説明

爪真菌症治療用キット

本発明は、閉鎖または部分閉鎖包帯、および、本発明による包帯と尿素ペーストの容器とを含む爪真菌症用治療キットに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は爪真菌症(onychomycosis)の治療に関する。
【0002】
爪真菌症は、皮膚糸状菌(白癬菌属、表皮菌属、もしくは小胞子菌属のもの)、酵母(カンジダ属もしくはマラセジア属)、または糸状菌(フザリウム属)を原因とする、爪部、すなわち爪床または爪板の真菌感染として定義されている。感染しているのが手の場合には、その原因は酵母(カンジダ属)であるのが最も多い。
【0003】
爪真菌症は最も一般的な爪疾患である。爪真菌症は、母集団の6〜9%が罹患している。
爪真菌症は、特に成人が発症し、小児では稀である。その発生数は年齢と共に増加し、70歳超では30%に達する。
爪真菌症の90%で足に影響が現れ、その原因は、10件の症例のうちの9件で皮膚糸状菌である。
【0004】
爪真菌症の分類は、感染物質の浸透部位とその進行段階によって決まる。識別は下記に従って行う。
・遠位・側縁部爪甲下爪真菌症(distal lateral sub-ungual onychomycosis)(DLSO)は最も頻度の高い形態で、本質的に、側溝部を介して侵入して爪床に感染する皮膚糸状菌を原因とする。
・爪床に影響が現れる近位部爪爪真菌症(proximal ungual onychomycosis)(PSD)。稀な感染症は、皮膚糸状菌を原因とする場合が多い。
・皮膚糸状菌または糸状菌を原因とする白色表在性爪真菌症(white superficial onychomycosis)(WSO)。真菌は、外側から内側に向かって爪板に侵入する。
・全異栄養性爪真菌症(total dystrophic onychomycosis)は、上記の爪真菌症の最終段階である。真菌が爪板に徐々に浸潤して、爪板全体を破壊するものと解釈されている。
【0005】
爪真菌症は自然に治癒することはなく、治療が困難であることが知られている。
全身性抗真菌治療には、非常に限定的な副作用がある。
【0006】
イミダゾール、モルホリン、およびヒドロキシピリドンという3つの群の局所用抗真菌薬を用いて、爪真菌症を治療することができる。
これらの治療薬のうち、被膜液剤がシクロピロックスまたはアモロルフィンのいずれかを含有していることを認めることができる。これらは長期治療薬であり、約1年間継続しなければならない。これらの有効性は10〜30%である。
局所用抗真菌薬では、感染部位がある爪床に到達する能力に難点がある。
【0007】
局所治療の別のアプローチは、爪板の感染部分を除去して、抗真菌クリームを爪床に塗布できるようにするものである。この除去作業は、化学的な力(40%尿素)、または機械的な力(やすり、鉗子)のいずれかによって行うことができる。
【0008】
尿素を用いる化学的除去は、爪の病的部分に対して選択的な作用を及ぼす。
尿素を用いる化学的除去には、無痛で、出血または感染のリスクが限定的という利点がある。
【0009】
米国特許第6,281,239号には、爪真菌症を治療する目的で、尿素ペーストと、任意で抗真菌薬と、閉鎖包帯とを含んでなるキットが開示されている。
【0010】
欧州特許第0 204 230号には、爪真菌症を治療する目的で、ビホナゾールおよび/またはクロトリマゾールを0.05〜1.5重量部と、尿素を40重量部と、無水脂肪親和性湿潤剤を20重量部と、サラシミツロウを5重量部と、ホワイトワセリンを34重量部含有する尿素ペースト製剤が開示されている。
【0011】
このペーストは、閉鎖包帯とスクレーパーが同梱された、ビホナゾール0.1gと尿素4gを含有する10gチューブの形態のAmycor Onychoset(登録商標)というキットとしてメルクから販売されている。この治療法は、尿素の角質溶解特性を利用して爪を軟化させることと、ビホナゾールによって感染を治療することからなる。上記の軟膏を1日に1回塗布して、閉鎖包帯によって適所に保持する。毎日、包帯を外して、熱浴後、軟化した爪部をスクレーパーで除去する。治療には1〜3週間が必要である。上記の治療法は、ビホナゾールを1%含有するAmycor(R)クリームを毎日塗布しながら、4〜8週間継続しなければならない。
より効率的かつ迅速で、制限の少ない治療法が必要とされている。
【0012】
