説明

燻煙および空気乾燥が可能な単層または多層のチューブ状食品包装フィルム、およびその製造のための方法

この発明は、燻煙および空気乾燥が可能な単層または多層のチューブ状食品包装フィルム、特に燻煙および/または空気乾燥されたソーセージもしくは肉製品用のソーセージケーシングであって、このポリマーベースの食品フィルムは、(共)押出フィルムブロー成形工場で、ブローヘッドのノズルに供給されトリプルバブルプロセスで二軸延伸で(共)押出されたプラスチックにより、均質の溶融プラスチック材料から製造され、均質の溶融プラスチック材料は、PETまたはさまざまなPETの混合物と、PVOHおよび/またはPEBAとでできたプラスチック混合物から作られる。この方法はさらに、食品フィルムの製造のための方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、請求項1の前提部に従った、燻煙および空気乾燥が可能な単層または多層のチューブ状食品包装フィルム、特に燻煙および/または空気乾燥されたソーセージもしくは肉製品用のソーセージケーシングであって、このポリマーベースの食品フィルムは、(共)押出フィルムブロー成形工場で、ブローヘッドのノズルに供給されトリプルバブルプロセスで二軸延伸で(共)押出されたプラスチックにより、均質の溶融プラスチック材料から製造される、食品包装フィルムに関する。この方法はさらに、請求項11の前提部に従った、その製造のための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
燻煙可能なソーセージケーシングは、慣例から、および文献から公知である。このため、特許明細書DE 199 42 835 A1は人工のソーセージケーシング材料でできたソーセージケーシングを開示しており、その目的のために、ガスおよび酸素を透過可能な軟らかいプラスチック材料が採用されている。DE 199 42 835 A1に記載されたソーセージケーシング材料は、溶接された長手方向の継目を有する不規則に湾曲したソーセージ形状を有する。このソーセージケーシングは燻煙可能で十分に高い強度を有すると言われている。
【0003】
さらに、特許明細書DE 198 30 389 A1から、空気乾燥および燻煙が可能な食品用フィルムが公知である。
【0004】
また、特許明細書DE 101 25 762 A1は、材料織物を溶接し切断するための溶接切断機で、溶接可能なプラスチックのフィルム材料でできた1度折畳まれた織物から作られた、不規則な外形を有する成形物品を開示している。この切断溶接された成形物品は、十分に高い強度を有する燻煙可能なソーセージケーシングを提供すると言われている。
【0005】
さらに、特許明細書DE 35 26 394 C2から、長手方向においてホース内へと接合された少なくとも一種のポリアミド(略してPA)でできた、結合剤を含有しないスパンフリースから作られていると言われている生ソーセージケーシングが公知である。この生ソーセージケーシングは燻煙可能であると言われている。
【0006】
特許明細書DE 35 26 394 C2は、燻煙可能であると言われているファイバフリース強化人工ケーシングを開示している文献DE 30 29 028 A1にも言及している。この目的のために使用されるファイバフリースは、PAベースで形成されてもよい。特に適したスパンフリースは、PAおよびポリプロピレン(略してPP)ベースのものとなる。同様のスパンフリースにはコーティング溶液が含浸されることになっている。特許明細書DE 30 29 028 A1に記載された好適なコーティング材料もまた、粉末の形で施され、その後で熱溶融されてフィルムになり得る任意のフィルム形成ポリマーである。さらに、好適なフィルム形成ポリマーは、溶融物、溶液、懸濁液、または分散液の形でコーティングとして施され、その後の乾燥によってフィルムへと形成され得るものである。言及される好適なコーティング材料は、とりわけ、たとえばポリビニルアルコール(略してPVOH)といったさまざまなポリマーまたはそれらの混合物でできた、分子が分散したまたはコロイド状の溶液または懸濁液である。
【0007】
