説明

片チャック装置及びそれを備えた容器搬送装置

【課題】アームへの負担を軽減し、アームの耐久性を向上した片チャック装置を提供する。
【解決手段】片チャック装置1は、スターホイールのポケットの一方の側のアーム16と、スターホイールの回転中心線と平行かつポケットよりもスターホイールの回転中心側のアーム駆動軸8と、アーム駆動軸8をその中心線の回りに駆動する駆動軸回転手段27,31と、一方の側にアーム駆動軸8と平行に配置され、アーム16を支持するアーム支持軸10と、アーム駆動軸8の回転に連動して、アーム支持軸10を進出位置とそれよりも後退した後退位置との間で移動させる第1の連動手段9と、アーム支持軸10が後退位置から進出位置へと移動するときにアーム16の先端部が他方の側に変位するように、アーム支持軸10に連動してアーム16を該アーム支持軸10の回りに回転させる第2の連動手段と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スターホイール型の容器搬送装置に設けられた片チャック装置及びそれを備えた容器搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ビール壜等の容器を搬送する装置としては、回転テーブルと、その外周に設けられたチャック装置とを備え、そのチャック装置で容器を保持しつつ回転テーブルを回転させることにより容器を旋回搬送するスターホイール型の容器搬送装置が知られている。このチャック装置は、先端に把持爪を備えた一対のアームを具備し、そのアームで回転テーブルの外周に設けられたポケットに受容されている容器を挟持する。
【特許文献1】特開2004−217427号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このチャック装置では、アームの先端に設けられた把持爪が、容器の両側から中心に向って移動して容器を挟持している。このため、両側のアームの力が等しくなければ容器の芯がポケットの中心からずれるという問題がある。そうすると不安定な状態で搬送されるため、容器が搬送中にぐらついたり、他の搬送装置への移送の際に倒れたりする可能性がある。また、両方のアームに均等に力が加わらないと、一方のアームにのみ大きな力が加わり、アームが破損する場合がある。更に、容器を保持する際の衝撃はポケットによって吸収されることなくアームのみで受けとめられ、また容器はポケットに支えられることなくアームのみで挟持された状態で搬送されるため、アームに負担がかかりアームの劣化が早いという問題がある。
【0004】
そこで、本発明は、容器を保持する際の衝撃をアームだけでなくポケットでも受け、ポケットとアームとで容器を支えて搬送することにより、容器の安定した搬送を実現しかつアームにかかる負担を軽減してアームの耐久性を向上した片チャック装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、スターホイール(2)の外周に設けられたポケット(7)に対して前記スターホイール(2)の周方向の一方の側に配置されるアーム(16)と、前記スターホイール(2)の回転中心線と平行でかつ前記ポケット(7)よりも前記スターホイール(2)の回転中心側に配置されるアーム駆動軸(8)と、前記アーム駆動軸(8)をその中心線の回りに回転駆動する駆動軸回転手段(27,31)と、前記アーム駆動軸(8)に対して前記周方向一方の側に該アーム駆動軸(8)と平行に配置され、かつ前記アーム(16)を回転自在に支持するアーム支持軸(10)と、前記アーム駆動軸(8)の回転に連動して、前記アーム支持軸(10)を第1の位置と該第1の位置よりも前記スターホイール(2)の回転中心側に後退した第2の位置との間で移動させる第1の連動手段(9)と、前記アーム支持軸(10)が前記第2の位置から前記第1の位置へと移動するときに前記アーム(16)の先端部(12)が前記周方向の他方の側に変位するように、前記アーム支持軸(10)に連動して前記アーム(16)を該アーム支持軸(10)の回りに回転させる第2の連動手段(19)と、を備えたことを特徴とするスターホイール(2)用の片チャック装置(1)を提供する。
【0006】
本発明の片チャック装置によると、アーム駆動軸が駆動軸回転手段により回転されると、その回転に連動して、アーム支持軸が第1の連動手段によって第1の位置とその第1の位置よりもスターホイールの回転中心側に後退した第2の位置との間で移動される。そしてアーム支持軸が第2の位置から第1の位置に移動する際に、第2の連動手段によってアームの先端部がスターホイールの周方向の他方の側に変位する。そしてこのアームの先端部によって容器がポケットに押し付けられる。
