説明

燃焼装置

【課題】着火時間を短縮させて着火音や着火圧が大きくなるのを防止する燃焼装置を提供する。
【解決手段】
有底筒状の気化筒1と、噴霧ノズル4を内設し気化筒1下部に設けた一次空気流入口5と、上壁に主炎孔7を形成し前記気化筒1の上部開口に覆着した有天筒状のバーナヘッド6と、バーナヘッド6内に位置し整流筒10と内方が連通するように対向して備えられ、上面には予混合気に旋回を与える旋回羽根16を形成した帽子状の第二整流筒15と、点火プラグ18とを備え、前記点火プラグ18を噴霧ノズル4に対向する気化筒1内の壁面の真上よりも予混合気の旋回側の位置に設けたので、バーナヘッド6の主炎孔7から最初に噴き出す予混合気を着火して着火時間の短縮を行い、バーナヘッド6上方に未燃ガスが溜まるのを防止して大きい着火音や着火圧が発生するのを防止することができるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、石油を燃料とする燃焼装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来からこの種のものに於いては、図5に示すように気化筒101の上部開口に設けた有天筒状のバーナヘッド102の上壁外周に、複数の小孔から成る主炎孔103を形成すると共に、バーナヘッド102の周壁に複数の横長孔から成る補助炎孔104を形成し、主燃焼は主炎孔103で行いながら、バーナヘッド102外周の保炎リング105を介しての気化筒101へのヒートバックを補助炎孔104の火炎で行っていた。
【0003】
またバーナヘッド102内の第二整流筒106の上面に気化筒101とバーナヘッド102との間に気化ガスと燃焼空気との混合を促進する旋回羽根107を設けることで、気化ガスは旋回羽根107の向きによって旋回しながら上昇し、バーナヘッド102の上壁の主炎孔103から旋回しながら吹き出した気化ガスを、バーナヘッド102上部に設けた点火プラグ108で着火するものであった。(例えば、特許文献1参照。)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−340396号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところでこの従来のものでは、気化筒101内に設けられている一次空気流入口109のほぼ中央に噴霧ノズル110が設けられており、この噴霧ノズル110から噴霧された燃油は、噴霧された方向の先の気化筒101内面に接触して加熱されて気化し、一次空気流入口109から気化筒101内に流入した一次空気と混合して気化ガスとなり上昇するが、気化ガスはバーナヘッド102の上壁の噴霧ノズル110側の主炎孔103よりもバーナヘッドの上壁の噴霧ノズル110の対向側の主炎孔103から噴き出し始めるため、図6に示すようにバーナヘッド102上壁外周に形成された主炎孔103から噴き出す気化ガスに着火する点火プラグ108が、バーナヘッド102上部で噴霧ノズル110と同じ位置に設けられていると、着火動作を開始してから着火されるまでの着火時間がかかり、また点火プラグ108の下方の主炎孔103から気化ガスが噴き出す時には、既に点火プラグ108の反対側の主炎孔103から気化ガスが噴き出しており、着火する時にはバーナヘッド102の上方には未燃ガスが溜まっていてそれが一気に引火してしまうので、着火音が大きくなったり、着火圧が大きくなるという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明はこの点に着目し上記課題を解決する為、特にその構成を請求項1では、加熱ヒーターを備え気化ガスと燃焼空気とを予混合する有底筒状の気化筒と、該気化筒の下部周壁にのぞませた噴霧ノズルと、該噴霧ノズルを内設し気化筒下部に設けた一次空気流入口と、上壁に複数の小孔から成る主炎孔を形成し前記気化筒の上部開口に覆着した有天筒状のバーナヘッドと、中央に開口部分が下方に向かって形成された開口突起部が気化筒内に位置するように配置された整流筒と、バーナヘッド内に位置し整流筒と内方が連通するように対向して備えられ、上面には予混合気に旋回を与える旋回羽根を形成した帽子状の第二整流筒と、バーナヘッドの主炎孔より噴き出す予混合気を点火する点火プラグとを備えた燃焼装置に於いて、前記点火プラグは噴霧ノズルに対向する気化筒内の壁面の真上よりも予混合気の旋回側の位置に設けたものである。
【発明の効果】
【0007】
この発明の請求項1によれば、加熱ヒーターを備え気化ガスと燃焼空気とを予混合する有底筒状の気化筒と、該気化筒の下部周壁にのぞませた噴霧ノズルと、該噴霧ノズルを内設し気化筒下部に設けた一次空気流入口と、上壁に複数の小孔から成る主炎孔を形成し前記気化筒の上部開口に覆着した有天筒状のバーナヘッドと、中央に開口部分が下方に向かって形成された開口突起部が気化筒内に位置するように配置された整流筒と、バーナヘッド内に位置し整流筒と内方が連通するように対向して備えられ、上面には予混合気に旋回を与える旋回羽根を形成した帽子状の第二整流筒と、バーナヘッドの主炎孔より噴き出す予混合気を点火する点火プラグとを備えた燃焼装置に於いて、前記点火プラグは噴霧ノズルに対向する気化筒内の壁面の真上よりも予混合気の旋回側の位置に設けたので、バーナヘッドの上壁外周に設けた主炎孔から最初に噴き出す予混合気にを着火することで着火時間の短縮を行うことができ、それによりバーナヘッドの上方に未燃ガスが溜まらず、溜まった未燃ガスに一気に引火して大きい着火音が発生したり、着火圧が大きくなるのを防止することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】この発明の一実施形態を示す燃焼装置の要部断面図。