文献DE 42 20 957 A1は、発泡層を備えた可撓性のあるキャリア材料を含む包装ケーシングを開示している。この目的のために使用されるコーティング材料は、完全鹸化PVOHになるものである。この物質の泡は、耐水性を有し、グリースが入らないようになっており、また、酸素、窒素、および二酸化炭素を実質的に透過させないと言われている。水蒸気だけが、完全鹸化PVOHの発泡層を自由に透過し得る。完全鹸化PVOHはしたがって、ソーセージケーシングに、特に生ソーセージに適していると言われている。さらに、PVOHと他のプラスチック分散液との組合せが考えられると言われている。
【0008】
一方、文献WO 00/75220 A1は、PAとポリエーテルブロックアミド(略してPEBA)とからなるプラスチックの押出されたチューブ状混合物をベースとするフィルムケーシングを開示している。実際には、言及されたこの混合物は、従来のPA混合物と比べ、より高い水蒸気および酸素の透過性または透過をもたらし、このため、制限された燻煙可能性ももたらす。しかし、実際には、ソーセージまたは肉製品の所望の必要な表面染色が全くない。
【0009】
出願人の実際の経験によれば、燻煙可能性はPEBA含有量に大いに依存しているものの、それはPEBAの濃度が高くても十分ではない。さらに別の欠点は、PEBAが高価で軟らかい材料であるということである。その結果、それ相応に高いPEBA含有量を有する混合物では、ある程度の燻煙可能性が認められる。しかしながら、一方では、高いコストのせいで、また、特に低過ぎる剛性および強度のせいで、ソーセージ製品に特に要求されるフィルムのひだ寄せが、困難にまたは不可能にさえなる。他方では、寸法安定性に乏しいため、このフィルムケーシングを生ソーセージに、またはハードソーセージ、特にサラミに使用することはできない。
【0010】
対照的に、特許明細書DE 102 95 683 T5は、PAと低比率のPVOHとの混合物でできたソーセージケーシングを開示している。文献WO 00/75220 A1に従ったフィルムケーシング以外に、この混合物は、ソーセージまたは肉製品の、最適ではないもののある程度の表面染色を可能にする。しかしながら、要求される酸素またはガスの透過性が明らかに低過ぎる。PA混合物またはPA/PEBA混合物と比べ、水蒸気透過性はより高いものの、燻煙可能な食品フィルムとしての使用にとっては依然として低過ぎる。このフィルム構造では、表面染色、酸素または水蒸気に対する透過性、ひいては燻煙可能性における改良は、壁厚を大幅に薄くすることによってしか達成されないであろう。しかしながら、このことはまた、剛性および/または強度に対して、ひいてはひだ寄せ適合性に対して同程度悪影響を与えることになり、それは生ソーセージまたはハードソーセージへの使用に反するものである。
【0011】
最後に、文献DE 103 02 960 A1、DE 103 20 327 A1、およびDE 103 23 417 B3は、同様にPAベースである食品ケーシングを開示している。これらでは、燻煙可能性の改良を目的として、PVOHおよびPEBAといった複数の添加成分が、基材であるPAに部分的に混ぜられている。結果として生じる混合物は、ソーセージの分野におけるいくつかの用途について、表面染色や酸素および水蒸気の透過性に関し、限定された有用性を提供する。しかしながら、このフィルム構造の1欠点は、剛性および強度の欠如である。なぜなら、この場合、燻煙可能性および表面染色を得るために、少なくとも2つの軟らかい成分(PVOH、PEBA)を、比較的硬い基材であるPAに混ぜるためである。この2つの添加成分を少量ずつ混ぜるだけでも、フィルムの剛性および/または強度は、多くの用途にとって低過ぎるレベルにまで低下する。加えて、不十分な燻煙可能性および表面染色を改良するために、添加成分をより多く混ぜるか、壁厚を薄くすることが必要となるであろう。このこともまた、多くの使途にとって要求される強度およびひだ寄せ適合性に悪影響を与える。
【0012】
このように、ポリマーベースの、特にPVOHおよびPEBAを有するPAベースの燻煙可能な食品ケーシングがこのように先行技術から公知であるものの、それらの低い剛性、ひいては劣ったひだ寄せ適合性、ならびに概して不十分な寸法安定性のため、使用範囲が限られている、というのが事実である。加えて、煙の吸収にとっては低過ぎる水蒸気透過性および水蒸気吸収、PAの価格が比較的高いことによる過度に高いレベルのコスト、ならびに剛性のために要求されるより厚い材料厚さは、意図された使用目的には条件付きでしか適していない。
【0013】
