説明

爪被覆剤および被覆膜の形成方法

【課題】ネイルシールの貼付による地爪の色が白く濁ることを抑制できる爪被覆剤を提供する。
【解決手段】爪52に被覆膜15を形成する方法であって、シェラックと当該シェラックを溶解させる溶解液とから構成された爪被覆剤10を、爪52の表面に塗布する工程と、爪被覆剤10を乾燥させる工程とを含む、被覆膜15の形成方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、爪被覆剤、人工爪組成物および被覆膜の形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ファッションの一部として、手や足の爪に装飾を施すネイルアートが、特に女性の間で注目されている。手や足の爪に装飾を施す方法としては、例えば、マニキュア等を用いて爪に直接色や模様を施す方法、装飾が施された人工爪を直接爪に貼付する方法などが挙げられる。
【0003】
しかしながら、マニキュア等で爪に直接装飾を施す方法は、素人が自身の爪に装飾を施す場合においては、その技術に限界があり、また、専門家に依頼して装飾を施してもらう場合においても、多大な費用や時間を費やすこととなる。
【0004】
また、装飾が施された人工爪を直接爪に貼付する方法は、専門家に依頼して装飾を施してもらう場合に比べて低コストでありながら、素人でも容易に着装することができる。しかしながら、人工爪が剥がれやすいことにより、日常生活を過ごす上で支障を生じ、さらに、人工爪が自身の爪と馴染まないので違和感を生じるという問題がある。
【0005】
そこで、装飾が施されたシールを爪に貼付するという方法が知られている(特許文献1など参照)。この方法は、低コストで着装方法が簡便であるとともに、爪との一体感もある。なお、ネイルシールにおける絵柄がインク等を用いて印刷されたものであることから、耐水性が低いという問題もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−250138号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ネイルシールは、素人でも容易に着装することができるとともに、低コストで、爪との一体感もあるので、普及が進む傾向にある。しかしながら、本願発明者は、このネイルシールを検討したところ、耐水性が低いという問題とは別に、次のような問題点があることに気付いた。
【0008】
まず、ネイルシールを爪に直接貼付した後、2週間ほど貼付したままにしておくと、爪とネイルシールとが一緒になってネイルシールが剥がれにくくなる。また、ネイルシールに付いている粘着剤が爪(地爪)に長期間貼り付くことで、地爪の色が白く濁ることがある。一方で、ネイルシールの粘着性を低下させると、ネイルシールが爪に上手く貼付できなくなる可能性が高くなる。したがって、ネイルシールを爪に直接貼付する場合には、ネイルシールが剥がれにくくなったり、地爪の色が白く濁ってしまうことは甘受せざるを得ないのが実情であった。
【0009】
本願発明者は、そのような問題点ないし知見に基づいて、鋭意検討しながら、本発明を想到するに至った。本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その主な目的の一つは、ネイルシールの貼付による地爪の色が白く濁ることを抑制することができる爪被覆剤および被覆膜の形成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る爪被覆剤は、爪を被覆する爪被覆剤であり、シェラックと、前記シェラックを溶解させる溶解液とから構成されている。
【0011】
ある好適な実施形態において、前記溶解液はエタノールであり、前記爪被覆剤には、前記エタノール以外の有機溶剤が含まれていない。
【0012】
ある好適な実施形態において、前記爪被覆剤には、抗菌材料が含有されている。
【0013】
ある好適な実施形態において、前記抗菌材料は銀イオンである。
【0014】
ある好適な実施形態において、前記爪被覆剤には、紫外線硬化樹脂が含有されている。
【0015】
ある好適な実施形態において、前記爪被覆剤には、真珠の粒子および真珠母貝の粒子の少なくとも一方が含有されている。
【0016】
ある好適な実施形態において、前記真珠の粒子および前記真珠母貝の粒子の少なくとも一方は、遺伝子組み替えされた真珠母貝由来のものである。
【0017】
ある好適な実施形態において、前記爪被覆剤には、遠赤外線を発する遠赤外線放射材料が含有されている。
【0018】
ある好適な実施形態において、前記爪被覆剤は、ネイルシールのベースコーティング剤である。
【0019】
ある好適な実施形態において、前記爪被覆剤は、ネイルシールのトップコーティング剤である。
【0020】
ある好適な実施形態において、前記爪被覆剤には、紫外線硬化樹脂を含有するジェルネイルのベースコーティング剤である。
【0021】
ある好適な実施形態において、前記爪被覆剤は、紫外線硬化樹脂を含有するジェルネイルのトップコーティング剤である。
【0022】
