説明

燃焼装置

【課題】中和能力の低下を防止した燃焼装置を提供するものである。
【解決手段】バーナ2の燃焼により発生した燃焼ガスから顕熱を回収する一次熱交換器7と、一次熱交換器7通過後の燃焼ガスから潜熱を回収する二次熱交換器9と、二次熱交換器9で発生したドレンを排水するドレン排水経路11と、ドレン排水経路11途中に設けられドレンを中和する中和剤が充填された中和器13と、中和器13を注水により洗浄する洗浄手段26とを備えた燃焼装置1で、燃焼装置1の運転情報を積算する積算手段28を設け、積算手段28で積算した積算値に基づく所定の間隔毎に、洗浄手段26によって中和器13を洗浄する洗浄運転を行うものにおいて、初回の間隔よりも2回目の間隔または3回目以降の間隔の方が短くなるようにしたことで、中和能力が低下する前に洗浄運転が実行され、ドレンが接触する中和剤の面積を十分に確保でき、中和能力の低下を防止することができた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、潜熱回収を可能とする熱交換器を有する燃焼装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の燃焼装置では、バーナの燃焼により発生する燃焼ガスから顕熱を回収する一次熱交換器と、一次熱交換器通過後の燃焼ガスから潜熱を回収する二次熱交換器と、この二次熱交換器で発生するドレンを中和する炭酸カルシウム等の中和剤を充填した中和器と、中和器内を洗浄するための洗浄手段を備え、燃焼装置を一定期間運転する毎に、洗浄手段により中和器内を洗浄する洗浄運転を行うものがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−272110号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、この従来の燃焼装置において、燃焼装置の一定運転期間毎に中和器内に侵入し中和剤に付着する不純物が同量であると仮定した場合、中和器内に充填された中和剤は、二次熱交換器で発生するドレンを中和していくにつれて徐々に小さくなっていくものであるため、初回の洗浄運転が行われるまでの期間において、中和剤に不純物が付着した状態でドレンが接触できる中和剤の面積に比べて、それより後の期間において、中和剤に不純物が付着した状態でドレンが接触できる中和剤の面積は小さくなるので、燃焼装置を一定期間運転する毎に洗浄運転を行った場合、最初の洗浄運転が行われるまでの期間に比べて、それより後の期間において中和能力が低下するおそれがあった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は、上記課題を解決するために、特に請求項1ではその構成を、燃料を燃焼させるバーナの燃焼により発生した燃焼ガスから顕熱を回収する一次熱交換器と、該一次熱交換器を通過した後の前記燃焼ガスから潜熱を回収する二次熱交換器と、該二次熱交換器で発生したドレンを排水するドレン排水経路と、該ドレン排水経路途中に設けられ前記ドレンを中和する中和剤が充填された中和器と、該中和器を注水により洗浄する洗浄手段とを備えた燃焼装置であって、該燃焼装置の運転情報を積算する積算手段を設け、該積算手段で積算した積算値に基づく所定の間隔毎に、前記洗浄手段によって前記中和器を洗浄する洗浄運転を行うものにおいて、初回の間隔よりも2回目の間隔の方が短くなるようにした、または、初回の間隔よりも3回目以降の間隔の方が短くなるものとした。
【発明の効果】
【0006】
この発明の請求項1によれば、燃焼装置の運転情報を積算する積算手段を設け、積算手段で積算した積算値に基づく所定の間隔毎に、洗浄手段によって中和器を洗浄する洗浄運転を行うものにおいて、初回の間隔よりも2回目の間隔の方が短くなるようにした、または、初回の間隔よりも3回目以降の間隔の方が短くなるようにしたことで、中和能力が低下する前に洗浄運転が行われるので、ドレンが接触する中和剤の面積を十分に確保でき、中和能力の低下を防止することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】この発明の一実施形態の燃焼装置を示す概略構成図。