大規模連続製造における食品フィルムの機械的特性を改良するために、ネット、可撓性のあるキャリア材料、またはスパンフリースを利用することが、先行技術からさらに公知である。しかしながら、特にファイバフリースまたはスパンフリースの場合、複雑性を高めるために、これらを圧縮し、またはコーティングしなければならないことが多い。しかしながら、この方法では、それらの低い剛性を十分に高めることができず、そのため、ひだ寄せがはるかにより難しくなり、特にネットなしで小さな口径のひだ寄せをすることは明らかに不可能となる。したがって、そのような公知のソーセージケーシングは、今日に至るまで、自動化されたさらなる処理には適していなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
したがって、燻煙および空気乾燥が可能な単層または多層のチューブ状食品包装フィルムを提案することが、この発明の目的であり、それは、工業用大量生産において溶融プラスチック材料から大量に、かつコスト効率のよい態様で生産可能であり、この食品フィルムは、酸素および水蒸気の透過性により、かつ酸素および水蒸気の吸収により決定される燻煙可能性、詰め物の表面染色、剛性および/または強度(寸法安定性)といったコアパラメータを、依存性によってもたらされる妥協なく達成し、また、自動化された態様でのその後のさらなる処理が可能である。さらに別の目的は、この目標にとって適切な方法を特定することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
この目的は、請求項1の特徴によって、また、プロセス技術に関しては請求項11の特徴によって達成される。
【0016】
この発明に従って提案されていることは、燻煙および空気乾燥が可能な単層または多層のチューブ状食品フィルム、特に燻煙および/または空気乾燥されたソーセージもしくは肉製品用のソーセージケーシングであって、食品フィルムは、(共)押出フィルムブロー成形工場で、ブローヘッドのノズルに供給されトリプルバブルプロセスで二軸延伸で(共)押出されたプラスチックにより、均質の溶融プラスチック材料から製造され、均質の溶融プラスチック材料は、ポリエチレンテレフタレート(略してPET)、またはさまざまなPETの混合物と、PVOHおよび/またはPEBAとでできたプラスチック混合物から作られる。
【0017】
有利には、このことは、ノズルブラスト引抜プロセス、およびその後のトリプルバブルプロセスでの二軸延伸における、食品包装用の燻煙可能で空気乾燥可能なチューブ状食品フィルムの大規模製造を初めて可能にするだけではなく、大規模連続生産における特定の一欠点であると思われる前述のネット、可撓性のあるキャリア材料、またはスパンフリースを完全に排除することが可能である。加えて、特に有利には、不十分な透過性および吸収の値のため、また不十分な剛性および過度に高いコストのために、市場では条件付きの使用しか見出せなかった公知のPA混合物に取って代わることが可能である。
【0018】
この発明の食品フィルムに関するさまざまな研究および検査により、いくつかの傾向が明らかとなった。このため、良好な寸法安定性および剛性には、高いPET含有量が本質的に必要である。PAベースの混合物以外では、高いPET含有量は、所望の高い煙透過性、詰め物の表面染色、および詰め物の低い付着性を損ねない。すなわち、高いPET含有量による、水蒸気の吸収および透過性、表面染色、ならびに煙透過性の減少は、同様のPA複合物による減少よりも明らかに少ない。加えて、詰め物の付着性が不利に高くなることはない。
【0019】
さらに、PEBAの添加により、水蒸気および煙の透過性が実質的に改良され、同時に、剥離性がさらに最適化され得ることがわかった。しかしながら、PEBAの添加は、所望の高い酸素または水蒸気の透過性、ひいては煙透過性の最終的な調節を依然として可能にはしていない。また、PEBAを添加するだけでは、表面染色を十分に調節することもできない。加えて、寸法安定性および/または剛性は、不適切に割当てられたPEBAの添加によって劣化し、所望の特性に関してさらなるトレードオフをもたらす。
【0020】
しかしながら、驚いたことに、PVOHをさらに混ぜると、この発明に従って混合比率が選択され、割当てられた場合には、所望の高い水蒸気透過性、ひいては煙透過性も呈するプラスチック混合物が初めてもたらされたことがわかった。さらに、これにより、高い表面染色、および実質的により高い剛性が達成される。加えて、詰め物の付着性がさらに減少する。さらに、この発明のプラスチック混合物では、寸法安定性の調節可能性が最適なままである。
