説明

物の寸法を計測する方法と、この方法に使用する曲尺の鞘管

【課題】ノギスでは測定困難な用途の計測を可能にする曲尺を提供する。
【解決手段】物の寸法を計測する方法に使用する曲尺Aの鞘管Bであって、鞘管Bは、本体と、本体に設けた前記二本の曲尺Aのそれぞれ長尺1の短手方向を併設して収容できる方形状の収容部と、収容部にスペーサを収容し、スペーサで、曲尺Aを収容部に緊締すると共に、緊締を、本体に螺着した止め螺子で行う構成とした曲尺Aの鞘管Bである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物の寸法を計測する方法と、この方法に使用する曲尺の鞘管に関する
【背景技術】
【0002】
従来、物の内外径を計測する冶具として、ノギスがある。このノギスは、物の一方に接触(当接、添接、又は係止)する内側ジョウと、その他方に接触する外側ジョウとで構成され、通常は、外側ジョウが基尺(主尺)の上を摺動する構造となる。従って、物の内外径を計測するという、本来の計測は可能であるが、本発明が意図する、例えば、図9−3〜図9−6に関する計測は、困難である。殊に、図9−7に示した、極めて、特殊な使用の仕方と、計測には不向きであることと、汎用性に欠けること、等の改良点が考えられる。また、ノギスは、構造上と、緻密な計測の必要性から、製作精度が要求されること、或いは製造工程の複雑化等から、製品コストが嵩み、かつ高価格であることが考えられる。そこで、低コストで有りながら、簡易なノギス代替品が望まれている。
【0003】
以上の要望に応ええる先行文献の一例を説明する。先ず、文献1は、従来のノギスは、内外側ジョウの長さが同じであることの改良であり、この内外側ジョウの長さを長短の不均衡とすることで、新しい物、例えば、外周、側面等に凹凸、窪みのある異形物で、人の歯、流線型の物の計測を可能とする。特開2009−282000号公報である。この発明は、新しい物の計測を可能とするが、前述した本発明のような物(物品、商品等)を計測するには十分でない。また、文献2は、従来の曲尺では、長短尺辺を利用して計測することの改良であり、この発明は、曲尺の長尺辺に、測定桿と摺動桿を併設した構造とし、立体造型物の二点間の距離、角度等の測定を可能とする。特開平10−62101号公報である。この文献2は、曲尺の改良であり、本発明と類似するが、前述した本発明のような物を計測するには十分でない。さらに、文献1と同じ改良を意図した考案として、文献3がある。実開平2−141804号公報である。この考案は、内外側ジョウの長さを長短の不均衡とすることで、新しい計測方法、例えば、ノギスの本尺(基尺)が心押台に邪魔されることなく、旋盤等の機械にセットした加工物寸法の計測を可能とする。しかし、文献1と同じ課題を抱えている。
【0004】
【特許文献1】特開2009−282000号公報
【特許文献2】特開平10−62101号公報
【特許文献3】実開平2−141804号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明は、前記文献1〜3で問題となっている課題を、解決する。即ち、本発明は、例えば、図9−1、図9−2に関するノギスとしての計測を可能とすると共に、図9−3〜図9−6に関する得意な計測を可能とする。殊に、図9−7に示した、極めて、特殊な使用の仕方と、計測を図ることにあるとともに、汎用性があり、かつノギスと同等な使用に係わらず、構造が簡単であり、比較的、緻密な計測が可能となること、或いは製造工程の簡略化等から、製品コストをカットし、低価格のノギス代替品を提供する。さらに、本発明では、一方・他方の曲尺が損傷しても、市販のもので代替でき重宝すること、その他の器材は使用できるので、有益であり、利便性がある。また、本発明は、mm単位の正確性を必要としない、計測に最適で、かつノギスと同じ計測ができるノギス代替品を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明は、鞘管に、少なくとも二枚の曲尺を移動可能と、抜差し自在とすることで、例えば、下記の(1)〜(3)の如く、通常のノギスとして使用を始めとして、深さの計測、下記の(4)〜(7)等の如く、長尺物の計測、深さの計測、又は短尺(長尺)で計測する際に、短尺間に障害物が存在する場合の計測、或いは計測物間に、上下、又は左右において、位相がある計測、等の、それぞれの得意な計測を可能とする計測方法を提供する。
【0007】
請求項1は、少なくとも二本の曲尺を、鞘管の緊締で、この曲尺の組合せを固定する固定方法と、また、この少なくとも二本の曲尺を、この鞘管の緊締解除による摺動で、この曲尺の組合せを変更する変更方法とを利用して、種々の物の寸法を計測する方法であって、
(1) 前記曲尺の短尺と長尺を、ともに隣接する固定方法において、この短尺間で物を挾み、この長尺の目盛りを視認し、この物の長さを計測する方法と、
(2) 前記曲尺の短尺と長尺を、ともに隣接する固定方法において、この短尺の外側と内側を物の内面に当接し、この長尺の目盛りを視認し、この物の長さを計測する方法と、
(3) 前記曲尺の長尺を、隣接する固定方法において、この曲尺の短尺間で、かつこの短尺の内側同士で、物を挾み、この長尺の目盛りを視認し、この物の長さを計測する方法と、