本発明者らは、尿素ペーストを用いる爪真菌症治療の治療と治療の長さにおける重要な要素は、包帯の閉鎖または部分閉鎖能力と、尿素軟膏が包帯外に漏れることを包帯が防ぐ能力であることを証明した。
【0013】
そして、本発明者らは、完全閉鎖または部分閉鎖状態が尿素軟膏と爪との間で1日超、さらには2日超の間保持されるようにする閉鎖または部分閉鎖包帯を開発した。
【0014】
本発明者らは、2週間未満に爪板が爪床から持ち上がり、軟化した爪を毎日剥がす必要性なしに爪板を切除できることを観察した。
【0015】
したがって、本発明の主題は、薄い可塑性の閉鎖または部分閉鎖包帯であって、手指爪または足指爪を閉鎖するのに適した形および大きさであり、少なくとも部分的に接着剤層でコーティングされているポリマーベースのプラスチックフィルムの支持体層を含んでなる包帯である。
【0016】
本発明おいて、「閉鎖」とは、流体、水蒸気、および気体を通さない能力を意味する。
【0017】
本発明において、「部分閉鎖」とは、流体を通さない能力を意味する。部分閉鎖包帯は、水のような流体を通さないが、空気のような気体は通す。
【0018】
本発明において、「閉鎖すること」とは、包帯が爪の周囲に密閉空間を作る能力を意味する。
【0019】
本発明の包帯は、上向きのT字形であり、爪を覆うように意図されている中央部(1)と、爪の各側部において指の内側に折り返すように意図されており、T字の短枝を表す2つの同一の側枝(2)と、長手方向で指の内側に折り返すように意図されており、折り返す前には、爪の延長線上に配置されており、かつ、T字の長枝部を示すタブ(3)とを含んでなるものが好ましい。
【0020】
本発明において、「指」は、ヒトの足指(toe)の指も意味するものとして区別なく用いられる。
【0021】
この実施形態によれば、側枝(2)はタブ(3)に対して垂直に伸びている。
【0022】
本発明の包帯とタブ(3)は対称軸を有するのが好ましい。これらの2つの対称軸が同一であるのがさらに好ましい。
【0023】
任意で、タブ(3)と対向する中央部(1)は、タブ(4)を有してもよく、このタブ(4)は、折り返すように意図されているのではなく、爪の後ろの第1指節骨部の快適性を向上させるように意図されている。追加的なタブ(4)の長さは10mm未満であるのが好ましい。
【0024】
上記の支持体フィルムはポリマーベースのプラスチックフィルムであり、前記ポリマーは、ポリエチレン、ポリプロピレンのコポリマー、ホモポリプロピレン、ポリブテン、およびポリメチルペンテンのようなポリオレフィン、エチレン酢酸ビニルコポリマー、アイオノマー樹脂、エチレン−メタクリル酸コポリマー、エチレン−メタクリレートエステルコポリマー、エチレン−ブテンコポリマー、エチレン−ヘキセンコポリマー、ポリウレタン、ポリエチレンテレフタレートのようなポリエステル、ポリイミド、ポリエーテルケトン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、セルロース樹脂からなる群の中から選択される。
【0025】
用いられるフィルムは、ポリウレタンを含有しているか、またはポリウレタンのみで作成されているフィルムのように、透明または半透明の可塑性物質の薄いフィルムであることが好ましい。
【0026】
本発明の包帯の厚みは、好ましくは100μm未満であり、より好ましくは60μm未満であり、さらに好ましくは50μm未満であり、さらに一層好ましくは40μm以下である。この厚みには、使用前の接着剤層の任意の保護部は含まれない。
【0027】
本発明の包帯の厚みは、好ましくは10μm超であり、さらに好ましくは20μm超である。この厚みには、使用前の接着剤層のの任意の保護部は含まれない。
【0028】
この接着剤層は支持体層を少なくとも部分的に覆っており、支持体層を完全に覆っていることが好ましい。
【0029】
用いられる接着剤は、皮膚への刺激がほとんどまたはまったくないものであれば、特に制限はない。接着剤は、既知の物質、とりわけ、アクリルポリマーまたはコポリマーを含有する低刺激性接着剤の中から選択される。好適な接着剤の例は、ポリウレタン接着剤、シリコーン接着剤、およびアクリル接着剤を含んでなる。医療グレードのアクリル接着剤が特に好適である。
【0030】
接着剤の量は、支持体層1平方メートル当たり25〜80g、例えば30〜60g/m、例えば30〜50g/mであり、好ましくは40g/mである。
