説明

爪真菌症治療組成物

本発明は、プロトン源、湿潤剤、被膜形成剤、浸透促進剤、少なくとも1種の溶媒、並びに任意に、1以上の爪コンディショナー、防腐剤、UV抑制剤、顔料、染料、及び香料からなる群から選択される少なくとも1種の追加の成分、を含む爪真菌症治療組成物を提供する。他の態様では、本発明は、爪真菌症治療組成物の調製のための方法、爪真菌感染症の治療における該組成物の使用、爪真菌症治療器具、及び、本発明の爪真菌症治療器具と組み合わせて本発明の爪真菌症治療組成物を含むキットを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、真菌症状及びその治療に、詳細には、こうした症状、特に手指の爪及び足指の爪の症状を治療するのに使用するための組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
爪真菌症(又は爪糸状菌症)は、ヨーロッパ及び北アメリカの人口のおよそ2%から13%が罹患していると推定され、有病率は、年齢と共に増大する。この症状は、皮膚糸状菌(動物及びヒトにおける皮膚疾患を共通して引き起こす3種の群の真菌)種、一般にトリコフィトン・ルブルム(Trichophyton rubrum)又はトリコフィトン・メンタグロフィテス(Trichophyton mentagrophytes)による爪床の侵入が原因で発症し、爪の下側から発出する爪内の黄色、茶色、又は白色の変色斑点として現れる。皮膚糸状菌が侵入する部位に応じて、爪糸状菌症のいくつかの異なるパターンが認められる。最も一般的なパターンは、爪の先又は側面の縁の侵入に起因する(末端側面爪下性爪糸状菌症(distolateral subungal onychomycosis))。あまり一般的でないのは、爪板表面が直接的に侵入を受け、白色の島状変色(island)がもたらされる(白色表浅性爪糸状菌症(white superficial onychomycosis))。二次的な症状としては、爪板の肥厚及び線状隆起が挙げられる。爪糸状菌症は変性症状であり、治療されない場合、侵入した皮膚糸状菌が爪板及び爪床を通して近位に広がり、爪板の破壊、最終的には剥離に至る。
【0003】
爪糸状菌症は、多くの人によって、医学的症状に分類されるが、罹患者の一番の関心事は、病気の美容上の悪影響である。多くの罹患者は、手指の爪又は足指の爪の視覚的外観に困惑しており、正常な爪の外観を取り戻すことを望んでいる。大抵の爪真菌症治療生成物は、菌類学的治療を達成する目的で、症状の根本的原因、すなわち皮膚糸状菌に作用する。しかし、実際には、感染症の現行の永続的な有効治療と相対して、こうした治療の結果が、爪板を正常な外観に戻す美容上の利益である。
【0004】
現在、足指又は手指の爪の外観を改善するのを助けるために爪真菌症の罹患者が利用できる、いくつかの選択肢が存在する。これらは、大きく3つの群に分類することができる:経口の全身的薬物適用、局所用医薬品、及び医療器具。これらの選択肢はすべて、使用について潜在的な欠点を有する。経口の全身的薬物適用については、テルビナフィン、イトラコナゾール、又はグリセオフルビンなどの全身的な抗真菌物質(これらは、経口的に摂取され、循環系に吸収され、最終的には爪床及び爪板に到達する)を使用して、爪真菌症が治療される。この治療経路は、有効性が低いので、かなりの期間、治療を継続しなければならず;肝臓障害などの重篤な副作用が引き起こされる場合もある。
【0005】
局所用薬物又は医薬品は、店頭で販売されており、一般に、爪板を覆って不浸透性の被膜を形成する爪ワニス又はラッカー中に提供される。時間と共に、ワニス又はラッカーから爪板に、その後爪床に向かって薬物が拡散し、そこでは、薬物が、皮膚糸状菌に対する直接的な薬理学的作用によって、皮膚糸状菌を殺す。例えば、WO 2007/147052及びUS 2005/181999は、爪真菌感染症の治療のための局所用組成物(この組成物は、生物学的に活性な薬剤を含む)を開示している。生物学的に活性な薬剤は、抗真菌剤、抗細菌剤、抗炎症剤、又は抗ウイルス剤であり得る。
【0006】
治療期間は一般に、手指の爪については6か月、足指の爪については9から12か月であるが、この形の治療は、治癒率が低く、報告されている割合は、例えば、シクロピロックスを含有する治療について約8.5%、アモロルフィンを含有する治療について約46%である。一部の治療は、ワニス又はラッカーの適用前に、爪の完全な除去を必要とする。
【0007】
US 2004/096410は、爪真菌感染症の治療のための代替の局所用組成物(この組成物は、1以上の活性剤(水分を含む)と1以上の湿潤剤とを組み込んだ基質材料を含む)を開示している。この基質材料は、基質を爪のおよそのサイズに切断し、その基質を爪の上に置き、これを爪に固定することによって、治療中に爪に適用される。
【0008】
いくつかの治療は、ワニス又はラッカーの適用前に爪床が壊死組織切除されることを必要とする。例えば、0.1% w/w塩化ベンザルコヌイム(benzalkonuim)を含有する治療ClearZal(登録商標)BACは、液体の適用前に爪を壊死組織切除するための爪ヤスリを提供する。この壊死組織切除によって、有効性が増大するが、ヤスリの再使用は、感染した爪から、感染していない又は最近治癒した爪への、転移又は胞子による他の爪(又は他の人々)への感染症の広がりを促進することとなる。
