説明

爪オリフィスに適用するための全身的送達用医薬組成物

【課題】ヒトまたは動物に医薬組成物を全身的に送達する方法であって、医薬組成物の制御された放出を提供することを目的とする。
【解決手段】少なくとも1つの活性成分を含む医薬組成物であって、レーザーまたはレーザーベースのデバイスにより形成させたヒトまたは動物の爪の1またはそれ以上のオリフィスに当該医薬組成物を適用することによって投与して、全身的に送達するための医薬組成物を提供する:ここで、前記オリフィスは爪甲の80〜100%を貫き、前記活性成分の量は医薬組成物の総重量に基づいて、20〜80重量パーセントである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒトまたは動物に医薬組成物を全身的に送達する方法であって、当該ヒトまたは動物の爪にレーザーベースのデバイスにより1またはそれ以上のオリフィスを形成させることおよび当該オリフィス中に医薬組成物を適用することを含んでなる方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
爪甲は、厚く、硬く、高密度であり、そして治療上必要とされる量の薬物を浸透させる上で障壁となっている。爪(これは表皮に由来する)の成分は、皮膚の角質層と似ているが、爪は、主に硬ケラチン(これは高度にジスルフィド結合している)から構成され、そして角質層より約100倍厚い。爪甲の中に、そしてそれを通して十分な量の薬物を送達するために、薬物に対する爪甲の透過性を増大させなければならない。
【0003】
米国特許第6,231,875号は、爪および皮膚疾患の局所的処置方法を記載している。当該特許は、酸性化された組成物、および爪甲への酸性化された組成物を局所的に適用することによる爪甲の透過性を増大させる方法に関する。米国特許第5,972,317号は、タンパク質分解酵素および医薬を含有する爪甲に爪透過可能組成物を局所的に適用することにより病んだ爪を処置する方法を記載している。米国特許第5,181,914号は、粘弾性的ゲルパッドを含有するヒトの病んだ爪および隣接組織のための施薬デバイスを記載している。
【0004】
米国特許第5,947,956号は、手指−および足指−爪に穴を開けて、これらの穴に爪甲真菌症の処置のための抗真菌剤を適用するために使用されるレーザー装置を記載している。米国特許第4,180,058号は、爪に穴を開け、そして開口部に腐食性角質溶解剤を入れて開口部を広げ、そして局所用治療剤を添加することによる爪の感染の処置方法を記載している。
【0005】
上記の引用文献は爪疾患を処置するための方法または装置を記載しているが、爪、たとえば健康な爪を薬物送達デバイスとして使用し、爪オリフィスを介して医薬組成物を全身的に送達することを示唆している文献はない。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、ヒトまたは動物に医薬組成物を全身的に送達する方法であって、当該ヒトまたは動物の爪にレーザーベースのデバイスにより1またはそれ以上のオリフィスを形成させることおよび当該オリフィス中に医薬組成物を適用することを含んでなる方法を提供する。当該方法は、医薬組成物の制御された放出を提供する。
【0007】
本明細書に記載された「オリフィス」は、爪甲の80〜100%、好ましくは90〜99%を貫く任意の小さい穴またはくぼみを意味する。
【0008】
別の態様にしたがって、本発明は、ヒトまたは動物に医薬組成物を全身的に送達する方法であって、当該ヒトまたは動物の爪、たとえば健康な爪において、たとえばレーザーベースのデバイスにより1またはそれ以上のオリフィスを形成させることおよび当該オリフィス中に医薬組成物を適用すること、および所望により該医薬組成物がオリフィスの外面から流出することを防ぎ、そして細菌および汚染物(dirt)がオリフィスに入ることを防ぐ保護層を、オリフィスの外面に加えることを含んでなる方法を提供する。
【0009】
