説明

版胴、印刷装置及び印刷方法

【課題】 被印刷物に対する印刷不良を低減する。
【解決手段】 所定の方向へ回転する円筒状のベース体と、ベース体の外周面に設けられベース体と一体になって回転されると共に所定の印刷パターンを構成し導電性インクが充填される複数の凹部が形成されたパターン版とを備え、パターン版の外周面に、凹部からはみ出した導電性インクを掻き取るブレードが接触され、パターン版の外周面に、導電性インクが転写され転写された導電性インクを被印刷物に転写して印刷を行うブランケットロールが接触され、凹部に、ブレード及びブランケットロールの凹部への進入を規制する障壁が設けられた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は版胴、印刷装置及び印刷方法についての技術分野に関する。詳しくは、パターン版に形成され所定の印刷パターンを構成する凹部にブレード及びブランケットロールの進入を規制する障壁を設けて、被印刷用物に対する印刷不良を低減する技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display:LCD )、プラズマディスプレイパネル(Plasma Display Panel:PDP)、EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等のフラットパネルディスプレイに対して微細な配線パターンを形成する装置がある。
【0003】
このような装置には、半導体の製造工程であるフォトリソグラフィー技術やエッチング技術を応用したものがあるが、これらの装置は高度な露光部を備えたり真空技術を使用するため複雑な構成とされている。
【0004】
そこで、近年、印刷により微細な配線パターンを形成するプリンタブルエレクトロニクス技術を用いた印刷装置が開発されている。
【0005】
プリンタブルエレクトロニクス技術を用いた印刷装置には、例えば、グラビアオフセット印刷を行う装置がある。このような印刷装置においては、外周面に所定の凹パターンが形成された円筒状の版胴が回転され外周部がゴム等の材料によって形成されたブランケットロールを介して被印刷物に対して導電性インクが転写されて印刷が行われる(例えば、特許文献1参照)。プリンタブルエレクトロニクス技術を用いた印刷装置にあっては、例えば、数十μm〜数μmの幅の配線パターンを導電性インクにより被印刷物(ガラス基板)に印刷して形成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−258381号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、上記した印刷装置にあっては、版胴に供給された導電性インクのうち不要な導電性インクをブレードによって掻き取るが、版胴に形成された所定の凹パターンにブレードが進入してしまい凹パターンに充填された導電性インクをブレードによって掻き取ってしまうおそれがある。このようなブレードによる導電性インクの過度の掻き取りが行われると、被印刷物に対する導電性インクの転写不良が生じ、配線パターンの断線等の被印刷物に対する印刷不良が発生するという問題がある。
【0008】
また、上記した印刷装置にあっては、版胴aに対してブランケットロールbを接触させて導電性インクcをブランケットロールbに転写するが、ブランケットロールbの外周部が版胴aへの接触により弾性変形してしまいブランケットロールbが版胴aに形成された凹パターンdに進入してしまうおそれがある(図18(1)参照)。特に、外周部の弾性変形が大きいとブランケットロールbが凹パターンdの底部に接触してしまう可能性がある。このようなブランケットロールbの弾性変形による凹パターンdへの進入が行われると、ブランケットロールbにより凹パターンdに充填されていた導電性インクcが押しのけられてしまう(図18(2)参照)。そのため、被印刷物に対する導電性インクの転写不良が生じ、配線パターンの断線等の被印刷物に対する印刷不良が発生するという問題がある。
【0009】
そこで、本技術版胴、印刷装置及び印刷方法は、上記した問題点を克服し、被印刷物に対する印刷不良を低減することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
版胴は、上記した課題を解決するために、所定の方向へ回転する円筒状のベース体と、前記ベース体の外周面に設けられ前記ベース体と一体になって回転されると共に所定の印刷パターンを構成し導電性インクが充填される複数の凹部が形成されたパターン版とを備え、前記パターン版の外周面に、前記凹部からはみ出した前記導電性インクを掻き取るブレードが接触され、前記パターン版の外周面に、前記導電性インクが転写され転写された前記導電性インクを被印刷物に転写して印刷を行うブランケットロールが接触され、前記凹部に、前記ブレード及び前記ブランケットロールの前記凹部への進入を規制する障壁が設けられたものである。
【0011】
従って、版胴にあっては、ブレードによってパターン版の凹部からはみ出した導電性インクを掻き取るときにブレードが障壁に接触する。
【0012】
また、版胴にあっては、凹部に充填された導電性インクをブランケットロールに転写するときにブランケットロールが障壁に接触され、ブランケットロールの障壁に押し付けられる部分が凹部の深さ方向に弾性変形されない。
【0013】
上記した版胴においては、前記凹部は一部が溝形状にされた凹溝部として形成され、前記障壁が前記凹溝部の幅方向へ延びるようにされることが望ましい。
【0014】
障壁が凹溝部の幅方向へ延びるようにされることにより、障壁が凹溝部の延びる方向に対して直交する方向へ延びる状態とされる。
【0015】
上記した版胴においては、前記障壁が前記ベース体の回転軸に直交する方向へ延びるようにされることが望ましい。
【0016】
障壁がベース体の回転軸に直交する方向へ延びるようにされることにより、版胴の回転時に回転軸に直交する方向へ障壁が移動されていく。
【0017】
上記した版胴においては、前記障壁が前記凹溝部の延びる方向において複数設けられることが望ましい。
【0018】
障壁が凹溝部の延びる方向において複数設けられることにより、版胴の回転時にそれぞれブレード及びブランケットロールの異なる部分に障壁が接する。
【0019】
上記した版胴においては、前記障壁の両端縁がそれぞれ前記凹溝部の幅方向における反対側の開口縁に連続されることが望ましい。
【0020】
障壁の両端縁がそれぞれ凹溝部の幅方向における反対側の開口縁に連続されることにより、凹溝部がブレードの先端又はブランケットロールを通過されるときに、通過中に常にブレードの先端又はブランケットロールが障壁に接する。
【0021】
上記した版胴においては、前記障壁は、一方の端縁が前記凹溝部の幅方向における一方の開口縁に連続され他方の端縁が前記凹溝部の幅方向における他方の開口縁から離隔する第1の障壁と、一方の端縁が前記凹溝部の幅方向における前記他方の開口縁に連続され他方の端縁が前記凹溝部の幅方向における前記一方の開口縁から離隔する第2の障壁とを有することが望ましい。
【0022】
障壁が一方の端縁が一方の開口縁に連続され他方の端縁が他方の開口縁から離隔する第1の障壁と一方の端縁が他方の開口縁に連続され他方の端縁が一方の開口縁から離隔する第2の障壁を有することにより、第1の障壁及び第2の障壁が凹溝部を横断しない状態とされる。
【0023】
上記した版胴においては、前記第1の障壁と前記第2の障壁が前記凹溝部の延びる方向において離隔して交互に設けられることが望ましい。
【0024】
第1の障壁と第2の障壁が凹溝部の延びる方向において離隔して交互に設けられることにより、第1の障壁と第2の障壁がブレードの先端を通過されるときに、ブレードは先端の延びる方向における各部がそれぞれ第1の障壁と第2の障壁に同時に接触する。
【0025】
上記した版胴においては、前記第1の障壁と前記第2の障壁が前記凹溝部の幅方向において重なり合うような長さにされることが望ましい。
【0026】
第1の障壁と第2の障壁が凹溝部の幅方向において重なり合うような長さにされることにより、凹溝部がブレードの先端又はブランケットロールを通過されるときに、ブレード又はブランケットロールが第1の障壁と第2の障壁の少なくとも一方に必ず接触する。
