説明

片面インクジェット記録材料

【課題】本発明の目的は、コックリングを抑制し、プリンターにおける搬送精度が安定した片面インクジェット記録材料を提供することにある。
【解決手段】支持体の片面に、顔料と接着剤を含有するインク受容層を有する片面インクジェット記録材料において、支持体が、坪量50g/m以上180g/m以下の原紙の両面に、顔料と接着剤を含有する塗工液を塗工、乾燥して顔料塗工層を形成し、カレンダー処理によりJIS P8118にて規定される密度が0.98g/cm以上、且つ坪量230g/m以下に調製された支持体であることを特徴とする片面インクジェット記録材料によって達成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、支持体に紙を用いるインクジェット記録材料に関するものである。さらに詳しくは、コックリングを抑制し、搬送安定性に優れるインクジェット記録材料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、インクジェットプリンターやプロッターの目ざましい進歩により、フルカラーでしかも高精細な画像が容易に得られるようになってきた。
【0003】
インクジェット記録方式は、種々の作動原理によりインクの微小液滴を飛翔させて紙などの記録用紙に付着させ、画像・文字などの記録を行うものであるが、高速、低騒音、多色化が容易、記録パターンの融通性が大きい、現像や定着が不要等の特徴があり、漢字を含め各種図形およびカラー画像等の記録装置として種々の用途において急速に普及している。さらに、多色インクジェット記録方式により形成される画像は、製版方式による多色印刷やカラー写真方式による印画に比較して、遜色のない記録を得ることが可能である。また、作成部数が少なくて済む用途においては、写真技術によるよりも安価であることからフルカラー画像記録分野にまで広く応用されつつある。
【0004】
さらに、業務用途へ進出するためにインクジェットプリンターはより印刷高速化、より多色インクの搭載へ進化している。これに伴い、従来よりも速く、多量のインクを受理することとなり、支持体に紙を用いるインクジェット記録材料では、コックリングの発生を抑制すること(以下、「耐コックリング性」と記載する。)および記録材料の搬送精度が安定していること(以下、「搬送安定性」と記載する。)を強く求められている。
【0005】
銀塩写真法のような高い光沢を有し、紙を支持体に用いるインクジェット記録材料としては、キャストコート法を用いたものが提案されている(例えば、特許文献1および2参照)。
【0006】
上記したようなキャスト処理を用いずに、高い光沢を付与する方法として、支持体上にアルカリ土類金属の塩と接着剤を含有する下塗り層と無機超微粒子を含有するインク受容層を設けたインクジェット記録材料が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【0007】
しかしながら、これら支持体に紙を用いるインクジェット記録材料では耐コックリング性が十分ではなく、印刷中のコックリングに起因する印刷ムラやプリンターとのヘッド擦れを起こす場合があった。また、光沢を有するインクジェット記録材料では記録材料同士の摩擦が高くなり、インクジェット印刷時に重送(2枚が重なって送られる現象)や印刷中の紙の部分的な伸縮あるいは製造時の紙の歪みにより蛇行するなど搬送安定性に欠くことがあった。
【0008】
重送しないようにブロッキングを抑制するために、裏塗り層に有機顔料を含有させることが提案されている(例えば、特許文献4参照)。しかしながらこの方法は、ポリオレフィン樹脂被覆紙またはポリエステルフィルムを支持体としており、紙を支持体に用いるインクジェット記録材料の搬送安定性については十分に改善できるものではない。
【0009】
光沢面の最表層に熱可塑性有機粒子を含有することで、プリンターの搬送安定性を改良する提案がされている(例えば、特許文献5〜7参照)。これらの方法においては、カレンダー処理およびキャスト処理による加熱および高圧力によって、インク受容層中で熱可塑性樹脂が加熱緻密化するためにインク吸収性が低下する等の品質問題となる場合があった。
【0010】
無機超微粒子をインク受容層に使用したインクジェット記録材料であって、コックリングに起因する印刷ムラやプリンターとのヘッド擦れを回避するために、支持体のインク受容層の反対面にバックコート層を有する方法がある(例えば、特許文献8参照)。しかしながら、この方法は搬送安定性を考慮されていない。一方、耐コックリング性のために単に支持体を十分厚くする方法では相当の厚さの支持体が必要となり、コスト的に問題となる。
【0011】
一方、光沢感を高めるために、インク受容層を塗工後にカレンダー処理を行うインクジェット記録材料がある(例えば、特許文献9および10参照)。しかし、このカレンダー条件で処理すると、インク受容層の空隙を潰してしまい、インク吸収性を損なってしまう場合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開平11−48604号公報