【0021】
この発明の燻煙可能で空気乾燥可能な食品フィルムは、たとえばサラミといった生ソーセージに特によく適しており、詰め物が手で充填された場合でも、すなわち、圧力をかけずに、またはほんの低い圧力下で、適切な充填器を使用せずに充填された場合でも、皺を形成することなく詰め物との接触を維持する。
【0022】
この発明に従った燻煙可能で空気乾燥可能なチューブ状食品包装フィルムを用いて生産された肉またはソーセージ製品、たとえば生ソーセージ、特にハードソーセージまたはサラミは、燻煙に素晴しく適しており、特に空気乾燥によく適している。
【0023】
この発明の食品フィルムの有利な展開が、下位請求項の主題である。
このため、単層または多層の燻煙可能で空気乾燥可能なチューブ状食品包装フィルムのプラスチック混合物は、第1の変形において、
−50〜99重量%の比率のPET、またはさまざまなPETの混合物と、
−1〜50重量%の比率のPVOHと
を含んでいてもよく、または、
第2の変形において、
−70〜99重量%の比率のPET、またはさまざまなPETの混合物と、
−1〜30重量%の比率のPEBAと
を含んでいてもよく、または
第3の変形において、
−20〜98重量%の比率のPET、またはさまざまなPETの混合物と、
−1〜50重量%の比率のPVOHと、
−1〜30重量%の比率のPEBAと
を含んでいてもよい。
【0024】
特に有利な一実施例では、第3の変形のプラスチック混合物は、
−55〜90重量%、特に60〜75重量%の比率のPET、またはさまざまなPETの混合物と、
−5〜30重量%、特に15〜25重量%の比率のPVOHと、
−1〜15重量%、特に5〜10重量%の比率のPEBAと
を含む。
【0025】
この発明のこれらの実施例は、ノズルブラスト引抜プロセス、およびその後のトリプルバブルプロセスでの二軸延伸における、燻煙可能で空気乾燥可能なチューブ状食品フィルムの特に簡単な製造を初めて可能にし、それはひいては、たとえばサラミ用などの燻煙可能なソーセージケーシングの要件に初めて十分に対応している。この食品フィルム、すなわちこのソーセージケーシングまたは食品フィルムは、最大の水蒸気吸収および煙透過性を達成しており、酸素透過性は別として、水蒸気の透過性および吸収は燻煙プロセスにとっても重要である。同時に、良好なひだ寄せプロセスにとって重大な高い剛性が得られる。この食品フィルムでは、最適な充填プロセスに要求される良好な寸法安定性が等しく達成される。
【0026】
加えて、この発明の食品フィルムでは、後の処理作業に関係する、要求された詰め物の低い付着性および良好な剥離性が、容易に得られる。なぜなら、PAベースの混合物以外の、原料基材であるPETが、実質的に詰め物と付着しないためである。
【0027】
最後に、この発明の食品フィルムでは、燻煙されたソーセージ製品の典型的な外観を生み出す、詰め物の、特にソーセージ製品の所望の高い表面染色が、同様に見事に得られる。
【0028】
また、食品フィルムは、特に150mmまでの口径で、好ましくは15mm〜90mmの口径で、10〜50μm、好ましくは15〜30μmの範囲のフィルム厚さを呈していてもよい。このため、この発明の食品ケーシング用の十分に高い強度および寸法安定性を提供するフィルム厚さを選択することが可能である。
【0029】
別の実施例では、食品フィルムは、20μmのフィルム厚さで、少なくとも1.5kg/(m2・日)の水蒸気透過性を呈していてもよい(測定方法:ISO 15106−1)。水蒸気透過性はこのため、同時に高い剛性で、従来のPAベースの混合物の5〜6倍である。そのような高い水蒸気透過性により、この発明の食品フィルムで包装された食品を効率よくかつ効果的に燻煙することが可能となる。
【0030】
また、食品フィルムは、少なくとも0.4重量%、好ましくは0.4〜1.1重量%の範囲の水蒸気吸収を呈していてもよい。そのような高い水蒸気吸収は次に、燻煙可能性の高い効率をもたらす。これに対し、匹敵するPAベースの混合物は、少なくとも20〜30%高いコストで、約0.1重量%の水蒸気吸収しか呈さない。
【0031】
