説明

燃焼装置

【課題】赤熱筒を容易に取り付けられる燃焼装置を提供する。
【解決手段】燃焼ガスが流れる集熱部4内に設けた仕切り板9に設けた赤熱筒固定金具13に、赤熱筒3の上面に設けた仕切り板蓋10に形成した鍔部を係合させることで集熱部4に赤熱筒3を取り付ける燃焼装置に於いて、赤熱筒固定金具13の断面略コの字状の係止部を断面略コの字状の係合部よりもコの字状の先端が高くコの字状の幅も大きく形成したので、集熱部4内に赤熱筒3の仕切り板蓋10を差し込み、仕切り板蓋10の中心と仕切り板9の中心を合わせるようにすると、係止部が赤熱筒3に接触して中心が合うように案内し、目視できなくとも仕切り板蓋10と仕切り板9の中心を合わせることができるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、石油等の燃料を燃焼させて暖房を行う暖房機などに用いられる燃焼装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来からこの種のものに於いては、図3及び図4に示すように燃油及び燃焼空気の供給を受けてバーナ部1で燃焼が行われ、この燃焼で発生した燃焼ガスは、燃焼室2で完全燃焼しながら赤熱筒3を加熱して赤熱状態とした後、集熱部4を介して熱交換器5内を流通して屋外へ排出され、そして送風ファン6を駆動させることで、吸引口(図示せず)から吸引された室内空気が熱交換器5外周を通り熱交換で温風となって室内に放出されると共に、赤熱状態の赤熱筒3より輻射熱が透明の燃焼筒7を通し輻射室(図示せず)の反射板(図示せず)で燃焼装置8の前方に反射され、輻射暖房を行うものであった。
【0003】
そしてこの従来の燃焼装置に於いては、赤熱筒3が燃焼装置8の暖房運転の繰り返しによるヒートショックにより変形しやすく、変形した場合に交換できるように取り外しができる構造となっていた。
図5によりその構造を説明すると、集熱部4内に設けた断面略コの字状の仕切り板9の下面に、赤熱筒3の上面に設けた略円板状の仕切り板蓋10の上面を密着させて取り付けるが、この際赤熱筒3と集熱部4との位置を決めるために仕切り板9と仕切り板蓋10との略中央に断面略半円状の小さい凹部11,12を形成し、お互いの凹部11,12が重なることで赤熱筒3と集熱部4との位置を決めていた。
【0004】
そして仕切り板9の下面には略120度の間隔で三カ所に赤熱筒固定金具13が設けられ、又仕切り板蓋10には略120度の間隔で三カ所に赤熱筒引っかけ金具14が設けられていた。
【0005】
前記赤熱筒固定金具13は断面略コの字状でコの字の部分の先端の位置に仕切り板9の下面との間に隙間15が形成され、赤熱筒引っかけ金具14は仕切り板蓋10と同じ高さとなる凸部16と該凸部16よりも低い高さに位置する鍔部17とからなり、仕切り板蓋10を回転させて、仕切り板9の下面と赤熱筒固定金具13とで形成する隙間15に赤熱筒引っかけ金具14の鍔部17が位置すると、鍔部17と赤熱筒固定金具13のコの字の部分の先端部分が当接して仕切り板蓋10が上方向に押し上げられ、それにより赤熱筒引っかけ金具14の凸部16が仕切り板9の下面に押しつけられて、仕切り板9の下面に仕切り板蓋10の上面が密着して取り付けられていた。