説明

燐酸肥料の製造方法、燐酸肥料、死亡獣畜の炭化物

【課題】死亡獣畜の炭化物の新たな用途を提供する。
【解決手段】死亡獣畜の炭化物は、燐酸肥料としての優れた肥効を発揮することを見出した。燐酸肥料の製造は、死亡獣畜を炭化処理する工程を含む。燐酸肥料を製造するに際しては、死亡獣畜の炭化処理の前に予め処理雰囲気を無酸素雰囲気とすることが好ましい。更には、燐酸肥料を製造するに際しては、死亡獣畜の炭化処理の前に予め処理雰囲気を窒素雰囲気へ置換することが好ましい。このように、死亡獣畜は、炭化物とすることで燐酸肥料として有効に利用することができるようになる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は燐酸肥料の製造方法、燐酸肥料、死亡獣畜の炭化物に関する。
【背景技術】
【0002】
本願の発明者欄に名を連ねる清水は、特許文献1において、例えば死亡した乳牛や豚、羊、鶏、熊、トドといった死亡獣畜に代表される有機質固形廃棄物を効率良く炭化処理できる処理方法を既に報告している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−144120号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記文献1では、炭化物の応用に関しては今後の研究課題としながらも、漠然としたイメージとして、(a)土壌改良資材、(b)発熱材の改良、(c)家屋の環境改良材、をリストアップしていた。上記文献1の特に段落番号0049を参照されたい。しかしながら実情としては、死亡獣畜の炭化物に特段の用途はなく、単に廃棄処分する他なかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そこで、本願の発明者らは、確かな裏付けのある、死亡獣畜の炭化物の応用事例を提供すべく、上述した土壌改良資材に着目することとし、発明の完成を目指して研究開発を継続した。この土壌改良資材としては、例えば、土壌の含水性を向上させるものや土壌中の微生物に棲息場所を提供するもの、土壌そのものの浄化をするもの、といった用途が先ず挙げられる。しかし、本願の発明者らは、鋭意研究の末、死亡獣畜の炭化物には優れた肥効があること、具体的には、死亡獣畜の炭化物には一般的な化学肥料と比較して燐酸肥料としての優れた肥効があることを突き止めた。
【0006】
(1)即ち、本願発明の観点によれば、燐酸肥料の製造は、以下の方法で行われる。即ち、死亡獣畜を炭化処理する工程を含む方法である。死亡獣畜を炭化処理する工程によって得られた死亡獣畜の炭化物は、一般的な化学肥料と比較しても、燐酸肥料としての優れた肥効を発揮することを見出した。
【0007】
(2)上記の燐酸肥料の製造方法は、上記炭化処理の前に死亡獣畜を脱水処理させる工程を更に含むことが好ましい。これにより、死亡獣畜を炭化処理する工程に要する時間を短縮することができる。
【0008】
(3)上記の燐酸肥料の製造方法は、上記炭化処理の前に処理雰囲気を無酸素雰囲気とする工程を更に含むことが好ましい。これにより、二酸化炭素などの環境汚染物質の排出を抑えることができる。
【0009】
(4)上記の燐酸肥料の製造方法は、上記炭化処理の前に処理雰囲気を窒素雰囲気とする工程を更に含むことが好ましい。
【0010】
(5)本願発明の他の観点によれば、燐酸肥料は、死亡獣畜の炭化物を主成分とする。即ち、死亡獣畜の炭化物は、一般的な化学肥料と比較しても、燐酸肥料としての優れた肥効を発揮することを見出した。
【0011】
(6)また、別の観点から言えば、死亡獣畜の炭化物は、燐酸肥料として利用することができる。
【発明の効果】
【0012】
本願発明によれば、確かな裏付けのある、死亡獣畜の炭化物の応用事例を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】炭化処理装置の一部切り欠き斜視図
【図2】燐酸肥料の製造フロー
【図3】試験条件(試験の処理と養分施与量)
【図4】試験条件(供試土壌の一般的性質)
【図5】試験条件(供試牛炭化物の一般的性質)
【図6】試験結果(化学肥料の肥効)
【図7】試験結果(炭化物の肥効)