【0031】
本発明による包帯の接着剤層の剥離接着強度(peel adhesion strength)は、好ましくは10.0N/25mm超(角度180°、剥離速度300±30mm/分、温度23±2℃の場合)であり、さらに好ましくは12.0N/25mm(角度180°、剥離速度300±30mm/分、温度23±2℃の場合)である。N/25mmという単位の剥離接着力は、下記の方法(接着テープの接着性能を測定するための標準的なAFERAに相当する)を用いて測定する。すなわち、接着テープの切片を標準的な金属プレート、好ましくはステンレス鋼製のプレートに貼付してから、けん引力試験機の可動クランプに垂直に取り付ける。このクランプが、プレートに対して180°の角度で、上記サンプルの自由端を引っ張る。連続的に、プレートと切片との分離線が、負荷される力の方向と直角をなすようにしながら、300±30mm/分の速度で、25mmの接着テープ切片を上記のプレートから剥離するのに必要な力が剥離接着力に相当する。
【0032】
剥離接着力は、支持体層1平方メートル当たりの接着剤の量と相関している。剥離接着力は、25g/mの接着剤当たりでは約8.0N/25mmである。40g/mの接着剤当たりでは約12.0N/25mmである。本発明によれば、剥離接着力は少なくとも10.0N/25mmであり、好ましくは12.0N/25mmである。
【0033】
接着剤層の剥離接着強度は、好ましくはその接着剤層の3つのサンプルの平均剥離接着強度の計算結果である。
【0034】
本発明の包帯の長さは、部分(1)の幅と、部分(3)の長さと、任意で部分(4)の長さとの合計として定義され、この包帯の長さは、好ましくは6〜8cm、より好ましくは65〜70mm、さらに好ましくは70mm±2mmである。
【0035】
本発明の包帯の幅は、部分(1)の長さと部分(2)の長さとの合計として定義され、この包帯の幅は、好ましくは7.5〜9.5cm、より好ましくは80〜90mm、さらに好ましくは84mm±2mmである。
【0036】
中央部(1)は概ね、長方形の中に含まれている。この長方形の寸法は、長さ35〜55mm、好ましくは長さ45mm、幅30〜50mm、好ましくは幅40mmである。
【0037】
タブ(3)の長さは、側枝(2)の長さよりも長い。タブ(3)の長さは20〜40mm、好ましくは30mmである。
【0038】
側枝(2)の長さは15〜25mm、好ましくは20mmである。
【0039】
本発明の包帯は透明または半透明であることが好ましい。
接着剤層は、本発明による包帯の支持体層の全体を覆っていることが好ましい。
【0040】
本発明の包帯は、固定されていない(支持体層によって覆われていない)接着剤層の上を覆う接着防止用プロテクターであって、使用前に剥がされるプロテクターを有することが好ましい。一例として、このプロテクターは、シリコンペーパー、または、接着を防止するように処置したポリエチレンもしくはポリエステルのようなプラスチック材で作成されている。
このプロテクターは、2、3、または4つの部分からなるのが好ましい。
【0041】
特に好ましくは、このプロテクターは4つの部分からなり、そのうちの1つの部分は少なくとも中央部(1)を覆い、1つの部分は少なくともタブ(3)の一部を覆い、2つの部分は少なくとも各側枝(2)の一部を覆っている。
【0042】
本発明の包帯は、好ましくはクッションパッドを有さない。通常、包帯は、保護対象の創傷部から滲出する体液を吸収するための、一般に織繊維または不織繊維のクッションパッドを含んでなる。創傷部を保護するのではなく、尿素ペーストを適所に保持するように意図されている本発明の包帯では、クッションパッドの存在は不都合である。いずれのクッションパッドも、尿素ペーストを押しつぶして、尿素ペーストの包帯外への漏出を促すであろうし、および/または、治療対象の表面から尿素ペーストを吸収するであろう。
【0043】
本発明の包帯は、下記の2つの層からなることが好ましい。
−支持体層、好ましくはポリウレタン製
−支持体層を少なくとも部分的に覆っている接着剤層、好ましくは支持体層の全体を覆っている接着剤層
【0044】
任意で、本発明による包帯の使用前には、その接着剤層は、プロテクター、好ましくはシリコーンペーパー製のプロテクターで、好ましくは4つの部分(そのうちの1つの部分は少なくとも部分的に中央部(1)を覆い、1つの部分は少なくとも部分的にタブ(3)を覆い、2つの部分は少なくとも部分的に各側枝(2)を覆っている)からなるプロテクターで覆われている。