【0027】
上記した版胴においては、前記障壁が前記パターン版の前記障壁以外の部分と同一の材料によって一体に形成されることが望ましい。
【0028】
障壁がパターン版の障壁以外の部分と同一の材料によって一体に形成されることにより、パターン版の製造時において障壁とパターン版の障壁以外の部分とが同時に形成される。
【0029】
印刷装置は、上記した課題を解決するために、所定の方向へ回転する円筒状のベース体と前記ベース体の外周面に設けられ前記ベース体と一体となって回転されると共に所定の印刷パターンを構成し導電性インクが充填される複数の凹部が形成されたパターン版とを有する版胴と、前記パターン版の外周面に接触され前記凹部からはみ出した前記導電性インクを掻き取るブレードと、前記パターン版の外周面に接触され前記導電性インクが転写され転写された前記導電性インクを被印刷物に転写して印刷を行うブランケットロールとを備え、前記凹部に、前記ブレード及び前記ブランケットロールの前記凹部への進入を規制する障壁が設けられたものである。
【0030】
従って、印刷装置にあっては、ブレードによってパターン版の凹部からはみ出した導電性インクを掻き取るときにブレードが障壁に接触する。
【0031】
また、印刷装置にあっては、凹部に充填された導電性インクをブランケットロールに転写するときにブランケットロールが障壁に接触され、ブランケットロールの障壁に押し付けられる部分が凹部の深さ方向に弾性変形されない。
【0032】
上記した印刷装置においては、前記凹部は一部が溝形状にされた凹溝部として形成され、前記障壁が前記凹溝部の幅方向へ延びるようにされることが望ましい。
【0033】
障壁が凹溝部の幅方向へ延びるようにされることにより、障壁が凹溝部の延びる方向に対して直交する方向へ延びる状態とされる。
【0034】
上記した印刷装置においては、前記障壁が前記ベース体の回転軸に直交する方向へ延びるようにされることが望ましい。
【0035】
障壁がベース体の回転軸に直交する方向へ延びるようにされることにより、版胴の回転時に回転軸に直交する方向へ障壁が移動されていく。
【0036】
上記した印刷装置においては、前記障壁が前記凹溝部の延びる方向において複数設けられることが望ましい。
【0037】
障壁が凹溝部の延びる方向において複数設けられることにより、版胴の回転時にそれぞれブレード及びブランケットロールの異なる部分に障壁が接する。
【0038】
上記した印刷装置においては、前記障壁の両端縁がそれぞれ前記凹溝部の幅方向における反対側の開口縁に連続されることが望ましい。
【0039】
障壁の両端縁がそれぞれ凹溝部の幅方向における反対側の開口縁に連続されることにより、凹溝部がブレードの先端又はブランケットロールを通過されるときに、通過中に常にブレードの先端又はブランケットロールが障壁に接する。
【0040】
上記した印刷装置においては、前記障壁は、一方の端縁が前記凹溝部の幅方向における一方の開口縁に連続され他方の端縁が前記凹溝部の幅方向における他方の開口縁から離隔する第1の障壁と、一方の端縁が前記凹溝部の幅方向における前記他方の開口縁に連続され他方の端縁が前記凹溝部の幅方向における前記一方の開口縁から離隔する第2の障壁とを有することが望ましい。
【0041】
障壁が一方の端縁が一方の開口縁に連続され他方の端縁が他方の開口縁から離隔する第1の障壁と一方の端縁が他方の開口縁に連続され他方の端縁が一方の開口縁から離隔する第2の障壁を有することにより、第1の障壁及び第2の障壁が凹溝部を横断しない状態とされる。
【0042】
上記した印刷装置においては、前記第1の障壁と前記第2の障壁が前記凹溝部の延びる方向において離隔して交互に設けられることが望ましい。
【0043】
第1の障壁と第2の障壁が凹溝部の延びる方向において離隔して交互に設けられることにより、第1の障壁と第2の障壁がブレードの先端を通過されるときに、ブレードは先端の延びる方向における各部がそれぞれ第1の障壁と第2の障壁に同時に接触する。
【0044】
上記した印刷装置においては、前記第1の障壁と前記第2の障壁が前記凹溝部の幅方向において重なり合うような長さにされることが望ましい。
【0045】
第1の障壁と第2の障壁が凹溝部の幅方向において重なり合うような長さにされることにより、凹溝部がブレードの先端又はブランケットロールを通過されるときに、ブレード又はブランケットロールが第1の障壁と第2の障壁の少なくとも一方に必ず接触する。
【0046】
上記した印刷装置においては、前記障壁が前記パターン版の前記障壁以外の部分と同一の材料によって一体に形成されることが望ましい。
【0047】
障壁がパターン版の障壁以外の部分と同一の材料によって一体に形成されることにより、パターン版の製造時において障壁とパターン版の障壁以外の部分とが同時に形成される。
【0048】
印刷方法は、上記した課題を解決するために、所定の方向へ回転する円筒状のベース体と前記ベース体の外周面に設けられ前記ベース体と一体となって回転されると共に所定の印刷パターンを構成する複数の凹部が形成され前記凹部に障壁が設けられたパターン版とを有する版胴の前記凹部に導電性インクを充填し、前記凹部からはみ出した前記導電性インクを前記パターン版の外周面及び前記障壁に接触されるブレードによって掻き取り、前記凹部に充填された前記導電性インクを前記パターン版の外周面及び前記障壁に接触されるブランケットロールに転写し、前記ブランケットロールに転写された前記導電性インクを被印刷物に転写して印刷したものである。
【0049】
従って、印刷方法にあっては、ブレードによってパターン版の凹部からはみ出した導電性インクを掻き取るときにブレードが障壁に接触する。
【0050】
また、印刷方法にあっては、凹部に充填された導電性インクをブランケットロールに転写するときにブランケットロールが障壁に接触され、ブランケットロールの障壁に押し付けられる部分が凹部の深さ方向に弾性変形されない。
【発明の効果】
【0051】
本技術版胴は、所定の方向へ回転する円筒状のベース体と、前記ベース体の外周面に設けられ前記ベース体と一体になって回転されると共に所定の印刷パターンを構成し導電性インクが充填される複数の凹部が形成されたパターン版とを備え、前記パターン版の外周面に、前記凹部からはみ出した前記導電性インクを掻き取るブレードが接触され、前記パターン版の外周面に、前記導電性インクが転写され転写された前記導電性インクを被印刷物に転写して印刷を行うブランケットロールが接触され、前記凹部に、前記ブレード及び前記ブランケットロールの前記凹部への進入を規制する障壁が設けられている。
【0052】
従って、ブレードによってパターン版の凹部からはみ出した導電性インクを掻き取るときにブレードが障壁に接触するので、障壁によりブレードの凹部への進入を規制することができ、被印刷物に対する印刷不良を低減することができる。
【0053】
また、凹部に充填された導電性インクをブランケットロールに転写するときにブランケットロールの障壁に押し付けられる部分が凹部の深さ方向に弾性変形されないので、障壁によりブランケットロールが凹部に進入することを規制することができ、被印刷物に対する印刷不良を低減することができる。
【0054】
請求項2に記載した技術にあっては、前記凹部は一部が溝形状にされた凹溝部として形成され、前記障壁が前記凹溝部の幅方向へ延びるようにされている。
【0055】
従って、障壁が凹溝部の延びる方向に対して直交する方向へ延びる状態とされているので、障壁によりブレード及びブランケットロールの凹溝部への進入を確実に規制することができる。
【0056】
請求項3に記載した技術にあっては、前記障壁が前記ベース体の回転軸に直交する方向へ延びるようにされている。
【0057】
従って、版胴の回転時に回転軸に直交する方向へ障壁が移動されていくので、障壁によりブレード及びブランケットロールの凹溝部への進入を確実に規制することができる。
【0058】
請求項4に記載した技術にあっては、前記障壁が前記凹溝部の延びる方向において複数設けられている。
【0059】