【特許文献2】特開2000−85242号公報
【特許文献3】特開2003−170652号公報
【特許文献4】特開平7−179025号公報
【特許文献5】特開2000−158803号公報
【特許文献6】特開2000−203151号公報
【特許文献7】特開2003−226072号公報
【特許文献8】特開2008−36826号公報
【特許文献9】特開平6−155894号公報
【特許文献10】特開平7−17125号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、耐コックリング性、搬送安定性に優れる片面インクジェット記録材料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この課題に対し検討を行った結果、課題の解決は、支持体の片面に、顔料と接着剤を含有するインク受容層を有する片面インクジェット記録材料において、支持体が、坪量50g/m以上180g/m以下の原紙の両面に、顔料と接着剤を含有する塗工液を塗工、乾燥して顔料塗工層を形成し、カレンダー処理によりJIS P8118にて規定される密度が0.98g/cm以上、且つ坪量230g/m以下に調製された支持体であることを特徴とする片面インクジェット記録材料によって達成される。
【0015】
また、顔料塗工層の塗工量が片面あたり16g/m以上40g/m以下であることが好ましい。
【0016】
また、顔料塗工層が両面各々に2層以上を有することが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明により、耐コックリング性、搬送安定性に優れる片面インクジェット記録材料が得られる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明のインクジェット記録材料について詳細に説明する。
本発明に用いられる原紙としては、坪量が50g/m以上180g/m以下であること以外は特に制限はなく、目的に応じて適宜選定することができる。坪量が50g/m未満であると、その後の塗工工程において紙切れが頻発し、実質的に製造することが困難であり、また、180g/mを超えると、原紙寸法安定性には優れるが、抄速が遅く高価となってしまい、また、厚すぎるため取扱いが困難であるため、本発明においては好ましくない。また、本発明に用いられる原紙には、一般的に原紙を製造する際に用いられる木材パルプ、填料を含有し、その他製紙用助剤を必要に応じて添加して製造された紙であることが好ましい。
【0019】
本発明の原紙に用いられる木材パルプとしては、パルプの製法には限定されないが、望ましくは、LBKP(広葉樹晒クラフトパルプ)、NBKP(針葉樹晒クラフトパルプ)などが好ましい。また、LBSP(広葉樹晒亜硫酸パルプ)、NBSP(針葉樹晒亜硫酸パルプ)など従来から知られている化学パルプのいずれもが使用でき、またGP(グランドパルプ)やTMP(サーモメカニカルパルプ)など各種の機械パルプ、さらには古紙パルプや非木材パルプ、合成パルプ、各種パルプ繊維をマーセル化したパルプなど化学的処理を加えたパルプについても紙の品質を損なわない範囲で併用して使用することが可能である。これらのパルプは抄紙適性、塗工適性、さらには印刷適性等を満足させるために叩解機で叩解度(フリーネス)が調整される。パルプの叩解度はパルプの種類により異なるが、一般的にCSF(JIS P8121で規定されたカナディアン・スタンダード・フリーネスを意味する。)で150ml以上550ml以下であることが好ましく、300ml以上500ml以下に調整することがより好ましい。
【0020】
本発明の原紙には、一般的に原紙を製造する際に用いられる填料を含有することができる。填料は、不透明性や印刷適性を維持するために用いられ、タルク、焼成カオリン、炭酸カルシウムおよび二酸化チタン等が例示される。特に炭酸カルシウムは、白色度が高い原紙となり、インクジェット記録材料の光沢感が高まるので好ましい。パルプと填料の混合比率は、パルプ100質量部に対して5質量部以上30質量部以下、特に、10質量部以上20質量部以下が好ましい。
【0021】
本発明において、原紙には、その他の助剤として一般に知られる各種の抄紙用助剤を用いることができる。例えば、紙力剤としてデンプン、ポリアクリルアミド樹脂、ポリビニルアルコール、ガラクトマンナン、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン樹脂など、サイズ剤としてアルキルケテンダイマー、アルケニルまたはアルキル琥珀酸無水物、脂肪酸金属塩、脂肪酸、エポキシ系高級脂肪酸アミド、ロジン誘導体など、定着剤として塩化アルミニウム、硫酸バンドなどの水溶性アルミニウム塩など、pH調整剤として水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、硫酸、塩酸など、他に歩留まり向上剤、染料、顔料、蛍光増白剤、嵩高剤であり、これらを適宜組み合わせて含有することができる。
【0022】
