90〔分〕以上が経過すれば、アラーム表示を行う。このアラーム表示は、点火確認ランプ40、お知らせランプ44を点滅させるとともに、弁体を保持する保持電流が解除されるので、この保持電流の解除により給湯電磁弁86または追焚き電磁弁50を閉じ、消火させる(ステップS115)。
【0103】
追焚き動作では、追焚き点火つまみ38を追焚き位置に操作する(ステップS116:図19)。これにより、追焚きマイクロスイッチ74がONし、追焚きメイン弁76を開にする(ステップS117)。このとき、ふろの使用回数をカウントし、このカウントには追焚きマイクロスイッチ52のONを用いる。また、風呂タイマー176を燃焼時間を一度クリアーした後、カウントを再開する。
【0104】
追焚きでは、メインノズル78を介して追焚きバーナ80から噴出させたガスGに追いだきパイロットバーナ70の炎が火移りして着火し(ステップS118)、浴水BWがふろ熱交換器82で加熱される。また、追焚き点火つまみ38を口火位置に操作すれば、追焚きメイン弁76が閉じ、追焚きバーナ80が消火する(ステップS119)。
【0105】
この追焚き動作では、浴水BWの過熱防止動作が実行される(ステップS120、S121)。ふろタイマーで追焚きバーナ46が連続して所定時間たとえば、70〔分〕以上が継続して燃焼しているか否かを検出し(ステップS120)、70〔分〕以上の燃焼が継続していれば(ステップS120のNO))、アラーム表示を行う。このアラーム表示は点火確認ランプ40、お知らせランプ44を点滅する。そして、追焚き電磁弁50を閉じ(ステップS121)、燃焼を強制的に停止させる。これにより浴水BWの過熱を防止できる。
【0106】
追焚き動作中において、電池54の電圧チェックが行われる。電池54の残量が電池交換レベルになれば、アラーム表示を行う(ステップS122)。さらに、電池54の残量が低電圧レベルVLになれば、安全装置が動作する。そこで、安全装置が作動したか否かを判定し(ステップS123)、安全装置が作動していれば(ステップS123のYES)、追焚き電磁弁50が閉じ(ステップS124)、燃焼を停止させる。追焚き電磁弁50が閉じたとき、追焚き点火つまみ38を追いだき位置から口火位置に操作して追焚きメイン弁76を閉にし(ステップS125)、さらに消火位置に操作して動作を停止する(ステップS126)。安全装置が作動していなければ(ステップS123のNO)、図18に示すように、E−1、E−2またはE−3の制御を実行する。
【0107】
給湯又はシャワーを使用する場合には、給湯シャワー点火つまみ36を給湯・シャワー位置に操作すれば(ステップS127)、給湯電磁弁86が開になる(ステップS128)。出湯切替つまみ24を給湯又はシャワー位置に操作すれば(ステップS129)、取水部12に接続された上水管から上水が流入し、給湯マイクロスイッチ96がONする。このとき、ダイヤフラム弁100の動作によりガス弁102を開き(ステップS130)、メインノズル104を介して給湯バーナ106から噴出するガスが給湯用パイロットバーナ92の炎の火移りにより燃焼する(ステップS131)。給湯熱交換器108で上水に燃焼熱が熱交換され、シャワーヘッド20または上がり湯パイプ14から出湯する。この場合、給湯マイクロスイッチ96がONすると、給湯使用時間の計測が開始され、使用時間が一定時間たとえば、60〔分〕を超えると(ステップS132)、アラーム表示を行うとともに、弁体を吸着状態に保持する保持電流が解除されて給湯電磁弁86を閉じ、消火する(ステップS133)。すなわち、燃焼自動停止機能である。これにより出湯切替つまみ24の締め忘れによる不要動作を防止することができる。
【0108】
ところで、給湯やシャワーの温度を加減するには、温度調節つまみ26の操作により行うことができ、また、温度調節は、能力切替つまみ34を能力小または能力大に切替えることによっても行うことができる(ステップS134:図19)。
【0109】
次に、アラーム表示について、図20を参照する。図20はアラーム表示の処理手順を示している。
【0110】
この処理手順では、出湯切替つまみ24が停止位置にある時、リセットスイッチ46を押しながら追焚き点火つまみ38を消火位置から口火位置まで回す(ステップS201)と、アラーム表示モードに移行する(ステップS202)。このアラーム表示モードでは電池交換ランプ42、お知らせランプ44が点灯する。