1つの態様において、本発明は、一定の時間にわたり疾患を連続的に処置するために使用され得る医薬組成物の制御された遅延型放出、たとえば持続型放出、たとえば長時間型放出を提供する。
【0010】
さらなる態様において、本発明の方法は、医薬組成物の制御された高速放出、たとえば即時放出を提供する。医薬組成物の高速放出は、医薬組成物を全身的に放出し、そして経口投与により起こり得る初回通過効果(first path effect)を回避するために使用され得る。爪中のオリフィスを通過する医薬組成物の送達は、薬剤が血流に入る十分に潅流された爪床上に直接的に薬剤を投与することを可能にする。
【0011】
さらに、1またはそれ以上のオリフィスがレーザーベースのデバイスにより形成される方法は、レーザーベースのデバイスの高精度かつ高速度によって最小限の患者の不快感で達成される。
【0012】
爪中のオリフィスは、好ましくは、爪中に少なくとも1つのオリフィスを形成させるために使用されるレーザーを含んでなるレーザーベースのデバイスにより形成される。好ましくは、多数のオリフィスが爪中に形成される。オリフィスは、所望の処置様式および医薬組成物の強度に依存して、爪全体を貫通するか、または爪をエッチングし得る。オリフィスの直径は、好ましくは、1μm(ミクロン)〜1mm、さらに好ましくは50μm(ミクロン)〜200μm(ミクロン)、最も好ましくは50μm(ミクロン)〜100μm(ミクロン)である。オリフィスは、好ましくは、円柱形または円錐形である。
【0013】
典型的には、約500個までのオリフィス、たとえば約50〜約400、たとえば100〜300個のオリフィスが爪に形成され得る。
【0014】
任意のレーザーが使用され得るが、ただし、それはフォトアブレーションレーザー(photoablation)のような爪上にアブレーションを誘起できるものとする。フォトアブレーションは、硬い組織の融解および破裂を意味する。フォトアブレーションは、目的の爪の熱的、機械的およびスペクトル特性にしたがって、選択された波長、力およびパルス時間のパルスレーザー照射により達成される。集積された電磁気エネルギーは、ほとんどすべて機械的エネルギーに変換され(すなわち、hν≒mv/2)、そして照射された部位は、オリフィスを離脱する破片の形態で、約1'000m/sで排出される。好適なフォトアブレーションの方法において、破片が集積されたエネルギーを取り除くので、照射された爪は加熱されず、したがって不快感が最小限となる。
【0015】
レーザーは、エルビウム(Er):YAGレーザー、Nd:YAGレーザー、OPOレーザー、Ho:YAGレーザー、COレーザー、UVレーザー、またはエキシマレーザーから選択される。適当なUVレーザーは、窒素レーザーである。適当なエキシマレーザーとしては、KrレーザーおよびXeレーザーが挙げられる。最も好ましくは、レーザーは、Er:YAG(λ=2.94μm)レーザー、Ho:YAGレーザー(λ=2.1μm)、またはCOガスレーザー(λ=10.6μm)である。レーザーの組合せも使用され得る。本発明の好適な実施態様において、第二のレーザーがオリフィスを微小加工する(micromachining)ために使用される。アブレーション温度は、好ましくは約100℃より大きい。
【0016】
本発明の1つの実施態様において、1またはそれ以上の小さいオリフィスが、約50μJの出力、約250μsの時間の単回レーザーショットおよび3Hzの繰り返し速度で操作されたレーザーシステムで形成される。
【0017】
レーザーに加え、レーザーベースのデバイスには、1またはそれ以上の以下の要素が含まれ得る:
(a) たとえばクランプにより爪を固定するが、爪甲は覆いのないままである支持体;