本発明の紙の製造方法において使用する抄紙機は、一般的な抄紙機であれば特に制限はなく、長網抄紙機、ツインワイヤー抄紙機、ハイブリッド抄紙機、円網抄紙機、ヤンキー抄紙機、各種のコンビネーション抄紙機など製紙業界で公知の抄紙機を適宜使用できる。なお、紙支持体は酸性紙、中性紙またはアルカリ性紙のいずれであっても良い。
【0023】
本発明者らは続いて、原紙の両面に塗工する顔料塗工層について鋭意検討を行った。その結果、顔料と接着剤を含有する塗工液を塗工、乾燥して顔料塗工層を設け、その後に密度0.98g/cm以上に制御するべくカレンダー処理を行った支持体によって耐コックリング性を得ることができ、搬送安定性に優れることを見出した。
【0024】
顔料塗工層を設けて支持体の密度を0.98g/cm以上にすることにより、耐コックリング性、搬送安定性が優れる理由は定かではないが、高密度の顔料塗工層を設けることによって、原紙に対するインクの浸透が抑えられることにより、耐コックリング性が向上すると考えられる。また、原紙に対するインクの浸透を抑えることで、支持体自身の膨張が抑えられるため、搬送安定性が優れると考えられる。
【0025】
本発明の顔料塗工層を設けるための塗工液中に用いられる顔料としては特に制限はなく、例えば、カオリン、焼成カオリン、クレー、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、タルク、水酸化アルミニウム、サチンホワイト、酸化チタン、ゲル法シリカ、沈降法シリカ、コロイダルシリカ、気相法シリカ、気相法アルミナ、擬ベーマイト、酸化亜鉛、活性白土、珪藻土、レーキ、プラスチックピグメントなどが挙げられる。これを単独で用いても構わないし、これらのうち複数種を併用することは何ら制限されるものではない。
【0026】
また、本発明の顔料塗工層を設けるための塗工液中に用いられる顔料の平均粒子径は特に限定されるものではないが、15μm以下が好ましく、さらに好ましくは7μm以下であり、2μm以下が最も好ましい。本発明において、顔料の平均粒子径は小さい方が顔料塗工層の空隙が小さくなり、耐コックリング性に優れ、インク受容層塗工後の平滑度や光沢度が良好となる。顔料の平均粒子径の下限については特に限定されるものではないが、例えば、平均粒子径が0.1μm未満といったように小さくなると、多量の接着剤を必要とし、塗工液の安定性や塗工への影響をもたらす可能性があるため、一般的には顔料の平均粒子径の下限として0.1μm程度であることが好ましい。
【0027】
本発明において、平均粒子径とは、原則としてレーザー回折・散乱式粒度分析計で測定した体積を基準とした粒度分布の測定結果から、顔料の粒子径に関する累積頻度曲線を求め、累積頻度50体積%における粒子径を平均粒子径とする。顔料の平均粒子径は、例えば日機装社製レーザー回折・散乱式粒度分布測定器Microtrac MT3000IIを用いて測定することができる。また、インクジェット記録材料から平均粒子径を算出する場合、例えば、走査型電子顕微鏡を用いて記録材料表面の電子顕微鏡写真を撮影し、得られた画像から粒子を面積の近似する球体と見なし、粒子径を計算することによって平均粒子径を算出することができる。
【0028】
本発明の顔料塗工層を設けるための塗工液中に用いられる接着剤としては特に制限はなく、例えば、通常のデンプン、酸化デンプン、リン酸エステル化デンプン、酵素変性デンプンやそれらをフレッシュドライして得られる冷水可溶性デンプンなどのデンプン類、スチレンブタジエン系、アクリル系、酢酸ビニル系などの各種共重合ラテックス、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチレンオキシド、ポリアクリルアミド、ユリアまたはメラミンホルマリン樹脂、ポリエチレンイミン、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン樹脂などの水溶性合成物、ワックス、カゼイン、大豆蛋白などの天然物およびこれらをカチオン化したものなどが挙げられる。これを単独で用いても構わないし、これらのうち複数種を併用することは何ら制限されるものではない。その中でも、特に共重合ラテックスが耐コックリング性に優れるため好ましい。特にスチレンブタジエン系、アクリル系は、結着力や保存性の点で良好であり好ましい。
【0029】
本発明において、顔料塗工層を設けるための塗工液中に用いられる顔料と接着剤の固形分混合比は、質量比において顔料/接着剤=1/1以上30/1以下の範囲で選択することが好ましい。より好ましい範囲は、顔料/接着剤=5/1以上10/1以下である。接着剤に対する顔料の配合比が上記範囲よりも多い場合は、顔料塗工層の機械的強度が不足して、顔料塗工層に粉落ちが発生し易くなり、上記範囲よりも少ない場合は、ブロッキングの問題を生じる可能性がある。
【0030】
