説明

燃費評価情報表示装置

【課題】ドライバの省燃費運転の評価結果を、ドライバの運転の妨げにならないように表示すると共に、評価結果を遅滞なく表示することで、次の省燃費運転の向上につながるようにする。
【解決手段】ダッシュボードのコンビネーションメータ10に省燃費運転の評価結果を表示する表示部20及び入力部22を設けている。表示部20には、評価結果表示部23と総合平均値表示部32とがあり、評価結果表示部23は、4つの燃費評価項目につき一走行区間毎の各燃費評価項目の評価結果を各走行区間終了後に表示し、総合平均値表示部32は、一運行区間終了後の各燃費評価項目の総合平均値を、該運行区間後に表示する。これによって、ドライバの運転を妨げないようにする。入力部22はドライバの目標値を入力したり、又は表示したい燃費評価項目を選択するために用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドライバの省燃費運転の評価結果を表示する表示装置において、ドライバの運転を妨げず、かつ省燃費運転に対するドライバの現状把握を確実にできるようにした表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、燃料費の上昇に対する対策や地球環境保全の観点から、車両、特に、燃料消費量の多いトラックやバス等の大型車において、省燃費運転の必要性が高まっている。そのため、ドライバの省燃費運転を支援するための制御装置や、ドライバの省燃費運転を評価し、評価結果を表示して、ドライバに認識させる表示装置が、数多く提案されている。例えば、特許文献1には、走行中の燃費を評価し、評価結果をリアルタイムでドライバに報知する低燃費運転支援装置が開示されている。
【0003】
特許文献2には、ダッシュボードに設置されたコンビネーションメータに、燃費等の車両情報を表示する表示装置を設けた点が開示されている。この車両情報の表示形式は、車両の走行中、車速が速くなるにつれて、拡大数字、バーグラフ、アイコン、色表示へと、認識しやすいものに順次変更することで、ドライバの目視を容易にし、ドライバの負担軽減を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−137443号公報
【特許文献2】特開2006−184222号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1又は特許文献2とも、車両の走行中に、省燃費運転に関する評価結果又は車両情報を報知又は表示するようにしているので、ドライバの運転の妨げになり、安全上問題がある。特に、車速が速い時には、ドライバが余裕をもって目視できず、ドライバに負担をかけると共に、評価結果又は車両情報に対するドライバの認識度が低下するという問題がある。
【0006】
本発明は、かかる従来技術の課題に鑑み、ドライバの省燃費運転に係る評価結果を、ドライバの運転の妨げにならないように表示し、安全性を確保すると共に、評価結果を遅滞なくタイムリーに表示することで、次の省燃費運転の向上につながるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる目的を達成するため、本発明の燃費評価情報表示装置は、車両の始動及び停止を検出するセンサーと、これらセンサーによって検出された車両の始動から停止までの走行区間において、設定された燃費評価項目に対し、該燃費評価項目に係る測定値から評価結果を算出する評価結果算出手段と、運転席付近に設けられ、該評価結果算出手段で算出された評価結果を車両停止時に表示する平均値表示部とを備えたものである。本発明装置では、前記センサーによって、車両の始動から停止までの走行区間と、車両の停止時とを検出する。そして、各種センサーによって検出された燃費評価項目に係る測定値から、評価結果算出手段によって、該走行区間における評価結果を算出し、該評価結果を車両の停止時に評価結果表示部に表示する。
【0008】
このように、評価結果を車両の停止時に表示することで、ドライバの運転の妨げにならず、安全な状態で、ドライバの省燃費運転に係る評価結果を把握できる。また、運行の目的地に到着する前に、ドライバが直前の走行区間の評価結果を遅滞なく把握できるので、ドライバは自分の現状の運転評価を認識した上で、次の走行区間から省燃費向上に向けた運転が可能になる。
【0009】
なお、車両の始動及び停止を検出するセンサーとして、例えば、車速センサーを用いることができる。車速センサーを用い、設定された車速を超えた時点を始動と判定し、設定された車速を下回った時点を停止と判定するようにする。あるいはイグニッションスィッチがオンになった時点を始動と判定し、オフになった時点を停止と判定するようにしてもよい。