(b) 爪の所望の領域においてレーザービームの位置を合わせるためのコンピューター制御xyzトランスレーションステージモジュール(computer controlled xyz translation module)。好ましくは、支持体(a)がこのトランスレーションステージにのせられ得、その結果、レーザービームが固定され、そして足指または手指が動く。別の方法では、足指または手指を固定し得、そして反射要素(たとえば鏡)をトランスレーションステージにのせ、爪甲の選択された場所にレーザービームを移動させ得る;
(c) 鏡、たとえばダイクロイックミラーまたはプリズムが、レーザー(複数も可)からのレーザービームを同軸上に混成させるために使用され得る;
(d) 少なくとも1つのレンズを含んでなる光学フォーカス素子;
(e) オリフィスがコンピューター制御xyzトランスレーションステージ(b)により形成される爪甲の位置にレーザービーム(複数も可)をあて、そして/または異なるレーザーパラメーター(たとえばxyzトランスレーションステージ(b)の所望の位置に到達した場合のレーザーの発射、またはレーザー出力、パルス時間、または波長(たとえば、レーザーが調整可能なレーザーである場合))を制御および/もしくは選択するために使用され得るビデオカメラまたは電荷結合デバイスカメラにより爪甲をモニターするコンピューター;
(f) パーソナルコンピューター(e)のスクリーン上で爪甲をモニターするためのビデオカメラまたは電荷結合デバイスカメラ;
(g) オリフィスが予め決められた深さ(たとえば爪床)に到達した後にレーザーが止まることを確実にするためのフィードバックセンサー(たとえば圧電物質でつくられた光音響センサー);および
(h) 単回のショットにより1より多いオリフィス(たとえば等間隔のオリフィスのアレイ)をつくり、そしてそれによって、次モードで1つずつオリフィスをつくることを避けるための、レーザービーム(複数も可)を多重化するための光学素子(たとえばDammann型グレーティングのような回折光学素子)。
【0018】
本発明の医薬組成物は、少なくとも1つの活性成分を含んでなる。本発明の目的のために、「活性成分」は、医薬または治療効果を生み出すすべての物質を意味する。活性成分としては、光増感物質(photosensitizer)、アンドロゲン、エストロゲン、非ステロイド性抗炎症剤、抗高血圧剤、鎮痛剤、抗うつ剤、抗生物質、抗癌剤、麻酔剤、制吐剤、抗感染剤、避妊剤、抗糖尿病剤、ステロイド、抗アレルギー剤、抗片頭痛剤、禁煙用剤、および抗肥満剤が挙げられ得るが、これらに限定されるわけではない。
【0019】
活性成分の例としては、アセブトロール、アセチルシステイン、アセトアミノフェン、アセチルサリチル酸、アシクロビル、アルプラゾラム、アルファカルシドール、アラントイン、アロプリノール、アロエ(aloe vera)、アンブロキソール、アミカシン、アミロライド(amiloride)、アミノ酢酸、アミオダロン、アミトリプチリン、アムロジピン、アモキシシリン、アンピシリン、アスコルビン酸、アステミゾール、アテノロール、ベクロメタゾン、ビープロポリス(bee propolis)、ベンセラジド、塩酸ベンザルコニウム、ベンゾカイン、ベタメタゾン、ベザフィブラート、ビオチン、ビペリデン、ビソプロロール、ブロマゼパム、ブロムヘキシン、ブロモクリプチン、ブデソニド、ブフェキサマク、ブフロメジル(buflomedil)、ブピバカイン、ブスピロン、カフェイン、カンファー、カプトプリル、カルバマゼピン、カルビドパ、カルボプラチン、セファクロル、セファレキシン、セファトロキシル、セファゾリン、セフィキシム、セフォタキシム、セフタジジム、セフトリアキソン、セフロキシム、セレギリン、クロラムフェニコール、クロルヘキシジン、クロルフェニラミン、クロルタリドン、コリン、シクロスポリン、シラスタチン、シメチジン、シプロフロキサシン、シサプリド、シスプラチン、クラリスロマイシン、クラブラン酸、クロミジン、クロミプラミン、クロナゼパム、クロニジン、クロトリマゾール、コデイン、コレスチラミン、クロモグリク酸、シアノコバラミン、シプロテロン、デソゲストレル(desogestrel)、デキサメタゾン、デクスパンテノール、デキサメタゾン、デキストロメトルファン、デキストロプロポキシフェン(dextropropoxiphen)、ジアゼパム、ジクロフェナク、ジゴキシン、ジヒドロコデイン、ジヒドロエルゴタミン、ジヒドロエルゴトキシン、ジルチアゼム、ジフェンヒドラミン、ジピリダモール、ジピロン(dipyrone)、ジソピラミド、ドンペリドン、ドパミン、ドキシサイクリン、エナラプリル、エフェドリン、エピネフリン、エルゴカルシフェロール、エルゴタミン、エリスロマイシン、エストラジオール、エチニルエストラジオール、エトポシド、ユーカリグロブルス(Eucalyptus