従って、版胴の回転時にブレードの異なる部分に障壁が接し、ブレードが凹溝部の深さ方向に傾斜されにくいので、障壁によりブレードの凹溝部への進入を確実に規制することができる。
【0060】
また、版胴の回転時にブランケットロールの異なる部分に障壁が接し、ブランケットロールの障壁間に位置する部分の変形量が低減されるので、障壁によりブランケットロールの凹溝部への過度の進入を規制することができる。
【0061】
請求項5に記載した技術にあっては、前記障壁の両端縁がそれぞれ前記凹溝部の幅方向における反対側の開口縁に連続されている。
【0062】
従って、凹溝部がブレードの先端又はブランケットロールを通過されるときに、通過中に常にブレードの先端又はブランケットロールが障壁に接するので、障壁によりブレード及びブランケットロールの凹溝部への進入をより確実に規制することができる。
【0063】
請求項6に記載した技術にあっては、前記障壁は、一方の端縁が前記凹溝部の幅方向における一方の開口縁に連続され他方の端縁が前記凹溝部の幅方向における他方の開口縁から離隔する第1の障壁と、一方の端縁が前記凹溝部の幅方向における前記他方の開口縁に連続され他方の端縁が前記凹溝部の幅方向における前記一方の開口縁から離隔する第2の障壁とを有している。
【0064】
従って、第1の障壁及び第2の障壁が凹溝部を横断しない状態とされているので、導電性インクとして流動性の低い材料を用いることが可能であり、導電性インクとして用いられる材料の選択肢を拡大することができる。
【0065】
請求項7に記載した技術にあっては、前記第1の障壁と前記第2の障壁が前記凹溝部の延びる方向において離隔して交互に設けられている。
【0066】
従って、第1の障壁と第2の障壁がブレードの先端を通過されるときに、ブレードは先端の延びる方向における各部がそれぞれ第1の障壁と第2の障壁に同時に接触するので、ブレードが凹溝部の深さ方向に傾斜されにくく、第1の障壁及び第2の障壁によりブレードの凹溝部への進入を確実に規制することができる。
【0067】
請求項8に記載した技術にあっては、前記第1の障壁と前記第2の障壁が前記凹溝部の幅方向において重なり合うような長さにされている。
【0068】
従って、凹溝部がブレードの先端又はブランケットロールを通過されるときに、ブレード又はブランケットロールが第1の障壁と第2の障壁の少なくとも一方に必ず接触するので、第1の障壁及び第2の障壁によりブレード及びブランケットロールが凹溝部に進入することをより確実に規制することができる。
【0069】
請求項9に記載した技術にあっては、前記障壁が前記パターン版の前記障壁以外の部分と同一の材料によって一体に形成されている。
【0070】
従って、版胴の製造時における工程数を削減することができ、版胴の製造コストの低減を図ることができる。
【0071】
本技術印刷装置は、所定の方向へ回転する円筒状のベース体と前記ベース体の外周面に設けられ前記ベース体と一体となって回転されると共に所定の印刷パターンを構成し導電性インクが充填される複数の凹部が形成されたパターン版とを有する版胴と、前記パターン版の外周面に接触され前記凹部からはみ出した前記導電性インクを掻き取るブレードと、前記パターン版の外周面に接触され前記導電性インクが転写され転写された前記導電性インクを被印刷物に転写して印刷を行うブランケットロールとを備え、前記凹部に、前記ブレード及び前記ブランケットロールの前記凹部への進入を規制する障壁が設けられている。
【0072】
従って、ブレードによってパターン版の凹部からはみ出した導電性インクを掻き取るときにブレードが障壁に接触するので、障壁によりブレードの凹部への進入を規制することができ、被印刷物に対する印刷不良を低減することができる。
【0073】
また、凹部に充填された導電性インクをブランケットロールに転写するときにブランケットロールの障壁に押し付けられる部分が凹部の深さ方向に弾性変形されないので、障壁によりブランケットロールが凹部に進入することを規制することができ、被印刷物に対する印刷不良を低減することができる。
【0074】
請求項11に記載した技術にあっては、前記凹部は一部が溝形状にされた凹溝部として形成され、前記障壁が前記凹溝部の幅方向へ延びるようにされている。
【0075】
従って、障壁が凹溝部の延びる方向に対して直交する方向へ延びる状態とされているので、障壁によりブレード及びブランケットロールの凹溝部への進入を確実に規制することができる。
【0076】
請求項12に記載した技術にあっては、前記障壁が前記ベース体の回転軸に直交する方向へ延びるようにされている。
【0077】
従って、版胴の回転時に回転軸に直交する方向へ障壁が移動されていくので、障壁によりブレード及びブランケットロールの凹溝部への進入を確実に規制することができる。
【0078】
請求項13に記載した技術にあっては、前記障壁が前記凹溝部の延びる方向において複数設けられている。
【0079】
従って、版胴の回転時にブレードの異なる部分に障壁が接し、ブレードが凹溝部の深さ方向に傾斜されにくいので、障壁によりブレードの凹溝部への進入を確実に規制することができる。
【0080】
また、版胴の回転時にブランケットロールの異なる部分に障壁が接し、ブランケットロールの障壁間に位置する部分の変形量が低減されるので、障壁によりブランケットロールの凹溝部への過度の進入を規制することができる。
【0081】
請求項14に記載した技術にあっては、前記障壁の両端縁がそれぞれ前記凹溝部の幅方向における反対側の開口縁に連続されている。
【0082】
従って、凹溝部がブレードの先端又はブランケットロールを通過されるときに、通過中に常にブレードの先端又はブランケットロールが障壁に接するので、障壁によりブレード及びブランケットロールの凹溝部への進入をより確実に規制することができる。
【0083】
請求項15に記載した技術にあっては、前記障壁は、一方の端縁が前記凹溝部の幅方向における一方の開口縁に連続され他方の端縁が前記凹溝部の幅方向における他方の開口縁から離隔する第1の障壁と、一方の端縁が前記凹溝部の幅方向における前記他方の開口縁に連続され他方の端縁が前記凹溝部の幅方向における前記一方の開口縁から離隔する第2の障壁とを有している。
【0084】
従って、第1の障壁及び第2の障壁が凹溝部を横断しない状態とされているので、導電性インクとして流動性の低い材料を用いることが可能であり、導電性インクとして用いられる材料の選択肢を拡大することができる。
【0085】
請求項16に記載した技術にあっては、前記第1の障壁と前記第2の障壁が前記凹溝部の延びる方向において離隔して交互に設けられている。
【0086】
従って、第1の障壁と第2の障壁がブレードの先端を通過されるときに、ブレードは先端の延びる方向における各部がそれぞれ第1の障壁と第2の障壁に同時に接触するので、ブレードが凹溝部の深さ方向に傾斜されにくく、第1の障壁及び第2の障壁によりブレードの凹溝部への進入を確実に規制することができる。
【0087】
請求項17に記載した技術にあっては、前記第1の障壁と前記第2の障壁が前記凹溝部の幅方向において重なり合うような長さにされている。
【0088】
従って、凹溝部がブレードの先端又はブランケットロールを通過されるときに、ブレード又はブランケットロールが第1の障壁と第2の障壁の少なくとも一方に必ず接触するので、第1の障壁及び第2の障壁によりブレード及びブランケットロールが凹溝部に進入することをより確実に規制することができる。
【0089】
請求項18に記載した技術にあっては、前記障壁が前記パターン版の前記障壁以外の部分と同一の材料によって一体に形成されている。
【0090】
従って、版胴の製造時における工程数を削減することができ、版胴の製造コストの低減を図ることができる。
【0091】
本技術印刷方法は、所定の方向へ回転する円筒状のベース体と前記ベース体の外周面に設けられ前記ベース体と一体となって回転されると共に所定の印刷パターンを構成する複数の凹部が形成され前記凹部に障壁が設けられたパターン版とを有する版胴の前記凹部に導電性インクを充填し、前記凹部からはみ出した前記導電性インクを前記パターン版の外周面及び前記障壁に接触されるブレードによって掻き取り、前記凹部に充填された前記導電性インクを前記パターン版の外周面及び前記障壁に接触されるブランケットロールに転写し、前記ブランケットロールに転写された前記導電性インクを被印刷物に転写して印刷している。