【図2】同一実施形態の燃焼装置の洗浄運転を示したタイムチャート。
【発明を実施するための形態】
【0008】
次に、この発明の一実施形態の燃焼装置を図1に基づき説明する。
1は本実施形態の潜熱回収型の燃焼装置、2は灯油等を燃料とし、燃料を燃焼させて下向きに火炎を発生させるバーナ、3はバーナ2に燃焼用の空気を供給する送風機、4はバーナ2の下方に備えられた燃焼室である。
【0009】
5は燃焼室4内に収容された熱交換器で、この熱交換器5は、バーナ2の燃焼により発生した燃焼ガスから顕熱を回収し一次受熱管6を流通する水を加熱するフィンチューブ式の一次熱交換器7と、一次熱交換器7を通過した後の燃焼ガスから潜熱を回収し二次受熱管8を流通する水を加熱する二次熱交換器9から構成されているものである。また、10は燃焼室4と連通する排気部で、排気部10は内部に吸音材(図示せず)を有し、燃焼ガスの騒音を低減させ、燃焼室4を通過してきた燃焼ガスを燃焼装置1外に排気する部分である。
【0010】
11は二次熱交換器9での熱交換によって生じたドレンを集めて排水するための排水経路で、このドレン排水経路11は、二次熱交換器9で発生したドレンが流入するドレン流入管12と、内部に炭酸カルシウム等の固形塩基性物質からなる中和剤が充填され、ドレン流入管12から流入される強酸性のドレンを貯留して中和する中和器13と、中和器13内で中和されたドレンを燃焼装置1外に排水するドレン流出管14とから構成されているものであり、ドレン流入管12から中和器13に流入したドレンは、仕切壁によって少なくとも2つに仕切られた中和器13内を屈曲して流れつつ中和剤によって中和され、ドレン流出管14から燃焼装置1外に排水され、下水道といった一般排水通路へ排出されるものである。
【0011】
15は給水源から供給される水を熱交換器5に流通させる給水管、16は熱交換器5で加熱された湯を流通させる給湯管、17は給水管15から分岐した給水バイパス管であり、一次受熱管6と二次受熱管8と給水管15と給湯管16と給水バイパス管17とで水が流通する給湯回路18を構成するものである。
【0012】
19は給湯管16と給水バイパス管17との接続部に設けられ、給湯管16からの湯と給水バイパス管17からの水とを混合し、その混合比を可変できる混合弁、20は給水管15に設けられ給水温度を検出する給水温度センサ、21は給水管15に設けられ流量を検出する流量検出手段としての流量センサ、22は給湯管16に設けられ熱交換器5で加熱された湯の温度を検出する熱交出口温度センサ、23は混合弁19より下流の給湯管16に設けられ混合弁19で混合された湯の温度を検出する給湯温度センサである。
【0013】
24は給水管15から分岐してドレン流入管12と接続し、給水管15と中和器13より上流側のドレン排水経路11としてのドレン流入管12とを連通する連通路で、連通路24には、連通路24を開閉する開閉手段としての開閉弁25が設けられており、開閉弁25を開くことで、給水管15から連通路24を介してドレン排水経路11に注水し、中和器13内を洗浄する洗浄運転が行われるものであり、連通路24と開閉弁25とで中和器13内を洗浄する洗浄手段26を構成するものである。
【0014】
27は燃焼装置1内に内蔵され、マイクロコンピュータを主体として給水温度センサ20等の各センサの信号を受け、バーナ2や送風機3等の各アクチュエータの駆動を制御する制御手段である。
【0015】
前記制御手段27は、燃焼装置1の運転情報として、例えばバーナ2の燃焼時間、バーナ2の点火回数、バーナ2への燃料供給量、バーナ2の燃焼量、燃焼装置1の通電時間、熱交換器5に通水される通水量等を積算する積算手段28を有しており、この積算手段28で積算された積算値に基づいて、所定の間隔毎に中和器13内を所定時間洗浄する前記洗浄運転を行うするものである。
【0016】
次に、この一実施形態の燃焼装置1の動作について説明する。