【図8】試験結果(化学肥料と炭化物の肥効比較、硫安添加なし)
【図9】試験結果(化学肥料と炭化物の肥効比較、硫安添加あり)
【図10】P欠乏症の症例
【図11】N欠乏症の症例
【図12】試験結果(化学肥料と炭化物の肥効比較)
【図13】試験結果(化学肥料と炭化物の肥効比較)
【発明を実施するための形態】
【0014】
(本願明細書において、P欠乏症やP含有量といった用語における「P」とは、原則として、燐を意味するものとする。)
【0015】
以下、図1及び図2を参照しつつ、本願発明の一実施形態に係る燐酸肥料の製造方法を説明する。
【0016】
図1に示すように、本実施形態に係る燐酸肥料の製造に供される炭化処理装置100は、外箱1と、この外箱1内に設置される内筒2と、を主たる構成として備えている。
【0017】
上記外箱1は、内部に略直方体形状の空間を有する密閉箱型に形成されており、各壁はファイバーボードから成る断熱材をステンレス鋼板で挟んだ構成となっている。外箱1の一対の側壁3には、内筒2と連通する開口4が形成されている。
【0018】
上記内筒2は、ステンレス鋼板から成る筒体である。この内筒2の内部に形成される炭化処理室5は、上記の開口4を介して外部からアクセス可能に構成されている。また、上記外箱1の各側壁3には、内筒2の炭化処理室5を密閉する搬入蓋6が開閉自在に取り付けられている。上記の外箱1と内筒2との間の密閉空間は、加熱室7として利用される。
【0019】
次に、細部の構成を説明する。
【0020】
上記内筒2の周壁には、減圧孔8と、窒素封入孔9と、一対のドレーン孔10と、が形成されている。
【0021】
減圧孔8には減圧装置11が接続されており、内筒2内の気圧を例えば2Torrに到るまで減圧させることができる。
【0022】
窒素封入孔9には窒素供給装置12が接続されており、内筒2内に窒素を供給することができるようになっている。
【0023】
ドレーン孔10には略示のドレーン管を介して図示しないドレーンタンクに接続されており、内筒2内で発生した液体(例えば、水分や血液、油脂)を回収することができるようになっている。
【0024】
上記外箱1の一方の側壁3には、一対のバーナー13が取り付けられている。また、外箱1の上壁には一対のガス排出孔14が形成されている。
【0025】
各バーナー13は、例えばLPG(Liquefied petroleum gas、液化石油ガス)を燃料として上記加熱室7内に加熱流体を供給する。加熱室7内に供給された加熱流体は、上記ガス排出孔14を介して外部へ、或いは図示しない排気ガス処理装置へと煙突効果により送出される。
【0026】
上記の炭化処理室5と加熱室7には、室内の温度をモニターするための温度計5a、7aがそれぞれ設けられている。また、炭化処理室5内には、炭化処理対象物を収容した二点鎖線のトレー15を内筒2の軸方向で円滑に移動させるためのコロ16が多数、並べて設けられている。これらのコロ16は、例えばシリコロイ(登録商標)によって構成され、図示しないローラーブラケットレール上に回転自在に支持されている。
【0027】
更に、炭化処理装置100は、例えばパーソナルコンピュータから成る制御装置200を備えている。制御装置200は、演算処理器としてのCPU(Central Processing Unit)、読み書き自由なRAM(Random Access Memory)、読み出し専用のROM(Read Only Memory)を有し、ROMに記憶されたプログラムがCPU上で逐次実行されることで、CPUなどのハードウェアは、減圧装置11、窒素供給装置12、バーナー13を自在に制御し、温度計5a、7aの出力を取得することができるようになっている。
【0028】
(作動:図2参照)
以上の炭化処理装置100を用いて燐酸肥料を製造するには(S300)、先ず、死亡獣畜を解体して、例えば900mm平方の床面積を有するトレー15に収容できる程度に細切れにする(S310)。この解体に際しては、予め死亡獣畜を液体窒素に漬けて硬化させ、その後、市販の粉砕機で粉砕させるのがよい。
【0029】