【0009】
より最近の開発では、「医療器具」と呼ばれるもの、すなわち、人体に適用した場合に、生化学的又は医薬的効果ではなく物理学的又は力学的効果を有する器具に焦点が当てられている。これらの医療器具は、爪の表面を覆う被膜の形成と、爪の下の感染源への生物不適環境の浸透とを介して作用することを主張している。
【0010】
これらの器具のいずれかが作用するという臨床的証拠はほとんどなく、また、入手できる爪真菌症医療器具のほとんどは、爪板の一番上の層(背面層)を壊死組織切除する手段を有しないので、生物不適環境の浸透、したがって有効な治療は、非常に限られることとなる。壊死組織切除手段(爪ヤスリ)を別に利用することもできるが、相互汚染を避けるために爪ヤスリの相互使用を避ける又は最小限にするための策は存在しない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
皮膚糸状菌への更なる暴露から爪を保護する;皮膚糸状菌に生物不適環境を提供する、必要とされる所まで生物不適環境の浸透を高める;ための手段を組み込み、該手段によって、他の爪への感染の広がりのリスクが下げられる又は無くなるような爪真菌症治療の必要性が存在することを、本発明者らは認識している。
【課題を解決するための手段】
【0012】
そこで、上記を認識し、本発明者らは上記の必要性を満たす手段を考案した。
【0013】
本発明の一態様によれば、プロトン源を含む真菌治療組成物、特に爪真菌症治療組成物が提供される。好ましくは、該組成物は、液体である。用語「爪真菌症治療組成物」とは、該組成物がプロトン源に加えて、組成物が適切に機能するための他の適切な成分を必要に応じて含むことを意味することが理解されよう。
【0014】
本発明の別の態様によれば、プロトン源及び湿潤剤を含む爪真菌症治療組成物が提供される。
【0015】
本発明のさらに別の態様によれば、プロトン源、湿潤剤、被膜形成剤、浸透促進剤、及び溶媒、を含む爪真菌症治療組成物が提供される。該組成物は、1以上の爪コンディショナー、防腐剤、UV抑制剤、顔料、染料、及び香料からなる群から選択される少なくとも1種の追加成分を任意に含む。
【0016】
最も好ましくは、本発明の組成物は、本質的に、プロトン源、湿潤剤、被膜形成剤、浸透促進剤、少なくとも1種の溶媒、並びに任意に、1以上の爪コンディショナー、防腐剤、UV抑制剤、顔料、染料、及び香料からなる群から選択される少なくとも1種の追加の成分からなる。
【0017】
本発明の別の態様によれば、本発明による爪真菌症治療組成物の調製のための方法であって、プロトン源を提供することと、プロトン源を他の適切な成分と混合して爪真菌症治療組成物を形成することとを含む前記方法が提供される。
【0018】
適切な成分としては、湿潤剤、被膜形成剤、浸透促進剤、少なくとも1種の溶媒、並びに、1以上の爪コンディショナー、防腐剤、UV抑制剤、顔料、染料、及び香料からなる群から選択される任意選択の追加の成分が挙げられる。
【0019】
本発明による組成物は、好ましくは、局所用組成物である。
【0020】
本発明のさらに別の態様によれば、本発明による爪真菌症治療組成物の調製のための方法であって、プロトン源、湿潤剤、被膜形成剤、浸透促進剤、及び溶媒を混合して爪真菌症治療組成物を形成することを含む前記方法が提供される。
【0021】
本発明のさらに別の態様によれば、真菌感染症、特に爪真菌症の治療における使用のための、プロトン源を含む組成物が提供される。
【0022】
本発明のさらに別の態様によれば、真菌感染症、特に爪真菌症の治療における使用のための、プロトン源及び湿潤剤を含む組成物が提供される。
【0023】
本発明のさらに別の態様によれば、真菌感染症、特に爪真菌症の治療における使用のための、プロトン源、湿潤剤、被膜形成剤、浸透促進剤、及び溶媒を含む組成物が提供される。
【0024】
本発明のさらに別の態様によれば、本発明の爪真菌症治療用流体組成物を含む爪真菌症治療器具が提供される。
【0025】
本発明のさらに別の態様によれば、爪真菌症治療器具と併用する本発明の治療組成物の使用が提供される。
【0026】
本発明の別の態様によれば、爪真菌症治療器具と本発明の爪真菌症治療組成物とを含むキット、特に爪真菌症治療キットが提供される。
【0027】
本発明は、爪真菌感染症を治療するための従来技術の方法及び組成物に勝る多くの利点を提供する。本発明の組成物は、全身的真菌治療組成物に随伴する当分野で公知の副作用又は問題点を有しない局所用真菌治療組成物を提供する。本発明はまた、爪真菌症の治療に使用される従来技術の局所用組成物に対する改良である。本発明の組成物が、Loceryl(登録商標)などの他の局所用爪真菌症治療組成物に勝る改良された薬理学的効果を有することを示すことができる。本発明の組成物中で活性成分として働くプロトン源は、通常、複雑な有機化合物である、従来の技術から公知の典型的な局所用抗真菌活性剤に勝る改良を提供する。従来の技術に使用される抗真菌性の複雑な有機化合物は、ある種の負の副作用を有することが公知である。本発明の組成物の使用によって、これらの副作用の回避が提供される。