ある好適な実施形態において、前記爪被覆剤は、容器に収納されている。
【0023】
ある好適な実施形態において、前記容器は、ビンであり、前記ビンの蓋には、前記爪被覆剤を塗布する塗布器具が取り付けられている。
【0024】
本発明に係る被覆膜の形成方法は、爪に被覆膜を形成する方法であり、シェラックと当該シェラックを溶解させる溶解液とから構成された爪被覆剤を、爪の表面に塗布する工程と、前記爪被覆剤を乾燥させる工程とを含む。
【0025】
ある好適な実施形態において、前記爪の表面は、人間の爪であり、前記爪被覆剤を乾燥させた後、ネイルシールの粘着層を付着させる。
【0026】
ある好適な実施形態では、前記ネイルシールの付着層を付着させた後、前記ネイルシールの表面に、前記爪被覆剤を塗布する。
【0027】
ある好適な実施形態において、前記溶解液はエタノールであり、前記爪被覆剤には、前記エタノール以外の有機溶剤が含まれておらず、前記乾燥させる工程は、前記エタノールを蒸発させることによって実行される。
【0028】
ある好適な実施形態では、前記爪被覆剤を乾燥させた後、ジェルネイルまたはつけ爪を付着させる。
【0029】
ある好適な実施形態において、前記爪被覆剤には、紫外線硬化樹脂が含有されており、前記爪被覆剤を乾燥させる工程は、紫外線を照射することを含む。
【0030】
ある好適な実施形態において、前記爪被覆剤には、抗菌材料が含有されている。
【0031】
ある好適な実施形態において、前記爪被覆剤には、真珠の粒子および真珠母貝の粒子の少なくとも一方が含有されている。
【0032】
ある好適な実施形態において、前記爪被覆剤には、遠赤外線を発する遠赤外線放射材料が含有されている。
【0033】
本発明に係る被覆膜の形成方法は、爪に被覆膜を形成する方法であって、ヒドロキシプロピルセルロースから構成された爪被覆剤を、爪の表面に塗布する工程と、前記爪被覆剤を乾燥させる工程とを含む。
【0034】
本発明の実施形態に係る人工爪の形成方法は、紫外線照射によって硬化する人工爪を形成する方法であり、紫外線硬化樹脂と、前記紫外線硬化樹脂に分散された真珠パウダーとを含有する人工爪組成物を、爪の表面に塗布する工程と、塗布した前記人工爪組成物を、紫外線を照射することによって硬化させる工程とを含む。
【0035】
ある好適な実施形態では、前記人工爪組成物を爪の表面に塗布する工程の前に、シェラックまたはヒドロキシプロピルセルロースを含有する爪被覆剤を、ベースコート剤として、前記爪の表面に塗布する工程を実行する。
【発明の効果】
【0036】
本発明に係る爪被覆剤は、シェラックと溶解液とから構成されており、溶解液を蒸発させることにより、爪の表面にシェラックからなる被覆膜を形成することができる。このシェラックからなる被覆膜は、爪を保護するとともに、その上にネイルシールを貼付した場合において、長時間付着したときでも、地爪の色が白く濁ることを抑制することができる。また、ネイルシールを剥がしたい場合において、簡単にきれいに剥がすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】(a)から(c)は、本発明の実施形態に係る爪被覆剤10を塗布して被覆膜15を形成する工程を説明するための図である。
【図2】(a)から(c)は、本発明の実施形態に係る被覆膜15の表面にネイルシール60を貼付し、第2被覆膜15bを塗布する工程を説明するための図である。
【図3】(a)および(b)は、本発明の実施形態に係る爪被覆剤10を収納する容器(ビン)30の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
本願発明者は、ネイルシールの粘着剤によって地爪の色が白く濁ることを抑制する上で、シェラックの利用を検討した。シェラック(shellac)は、食品にも使用される無味無臭の人体に無害の物質であるがゆえに安全性に優れており、シェラックを主成分として含む爪被覆剤(コーティング剤)によって、爪(地爪)の表面をコーティングすることにより、ネイルシールの粘着剤が爪(地爪)に直接付着している場合と比較して、爪を保護することができることを考え、それを実施したところ成功に繋がり、本発明に至った。
【0039】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。以下の図面においては、説明の簡潔化のため、実質的に同一の機能を有する構成要素を同一の参照符号で示す。なお、本発明は以下の実施形態に限定されない。
【0040】
図1(a)から(c)は、本発明の実施形態に係る爪被覆剤10を塗布して被覆膜15を形成する工程を示している。本実施形態の爪被覆剤10は、爪を被覆するネイルコーティング剤であり、シェラックと、シェラックを溶解させる溶解液(例えば、エタノール)とから構成されている。本実施形態の爪被覆剤10は、シェラックを主成分として含有するものである。
【0041】