【0045】
本発明による包帯の製造は、当業者に既知の技法による。支持体層は接着剤でコーティングされ、接着剤はプロテクターで覆われる。
【0046】
本発明による包帯を貼付する1つの方法は下記のとおりである。
(a)接着剤部分を覆っているペーパーを外す。
(b)包帯の中央部の中心に爪がくるように、包帯の中央部を爪に貼付する。
(c)タブ(3)、続いて側枝(2)を指の内側(under the finger)に貼付する。
【0047】
本発明の包帯を貼付する別の方法は下記のとおりである。
(a)タブ(3)の接着剤部分を覆っているペーパー(10)を外す。
(b)治療する指の腹部を包帯の上に置く。
(c)爪に尿素ペーストを塗布する。
(d)包帯の残部から接着剤部分を外す。
(e)爪を覆うようにタブ(3)を折り曲げる。
(f)タブ(3)を指の上に固定してから、側枝(2)を指の内側に固定し、任意で
(g)圧力を加えることによって、尿素ペーストを爪の上に再配置する。
【0048】
本発明による包帯は、密封された袋に個別に包装されているか、または1つの袋に数個の包帯が包装されている。袋内部の媒体は、無菌であってもなくてもよい。本発明の包帯は、無菌包装されていないことが好ましい。
【0049】
本発明のさらなる主題は、下記を含んでなるキットに関する。
−尿素ペーストの容器
−本発明による閉鎖または部分閉鎖包帯
【0050】
本発明の包帯は、罹患した爪に尿素ペーストを塗布することによって爪真菌症を治療するのに特に適している。本発明の包帯は、尿素ペーストを爪の上の適所に保持し、その閉鎖または部分閉鎖特性によって、尿素の角質溶解特性を増大させる。加えて、爪に塗布する尿素ペーストが高脂肪質であるにもかかわらず、かつ、靴着用時に常に機械的応力がかかる足指で使用されるにもかかわらず、先行技術の閉鎖包帯よりも長期間にわたって、例えば2日間まで、尿素ペーストを適所に保持することができる。
【0051】
任意で、包帯の透明性によって、塗布した尿素ペーストの量に対して、治療する爪上での包帯の配置を適切に視認できるようになるので、皮膚上での包帯の配置を最高の状態に調節して、包帯が皮膚に良好に接着するようにできる。包帯の可塑性によって、爪のいずれかの側部で尿素ペーストを押しつぶすことなく、接着剤部分を皮膚の上にきちんと配置できるようになる。本発明によるキットの尿素ペーストは、尿素を約20〜50%、好ましくは30〜45%、さらに好ましくは40%含有する。
【0052】
加えて、本発明のキット内の尿素ペーストは、ラノリンとホワイトワセリンとを含んでなる。本発明のキット内の尿素ペーストは、好ましくはラノリンを10〜30%、より好ましくは20%含んでなる。本発明のキット内の尿素ペーストは、好ましくはホワイトワセリンを30〜50%、より好ましくは40%含んでなる。
【0053】
任意で、本発明の尿素ペーストは、ケイ酸アルミニウムマグネシウムおよび/または親水性シリカも含有してもよい。この態様によれば、本発明の尿素ペーストは、好ましくはケイ酸アルミニウムマグネシウムを0.1%〜1%、特に好ましくは0.4%含有する。この態様によれば、本発明のキット内の尿素ペーストは、親水性シリカを、0.05%〜0.5%含有し、特に好ましくは、親水性シリカのみを加える場合に0.4%含有し、親水性シリカとケイ酸アルミニウムマグネシウムとの混合物を加える場合に0.06%含有する。この態様では、本発明のキット内の尿素ペーストは、ラノリンを約20%、ホワイトワセリンを約49.6%、シリカ、またはシリカとケイ酸アルミニウムマグネシウムとの混合物を約0.4%含有することが好ましい。
【0054】
本発明の一つの態様によれば、尿素ペーストは、ラノリン約20%と、ホワイトワセリン約40%と、尿素/ケイ酸マグネシウム/親水性シリカ混合物約40%からなる。尿素/ケイ酸マグネシウム/親水性シリカ混合物の構成物質の重量比は、約98.85:1:0.15であるのが好ましい。
【0055】
本発明によるキットの尿素ペースト中のホワイトワセリンは、好ましくはシンタデックスA コデックス(SyntadexACodex)というホワイトワセリンである。
【0056】
本発明のキット内の尿素ペーストの親水性シリカは、アエロジル(Aerosil) V200またはアエロジルR972であることが好ましい。