今、適宜箇所に設置された給湯栓(図示せず)が開栓されて給湯が開始されると、この水の流れを流量センサ21が検出し、流量センサ21がバーナ2の燃焼を開始させる最低作動流量以上の流量を検出すると、制御手段27は燃焼要求ありと判断し、バーナ2の燃焼を開始させる。
【0017】
この燃焼により発生した燃焼ガスは、一次熱交換器7を流通し、一次熱交換器7を通過した後、二次熱交換器9を流通し、二次熱交換器9を通過した後、排気部10から燃焼装置1外へ排出されるものである。また、給水源から供給された水は、給水管15から二次受熱管8に導入され、二次受熱管8から一次受熱管6へ順に流通して、ここで燃焼ガスとの熱交換により加熱され、そして、一次受熱管6から給湯管16へ導かれ、混合弁19の開度調整によって給湯設定温度に温調された湯が最終的に前記給湯栓から給湯されるものである。なお、二次熱交換器9では二次受熱管8を流れる水と燃焼ガスとの熱交換によって燃焼ガス中の潜熱が回収され、それによって二次熱交換器9にドレンが発生し、発生したドレンは中和器13に流入し中和器13内に充填された中和剤によって中和処理されるものである。
【0018】
上記の給湯動作が行われている時、前記積算手段28は、例えばバーナ2の燃焼時間を積算しており、積算手段28によって積算された積算値が、中和器13内を洗浄する洗浄運転を実行するための予め設定された設定値に到達したか否かを制御手段27が判断するものである。
【0019】
ここで、図2のタイムチャートに示すように、積算手段28によって積算された積算値が洗浄運転を実行するための予め設定された第1設定値(4万時間)に到達したと制御手段27が判断すると、制御手段27は、開閉弁25を開いて初回の洗浄運転を行うものであり、水は給水圧によって給水管15から連通路24を介してドレン排水経路11に注水され、ドレン排水経路11であるドレン流入管12、中和器13、ドレン流出管14を通って燃焼装置1外に排出されるものである。この時、中和器13内に溜まったゴミ等の不純物、中和剤に付着した不純物が洗い流され除去されるものである。
【0020】
所定時間洗浄運転が行われると、制御手段27は開閉弁25を閉じ、初回の洗浄運転を終了し、続けて、積算手段28によって積算された積算値が洗浄運転を実行するために予め設定された第2設定値(6万時間)に到達したか否かを判断するものである。
【0021】
そして、積算手段28によって積算された積算値が洗浄運転を実行するための予め設定された第2設定値(6万時間)に到達したと制御手段27が判断すると、制御手段27は、開閉弁25を開いて2回目の洗浄運転を行うものであり、水は給水圧によって給水管15から連通路24を介してドレン排水経路11であるドレン流入管12、中和器13、ドレン流出管14を通水し、燃焼装置1外に排出されるものである。この時、中和器13内に溜まったゴミ等の不純物、中和剤に付着した不純物が洗い流され除去されるものである。
【0022】
このように、制御手段27は、積算手段28で積算された積算値に基づいて、所定の間隔毎に中和器13内を所定時間洗浄する前記洗浄運転を行うようにしたものであり、積算を開始してから初回の洗浄運転を実行するまでの初回の間隔(4万時間)よりも、初回の洗浄運転を実行してから2回目の洗浄運転を実行するまでの2回目の間隔(2万時間)の方が短くなるようにしたことで、中和能力が低下する前、すなわち中和剤に付着する不純物が少ないうちに洗浄運転が実行されるので、ドレンが接触する中和剤の面積を十分に確保し、中和能力の低下を防止することができるものである。
【0023】
なお、本発明は先に説明した一実施形態に限定されるものではなく、本実施形態では、積算を開始してから初回の洗浄運転を実行するまでの初回の間隔よりも、初回の洗浄運転を実行してから2回目の洗浄運転を実行するまでの2回目の間隔が短くなるようにしたが、例えば、初回の間隔が4万時間、2回目の間隔も4万時間、そして、2回目の洗浄運転を実行してから3回目の洗浄運転を実行するまでの3回目の間隔が2万時間、3回目の洗浄運転を実行してから4回目の洗浄運転を実行するまでの4回目の間隔が2万時間というように、初回の間隔より3回目以降の間隔の方が短くなるようにしてもよく、そうすることで、中和能力が低下する前、すなわち中和剤に付着する不純物が少ないうちに洗浄運転が実行されるので、ドレンが接触する中和剤の面積を十分に確保でき、中和能力の低下を防止することができるという、先に説明したものと同様の効果を発揮するものである。