本発明において、顔料塗工層を設けるための塗工液中には、上記顔料や接着剤の他に、一般的に塗工紙を製造する上で用いられる各種助剤を適宜配合して構わない。例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースなどの水溶性高分子や、珪酸塩などの増粘剤が挙げられる。その他、必要に応じて、分散剤、pH調整剤、潤滑剤、消泡剤、耐水化剤、界面活性剤、抑泡剤、離型剤、発泡剤、着色染料、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、防バイ剤などの各種助剤、およびこれらの各種助剤をカチオン化したものが用いられる。
【0031】
本発明において、顔料塗工層を塗工する方法は、特に限定されるものではなく、サイズプレス、ゲートロール、シムサイザーなどの各種フィルムトランスファーコーター、エアナイフコーター、ロッドコーター、ブレードコーター、ダイレクトファウンテンコーター、スプレーコーター、キャストコーターなどの各方式を適宜使用する。
【0032】
さらに、塗工、乾燥された支持体は、密度0.98g/cm以上とするため、カレンダー処理を施す必要がある。その際のカレンダー処理装置としては、グロスカレンダー、スーパーカレンダー、ソフトカレンダーなどが挙げられる。該支持体の密度は1.00g/cm以上1.30g/cm以下の範囲が好ましく、1.05g/cm以上1.20g/cm以下の範囲が最も好ましい。
【0033】
本発明において、原紙上に設けられる顔料塗工層の塗工量としては特に限定されるものではないが、一般に片面当たりに設けられる固形分の塗工量が8g/m以上55g/m以下であり、好ましくは12g/m以上50g/m以下である。より好ましくは16g/m以上40g/m以下である。塗工量が少ない場合、顔料塗工層が原紙全面を完全にカバーリングすることができず白紙面質、印刷面質が悪化する。また、インクジェットプリンターで印刷する際に、インクあるいはインクを構成する溶媒が覆いきれていない繊維に沿って、原紙に到達し、コックリングを発生することがある。塗工量が多い場合、コストの増加と塗工液の乾燥負荷が大きいという製造上の問題となる場合がある。
【0034】
また、本発明において、顔料塗工層は原紙の両面各々に2層以上設けることが好ましい。原紙に近い顔料塗工層により原紙が覆われ原紙自身の凸凹がなくなり、さらにその上に顔料塗工層を設けることで、より一層平滑な面が得られるためである。また、顔料塗工層を2層以上設けることで、理由は定かではないが、耐コックリング性もより向上する。顔料塗工層同士の界面を溶媒が通過する際に、溶媒吸収速度の低下が生じるためと考えられる。
【0035】
2層以上顔料塗工層を設ける場合、顔料塗工層が同じ構成であっても、違う構成をとっても良い。また、塗工量としては、上記同様限定されるものではないが、一般に片面当たりに設けられる固形分の塗工量の合計が8g/m以上55g/m以下であり、好ましくは12g/m以上50g/m以下である。より好ましくは16g/m以上40g/m以下である。
【0036】
本発明において、支持体の坪量は230g/m以下である。230g/mを超える支持体の場合、厚さが厚くなりすぎてしまい、取扱いが困難となり、また、一方でコスト的に非常に厳しくなるため、好ましくない。
【0037】
上記で得られた両面顔料塗工層を有する支持体の片面上に、インク受容層を形成することによって耐コックリング性が良好で、搬送安定性に優れる片面インクジェット記録材料が得られる。インク受容層は顔料と接着剤を含有する。
【0038】
本発明のインク受容層を設けるための塗工液中に用いられる顔料としては、特に制限はなく、例えば、カオリン、焼成カオリン、クレー、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、タルク、水酸化アルミニウム、サチンホワイト、酸化チタン、ゲル法シリカ、沈降法シリカ、コロイダルシリカ、気相法シリカ、気相法アルミナ、擬ベーマイト、酸化亜鉛、活性白土、珪藻土、レーキ、プラスチックピグメントなどが挙げられる。これを単独で用いても構わないし、これらのうち複数種を併用することは何ら制限されるものではない。特に、ゲル法シリカ、沈降法シリカ、コロイダルシリカ、気相法シリカ、気相法アルミナ、擬ベーマイトを用いることでインクジェット適性が高まるため、好ましい。
【0039】
また、顔料としては、観察野において粒子が占める面積の80%以上を、高次構造を形成している際の長辺400nm以下の粒子が占める顔料を用いることで、特に高い表面光沢が得られることから好ましい。また、該観察野において粒子が占める面積の80%以上を、高次構造を形成している際の長辺100nm以上400nm以下の粒子が占める顔料を用いると、インク受容層の塗工液を塗工後、高速に乾燥してもインク受容層の表面のひびなどの欠陥が生じにくいことからより好ましい。
【0040】
また、比表面積がある程度以上であるものを用いると高い印刷濃度が得られることから好ましい。一方比表面積が大きすぎるものを用いるとインクの吸収性が低下することがある。具体的には、BET法による比表面積が60m/g以上600m/g以下のものを用いることが好ましく、150m/g以上400m/g以下のものを用いることがより好ましい。なお、このような比表面積を有する顔料は通常、直径数十nm以下の一次粒子が結合し、その内部に空隙を有する高次構造を形成してなる顔料である。