【0092】
従って、ブレードによってパターン版の凹部からはみ出した導電性インクを掻き取るときにブレードが障壁に接触するので、障壁によりブレードの凹部への進入を規制することができ、被印刷物に対する印刷不良を低減することができる。
【0093】
また、凹部に充填された導電性インクをブランケットロールに転写するときにブランケットロールの障壁に押し付けられる部分が凹部の深さ方向に弾性変形されないので、障壁によりブランケットロールが凹部に進入することを規制することができ、被印刷物に対する印刷不良を低減することができる。
【発明を実施するための形態】
【0094】
以下に、本技術版胴、印刷装置及び印刷方法の実施の形態を添付図面を参照して説明する。
【0095】
以下に示した最良の形態は、本技術印刷装置をグラビアオフセット印刷を行う印刷装置に適用し、本技術版胴をグラビアオフセット印刷を行う印刷装置に設けられる版胴に適用し、本技術印刷方法をグラビアオフセット印刷を行う印刷装置による印刷方法に適用したものである。
【0096】
なお、本技術印刷装置、版胴及び印刷方法の適用範囲はそれぞれグラビアオフセット印刷を行う印刷装置、この印刷装置に設けられる版胴及びこの印刷装置による印刷方法に限られることはない。本技術印刷装置、版胴及び印刷方法は、凹部が形成された版胴に対してブレードにより不要なインクを掻き取りブランケットロールを介して印刷を行う各種の印刷装置、これらの各種の印刷装置に設けられる版胴及びこれらの各種の印刷装置による印刷方法に広く適用することができる。
【0097】
以下の説明にあっては、例として、ガラス基板等の被印刷物が上下方向を向く向きで配置された状態で方向を示すが、本技術の実施に関しては、これらの方向に限定されることはない。
【0098】
[印刷装置の構成]
印刷装置1は、図1に示すように、円筒状の版胴2と版胴2の外周面に接触されるブレード3と版胴2の外周面に接触されるブランケットロール4とを備えている。
【0099】
版胴2は円筒状のベース体5とベース体5の外周面に設けられたパターン版6とを有している。
【0100】
ベース体5は、例えば、石英ガラス等のガラス材料によって形成され、図示しない支持機構に支持されて所定の方向に回転される。
【0101】
パターン版6は、例えば、一定の強度を有する感光性樹脂であるレジストによって形成されている。パターン版6には複数の凹部7、7、・・・が形成されている。パターン版6の凹部7、7、・・・よりベース体5側に位置する部分は基底部6aとして設けられ、パターン版6の凹部7、7、・・・の間の部分はそれぞれ基底部6aから外方へ突出された突部6b、6b、・・・として設けられている。パターン版6はベース体5と一体になって回転される。
【0102】
凹部7、7、・・・によって所定の印刷パターン8が構成されている(図2参照)。凹部7は、例えば、円環状の接続部7a、7aと所定の方向へ延びる溝状の凹溝部7bとから成る。接続部7a、7aは、例えば、凹溝部7bの両端に連続して形成されている。凹溝部7b、7b、・・・には、版胴2の回転軸と平行な方向へ延びるように形成されたもの、版胴2の回転軸と直交する方向へ延びるように形成されたもの及び版胴2の回転軸に対して斜めの方向へ延びるように形成されたものがある。
【0103】
凹部7、7、・・・は、例えば、ベース体5の外周面に塗布されたレジストを青色レーザー等によって露光し現像することにより形成されている。このとき、塗布されるレジストとしてネガ型レジストを用いた場合には、露光された部分が突部6b、6b、・・・として形成され、露光されなかった部分が凹部7、7、・・・として形成される。一方、塗布されるレジストとしてポジ型レジストを用いた場合には、露光された部分が凹部7、7、・・・として形成され、露光されなかった部分が突部6b、6b、・・・として形成される。凹溝部7bは、溝の幅が、例えば、20μmとされ、溝の深さが、例えば、4.2μmとされている。
【0104】
凹部7、7、・・・には流動性を有する導電性インク100が充填される(図1参照)。導電性インク100は図示しないインク供給装置から版胴2に供給されて凹部7、7、・・・に充填される。このとき、凹部7、7、・・・に対する導電性インク100の供給量や供給位置のずれ等によって導電性インク100が凹部7、7、・・・からはみ出すことがあるが、このはみ出した導電性インク100はブレード3によって掻き取られる。
【0105】
接続部7a、7a、・・・に充填された導電性インク100は被印刷物に対する印刷後において電子部品等が接続される部分となる。凹溝部7b、7b、・・・に充填された導電性インク100は被印刷物に対する印刷後において電子部品間を接続する部分となる。導電性インク100としては、例えば、銀ナノインク等が用いられる。
【0106】
凹部7、7、・・・には障壁9、9、・・・が設けられている(図3参照)。障壁9、9、・・・はブレード3及びブランケットロール4が凹部7、7、・・・へ進入することを規制する機能を有する。
【0107】
障壁9、9、・・・は、例えば、パターン版6の障壁9、9、・・・以外の部分と同一の材料であるレジストによって一体に形成されている。障壁9、9、・・・は厚さが、例えば、1μmとされている。障壁9、9、・・・は高さが、例えば、凹部7、7、・・・の深さと同一にされている。障壁9、9、・・・は、例えば、版胴2の回転軸と平行な方向へ延びる凹溝部7bに設けられている。障壁9、9、・・・は幅が凹溝部7bの幅と同一にされ、両端縁がそれぞれ凹溝部7bの幅方向における反対側の開口縁に連続されている。即ち、障壁9、9、・・・は凹溝部7bの幅方向において凹溝部7bを横断するように設けられ、凹溝部7bが延びる方向に対して直交するように設けられている。障壁9、9、・・・は、例えば、凹溝部7bが延びる方向において離隔して設けられている。
【0108】
なお、上記には、凹部7、7、・・・に設けられた障壁9、9、・・・がパターン版6の障壁9、9、・・・以外の部分と同一の材料よって一体に形成された例を示したが、障壁9、9、・・・はパターン版6の障壁9、9、・・・以外の部分と一体に形成されることに限られることはない。障壁9、9、・・・はパターン版6の障壁9、9、・・・以外の部分と別体で形成されていてもよい。また、障壁9、9、・・・はパターン版6の障壁9、9、・・・以外の部分と異なる材料によって形成されていてもよい。
【0109】
ブレード3は先端が鋭利な刃の形状に形成され、先端がパターン版6の外周面に接した状態で配置されている(図4参照)。ブレード3は版胴2の外周面の接線方向に対して所定の角度θ、例えば、約65°の角度傾斜した状態で接触されている(図5参照)。ブレード3は先端の延びる方向が、版胴2の回転軸に平行な方向へ延びる凹溝部7bに設けられた障壁9、9、・・・の延びる方向と直交するように配置されている。ブレード3は図示しないエアシリンダーやバネ等を有する保持装置に保持されてパターン版6の外周面に接した状態とされている。ブレード3によって版胴2に供給された導電性インク100のうちパターン版6の凹部7、7、・・・からはみ出した導電性インク100が掻き取られる。
【0110】
ブランケットロール4は円筒状に形成され、外周部にゴム等の弾性を有する材料によって形成された転写部4aを有している(図1参照)。ブランケットロール4はパターン版6の外周面に接触され、版胴2の回転に伴って版胴2と反対方向へ回転される。版胴2とブランケットロール4が回転されると、版胴2の凹部7、7、・・・に充填された導電性インク100が転写部4aに転写される。転写部4aに転写された導電性インク100は被印刷物200に転写されて印刷される。
【0111】
被印刷物200は、例えば、液晶ディスプレイ等に用いられる透明なガラス板である。なお、被印刷物200としては、例えば、樹脂や金属によって形成された平板状の部材を用いることも可能である。被印刷物200に、ブランケットロール4に転写された導電性インク100が転写されて印刷されることにより配線パターン20が形成される。
【0112】
[印刷方法]
以下に、上記した印刷装置1による印刷方法について説明する(図1、図6乃至図8参照)。
【0113】
先ず、所定の方向に回転されている版胴2のパターン版6にインク供給装置から導電性インク100が供給され、パターン版6に形成された凹部7、7、・・・に導電性インク100が充填される(図1参照)。このとき、上記したように、凹部7、7、・・・から導電性インク100がはみ出すことがある。
【0114】
上記した版胴2の回転時には、パターン版6の凹部7、7、・・・からはみ出した導電性インク100がパターン版6の外周面に接しているブレード3によって掻き取られる。
【0115】
このとき、ブレード3の先端が、凹溝部7b、7b、・・・に設けられ版胴2の回転に伴って移動される障壁9、9、・・・と摺接される(図6参照)。障壁9、9、・・・が凹溝部7b、7b、・・・の幅方向へ延びるようにされているため、障壁9、9、・・・によりブレード3の凹溝部7b、7b、・・・への進入を確実に規制することができる。
【0116】
また、障壁9、9、・・・はブレード3の先端が延びる方向と直交する方向に延びるように設けられているため、版胴2の回転時には、ブレード3が延びる方向に対して直交する方向へ障壁9、9、・・・が移動されていく。従って、障壁9、9、・・・によりブレード3の凹溝部7b、7b、・・・への進入を確実に規制することができる。
【0117】
また、障壁9、9の間隔は凹溝部7bの幅方向における位置に拘わらず一定であり、ブレード3とブレード3の延びる方向に対して直交する方向へ移動される障壁9、9、・・・との位置関係が変わらないので、障壁9、9、・・・によりブレード3の凹溝部7b、7b、・・・への進入を確実に規制することができる。
【0118】
さらに、障壁9、9、・・・が凹溝部7bの延びる方向において離隔して設けられているため、ブレード3は先端の延びる方向における各部が障壁9、9、・・・と同時に摺接する。従って、ブレード3が凹溝部7bの深さ方向に傾斜されにくいので、障壁9、9、・・・によりブレード3の凹溝部7b、7b、・・・への進入を確実に規制することができる。
【0119】
さらにまた、障壁9、9、・・・が版胴2の回転軸に平行な方向へ延びる凹溝部7bを幅方向において横断するように設けられているため、凹溝部7b、7b、・・・がブレード3の先端を通過されるときに、通過中に常にブレード3の先端が障壁9、9、・・・に接する。従って、障壁9、9、・・・によりブレード3の凹溝部7b、7b、・・・への進入をより確実に規制することができる。
【0120】
加えて、障壁9、9、・・・は高さが凹溝部7b、7b、・・・の深さと同一にされている。従って、ブレード3の先端がパターン版6の突部6b、6b、・・・から障壁9、9、・・・に亘り滑らかに接触するので、障壁9、9、・・・によりブレード3が凹溝部7b、7b、・・・に進入することを確実に規制することができる。
【0121】
また、障壁9、9、・・・は高さが凹溝部7b、7b、・・・の深さと同一にされているため、版胴2の回転時にブレード3が障壁9、9、・・・に喰い込むことがなく版胴2の回転やブレード3に対して不必要な負荷が付与されることがない。従って、版胴2の回転動作及びブレード3による導電性インク100の掻き取り動作の円滑化を図ることができる。
【0122】
続いて、ブレード3を通過した凹部7、7、・・・に充填されている導電性インク100が版胴2の回転に伴って回転されているブランケットロール4の転写部4aに転写される(図1参照)。
【0123】
このとき、版胴2の回転に伴って回転されている転写部4aが版胴2の回転に伴って移動される障壁9、9、・・・に押し付けられる。障壁9、9、・・・が凹溝部7b、7b、・・・の幅方向へ延びるようにされているため、障壁9、9、・・・によりブランケットロール4の転写部4aの凹溝部7b、7b、・・・への進入を確実に規制することができる。
【0124】
また、障壁9、9、・・・は版胴2の回転軸に直交する方向へ延びるようにされているため、版胴2の回転時に版胴2の回転軸と直交する方向へ障壁9、9、・・・が移動されていく。従って、障壁9、9、・・・により転写部4aの凹溝部7b、7b、・・・への進入を確実に規制することができる。
【0125】
さらに、障壁9、9、・・・は凹溝部7bが延びる方向において離隔して設けられているため、弾性を有する材料によって形成された転写部4aの障壁9、9、・・・間に位置する部分の変形量が低減される。従って、障壁9、9、・・・により転写部4aが凹溝部7b、7b、・・・に過度に進入することを規制することができる。
【0126】
さらにまた、障壁9、9、・・・が版胴2の回転軸に平行な方向へ延びる凹溝部7bを幅方向において横断するように設けられているため、凹溝部7b、7b、・・・がブランケットロール4の転写部4aを通過されるときに、通過中に常に転写部4aが障壁9、9、・・・に接する。従って、障壁9、9、・・・により転写部4aの凹溝部7b、7b、・・・への進入をより確実に規制することができる。
【0127】
次に、ブランケットロール4の転写部4aに転写された導電性インク100が被印刷物200に転写されて印刷される(図1参照)。
【0128】
導電性インク100が被印刷物200に転写されると、図7に示すように、被印刷物200に転写された導電性インク100により印刷パターン8と略同一の形状である中間パターン21が形成される。中間パターン21は障壁9、9、・・・により生じた欠損部21a、21a、・・・を有している。即ち、中間パターン21は印刷パターン8の一部が断線された状態の形状とされている。
【0129】
導電性インク100により中間パターン21が形成されると、流動性を有する導電性インク100が被印刷物200上において僅かに流動される(図8参照)。従って、中間パターン21における欠損部21a、21a、・・・が導電性インク100の流動性により塞がって中間パターン21が直線状に繋がり、導通可能な状態の配線パターン20が形成される。
【0130】
[版胴の変形例]
以下に、版胴2の各変形例について説明する(図9至図17参照)。
【0131】
なお、以下に示す各変形例に係る版胴は、上記した版胴2と比較して、障壁の凹溝部に対する位置や向きが異なることのみが相違するので、版胴2と比較して異なる部分についてのみ詳細に説明をし、その他の部分については版胴2における同様の部分に付した符号を付して説明は省略する。
【0132】
<第1の変形例>
第1の変形例に係る版胴2Aには障壁9A、9A、・・・が設けられている(図9参照)。障壁9A、9A、・・・は両端縁がそれぞれ凹溝部7bの幅方向における反対側の開口縁に連続され凹溝部7bの延びる方向に対して斜め方向へ延びる状態で設けられている。即ち、障壁9A、9A、・・・は凹溝部7bの幅方向において凹溝部7bを斜めに横断するように設けられている。障壁9A、9A、・・・は厚さが、例えば、1μmとされ、高さが、例えば、凹溝部7bの深さと同一にされている。また、障壁9A、9A、・・・は凹溝部7bの延びる方向に離隔してそれぞれ同一方向に延びる状態で設けられている。
【0133】
障壁9A、9A、・・・はブレード3の延びる方向に対して斜め方向へ延びるように設けられているため、版胴2の回転時には、ブレード3の延びる方向に対して斜めの方向へ障壁9A、9A、・・・が移動されていく。従って、ブレード3に対する障壁9A、9A、・・・の接触面積が大きく、障壁9A、9A、・・・によりブレード3の凹溝部7b、7b、・・・への進入を確実に規制することができる。また、ブランケットロール4に対する障壁9A、9A、・・・の接触面積が大きく、障壁9A、9A、・・・によりブランケットロール4の凹溝部7b、7b、・・・への進入を確実に規制することができる。
【0134】
上記には、第1の変形例として、斜め方向において同一の方向に延びる障壁9A、9A、・・・が設けられた版胴2Aを示したが、障壁の延びる方向は任意であり、第1の変形例の別の例として、以下のような版胴2B、2Cを構成することも可能である。
【0135】
版胴2Bには障壁9B、9B、・・・が設けられている(図10参照)。障壁9B、9B、・・・は凹溝部7bの延びる方向に対して斜め方向における少なくとも異なる2方向へ延びる状態で設けられている。例えば、障壁9B、9B、・・・は凹溝部7bの延びる方向に離隔して交互に異なる2方向へ延びるように設けられている。
【0136】
なお、上記には、障壁9B、9B、・・・が異なる方向へ延びるように規則的に設けられている例を示したが、障壁9B、9B、・・・は凹溝部7bの延びる方向において規則的に設けられていなくてもよく、異なる複数の方向へ延びるように不規則に設けられていてもよい。
【0137】
版胴2Cには障壁9C、9C、・・・と障壁9、9、・・・が設けられている(図11参照)。障壁9C、9C、・・・は、例えば、凹溝部7bの延びる方向に対して斜め方向における異なる2方向へ延びる状態で設けられている。例えば、障壁9C、9C、・・・と障壁9、9、・・・は凹溝部7bの延びる方向に離隔して交互に設けられている。
【0138】
なお、上記には、障壁9C、9C、・・・が異なる2方向へ延びる状態で設けられている例を示したが、障壁9C、9C、・・・は異なる2方向へ延びる状態で設けられていなくてもよい。即ち、障壁9C、9C、・・・は凹溝部7bの延びる方向に対して斜め方向における同一の方向へ延びる状態で設けられていてもよく、凹溝部7bの延びる方向に対して斜め方向における任意の異なる方向へ延びる状態で設けられていてもよい。また、障壁9C、9C、・・・と障壁9、9、・・・は凹溝部7bの延びる方向において任意の順序で設けられていてもよい。
【0139】
上記のように、版胴2B、2Cにあっても版胴2Aと同様に、凹溝部7bの延びる方向に対して斜め方向へ延びる障壁9B、9B、・・・、障壁9C、9C、・・・が設けられている。従って、ブレード3に対する障壁9B、9B、・・・、障壁9C、9C、・・・の接触面積が大きく、障壁9B、9B、・・・、障壁9C、9C、・・・によりブレード3の凹溝部7b、7b、・・・への進入を確実に規制することができる。
【0140】
<第2の変形例>
第2の変形例に係る版胴2Dには第1の障壁10、10、・・・と第2の障壁11、11、・・・が設けられている(図12参照)。第1の障壁10、10、・・・は一方の端縁が凹溝部7bの幅方向における一方の開口縁に連続され、他方の端縁が凹溝部7bの幅方向における他方の開口縁から離隔されている。第2の障壁11、11、・・・は一方の端縁が凹溝部7bの幅方向における他方の開口縁に連続され、他方の端縁が凹溝部7bの幅方向における一方の開口縁から離隔されている。
【0141】
第1の障壁10、10、・・・と第2の障壁11、11、・・・は凹溝部7bの幅方向において重なり合うような長さにされている。即ち、第1の障壁10の凹溝部7bの幅方向における長さと第2の障壁11の凹溝部7bの幅方向における長さとを加算した長さは凹溝部7bの幅より長くされている。また、第1の障壁10、10、・・・及び第2の障壁11、11、・・・は凹溝部7bの延びる方向において離隔して交互に設けられている。
【0142】
上記したように、版胴2Dにあっては、第1の障壁10、10、・・・及び第2の障壁11、11、・・・が凹溝部7bを横断していないため、図13に示すように、中間パターン21Dが第1の障壁10、10、・・・及び第2の障壁11、11、・・・により生じた欠損部21b、21b、・・・によって断線されない。従って、中間パターン21Dが形成された状態において導通性が確保されており、導電性インク100として流動性の低い材料を用いることが可能であり、導電性インク100として用いられる材料の選択肢を拡大することができる。また、流動性の低い導電性インク100を用いることにより、印刷パターン8の凹溝部7b、7b、・・・間の幅を小さくすることができ、パターン版6及び被印刷物200を小型化することができる。
【0143】
また、第1の障壁10、10、・・・及び第2の障壁11、11、・・・は凹溝部7bの延びる方向において離隔して交互に設けられているため、凹溝部7b、7b、・・・がブレード3の先端を通過されるときに、ブレード3は先端の延びる方向における各部が第1の障壁10、10、・・・と第2の障壁11、11、・・・の少なくとも一方に同時に接触する(図12参照)。即ち、凹溝部7b、7b、・・・がブレード3の先端を通過されるときにはブレード3が第1の障壁10、10、・・・及び第2の障壁11、11、・・・の何れかに必ず接触している。従って、ブレード3が凹溝部7bの深さ方向に傾斜されにくいので、第1の障壁10、10、・・・及び第2の障壁11、11、・・・によりブレード3の凹溝部7b、7b、・・・への進入を確実に規制することができる。
【0144】
さらに、第1の障壁10、10、・・・と第2の障壁11、11、・・・は凹溝部7bの幅方向において重なり合うような長さにされているため、凹溝部7b、7b、・・・がブレード3の先端又はブランケットロール4を通過されるときに、ブレード3又はブランケットロール4が第1の障壁10、10、・・・と第2の障壁11、11、・・・の少なくとも一方に必ず接触する。従って、第1の障壁10、10、・・・及び第2の障壁11、11、・・・によりブレード3及びブランケットロール4が凹溝部7b、7b、・・・に進入することをより確実に規制することができる。
【0145】
上記には、第2の変形例として、第1の障壁10、10、・・・及び第2の障壁11、11、・・・が凹溝部7bの幅方向において重なり合うような長さにされ凹溝部7bの延びる方向において離隔して交互に設けられた版胴2Dを示した。しかし、障壁は凹溝部7bの幅方向において凹溝部7bを横断していない状態で設けられていればよく、第2の変形例の別の例として、以下のような版胴2E、2F、2Gを構成することも可能である。
【0146】
版胴2Eには第1の障壁10E、10E、・・・及び第2の障壁11E、11E、・・・が設けられている(図14参照)。第1の障壁10E、10E、・・・は凹溝部7bの幅方向においてパターン版6の突部6bから版胴2の回転方向と逆方向に延び、先端が、例えば、凹溝部7bの幅方向における中央に位置されている。第2の障壁11E、11E、・・・はパターン版6の突部6bから版胴2の回転方向に延び、先端が、例えば、凹溝部7bの幅方向における中央に位置されている。
【0147】
なお、上記には、第1の障壁10E、10E、・・・の先端や第2の障壁11E、11E、・・・の先端が凹溝部7bの幅方向における中央に位置されている例を示したが、第1の障壁及び第2の障壁によりブレード3が凹溝部7b、7b、・・・に進入することを規制することができる範囲であれば、第1の障壁10E、10E、・・・及び第2の障壁11E、11E、・・・の幅は凹溝部7bの幅の半分以下であってもよい。
【0148】
上記したように、版胴2Eにあっては、第1の障壁10E、10E、・・・と第2の障壁11E、11E、・・・の幅が凹溝部7bの半分以下にされているため、中間パターン21Eが形成された状態において欠損部21c、21c、・・・が小さく(図15参照)、その分、抵抗の小さい状態で良好な導通性が確保されている。従って、導電性インク100として用いられる材料の流動性の高さに拘らず配線パターンの良好な導通性を確保することができる。
【0149】
版胴2Fには第1の障壁10F、10F、・・・及び第2の障壁11F、11F、・・・が設けられている(図16参照)。第1の障壁10F、10F、・・・は凹溝部7bの延びる方向に離隔して並んで設けられ、第2の障壁11F、11F、・・・は凹溝部7bの延びる方向に離隔して並んで設けられている。また、第1の障壁10F、10F、・・・は、例えば、凹溝部7bの延びる方向において一方の側に配置され、第2の障壁11F、11F、・・・は凹溝部7bの延びる方向において他方の側に配置されている。
【0150】
なお、第1の障壁10F、10F、・・・と第2の障壁11F、11F、・・・が凹溝部7bの延びる方向において両側に分かれて配置されている例を示したが、第1の障壁10F、10F、・・・及び第2の障壁11F、11F、・・・は凹溝部7bの延びる方向に離隔して並んで設けられていればよく、第1の障壁10F、10F、・・・と第2の障壁11F、11F、・・・は凹溝部7bの延びる方向において任意の位置に配置されていてもよい。
【0151】
版胴2Gには障壁9G、9G、・・・が設けられている(図17参照)。障壁9G、9G、・・・は一方の端縁が凹溝部7bの幅方向における版胴2の回転方向側の開口縁に連続され他方の端縁が凹溝部7bの幅方向における版胴2の回転方向と逆側の開口縁から離隔されている。例えば、障壁9G、9G、・・・の他方の端縁(先端)は凹溝部7bの幅方向における中央に位置されている。
【0152】
なお、上記には、障壁9G、9G、・・・の幅が凹溝部7bの半分の幅にされている例を示したが、障壁9G、9G、・・・は凹溝部7bの一方の開口縁に連続されていれば幅を任意に設定することが可能である。また、一方の端縁が凹溝部7bの反対の端縁に連続されていてもよい。
【0153】
上記のように、版胴2E、2F、2Gにあっても版胴2Dと同様に、第1の障壁10E、10E、・・・、第2の障壁11E、11E、・・・、第1の障壁10F、10F、・・・、第2の障壁11F、11F、・・・、障壁9G、9G、・・・が凹溝部7bを横断していない状態で設けられている。従って、中間パターンが形成された状態において良好な導通性が確保され、流動性の低い導電性インク100を用いることが可能であり、導電性インク100として用いられる材料の選択肢を拡大することができる。
【0154】
[まとめ]
以上に記載した通り、版胴2、2A、2B、2C、2D、2E、2F、2Gにあっては、パターン版6に形成された凹部7、7、・・・に障壁9、9、・・・、障壁9A、9A、・・・、障壁9B、9B、・・・、障壁9C、9C、・・・、第1の障壁10、10、・・・、第2の障壁11、11、・・・、第1の障壁10E、10E、・・・、第2の障壁11E、11E、・・・、第1の障壁10F、10F、・・・、第2の障壁11F、11F、・・・、障壁9G、9G、・・・が設けられている。
【0155】
従って、ブレード3によってパターン版6の凹部7、7、・・・からはみ出した導電性インク100を掻き取るときにブレード3が各障壁9、9、・・・等に接触するので、各障壁9、9、・・・等によりブレード3の凹部7、7、・・・への進入を規制することができ、被印刷物200に対する印刷不良を低減することができる。
【0156】
さらに、凹部7、7、・・・に充填された導電性インク100をブランケットロール4の転写部4aに転写するときに転写部4aが各障壁9、9、・・・等に接触され、転写部4aの各障壁9、9、・・・等に押し付けられる部分が凹部7の深さ方向に弾性変形されない。従って、各障壁9、9、・・・等により転写部4aが凹部7、7、・・・に進入することを規制することができ、被印刷物200に対する印刷不良を低減することができる。
【0157】
また、上記した版胴2等にあっては、各障壁9、9、・・・等がパターン版6の各障壁9、9、・・・等以外の部分と同一の材料によって一体に形成されている。
【0158】
従って、版胴2等の製造時における工程数を削減することができ、版胴2等の製造コストの低減を図ることができる。
【0159】
[本技術]
なお、本技術は以下のような構成とすることができる。
【0160】
(1)所定の方向へ回転する円筒状のベース体と、前記ベース体の外周面に設けられ前記ベース体と一体になって回転されると共に所定の印刷パターンを構成し導電性インクが充填される複数の凹部が形成されたパターン版とを備え、前記パターン版の外周面に、前記凹部からはみ出した前記導電性インクを掻き取るブレードが接触され、前記パターン版の外周面に、前記導電性インクが転写され転写された前記導電性インクを被印刷物に転写して印刷を行うブランケットロールが接触され、前記凹部に、前記ブレード及び前記ブランケットロールの前記凹部への進入を規制する障壁が設けられた版胴。
【0161】
(2)前記凹部は一部が溝形状にされた凹溝部として形成され、前記障壁が前記凹溝部の幅方向へ延びるようにされた前記(1)に記載の版胴。
【0162】
(3)前記障壁が前記ベース体の回転軸に直交する方向へ延びるようにされた前記(1)又は前記(2)に記載の版胴。
【0163】
(4)前記障壁が前記凹溝部の延びる方向において複数設けられた前記(2)又は前記(3)に記載の版胴。
【0164】
(5)前記障壁の両端縁がそれぞれ前記凹溝部の幅方向における反対側の開口縁に連続された前記(2)から前記(4)の何れかにに記載の版胴。
【0165】
(6)前記障壁は、一方の端縁が前記凹溝部の幅方向における一方の開口縁に連続され他方の端縁が前記凹溝部の幅方向における他方の開口縁から離隔する第1の障壁と、一方の端縁が前記凹溝部の幅方向における前記他方の開口縁に連続され他方の端縁が前記凹溝部の幅方向における前記一方の開口縁から離隔する第2の障壁とを有する前記(4)に記載の版胴。
【0166】
(7)前記第1の障壁と前記第2の障壁が前記凹溝部の延びる方向において離隔して交互に設けられた前記(6)に記載の版胴。
【0167】
(8)前記第1の障壁と前記第2の障壁が前記凹溝部の幅方向において重なり合うような長さにされた前記(7)に記載の版胴。
【0168】
(9)前記障壁が前記パターン版の前記障壁以外の部分と同一の材料によって一体に形成された前記(1)から前記(8)の何れかに記載の版胴。
【0169】
(10)所定の方向へ回転する円筒状のベース体と前記ベース体の外周面に設けられ前記ベース体と一体となって回転されると共に所定の印刷パターンを構成し導電性インクが充填される複数の凹部が形成されたパターン版とを有する版胴と、前記パターン版の外周面に接触され前記凹部からはみ出した前記導電性インクを掻き取るブレードと、前記パターン版の外周面に接触され前記導電性インクが転写され転写された前記導電性インクを被印刷物に転写して印刷を行うブランケットロールとを備え、前記凹部に、前記ブレード及び前記ブランケットロールの前記凹部への進入を規制する障壁が設けられた印刷装置。
【0170】
(11)前記凹部は一部が溝形状にされた凹溝部として形成され、前記障壁が前記凹溝部の幅方向へ延びるようにされた前記(10)に記載の印刷装置。
【0171】
(12)前記障壁が前記ベース体の回転軸に直交する方向へ延びるようにされた前記(10)又は前記(11)に記載の印刷装置。
【0172】
(13)前記障壁が前記凹溝部の延びる方向において複数設けられた前記(11)又は前記(12)に記載の印刷装置。
【0173】
(14)前記障壁の両端縁がそれぞれ前記凹溝部の幅方向における反対側の開口縁に連続された前記(11)から前記(13)の何れかにに記載の印刷装置。
【0174】
(15)前記障壁は、一方の端縁が前記凹溝部の幅方向における一方の開口縁に連続され他方の端縁が前記凹溝部の幅方向における他方の開口縁から離隔する第1の障壁と、一方の端縁が前記凹溝部の幅方向における前記他方の開口縁に連続され他方の端縁が前記凹溝部の幅方向における前記一方の開口縁から離隔する第2の障壁とを有する前記(13)に記載の印刷装置。
【0175】
(16)前記第1の障壁と前記第2の障壁が前記凹溝部の延びる方向において離隔して交互に設けられた前記(15)に記載の印刷装置。
【0176】
(17)前記第1の障壁と前記第2の障壁が前記凹溝部の幅方向において重なり合うような長さにされた前記(16)に記載の印刷装置。
【0177】
(18)前記障壁が前記パターン版の前記障壁以外の部分と同一の材料によって一体に形成された前記(10)から前記(17)の何れかに記載の印刷装置。
【0178】
(19)所定の方向へ回転する円筒状のベース体と前記ベース体の外周面に設けられ前記ベース体と一体となって回転されると共に所定の印刷パターンを構成する複数の凹部が形成され前記凹部に障壁が設けられたパターン版とを有する版胴の前記凹部に導電性インクを充填し、前記凹部からはみ出した前記導電性インクを前記パターン版の外周面及び前記障壁に接触されるブレードによって掻き取り、前記凹部に充填された前記導電性インクを前記パターン版の外周面及び前記障壁に接触されるブランケットロールに転写し、前記ブランケットロールに転写された前記導電性インクを被印刷物に転写して印刷する印刷方法。
【0179】
上記した最良の形態において示した各部の具体的な形状及び構造は、何れも本技術を実施する際の具体化のほんの一例を示したものにすぎず、これらによって本技術の技術的範囲が限定的に解釈されることがあってはならないものである。
【図面の簡単な説明】
【0180】
【図1】図2乃至図17と共に本技術版胴、印刷装置及び印刷方法の実施の形態を示すものであり、本図は、印刷装置の概略側面図である。
【図2】版胴に形成された印刷パターンを示す拡大概略図である。
【図3】パターン版の凹溝部に設けられた障壁の位置や向きを示す拡大概略図である。
【図4】ブレードが版胴に接触された状態を示す概略斜視図である。
【図5】ブレードが版胴に接触された状態を示す拡大側面図である。
【図6】ブレードが凹部に設けられた障壁に接触された状態を示す拡大概略図である。
【図7】被印刷物に転写された導電性インクにより中間パターンが形成された状態を示す拡大概略図である。
【図8】導電性インクの流動性により配線パターンが形成された状態を示す拡大概略図である。
【図9】図10及び図11と共に版胴の第1の変形例を示すものであり、本図は第1の変形例に係る障壁の凹溝部における位置や向きを示す拡大概略図である。
【図10】版胴の第1の変形例の別の例であり、第1の変形例の別の例に係る障壁の凹溝部における位置や向きを示す拡大概略図である。
【図11】図10とは異なる版胴の第1の変形例の別の例であり、第1の変形例の別の例に係る障壁の凹溝部における位置や向きを示す拡大概略図である。
【図12】図14、図16及び図17と共に版胴の第2の変形例を示すものであり、本図は第2の変形例に係る障壁の凹溝部における位置や向きを示す拡大概略図である。
【図13】第2の変形例に係る中間パターンを示す拡大概略図である。
【図14】版胴の第2の変形例の別の例であり、第2の変形例の別の例に係る障壁の凹溝部における位置や向きを示す拡大概略図である。
【図15】第2の変形例の別の例に係る中間パターンを示す拡大概略図である。
【図16】図14とは異なる版胴の第2の変形例の別の例であり、第2の変形例の別の例に係る障壁の凹溝部における位置や向きを示す拡大概略図である。
【図17】図16とは異なる版胴の第2の変形例の別の例であり、第2の変形例の別の例に係る障壁の凹溝部における位置や向きを示す拡大概略図である。
【図18】パターン版からブランケットロールへの一般的な転写不良を示す過程図であり、(1)はパターン版の凹部にブランケットロールが進入した状態を示す拡大概略図であり、(2)はブランケットロールへの一般的な転写不良を示す拡大概略図である。
【符号の説明】
【0181】
1…印刷装置、2…版胴、2A…版胴、2B…版胴、2C…版胴、2D…版胴、2E…版胴、2F…版胴、2G…版胴、3…ブレード、4…ブランケットロール、5…ベース体、6…パターン版、7…凹部、7b…凹溝部、8…印刷パターン、9…障壁、9A…障壁、9B…障壁、9C…障壁、9G…障壁、10…第1の障壁、11…第2の障壁、10E…第1の障壁、11E…第2の障壁、10F…第1の障壁、11F…第2の障壁、100…導電性インク、200…被印刷物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の方向へ回転する円筒状のベース体と、
前記ベース体の外周面に設けられ前記ベース体と一体になって回転されると共に所定の印刷パターンを構成し導電性インクが充填される複数の凹部が形成されたパターン版とを備え、
前記パターン版の外周面に、前記凹部からはみ出した前記導電性インクを掻き取るブレードが接触され、
前記パターン版の外周面に、前記導電性インクが転写され転写された前記導電性インクを被印刷物に転写して印刷を行うブランケットロールが接触され、
前記凹部に、前記ブレード及び前記ブランケットロールの前記凹部への進入を規制する障壁が設けられた
版胴。
【請求項2】
前記凹部は一部が溝形状にされた凹溝部として形成され、
前記障壁が前記凹溝部の幅方向へ延びるようにされた
請求項1に記載の版胴。
【請求項3】
前記障壁が前記ベース体の回転軸に直交する方向へ延びるようにされた
請求項1に記載の版胴。
【請求項4】
前記障壁が前記凹溝部の延びる方向において複数設けられた
請求項2に記載の版胴。
【請求項5】
前記障壁の両端縁がそれぞれ前記凹溝部の幅方向における反対側の開口縁に連続された
請求項2に記載の版胴。
【請求項6】
前記障壁は、一方の端縁が前記凹溝部の幅方向における一方の開口縁に連続され他方の端縁が前記凹溝部の幅方向における他方の開口縁から離隔する第1の障壁と、一方の端縁が前記凹溝部の幅方向における前記他方の開口縁に連続され他方の端縁が前記凹溝部の幅方向における前記一方の開口縁から離隔する第2の障壁とを有する
請求項4に記載の版胴。
【請求項7】
前記第1の障壁と前記第2の障壁が前記凹溝部の延びる方向において離隔して交互に設けられた
請求項6に記載の版胴。
【請求項8】
前記第1の障壁と前記第2の障壁が前記凹溝部の幅方向において重なり合うような長さにされた
請求項7に記載の版胴。
【請求項9】
前記障壁が前記パターン版の前記障壁以外の部分と同一の材料によって一体に形成された
請求項1に記載の版胴。
【請求項10】
所定の方向へ回転する円筒状のベース体と前記ベース体の外周面に設けられ前記ベース体と一体となって回転されると共に所定の印刷パターンを構成し導電性インクが充填される複数の凹部が形成されたパターン版とを有する版胴と、
前記パターン版の外周面に接触され前記凹部からはみ出した前記導電性インクを掻き取るブレードと、
前記パターン版の外周面に接触され前記導電性インクが転写され転写された前記導電性インクを被印刷物に転写して印刷を行うブランケットロールとを備え、
前記凹部に、前記ブレード及び前記ブランケットロールの前記凹部への進入を規制する障壁が設けられた
印刷装置。
【請求項11】
前記凹部は一部が溝形状にされた凹溝部として形成され、
前記障壁が前記凹溝部の幅方向へ延びるようにされた
請求項10に記載の印刷装置。
【請求項12】
前記障壁が前記ベース体の回転軸に直交する方向へ延びるようにされた
請求項10に記載の印刷装置。
【請求項13】
前記障壁が前記凹溝部の延びる方向において複数設けられた
請求項11に記載の印刷装置。
【請求項14】
前記障壁の両端縁がそれぞれ前記凹溝部の幅方向における反対側の開口縁に連続された
請求項11に記載の印刷装置。
【請求項15】
前記障壁は、一方の端縁が前記凹溝部の幅方向における一方の開口縁に連続され他方の端縁が前記凹溝部の幅方向における他方の開口縁から離隔する第1の障壁と、一方の端縁が前記凹溝部の幅方向における前記他方の開口縁に連続され他方の端縁が前記凹溝部の幅方向における前記一方の開口縁から離隔する第2の障壁とを有する
請求項13に記載の印刷装置。
【請求項16】
前記第1の障壁と前記第2の障壁が前記凹溝部の延びる方向において離隔して交互に設けられた
請求項15に記載の印刷装置。
【請求項17】
前記第1の障壁と前記第2の障壁が前記凹溝部の幅方向において重なり合うような長さにされた
請求項16に記載の印刷装置。
【請求項18】
前記障壁が前記パターン版の前記障壁以外の部分と同一の材料によって一体に形成された
請求項10に記載の印刷装置。
【請求項19】
所定の方向へ回転する円筒状のベース体と前記ベース体の外周面に設けられ前記ベース体と一体となって回転されると共に所定の印刷パターンを構成する複数の凹部が形成され前記凹部に障壁が設けられたパターン版とを有する版胴の前記凹部に導電性インクを充填し、
前記凹部からはみ出した前記導電性インクを前記パターン版の外周面及び前記障壁に接触されるブレードによって掻き取り、
前記凹部に充填された前記導電性インクを前記パターン版の外周面及び前記障壁に接触されるブランケットロールに転写し、
前記ブランケットロールに転写された前記導電性インクを被印刷物に転写して印刷する
印刷方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2012−183793(P2012−183793A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−50036(P2011−50036)
【出願日】平成23年3月8日(2011.3.8)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】