シェラック(shellac)は、ラックカイガラムシおよびその近縁の数種のカイガラムシの分泌する虫体被覆物を生成して得られる樹脂状の物質である。セラックとも称される。シェラックの性質は、常温では黄色から褐色の透明性のある固体であり、精製すると白色、透明となる。シェラックは、無味無臭であり、人体に無害である。また、シェラックは、アルコール系溶剤に溶解し、他の有機溶剤には耐性を示す。シェラックのアルコール溶液、水溶液を蒸発させると、シェラックからなる透明被膜を形成させることができる。
【0042】
本実施形態の爪被覆剤10は、シェラックをアルコールに溶解させた溶液を爪52の表面に塗布した後、溶解液のアルコールを蒸発させて、シェラックから構成された被覆膜15(爪被覆剤からなる被覆膜)を形成する。具体的には、図1(a)から(c)に示すようにして塗布工程を行う。
【0043】
まず、図1(a)に示すように、ハケまたは筆ペンのような塗布器具55の先端部分57に、本実施形態の爪被覆剤10を付着させて、それを使用者(ユーザ)50の爪52の方に近づける。この例の爪被覆剤10は、塗布器具(ハケ)55に対応するビンに収納されている。本実施形態の爪被覆剤10におけるシェラックの濃度は、例えば、1〜60%(質量%)であり、厚みを持たせる場合は好ましくは20〜60%(質量%)であり、薄くつけたい場合は好ましくは1〜20%(質量%)である。それ以外は溶解液(アルコール)である。なお、溶解液は、塗布後に蒸発するものであるので、爪被覆剤10の状態におけるシェラックの濃度はあくまで例示であり、被覆膜15が形成できるのであれば、特に限定されるものではない。また、爪被覆剤10を収納するビンは、プラスチック(例えば、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)など)、または、ガラスから構成されている。破損しないという点からは、プラスチック製のビンが好適である。
【0044】
また、本実施形態の爪被覆剤10の溶解液はエタノールであり、この例の爪被覆剤10には、エタノール以外の有機溶剤が含まれていない。すなわち、ネイル業界で通常使用される特定54種の有機溶剤を使用しないので、それを使用した場合に出る特有臭いを持ったVOC揮発物質を施術者および消費者が吸引しなくてすむ。したがって、それら(約54種の有機溶剤)による人体への有害性はなく、またそれらによるアレルギーの可能性もない。加えて、シェラックを含有するエタノール溶液(場合によっては、シェラックを含有する水溶液)は有害性がないので、通常使用される有機溶剤と比較して、施術者および消費者への安全性を確保することができる。
【0045】
次いで、図1(b)に示すように、ハケ55の先端部分57に付着した爪被覆剤10を爪52に塗布していく。爪被覆剤10の溶解液(アルコール)が蒸発して、爪被覆剤10が乾燥すると、本実施形態の被覆膜15が形成される。なお、ここでの乾燥は、爪被覆剤10の溶解液が蒸発して、コーティングの被膜になればよいために、完全に乾燥している場合の他、溶解液の一部が残っている場合でも構わない。被覆膜15の厚さは、使用する爪被覆剤10の溶液濃度、塗布量などに依存するが、例えば0.5mm以下(一例では、0.3mm〜0.01mm程度)である。
【0046】
次に、図1(c)に示すように、必要な爪52(この例では全ての爪)に、本実施形態の被覆膜15を形成する。そして、この後、この被覆膜15の表面に、ネイルシール(不図示)を貼付することができる。
【0047】
ネイルシールは、図柄がプリントされた本体層と、本体層の裏面に粘着剤が付着した粘着層とから構築されている。このネイルシールの粘着層と地爪との間に、本実施形態の被覆膜15が介在しているので、ネイルシールの粘着層によって地爪の色が白く濁ることを抑制することができる。さらに、ネイルシールを剥がしたい場合において、簡単にきれいに剥がすことができる。加えて、本実施形態の爪被覆剤10および被覆膜15には、有機溶剤(すなわち、アルコール以外の有機溶剤)が含まれていないので、当該有機溶剤によって地爪が悪くなる(例えば、白く濁る等)の影響を排除することができる。
【0048】
次に、図2(a)から(c)を参照しながら、被覆膜15(第1被覆膜15a)の上に、ネイルシール60を貼付し、その後、被覆膜15(第2被覆膜15b)を塗布する工程を説明する。
【0049】
まず、図1(c)に示した状態の後に、ネイルシール60を被覆膜(第1被覆膜)15aの上に貼付する。この例のネイルシール60は、花柄の図柄を有するものであるが、ネイルシール60の図柄は何でも構わない。また、ネイルシール60は、爪52の全体を覆うように貼付してもよいし、爪52の一部を覆うように貼付することもできる。
【0050】
加えて、このネイルシール60とともに、ネイルストーン(不図示)を取り付けることも可能である。爪52の一部を覆うようにネイルシール60を貼付した場合には、ネイルストーンは、ネイルシール60の表面に取り付けてもよいし、被覆膜15aの表面に取り付けてもよい。ネイルストーンは、様々な材質や種類があり、形や色も様々であり、特に特定の種類・形状のものに限定されるものではない。ネイルストーンとしては、スワロフスキー(スワロフスキー社が製造しているストーン)、アクリルまたはガラスストーン(材質がアクリルまたはガラスからなるストーン)、パールストーン(真珠のように加工されたストーンであり、半球体のアクリルにパールカラーを加工したもの)、ブリオン(球体の小さな粒状のタイプのストーン)などを挙げることができる。