【0041】
本発明のインク受容層を設けるための塗工液中に用いられる接着剤としては特に制限はなく、例えば、通常のデンプン、酸化デンプン、リン酸エステル化デンプン、酵素変性デンプンやそれらをフレッシュドライして得られる冷水可溶性デンプンなどのデンプン類、スチレンブタジエン系、アクリル系、酢酸ビニル系などの各種共重合ラテックス、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチレンオキシド、ポリアクリルアミド、ユリアまたはメラミンホルマリン樹脂、ポリエチレンイミン、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン樹脂などの水溶性合成物、ワックス、カゼイン、大豆蛋白などの天然物およびこれらをカチオン化したものなどが挙げられる。これを単独で用いても構わないし、これらのうち複数種を併用することは何ら制限されるものではない。特に好ましい接着剤として、ポリビニルアルコールが挙げられる。
【0042】
本発明に用いられるポリビニルアルコールとしては、70mol%から100mol%までの種々のけん化度のポリビニルアルコールを使用できる。またシリル基、カルボキシル基、アミノ基、アセトアセチル基等の種々官能基を導入した、または、エチレン等他の単量体をランダム的、グラフト的またはブロック的に導入した変性ポリビニルアルコールも使用することができる。
【0043】
ポリビニルアルコールは、その水溶液の粘度が高いものの方が、含有量が比較的少量であっても塗工されたインク受容層の乾燥時に表面のひびが生じにくいので、その含有量を少なくすることができ、結果としてインク吸収性を向上させられるので好ましい。その反面、その水溶液の粘度が高すぎると、インク受容層の塗工液の粘度が高くなりすぎて塗工操作が困難になることがあるから好ましくない。具体的には、JIS Z8803に基づき25℃においてウベローデ粘度計を使用して測定される固形分濃度4質量%の水溶液の粘度が15mPa・秒以上400mPa・秒以下であることが好ましく、30mPa・秒以上200mPa・秒以下であることがより好ましい。これらのポリビニルアルコールは、その1種を単独で用いても良いし、けん化度、粘度、変性などが異なる2種以上を組み合わせて用いても良い。
【0044】
本発明に用いられる接着剤の含有量は、少なすぎると乾燥時に表面にひびが生じたり、形成されるインクジェット記録材料の表面強度が不足することがある。一方で接着剤の含有量が多すぎるとインク吸収性が低下することがある。具体的には、接着剤の含有量は顔料の2質量%以上40質量%以下であることが好ましく、5質量%以上30質量%以下であることがより好ましい。
【0045】
本発明のインク受容層には、必要に応じて、硬膜剤、界面活性剤、消泡剤、増粘剤、蛍光増白剤、着色剤、耐水化剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、カチオン性高分子電解質など各種公知の添加剤を添加することもできる。
【0046】
本発明において、インク受容層の塗工液を塗工する方法に特に制限はなく、エアナイフコーター、ブレードコーター、ロッドブレードコーター、バーコーター、リバースロールコーター、コンマコーター(登録商標)、ゲートロールコーター、フィルムトランスファーコーター、リップコーター、ダイコーター、カーテンコーター等各種の塗工方法を用いることができる。これらのうち、カーテンコーターは、得られる塗工層の均一性が高く、さらにインク受容層の塗工に際しては塗工液の支持体への浸透が生じにくく非常に良好な面質を与えるので、好ましく使用される。本発明のインク受容層の塗工液の塗工量として特に制限はないが、インク吸収性と経済性を両立させるためには通常、固形分の塗工量として10g/m以上25g/m以下を塗工することが好ましい。ただし、特に多量のインクを吸収することを求められる場合には、30g/m程度を塗工することが好ましいこともある。
【0047】
本発明において、インク受容層を塗工、乾燥後、平坦化や透気抵抗度をコントロールしたり、表面光沢をさらに高めたりする目的で、カレンダー処理により、平滑化しても良い。その際のカレンダー処理装置としては、グロスカレンダー、スーパーカレンダー、ソフトカレンダーなどが挙げられる。
【実施例】
【0048】
以下本発明の実施例を示す。また、本実施例中で、特に明示しない限り部は質量部、%は質量%を示すものとする。
【0049】
<原紙1の作製>
LBKP(濾水度440mlCSF) 100部
軽質炭酸カルシウム(奥多摩工業製「タマパール121」)
紙中含有量が10%になるように添加量調整
硫酸バンド 0.4部
カチオン化澱粉(日本食品加工製「ネオタック40T」) 1部
アルキルケテンダイマーサイズ剤(荒川化学工業製「サイズパインK−903−20」)
0.13部
カチオン系ポリアクリルアミド歩留まり向上剤(ハイモ製「NR11LS」)
0.03部
パルプ、内添薬品を上記の配合で調整し、坪量105g/mの原紙を抄造し、原紙1の試料とした。
【0050】
<原紙2の作製>