次に、細切れにした死亡獣畜をトレー15に収容した上で炭化処理装置100の内筒2内に搬入する(S320)。本実施形態に係る炭化処理装置100は、図1に示すように4つのトレー15を同時に収容可能となっている。例えば1つのトレー15が炭化処理対象物を200kg収容可能であるとすると、1チャージで800kgの炭化処理対象物を炭化処理できる計算になる。
【0030】
(真空脱水工程:S330)
次に、制御装置200を稼働させる。制御装置200は、減圧装置11を適宜制御することにより、内筒2内の気圧を例えば2Torrに至るまで減圧させる(S330)。これにより、内筒2内の酸素は可及的に外部へと排出され、いわゆる無酸素雰囲気が形成される。制御装置200は、上記減圧が完了したら、その状態を約20分間、継続させる。これにより、内筒2内に収容された死亡獣畜の脱水が行われる(S330)。死亡獣畜から蒸発した水分や血液、油脂は、減圧装置11に吸引回収されたり、ドレーン孔10を介して回収される。このとき、好ましくは、制御装置200は、バーナー13を適宜制御することにより、内筒2内の処理雰囲気温度が概ね150℃となるように加熱室7を加熱するとよい。上記の脱水が効率良く行われるからである。
【0031】
(窒素充填工程:S340)
次に、制御装置200は、窒素供給装置12を適宜制御して、内筒2内を窒素雰囲気とする(S340)。つまり、この時点で、内筒2内の処理雰囲気は、無酸素且つ窒素雰囲気となっている。
【0032】
(炭化処理工程:S350)
次に、制御装置200は、バーナー13を適宜制御して、内筒2内の窒素雰囲気を約450℃に加熱すると共に、その状態を約4時間、持続させる。これにより、内筒2内に収容された死亡獣畜は残すところなく炭化されることになる(S350)。このとき、死亡獣畜は予め脱水処理が施されているので、上記の炭化処理に要する処理時間の短縮、及び低温(450℃)による炭化処理が実現されている。また、低温による炭化処理により、ダイオキシンの発生が抑えられる。また、内筒2内の処理雰囲気が無酸素雰囲気とされているので、二酸化炭素の生成が強力に抑えられている。なお、日本国内では関連法規との兼ね合いで、死亡獣畜を肥料として利用するには1000℃30分の条件で加熱する必要があるとされている。従って、上記の炭化処理に前後するかたちで、死亡獣畜又は死亡獣畜の炭化物を1000℃30分の条件で加熱する場合がある。
【0033】
(水冷工程:S360)
次に、制御装置200は、図示しない水冷手段によって内筒2を約30分、水冷する(S360)。
【0034】
以上に説明した真空脱水工程(S330)から水冷工程(S360)までの工程は、トータルで1チャージ5時間で完了することになる。
【0035】
次に、炭化した死亡獣畜をトレー15ごと、炭化処理装置100から搬出し(S370)、肥料として利用し易いように粒径が概ね3mm以下となるように図示しない粉砕機で粉砕する(S380)。もって、燐酸肥料の製造が完了する(S390)。
【0036】
(効果確認試験)
次に、死亡獣畜の炭化物を燐酸肥料として利用した場合における当該炭化物の肥効を確認するために実施した試験について報告する。死亡獣畜の炭化物の燐酸肥料としての肥効は、以下の各試験によって裏付けられている。なお、供試作物はトウモロコシとし、炭化物を更に粉砕して1mmのフルイを通過した細粒状の炭化物として試験に供試した。
【0037】
(試験条件)
図3〜図5に試験条件を示す。図3において、「資材」とあるのは各鉢の土壌に施与した肥料の種別を意味する。「無施与」とは、牛炭化物(以下、単に炭化物とも称する。)も化学肥料(硫安、過燐酸石灰、硫加を含む複合肥料)も何れをも施与していないことを意味する。図3の表中の数値の単位は、g/potである。「ブレイP」とあるのは、BrayNo.2法によって測定した有効態燐を意味する。「トルオーグP」とあるのは、Truog法によって測定した有効態燐を意味する。「N施与量」とあるのは、別途施与した(炭化物や化学肥料の施与とは別に施与した)硫安の施与量を意味する。従って、「処理区名」の列で「N-」とあるのは硫安を施与していないことを意味し、「N+」とあるのは硫安を所定量、別途施与していることを意味している。なお、表中、「炭少-」の「資材原物施与量」は61g/potとしているが、これは、約30t/haに相当する量である。