【0051】
次に、図2(a)に示すように、図1(a)と同様にして、塗布器具(ハケ)55の先端部分57に爪被覆剤10を付着させて、ネイルシール60を貼付した爪52の方に近づける。なお、ネイルシール60の下地には、被覆膜15aが形成されている。
【0052】
次いで、図2(b)に示すように、ハケ55の先端部分57に付着した爪被覆剤10を、ネイルシール60の表面(あるいは、ネイルシール60が貼付された爪52の表面)に塗布していく。図1(b)と同様に、爪被覆剤10の溶解液(アルコール)が蒸発して、爪被覆剤10が乾燥すると、本実施形態の被覆膜15b(第2被覆膜)が形成される。
【0053】
その後、図2(c)に示すように、必要な爪52(この例では全ての爪)に、本実施形態の被覆膜(第2被覆膜)15bを形成する。ここで、第1被覆膜15aを「ベースコート」と称し、第2被覆膜15bを「トップコート」と称することも可能である。なお、ネイルシール60の表面の印刷は耐久性が悪い場合があるため、その点においても、本実施形態の第2被覆膜15b(トップコート)は、ネイルシール60の模様(絵柄)を保護することができるという効果を有している。
【0054】
ここで、第1被覆膜15aを形成する爪被覆剤10と、第2被覆膜15bを形成する爪被覆剤10は、同じものでも、異なるものでも構わないが、ネイル作業の作業効率を考慮すると、同じものである方が便利である。なお、図2(c)に示した状態から、さらにネイルストーンを取り付けて、そのネイルストーンを覆うように、爪被覆剤10を塗布して被覆膜15を形成するようなことを実行しても構わない。あるいは、ネイルストーンを避けるようにして、爪被覆剤10を塗布することもできる。
【0055】
上述した爪被覆剤10は、シェラックと、シェラックを溶解させる溶解液(例えば、エタノール)のみから構成したが、シェラックと溶解液(エタノール)のみからなる場合であっても、例えば5%(質量%)程度の他の成分(例えば、水など)の混入を排除するものではない。またそれに限らず、本実施形態の構成において、他の添加物を追加することも可能である。例えば、顔料(ラメのものを含む)を添加して、爪被覆剤10から形成される被覆膜15を無色透明のものから、有色透明、有色不透明などのものに変化させることができる。なお、被覆膜15を構成するシェラックが主成分となっている場合、被覆膜15に含有するシェラックの成分割合は、例えば50%以上(質量%)であり、特にシュラック単体から構成されている場合は98%以上(質量%)である。
【0056】
さらには、爪被覆剤10に抗菌材料を含有させることができる。抗菌材料は銀イオン(Ag+)、酸化チタンなどを挙げることができる。好適な実施形態では、爪被覆剤10は、シェラックとエタノールと抗菌材料(銀イオン)とから構成されている(必要に応じて、顔料が添加される)。爪被覆剤10に抗菌材料を含有させることにより、爪被覆剤10から形成された被覆膜15に抗菌性を持たせることができる。銀イオンを含有した被覆膜15では、被覆膜15中の銀イオンの抗菌効果により、細菌(雑菌)の繁殖を抑制することができる。
【0057】
ベースコートとなる第1被覆膜15aが抗菌性を有している場合、地爪52に雑菌が繁殖することを抑制ないし防止することができる。ネイルシール60を長期間貼付する場合(例えば、2週間)には、第1被覆膜15aに抗菌性を持たせることによって、地爪52の雑菌繁殖を予防できることの衛生面での利点は大きい。
【0058】
加えて、トップコートとなる第2被覆膜15bが抗菌性を有している場合、爪52の表面(すなわち、ネイルシール60の表面)における雑菌が繁殖することを抑制ないし防止することができる。爪52(ネイルシール60の表面)は、口に触れたり、眼球の周囲に触れたりすることがあり、爪52の表面に雑菌が繁殖することは衛生的には好ましくない。特に、不衛生な爪で目をこすったりすると眼病の原因にもなりかねない。それゆえに、第2被覆膜15bに抗菌性を持たせることによって、爪52(ネイルシール60の表面)の雑菌繁殖を予防できることの衛生面での利点は大きい。
【0059】
抗菌性を有する銀イオン(Ag+)は、例えば、銀イオン水、銀ナノ粒子などの形態で利用することができる。銀イオン(Ag+)は、原子としての銀(Ag)から電子が外れた陽イオンとして存在している銀イオンのことであり、大きさは銀原子とほぼ同じで200ピコメートル程度のいわゆる原子の大きさである。銀イオンは、例えば、銀を水中にて電気分解で溶出させることによって生成させることができる。銀イオン水の場合、銀イオンは水分子の中で単独遊離しており、基本的には水の中にイオン状態で存在する。銀イオンの主な製法としては、水中の純銀電極に電流を流して銀イオンを発生させる電気分解法と、銀イオン成分を含む化学薬品を水に添加する薬剤法の2種を挙げることができる。銀ナノ粒子は、銀をナノメートルのオーダーにした粒子である。また、鉱物であるアルミナシリカに微粒子化した銀イオンを保持させた銀ナノ粒子を用いることも可能である。