【0028】
さらに、本発明の組成物は、爪に固定する必要がある基質材料を含まないので、US 2004/096410の組成物よりも、使用が容易である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】図1は、使用する試験セルの概略図を示す。
【図2】図2は、表3に詳述した爪真菌症治療組成物配合についての、表4に詳述した投与計画に従って試験した試験結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明の爪真菌症治療組成物中のプロトン源は、任意の適切なプロトン源であり得る。好ましくは、プロトン源は、有機酸を含む。より好ましくは、プロトン源は、クエン酸又は酢酸を含む。非常に好ましい実施態様では、プロトン源は、クエン酸を含む。プロトン源によって、爪治療組成物のpHが、0から7、好ましくは2から6、より好ましくは3から5、最も好ましくは2から4の範囲内であることがもたらされることが適切である。プロトン源は、治療用流体組成物の重量に対して、好ましくは1から25重量%、より好ましくは2から20重量%、最も好ましくは5から15重量%の量で、爪真菌症治療組成物中に存在する。
【0031】
本発明の好ましい実施態様では、爪治療組成物は、湿潤剤を含むことができる。湿潤剤は、爪真菌症治療組成物における使用に適した任意の吸湿性材料であり得る。好ましくは、湿潤剤は、グリセリン又はプロピレングリコールである。最も好ましくは、湿潤剤は、グリセリンである。湿潤剤が、爪真菌症治療用流体組成物中に存在する場合、爪真菌症治療用流体組成物の重量に対して、5から60重量%、より好ましくは10から50重量%、最も好ましくは15から40重量%の量で存在することが好ましい。本発明の組成物中に湿潤剤が存在する場合、吸湿性の湿潤剤が、大気中から水を吸収し、爪板に水分を与えて爪板と爪床との間の水分拡散勾配を作り出して、治療組成物の水溶性成分の爪床への拡散を容易にすると考えられている。湿潤剤はまた、組成物中に存在する場合、爪板を破壊及び軟化させるので、角質溶解剤の効果を高めるとも考えられている。プロトン源由来のプロトンは、爪板に水分が与えられて軟化すると、爪板を通して自由に拡散し、水とグリセリンによって作り出された水分拡散勾配に沿って進み、その結果、爪床(感染症が主に位置する場所である)に蓄積すると考えられる。
【0032】
本発明の好ましい実施態様では、爪真菌症治療用流体組成物は、被膜形成剤を含むことができる。被膜形成剤は、爪真菌症治療用流体組成物中での使用に適した任意の被膜又はラッカー形成剤であり得る。被膜形成剤は、好ましくは、非架橋ポリマー又は任意の種類のガム、より好ましくは、非架橋多糖類ガムなどの多糖類ベースのガムである。最も好ましくは、被膜形成剤は、キサンタンガムである。爪真菌症治療用流体組成物中に被膜形成剤が存在する場合、被膜形成剤は、爪真菌症治療用流体組成物の重量に対して、0.01重量%から5重量%、より好ましくは0.5から2重量%、最も好ましくは0.1から1重量%の量で存在することが好ましい。
【0033】
本発明の好ましい実施態様では、爪真菌症治療組成物は、浸透促進剤を含むことができる。浸透促進剤は、爪真菌症治療組成物中での浸透促進剤としての使用に適した任意の薬剤であり得る。好ましくは、浸透促進剤は、生物不適環境すなわち爪を軟化させるのを助け、爪真菌症治療組成物の他の成分が生物不適環境を通して爪床に浸透するのを助ける薬剤である。好ましくは、浸透促進剤は、角質溶解剤である。浸透促進剤は、尿素、チオグリコール酸、チオグリコール酸ナトリウム、又はチオグリコール酸カリウムなどの、任意の角質溶解剤であり得る。好ましくは、角質溶解剤は、尿素である。爪真菌症治療用流体組成物中に浸透促進物質が存在する場合、浸透促進物質は、爪真菌症治療用流体組成物の重量に対して、好ましくは1から15重量%、より好ましくは1から10重量%、最も好ましくは1から5重量%の量で存在する。
【0034】
本発明の好ましい実施態様では、爪真菌症治療組成物は、溶媒を含む。爪真菌症治療組成物中での使用に適したいかなる溶媒も使用することができる。好ましくは、使用される溶媒は、極性の溶媒、より好ましくは水性の溶媒、最も好ましくは水(例えば脱イオン水)である。治療用流体組成物中に溶媒が存在する場合、溶媒は、有効な爪真菌症治療組成物を形成するのに適したいかなる量でも存在することができる。
【0035】
本発明の種々の実施態様では、爪真菌症治療組成物は、爪真菌症治療組成物の技術分野で公知の成分などの他の適切な成分を含むことができる。例えば、種々の実施態様では、爪真菌症治療組成物は、1以上の爪コンディショナー、防腐剤、UV抑制剤、顔料、染料、及び香料を含むことができる。
【0036】
好ましい追加の防腐剤は、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、ソルビン酸、又は安息香酸を含むことができる。爪真菌症治療組成物中に防腐剤が存在する場合、防腐剤は、爪真菌症治療組成物の重量に対して、好ましくは0.01重量%から2重量%、より好ましくは0.01から1重量%、最も好ましくは0.1から0.5重量%の量で存在することができる。