globulus)、ファモチジン、フェロジピン、フェノフィブラート、フェノテロール、フェンタニル、フラビンモノヌクレオチド、フルコナゾール、フルナリジン、フルオロウラシル、フルオキセチン、フルビプロフェン、葉酸、フォリン酸、フロセミド、ガロパミル(gallopamil)、ゲムフィブロジル(gemfibrozil)、ゲンタマイシン、ギンコ・ビロバ(Gingko biloba)、グリベンクラミド、グリピジド、クロザピン、グリシリサ・グラブラ(Glycyrrhiza glabra)、グリセオフルビン、ハロペリドール、ヘパリン、ヒアルロン酸、ヒドロクロロチアジド、ヒドロコドン、ヒドロコルチゾン、ヒドロモルフォン、水酸化イプラトロピウム、イブプロフェン、イミペネム、インドメタシン、インスリン、イオヘキソール、イオパミドール、二硝酸イソソルビド、一硝酸イソソルビド、イソトレチノイン、ケトチフェン、ケトコナゾール、ケトプロフェン、ケトロラック、ラベタロール、ラクツロース、レボカルニチン、レボドパ、レボグルタミド(levoglutamide)、レボノルゲストレル(levonorgestrel)、レボチロキシン、リドカイン、リパーゼ、イミプラミン、リシノプリル、ロペラミド、ロラゼパム、ロバスタチン、メドロキシプロゲステロン、メントール、メトトレキサート、メチルドパ、メチルプレドニゾロン、メチルテストステロン、メトクロプラミド、メトプロロール、ミコナゾール、ミダゾラム、ミノサイクリン、ミノキシジル、ミソプロストール、モルヒネ、総合ビタミン混合物および組合せおよび鉱物塩、N−メチルエフェドリン、ナフチドロフリル、ナプロキセン、ネオマイシン、ニカルジピン、ニセルゴリン、ニコチンアミド、ニコチン、ニコチン酸、ニフェジピン、ニモジピン、ニトラゼパム、ニトレンジピン、ニトログリセリン、ニザチジン、ノルエチステロン、ノルフロキサシン、ノルゲストレル、ノルトリプチリン、ナイスタチン、オフロキサシン、オメプラゾール、オンダンセトロン、パンクレアチン、パンテロール、パントテン酸、パラセタモール、ペニシリンG、ペニシリンV、フェノバルビタール、ペントキシフィリン、フェノキシメチルペニシリン、フェニレフリン、フェニルプロパノールアミン、フェニトイン、ピロキシカム、ポリミキシンB、ポビドンヨード、プラバスタチン、プラゼパム、プラゾシン、プレドニゾロン、プレドニゾン、プリロカイン、プロゲステロン、プロパフェノン、プロプラノロール、プロキシフィリン、プソイドエフェドリン、ピリドキシン、キニジン、ラミプリル、ラニチジン、レセルピン、レチノール、リボフラビン、リファンピシン、ルトシド、サルブタモール、サルカトニン(salcatonin)、サリチル酸、スコポラミン、シンバスタチン、ソマトロピン、ソタロール、スピロノラクトン、スクラルファート、スフェンタニル、スルバクタム、スルファメトキサゾール、スルファサラジン、スルピリド、スマトリプタン、タモキシフェン、テガフール、テプレノン、テラゾシン、テルブタリン、テルフェナジン、テストステロン、テトラカイン、テトラサイクリン、テオフィリン、チアミン、チクロピジン、チモロール、トラネキサム酸、トレチノイン、トリアムシノロンアセトニド、トリアムテレン、トリメトプリム、トロキセルチン、ウラシル、バルプロ酸、バンコマイシン、ベラパミル、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンE、およびジドブジンが挙げられる。活性成分の組合せも使用され得る。