【0060】
なお、銀イオンは、各種の細菌の細胞に強く吸着し、細菌の細胞酵素をブロッキングして死滅させることができる。したがって、銀イオンによって細菌の繁殖を制御することができる。また、銀イオンは、抗菌効果が比較的強い特徴を有するとともに、人体に対して極めて安全性が高いという特徴を有しており、したがって、被覆膜15および爪被覆剤10が間違って人間の口に入ったとしても、銀イオンによる問題は実質的に生じない。なお、銀イオンとシェラックを含有する被覆膜15の場合、いずれも、人体に対して安全性が高いので、その点で好適である。本実施形態の構成では、銀イオン(抗菌材料)を被覆膜15中において10%(質量%)以下にすることができ、典型的には5%(質量%)または5%程度にすることができる。
【0061】
また、抗菌材料として銀イオン(Ag+)を配合した構成について説明したが、抗菌効果を奏する条件において、他の抗菌材料を爪被覆剤10(または被覆膜15)に配合することも可能である。例えば、銀イオンに代えて(または、銀イオンとともに)、酸化チタンを配合させることができるし、銀イオン、酸化チタン、そして、それ以外の抗菌材料を用いることも可能である。その他の抗菌材料としては、無機系抗菌剤(金属イオンの静菌作用を利用したもの)、有機系抗菌剤(有機物を利用した抗菌剤。合成系抗菌剤または天然系抗菌剤)を挙げることができる。
【0062】
加えて、爪被覆剤10に、遠赤外線を発する遠赤外線放射材料を含有させることができる。遠赤外線放射材料は、例えば、セラミック、炭(備長炭など)を挙げることができる。爪被覆剤10に遠赤外線放射材料を含有させることにより、爪被覆剤10から形成された被覆膜15から遠赤外線を放射させることができる。したがって、この遠赤外線によって血行を促進させることができるという効果を得ることができる。本実施形態の構成では、遠赤外線放射材料を被覆膜15中において10%(質量%)前後(例えば、5%〜20%)にすることができる。
【0063】
なお、本実施形態の被覆膜15を構成する材料として、シェラックを主成分して含有するものを例示として示したが、それに限定されるものではない。シェラックは人体に無害であるので好ましいものであるが、被覆膜15を構成する材料として、シェラックに加えて、シェラック以外のコーティング剤(例えば、コラーゲン、ゼラチンなどのタンパク質材料)を混合させることも可能である。シェラックとともに追加されるコーティング材料としては、シェラックと同様に、できるだけ人体に害がないものが好ましい。また、シェラックに代えて、ヒドロキシプロピルセルロースを用いることが可能である。ヒドロキシプロピルセルロースは、セルロースを原料とし、これを水酸化ナトリウムで処理した後、プロピレンオキサイド等のエーテル化剤と反応して得られる非イオン性のセルロースエーテルである。ヒドロキシプロピルセルロースは、人体に害がないものであり、ヒドロキシプロピルセルロースからなる透明被膜を形成させることができる。
【0064】
さらに、上述の実施形態では、ネイルシール60のベースコート(及び/又はトップコート)として、爪被覆剤10から形成された被覆膜15の説明を行ったが、本実施形態の被覆膜15は、ネイルシール60の用途だけに限定されない。例えば、つけ爪のベースコート(及び/又はトップコート)として、爪被覆剤10から形成された被覆膜15を使うことも可能である。加えて、最近、紫外線硬化樹脂をコーティング材料として含むジェルネイルと称されるものが普及しているが、そのジェルネイルのベースコート(及び/又はトップコート)として、爪被覆剤10から形成された被覆膜15を使うことができる。本実施形態のつけ爪は、例えばアクリル樹脂を素材として、工業的に爪の形に成型された曲面状の小片のことを意味する。また、ジェルネイルを構成するジェルは、例えばウレタンアクリル樹脂などを主成分とするジェル状の素材であり、紫外線ランプの光を照射することによって当該ジェルを硬化させることができる。
【0065】
一般にジェルネイルはアセトン等で除去できるとされているが、実際には硬化した紫外線硬化樹脂の一部が地爪の上に残ったままとなり、薬品(アセトン等)だけでなくヤスリやヘラなどで物理的に地爪ごと削りとることがある。そのような削り取りは当然地爪を痛めることになる。本実施形態の被覆膜15を、ジェルネイルのベースコートとした場合、地爪を痛めるような削り取りなしに、ジェルネイルを除去することができる効果を得ることができる。また、一部のジェルネイルは、紫外線で硬化させた後に変色することがあるが、本実施形態の被覆膜15をトップコートとした場合、そのような変色の影響を緩和させたり、他の色で覆い隠すことも可能である。
【0066】