原紙1において、坪量を174g/mに調整した以外は原紙1と同様にして、原紙2の試料とした。
【0051】
<原紙3の作製>
原紙1において、坪量を55g/mに調整した以外は原紙1と同様にして、原紙3の試料とした。
【0052】
<原紙4の作製>
原紙1において、坪量を45g/mに調整した以外は原紙1と同様にして、原紙4の試料とした。
【0053】
<顔料塗工層用塗工液1の作製>
顔料として、市販1級カオリン(エンゲルハード製ウルトラホワイト90)100部に、市販ポリアクリル酸系分散剤(東亞合成製アロンT−50)0.1部添加して、分散機で固形分濃度62%で分散したものに、接着剤として、市販スチレンブタジエン共重合ラテックスを10部添加し、さらに市販ステアリン酸カルシウムを0.5部添加し、水酸化ナトリウムでpH9.7に調整し、調整水で固形分濃度56%に調整して、顔料塗工層用塗工液1を得た。
【0054】
<顔料塗工層用塗工液2の作製>
顔料塗工層用塗工液1において、顔料として市販1級カオリン(エンゲルハード製ウルトラホワイト90)の代わりに、市販湿式重質炭酸カルシウム(イメリスミネラルズジャパン製カービタル90)を用いた以外は顔料塗工層用塗工液1と同様にして、顔料塗工層用塗工液2を作製した。
【0055】
<顔料塗工層用塗工液3の作製>
顔料塗工層用塗工液1において、顔料として市販1級カオリン(エンゲルハード製ウルトラホワイト90)100部の代わりに、市販1級カオリン(エンゲルハード製ウルトラホワイト90)50部と、市販湿式重質炭酸カルシウム(イメリスミネラルズジャパン製カービタル90)50部を用いた以外は顔料塗工層用塗工液1と同様にして、顔料塗工層用塗工液3を作製した。
【0056】
<気相法シリカ分散液の調製>
水392部を攪拌しながら、400mPa・秒の粘度を有するジメチルジアリルアンモニウムクロライド重合体の50%水溶液8部(固形分4部)、気相法シリカ(BET法による比表面積90m/g)100部を添加し、ブレード型分散機を使用して予備分散した。得られた予備分散液をコロイドミルで処理して、固形分濃度20.8%の気相法シリカ分散液を得た。この分散物を水で100倍に希釈し、ガラス基板上に散布して走査電子顕微鏡で観察したところ、観察野において粒子が占める面積の80%以上を、長辺が100nm以上400nm以下の粒子が占めていた。
【0057】
<インク受容層の塗工液1の調製>
上記の気相法シリカ分散液の100部(固形分20.8部)に、けん化度88mol%のポリビニルアルコール(クラレ製PVA235)の10%水溶液50部(固形分5部)を添加し、混合してインク受容層の塗工液1を調製した。
【0058】
<インク受容層の塗工液2の調製>
上記の気相法シリカ分散液の100部(固形分20.8部)に、けん化度98mol%のポリビニルアルコール(クラレ製PVA124)の10%水溶液50部(固形分5部)を添加し、混合してインク受容層の塗工液2を調製した。
【0059】
<アルミナ水和物ゾルの調製>
水299部に酢酸1部を混合し、擬ベーマイト構造を有するアルミナ水和物(サソール製Disperal HP14)100部を添加し、そのまま2時間攪拌し、固形分濃度25%のアルミナ水和物ゾルを得た。この分散物を水で100倍に希釈し、ガラス基板上に散布して走査型電子顕微鏡で観察したところ、観察野において粒子が占める面積の80%以上を、長辺100nm以上400nm以下の粒子が占めていた。
【0060】
<インク受容層の塗工液3の調製>
上記のアルミナ水和物ゾルの100部(固形分25部)に、けん化度88mol%のポリビニルアルコール(クラレ製PVA235)の10%水溶液25部(固形分2.5部)を添加し、インク受容層の塗工液3を調製した。
【0061】
<湿潤液1の調製>
水92.18部に固形分20%のコロイダルシリカ(日産化学工業製スノーテックス20)5部(固形分1部)を添加し、次に固形分10%に調製したエチレン鎖含有ポリビニルアルコール(クラレ製エクセバールRS−2117)2.5部(固形分0.25部)を添加し、さらに固形分70%の界面活性剤(花王製ペレックスOT−P)0.07部(固形分0.049部)および固形分40%の離型剤(サンノプコ製ノプコートPEM−17)0.25部(固形分0.1部)を添加し、混合して湿潤液1を得た。
【0062】
(実施例1)
<両面に顔料塗工層を有する支持体形成>
原紙1の巻取の両面に、顔料塗工層用塗工液1を、片面当たりの塗工量が14g/mとなるようにブレードコーターを使用して片面ずつの塗工、乾燥を行って両面に顔料塗工層を設けた。得られた塗工紙を、ソフトカレンダー処理(処理速度を200m/min、硬度Hs84度で表面粗さ0.3Sの90℃に加熱された金属ロールと硬度90ShDのエラグラス製弾性ロールからなるソフトカレンダーを用いて、加圧条件を200kN/m、加熱された金属ロール面に表裏各1回ずつ当たるように処理)により仕上げ処理し、密度1.12g/cm、坪量132g/mの両面に顔料塗工層を有する支持体を得た。
【0063】
<インクジェット記録材料の形成>