【0037】
爪真菌症治療用流体組成物中に爪コンディショナーが存在する場合、爪コンディショナーは、治療用流体組成物の重量に対して、好ましくは0.01から5重量%、より好ましくは0.05から25重量%、最も好ましくは0.1から1重量%の量で存在することができる。
【0038】
爪真菌症治療組成物中にUV抑制剤が存在する場合、UV抑制剤は、真菌治療用流体組成物の重量に対して、好ましくは0.01から0.5重量%、より好ましくは0.01から0.2重量%、最も好ましくは0.01から0.1重量%の量で存在することができる。
【0039】
本発明組成の爪真菌症治療組成物中には、組成物の色及び匂いを改善させるために、顔料、染料、及び香料を使用することができる。
【0040】
本発明の爪真菌症治療は、2種以上の溶媒を含むことができる。好ましい追加の溶媒は、イソプロピルアルコール、エタノール、又はアセトンを含む。爪真菌症治療組成物中に追加の溶媒が存在する場合、追加の溶媒は、15から40%の量で存在することが好ましい。
【0041】
爪真菌症治療用流体組成物の種々の成分は、該組成物中に、爪真菌症治療用流体組成物を形成するのに適したいかなる% w/w量でも存在することができる。
【0042】
本発明の爪真菌症治療組成物の好ましい実施態様では、爪真菌症治療用流体は、クエン酸、水、キサンタンガム、尿素、及びグリセリンを含む。
【0043】
本発明の好ましい実施態様では、一般的な爪真菌症治療組成物は、下の表1の通りである。
【表1】

【0044】
特に好ましい組成を、下の表2に示す。
【表2】

【0045】
理論に拘泥されないが、本発明の組成物中に被膜形成剤が存在する場合、被膜形成剤は、感染した爪の表面全体を覆う保護膜を形成すると考えられている。被膜形成剤はまた、該組成物の他の成分を保留するためのものとして作用する。本発明の組成物中に浸透促進剤が存在する場合、浸透促進剤は、爪の一部を形成するケラチン分子を破壊及び変性させることによって働くと考えられている。このようにして、浸透促進剤は、生物不適環境すなわち爪を破壊及び軟化させ、該組成物の他の成分が生物不適環境を浸透するのを助ける。本発明の組成物中に湿潤剤が存在する場合、吸湿性の湿潤剤が、大気中から水を吸収し、爪板に水分を与えて爪板と爪床との間の水分拡散勾配を作り出して、治療組成物の水溶性成分の爪床への拡散を容易にすると考えられている。湿潤剤はまた、組成物中に存在する場合、爪板を破壊及び軟化させるので、角質溶解剤の効果を高めるとも考えられている。プロトン源由来のプロトンは、爪板に水分が与えられて軟化すると、爪板を通して自由に拡散し、水とグリセリンによって作り出された水分拡散勾配に沿って進み、その結果、爪床(感染症が主に位置する場所である)に蓄積すると考えられる。これによって、皮膚糸状菌が生存不適であることが分かっている弱酸性環境が作り出される。この弱酸性環境では、皮膚糸状菌は、皮膚糸状菌の生存に不可欠な細胞構造の主要成分を産生することができないと考えられている。したがって、皮膚糸状菌は死滅し、爪の変色が生じる-すなわち、爪床から成長する新しい爪は、真菌感染症が存在していた場合、真菌感染症を罹患しなくなる。
【0046】
本発明の方法は、プロトン源を、先の段落に述べた爪真菌症治療組成物の他の成分と、先の段落に述べたいずれかの量で混合することを含む。諸成分は、例えば、当分野の従来の方法を使用して混合することができる。諸成分は、爪真菌症治療組成物を形成するためのいかなる順序でも混合することができる。
【0047】
好ましくは、本発明の方法は、プロトン源を、湿潤剤、及び爪真菌症治療組成物を形成するための先の段落に述べた他の成分と、混合することを含む。より好ましくは、本発明の方法は、プロトン源を、本発明の爪真菌症治療組成物を形成するための湿潤剤、浸透促進剤、被膜形成剤、及び溶媒と混合することを含む。
【0048】
真菌感染症の治療における使用のための組成物は、本発明による組成物であることが好ましく、先の段落に述べた成分のいずれかを含むことができ、この種々の成分は、先の段落に述べたいずれかの量で、爪真菌症治療用流体組成物中に存在することができる。
【0049】
好ましくは、該組成物は、好ましくは局所的に使用するための爪真菌症治療組成物である。該爪真菌症治療組成物は、真菌感染症の部位に応じて、手指の爪又は足指の爪のいかなる部分にも適用することができる。好ましくは、該爪真菌症治療組成物は、爪板の最上層に適用される。爪真菌症治療組成物は、いかなる形の真菌感染症も治療するために使用することができる。好ましくは、治療対象の真菌感染症は、手指の爪又は足指の爪の、より好ましくは手指の爪又は足指の爪の爪床の感染症である。該真菌感染症は、いかなるタイプの真菌による感染症でもあり得る。好ましくは、該真菌感染症は、皮膚糸状菌による感染症であり、最も好ましくは、該感染症は、トリコフィトン・ルブルム(Trichophyton rubrum)又はトリコフィトン・メンタグロフィテス(Trichophyton mentagrophytes)種の真菌による感染症である。
【0050】