(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−289513号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところでこの従来のものでは、修理などで赤熱筒3を交換する際、取り外す作業は仕切り板蓋10を回転させて鍔部17と赤熱筒固定金具13のコの字の部分の先端部分の当接を解除すればよいが、その次に交換する赤熱筒3を取り付ける作業では、仕切り板9は集熱部4内に設けられているので、目で確認しながら仕切り板蓋10を回転させることができず、鍔部17と赤熱筒固定金具13のコの字の部分の先端部分を当接して正確に赤熱筒3を係合させることが難しいという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明はこの点に着目し上記課題を解決する為、特にその構成を請求項1では、燃焼を行うバーナ部と、この燃焼で発生した燃焼ガスにより加熱される赤熱筒と、該赤熱筒を内設しバーナ部と燃焼ガスが流れる集熱部とに接続されて燃焼室を形成する透明な燃焼筒と、集熱部を通過した燃焼ガスと送風ファンにより吸引された室内空気と熱交換を行う熱交換器と、前記集熱部内に設けた仕切り板に設けた赤熱筒固定金具と、前記赤熱筒の上面に設けた仕切り板蓋に形成した鍔部とを備え、仕切り板に設けた赤熱筒固定金具に仕切り板蓋の鍔部を係合させることで集熱部に赤熱筒を取り付ける燃焼装置に於いて、前記赤熱筒固定金具は仕切り板の下面に取り付けられる取り付け部と、断面略コの字状の係合部と断面略コの字状の係止部とを備え、前記係止部は係合部よりもコの字状の先端が高くコの字状の幅も大きく形成したものである。
【0009】
又請求項2に係る燃焼装置では、特にその構成を請求項1に於いて、前記係合部のコの字の先端部分には、赤熱筒引っかけ金具の鍔部が摺動する摺動部と、該摺動部に突設した摺動凸部とを形成したものである。
【発明の効果】
【0010】
この発明の請求項1によれば、燃焼を行うバーナ部と、この燃焼で発生した燃焼ガスにより加熱される赤熱筒と、該赤熱筒を内設しバーナ部と燃焼ガスが流れる集熱部とに接続されて燃焼室を形成する透明な燃焼筒と、集熱部を通過した燃焼ガスと送風ファンにより吸引された室内空気と熱交換を行う熱交換器と、前記集熱部内に設けた仕切り板に設けた赤熱筒固定金具と、前記赤熱筒の上面に設けた仕切り板蓋に形成した鍔部とを備え、仕切り板に設けた赤熱筒固定金具に仕切り板蓋の鍔部を係合させることで集熱部に赤熱筒を取り付ける燃焼装置に於いて、前記赤熱筒固定金具は仕切り板の下面に取り付けられる取り付け部と、断面略コの字状の係合部と断面略コの字状の係止部とを備え、前記係止部は係合部よりもコの字状の先端が高くコの字状の幅も大きく形成したので、集熱部内に赤熱筒の仕切り板蓋を差し込み、仕切り板蓋の中心と仕切り板の中心とを合わせるようにすると、赤熱筒固定金具の係止部が赤熱筒に接触して、仕切り板蓋の中心と仕切り板の中心が合うように案内し、目視できなくとも仕切り板蓋の中心と仕切り板の中心を合わせることができるものである。
【0011】
また、仕切り板蓋の中心と仕切り板の中心が合っていない状態で赤熱筒を回転させると、赤熱筒引っかけ金具の鍔部が赤熱筒固定金具の係止部に乗り上げて赤熱筒が大きく傾いてしまうので、目視出来なくてもその赤熱筒が大きく傾いたことで仕切り板蓋の中心と仕切り板の中心が合っていないことがわかるものである。
【0012】
又、本発明の請求項2に記載の燃焼装置によれば、前記係合部のコの字の先端部分には、赤熱筒引っかけ金具の鍔部が摺動する摺動部と、該摺動部に突設した摺動凸部とを形成したので、赤熱筒を回転させて一旦鍔部が摺動凸部を乗り越えると、その状態から赤熱筒が逆方向に回転しても、鍔部が摺動凸部に当接してその位置から摺動凸部を乗り越えられず、それ以上逆方向に回転できないので、赤熱筒が外れることを防止できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】この発明の一実施形態を示す燃焼装置の一部断面図。
【図2】同要部分解斜視図。従来の燃焼装置の
【図3】同要部断面図。
【図4】同仕切り板蓋の鍔部と赤熱筒固定金具の係合状態を示す平面図。
【図5】同赤熱筒固定金具を示す三面図。