【0038】
図4は、本試験で用いた供試土壌の一般的性質の分析値である。今回の供試土壌は、火山灰由来の厚層多腐植質黒ボク土(採土地:北海道根室支庁管内標津町)で、リン酸吸収係数が極めて大きく、施与されたリンが土壌に固定されて、作物に吸収されにくくなりやすい特徴を有している。図4の土壌診断結果に基づけば、この土壌の作物に有効なリン含量は作物に欠乏を与える程度しかなく、極めてリンに不足した土壌である。
【0039】
図5は、各試験で用いた供試牛炭化物の一般的性質の分析値である。図5の表から判る通り、供試牛炭化物は、pHが高く、pHが低い上記の黒ボク土に施与すれば、土壌のpHを高める効果がある。りん含量は大きく、N、K、Ca、Mgも含まれている。リンに不足した土壌において栽培される作物の生育に良い効果があると考えられる。なお、図5の表のデータは、牛体全体を炭化して得られた炭化物の平均値である。
【0040】
なお、炭化物と化学肥料との燐酸肥料としての肥効の優劣を公平に評価すべく、図3において、化学肥料は、施与された炭化物中に含まれるNH4-N(10%塩化カリウム可溶)、トルオーグP(トルオーグ法によって抽出されるP)及び1モル酢酸アンモニウム(pH7.0)可溶のK量と等しくなるように硫安、過リン酸石灰及び硫加で与えている。
【0041】
(試験結果:図6)
図6では、化学肥料の肥効の有無を単独で(炭化物と比較せずに)検証している。図6の写真は、播種後45日目に撮影したものである(以降の図7〜図11についても同様)。図6によれば、化学肥料を施与しても、葉が小型で光沢が悪く、典型的なP欠乏症(燐酸欠乏症)が発症していることが判る。このことから、トウモロコシを正常生育させるには、化学肥料としてのP施与量が少なかったことが理解できる。
【0042】
(試験結果:図7)
図7では、炭化物の肥効の有無を単独で(化学肥料と比較せずに)検証している。図7によれば、炭化物を施与すると、葉が何れも大型となり光沢を有し、P欠乏症を回避できていることが判る。このことから、炭化物の燐酸肥料としての効果は極めて大きいことがわかる。ただし、硫安を施与していない鉢では、別途施与した鉢と比較して、若干葉色が悪く、僅かながらの生育不良(即ち、N欠乏症)が認められる。つまり、炭化物の少量(61g/pot)施与によってトウモロコシのP要求量を十分に満たし、生育が旺盛になること、更に旺盛な生育によって増加するN要求量は炭化物由来のNでは不足していることがわかる。
【0043】
(試験結果:図8)
図8では、別途硫安を施与していない場合における、化学肥料の肥効と炭化物の肥効を対比させながら検証している。図8によれば、化学肥料を施与するよりも、炭化物を施与した方が、葉が大型となり光沢も良好となることが判る。従って、炭化物の燐酸肥料としての肥効は、トルオーグPとしての有効態P相当量の化学肥料よりは、その肥効が遥かに優れていることが裏付けられた。
【0044】
(試験結果:図9)
図9では、別途硫安を施与した場合における、化学肥料の肥効と炭化物の肥効を対比させながら検証している。図9によっても、化学肥料を施与するよりも、炭化物を施与した方が、葉が大型となり光沢も良好となることが判る。従って、炭化物の燐酸肥料としての肥効は、トルオーグPとしての有効態P相当量の化学肥料の燐酸肥料としての肥効と比較して優れていることが再度、裏付けられた。
【0045】
(試験結果:図10、11)
図10では、炭化物を施与しなかった鉢(図3の炭無N-或いは炭無N+)で発症したP欠乏症を参考までに拡大して示している。このことは本実験に供試した土壌が極めてPに不足した土壌であることを示している。また、図11では、炭化物を施与したが別途硫安を施与しなかった鉢(図3の炭多N-)で発症したN欠乏症を参考までに示している。ここでN欠乏症の症状を示した理由については、図7の試験結果についての考察を参照されたい。
【0046】
(試験結果:図12)