該爪真菌症治療組成物は、手指の爪又は足指の爪に、いかなる方式でも適用することができる。好ましくは、該爪真菌症治療組成物を手指の爪又は足指の爪に適用する前に、壊死組織切除によって爪板の上層を除去した後、爪板の新たな最上層に該爪真菌症治療組成物を適用する。理論に拘泥されないが、壊死組織切除のプロセスは、生物不適環境の幅を狭くするように企図される。壊死組織切除のプロセスは、生物不適環境を通した爪真菌症治療組成物の成分の浸透を高めるように企図され、その結果、爪板上の感染症の部位と、より容易に接触するようになる。
【0051】
壊死組織切除は、実施する場合、任意の適切な器具によって実施することができる。好ましくは、壊死組織切除は、爪真菌症治療器具によって実施される。該爪真菌症治療組成物と共に使用するための爪真菌症治療器具は、当分野で公知の任意の爪真菌症治療器具であり得るが、好ましくは器具は、本発明者らの同時係属中のUK特許出願(第1003340.5号)に記載されている通りである。
【0052】
治療中に、手指の爪/足指の爪の壊死組織切除が実施されるかどうかにかかわらず、爪真菌症治療組成物が、手指の爪/足指の爪に適用される必要がある。使用される爪真菌症治療組成物は、当分野で公知の任意の手段によって適用することができる。好ましくは、爪真菌症治療組成物は、爪真菌症治療用流体塗布具を使用して適用される。これは、任意の適切又は適正な塗布具であり得るが、好ましくは刷毛である。好ましくは、該組成物は、爪の上に連続的な被膜を形成するように適用される。
【0053】
本発明の爪真菌症治療組成物は、1週間から3か月、より好ましくは1週間から2か月、さらに好ましくは2週間から6週間の期間内、最も好ましくは約28日内に爪真菌を殺すように企図される作用様式を有するように製剤化することができる。該爪真菌症治療組成物は、前の段落に述べたいずれかの方法によって、前の段落に述べたいずれかの組成物の調製によって、上に言及した効果を成すように製剤化することができる。一般に、該組成物の製剤化は、該組成物が、1週間以内に爪真菌を殺すように企図されようと、3か月以内に爪真菌を殺すように企図されようと、それほど違いがない。爪真菌感染症を治療するための所期の時間枠に応じて異なるのは、投薬計画である。爪真菌感染症を取り除くためのいかなる有効な投薬計画も、本発明の組成物と共に使用することができる。好ましくは爪治療(爪板の最上層の壊死組織切除、それに続く該組成物の適用、である治療)は、1日3回から2週間に1回、より好ましくは1日2回から1週間に1回、最も好ましくは1日1回実施される。本発明の組成物を用いた爪治療が1日1回行われる場合、真菌の死滅速度は一般に、3週間の期間で約99%であり、真菌感染症の完全な排除は、28日の期間内に行われる。週1回の治療が行われる場合、3週間の期間にわたる爪真菌の死滅速度は、約75から80%であり、真菌感染症の完全な排除は、その後間もなく行われる。
【0054】
爪真菌症治療は、爪組織の皮膚糸状菌の代謝を停止させ、さらに、変色した爪材料の経時的な蓄積を予防することができると考えられている。該爪真菌症治療組成物はまた、爪が再感染するのを防止することもできる。治療期間を通した該爪真菌症治療組成物の継続使用によって、爪が伸びて健康的な外観に戻り、感染の部位から皮膚糸状菌が除去されること(感染症の消失)が可能になる。
【0055】
以下の実施例は、本発明によるある種の爪真菌症治療用流体組成物の薬理学的効果を実証するために実施された試験であるが、本発明組成物又はその使用法の範囲を限定することは少しも意図していない。
【実施例】
【0056】
トリコフィトン・ルブルム(Trichophyton rubrum)に感染させたヒトの爪を使用する、MedPharm Limited社(Guildford、UK)が特許権を持つインビトロ試験モデルを使用して、各爪真菌症治療組成物の有効性を試験した。また、試験の概要は、次の通りである:
1.サイズが約3mm×3mmの完全厚の爪切断片を洗浄し、乾燥させ、次いで、試験セルに載置した。
2.次いで、この爪切断片の片面を、トリコフィトン・ルブルムを使用して感染させ、14日間インキュベートした。
3.次いで、この感染させた爪切断片の、トリコフィトン・ルブルムを植え付けたのと逆の面に、試験液[製剤についての表3を参照のこと]を加えた。
4.投与計画は、下の表4に示す。
5.この研究の最後に、セルを分解し、ATP(アデノシン-5'-三リン酸)の存在について爪切断片を分析した。
【表3】

【表4】

【0057】
感染させた対照と感染させていない対照に対して、また、非水系ラッカーの形であり、主たる活性成分として5% w/vアモロルフィン(抗真菌剤)を含有する市販の治療薬Loceryl(登録商標)(Galderma(UK)Ltd社)に対して、試験を行った。
【0058】
「1日1回投薬」については、1週間に1回(第1、8、及び15日)、各爪切断片を、個々のヤスリを使用して削り、削った後すぐに、刷毛を使用して試験製剤を適用し、爪切断片の表面全体が確実にカバーされるようにした。コーティングは、適用ごとに1回だけ行った。次いで、各爪切断片を5分間乾燥させて皮膜を形成させ、次いでこの爪切断片をインキュベートした。この投薬を、1日1回、21日間反復した。