【図6】従来の仕切り板蓋の鍔部と赤熱筒固定金具の係合状態を示す平面図。
【図7】同赤熱筒固定金具を示す三面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、本発明に係る発明の1実施形態を図面に基づいて説明する。
尚、前述の従来例と同じ番号が付されているものは同じ機能を有するので、説明を省略する。
1は燃焼装置8内の下部に備えられた気化式のバーナ部で、燃焼ファン26によって屋外から吸引された燃焼空気と、燃料供給手段18から供給される燃油とを予混合して燃焼させるものである。
【0015】
7はバーナ部1と集熱部4との間を密閉空間として連通する耐熱性の透明ガラス円筒から成る燃焼筒で、内方には燃焼ガスで加熱され赤熱状態となる赤熱筒3が集熱部4から垂下し、バーナ部1の燃焼室2を構成するものであり、この燃焼筒7とバーナ部1及び集熱部4との接続は、燃焼筒7とバーナ部1及び燃焼筒7と集熱部4との接続部分に耐熱性で柔軟なパッキン19を収納し、ここに燃焼筒7の端部を埋設することで容易に密閉構造を得ることが出来るものである。
【0016】
5は上記集熱部4と連通し、燃焼ガスを流通させて室内空気との熱交換を行わせる熱交換器で、複数本のパイプ20を並設して構成されている。
6は熱交換器5上方に備えられたクロスフローファンから成る温風ファンで、燃焼装置8背面上部の吸引口(図示せず)から吸引した室内空気を、熱交換器5及び燃焼筒7外周を流通させて熱交換で温風として、室内に放出させるものである。
【0017】
赤熱筒固定金具13は図5に示すように、仕切り板9の下面に取り付けられる取り付け部21と、断面略コの字状の係合部22と、断面略コの字状で前記係合部22よりもコの字の先端が高くコの字の幅も大きい係止部23を備え、前記係合部22のコの字の先端部分には、赤熱筒引っかけ金具14の鍔部17が摺動する摺動部24と、該摺動部24に摺動凸部25とが形成されているものである。
そして赤熱筒固定金具13は、仕切り板9の下面に略120度の間隔で三カ所に断面略コの字状の係合部22が向かい合うように設けられている。
【0018】
次に赤熱筒3を取り付ける作業を説明する。
まず、集熱部4内に赤熱筒3の仕切り板蓋10を差し込み、仕切り板蓋10の凹部12と仕切り板9の凹部11を合わせるようにすると、赤熱筒固定金具13の係止部23が赤熱筒3に接触して、仕切り板蓋10の凹部12と仕切り板9の凹部11がほぼ合うように案内するので、目視は出来ないが手の感覚で仕切り板蓋10の凹部12と仕切り板9の凹部11が合ったと思った時点で赤熱筒3を回転させる。
【0019】
この仕切り板蓋10の凹部12と仕切り板9の凹部11を合わせる時に、赤熱筒固定金具13の係止部23が赤熱筒3に接触して、仕切り板蓋10の凹部12と仕切り板9の凹部11がほぼ合うように案内する。
【0020】
仕切り板蓋10の凹部12と仕切り板9の凹部11が合っていれば、まず仕切り板蓋10の鍔部17が赤熱筒固定金具13の係合部22の摺動凸部25に当接しそこで一旦赤熱筒3の回転が停止する。
【0021】
その状態で更に力を入れて赤熱筒3を回転させると、鍔部17が摺動凸部25を乗り越えて係合部22の摺動部24を摺動し、鍔部17が係合部22の係止部23に当接してそれ以上は赤熱筒3が回転しないので、その状態で赤熱筒3を取り付ける作業は終了する。
【0022】
その状態で赤熱筒3が逆方向に回転しても、鍔部17が摺動凸部25に当接してその位置から摺動凸部25を乗り越えられず、それ以上逆方向に回転しないので、赤熱筒3が外れることはないものである。
【0023】