【図2】同要部平面図。
【図3】同整流筒及び第二整流筒の正面図。
【図4】同整流筒の平面図。
【図5】従来の燃焼装置の要部断面図。
【図6】同要部平面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
次に、本発明に係る発明の1実施形態を図面に基づいて説明する。
1は有底筒状の気化筒で、上部周壁にはシーズヒーターから成る加熱ヒーター2が鋳込まれ、下部に備えたサーミスタから成る温度センサー3による通電制御で220℃〜250℃に保持され、該温度センサー3とは反対側の下部周壁にのぞませた噴霧ノズル4から供給される燃油を気化ガスとすると共に、前記噴霧ノズル4を内設し気化筒1下部に設けた一次空気流入口5から供給される燃焼空気とを予混合するものである。
【0010】
6は前記気化筒1の上部開口に覆着した有天筒状のバーナヘッドで、上壁には複数の小孔から成る主炎孔7が形成されると共に、周壁には複数の横長孔から成る補助炎孔8が形成されており、主燃焼は主炎孔7で行いながら、バーナヘッド6外周の保炎リング9を介しての気化筒1へのヒートバックは補助炎孔8の火炎で行うものである。
【0011】
10は整流筒で、中央の開口部分が下方に向かって一体絞りされて形成された開口突起部11が気化筒1内に位置するように配置され、該開口突起部11の上方の開口部分は、外側の第1鍔部12と該第1鍔部12より低い内側の第2鍔部13の二段の鍔状部分により鍔状部14が形成されているものである。
【0012】
15はバーナヘッド6内に位置し整流筒10と内方が連通するように対向して備えられた帽子状の第二整流筒で、上面には反時計回りの旋回を与える旋回羽根16を切り起こしで形成しており、17はバーナヘッド6内で混合ガスを補助炎孔8に案内する案内板であり、18はバーナヘッド6より噴き出す予混合気を点火する点火プラグである。
【0013】
次にこの発明一実施例の燃焼作動について説明する。
運転スイッチ(図示せず)のON操作で気化筒1内の加熱ヒーター2に通電されて予熱を開始し、気化筒1の温度が所定温度に上昇すると、噴霧ノズル4から燃油を噴霧して噴霧ノズル4に対向する気化筒1内の壁面に衝突させて気化させると共に、一次空気流入口5から気化筒1内に燃焼空気が供給されることにより、燃料の気化ガスと燃焼用空気が気化筒1内で予め混合されて予混合気となる。
【0014】
予混合気は気化筒1内の底部付近から上昇するが、その多くは図1の太点線で示すように、燃油が衝突する噴霧ノズル4に対向する気化筒1内の壁面の真上側に流れる。
【0015】
そして第二整流筒15の上面に形成された旋回羽根16により上昇してきた予混合気に反時計回りの旋回を与えるので、予混合気はバーナヘッド6の上壁外周に設けた主炎孔7で燃油が衝突する噴霧ノズル4に対向する気化筒1内の壁面の真上よりも旋回側の主炎孔7より噴き出し始めるものである。
【0016】
そして燃油が衝突する噴霧ノズル4に対向する気化筒1内の壁面の真上よりも旋回側の位置に設けた点火プラグ18が着火動作を行うことにより、バーナヘッド6の上壁外周に設けた主炎孔7から噴き出しはじめの予混合気を着火することが出来るものである。
【0017】
これによりバーナヘッド6の上壁外周に設けた主炎孔7から最初に噴き出す予混合気にを着火することで着火時間の短縮を行うことができ、それによりバーナヘッド6の上方に未燃ガスが溜まらず、溜まった未燃ガスに一気に引火して大きい着火音が発生したり、着火圧が大きくなるのを防止することができるものである。
【符号の説明】
【0018】
1 気化筒
2 加熱ヒーター
4 噴霧ノズル
5 一次空気流入口
6 バーナヘッド
7 主炎孔
10 整流筒
11 開口突起部
15 第二整流筒
16 旋回羽根
18 点火プラグ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱ヒーターを備え気化ガスと燃焼空気とを予混合する有底筒状の気化筒と、該気化筒の下部周壁にのぞませた噴霧ノズルと、該噴霧ノズルを内設し気化筒下部に設けた一次空気流入口と、上壁に複数の小孔から成る主炎孔を形成し前記気化筒の上部開口に覆着した有天筒状のバーナヘッドと、中央に開口部分が下方に向かって形成された開口突起部が気化筒内に位置するように配置された整流筒と、バーナヘッド内に位置し整流筒と内方が連通するように対向して備えられ、上面には予混合気に旋回を与える旋回羽根を形成した帽子状の第二整流筒と、バーナヘッドの主炎孔より噴き出す予混合気を点火する点火プラグとを備えた燃焼装置に於いて、前記点火プラグは噴霧ノズルに対向する気化筒内の壁面の真上よりも予混合気の旋回側の位置に設けたことを特徴とする燃焼装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−255576(P2012−255576A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−127960(P2011−127960)
【出願日】平成23年6月8日(2011.6.8)
【出願人】(000000538)株式会社コロナ (753)
【Fターム(参考)】