【0020】
別の態様において、本発明の医薬組成物の活性成分はワクチンを含み得る。ワクチンとしては、天然痘(Smallpox)、狂犬病(Rabies)、溶菌斑(Plaque)、ジフテリア(Diphteria)、百日咳(Pertussis)、結核(Tuberculosis)、破傷風(Tetanus)、黄熱病(Yellow Fever)、注射可能なポリオワクチン(Injectable Polio Vaccine)、経口用ポリオワクチン(Oral Polio Vaccine)、麻疹(Measales)、おたふく風邪(Mumps)、風疹(Rubella)、B型肝炎、C型肝炎、ヘモフィラス・インフルエンザ菌タイプB(Haemophilus influenza Tye B)、日本脳炎(Japanese Encephalitis)、バイオマングインホス(Biomanguinhos)、ヒトインフルエンザタイプB(Hib)、HIVまたは癌が挙げられ得るが、これらに限定されるわけではない。
【0021】
ワクチンは、好ましくは、B型肝炎およびC型肝炎のような防御的力価(protective titer)を達成するための複数回接種を必要とするワクチンである。
【0022】
さらに好ましくは、ワクチンは、B型肝炎、HIV、ヒトパピローマウイルス(human Papilloma virus; HPV)および癌のような細胞傷害性T細胞応答を達成するために樹状細胞と長時間の接触を必要とするワクチンである。爪床は、免疫応答を刺激する高濃度のランゲルハンス細胞を有する。ワクチンは、本発明の方法により爪床に放出され得る。強い免疫応答は、本発明の方法によりワクチンのゆっくりとした放出により得られ得る。
【0023】
癌ワクチンは、全癌細胞または腫瘍に含まれる物質からつくられ得る。好ましくは、癌ワクチンは、全癌細胞、ペプチド、タンパク質、樹状細胞、ガングリオシド、熱ショックタンパク質、ウイルス性および細菌性ベクターならびに核酸からなる群から選択される。
【0024】
医薬組成物中の活性成分の量は、組成物の総重量に基づいて、0.1重量パーセント〜100重量パーセントを変動し得る。好ましくは、活性成分は、医薬組成物の総重量に基づいて、0.1〜99、好ましくは20〜80、さらに好ましくは30〜70重量パーセントの量で存在する。活性成分の用量および曝露時間は、オリフィスの数、直径および形状、ならびに処置されるべき疾患の性質および重度に依存する。
【0025】
オリフィスへの医薬組成物の添加前または後に、追加的成分が医薬組成物中において使用されるか、またはオリフィスに直接的に適用され得る。かかる追加的成分としては、医薬組成物を製造するために通常使用される天然および/または人工成分が挙げられる。追加的成分の例としては、界面活性剤(たとえばアロエ)、希釈剤、結合剤、崩壊剤、固化防止剤(anti caking agent)、ビタミン、植物(botanical)、サプリメント(supplement)、ハーブ(herb)、ミネラル(mineral)、微量元素、アミノ酸(たとえば、L−トリプトファン)、食物繊維、酵素、増量剤、緩衝剤、着色剤、染料、抗酸化剤、保存剤、電解質、流動促進剤(glidant)、崩壊剤、滑沢剤および担体物質が挙げられる。追加的成分の組合せは、また、使用され得る。かかる成分は当業者に知られている。
【0026】
オリフィスへの医薬組成物の投与後、保護層をオリフィスの外面に施し得る。保護層は、医薬組成物がオリフィスの外面に流出するのを防ぎ、そして細菌および汚染物がオリフィスに入るのを防ぐ。保護層を形成するのに有用な物質の例としては、フィルム形成ポリマー(film forming polymer)、マニキュア液、磁器(porcelain)、人工爪(artificial nail)、ポリマーホイル(polymer foil)、およびパッチが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。保護層が適用されるか否かにかかわらず、爪を着色被覆することは本発明の範囲内である。