【0007】
また、本発明の一形態において、前記第1の連動手段(9)は、前記アーム駆動軸(8)から延びて先端に前記アーム支持軸(10)が取り付けられたレバー(9)であってもよい。これによると、簡単な構造でアーム支持軸の移動をアーム駆動軸の回転に連動させることができる。
【0008】
更に、本発明の一形態において、前記第2の連動手段(19)がカム機構(19)であって、該カム機構(19)は前記アーム支持軸(10)の後方に配置されたカムフォロア(15)と、前記スターホイール(2)側に固定されたカム(17)とを有してもよい。これによると、アーム支持軸の後方に配置されたカムフォロアをスターホイール側に固定されたカムによって所定の軌道に沿って移動させることにより、アーム支持軸を中心としたアームの先端の移動を制御することができる。
【0009】
本発明の一形態において、前記カム(17)上の思案点(C)に前記カムフォロア(15)があるときの前記アーム支持軸(10)の位置よりも前記第1の位置側に前記アーム支持軸(10)があるとき、該アーム支持軸(10)を前記第1の位置に押す方向に前記アーム駆動軸(8)を付勢し、前記カム(17)上の思案点(C)に前記カムフォロア(15)があるときの前記アーム支持軸(10)の位置よりも前記第2の位置側に前記アーム支持軸(10)があるとき、該アーム支持軸(10)を前記第2の位置(B)に押す方向に前記アーム駆動軸(8)を付勢するばね機構(38)を備えてもよい。これによると、カムフォロアがカム上の思案点にあるときのアーム支持軸の位置でアーム支持軸を待機させておくことにより、アーム支持軸の第1の位置又は第2の位置への移動時間を短縮することができ、素早い移動が可能となる。
【0010】
また、本発明の一形態において、前記アーム支持軸(10)が前記第1の位置に押され、該アーム支持軸(10)の後方に配置された前記カムフォロア(15)が前記カム(17)から離れたときに、該カムフォロア(15)を受容するための受容面(18b)を、前記アーム駆動軸(8)に対して前記カム(17)よりも外側に設けてもよい。これによると、カムフォロアが、第1の位置でカムから離れ、カムよりもアーム駆動軸に対して外側にある受容面で受け止められることにより、カムフォロアとアーム支持軸とを結ぶ直線が容器側に傾くため、アームの先端を、外側より容器に向って移動させることができる。
【0011】
なお、以上の説明では本発明の理解を容易にするために添付図面の参照符号を括弧書きにて付記したが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
【発明の効果】
【0012】
以上、説明したように、本発明の片チャック装置によれば、容器は1本のアームによってポケットに押し付けられて保持されているため、2本のアームで挟持して保持する場合のように、他方のアームに押されて一方のアームに不自然な力が加わるということがない。またアームが1本であるため製造又は交換の場合も安価で済む。更に容器を保持する際の衝撃がアームだけでなくポケットでも受け止められ、かつ容器はポケットに押し付けられて保持されるため、アームにかかる負担が軽減され、アームの耐久性が向上する。また、容器はポケットに押し付けられてポケットの中心に保持されるため、安定した搬送が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1は、本発明にかかる片チャック装置1を外周に沿って複数個備えた、ビール壜等の容器BTを搬送するための搬送装置であるスターホイール2の平面図である。壜BTは、別のスターホイール3から搬入位置P1にてスターホイール2に移送され、搬送経路Rに沿って搬送された後、搬出位置P2から搬送コンベア4に送り出される。
【0014】
図2は、片チャック装置1の側面図である。図示したように片チャック装置1は、搬送対象たる容器BTの搬送方向に移動するベース6と、ベース6の縁部に設けられた、容器BTの側部を受容するポケット7a,7bと、ベース6に垂直に挿通され、ベース6の搬送方向の移動に伴って回転するアーム駆動軸8と、アーム駆動軸8から水平に延びる、第1の連動手段であるレバー9と、レバー9の先端から垂直上方に延びるアーム支持軸10と、アーム支持軸10に対して回転自在に取り付けられかつ先端に保持爪12を含むアーム16と、を備える。更に、片チャック装置1は、アーム16の後端に挿通された軸13及びその上端に取り付けられたローラ14を有するアーム駆動カムフォロア15と、当該アーム駆動カムフォロア15を所定の軌道で移動させるように湾曲したカム17とを備える第2の連動手段であるカム機構19も具備している。なお、このカム17は板部材18に設けられた溝18aの内周面として形成されている。