【0059】
「週1回投薬」については、1週間に1回(第1、8、及び15日)、各爪切断片を、個々のヤスリを使用して削り、削った後すぐに、爪用刷毛を使用して試験製剤を適用し、爪切断片の表面全体が確実にカバーされるようにした。コーティングは、適用ごとに1回だけ行った。次いで、各爪切断片を5分間乾燥させて皮膜を形成させ、次いでインキュベートした。この投薬を、週1回(第1、8、及び15日)、21日間反復した。
【0060】
ATPは、細胞内で補酵素として使用され、細胞内で代謝のための化学エネルギーを輸送する、生きている生物によって産生されるヌクレオチドである。したがって、ATPの存在は、生きている生物の指標であり、ATPのレベルを使用して、サンプル中に存在する生存している生物の数を明らかにすることができる。ATPのレベルは、ATPレベルとルミネセンスとの間に線形相関が存在するということに基づくルミネセンス技術を使用して測定される。試験サンプルを用いて、試験サンプルのルミネセンスを、感染させた対照のルミネセンスと、回復率(%)を単位として比較した。
【0061】
図2は、1日1回使用する場合、本発明の4種の爪真菌症治療液体が、爪真菌症に対して、Loceryl(登録商標)治療よりもかなり効果が高いことをはっきりと示す。週1回適用する場合、本発明の爪真菌症治療組成物は、3週間の期間にわたって適用する場合、週1回適用した場合には約80%の死滅速度であり、1日1回適用した場合には約99%の死滅速度である。それに比べて、同じ計画で適用したLocerylの死滅速度は、約75%から80%の範囲である。
【0062】
好ましくは、本発明の爪真菌症治療用流体は、爪真菌症治療器具と併用して手指の爪/足指の爪の真菌感染症を治療するために使用される。
【0063】
爪真菌症治療組成物と共に使用するための爪真菌症治療器具は、当分野で公知の任意の爪真菌症治療器具であり得る。好ましい実施態様では、爪真菌症治療器具は、爪真菌症治療用流体組成物に加えて、使い捨て爪ヤスリを含む。器具が爪ヤスリを含む場合、爪ヤスリは、好ましくは、バネで留められる。器具が、バネで留められる爪ヤスリを含む場合、これらの爪ヤスリは、任意の方式で爪真菌症治療器具内に含めることができる。好ましくは、バネで留められる爪ヤスリは、一方向性の投薬機構を備えた爪真菌症治療器具内に収納される。爪真菌症治療器具は、塗布具も含むことができる。塗布具は、爪真菌症治療器具内のどこに収納することもできる。好ましくは、塗布具は、投薬機構に取り付けられた容器内の爪真菌症治療器具内に収納される。爪真菌症治療器具は、好ましくは、爪真菌症治療組成物の包含のための容器を含む。この容器は、爪真菌症治療器具内に、任意の方式で/によって取り付け又は収納することができる。好ましくは、爪真菌症治療組成物の包含のためのこの容器は、投薬機構に取り付けられる。
【0064】
爪真菌症治療組成物を含む爪真菌症治療器具の好ましい実施態様では、爪真菌症治療器具は、バネ付きの一方向性の投薬機構中に提供される使い捨て爪ヤスリを含み、使用者が、汚染されたヤスリを投薬機構に戻し入れることができないようになっている。これは、使用者が、使用後にヤスリを捨てることを理解し、その結果、皮膚糸状菌の菌糸又は胞子が付いているヤスリのその後の再使用によって症状が広がることがないという利点を有する。
【0065】
器具が使い捨て爪ヤスリを含む場合、器具内の使い捨て爪ヤスリの数は、好ましくは1から10個、より好ましくは2から7個、最も好ましくは5個である。使い捨て爪ヤスリは、爪ヤスリをコーティングするのに適したいかなる物質でもコーティングすることができる。コーティングは、爪ヤスリが爪板の上表面を除去する機能を遂行するのを助けるために役立つ。コーティングはまた、爪板内に生息しているいかなる真菌に対しても有毒である点で役立つ。或いは、爪ヤスリのコーティングは、これらの機能の両方を果たすことができる。好ましい実施態様では、使い捨て爪ヤスリは、カーボランダム(炭化ケイ素)でコーティングされる。
【0066】
爪真菌症治療器具内に含まれる爪真菌症治療組成物は、先の段落に述べた成分/成分の群のいずれかを含むことができ、種々の成分は、爪真菌症治療器具と併用して使用するための爪真菌症治療用流体組成物中に、先の段落に述べたいずれかの量で存在することができる。
【0067】
爪真菌症治療器具と併用する、真菌感染症の治療における使用のための爪真菌症治療組成物は、先の段落に述べた成分のいずれかを含むことができ、種々の成分は、爪真菌症治療器具と併用して使用するための爪真菌症治療用流体組成物中に、先の段落に述べたいずれかの量で存在することができる。
【0068】
本発明の方法における使用のための真菌治療組成物と共に使用するための爪真菌症治療器具は、当分野で公知の任意の爪真菌症治療器具であり得る。本出願で記述する爪真菌症治療器具のいずれかを、本出願で記述する爪真菌症治療組成物のいずれかと併用して、本発明の方法において使用することができる。
【0069】