本実施形態のジェルネイル(人工爪)を構成する材料の紫外線硬化樹脂は、例えば、ウレタンアクリル樹脂などのジェル状の樹脂であり、紫外線ランプやLEDランプの光を照射することによって当該ジェルを硬化させることができる。具体的な紫外線硬化樹脂の例としては、ウレタン樹脂またはアクリル樹脂を挙げることができる。なお、ジェルネイルとは、流動性のある合成樹脂(粘液状)を爪に塗布し紫外線(UV−A)や可視光線(Vis)を照射して硬化する光重合(フォトポリマリゼーション)反応を、ネイル材料として爪に利用したものである。本実施形態では、紫外線硬化樹脂と称しているが、厳密に紫外線で硬化するものだけでなく、可視領域の光線で硬化するものも紫外線硬化樹脂と称する場合がある。
【0067】
紫外線硬化樹脂を含むジェルネイル組成物(人工爪組成物)に紫外線(または、紫外−可視光線)を照射することによって、ジェルネイル組成物が光重合(フォトポリマリゼーション)して硬化する。ジェルネイル組成物の主要な成分は、紫外線硬化樹脂であり、典型的には、ウレタン樹脂やアクリル樹脂を使用する。具体的にはウレタンアクリレートオリゴマー、エポキシアクリレートオリゴマー、メタクリル酸エステルモノマー・アクリル酸オリゴマー・光重合開始剤(フォトイニシエーター)が一体となったものである。光重合開始剤(フォトイニシエーター)は、ジェルネイルのための重合開始剤であり、光(紫外線、可視光線)を吸収することによりラジカル(不対電子)を発生し、重合の起点となる成分である。
【0068】
また、本願発明者の検討によると、ジェルネイルの形成の前に、本実施形態の被覆膜15(ベースコート)を形成すると、形成されたジェルネイルがリフトしにくい、すなわち、ジェルネイルが浮いて剥がれることが少ないことが観察された。通常は、ジェルネイルのリフトが発生しないようにするために、地爪に対してヤスリ掛けのようなこと(サンディング)を行い、そのサンディングによってジェルネイルの密着性を上げている。しかし、地爪にサンディングを行うと、地爪を痛めることとなるとともに、サンディングを行う作業の手間が生じる。本実施形態の手法によると、被覆膜15の表面が、密着の観点において理想的に近い平滑な表面となり、いわゆるガラスとガラスとを合わせた時に真空状態が生まれて密着状態が強化されると同様の理由によって、被覆膜15とジェルネイルとの間の密着性が向上しているものと推測される。
【0069】
さらに、本実施形態の被覆膜15(ベースコート)の上にジェルネイルを形成すると、両者の間に隙間が生じにくくなり、上述した密着性の向上とともに、隙間が少ないことによって、隙間に生じる雑菌の繁殖を抑制することができ、その結果、衛生的であるという利点がある。そして、通常は、ジェルネイルによって地爪が白っぽくなることが多いところ、本実施形態の手法では被覆膜15(ベースコート)によって地爪が白っぽくなりにくく、また、被覆膜15によって地爪を保護することができる。また、ジェルネイルを剥がす時にも、被覆膜15(ベースコート)で地爪を保護することができるとともに、被覆膜15がないときと比較して、被覆膜15があるときの方がジェルネイルを剥がしやすいという利点もある。
【0070】
また、本実施形態の爪被覆剤10に紫外線硬化樹脂を含有させて、爪被覆剤10をジェルネイルのジェルにすることも可能である。この場合、シェラックを含有させずに、ジェルネイルを構成する紫外線硬化樹脂のコーティング層だと、爪(地爪)が紫外線硬化樹脂によって覆われて呼吸できない状態になるが、シェラックを含有させると、シェラックのコーティングは、紫外線硬化樹脂のものよりも空気を通すので、爪(地爪)が呼吸できるような状態にすることができるという利点がある。
【0071】
爪被覆剤10に抗菌材料が含有されている場合、つけ爪やジェルネイルを付けた場合においても、被覆膜15によって抗菌性を付与することができ、衛生面での利点が大きい。加えて、本実施形態の爪被覆剤10から形成された被覆膜15は、マニキュア、ペディキュアのベースコート(及び/又はトップコート)として使用することができる。また、それらについても、爪被覆剤10に抗菌材料が含有されている場合、被覆膜15によって抗菌性を付与することができる。加えて、ジェルネイルを構成する紫外線硬化樹脂に抗菌材料(例えば、銀イオン)が含有されている場合には、そのジェルネイル自体で抗菌性を発揮させるようにすることができる。
【0072】
本実施形態の構成では、主に、手の爪52に塗布する場合の説明をしたが、それに限らず、足の爪を保護する被覆膜15として使用することもできる。また、人間の爪だけでなく、人工爪(つけ爪など)の被覆膜15として使用することができる。被覆膜15を形成した後にその上にネイルシール60を貼付した場合、ネイルシール60を剥がすのが容易になるという効果があるので、ネイルシール60を自由に貼付して独自の人工爪(つけ爪)を作製した後、その人工爪を人間の爪に取り付けることも可能である。
【0073】