【0027】
医薬組成物は、液体、半固体、固体、溶液、ゲル、エマルジョンおよび粉末の形態であり得る。
【0028】
本発明の医薬組成物は、適用される特定の活性剤の既知の適応症の処置に有用である。有用な適用としては、癌または加齢性黄斑変性症(AMD)の処置が挙げられる。
【0029】
本発明の1つの実施態様において、足または手の爪の画像が撮影される。オリフィス(たとえば100個のオリフィス)の適当なアレイのパターンおよび形態を、たとえばソフトウエアツールを用いて計算する。爪を貫通するオリフィスの設計されたアレイは、レーザーフォトアブレーションにより爪においてパターン化される。オリフィスに医薬組成物を充填する。マニキュア液またはパッチが爪を密封するために使用され得る。
【0030】
本発明の別の実施態様において、レーザーにより、ヒトの爪のオリフィスのアレイがパターン化される。界面活性剤、たとえば非イオン性界面活性剤がオリフィスに適用される。オリフィスに医薬組成物を充填する。マニキュア液またはパッチが爪を密閉するために使用され得る。
【0031】
本発明の別の実施態様において、レーザーにより、ヒトの爪のオリフィスのアレイがパターン化される。オリフィスに光増感物質を充填する。マニキュア液またはパッチが爪を密封するために使用される。光増感物質は光を活性化する。波長および線量を含む光源の種類は、処置されるべき状態に依存して変動し得る。
【0032】
本発明を、一定の実施態様に特に言及して記載したが、変更および修飾が、下記のクレームの範囲(scope)および精神(sprit)の範囲内で、通常の知識を有する者により行われ得ると理解される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの活性成分を含む医薬組成物であって、レーザーまたはレーザーベースのデバイスにより形成させたヒトまたは動物の爪の1またはそれ以上のオリフィスに当該医薬組成物を適用することによって投与して、全身的に送達するための医薬組成物:ここで、前記オリフィスは爪甲の80〜100%を貫き、前記活性成分の量は医薬組成物の総重量に基づいて、20〜80重量パーセントである。
【請求項2】
医薬組成物の制御された放出を提供する、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
レーザーがエルビウム:YAGレーザー、Nd:YAGレーザー、OPOレーザー、Ho:YAGレーザー、COレーザー、UVレーザー、エキシマレーザー、およびこれらの組合せからなる群から選択される、請求項1または2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
保護層がオリフィスの外面に施され、爪を被覆している、請求項1〜3のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項5】
活性成分がワクチンである、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項6】
ワクチンが天然痘、狂犬病、溶菌斑、ジフテリア、百日咳、結核、破傷風、黄熱病、注射可能なポリオワクチン、経口用ポリオワクチン、麻疹、おたふく風邪、風疹、B型肝炎、C型肝炎、ヘモフィラス・インフルエンザ菌タイプB、日本脳炎、バイオマングインホス、Hib、HIVまたは癌を含んでなる群から選択される、請求項5に記載の医薬組成物。
【請求項7】
ワクチンがB型肝炎およびC型肝炎のような防御的力価を達成するために複数回接種を必要とする、請求項5または6に記載の医薬組成物。
【請求項8】
ワクチンが、B型肝炎、HIVおよび癌のような細胞傷害性T細胞応答を達成するために樹状細胞との長時間の接触を必要とする、請求項5〜7のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項9】