爪真菌症治療器具と併用する爪真菌症治療組成物の使用の方法は、真菌感染症の局所治療の当分野で公知の任意の治療方法であり得る。好ましくは、治療組成物の局所適用は、被膜を形成するための、爪板の最上部への適用である。使用の好ましい実施態様では、爪板の最上層は、爪真菌症治療用流体組成物の適用前に壊死組織切除される。壊死組織切除は、好ましくは、使い捨て爪ヤスリの研磨作用によって実施される。理論に拘泥されないが、爪板の最上層の除去には、爪の外観の視覚的向上、爪板に存在するいくらかの皮膚糸状菌の除去、並びに、爪真菌症治療液体が感染源に到達するために、また感染源に対する生物不適環境を作り出すために、移動する又は拡散する必要がある距離の縮小、を含めたいくつかの利点がある。
【0070】
好ましい実施態様では、壊死組織切除が行われた後、刷毛又は任意の適切な塗布具であり得る塗布具を使用して、爪真菌症治療液体が適用される。爪真菌症治療用流体組成物は、乾燥するにつれて爪の上表面上に連続的な被膜を形成させるために、爪の上表面に適用される。これは、感染した爪からの感染の広がりを予防するのを助け、また、壊死組織切除した爪を再感染から保護するのを助ける。
【0071】
その後、爪真菌症治療組成物は、感染症を引き起こす皮膚糸状菌に対して、いかなる手段によっても弱体化させるように局所的に作用することができる。好ましくは、これは、爪真菌症治療組成物が爪板を通して感染源に浸透すること、感染源に対する生物不適環境を作り出すこと、及び、皮膚糸状菌を死滅したままにすることによって実現する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロトン源、湿潤剤、被膜形成剤、浸透促進剤、少なくとも1種の溶媒、並びに任意に、1以上の爪コンディショナー、防腐剤、UV抑制剤、顔料、染料、及び香料からなる群から選択される少なくとも1種の追加の成分を含む、爪真菌症治療組成物。
【請求項2】
前記組成物が、本質的に、プロトン源、湿潤剤、被膜形成剤、浸透促進剤、少なくとも1種の溶媒、並びに任意に、1以上の爪コンディショナー、防腐剤、UV抑制剤、顔料、染料、及び香料からなる群から選択される少なくとも1種の追加の成分からなる、請求項1記載の爪真菌症治療組成物。
【請求項3】
前記プロトン源が、有機酸を含む、請求項1又は2記載の爪真菌症治療組成物。
【請求項4】
前記プロトン源が、クエン酸又は酢酸を含む、請求項3記載の爪真菌症治療組成物。
【請求項5】
前記プロトン源が、前記組成物中に、前記組成物の重量に対して5から15%の量で存在する、請求項1から4のいずれか1項記載の爪真菌症治療組成物。
【請求項6】
前記真菌治療組成物のpHが、2から4の範囲内である、請求項1から5のいずれか1項記載の爪真菌症治療組成物。
【請求項7】
前記湿潤剤が、グリセリン又はプロピレングリコールを含む、請求項1から6のいずれか1項記載の爪真菌症治療組成物。
【請求項8】
前記湿潤剤が、前記組成物中に、前記組成物の重量に対して15から40%の量で存在する、請求項1から7のいずれか1項記載の爪真菌症治療組成物。
【請求項9】
前記被膜形成剤が、非架橋ポリマーを含む、請求項1から8のいずれか1項記載の爪真菌症治療組成物。
【請求項10】
前記被膜形成剤が、ガムを含む、請求項1から9のいずれか1項記載の爪真菌症治療組成物。
【請求項11】
前記被膜形成剤が、キサンタンガムを含む、請求項1から10のいずれか1項記載の爪真菌症治療組成物。
【請求項12】
前記被膜形成剤が、前記真菌治療組成物の重量に対して0.1から1%の量で存在する、請求項1から11のいずれか1項記載の爪真菌症治療組成物。
【請求項13】
前記浸透促進剤が、角質溶解剤を含む、請求項1から12のいずれか1項記載の爪真菌症治療組成物。
【請求項14】
前記浸透促進剤が、尿素、チオグリコール酸、チオグリコール酸ナトリウム、又はチオグリコール酸カリウムを含む、請求項1から13のいずれか1項記載の爪真菌症治療組成物。
【請求項15】
前記浸透促進剤が、前記真菌治療組成物中に、前記組成物の重量に対して1から5%の量で存在する、請求項1から14のいずれか1項記載の爪真菌症治療組成物。
【請求項16】
前記少なくとも1種の溶媒が、水を含む、請求項1から15のいずれか1項記載の爪真菌症治療組成物。
【請求項17】
前記組成物が、防腐剤を含み、該防腐剤が、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、ソルビン酸、又は安息香酸を含む、請求項1から16のいずれか1項記載の爪真菌症治療組成物。
【請求項18】
前記組成物が、防腐剤を含み、該防腐剤が、前記爪真菌症治療組成物中に、前記爪真菌症治療用流体組成物の重量に対して0.01から5%の量で存在する、請求項1から17のいずれか1項記載の爪真菌症治療組成物。
【請求項19】
前記組成物が、爪コンディショナーを含み、該爪コンディショナーが、前記真菌治療組成物中に、前記治療組成物の重量に対して0.1から1%の量で存在する、請求項1から18のいずれか1項記載の爪真菌症治療組成物。
【請求項20】
前記組成物が、UV抑制剤を含み、該UV抑制剤が、前記真菌治療組成物中に、前記治療組成物の重量に対して0.01から0.1%の量で存在する、請求項1から19のいずれか1項記載の爪真菌症治療組成物。
【請求項21】