【0057】
本発明のキット内の尿素ペーストの容器は、広口瓶、チューブ、ボトルであってもよい。尿素ペーストの容器は、尿素ペーストを爪に塗布しやすくするチューブであることが好ましい。
【0058】
本発明によるキット内の尿素ペーストの容器は、尿素ペーストを5〜50g、好ましくは10〜30g、さらに好ましくは約10g収容してよい。
【0059】
本発明によるキットは、10〜50個の包帯を含むのが好ましい。
本発明のキットは、7の倍数の数の包帯を含むのが好ましい。
【0060】
本発明のキットは、包帯を好ましくは7、14、21、または28個、特に好ましくは21個、すなわち、3週間治療するように企図されている量含む。
【0061】
本発明の他の特徴および利点は、本発明の一つの態様の説明を読めば、さらに明らかになるであろう。この説明では、下記の添付の図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明による包帯の平面図である。図1の点線は単に、それぞれ異なる部分1、2、3、および4を区分する目的で示したものであるが、いずれの材料要素にも相当しない。実線は、プロテクター部分の境界線に相当する。
【図2】図1の包帯を指の爪に適用する方法を示している。図2は、爪の側部から見た図である。
【図3】図1の包帯を指の爪に適用する方法を示している。図3は、指腹(finger pad)の側の図である。
【図4】図4は、図1の長手方向断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0063】
図1〜図4を参照しながら、本発明の包帯について説明していく。
【0064】
図1に示されているように、本発明の包帯は、概ね先が上を向いたT字形のものであり、長方形の中央部(1)と、この長方形の短辺側にある2つの側枝(2)と、長方形の一方の長辺側にあるタブ(3)と、タブ(3)がある側とは反対側の長方形の長辺側にあるショートタブ(4)とを含んでなる。実線は、プロテクターを形成する、4つの部分のうちの3つの境界線を表している。点線は、単に本発明を定義する目的で、部分(1)〜(4)を定めるものである。ただし、上方の点線は、部分(1)とタブ(4)との間の境界線のみならず、プロテクター要素の境界線にも相当する。下方の点線は、単に本発明を定義する目的で、部分(1)とタブ(3)との間の境界線に相当するものであり、いずれの材料要素にも相当しない。
【0065】
本発明の包帯は、ポリマーベースのプラスチックフィルム層(5)と、このポリマーベースのプラスチックフィルムの全体を覆っている接着剤層(6)と、この接着剤部分を覆い、使用前に外されるシリコンペーパー(7)とを有する(図4)。
【0066】
図2aおよび図3aに示される通り、部分(1)を覆っているシリコンペーパー部分(8)を外したら、接着剤側の中央部(1)の中心に爪を置き、中央部(1)を押圧して爪を付着させる。
【0067】
すると、タブ(3)が、指の末端の爪の延長戦上に位置し、側枝が、爪の各長手方向側部にくる。
【0068】
続いて、シリコーンペーパー部分(8)を外し、タブ(3)を部分的に覆っている部分(10)を外す。次に、図2bおよび図3bに示される通り、タブ(3)を指の内側に長手方向に折り、指腹、すなわち、爪と反対側の指の末端部分に付着させる。
【0069】
最後に、側枝(2)を覆っているシリコンペーパー(9)の部分を外す。図2cおよび図3cに示されているように、続いて側枝を折りたたんで、タブ(3)に付着させる。
【実施例】
【0070】
下記の実施例は、本発明の範囲を限定することなく、本発明を例示するものである。
【0071】
実施例1:尿素ペースト
組成:尿素40%、ラノリン20%、シンタデックスAというホワイトワセリン40%。
【0072】
実施例2:本発明のキットおよびその使用
本発明によるキットの1つの例は、本発明による包帯21個と、実施例1による尿素ペーストの10gチューブ(すなわち、3週間にわたって毎日治療を行うのに必要な量)が入ったダンボール箱(cardbox)からなる。
【0073】
キット内のチューブを用いて、罹患した爪の表面を尿素ペーストでコーティングし、キットから出した包帯を貼付する。この貼付作業を24時間ごとに繰り返す。
【0074】
爪板が軟化し、爪床から離れるようになったら、ハサミを用いて爪板を切除する。
【0075】
実施例3:尿素ペースト