【0111】
リセットスイッチ46の押下を解除すると(ステップS203)、電池交換ランプ42が消灯する(ステップS204)。この場合、お知らせランプ44にはアラーム履歴が表示される(ステップS205)。このアラーム履歴は、記憶部172にあるアラーム履歴を表示する。お知らせランプ44は、周期的に点滅し、最新のアラームが表示され、アラーム履歴がない場合にはお知らせランプ44の点滅はない。
【0112】
リセットスイッチ46の押下解除後、一定の表示たとえば、10サイクル表示後、電池交換ランプ42が点灯し、点火確認ランプ40が消灯するとともに、お知らせランプ44が点滅する(ステップS206)。
【0113】
そして、追焚き点火つまみ38を口火位置から消火位置まで押し回しすれば(ステップS207)、全てのランプが消灯し(ステップS208)、このアラーム履歴表示の処理を終了する。
【0114】
このアラーム表示について、冠水検出または断線検出によるアラーム履歴では、点火確認ランプ40およびお知らせランプ44を所定回たとえば、3回の点滅表示を行う。この表示形態に代え、制御部56にパーソナルコンピュータを接続し、パーソナルコンピュータ側の表示部にアラーム履歴表示を行う構成としてもよい。
【0115】
〔実施の形態の効果〕
【0116】
(1) 冠水時、着火動作を行っても、浸水により生成される回路を通して放電させ、点火回路の機能を停止させ、燃料ガス等の可燃ガスの噴出を阻止し、生ガス流出を防止する。
【0117】
(2) 着火不良の際に、その原因が浸水かそれ以外かを迅速に特定でき、その特定を容易化できる。
【0118】
(3) 冠水時に点火動作を行なっても、点火が阻止されるとともに、ガス電磁弁を閉じて燃料噴射を阻止でき、爆発着火することがなく安全である。
【0119】
(4) 冠水検知ボックス58の容器部110には冠水時の水63が貯留されるので、その水63により冠水を確認でき、しかも、それが乾燥しても浸水の痕跡が得られる。このため、着火不良か浸水かそれ以外の原因かを迅速かつ容易に特定でき、保守や修理の迅速化を図ることができる。
【0120】
(5) 記憶部172にある冠水情報や断線情報を用いることにより、その事実を容易に知ることができ、保守や修理の迅速化に寄与することができる。
【0121】
〔他の実施の形態〕
【0122】
(1) 燃焼装置として風呂釜2を例示したが、この風呂釜2は、下段に追焚き用熱交換器、上段に給湯用熱交換器を組み込んだ二階層構成でもよく、平面上に追焚き用熱交換器および給湯用熱交換器を配置した(一階層)構成のいずれであってもよい。
【0123】
(2) 燃焼装置として風呂釜2を例示したが、これに限定されない。冠水のおそれや、冠水検知導線に断線のおそれがある燃焼装置であればよい。
【実施例】
【0124】
この実施例は、既述の冠水検出回路140、断線検出回路150の構成例である。図21は冠水・断線検出回路の一例を示している。図21において、図9と同一部分には同一符号を付してある。
【0125】
この冠水・断線検出回路145は、制御部56の端子202、204と冠水検知ボックス58の電極60、62に接続されて既述の冠水検出回路140または断線検出回路150の双方の機能を備えることにより、選択的に冠水検出回路140または断線検出回路150として動作する。
【0126】
図21に示す冠水・断線検出回路145には、導線118側に抵抗206、208およびキャパシタ210、212が備えられている。導線118には抵抗206を介して電源が接続され、基準電圧VREFが印加されている。したがって、制御部56には導線118の接続端子側に常態として電圧VREFが印加され、制御部56の端子202は高(H)レベルに維持される。
【0127】
また、導線120側にはトランジスタ214および抵抗216、218からなるスイッチ回路が設置されている。導線120はトランジスタ214のコレクタ・エミッタを介して接地され、トランジスタ214のベースには制御部56の端子204から制御出力(H/L)が加えられる。
【0128】
〔断線検出〕
【0129】