【0015】
ベース6は、図1に示したように、スターホイール2の回転テーブル20の外周の一部として構成され、不図示の駆動装置により軸Cwの回りを所定の回転方向Rに回転駆動される。
【0016】
ポケット7a,7bは、図1及び図2に示したように、ベース6の縁部に垂直に上下2つずつ並置されて等間隔で複数個配置されている。またポケット7a,7bは、壜BTの外周に沿って湾曲した円弧状の凹部21を備えており、その凹部21の曲率半径は、片チャック装置1によって掴まれる壜BTの直径の誤差を考慮して壜BTの半径よりも幾らか大きく設定される。また、片チャック装置1が複数のサイズの壜BTに対応しているときは最大径の壜BTに合わせて凹部21を設けるか、又は壜BTに応じて適切な凹部21を有するポケット7に交換してもよい。垂直に上下2つずつ並置されたポケット7a,7bのうちの下部ポケット7aは、ベース6の縁部に直接ボルトで固定されている、また、上部ポケット7bはベース6から延びる3本の支柱22の上部に固定された上板23の先端にボルトで固定されている。また、ベース6の、下部ポケット7aが取り付けられた縁部の下には、ベース6の外方に向って延びる、容器載置台24がそれぞれ取り付けられている。
【0017】
アーム駆動軸8は、ベース6に設けられた穴に、軸受26を介して挿通されている。このアーム駆動軸8の下部には、駆動軸回転手段である下部駆動ブロック27と、軸駆動カムフォロア31とが取り付けられている。図3は図2のIII-III線に沿った概略図である。下部駆動ブロック27は、2つの貫通穴27a,27bを備え、その一方の貫通穴27aには外部から所定幅の切れ込み27cが設けられている。その切れ込み27cを挟んでボルト28によって切れ込み27cの幅が狭くなる方向に締め付けることにより、アーム駆動軸8を下部駆動ブロック27に対して固定し、アーム駆動軸8と下部駆動ブロック27とが、共に中心線C1の回りを回転するようになっている。また、軸駆動カムフォロア31は、下部駆動ブロック27の他方の貫通孔27bを貫通する軸29と、該軸29の下部駆動ブロック27より下の部分に取り付けられた2つのローラ30とを備えている。
【0018】
一方、図1で示したように、回転テーブル20の外周側の、ベース6の下側には、回転テーブル20と共に回転せずに、基台(不図示)に固定された、容器保持用カム33と、容器解放用カム34とが設けられている。そして軸駆動カムフォロア31が、容器保持用カム33と係合することによって、当該軸駆動カムフォロア31は図2及び図3に示した中心線C1の回りにR1で示す矢印に沿って移動され、この回転によって、アーム駆動軸8は、図3で示した後退位置Aから進出位置Bへ中心線C1の回りを回転される。また、軸駆動カムフォロア31が容器解放用カム34と係合することによって、当該軸駆動カムフォロア31は図2及び図3に示した中心線C1の回りをR1と逆の方向に移動され、この回転によって、アーム駆動軸8が回転されて、下部駆動ブロック27は、図3において実線で示した位置Aから点線で示した位置Bへと回転する。
【0019】
図2で示したように、アーム駆動軸8のベース6を貫通して上部に延びる部分には、上部駆動ブロック36が取り付けられている。図4は、図2のIV-IV線に沿った概略図である。上部駆動ブロック36の、アーム駆動軸8が挿通されている貫通穴36aには、下部駆動ブロック27と同様に所定幅の切れ込み36cが設けられている。そして、その切れ込み36cを挟んでボルト37によって切れ込み36cの幅が狭くなる方向に締め付けることによって、上部駆動ブロック36がアーム駆動軸8に対して固定され、アーム駆動軸8と上部駆動ブロック36とが共に回転するようになっている。
【0020】
この上部駆動ブロック36は多角形であって、その一の角部には、ばね機構38が取り付けられている。ばね機構38は、一の角部から延びるシャフト39と、そのシャフト39をベース6に取り付けるための回転ブロック40と、シャフト39に巻かれた軸付勢ばね41とを有する。回転ブロック40は、ベース6上の、アーム駆動軸8が貫通している位置より回転テーブル20の中心側の所定の位置に、該回転テーブル20に対して回転可能に取り付けられている。そしてシャフト39の他端は、この回転ブロック40に取り付けられており、回転ブロック40と共に所定の角度を回転するが、回転ブロック40の径方向に対しては図2及び図4において矢印で示した方向Xに水平移動が可能になっている。また、軸付勢ばね41の一端41aはシャフト39の一端側に固定され、軸付勢ばね41の他端41bは回転ブロック40に対して固定されている。