【0024】
また、本実施形態では、積算手段28は継続して積算するものとしたが、積算手段28は、洗浄運転を実行するための予め設定された設定値に到達したら積算手段28の積算値をリセットして、そこから次の設定値に到達するまで積算を行うような構成のものであっってもよいものである。
【0025】
また、本実施形態では、積算手段28は燃焼装置1の運転情報として、バーナ2の燃焼時間を積算するものとしたが、上記の初回の間隔よりも、2回目の間隔または3回目以降の間隔の方が短くなるようにしていれば、積算手段28は燃焼装置1の運転情報として、バーナ2の点火回数、バーナ2への燃料供給量、バーナ2の燃焼量、燃焼装置1の通電時間、熱交換器5に通水される通水量を積算するものであってもよく、特に限定されるものではない。
【0026】
また、本実施形態では、積算手段28によって積算された積算値が洗浄運転を実行するための予め設定された設定値に到達したら洗浄運転を行うようにしたが、積算手段28によって積算された積算値が設定値に到達した時に、給湯動作が継続している場合は、バーナ2の燃焼停止または流量センサ21の検出流量が最低作動流量未満になるのを待って、その後で洗浄運転を行うようにしてもよいものであり、そうすることで、給湯動作中の給湯流量や温調を崩すことがないものである。
【0027】
また、本実施形態では、連通路24は給湯回路18を構成する給水管15と中和器13より上流側のドレン排水経路11としてのドレン流入管12と接続しているが、連通路24は給湯回路18のうち、給湯管16とドレン流入管12とを接続するものであってもよく、または一次受熱管6とドレン流入管12とを接続するものであってもよく、または二次受熱管8とドレン流入管12とを接続するものであってもよいものであり、給湯回路18の何れかから分岐して中和器13に注水できる構成であればよいものである。
【0028】
また、本実施形態では、連通路24は給水管15から分岐して中和器13より上流側のドレン排水経路11としてのドレン流入管12と接続しているが、連通路24は給水管15から分岐して中和器13に直接接続し、給水管15と中和器13とを連通するものであってもよいものである。
【0029】
また、本実施形態では、燃焼装置1を給湯機の形態で説明したが、一次熱交換器、二次熱交換器、中和器を備え、一次熱交換器および二次熱交換器にて加熱された温水を暖房端末に循環させる温水ボイラーにおいて、中和器を注水により洗浄できるような形態のものを燃焼装置1としてもよいものである。
【符号の説明】
【0030】
2 バーナ
7 一次熱交換器
9 二次熱交換器
11 ドレン排水経路
13 中和器
26 洗浄手段
28 積算手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料を燃焼させるバーナの燃焼により発生した燃焼ガスから顕熱を回収する一次熱交換器と、該一次熱交換器を通過した後の前記燃焼ガスから潜熱を回収する二次熱交換器と、該二次熱交換器で発生したドレンを排水するドレン排水経路と、該ドレン排水経路途中に設けられ前記ドレンを中和する中和剤が充填された中和器と、該中和器を注水により洗浄する洗浄手段とを備えた燃焼装置であって、該燃焼装置の運転情報を積算する積算手段を設け、該積算手段で積算した積算値に基づく所定の間隔毎に、前記洗浄手段によって前記中和器を洗浄する洗浄運転を行うものにおいて、初回の間隔よりも2回目の間隔の方が短くなるようにした、または、初回の間隔よりも3回目以降の間隔の方が短くなるようにしたことを特徴とする燃焼装置。

【図1】
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【図2】
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