上記支持体の片面に、インク受容層の塗工液1を、塗工量が18g/mとなるようにカーテンコーターを用いて塗工し、熱風型乾燥機を用いて乾燥を行い実施例1の片面インクジェット記録材料を得た。
【0064】
(実施例2)
実施例1において、顔料塗工層用塗工液1の代わりに顔料塗工層用塗工液2を用いた以外は実施例1と同様にして、実施例2の片面インクジェット記録材料を得た。この際に用いた支持体の密度は1.13g/cm、坪量は132g/mであった。
【0065】
(実施例3)
実施例1において、顔料塗工層用塗工液1の代わりに顔料塗工層用塗工液3を用いた以外は実施例1と同様にして、実施例3の片面インクジェット記録材料を得た。この際に用いた支持体の密度は1.12g/cm、坪量は132g/mであった。
【0066】
(実施例4)
実施例1において、原紙1の代わりに原紙2を用いた以外は実施例1と同様にして、実施例4の片面インクジェット記録材料を得た。この際に用いた支持体の密度は1.10g/cm、坪量は201g/mであった。
【0067】
(実施例5)
実施例1において、原紙1の代わりに原紙3を用いた以外は実施例1と同様にして、実施例5の片面インクジェット記録材料を得た。この際に用いた支持体の密度は1.14g/cm、坪量は81g/mであった。
【0068】
(実施例6)
実施例1において、顔料塗工層用塗工液1を片面当たりの塗工量が18g/mとなるように塗工した以外は実施例1と同様にして、実施例6の片面インクジェット記録材料を得た。この際に用いた支持体の密度は1.15g/cm、坪量は140g/mであった。
【0069】
(実施例7)
実施例1において、支持体の密度を0.99g/cmとなるようにカレンダー処理した以外は実施例1と同様にして、実施例7の片面インクジェット記録材料を得た。この際に用いた支持体坪量は132g/mであった。
【0070】
(実施例8)
実施例1において、支持体の密度を1.31g/cmとなるようにカレンダー処理した以外は実施例1と同様にして、実施例8の片面インクジェット記録材料を得た。この際に用いた支持体の坪量は132g/mであった。
【0071】
(実施例9)
実施例1において、インク受容層の塗工液1の代わりにインク受容層の塗工液2を用いた以外は実施例1と同様にして、実施例9の片面インクジェット記録材料を得た。この際に用いた支持体の密度は1.12g/cm、坪量は132g/mであった。
【0072】
(実施例10)
実施例1において、インク受容層の塗工液1の代わりにインク受容層の塗工液3を用いた以外は実施例1と同様にして、実施例10の片面インクジェット記録材料を得た。この際に用いた支持体の密度は1.12g/cm、坪量は132g/mであった。
【0073】
(実施例11)
実施例1において、実施例1で得られた片面インクジェット記録材料を、さらにソフトカレンダー処理(処理速度を200m/min、硬度Hs84度で表面粗さ0.3Sの90℃に加熱された金属ロールと硬度90ShDのエラグラス製弾性ロールからなるソフトカレンダーを用いて、加圧条件を200kN/m、加熱された金属ロール面に表裏各1回ずつ当たるように処理)を行い、実施例11の片面インクジェット記録材料を得た。この際に用いた支持体の密度は1.12g/cm、坪量は132g/mであった。
【0074】
(実施例12)
実施例1において、該インク受容層(塗工面)上に湿潤液1を5秒間接触させて湿潤した後、温度105℃に加熱したキャスト装置の鏡面クロムメッキシリンダーに、線圧20kN/m、速度25m/minで圧着し、乾燥後にシリンダーより剥離することで実施例12のインクジェット記録材料を得た。この際に用いた支持体の密度は1.12g/cm、坪量は132g/mであった。
【0075】
(実施例13)
原紙1の巻取の両面に、顔料塗工層用塗工液2を、片面当たりの塗工量が8g/mとなるようにブレードコーターを使用して塗工、乾燥を行い、次いで顔料塗工層用塗工液1を、片面当たりの塗工量が6g/mとなるようにブレードコーターを使用して塗工、乾燥を行って両面に顔料塗工層を設けた。得られた塗工紙を、ソフトカレンダー処理(処理速度を200m/min、硬度Hs84度で表面粗さ0.3Sの90℃に加熱された金属ロールと硬度90ShDのエラグラス製弾性ロールからなるソフトカレンダーを用いて、加圧条件を200kN/m、加熱された金属ロール面に表裏各1回ずつ当たるように処理)により仕上げ処理し、密度1.12g/cm、坪量132g/mの両面に顔料塗工層を有する支持体を得た。この支持体を用いた以外は実施例1と同様にして、実施例13の片面インクジェット記録材料を得た。
【0076】
(実施例14)
実施例13において、顔料塗工層用塗工液2の片面当たりの塗工量を10g/m、顔料塗工層用塗工液1の片面当たりの塗工量を8g/mとなるように塗工した以外は実施例13と同様にして、実施例14の片面インクジェット記録材料を得た。この際に用いた支持体の密度は1.15g/cm、坪量は140g/mであった。
【0077】
(比較例1)
実施例1において、原紙1の代わりに原紙4を用いた以外は実施例1と同様にして、比較例1の片面インクジェット記録材料を得た。この際に用いた支持体の密度は1.15g/cm、坪量は71g/mであった。