【0010】
本発明装置において、車両の運行終了を検出する運行終了検出センサーと、始動検出センサーで検出された車両始動時から前記運行終了検出センサーで検出された運行終了時までの運行区間における燃費評価項目の総合平均値を算出する総合平均値算出手段と、該総合平均値を車両の運行終了時に表示する総合平均値表示部とを備えているとよい。このように、総合平均値を運行終了時に表示することで、ドライバの運転の妨げにならず、安全な状態で、ドライバの現状の省燃費運転評価をタイムリーに把握できる。なお、総合平均値の算出方法は、例えば、単純平均又は加重平均等の算出方法を適宜用いることができる。
【0011】
運行終了検出センサーとしてイグニッションスィッチを用い、イグニッションスィッチオフの時点を車両の運行停止の判定に用いた場合、イグニッションスィッチをオフとした後、設定時間だけ少なくとも総合平均値表示部の表示を継続するタイマーを備えているとよい。これによって、エンジンが停止した後でも、総合平均値を余裕をもって確認でき、省燃費運転の評価結果を確実に認識して、次の省燃費運転の向上につなげることができる。この場合、評価結果表示部でも、タイマーによって評価結果の表示を継続させるようにしてもよい。
【0012】
本発明装置において、省燃費運転の評価項目の目標値を入力し、又は設定された燃費評価項目のうち評価結果表示部に表示する燃費評価項目を選択する入力装置を備えているとよい。これによって、ドライバの目標値到達への意欲を高めることができ、あるいはドライバ自身が確認したい燃費評価項目を自分で選択することで、省燃費運転の向上につなげることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明装置によれば、車両の始動から停止までの走行区間毎に、評価結果算出手段によって、省燃費運転に係る評価結果を算出し、該走行区間の走行後に、評価結果表示手段によって該平均値を表示するようにしているので、ドライバの運転の妨げにならず、安全な状態で、ドライバの現状の省燃費運転評価を把握できる。また、運行の目的地に到着する前に、ドライバが直前の走行区間の評価結果を遅滞なく把握できるので、自分の運転評価を認識した上で、次の走行区間から省燃費向上に向けた運転が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明装置の一実施形態に係るコンビネーションメータの配置図である。
【図2】前記実施形態の装置構成を示すブロック線図である。
【図3】操作手順を示すフロー図である。
【図4】前記実施形態の車両走行例を示す線図である。
【図5】(A)〜(G)は、夫々従来の燃費評価結果の表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を図に示した実施形態を用いて詳細に説明する。但し、この実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは特に特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではない。
【0016】
本発明装置の一実施形態を図1〜図4に基づいて説明する。図1は、車両の運転室内のダッシュボードに設けられたコンビネーションメータ10を示す。コンビネーションメータ10では、左側に車速計12が配置され、右側に燃料計14が設けられている。そして、中央にドライバの省燃費運転の評価結果を表示する表示部20、及び表示部20の下方に入力部22が設けられている。
【0017】
表示部20は、4個の表示画面24,26、28及び30からなる評価結果表示部23を備えている。これらの表示画面には、一走行区間(車速が走行を開始した時点から車速が1km/hr未満となる時点まで)の平均燃費、一走行区間のアクセル操作回数、一走行区間で、エンジン回転数が閾値を超えた回数、一走行区間のブレーキ操作回数、あるいは一走行区間のクラッチ操作回数等の、省燃費運転度を示す評価項目が、選択的に表示される。
【0018】
また、表示部20は、イグニッションスィッチがオンされて、車両の運行が開始した時点から、イグニッションスィッチがオフとなり、車両の運行が終了するまでの車両の一運行区間において、評価結果表示部23に表示された4個の燃費評価項目毎の総合平均値を表示する総合平均値表示部32を備えている。入力部22は、ドライバが、評価結果表示部23に表示された燃費評価項目の目標値を入力したり、あるいは評価結果表示部23に表示される燃費評価項目を選択するために用いられる。
【0019】