食品フィルムが、2,000〜3,000N/mm2の範囲の弾性係数を呈する場合、さらに有利である(測定方法:ISO 527)。これに対し、PAベースの混合物は、400〜750N/mm2の弾性係数しか呈さない(測定方法:ISO 527)。そのような高い弾性係数は、要求されるひだ寄せ適合性の前提条件である、この発明の食品フィルムの高い剛性を示すものである。同時に、剛性は、従来のPAベースの混合物よりも約4〜6倍高い、食品フィルムの優れた強度の尺度である。このため、この発明の食品フィルムの特に薄い壁厚を実現することが可能である。これは次に、燻煙可能性が良好であるだけでなく、食品フィルムが自動化されたさらなる処理に最適に適合できるという利点をもたらす。
【0032】
同時に、この発明の食品フィルムは非常に良好な寸法安定性を呈し、そのため、それを用いて生産された肉またはソーセージ製品は、対応する燻煙ステップの後で、また長期にわたる空気乾燥段階の後の所与の場合でも、ソーセージケーシングによって予め定められた所望の形状を特に良好に維持する。
【0033】
したがって、この発明の食品フィルムは、直径が30mm未満の小さな口径さえも許容し、ひだが寄せられた長さに対する伸長長さの比が、伸長された条件で少なくとも100m、ひだが寄せられた条件で20cmの、特に良好なひだ寄せ適合性によって特徴付けられる。
【0034】
別の実施例では、プラスチック混合物は、少なくとも一種のケイ酸塩を含んでいてもよい。これにより、水蒸気および煙の透過性が大幅に増加する。
【0035】
加えて、プラスチック混合物は、コーンスターチ、セルロース粉末、および微小ガラスビーズからなる群から選択される少なくとも1つの充填剤を含んでいてもよい。そのような充填剤の添加も、水蒸気および煙の透過性の大幅な増加をもたらす。
【0036】
また、プラスチック混合物は、チョーク、タルカム、塩、および他の鉱物からなる群から選択される少なくとも1つの充填剤を含んでいてもよい。そのような添加は、透過性および吸収特性の改良をもたらす。
【0037】
プロセス技術に関しては、前述の目的は請求項11の特徴によって達成され、上述の特徴および利点がこの発明の方法に同様に当てはまる。
【0038】
このため、燻煙および空気乾燥が可能な単層または多層のチューブ状食品フィルム、特に燻煙および/または空気乾燥されたソーセージもしくは肉製品用のソーセージケーシングの製造のためのこの発明の方法において、ソーセージまたは肉製品は燻煙および/または空気乾燥の前に食品フィルム内に充填される。この食品フィルムは、ノズルブラスト引抜プロセスで、およびその後のトリプルバブルプロセスでの二軸延伸を受けて、均質の溶融プラスチック材料から製造される。また、均質の溶融プラスチック材料は、PET、またはさまざまなPETの混合物と、PVOHおよび/またはPEBAとから作られる。
【0039】
この発明の方法の有利な展開が、下位請求項の主題であり、前述のようなこの発明の食品ケーシングについて述べた利点はすべて、この発明の方法にも同様にあてはまる。
【0040】
このため、プラスチック混合物の第1、第2、または第3の変形が選択されてもよく、第1の変形は、
−50〜99重量%の比率のPET、またはさまざまなPETの混合物と、
−1〜50重量%の比率のPVOHと
を含み、
第2の変形は、
−70〜99重量%の比率のPET、またはさまざまなPETの混合物と、
−1〜30重量%の比率のPEBAと
を含み、または
第3の変形は、
−20〜98重量%の比率のPET、またはさまざまなPETの混合物と、
−1〜50重量%の比率のPVOHと、
−1〜30重量%の比率のPEBAと
を含む。
【0041】
この方法の特に有利な一実施例では、第3の変形に従った食品フィルムを製造するために、
−55〜90重量%、特に60〜75重量%の比率のPET、またはさまざまなPETの混合物と、
−5〜30重量%、特に15〜25重量%の比率のPVOHと、
−1〜15重量%、特に5〜10重量%の比率のPEBAと
を供給することが可能である。
【0042】
このため、食品フィルムのフィルム厚さは、特に150mmまでの口径で、好ましくは15mm〜90mmの口径で、10〜50μm、好ましくは15〜30μmの範囲で調節されてもよい。
【0043】
さらに、プラスチック混合物は、食品フィルムが、20μmのフィルム厚さで、少なくとも1.5kg/(m2・日)の水蒸気透過性を呈するように選択されてもよい。
【0044】
加えて、プラスチック混合物は、食品フィルムが少なくとも0.4重量%、好ましくは0.4〜1.1重量%の範囲の水蒸気吸収を呈するように選択されてもよい。
【0045】
別の実施例では、プラスチック混合物は、食品フィルムが2,000〜3,000N/mm2の範囲の弾性係数を呈するように選択されてもよい。