図12では、播種後45日目におけるトウモロコシを鉢から取り出し、取り出したトウモロコシを地上部と根部に切り分け、それぞれの乾物量を測定した結果を示している。図12によれば、化学肥料を施与した場合と比較して、炭化物を施与した場合は、地上部、根部何れも乾物量の観点から優れていることが判る。このことは、炭化物が燐酸肥料としての効果を有することを明確に示すと共に、トルオーグPとして有効態と考えられるPを化学肥料で施与した時の効果以上の肥効があることを示している。言い換えると、炭化物中のPはトルオーグ法によって抽出されるP以上に有効なPを含んでいることが明らかに示唆される。
【0047】
(試験結果:図13)
図13では、播種後45日目におけるトウモロコシを鉢から取り出し、取り出したトウモロコシを地上部と根部に切り分け、乾燥粉砕した後に硫酸と過酸化水素で分解し、植物体中に含まれる全Pをバナドモリブデン酸法で分析した結果から計算したそれぞれのP含有率及びP含有量を示している。図13によれば、P含有量の観点からもP含有率の観点からも、トルオーグPとしての有効態Pに相当する量を与えた化学肥料と比較して炭化物は、燐酸肥料としての肥効が圧倒的に優れていることが一瞥して判る。
【0048】
<まとめ>
(1)以上説明したように本実施形態において燐酸肥料の製造は、死亡獣畜を炭化処理する工程を含む方法で行われている。即ち、死亡獣畜を炭化処理する工程によって得られた死亡獣畜の炭化物は、一般的な化学肥料と比較しても、燐酸肥料としての優れた肥効を発揮することを見出した。
【0049】
(2)上記炭化処理の前に死亡獣畜を脱水処理させる工程を更に含むことが好ましい。これにより、死亡獣畜を炭化処理する工程に要する時間を短縮することができる。従って、燃焼に消費するエネルギーやそれによるCO2排出量を大幅に削減できる。
【0050】
(3)上記炭化処理の前に処理雰囲気を無酸素雰囲気とする工程を更に含むことが好ましい。これにより、二酸化炭素などの環境汚染物質の排出を抑えることができる。
【0051】
(4)上記炭化処理の前に処理雰囲気を窒素雰囲気とする工程を更に含むことが好ましい。
【0052】
(5、6)死亡獣畜の炭化物の新たな用途として、燐酸肥料が挙げられる。そして、以上の明細書により、死亡獣畜の炭化物を主成分とした燐酸肥料は、燐酸肥料としての予測できない肥効(化学肥料を大きく上回る肥効)があったことを報告する。
【0053】
なお、死亡獣畜としては、上記実施形態で例示した乳牛に限られず、例えば、豚、羊、鶏、熊、トドであってもよい。
【0054】
上述したように死亡獣畜の炭化物を燐酸肥料としてリサイクルすることで、自然循環型の流通システムが構築され、昨今クローズアップされている地球環境保全への貢献が期待できる。また、本願の技術思想は、昨今のリン枯渇問題の緩和に大いに貢献するだろう。
【符号の説明】
【0055】
1 外箱
2 内筒
100 炭化処理装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
死亡獣畜を炭化処理する工程を含む、燐酸肥料の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の燐酸肥料の製造方法であって、
上記炭化処理の前に死亡獣畜を脱水処理させる工程を更に含む、燐酸肥料の製造方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の燐酸肥料の製造方法であって、
上記炭化処理の前に処理雰囲気を無酸素雰囲気とする工程を更に含む、燐酸肥料の製造方法。
【請求項4】
請求項1〜3の何れかに記載の燐酸肥料の製造方法であって、
上記炭化処理の前に処理雰囲気を窒素雰囲気とする工程を更に含む、燐酸肥料の製造方法。
【請求項5】
死亡獣畜の炭化物を主成分とした燐酸肥料。
【請求項6】
燐酸肥料として利用する、死亡獣畜の炭化物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−178653(P2011−178653A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−11954(P2011−11954)
【出願日】平成23年1月24日(2011.1.24)
【出願人】(506376023)株式会社S・S研究所 (5)
【出願人】(503096591)学校法人酪農学園 (13)
【Fターム(参考)】