【0021】
この軸付勢ばね41は、図4において実線で示した位置Aと、点線で示した位置Bとの間を移動する際に収縮し、シャフト39を介して上部駆動ブロック36を位置A又は位置Bのいずれかの状態、すなわちアーム駆動軸8がいずれかの方向に回転するように付勢している。
【0022】
アーム駆動軸8の上部駆動ブロック36より上の部分からは、レバー9が延びており、このレバー9はアーム駆動軸8と回転と共に旋回し、レバー9の先端には当該レバー9に対して回転可能なアーム支持軸10が取り付けられている。
【0023】
図5は図2のV-V線に沿った概略図である。アーム支持軸10には、上述したように、当該アーム支持軸10によって回転自在に支持されたアーム16が固定されている。そしてアーム16の先端部の保持爪12は、細長い板材を折り曲げて形成したもので、当該保持爪12のアーム本体16aに取り付けられている側は、くの字に折り曲げられ、同様にくの字形に形成されたアーム本体16aの凹部と一致するように配置され、固定部材46を介して、ねじ47でアーム本体16aに固定されている。なお、保持爪12の、当該アーム本体16との取付部分は補強のために2重になっている。また、保持爪12の先端は保持する容器BTの外径に合わせて折り曲げられている。
【0024】
アーム16の後端に挿通された軸13と、アーム支持軸10との間には、図2に示したように、一端がアーム支持軸10に固定され、他端が軸13に固定された押さえばね11が取り付けられている。この押さえばね11により、カムフォロア15のローラ14は、カム17に対して付勢されている。また、アーム支持軸10のR1方向の旋回に伴い、カムフォロア15のローラ14がカム17に沿って移動した後、アーム支持軸10に引かれてカム17から離れたときに、ローラ14を受容するための受容面18bが、カム17よりもアーム駆動軸8に対して外側に設けられている。このローラ14の移動に伴い、アーム16が位置Aから位置Bに移動し、アーム16の先端の保持爪12が軌道R3に沿って移動するようになっている。
【0025】
次に、本形態の片チャック装置1の全体的な動作を説明する。まず、図1に示したように回転テーブル20の矢印R方向への回転に伴い、片チャック装置1が位置P1に向って移動すると、軸駆動カムフォロア31が容器保持用カム33によって回転テーブル20の外側に向って押される。そうするとアーム駆動軸8が回転され、図3で示したように下部駆動ブロック27が、位置Aから位置Bへと矢印R1に沿って回転する。
【0026】
この回転によって、図4で示したように、上部駆動ブロック36が位置Aから位置Bへ移動し、レバー9がアーム駆動軸8の回りを旋回し、レバー9の先端に設けられたアーム支持軸10もアーム駆動軸8の回りをR1の方向に旋回する。
【0027】
図6はそのときの、アーム駆動軸8の回転によってアーム支持軸10に働く力と、上述の押さえばね11により軸13に働く力によってローラ14に働く力の方向を示した図である。図6(a)は図3〜図5における位置Aの状態を示した図である。位置Aにおいて、アーム支持軸10は後退位置である第2の位置にあり、ばね機構38によるアーム駆動軸8への付勢によって力faが働いており、軸13には押さえばね11によって力faが働き、それらの力の合力としての力Faがローラ14に働き、ローラ14はカム17に向って力Faの方向に押し付けられている。
【0028】
図6(b)は、位置Aと位置Bとの間の状態であって、アーム駆動カムフォロア15がカム17上の思案点にあるときの位置Cを示している。図4で示したばね機構38は、アーム支持軸10が、位置Cでのアーム支持軸の位置である第3の位置よりも図6(a)で示した第1の位置側にあるときは、アーム支持軸10を第1の位置に押すようにアーム駆動軸8を付勢する。そして、アーム支持軸10が、第3の位置よりも後述する図6(d)で示す第2の位置側にあるときは、アーム支持軸10を第2の位置に押すようにアーム駆動軸10を付勢する。そしてこの思案点では、押さえばね11の力fcによってローラ14を押し付けられる力Fcと垂直になるようにカム17面が形成され、ローラ14は、カム17に沿ったいずれの方向にも力が加わらない。この点でアーム駆動軸8を静止させると、ローラ14はいずれの方向にも移動せずに静止することができる。
【0029】