前記組成物が、水及び追加の溶媒を含み、前記組成物中の該追加の溶媒が、イソプロピルアルコール、エタノール、又はアセトンを含む、請求項1から20のいずれか1項記載の爪真菌症治療組成物。
【請求項22】
前記爪真菌症治療組成物が、局所用治療組成物である、請求項1から21のいずれか1項記載の爪真菌症治療組成物。
【請求項23】
爪真菌症治療組成物の調製のための方法であって、プロトン源を提供することと、該プロトン源を、湿潤剤、被膜形成剤、浸透促進剤、少なくとも1種の溶媒、並びに、1以上の爪コンディショナー、防腐剤、UV抑制剤、顔料、染料、及び香料からなる群から選択される任意選択の少なくとも1種の追加の成分と混合して、請求項1から22のいずれか1項記載の真菌治療組成物を形成することとを含む、前記方法。
【請求項24】
爪真菌感染症の治療における使用のための、請求項1から22のいずれか1項に定義した通りの組成物。
【請求項25】
局所適用による爪真菌感染症の治療における使用のための、請求項24記載の組成物。
【請求項26】
手指の爪又は足指の爪の爪真菌感染症の治療における使用のための、請求項24又は25記載の組成物。
【請求項27】
爪板の古い最上層を壊死組織切除のプロセスによって除去した後の爪板の新たな最上層への適用による爪真菌感染症の治療における使用のための、請求項26記載の組成物。
【請求項28】
皮膚糸状菌による爪真菌感染症の治療における使用のための、請求項24から27のいずれか1項記載の組成物。
【請求項29】
トリコフィトン・ルブルム又はトリコフィトン・メンタグロフィテス種による爪真菌感染症の治療における使用のための、請求項24から28のいずれか1項記載の組成物。
【請求項30】
爪真菌感染症が1週間から3か月の期間内に消滅する、爪真菌感染症の治療における使用のための、請求項24から29のいずれか1項記載の組成物。
【請求項31】
爪真菌感染症が1週間から2か月の期間内に消滅する、爪真菌感染症の治療における使用のための、請求項24から30のいずれか1項記載の組成物。
【請求項32】
爪真菌感染症が2週間から6か月の期間内に消滅する、爪真菌感染症の治療における使用のための、請求項24から31のいずれか1項記載の組成物。
【請求項33】
爪真菌感染症が約28日で消滅する、爪真菌感染症の治療における使用のための、請求項24から32のいずれか1項記載の組成物。
【請求項34】
前記組成物が、1日1回から1週間に1回の頻度で適用される、爪真菌感染症の治療における使用のための、請求項24から33のいずれか1項記載の組成物。
【請求項35】
爪真菌感染症の治療における使用のための、さらに、爪真菌症再感染の予防における使用のための、請求項24から34のいずれか1項記載の組成物。
【請求項36】
請求項1から22のいずれか1項に定義した通りの真菌治療組成物を含む、爪真菌症治療器具。
【請求項37】
前記器具が、使い捨て爪ヤスリを含む、請求項36記載の爪真菌症治療器具。
【請求項38】
前記使い捨て爪ヤスリが、爪真菌症治療器具内にバネで留められる、請求項37記載の爪真菌症治療器具。
【請求項39】
バネで留められる前記爪ヤスリが、一方向性の投薬機構を備えた前記爪真菌症治療器具内に収納される、請求項38記載の爪真菌症治療器具。
【請求項40】
塗布具をさらに含む、請求項36から39記載の爪真菌症治療器具。
【請求項41】
前記塗布具が、前記一方向性の投薬機構に隣接する前記爪真菌症治療器具内に収納される、請求項40記載の爪真菌症治療器具。
【請求項42】
前記器具が、前記真菌治療組成物の包含のための容器をさらに含む、請求項36から41記載の爪真菌症治療器具。
【請求項43】
前記容器が、前記器具の前記一方向性の投薬機構に取り付けられる、請求項42記載の爪真菌症治療器具。
【請求項44】
前記器具内の使い捨て爪ヤスリの数が、2から7個の間である、請求項36から43のいずれか1項記載の爪真菌症治療器具。
【請求項45】
前記使い捨て爪ヤスリが、炭化ケイ素でコーティングされる、請求項36から44記載の爪真菌症治療器具。
【請求項46】
請求項36から45のいずれか1項に定義した通りの爪真菌症治療器具と併用する、請求項1から22のいずれか1項に定義した通りの真菌治療組成物の使用。
【請求項47】
請求項1から22のいずれか1項に定義した通りの爪真菌症治療組成物と、請求項36から45のいずれか1項に定義した通りの爪真菌症治療器具とを含むキット。
【請求項48】
前記キットが爪真菌症治療キットである、請求項47記載のキット。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2013−520483(P2013−520483A)
【公表日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−554425(P2012−554425)
【出願日】平成23年2月25日(2011.2.25)
【国際出願番号】PCT/GB2011/050379
【国際公開番号】WO2011/104562
【国際公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【出願人】(502058482)エルアールシー・プロダクツ・リミテッド (11)
【Fターム(参考)】