図2は、本実施形態の表示装置18の構成を示す。図2において、ECU34は、車両に設けられた機器全体を制御する。ECU34には、後述する各種センサーの測定値が入力され、これら測定値から、評価結果表示部23に表示される4つの燃費評価項目の一走行区間における評価結果を算出する評価結果算出部36と、一運行区間における前記4つの燃費評価項目の総合平均値を算出する総合平均値算出部38と、車両の運行区間終了後イグニッションスィッチがオフとなった後、設定時間だけ平均値表示部23及び総合平均値表示部32の表示を継続させるタイマー39とを備えている。総合平均値算出部38における総合平均値の算出方法は、例えば、単純平均又は加重平均等の算出方法を適宜用いることができる。
【0020】
ECU34には、アクスルシャフトの回転速度によって車速を検出する車速センサー40から、車速情報が入力される。また、ECU34には、アクセル操作センサー42からアクセル操作回数が入力される。また、ECU34には、エンジン回転数センサー44からエンジン回転数が入力される。また、ECU34には、ブレーキ操作センサー46からブレーキ操作回数が入力される。また、ECU34には、クラッチ操作センサー48からクラッチ操作回数が入力される。また、ECU34には、燃料噴射装置50から燃料噴射量が入力されると共に、イグニッションスィッチ52から、イグニッションスィッチ52のオン信号又はオフ信号が入力される。
【0021】
評価結果算出部36は、ECU34に入力される前記各センサーの検出値及びその他の信号に基づいて、評価結果表示部23に表示される各燃費評価項目の評価結果を算出する。評価結果は、燃費評価項目毎に4個の表示画面24,26、28及び30に表示される。総合平均値算出部38は、車両の運行終了時に、4個の表示画面24,26、28及び30に表示された燃費評価項目の総合平均値を算出する。該総合平均値は、総合平均値表示部32に表示される。
【0022】
図3は、車両が発進してから、運行を終了するまでの操作手順を示し、図4は、車両の走行例を示す。図3において、まず、ドライバは車両を発進させる前に、自身の省燃費運転の目標値を設定したり、あるいは表示部20に表示される燃費評価項目を選択する(S10)。ここで、表示部20に表示される4個の燃費評価項目として、例えば、燃費、アクセル操作回数、エンジン高回数及びブレーキ操作回数を選択する。
【0023】
次に、イグニッションスィッチ52をオンにして、車両を発進させる(S12)。車両が走行区間1(図4参照)を走行し、その後、ブレーキ操作センサー46によりブレーキ操作がなされたことを検出すると共に、車速センサー40により車速が1km/hr未満になったことを検出したら、車速が停止したと判定する(S14)。この時点で、評価結果算出部36で、走行区間1における各燃費評価項目の評価結果を算出し、該評価結果を表示画面24,26、28及び30に表示する(S16)。
【0024】
次に、イグニッションスィッチがオフとならないとき(S18)、再び車両が始動し、走行区間2を走行する。そして、S14に戻り、S14及びS16を繰り返す。即ち、走行区間2を走行し停止した時、評価結果算出部36によって、各燃費評価項目の評価結果を算出し、これらを表示画面24,26、28及び30に表示する。同様にして、走行区間3を走行した後、走行区間3の各燃費評価項目の平均値を表示画面24,26、28及び30に表示する。
【0025】
走行区間3の走行後、車両が停止し、イグニッションスィッチ52をオフとした時をもって、一運行区間が終了したとみなす(S18)。この時点で、総合平均値算出部38によって、表示画面24,26、28及び30に表示した燃費評価項目毎に、一運行区間全般の総合平均値を算出し、該総合平均値を総合平均値表示部32に表示する(S20)。図4中、Aは運行前にドライバによって入力された目標燃費であり、A、A及びAは、各走行区間毎に算出され、表示部20に表示された平均燃費である。
【0026】
本実施形態によれば、省燃費運転度を示す各評価結果を車両の停止時に表示することで、ドライバの運転の妨げにならず、安全な状態で、ドライバの現状の省燃費運転評価を遅滞なく把握できる。また、運行の目的地に到着するまでの間に、ドライバが直前の走行区間の省燃費運転評価を把握できるので、自身の運転評価を認識した上で、次の走行区間から省燃費向上に向けた運転が可能になる。
【0027】
また、イグニッションスィッチ52がオフとなった時をもって、車両の運行が終了したと判定し、運行終了時に、各燃費評価項目毎に運行区間全体の総合平均値を算出し、表示するようにしているので、ドライバの運転の妨げにならず、安全な状態で、ドライバの現状の省燃費運転評価をタイムリーに把握できる。
【0028】
また、イグニッションスィッチ52をオフとした後、設定時間だけ表示画面24,26、28及び30及び総合平均値表示部32の表示を継続するタイマー39を備えているので、エンジンが停止した後でも、ドライバは評価結果及び総合平均値を余裕をもって確認でき、ドライバ自身の省燃費運転の評価結果を確実に認識できる。