【0046】
加えて、少なくとも一種のケイ酸塩が、プラスチック混合物に添加されてもよい。
さらに、コーンスターチ、セルロース粉末、および微小ガラスビーズからなる群から選択される少なくとも1つの充填剤を、プラスチック混合物に添加することが可能である。
【0047】
最後に、チョーク、タルカム、塩、および他の鉱物からなる群から選択される少なくとも1つの充填剤を、プラスチック混合物に添加することが可能である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
たとえばソーセージケーシングといった食品包装用のこの発明の燻煙可能で空気乾燥可能なチューブ状食品フィルムの製造にとって最適なプラスチック混合物を定めるために、前述の好ましい、およびさらに別のプラスチック混合物、ならびにさらに別のプラスチック混合物に対し、出願人の施設で数々の研究および一連の検査を行なった。この目的のため、好適なプラスチック混合物を使用して溶融プラスチック材料を作り、次にそれらから食品フィルムをノズルブラスト引抜プロセスで製造した。その後、トリプルバブルプロセスでフィルムを二軸延伸した。最後に、上述の特性について、このように製造し延伸したフィルムを調べた。
【0049】
燻煙可能で空気乾燥可能な食品包装フィルムの好ましい一実施例では、PETの比率は好ましくは60〜75重量%である。PVOHの比率は10〜30重量%、好ましくは15〜25重量%である。したがって、所与の場合では、PEBAの比率は1〜15重量%、好ましくは5〜10重量%である。それにより特定される混合比は、生ソーセージ用の特に良好な食品フィルムをもたらす。
【0050】
この発明のケーシングまたはフィルムは、単層または多層となるよう形成されてもよい。
【0051】
さらに、自然煙、液状煙、または他の考えられる用途形状の煙または煙代用物質が燻煙に使用可能であることが提供される。
【0052】
上述のこの発明の局面および利点は、同じ出願人の特許明細書DE 199 16 428 B4に開示されたような、熱可塑性チューブの押出およびそれに続く急速冷却のためのシステムが追加で利用される場合、ノズルブラスト引抜プロセスにおけるたとえばソーセージケーシングといった食品包装用のチューブ状食品フィルムの製造のために、装置またはシステムに対するさらなる相乗効果を同じ出願人が活用することによって、最良に得られ得る。この点については、特許明細書DE 100 48 178 B4に従った対応するさらなる展開を検討することも可能である。
【0053】
この場合、ノズルブローヘッドにおいて溶融プラスチック材料から作られたチューブ状フィルムは、溶融プラスチック材料からの熱可塑性材料のアモルファス構造が保存される強力冷却を受ける。特許明細書DE 199 16 428 B4およびDE 100 48 178 B4に詳細に記載されているように、ノズルブローヘッドにおいて溶融プラスチック材料から垂直に押出されたチューブ状フィルムは最初、壁に接することなく、冷却されるために冷却装置内へと移動する。これらの技術の詳細、ならびに較正手段とも呼ばれるこの冷却手段の構成および動作については、繰返しを避けるため、DE 199 16 428 B4およびDE 100 48 178 B4の内容をここに引用により完全に援用する。
【0054】
この冷却手段において、チューブ状フィルムは次に、チューブ状フィルムの内部と冷却媒体との圧力差によりフィルムを支持する支持要素を通過し、フィルムと支持要素との間には液膜が保たれ、それによりチューブ状フィルムの付着を防ぐ。支持要素の直径はチューブ状フィルムの直径と関係があり、それが、同じ出願人によるこの冷却手段が較正手段とも呼ばれる理由となっている。
【0055】
PETとPVALおよび/またはPEBAとでできたプラスチック混合物の上述の局面および利点は、ここに述べた較正手段を用いて、ノズルブラスト引抜プロセスおよびその後の急速強力冷却と組合せると、最良に達成され得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燻煙および空気乾燥が可能な単層または多層のチューブ状食品フィルム、特に燻煙および/または空気乾燥されたソーセージもしくは肉製品用のソーセージケーシングであって、食品フィルムは、(共)押出フィルムブロー成形工場で、ブローヘッドのノズルに供給されトリプルバブルプロセスで二軸延伸で(共)押出されたプラスチックにより、均質の溶融プラスチック材料から製造され、