図6(c)で示した位置Dは、位置Cよりも更に位置Bに移動した地点で、アーム支持軸10には、アーム駆動軸8への位置Aにおける力の方向と逆方向の付勢によって力faと逆向きの力fdが働く。そして、軸13に働く押さえばね11の力fdとの合力としての力Fdがローラ14に働く。しかし、このとき、カム17は力Fdの方向でローラ14dと接していない。したがって力Fdによってローラ14はカムフォロア17から続く溝18aの側面に沿ってカム17から離れる方向に移動する。
【0030】
そして図6(d)に示した位置Bでは、ローラ14が受容面18bによって受容されて静止する。ここでは、ローラ14がカム17から離れてアーム駆動軸8に対して外側に移動したことにより軸13とアーム支持軸10とを結ぶ直線が容器側に傾き、これによって保持爪12の先端が、外側より容器BTに向って移動する。
【0031】
このようなローラ14の移動に伴い、アーム16の先端部の保持爪12は図5で示したように、軌道R3に沿って容器BTの側部をベース6の外側へ向って移動する。図5で示した黒点Tは、ローラ14がカム17に沿って移動した場合の、保持爪12の先端の軌跡を示したものである。保持爪12は、容器BTの間をその側部に沿ってベース6の外側へ向う方向に移動し、その後、軸13とアーム支持軸10とを結ぶ直線が容器BT側に傾くことによって容器BTを外側から押さえつけ、容器BTはポケット7の凹面に向って押し付けられる。
【0032】
図1に戻ると、このように位置P1において片チャック装置1によって保持された容器BTは、回転テーブル20の回転に伴い位置P2まで移動する。位置P2では、アーム駆動軸8が容器解放用カム34によって回転テーブル20の内側に向って押され、アーム駆動軸8は、図3で示したR1と逆の方向に回転する。
【0033】
そうすると、図4で示したように、レバー9及び当該レバー9の先端に設けられたアーム支持軸10はR1と逆方向にアーム駆動軸8の回りを進出位置から後退位置に移動する。
【0034】
このアーム支持軸10の移動により、図6(d)で示したようにカム17から離れていたローラ14は、図6(c)で示したようにカム17と接するように移動し、図6(b)の思案点Cを通過してカム17に沿って移動し、更に図6(a)で示した位置に移動する。このとき、アーム16の他端のローラ14は、カム溝18aに沿って図5で示した矢印R1と逆方向に移動する。そうすると保持爪12は、R3と逆の軌跡をたどり、容器BTを押さえつけた状態から容器BTの外方に向って移動し、容器BTとの間を容器BTの側部に沿ってベース6の内側へ向い、位置Bから位置Aへと移動する。
【0035】
その後、図1で示したように容器BTはスターホイール2の片チャック装置1から解放されて搬送コンベア4上に載置されて搬送される。
【0036】
以上、本形態によると、容器を保持する際には、アーム16の先端部の保持爪12は、図5で示した軌跡R3に従い、容器BTの側部をベース6の外側へ向って移動し、その後容器BTを外側からポケット7に向って押し付け、それによって容器BTが片チャック装置1に保持される。すなわち、容器BTは1本のアーム16によって外側からポケット7に向って押されて保持される。故に2本のアームで保持する場合のように、他方のアームに押されて一方のアームに不自然な力が加わることがない。容器BTの把持力の一方はポケット7によって提供されるが、ポケット7は、アーム16に比べて大きな力に耐えうるために壊れにくく、片チャック装置1全体としての耐久性が増す。アーム16が一つであるため、製造又は交換の場合も安価で済む。また、外側から押さえるだけで容器BTを保持しているため、容器BTの形や大きさのある程度の変動にはアーム16の先端の軌道等変更しなくとも対応できる。板部材18の溝18aを変更すれば更に異なる形や大きさの容器BTに対応させることもできる。容器BTはポケット7に沿って固定されるので容易に芯出しができる。
【0037】
なお、本発明は、上述した形態に限定されることなく、種々の形態にて実施してよい。例えば本形態で搬送装置は、回転テーブルとして説明したが、直線的に容器BTを搬送するものであってもよい。
【0038】
また、カムの形状も上述の形態に限定されず、例えば、より大きな容器を保持する場合、図7に示したようなカム形状にすることもできる。図7で示した変形例が上述の形態と比べて異なる点は、アーム16’が保持する容器BT’が上述の形態の容器BTよりも大きな容器BT’を保持している点である。また、容器BT’の中心と回転テーブル20の中心とを結ぶ直線上に位置するアーム駆動軸8’の回転によって駆動されるアーム16’が、当該アーム駆動軸8’に対してスターホイールの径方向の外方にある当該容器BT’’を保持するのではなく、その一つ前の容器BT’を保持する点も異なる。
【0039】