また、本願発明者の検討によると、本実施形態におけるシェラックを含む爪被覆剤10において、真珠の粒子および真珠母貝の粒子を混入させると、真珠色の光沢が良好に出しやすいという知見を得ている。貝殻の微粉末または真珠を細かく粉砕したものを含むマニキュア液は例えば特開2010−195689号公報に開示されているが、その真珠色の光沢は実際はあまりきれいなものでなく、そのような貝殻の微粉末入りのマニキュア液は人気が出ていなかった。具体的には、クリアーの溶液に真珠パウダーが浮遊している感じで、それをマニキュアとして塗ってもきれいな真珠コーティングになっていなかった。一方、本実施形態のシェラックを含む爪被覆剤10に真珠母貝(アコヤ貝)の粒子(微粉末)を混入して、それを塗布したものは、きれいな光沢を示すことができる。これは、シェラックのコーティング剤が主要な働きを示しているものと思われるが、具体的な正確な理由はわからない。
【0074】
真珠母貝(例えば、アコヤ貝)の粒子(微粉末)は、例えば、真珠母貝を粉砕することによって作製することができる。真珠母貝は、真珠または養殖真珠を生成する貝であり、殻の内側は美しい真珠光沢を呈するものである。真珠母貝としては、例えば、アコヤ貝、イケチョウ貝、クロチョウ貝、シロチョウ貝、マベ貝などを挙げることができる。真珠母貝の粒子は、あくまで例示であるが、平均粒径1μm〜10μmであり、爪被覆剤10のコーティング層(被覆膜15)に10%(質量%)前後(例えば、5%〜20%)含有させることができる。
【0075】
また、真珠母貝(例えば、アコヤ貝)を遺伝子操作することにより、金色、ピンク、黒色、青色、銀色などの色も発生させることができ、したがって、種々の真珠色の被覆膜15を形成することができる。真珠母貝における当該遺伝子操作は、公知の技術を用いて行うことができ、遺伝子操作された真珠母貝を粉砕することで、所定の白の真珠光沢の粉末を得ることができる。真珠母貝(例えば、アコヤ貝)は、ごみとして廃棄処分されるものであるので、その有効利用となる。また、真珠母貝の粉末に代えて(または、それとともに)、真珠の粒子(微粉末)を爪被覆剤10に含有させてもよい。品質のそれほど高くない真珠を粉砕してその粒子を使用するのであれば、コスト的にも大きなものにならないようにすることができる。
【0076】
なお、本実施形態の爪被覆剤10を、シェラックと、溶解液(例えば、エタノール)、真珠母貝(または真珠)の粒子と、紫外線硬化樹脂とから構成して、ジェルネイル用のジェルを作ることも可能である。この場合、真珠光沢を有するジェルを作ることができる。そのようなジェルを作る場合、例えば、シェラックと、溶解液と、真珠母貝(または真珠)の粒子と、紫外線硬化樹脂とを所定の割合で混合して、それを容器(例えばビン)に収納して保存しておけばよい。また、シェラックを含むベースコートの上に、真珠母貝(または真珠)の粒子と紫外線硬化樹脂とから構成されたジェルネイル用のジェルを塗布することも可能である。ここで、シェラックに代えて、ヒドロキシプロピルセルロースを用いることも可能である。さらに、真珠母貝(または真珠)の粒子を含むジェルは、天然のカルシウム成分によって爪の傷みを低減できる作用を持たすことができる。加えて、本願発明者の検討によると、真珠母貝(または真珠)の粒子と紫外線硬化樹脂とから構成されたジェルネイル用のジェルは、抗菌性を示すとともに、化学物質(揮発性有機化合物)の量を低減できる効果があることが確認され、これにより、抗菌性、および/または、揮発性有機化合物による臭いの不快感を低減させることができる。
【0077】
本実施形態の爪被覆剤10は、図3(a)及び(b)に示すような容器(ビン)30に収納・保存することができる。図3(a)に示した容器(ビン)30は、爪被覆剤10を付与することができる先端部分57を備えた塗布器具55(ハケまたは筆ペン)と、その塗布器具55を蓋とするビン本体部32とを含んでいる。ビン本体部32は、プラスチック(例えば、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)など)、または、ガラスから構成されている。破損しないという点からは、プラスチック製のビンが好適である。ビン本体部30の上部には、爪被覆剤10を導入する開口部を持ったビン口部34が形成されている。そして、ビン口部34の外面には、ねじ切り部35が形成されている。ビン口部34の外面と、蓋となる塗布器具55の内面との嵌合(ネジ組み合わせ)によって、図3(b)に示すように、爪被覆剤10が収納されたビン本体部32を塗布器具(ここでは、蓋部)55によって密閉状態にすることができる。
【0078】
図3(b)に示した状態では、塗布器具55の先端部分57(ハケ部分)は、ビン本体部32の内部の底面またはその付近に位置して、その先端部分57は、爪被覆剤10によって浸されることになる。塗布器具55によって爪被覆剤10を爪に塗布する場合には、図3(b)に示した状態から、蓋となる塗布器具55を取り外して、図3(a)に示した状態にして、その先端部分57(ハケ部分)に付与された爪被覆剤10を爪に塗布すればよい。ここでの爪被覆剤10は、シェラックとアルコール(エタノール)のものの他、抗菌材料が追加されたもの、紫外線硬化樹脂が含有されたもの、真珠母貝の粒子(または、真珠の粒子)が含有されたもの、遠赤外線材料(例えば、セラミック)が含有されたものなど種々のものを挙げることができる。
【0079】