均質の溶融プラスチック材料は、
−ポリエチレンテレフタレート、またはさまざまなポリエチレンテレフタレートの混合物と、
−ポリビニルアルコール、および/または
−ポリエーテルブロックアミドと
でできたプラスチック混合物から作られる、食品フィルム。
【請求項2】
プラスチック混合物は、第1の変形において、
−50〜99重量%の比率のポリエチレンテレフタレート、またはさまざまなポリエチレンテレフタレートの混合物と、
−1〜50重量%の比率のポリビニルアルコールと
を含み、または、
第2の変形において、
−70〜99重量%の比率のポリエチレンテレフタレート、またはさまざまなポリエチレンテレフタレートの混合物と、
−1〜30重量%の比率のポリエーテルブロックアミドと
を含み、または
第3の変形において、
−20〜98重量%の比率のポリエチレンテレフタレート、またはさまざまなポリエチレンテレフタレートの混合物と、
−1〜50重量%の比率のポリビニルアルコールと、
−1〜30重量%の比率のポリエーテルブロックアミドと
を含むことを特徴とする、請求項1に記載の燻煙および空気乾燥が可能な単層または多層のチューブ状食品フィルム。
【請求項3】
プラスチック混合物は、第3の変形において、
−55〜90重量%、特に60〜75重量%の比率のポリエチレンテレフタレート、またはさまざまなポリエチレンテレフタレートの混合物と、
−5〜30重量%、特に15〜25重量%の比率のポリビニルアルコールと、
−1〜15重量%、特に5〜10重量%の比率のポリエーテルブロックアミドと
を含むことを特徴とする、請求項2に記載の燻煙および空気乾燥が可能な単層または多層のチューブ状食品フィルム。
【請求項4】
食品フィルムは、特に150mmまでの口径で、10〜50μm、好ましくは15〜30μmの範囲のフィルム厚さを呈することを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の燻煙および空気乾燥が可能な単層または多層のチューブ状食品フィルム。
【請求項5】
食品フィルムは、20μmのフィルム厚さで、少なくとも1.5kg/(m2・日)の水蒸気透過性を呈することを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の燻煙および空気乾燥が可能な単層または多層のチューブ状食品フィルム。
【請求項6】
食品フィルムは、少なくとも0.4重量%、好ましくは0.4〜1.1重量%の範囲の水蒸気吸収を呈することを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の燻煙および空気乾燥が可能な単層または多層のチューブ状食品フィルム。
【請求項7】
食品フィルムは、2,000〜3,000N/mm2の範囲の弾性係数を呈することを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の燻煙および空気乾燥が可能な単層または多層のチューブ状食品フィルム。
【請求項8】
プラスチック混合物は、少なくとも一種のケイ酸塩を含むことを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の燻煙および空気乾燥が可能な単層または多層のチューブ状食品フィルム。
【請求項9】
プラスチック混合物は、コーンスターチ、セルロース粉末、および微小ガラスビーズからなる群から選択される少なくとも1つの充填剤を含むことを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載の燻煙および空気乾燥が可能な単層または多層のチューブ状食品フィルム。
【請求項10】
プラスチック混合物は、チョーク、タルカム、塩、および他の鉱物からなる群から選択される少なくとも1つの充填剤を含むことを特徴とする、請求項1〜9のいずれかに記載の燻煙および空気乾燥が可能な単層または多層のチューブ状食品フィルム。
【請求項11】
燻煙および空気乾燥が可能な単層または多層のチューブ状食品フィルム、特に燻煙および/または空気乾燥されたソーセージもしくは肉製品用のソーセージケーシングの製造のための方法であって、ソーセージまたは肉製品は燻煙および/または空気乾燥の前に食品フィルム内に充填され、
食品フィルムは、ノズルブラスト引抜プロセスで、およびその後のトリプルバブルプロセスでの二軸延伸を受けて、均質の溶融プラスチック材料から製造され、