断線検出モードでは、制御部56の端子204から制御出力Hが出力される。トランジスタ214のコレクタには、導線118、120を介して電圧VREFが印加されていれば、制御出力Hがトランジスタ214のベースに加えられると、トランジスタ214が導通し、制御部56の端子202の電位はHレベルからLレベルに変化する。この場合、制御部56では、導線118、120が断線しておらず、正常であることが分かる。また、冠水検知ボックス58側の導線118、120に断線があれば、制御部56の端子202の電位はHレベルの状態に変化がなく、制御部56では、導線118、120が断線していることが分かる。
【0130】
〔冠水検出〕
【0131】
断線検出で導線118、120に異常がなければ、冠水検出モードに移行する。冠水検出では制御部56からLレベルの制御出力を出力し、トランジスタ214をOFF状態にする。冠水がなければ、すなわち、電極60、62間が水63(図4)を介して導通していなければ、制御部56の端子202の電位はHレベルを示す。この場合、制御部56では冠水がなく、正常であることが分かる。
【0132】
冠水検知ボックス58側の電極60、62間が冠水によって導通していれば、制御部56の端子202の電位はLレベルを示し、制御部56では冠水検知ボックス58が冠水状態であることが分かる。
【0133】
このような構成により、導線118、120が断線しているか否か、冠水検知ボックス58が冠水であるか否かを迅速且つ高精度に検出し、判定することができ、誤動作を防止できる。
【0134】
以上説明したように、本発明の最も好ましい実施の形態等について説明したが、本発明は、上記記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載され、又は明細書に開示された発明の要旨に基づき、当業者において様々な変形や変更が可能であることは勿論であり、斯かる変形や変更が、本発明の範囲に含まれることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0135】
本発明は、冠水による異常動作や検知回路の断線異常を回避でき、安全性の高い燃焼装置を提供でき、有用である。
【符号の説明】
【0136】
2 風呂釜
56 制御部
58 冠水検知ボックス
60、62 電極部
63 水
64 検知回路
65 点火回路
80 追焚きバーナ
106 給湯バーナ
110 容器部
140 冠水検出回路
150 断線検出回路
166 着火部
172 記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料を燃焼する燃焼部と、
前記燃焼部の着火部の高さを基準に検知レベルを設定し、該検知レベル以上に到達した水を取り込んで貯留し、貯留水を媒介として導通する電極を備える検知ボックスと、
前記燃焼部に供給される前記燃料に点火する点火回路と、
前記燃焼部に前記燃料を供給する燃料供給路に設置され、該燃料供給路を開閉する開閉弁と、
前記検知ボックスの前記電極が導通した場合、前記点火回路の機能を停止させるとともに、前記開閉弁の保持電流を解除する制御手段と、
を備えることを特徴とする燃焼装置。
【請求項2】
さらに、前記電極に接続されている導線の断線を検知する断線検出回路と、
を備え、前記制御手段は、前記断線検知回路の出力により、前記導線の状態情報を出力することを特徴とする請求項1に記載の燃焼装置。
【請求項3】
さらに、前記電極の前記導通により冠水を検出する冠水検出回路と、
を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の燃焼装置。
【請求項4】
さらに、前記点火回路の機能停止または前記開閉弁の閉弁または断線検知を表示する表示手段と、
を備えることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の燃焼装置。
【請求項5】
さらに、冠水または断線の検出情報を記録する記録手段と、
を備えることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の燃焼装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2012−172876(P2012−172876A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−33956(P2011−33956)
【出願日】平成23年2月18日(2011.2.18)
【出願人】(000170130)パーパス株式会社 (87)
【Fターム(参考)】