以上、本発明を好適な実施形態により説明してきたが、こうした記述は限定事項ではなく、勿論、種々の改変が可能である。例えば、本実施形態の爪被覆剤10を有する容器は、図3に示したようなビン形状のものを示したが、他の形態のもの、例えばペンタイプのものであってもよい。ペンタイプのものは、ペンの本体部の内部に爪被覆剤10が収納され、ペンの先端から爪被覆剤10が出されるタイプのものである。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明によれば、ネイルシールの貼付による地爪の色が白く濁ることを抑制することができる爪被覆剤および被覆膜の形成方法を提供することができる。
【符号の説明】
【0081】
10 爪被覆剤
15 被覆膜
15a 第1被覆膜(ベースコート)
15b 第2被覆膜(トップコート)
30 容器(ビン)
32 ビン本体部
34 ビン口部
35 ねじ切り部
52 爪(地爪)
55 塗布器具(ハケ)
57 塗布器具の先端部分
60 ネイルシール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
爪を被覆する爪被覆剤であって、
シェラックと、
前記シェラックを溶解させる溶解液と
から構成されている、爪被覆剤。
【請求項2】
前記溶解液はエタノールであり、
前記爪被覆剤には、前記エタノール以外の有機溶剤が含まれていないことを特徴とする、請求項1に記載の爪被覆剤。
【請求項3】
前記爪被覆剤には、抗菌材料が含有されている、請求項1または2に記載の爪被覆剤。
【請求項4】
前記抗菌材料は、銀イオンである、請求項3に記載の爪被覆剤。
【請求項5】
前記爪被覆剤には、紫外線硬化樹脂が含有されている、請求項1から4の何れか1つに記載の爪被覆剤。
【請求項6】
前記爪被覆剤には、遠赤外線を発する遠赤外線放射材料が含有されている、請求項1から5の何れか1つに記載の爪被覆剤。
【請求項7】
前記爪被覆剤は、ネイルシールのベースコーティング剤である、請求項1から6の何れか1つに記載の爪被覆剤。
【請求項8】
前記爪被覆剤は、ネイルシールのトップコーティング剤である、請求項1から6の何れか1つに記載の爪被覆剤。
【請求項9】
前記爪被覆剤は、紫外線硬化樹脂を含有するジェルネイルのベースコーティング剤である、請求項1から6の何れか1つに記載の爪被覆剤。
【請求項10】
前記爪被覆剤は、容器に収納されている、請求項1から9の何れか1つに記載の爪被覆剤。
【請求項11】
前記容器は、ビンであり、
前記ビンの蓋には、前記爪被覆剤を塗布する塗布器具が取り付けられている、請求項10に記載の爪被覆剤。
【請求項12】
爪を被覆する爪被覆剤であって、
ヒドロキシプロピルセルロースと、
前記ヒドロキシプロピルセルロースを溶解させる溶解液と
から構成されている、爪被覆剤。
【請求項13】
爪に被覆膜を形成する方法であって、
シェラックと当該シェラックを溶解させる溶解液とから構成された爪被覆剤を、爪の表面に塗布する工程と、
前記爪被覆剤を乾燥させる工程と
を含む、被覆膜の形成方法。
【請求項14】
前記爪の表面は、人間の爪であり、
前記爪被覆剤を乾燥させた後、ネイルシールの粘着層を付着させる、請求項13に記載の被覆膜の形成方法。
【請求項15】
前記ネイルシールの付着層を付着させた後、前記ネイルシールの表面に、前記爪被覆剤を塗布することを特徴とする、請求項14に記載の被覆膜の形成方法。
【請求項16】
前記溶解液はエタノールであり、
前記爪被覆剤には、前記エタノール以外の有機溶剤が含まれておらず、
前記乾燥させる工程は、前記エタノールを蒸発させることによって実行される、請求項13から15の何れか1つに記載の被覆膜の形成方法。
【請求項17】
前記爪被覆剤を乾燥させた後、ジェルネイルまたはつけ爪を付着させる、請求項13から16に記載の被覆膜の形成方法。
【請求項18】
前記爪被覆剤には、紫外線硬化樹脂が含有されており、
前記爪被覆剤を乾燥させる工程は、紫外線を照射することを含む、請求項13に記載の被覆膜の形成方法。
【請求項19】
前記爪被覆剤には、抗菌材料が含有されている、請求項13から18の何れか1つに記載の被覆膜の形成方法。
【請求項20】
前記爪被覆剤には、遠赤外線を発する遠赤外線放射材料が含有されている、請求項13から19の何れか1つに記載の被覆膜の形成方法。
【請求項21】
爪に被覆膜を形成する方法であって、
ヒドロキシプロピルセルロースから構成された爪被覆剤を、爪の表面に塗布する工程と、
前記爪被覆剤を乾燥させる工程と
を含む、被覆膜の形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−81749(P2013−81749A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−26278(P2012−26278)
【出願日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【特許番号】特許第5043241号(P5043241)
【特許公報発行日】平成24年10月10日(2012.10.10)
【出願人】(506366068)株式会社松風 (5)