均質の溶融プラスチック材料は、
−ポリエチレンテレフタレート、またはさまざまなポリエチレンテレフタレートの混合物と、
−ポリビニルアルコール、および/または
−ポリエーテルブロックアミドと
から作られる、方法。
【請求項12】
プラスチック混合物の第1、第2、または第3の変形が選択され、
第1の変形は、
−50〜99重量%の比率のポリエチレンテレフタレート、またはさまざまなポリエチレンテレフタレートの混合物と、
−1〜50重量%の比率のポリビニルアルコールと
を含み、または、
第2の変形は、
−70〜99重量%の比率のポリエチレンテレフタレート、またはさまざまなポリエチレンテレフタレートの混合物と、
−1〜30重量%の比率のポリエーテルブロックアミドと
を含み、または
第3の変形は、
−20〜98重量%の比率のポリエチレンテレフタレート、またはさまざまなポリエチレンテレフタレートの混合物と、
−1〜50重量%の比率のポリビニルアルコールと、
−1〜30重量%の比率のポリエーテルブロックアミドと
を含むことを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
第3の変形において、食品フィルムの製造のために、
−55〜90重量%、特に60〜75重量%の比率のポリエチレンテレフタレート、またはさまざまなポリエチレンテレフタレートの混合物と、
−5〜30重量%、特に15〜25重量%の比率のポリビニルアルコールと、
−1〜15重量%、特に5〜10重量%の比率のポリエーテルブロックアミドと
が供給されることを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
食品フィルムのフィルム厚さは、特に150mmまでの口径で、10〜50μm、好ましくは15〜30μmの範囲で調節されることを特徴とする、請求項11〜13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
プラスチック混合物は、食品フィルムが、20μmのフィルム厚さで、少なくとも1.5kg/(m2・日)の水蒸気透過性を呈するように選択されることを特徴とする、請求項11〜14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
プラスチック混合物は、食品フィルムが少なくとも0.4重量%、好ましくは0.4〜1.1重量%の範囲の水蒸気吸収を呈するように選択されることを特徴とする、請求項11〜15のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
プラスチック混合物は、食品フィルムが2,000〜3,000N/mm2の範囲の弾性係数を呈するように選択されることを特徴とする、請求項11〜16のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
少なくとも一種のケイ酸塩が、プラスチック混合物に添加されることを特徴とする、請求項11〜17のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
コーンスターチ、セルロース粉末、および微小ガラスビーズからなる群から選択される少なくとも1つの充填剤が、プラスチック混合物に添加されることを特徴とする、請求項11〜17のいずれかに記載の方法。
【請求項20】
チョーク、タルカム、塩、および他の鉱物からなる群から選択される少なくとも1つの充填剤が、プラスチック混合物に添加されることを特徴とする、請求項11〜17のいずれかに記載の方法。

【公表番号】特表2012−516786(P2012−516786A)
【公表日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−546600(P2011−546600)
【出願日】平成21年10月27日(2009.10.27)
【国際出願番号】PCT/EP2009/007681
【国際公開番号】WO2010/094308
【国際公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【出願人】(509088088)クーネ アンラーゲンバウ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (3)
【Fターム(参考)】