尿素/ノイシリン(Neusilin)/アエロジル V200混合物の調製物は、下記からなる。
−尿素 98.85%(w/w)
−ノイシリン(登録商標)(メタケイ酸アルミン酸マグネシウム) 1%(w/w)
−アエロジル(登録商標)V200(親水性シリカ) 0.15%(w/w)
微粉化された尿素/ノイシリン(登録商標)/アエロジル(登録商標)V200混合物 40.465(尿素40%)
ラノリン 20%
ホワイトワセリン 39.535%
【0076】
実施例4:臨床試験のプロトコール
主目的:ビホナゾールおよび尿素と関連する軟膏と比較して、実施例1の軟膏が、足指爪の爪真菌症を臨床上罹患した爪板領域を完全に除去する効能を評価すること。
二次的目的の1つ:実施例1の軟膏に対する耐性を評価すること。
【0077】
一般的な方法:
レファレンス治療法との比較における対照無作為化多施設非盲検並行群間試験
試験薬:実施例1の軟膏
投与経路:局所
投与形態:1日に1回、患者が軟膏を所要量塗布して、感染爪の表面を完全に覆うようにし、閉鎖包帯で24時間覆う。毎日、前回の塗布後に残った余分な軟膏を除去してから、上記の塗布作業を再び行い、包帯を交換する。
治療期間:3週間、または、それよりも早く、臨床上感染した標的爪板領域が完全に除去された場合には、3週間未満。この場合には、患者は、第2期間の最後の対診とみなされる特別な対診を受けるために、可能な限り早く再来院して、治療を中止した。
【0078】
評価基準:
効能の主な基準
盲検試験下で、0日目(D0)に撮影した写真との比較における、21日目(D21)に撮影した標準化写真に基づき、0=失敗、1=成功という2点尺度を用いて、3週間の治療後に感染した標的爪板領域が完全に除去されたかを、独立した専門家からなる委員会が評価した。
【0079】
効能の2次的基準のいくつかの例
0日目に撮影した写真との比較における、21日目(D21)での臨床検査に基づき、0=失敗、1=成功という2点尺度を用いて、3週間の治療後に臨床上感染した標的爪板領域が完全に除去されたかを調査員が評価した。
【0080】
0=不満足、1=やや満足、2=満足、3=非常に満足という4点尺度で、患者が21日目(D21)に上記の治療法の利用しやすさを評価した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可塑性の閉鎖または部分閉鎖包帯であって、
厚みが100μm未満であり、かつ、手指爪または足指爪を閉鎖するのに適した形および大きさであり、かつ、少なくとも部分的に接着剤層でコーティングされているポリマーベースのプラスチックフィルムの支持体層を含んでなる、包帯。
【請求項2】
上向きのT字形であり、該T字形が、爪を覆うように意図されている中央部(1)と、爪の各側部において指の内側に折り返すように意図されており、前記T字の短枝を表す2つの同一の側枝(2)と、長手方向で指の内側に折り返すように意図されており、折り返す前には、爪の延長線上に配置されており、かつ、前記T字の長枝を示すタブ(3)とを含んでなる、請求項1に記載の包帯。
【請求項3】
長さが10mm未満でありかつタブ(3)と対向する追加的タブ(4)を有する、請求項1または2に記載の包帯。
【請求項4】
前記支持体層が透明プラスチックフィルムである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の包帯。
【請求項5】
前記支持体層がポリウレタンベースのプラスチックフィルムである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の包帯。
【請求項6】
厚みが60μm未満である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の包帯。
【請求項7】
厚みが40μmである、請求項6に記載の包帯。
【請求項8】
長さ[(1)および(3)の部分]が6〜8cmであり、幅[(1)および(2)の部分]が7.5〜9.5cmである、請求項1〜7のいずれか一項に記載の包帯。
【請求項9】
長さが70mm±2mmであり、幅が84mm±2mmである、請求項8に記載の包帯。
【請求項10】
前記各側枝(2)の長さが15〜25mmである、請求項1〜9のいずれか一項に記載の包帯。
【請求項11】
前記タブ(3)の長さが20〜40mmである、請求項1〜10のいずれか一項に記載の包帯。
【請求項12】