この変形例においても、アーム支持軸10’のアーム駆動軸8’を中心とした旋回に伴い、アーム16’の他端のアーム駆動カムフォロア15’がカム17’に沿って移動する。そうすると保持爪12’は、容器BT’と容器BT”との間をベース6の外側へ向う方向に移動し、その後、容器BT’を外側から押さえつけ、容器BT’はポケット7の凹面に向って押し付けられる。この場合の、アーム16’の先端部に設けられた保持爪12’は黒丸T’で示した軌跡R3’を移動する。この変形例によると、より大きな容器BT’を保持することができる。
【0040】
また、更なる変形例として、スターホイールの容器保持用カムと容器解放用カムとの間に更なる軸駆動用カムを設け、カム17の思案点でアーム駆動カムフォロア15を静止させるようにしてもよい。この場合、アーム支持軸10を進出位置と後退位置との間の中間位置で待機させることができるため、保持動作の時間短縮を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明にかかる片チャック装置を備えたスターホイールの平面図。
【図2】片チャック装置の側面図。
【図3】図2のIII-III線に沿った概略図。
【図4】図2のIV-IV線に沿った概略図。
【図5】図2のV-V線に沿った概略図。
【図6】アーム駆動軸の回転によりローラに働く力の方向を示した図。
【図7】カムの変形例を示した図。
【符号の説明】
【0042】
2 スターホイール
7 ポケット
8 アーム駆動軸
9 レバー(第1の連動手段)
10 アーム支持軸
12 保持爪(アームの先端部)
15 アーム駆動カムフォロア(カムフォロア,カム機構,第2の連動手段)
16 アーム
17 カム(カム機構,第2の連動手段)
18 板部材
18a 溝
18b 受容面
19 カム機構(第2の連動手段)
27 下部駆動ブロック(駆動軸回転手段)
31 軸駆動カムフォロア(駆動軸回転手段)
38 ばね機構
C 思案点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スターホイールの外周に設けられたポケットに対して前記スターホイールの周方向の一方の側に配置されるアームと、
前記スターホイールの回転中心線と平行でかつ前記ポケットよりも前記スターホイールの回転中心側に配置されるアーム駆動軸と、
前記アーム駆動軸をその中心線の回りに回転駆動する駆動軸回転手段と、
前記アーム駆動軸に対して前記周方向の一方の側に該アーム駆動軸と平行に配置され、かつ前記アームを回転自在に支持するアーム支持軸と、
前記アーム駆動軸の回転に連動して、前記アーム支持軸を第1の位置と該第1の位置よりも前記スターホイールの回転中心側に後退した第2の位置との間で移動させる第1の連動手段と、
前記アーム支持軸が前記第2の位置から前記第1の位置へと移動するときに前記アームの先端部が前記周方向の他方の側に変位するように、前記アーム支持軸に連動して前記アームを該アーム支持軸の回りに回転させる第2の連動手段と、
を備えたことを特徴とするスターホイール用の片チャック装置。
【請求項2】
前記第1の連動手段が、前記アーム駆動軸から延びて先端に前記アーム支持軸が取り付けられたレバーであることを特徴とする請求項1に記載の片チャック装置。
【請求項3】
前記第2の連動手段がカム機構であって、該カム機構は前記アーム支持軸の後方に配置されたカムフォロアと、前記スターホイール側に固定されたカムとを有することを特徴とする請求項1又は2に記載の片チャック装置。
【請求項4】
前記カム上の思案点に前記カムフォロアがあるときの前記アーム支持軸の位置よりも前記第1の位置側に前記アーム支持軸があるとき、該アーム支持軸を前記第1の位置に押す方向に前記アーム駆動軸を付勢し、
前記カム上の思案点に前記カムフォロアがあるときの前記アーム支持軸の位置よりも前記第2の位置側に前記アーム支持軸があるとき、該アーム支持軸を前記第2の位置に押す方向に前記アーム駆動軸を付勢するばね機構を備えたことを特徴とする請求項3に記載の片チャック装置。
【請求項5】
前記アーム支持軸が前記第1の位置に押され、該アーム支持軸の後方に配置された前記カムフォロアが前記カムから離れたときに、該カムフォロアを受容するための受容面が、前記アーム駆動軸に対して前記カムよりも外側に設けられていることを特徴とする請求項4に記載の片チャック装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の片チャック装置を備えたことを特徴とするスターホイール型の容器搬送装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate