説明

片頭痛の治療剤

「化学式を挿入」(式中、R、RおよびRは同一または異なって水素原子、低級アルキル、低級アルケニルまたは低級アルキニルを表し、Rはシクロアルキル、−(CH−Rまたは上記式(II)を表し、XおよびXは同一または異なって酸素原子または硫黄原子を表す)例えば上記式(I)で表されるキサンチン誘導体またはその薬理的に許容される塩を有効成分として含有する片頭痛の治療剤等を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、キサンチン誘導体またはその薬理的に許容される塩を有効成分として含有する片頭痛の治療剤に関する。
【背景技術】
片頭痛(Migraine)は、4〜72時間続く頭痛発作であり、悪心、嘔吐、光過敏、音過敏等を伴う[メルクマニュアル第17版、168章;日本神経学会治療ガイドライン;頭痛国際分類第2版(International Classification of Headache Disorders−II:ICHD−II)、2004年]。片頭痛の病態生理および発生機序のひとつとして、浅側頭動脈を含む頭蓋外血管および/または頭蓋内血管の血管拡張が提唱されている[アーカイブス・ニューロロジー・サイキアトリー(Arch.Neurol.Psychiatr.)、第39巻、p.737−763(1938年);セファラジア(Cephalalgia)、第1巻、p.143−147(1981年);内科、第81巻、p.601−609(1998年);内科、第81巻、p.639(1998年)]。また、血液脳関門を通過しないセロトニン受容体5−HT(5−ヒドロキシトリプタミン1)の親水性アゴニストである麦角アルカロイドおよびスマトリプタン(sumatriptan)は、脳血管平滑筋のセロトニン受容体5−HTに作用して拡張した血管を収縮させることから、片頭痛の治療に有効であることが知られている[アナルス・オブ・ザ・ニューヨーク・アカデミー・オブ・サイエンス(Ann.N.Y.Acad.Sci.)、第600巻、p.587−600(1990年);ニューロロジー(Neurology)、第43巻、p.S43−S47(1993年)]。
これらのことから、頭蓋外血管および/または頭蓋内血管の血管拡張を抑制することにより、片頭痛の治療が可能であると考えられている。
一方、片頭痛発作の1時間後、片頭痛患者の血漿中におけるアデノシンの濃度が平常時と比較して平均68%増加していること、およびアデノシンによりアデノシンA受容体が賦活化されると血小板によるセロトニンの取り込みがアデノシンの濃度依存的に抑制され、結果としてセロトニンの急激な放出による血管拡張力が引き起こされること[カナディアン・ジャーナル・オブ・ニューロロジカル・サイエンシス(Can.J.Neurol.Sci.)、第2巻、p.55−58(1998年)]、片頭痛患者にアデノシン増強剤を静脈投与することにより、片頭痛発作が誘発されること[メディカル・ジャーナル・オブ・オーストラリア(Med.J.Aust.)、第162巻、p.389−390(1995年)]等が知られている。また、アデノシンは強力な血管拡張作用を有することが知られており、片頭痛時の血管拡張作用およびアデノシン誘発の血管拡張作用に、アデノシンA2A受容体およびアデノシンA2B受容体が関与することが知られている[アメリカン・ジャーナル・オブ・フィジオロジー・ハート・アンド・サーキュラトリー・フィジオロジー(Am.J.Physiol.Heart Circ.Physiol.)、第280巻、p.2329−2335(2001年)]。これらのことから、アデノシン誘発の血管拡張を抑制することにより、片頭痛の治療が可能であると考えられている。
また、特異性は低いもののアデノシン拮抗作用を有するカフェインは片頭痛を緩和させる働きを有するが、副作用として精神依存性があり、カフェイン禁断性頭痛を引き起こすことが知られている(「ペイン(Pain)」、1991年、第44巻、p.151−155および「ドラッグズ(Drugs)」、1998年、第49巻、p.37−50参照)。
アデノシン拮抗作用を有するピラゾール誘導体(国際公開第97/01551号パンフレット)、アデノシンA受容体作動薬であるGR79236(「セファラジア(Cephalalgia)」、2002年、第22巻、p.260−264参照)等が、片頭痛の治療効果を有することが知られている。
一方、後述する式(I)で表される化合物を含むキサンチン誘導体の多くは、例えばアデノシンA受容体拮抗作用、抗パーキンソン病作用、中枢興奮作用、神経変性抑制作用、抗うつ作用、抗喘息作用、骨吸収抑制作用、血糖降下作用、血小板増殖抑制作用等を有することが知られている[特公昭47−26516号公報、特開平6−211856号公報、特開平6−239862号公報、特開平6−16559号公報、国際公開第92/06976号パンフレット、国際公開第94/01114号パンフレット、国際公開第95/23165号パンフレット、国際公開第99/12546号パンフレット、国際公開第99/35147号パンフレット、ジャーナル・オブ・メディシナル・ケミストリー(J.Med.Chem.)、第34巻、p.1431(1991年)、ジャーナル・オブ・メディシナル・ケミストリー(J.Med.Chem.)、第36巻、p.1333(1993年)]。
【発明の開示】
本発明の目的は、例えばキサンチン誘導体またはその薬理的に許容される塩を有効成分として含有する片頭痛の治療剤等を提供することにある。
本発明は、以下の(1)〜(7)に関する。
(1)式(I)

[式中、R、RおよびRは同一または異なって水素原子、低級アルキル、低級アルケニルまたは低級アルキニルを表し、
はシクロアルキル、−(CH−R(式中、Rは置換もしくは非置換のアリールまたは置換もしくは非置換の複素環基を表し、nは0〜4の整数を表す)または式(II)

(式中、YおよびYは同一または異なって水素原子、ハロゲンまたは低級アルキルを表し、Zは置換もしくは非置換のアリールまたは置換もしくは非置換の複素環基を表す)を表し、
およびXは同一または異なって酸素原子または硫黄原子を表す]で表されるキサンチン誘導体またはその薬理的に許容される塩を有効成分として含有する片頭痛の治療剤。
(2)XおよびXが酸素原子である上記(1)記載の片頭痛の治療剤。
(3)Rが式(II)

(式中、Y、YおよびZはそれぞれ前記と同義である)である上記(1)または(2)記載の片頭痛の治療剤。
(4)YおよびYが水素原子である上記(3)記載の片頭痛の治療剤。
(5)Zが置換もしくは非置換のアリールまたは式(III)

(式中、Rは水素原子、ヒドロキシ、低級アルキル、低級アルコキシ、ハロゲン、ニトロまたはアミノを表し、mは1〜3の整数を表す)である上記(3)または(4)記載の片頭痛の治療剤。
(6)式(I)

(式中、R、R、R、R、XおよびXはそれぞれ前記と同義である)で表されるキサンチン誘導体またはその薬理的に許容される塩の有効量を投与することを特徴とする片頭痛の治療方法。
(7)片頭痛の治療剤の製造のための、式(I)

(式中、R、R、R、R、XおよびXはそれぞれ前記と同義である)で表されるキサンチン誘導体またはその薬理的に許容される塩の使用。
式(I)の各基の定義において、
低級アルキルおよび低級アルコキシの低級アルキル部分としては、例えば直鎖または分岐状の炭素数1〜6のアルキルがあげられ、具体的にはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ネオペンチル、ヘキシル等があげられる。
低級アルケニルとしては、例えば直鎖または分岐状の炭素数2〜6のアルケニルがあげられ、具体的にはビニル、アリル、メタクリル、クロチル、3−ブテニル、2−ペンテニル、4−ペンテニル、2−ヘキセニル、5−ヘキセニル等があげられる。
低級アルキニルとしては、例えば直鎖または分岐状の炭素数2〜6のアルキニルがあげられ、具体的にはエチニル、プロパルギル、2−ブチニル、3−ブチニル、2−ペンチニル、4−ペンチニル、2−ヘキシニル、5−ヘキシニル、4−メチル−2−ペンチニル等があげられる。
シクロアルキルとしては、例えば炭素数3〜8のシクロアルキルがあげられ、具体的にはシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル等があげられる。
ハロゲンは、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素の各原子を意味する。
アリールとしては、例えば炭素数6〜14のアリールがあげられ、具体的にはフェニル、ナフチル、アントリル等があげられる。
複素環基としては、例えば窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選ばれる少なくとも1個の原子を含む5員または6員の単環性複素環基、3〜8員の環が縮合した二環または三環性で窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選ばれる少なくとも1個の原子を含む縮環性複素環基等があげられ、具体的にはフリル、チエニル、ピロリル、ピラニル、チオピラニル、ピリジル、ピリミジニル、トリアジニル、プリニル、ピラジニル、ピリダジニル、ベンゾイミダゾリル、2−オキソベンゾイミダゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾフリル、ベンゾチエニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、1,3−ベンゾジオキソリル、1,4−ベンゾジオキサニル、3,4−ジヒドロ−2H−1,5−ベンゾジオキセピニル、インダゾリル、インドリル、イソインドリル、キノリル、イソキノリル、フタラジニル、ナフチリジニル、キノキサリニル、ピラゾリル、キナゾリニル、シンノリニル、トリアゾリル、テトラゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、ジヒドロイソキノリル、テトラヒドロキノリル、ジヒドロベンゾピラニル等があげられる。
置換アリールおよび置換複素環基における置換基としては、同一または異なって例えば置換数1〜3の置換基があげられ、具体的には低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、ヒドロキシ、置換もしくは非置換の低級アルコキシ、ハロゲン、ニトロ、アミノ、低級アルキルアミノ、ジ低級アルキルアミノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、アラルキル、アラルキルオキシ、アリール、アリールオキシ、低級アルカノイル、低級アルカノイルオキシ、アロイル、アロイルオキシ、アリールアルカノイルオキシ、カルボキシ、低級アルコキシカルボニル、低級アルキルカルバモイル、ジ低級アルキルカルバモイル、スルホ、低級アルコキシスルホニル、低級アルキルスルファモイル、ジ低級アルキルスルファモイル等があげられる。
ここで示した低級アルキル、低級アルコキシ、低級アルキルアミノ、ジ低級アルキルアミノ、低級アルカノイル、低級アルカノイルオキシ、低級アルコキシカルボニル、低級アルキルカルバモイル、ジ低級アルキルカルバモイル、低級アルコキシスルホニル、低級アルキルスルファモイルおよびジ低級アルキルスルファモイルの低級アルキル部分は、前記低級アルキルと同義であり、ハロゲン、低級アルケニルおよび低級アルキニルはそれぞれ前記と同義である。ジ低級アルキルアミノ、ジ低級アルキルカルバモイルおよびジ低級アルキルスルファモイルの2つの低級アルキル部分は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。アリールおよびアリールオキシのアリール部分は前記アリールと同義であり、アラルキルおよびアラルキルオキシのアラルキル部分としては、例えばベンジル、フェネチル等があげられる。アロイルおよびアロイルオキシのアロイル部分としては、例えばベンゾイル、ナフトイル等があげられる。アリールアルカノイルオキシのアリールアルキル部分としては、例えばベンジル、フェネチル等があげられる。置換低級アルコキシにおける置換基としては、例えばヒドロキシ、低級アルコキシ、ハロゲン、アミノ、アジド、カルボキシ、低級アルコキシカルボニル等があげられる。ここで、低級アルコキシおよび低級アルコキシカルボニルの低級アルキル部分は、前記低級アルキルと同義であり、ハロゲンは前記と同義である。
以下、式(I)で表される化合物を化合物(I)という。
化合物(I)の薬理的に許容される塩としては、例えば薬理的に許容される酸付加塩、金属塩、アンモニウム塩、有機アミン付加塩、アミノ酸付加塩等があげられる。
化合物(I)の薬理的に許容される酸付加塩としては、例えば塩酸塩、硫酸塩、リン酸塩等の無機酸塩、酢酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、メタンスルホン酸塩等の有機酸塩があげられ、薬理的に許容される金属塩としては、例えばナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、マグネシウム塩、カルシウム塩等のアルカリ土類金属塩、アルミニウム塩、亜鉛塩等があげられ、薬理的に許容されるアンモニウム塩としては、例えばアンモニウム、テトラメチルアンモニウム等の塩があげられ、薬理的に許容される有機アミン付加塩としては、モルホリン、ピペリジン等の付加塩があげられ、薬理的に許容されるアミノ酸付加塩としては、リジン、グリシン、フェニルアラニン等の付加塩があげられる。
化合物(I)は、特公昭47−26516号公報、ジャーナル・オブ・メディシナル・ケミストリー(J.Med.Chem.)、第34巻、p.1431(1991年)、ジャーナル・オブ・メディシナル・ケミストリー(J.Med.Chem.)、第36巻、p.1333(1993年)、WO92/06976、特開平6−211856号公報、特開平6−239862号公報、WO95/23165、特開平6−16559号公報、WO94/01114、WO99/12546、WO99/35147等に開示された方法でまたはそれらに準じて製造することができる。各製造法における目的化合物は、有機合成化学で常用される精製法、例えば濾過、抽出、洗浄、乾燥、濃縮、再結晶、各種クロマトグラフィー等に付して単離精製することができる。
化合物(I)の塩を取得したいとき、化合物(I)が塩の形で得られる場合には、そのまま精製すればよく、また、遊離塩基の形で得られる場合には、化合物(I)を適当な溶媒に溶解または懸濁し、酸または塩基を加えて塩を形成させればよい。
また、化合物(I)およびその薬理的に許容される塩は、水または各種溶媒との付加物の形で存在することもあるが、これら付加物も本発明の片頭痛の治療剤に用いることができる。
化合物(I)の中には光学異性体等が存在し得るものもあるが、全ての可能な立体異性体およびそれらの混合物も本発明の片頭痛の治療剤に用いることができる。
化合物(I)の具体例を第1表に示す。

以下に試験例により本発明の効果を具体的に説明する。
試験例1:脳血管収縮作用
ペントバルビタールナトリウム(pentbarbital sodium)を静脈内投与することにより、イヌに麻酔を施した後、当該イヌを放血死させ、開頭した。
脳底動脈を摘出し、幅2mm程度の脳血管平滑筋のリング標本を作製した。該リング標本を、約2mm長に切断した注射針に絹糸で固定した。イージー・マグヌス装置(型番:UC−2,いわしや岸本医科産業株式会社製)に設置したホルダーに注射針を固定し、37℃の栄養液中で標本に静止張力を0.2g(1.96mN)かけて60分間以上安定化させた。イージー・マグヌス装置のバス(2mL)内に10mmol/Lアデノシン水溶液を2μL添加して、脳血管平滑筋を弛緩させた後、試験化合物の0.2mmol/Lジメチルスルホキシド溶液を1μL、0.4mmol/Lジメチルスルホキシド溶液を1μL、2mmol/Lジメチルスルホキシド溶液を0.7μLの順で累積添加した(試験化合物添加群)。また、別途、試験化合物投与群と同様にして、試験化合物の代わりにジメチルスルホキシドのみを累積添加した(溶媒添加群)。脳血管平滑筋の収縮を、標本を固定したホルダーに連結したトランスデューサー(日本光電製)からひずみ圧力アンプ(日本光電製)を介し、レコーダー(横河製)上に記録した(n=6)。
脳血管収縮作用は、試験化合物のアデノシン誘発脳血管平滑筋弛緩に対する抑制率(%)として図1に示した。
上記の結果、以下のことが判明した。
アデノシンの添加により摘出した脳血管平滑筋の弛緩が認められ、化合物2の添加により、溶媒添加群に比してアデノシン誘発脳血管平滑筋弛緩が有意にかつ濃度依存的に抑制された。
以上の試験例1の結果から、化合物(I)またはその薬理的に許容される塩は、脳血管拡張を抑制し、脳血管を収縮させる作用を有することが判明した。つまり、化合物(I)またはその薬理的に許容される塩は、片頭痛の治療剤として有用であることが示唆された。
化合物(I)またはその薬理的に許容される塩はそのまままたは各種の製薬形態で使用することができる。本発明の製薬組成物は、活性成分として、有効な量の化合物(I)またはその薬理的に許容される塩を薬理的に許容される担体と均一に混合して製造できる。これらの製薬組成物は、例えば直腸投与、経口または非経口(皮下、静脈内および筋肉内を含む)等の投与に対して適する単位服用形態にあることが望ましい。
経口服用形態にある組成物の調製においては、何らかの有用な薬理的に許容される担体が使用できる。例えば懸濁剤およびシロップ剤のような経口液体調製物は、水、シュークロース、ソルビトール、フラクトース等の糖類、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール類、ゴマ油、オリーブ油、大豆油等の油類、p−ヒドロキシ安息香酸エステル類等の防腐剤、ストロベリーフレーバー、ペパーミント等のフレーバー類等を使用して製造できる。粉剤、丸剤、カプセル剤および錠剤は、ラクトース、グルコース、シュークロース、マンニトール等の賦形剤、でん粉、アルギン酸ソーダ等の崩壊剤、ステアリン酸マグネシウム、タルク等の滑沢剤、ポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルセルロース、ゼラチン等の結合剤、脂肪酸エステル等の表面活性剤、グリセリン等の可塑剤等を用いて製造できる。錠剤およびカプセル剤は、投与が容易であるという理由で、最も有用な単位経口投与剤である。錠剤やカプセル剤を製造する際には固体の製薬担体が用いられる。
また、注射剤は、蒸留水、塩溶液、グルコース溶液または塩水とグルコース溶液の混合物等から成る担体を用いて調製することができる。この際、常法に従い適当な助剤を用いて、溶液、懸濁液または分散液として調製される。
化合物(I)またはその薬理的に許容される塩は、上記製薬形態で経口的にまたは注射剤等として非経口的に投与することができ、その有効用量および投与回数は、投与形態、患者の年齢、体重、症状等により異なるが、1〜100mg/60kg/日、好ましくは1〜20mg/60kg/日を一日一回または数回に分けて投与するのが適当である。
【図面の簡単な説明】
図1は、化合物2によるアデノシン誘発脳血管平滑筋弛緩の抑制効果を示したものである。縦軸はアデノシン誘発脳血管平滑筋弛緩の抑制率(%)を表し、横軸は添加した化合物2の濃度の対数(log[mol/L])を表す。グラフ上の各プロットの意味は、それぞれ以下の通りである。
−〇−:溶媒投与群
−●−:化合物2投与群
**:p<0.01(Student’s t−test)の有意差を表す
***:p<0.001(Student’s t−test)の有意差を表す
【発明を実施するための最良の形態】
以下に、実施例によって本発明の様態を説明する。
【実施例1】
錠剤
常法により、次の組成からなる錠剤を調製する。
化合物1の40g、ラクトース286.8gおよび馬鈴薯でん粉60gを混合し、これにヒドロキシプロピルセルロースの10%水溶液120gを加える。この混合物を常法により練合し、造粒して乾燥させた後、整粒し打錠用顆粒とする。これにステアリン酸マグネシウム1.2gを加えて混合し、径8mmの杵を持った打錠機(菊水社製 RT−15型)で打錠を行って、錠剤(1錠あたり活性成分20mgを含有する)を得る。
処方 化合物1 20 mg
ラクトース 143.4mg
馬鈴薯でん粉 30 mg
ヒドロキシプロピルセルロース 6 mg
ステアリン酸マグネシウム 0.6mg
200 mg
【実施例2】
カプセル剤
常法により、次の組成からなるカプセル剤を調製する。
化合物2の200g、アビセル995gおよびステアリン酸マグネシウム5gを常法により混合する。この混合物をカプセル充填機(Zanasi社製、LZ−64型)により、ハードカプセル4号(1カプセルあたり 120mg容量)に充填し、カプセル剤(1カプセルあたり活性成分20mgを含有する)を得る。
処方 化合物2 20 mg
アビセル 99.5mg
ステアリン酸マグネシウム 0.5mg
120 mg
【実施例3】
注射剤
常法により、次の組成からなる注射剤を調製する。
化合物3の1gを精製ダイズ油100gに溶解させ、精製卵黄レシチン12gおよび注射用グリセリン25gを加える。この混合物を常法により注射用蒸留水で1000mLとして練合・乳化する。得られた分散液を0.2μmのディスポーザブル型メンブランフィルターを用いて無菌濾過後、ガラスバイアルに2mLずつ無菌的に充填して、注射剤(1バイアルあたり活性成分2mgを含有する)を得る。
処方 化合物3 2mg
精製ダイズ油 200mg
精製卵黄レシチン 24mg
注射用グリセリン 50mg
注射用蒸留水 1.72mL
2.00mL
【産業上の利用可能性】
本発明により、例えばキサンチン誘導体またはその薬理的に許容される塩を有効成分として含有する片頭痛の治療剤等が提供される。
【図1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)

[式中、R、RおよびRは同一または異なって水素原子、低級アルキル、低級アルケニルまたは低級アルキニルを表し、
はシクロアルキル、−(CH−R(式中、Rは置換もしくは非置換のアリールまたは置換もしくは非置換の複素環基を表し、nは0〜4の整数を表す)または式(II)

(式中、YおよびYは同一または異なって水素原子、ハロゲンまたは低級アルキルを表し、Zは置換もしくは非置換のアリールまたは置換もしくは非置換の複素環基を表す)を表し、
およびXは同一または異なって酸素原子または硫黄原子を表す]で表されるキサンチン誘導体またはその薬理的に許容される塩を有効成分として含有する片頭痛の治療剤。
【請求項2】
およびXが酸素原子である請求の範囲1記載の片頭痛の治療剤。
【請求項3】
が式(II)

(式中、Y、YおよびZはそれぞれ前記と同義である)である請求の範囲1または2記載の片頭痛の治療剤。
【請求項4】
およびYが水素原子である請求の範囲3記載の片頭痛の治療剤。
【請求項5】
Zが置換もしくは非置換のアリールまたは式(III)

(式中、Rは水素原子、ヒドロキシ、低級アルキル、低級アルコキシ、ハロゲン、ニトロまたはアミノを表し、mは1〜3の整数を表す)である請求の範囲3または4記載の片頭痛の治療剤。
【請求項6】
式(I)

(式中、R、R、R、R、XおよびXはそれぞれ前記と同義である)で表されるキサンチン誘導体またはその薬理的に許容される塩の有効量を投与することを特徴とする片頭痛の治療方法。
【請求項7】
片頭痛の治療剤の製造のための、式(I)

(式中、R、R、R、R、XおよびXはそれぞれ前記と同義である)で表されるキサンチン誘導体またはその薬理的に許容される塩の使用。

【国際公開番号】WO2005/072739
【国際公開日】平成17年8月11日(2005.8.11)
【発行日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−517578(P2005−517578)
【国際出願番号】PCT/JP2005/001634
【国際出願日】平成17年1月28日(2005.1.28)
【出願人】(000001029)協和醗酵工業株式会社 (276)
【Fターム(参考)】