前記接着剤層の剥離接着強度が、10.0N/25mm超(角度180°、剥離速度300±30mm/分、温度23±2℃の場合)である、請求項1〜11のいずれか一項に記載の包帯。
【請求項13】
透明または半透明である、請求項1〜12のいずれか一項に記載の包帯。
【請求項14】
前記接着剤層が前記支持体層の全体を覆っている、請求項1〜13のいずれか一項に記載の包帯。
【請求項15】
ポリウレタンの支持体層と、該支持体層の全体を覆っている接着剤層とからなる、請求項1〜14のいずれか一項に記載の包帯。
【請求項16】
使用前に前記接着剤層を覆うシリコンペーパーのプロテクターを追加的に有してなる、請求項1〜15のいずれか一項に記載の包帯。
【請求項17】
尿素ペーストの容器と、
薄い可塑性の閉鎖または部分閉鎖包帯であって、手指爪または足指爪を閉鎖するのに適した形および大きさであり、少なくとも部分的に接着剤層によってコーティングされているポリマーベースのプラスチックフィルムの支持体層を含んでなる包帯と
を含んでなる、キット。
【請求項18】
前記包帯が、上向きのT字形であり、該T字形が、爪を覆うように意図されている中央部(1)と、爪の各側部において指の内側に折り返すように意図されており、前記T字の短枝を表す2つの同一の側枝(2)と、長手方向で指内側に折り返すように意図されており、折り返す前には、爪の延長線上に配置されており、前記T字の長枝を示すタブ(3)とを含んでなる、請求項17に記載のキット。
【請求項19】
前記包帯の支持体層がポリウレタンベースのプラスチックフィルムである、請求項17または18に記載のキット。
【請求項20】
前記包帯の厚みが100μm未満である、請求項17〜19のいずれか一項に記載のキット。
【請求項21】
前記包帯の接着剤層の剥離接着強度が、10.0N/25mm超(角度180°、剥離速度300±30mm/分、温度23±2℃の場合)である、請求項17〜20のいずれか一項に記載のキット。
【請求項22】
前記包帯が、ポリウレタンの支持体層と、前記支持体層の全体を覆っている接着剤層とからなる、請求項17〜21のいずれか一項に記載のキット。
【請求項23】
前記尿素ペーストが約40%の尿素を含有する、請求項17〜22のいずれか一項に記載のキット。
【請求項24】
前記尿素ペーストが、約20%のラノリンおよび約40%のホワイトワセリンを含有する、請求項17〜23のいずれか一項に記載のキット。
【請求項25】
前記尿素ペーストが、約20%のラノリンおよび約49.6%のホワイトワセリン、および、約0.4%の、シリカまたはシリカとケイ酸アルミニウムマグネシウムとの混合物を含有する、請求項17〜24のいずれか一項に記載のキット。
【請求項26】
前記ホワイトワセリンが、シンタデックスA コデックス ホワイトワセリンである、請求項24または25に記載のキット。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図2c】
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【図3a】
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【図3b】
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【図3c】
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【図4】
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【公表番号】特表2011−529711(P2011−529711A)
【公表日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−520524(P2011−520524)
【出願日】平成21年7月31日(2009.7.31)
【国際出願番号】PCT/EP2009/059933
【国際公開番号】WO2010/012824
【国際公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【出願人】(500166231)ピエール、ファブレ、デルモ‐コスメティーク (30)
【氏名又は名称原語表記】PIERRE FABRE DERMO−COSMETIQUE
【Fターム(参考)】