また、仕切り板蓋10の凹部12と仕切り板9の凹部11が合っていない状態で赤熱筒3を回転させると、赤熱筒引っかけ金具14の鍔部17が赤熱筒固定金具13の係止部23に乗り上げて赤熱筒3が大きく傾いてしまうので、目視出来なくてもその赤熱筒3が大きく傾いたことで仕切り板蓋10の凹部12と仕切り板9の凹部11が合っていないことがわかり、その時点で赤熱筒3を一旦逆回転させてもう一度仕切り板蓋10の凹部12と仕切り板9の凹部11を合わせるようにして赤熱筒3を回転させるものである。
【0024】
また赤熱筒3を取り外す作業は、赤熱筒3を取り外す方向に回転させると、仕切り板蓋10の鍔部17が赤熱筒固定金具13の係合部22の摺動凸部25に当接しそこで一旦赤熱筒3の回転が停止するので、その状態で更に力を入れて赤熱筒3を回転させると、鍔部17が摺動凸部25を乗り越えて係合部22から鍔部17が外れ、それにより 集熱部4内から赤熱筒3を取り外すことができるものである。
【0025】
このように集熱部4内に赤熱筒3の仕切り板蓋10を差し込み、仕切り板蓋10の凹部12と仕切り板9の凹部11を合わせるようにすると、赤熱筒固定金具13の係止部23が赤熱筒3に接触して、仕切り板蓋10の凹部12と仕切り板9の凹部11がほぼ合うように案内するので、目視できなくとも仕切り板蓋10の凹部12と仕切り板9の凹部11を合わせることができるものである。
【0026】
また、仕切り板蓋10の凹部12と仕切り板9の凹部11が合っていない状態で赤熱筒3を回転させると、赤熱筒引っかけ金具14の鍔部17が赤熱筒固定金具13の係止部23に乗り上げて赤熱筒3が大きく傾いてしまうので、目視出来なくてもその赤熱筒3が大きく傾いたことで仕切り板蓋10の凹部12と仕切り板9の凹部11が合っていないことがわかるものである。
【0027】
また、赤熱筒3を回転させて一旦鍔部17が摺動凸部25を乗り越えると、その状態から赤熱筒3が逆方向に回転しても、鍔部17が摺動凸部25に当接してその位置から摺動凸部25を乗り越えられず、それ以上逆方向に回転しないので、赤熱筒3が外れることを防止できるものである。
【符号の説明】
【0028】
1 バーナ部
2 燃焼室
3 赤熱筒
4 集熱部
5 熱交換器
6 送風ファン
7 燃焼筒
9 仕切り板
10 仕切り板蓋
13 赤熱筒固定金具
17 鍔部
21 取り付け部
22 係合部
23 係止部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼を行うバーナ部と、この燃焼で発生した燃焼ガスにより加熱される赤熱筒と、該赤熱筒を内設しバーナ部と燃焼ガスが流れる集熱部とに接続されて燃焼室を形成する透明な燃焼筒と、集熱部を通過した燃焼ガスと送風ファンにより吸引された室内空気と熱交換を行う熱交換器と、前記集熱部内に設けた仕切り板に設けた赤熱筒固定金具と、前記赤熱筒の上面に設けた仕切り板蓋に形成した鍔部とを備え、仕切り板に設けた赤熱筒固定金具に仕切り板蓋の鍔部を係合させることで集熱部に赤熱筒を取り付ける燃焼装置に於いて、前記赤熱筒固定金具は仕切り板の下面に取り付けられる取り付け部と、断面略コの字状の係合部と断面略コの字状の係止部とを備え、前記係止部は係合部よりもコの字状の先端が高くコの字状の幅も大きく形成したことを特徴とする燃焼装置。
【請求項2】
前記係合部のコの字の先端部分には、赤熱筒引っかけ金具の鍔部が摺動する摺動部と、該摺動部に突設した摺動凸部とを形成したことを特徴とする請求項1記載の燃焼装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−215358(P2012−215358A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−81819(P2011−81819)
【出願日】平成23年4月1日(2011.4.1)
【出願人】(000000538)株式会社コロナ (753)
【Fターム(参考)】