【0029】
さらに、入力部22によって、ドライバが省燃費運転の目標値を入力したり、あるいは燃費評価項目を選択できるので、ドライバの目標と実績の相違が明瞭になり、ドライバの目標値到達への意欲を高めることができる。また、ドライバが確認したい燃費評価項目の評価結果を自分で選択できるので、省燃費運転の向上につなげることができる。
【0030】
なお、本実施形態には、燃費評価項目として、燃費、アクセル操作回数、エンジン高回数及びブレーキ操作回数の4項目を選択したが、これら燃費評価項目のひとつの代わりに、一走行区間当たりのクラッチ操作回数を選択してもよい。また、燃費評価項目は4項目でなくてもよく、評価項目の数は適宜選択できる。
【0031】
なお、表示画面24,26、28及び30における評価結果の表示方法は、種々選択できる。例えば、特許文献2の図4には、種々の表示方法が開示されている。この表示例を図5に示す。図5の(A)は、標準の大きさをもつ数字による表示方法であり、(B)は拡大された数字による表示方法である。(C)はバーグラフを用いた表示方法であり、(D)及び(E)はアイコンを用いた表示方法である。(F)はアイコンと色表示を併用した表示方法であり、(G)は表示光度を低下させた表示方法である。本発明でも、これらの表示方法を適宜採用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明によれば、ドライバの省燃費運転の評価結果を、ドライバの運転の妨げにならないように表示し、安全性を確保できると共に、ドライバ自身の運行結果をタイムリーにかつ明瞭に把握できる。
【符号の説明】
【0033】
10 コンビネーションメータ
12 車速計
14 燃料計
18 表示装置
20 表示部
22 入力部
23 評価結果表示部
24,26,28,30 表示画面
32 総合平均値表示部
34 ECU
36 評価結果算出部
38 総合平均値算出部
39 タイマー
40 車速センサー
42 アクセル操作センサー
44 エンジン回転数センサー
46 ブレーキ操作センサー
48 クラッチ操作センサー
50 燃料噴射量
52 イグニッションスィッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の始動を検出する始動検出センサーと、
車両の停止を検出する停止検出センサーと、
前記始動検出センサーで検出された車両始動時から前記停止検出センサーで検出された車両停止時までの走行区間において、設定された燃費評価項目に対し、該燃費評価項目に係る測定値から評価結果を算出する評価結果算出手段と、
運転席付近に設けられ、前記評価結果算出手段によって算出された評価結果を車両停止時に表示する評価結果表示部とを備えていることを特徴とする燃費評価情報表示装置。
【請求項2】
車両の運行終了を検出する運行終了検出センサーと、
前記始動検出センサーで検出された車両始動時から前記運行終了検出センサーで検出された運行終了時までの運行区間における前記燃費評価項目毎の総合平均値を算出する総合平均値算出手段と、
該総合平均値を車両の運行終了時に表示する総合平均値表示部とを備えていることを特徴とする請求項1に記載の燃費評価情報表示装置。
【請求項3】
前記運行終了検出センサーがイグニッションスィッチであり、イグニッションスィッチがオフとなった時を運行終了とみなすと共に、
イグニッションスィッチがオフとなった後、設定時間だけ少なくとも総合平均値表示部の表示を継続するタイマーを備えていることを特徴とする請求項2に記載の燃費評価情報表示装置。
【請求項4】
省燃費運転の評価項目の目標値を入力し、又は前記設定された燃費評価項目のうち前記評価結果表示部に表示する燃費評価項目を選択する入力装置を備えていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかの項に記載の燃費評価情報表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−87635(P2013−87635A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−226308(P2011−226308)
【出願日】平成23年10月14日(2011.10.14)
【出願人】(598051819)ダイムラー・アクチェンゲゼルシャフト (1,147)
【氏名又は名称原語表記】Daimler AG
【住所又は居所原語表記】Mercedesstrasse 137,70327 Stuttgart,Deutschland
【Fターム(参考)】