癌ワクチンが全腫瘍細胞または腫瘍に含まれる物質を含んでなる、請求項8に記載の医薬組成物。
【請求項10】
癌ワクチンが、全癌細胞、ペプチド、タンパク質、樹状細胞、ガングリオシド、熱ショックタンパク質、ウイルス性および細菌性ベクターならびに核酸からなる群から選択される、請求項8または9に記載の医薬組成物。
【請求項11】
活性成分が、光増感剤、アンドロゲン、エストロゲン、非ステロイド性抗炎症剤、抗高血圧剤、鎮痛剤、抗うつ剤、抗生物質、抗癌剤、麻酔剤、制吐剤、抗感染剤、避妊剤、抗糖尿病剤、ステロイド、抗アレルギー剤、抗片頭痛剤、禁煙用剤、および抗肥満剤からなる群から選択される、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項12】
活性成分がアセブトロール、アセチルシステイン、アセトアミノフェン、アセチルサリチル酸、アシクロビル、アルプラゾラム、アルファカルシドール、アラントイン、アロプリノール、アロエ、アンブロキソール、アミカシン、アミロライド、アミノ酢酸、アミオダロン、アミトリプチリン、アムロジピン、アモキシシリン、アンピシリン、アスコルビン酸、アステミゾール、アテノロール、ベクロメタゾン、ビープロポリス、ベンセラジド、塩酸ベンザルコニウム、ベンゾカイン、ベタメタゾン、ベザフィブラート、ビオチン、ビペリデン、ビソプロロール、ブロマゼパム、ブロムヘキシン、ブロモクリプチン、ブデソニド、ブフェキサマク、ブフロメジル、ブピバカイン、ブスピロン、カフェイン、カンファー、カプトプリル、カルバマゼピン、カルビドパ、カルボプラチン、セファクロル、セファレキシン、セファトロキシル、セファゾリン、セフィキシム、セフォタキシム、セフタジジム、セフトリアキソン、セフロキシム、セレギリン、クロラムフェニコール、クロルヘキシジン、クロルフェニラミン、クロルタリドン、コリン、シクロスポリン、シラスタチン、シメチジン、シプロフロキサシン、シサプリド、シスプラチン、クラリスロマイシン、クラブラン酸、クロミジン、クロミプラミン、クロナゼパム、クロニジン、クロトリマゾール、コデイン、コレスチラミン、クロモグリク酸、シアノコバラミン、シプロテロン、デソゲストレル、デキサメタゾン、デクスパンテノール、デキサメタゾン、デキストロメトルファン、デキストロプロポキシフェン、ジアゼパム、ジクロフェナク、ジゴキシン、ジヒドロコデイン、ジヒドロエルゴタミン、ジヒドロエルゴトキシン、ジルチアゼム、ジフェンヒドラミン、ジピリダモール、ジピロン、ジソピラミド、ドンペリドン、ドパミン、ドキシサイクリン、エナラプリル、エフェドリン、エピネフリン、エルゴカルシフェロール、エルゴタミン、エリスロマイシン、エストラジオール、エチニルエストラジオール、エトポシド、ユーカリグロブルス、ファモチジン、フェロジピン、フェノフィブラート、フェノテロール、フェンタニル、フラビンモノヌクレオチド、フルコナゾール、フルナリジン、フルオロウラシル、フルオキセチン、フルビプロフェン、葉酸、フォリン酸、フロセミド、ガロパミル、ゲムフィブロジル、ゲンタマイシン、ギンコ・ビロバ、グリベンクラミド、グリピジド、クロザピン、グリシリサ・グラブラ、グリセオフルビン、ハロペリドール、ヘパリン、ヒアルロン酸、ヒドロクロロチアジド、ヒドロコドン、ヒドロコルチゾン、ヒドロモルフォン、水酸化イプラトロピウム、イブプロフェン、イミペネム、インドメタシン、インスリン、イオヘキソール、イオパミドール、二硝酸イソソルビド、一硝酸イソソルビド、イソトレチノイン、ケトチフェン、ケトコナゾール、ケトプロフェン、ケトロラック、ラベタロール、ラクツロース、レボカルニチン、レボドパ、レボグルタミド、レボノルゲストレル、レボチロキシン、リドカイン、リパーゼ、イミプラミン、リシノプリル、ロペラミド、ロラゼパム、ロバスタチン、メドロキシプロゲステロン、メントール、メトトレキサート、メチルドパ、メチルプレドニゾロン、メトクロプラミド、メトプロロール、ミコナゾール、ミダゾラム、ミノサイクリン、ミノキシジル、ミソプロストール、モルヒネ、総合ビタミン