【0078】
(比較例2)
実施例1において、顔料塗工層用塗工液1を塗工しない以外は実施例1と同様にして、比較例2の片面インクジェット記録材料を得た。この際に用いた支持体の密度は0.70g/cm、坪量は105g/mであった。
【0079】
(比較例3)
実施例1において、カレンダー処理を行わない以外は実施例1と同様にして、比較例3の片面インクジェット記録材料を得た。この際に得られた支持体の密度は0.82g/cm、坪量132g/mであった。
【0080】
<評価方法>
実施例1〜14、比較例1〜3で得られた片面インクジェット記録材料のコックリング、ヘッド擦れ、搬送安定性、光沢感を以下に示す方法で評価した。
【0081】
<コックリング>
セイコーエプソン製インクジェットプリンターPM−G840を用いて、グリーンベタを、50mm×170mmの大きさで記録するという方法でベタ印刷を行い、印刷部分のしわの状態を目視で判定した。許容される評価基準は○以上である。
◎:印刷部分にしわの発生がほとんどなく、非常に良好。
○:印刷部分にしわの発生が少なく、良好。
×:印刷部分にしわの発生が多い。
【0082】
<ヘッド擦れ>
長辺が支持体抄造時の流れ方向と垂直になるように610mm×500mmに切断してシートを得た。それぞれのインクジェット記録材料を23℃50%RHの条件でセイコーエプソン製インクジェットプリンターPX−10000で印刷を行い、直後のヘッド擦れの状況を以下のように目視で判断した。許容される評価基準は△以上である。
○:インクジェット記録材料の印刷面に印刷ヘッドによる擦り跡がない。
△:インクジェット記録材料の印刷面に印刷ヘッドによる擦り跡がやや見られるが、実使用上問題ない。
×:インクジェット記録材料の印刷面に印刷ヘッドによる擦り跡があり、実使用上問題がある。
【0083】
<搬送安定性>
長辺が支持体抄造時の流れ方向と垂直になるように297mm×210mmに切断してシートを得た。それぞれのインクジェット記録材料を23℃50%RHの条件でセイコーエプソン製インクジェットプリンターPM−G840の給紙トレイに積載し、100枚連続印刷することで評価した。許容される評価基準は△以上である。
○:重送または空送りが全く発生しなかった。
△:重送または空送りが1〜2回発生した。
×:重送または空送りが3回以上発生した。
【0084】
<光沢感>
光沢感の評価は、白紙のインクジェット記録材料を観察することで、以下のように目視で判断した。許容される評価基準は○以上である。
◎:極めて高い光沢感がある。
○:光沢感がある。
×:光沢感が劣る。
【0085】
結果について表1に示した。
【0086】
【表1】

【0087】
表1より、実施例1〜14の支持体の片面に、顔料と接着剤を含有するインク受容層を有する片面インクジェット記録材料において、支持体が、坪量50g/m以上180g/m以下の原紙の両面に、顔料と接着剤を含有する塗工液を塗工、乾燥して顔料塗工層を形成し、カレンダー処理によりJIS P8118にて規定される密度が0.98g/cm以上、且つ坪量230g/m以下に調製された支持体を用いた片面インクジェット記録材料は、耐コックリング性、ヘッド擦れ、搬送安定性が良好である。
【0088】
一方、比較例1〜3の片面インクジェット記録材料のように、顔料と接着剤を含有するインク受容層を有する片面インクジェット記録材料において、支持体が、坪量50g/m以上180g/m以下の原紙の両面に、顔料と接着剤を含有する塗工液を塗工、乾燥して顔料塗工層を形成し、カレンダー処理によりJIS P8118にて規定される密度が0.98g/cm以上、且つ坪量230g/m以下に調製された支持体を用いることを満足していないものについては、耐コックリング性、ヘッド擦れ、搬送安定性が悪く、実使用上問題となるレベルであった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体の片面に、顔料と接着剤を含有するインク受容層を有する片面インクジェット記録材料において、支持体が、坪量50g/m以上180g/m以下の原紙の両面に、顔料と接着剤を含有する塗工液を塗工、乾燥して顔料塗工層を形成し、カレンダー処理によりJIS P8118にて規定される密度が0.98g/cm以上、且つ坪量230g/m以下に調製された支持体であることを特徴とする片面インクジェット記録材料。
【請求項2】
顔料塗工層の塗工量が片面あたり16g/m以上40g/m以下である請求項1に記載の片面インクジェット記録材料。
【請求項3】
顔料塗工層が両面各々に2層以上を有する請求項1または2に記載の片面インクジェット記録材料。

【公開番号】特開2012−91441(P2012−91441A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−241955(P2010−241955)
【出願日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【出願人】(000005980)三菱製紙株式会社 (1,550)
【Fターム(参考)】