混合物および組合せおよび鉱物塩、N−メチルエフェドリン、ナフチドロフリル、ナプロキセン、ネオマイシン、ニカルジピン、ニセルゴリン、ニコチンアミド、ニコチン、ニコチン酸、ニフェジピン、ニモジピン、ニトラゼパム、ニトレンジピン、ニトログリセリン、ニザチジン、ノルエチステロン、ノルフロキサシン、ノルゲストレル、ノルトリプチリン、ナイスタチン、オフロキサシン、オメプラゾール、オンダンセトロン、パンクレアチン、パンテロール、パントテン酸、パラセタモール、ペニシリンG、ペニシリンV、フェノバルビタール、ペントキシフィリン、フェノキシメチルペニシリン、フェニレフリン、フェニルプロパノールアミン、フェニトイン、ピロキシカム、ポリミキシンB、ポビドンヨード、プラバスタチン、プラゼパム、プラゾシン、プレドニゾロン、プレドニゾン、プリロカイン、プロゲステロン、プロパフェノン、プロプラノロール、プロキシフィリン、プソイドエフェドリン、ピリドキシン、キニジン、ラミプリル、ラニチジン、レセルピン、レチノール、リボフラビン、リファンピシン、ルトシド、サルブタモール、サルカトニン、サリチル酸、スコポラミン、シンバスタチン、ソマトロピン、ソタロール、スピロノラクトン、スクラルファート、スフェンタニル、スルバクタム、スルファメトキサゾール、スルファサラジン、スルピリド、スマトリプタン、タモキシフェン、テガフール、テプレノン、テラゾシン、テルブタリン、テルフェナジン、テストステロン、テトラカイン、テトラサイクリン、テオフィリン、チアミン、チクロピジン、チモロール、トラネキサム酸、トレチノイン、トリアムシノロンアセトニド、トリアムテレン、トリメトプリム、トロキセルチン、ウラシル、バルプロ酸、バンコマイシン、ベラパミル、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンE、およびジドブジンからなる群から選択される、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項13】
医薬組成物が液体、半固体、固体、溶液、ゲル、エマルジョンおよび粉末からなる群から選択される形態である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項14】
活性成分の量が、組成物の総重量に基づいて、30〜70重量パーセントである、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項15】
レーザー、ならびに支持体、コンピューター制御xyzトランスレーションステージモジュール、鏡、少なくとも1つのレンズを含んでなる光学フォーカス素子、コンピューター、ビデオカメラ、電荷結合デバイスカメラ、フィードバックセンサー、および光学素子からなる群から選択される少なくとも1つの素子を含んでなるレーザーベースのデバイスを用いて行われる、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項16】
オリフィスの直径が1μm(ミクロン)〜1mmである、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項17】
オリフィスの直径が50μm(ミクロン)〜200μm(ミクロン)である、請求項16に記載の医薬組成物。
【請求項18】
オリフィスの直径が50μm(ミクロン)〜100μm(ミクロン)である、請求項17に記載の医薬組成物。

【公開番号】特開2010−180215(P2010−180215A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−41520(P2010−41520)
【出願日】平成22年2月26日(2010.2.26)
【分割の表示】特願2003−567380(P2003−567380)の分割
【原出願日】平成15年2月11日(2003.2.11)
【出願人】(504389991)ノバルティス アーゲー (806)
【Fターム(参考)】