(4) 前記曲尺の短尺と長尺を、ともに隣接する固定方法において、この短尺の内側と外側を物の外面に当接し、この長尺の目盛りを視認し、この物の長さを計測する方法と、
(5) 前記曲尺の長尺を、隣接するとともに、その短尺を、相反する方向に設けた固定方法において、この短尺の外側を、それぞれ物に当接し、この長尺の目盛りを視認し、この物の長さを計測する方法と、
(6) 前記曲尺の長尺を、隣接するとともに、その短尺を、相反する方向に設けた固定方法において、この短尺の外側に、また、この長尺の長手方向の端部を、それぞれ物に当接し、この長尺の目盛りを視認し、この物の長さを計測する方法と、
(7) 前記曲尺の長尺を、その短尺に隣接する固定方法において、この長短尺を、それぞれ物に当接し、この短尺、又は長尺の目盛りを視認し、この物の間隔を計測する方法と、
上記の各計測する方法を選択できることを特徴とする物の寸法を計測する方法である。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1の目的を達成しつつ、さらに計測の容易化と、正確性に役立つ曲尺を提供し、その目的を達成することを意図する。
【0009】
請求項2は、請求項1に記載の物の寸法を計測する方法であって、
前記曲尺の長短尺の内外側に、目盛りを設け、この内外側の目盛りを利用して、物の寸法を計測する方法である。
【0010】
請求項3・4の発明は、請求項1の目的を達成するための曲尺の構造を提供する。
【0011】
請求項3は、請求項1に記載の物の寸法を計測する方法に使用する曲尺の鞘管であって、
この鞘管は、筒状の本体と、この本体に設けた前記少なくとも二本の曲尺のそれぞれ長尺の短手方向を併設して収容できる方形状の収容部と、この収容部にスペーサを収容し、このスペーサで、前記曲尺を収容部に緊締すると共に、この緊締を、前記本体に螺着した止め螺子で行う構成とした曲尺の鞘管である。
【0012】
請求項4の発明は、請求項1に記載の物の寸法を計測する方法に使用する曲尺の鞘管であって、
この鞘管は、ケースと、このケースに設けた前記少なくとも二本の曲尺のそれぞれ長尺の短手方向を併設して収容できる方形状の空胴部と、又はこの空胴部に至るケースに螺着した止め螺子で行う構成とした曲尺の鞘管である。
【0013】
請求項5・6の発明は、請求項3の目的を達成するための曲尺の鞘管の構造を提供する。
【0014】
請求項5は、請求項3に記載の物の寸法を計測する方法に使用する曲尺の鞘管であって、
前記収容部の底部に、この底部より低い底部を形成し、この低い底部に、前記スペーサを、収容する構成とした曲尺の鞘管である。
【0015】
請求項6は、請求項3、又は請求項4に記載の物の寸法を計測する方法に使用する曲尺の鞘管であって、
前記本体、又はケースは、扁平筒状とする構成とした曲尺の鞘管前記本体は、扁平筒状とする構成とした曲尺の鞘管である。
【発明の効果】
【0016】
請求項1の発明は、少なくとも二本の曲尺を、鞘管の緊締で、曲尺の組合せを固定する固定方法と、また、少なくとも二本の曲尺を、鞘管の緊締解除による摺動で、曲尺の組合せを変更する変更方法とを利用して、種々の物の寸法を計測する方法であって、
(1) 曲尺の短尺と長尺を、ともに隣接する固定方法において、短尺間で物を挾み、長尺の目盛りを視認し、物の長さを計測する方法と、
(2) 曲尺の短尺と長尺を、ともに隣接する固定方法において、短尺の外側と内側を物の内面に当接し、長尺の目盛りを視認し、物の長さを計測する方法と、
(3) 曲尺の長尺を、隣接する固定方法において、曲尺の短尺間で、かつ短尺の内側同士で、物を挾み、長尺の目盛りを視認し、物の長さを計測する方法と、
(4) 曲尺の短尺と長尺を、ともに隣接する固定方法において、短尺の内側と外側を物の外面に当接し、長尺の目盛りを視認し、物の長さを計測する方法と、
(5) 曲尺の長尺を、隣接するとともに、短尺を、相反する方向に設けた固定方法において、短尺の外側を、それぞれ物に当接し、長尺の目盛りを視認し、物の長さを計測する方法と、
(6) 曲尺の長尺を、隣接するとともに、短尺を、相反する方向に設けた固定方法において、短尺の外側に、また、長尺の長手方向の端部を、それぞれ物に当接し、長尺の目盛りを視認し、物の長さを計測する方法と、
(7) 曲尺の長尺を、短尺に隣接する固定方法において、長短尺を、それぞれ物に当接し、短尺、又は長尺の目盛りを視認し、物の間隔を計測する方法と、
上記の各計測する方法を選択できることを特徴とする物の寸法を計測する方法である。
【0017】
従って、請求項1は、鞘管に、少なくとも二枚の曲尺を移動可能と、抜差し自在とすることで、例えば、上記の(1)〜(3)の如く、通常のノギスとして使用を始めとして、深さの計測、上記の(4)〜(7)等の如く、長尺物の計測、深さの計測、又は短尺(長尺)で計測する際に、短尺間に障害物が存在する場合の計測、或いは計測物間に、上下、又は左右において、位相がある計測、等の、それぞれの得意な計測を可能とする計測方法を提供できる特徴がある。
【0018】
請求項2の発明は、請求項1に記載の物の寸法を計測する方法であって、
曲尺の長短尺の内外側に、目盛りを設け、内外側の目盛りを利用して、物の寸法を計測する方法である。
【0019】
従って、請求項2は、請求項1の目的を達成しつつ、さらに計測の容易化と、正確性に役立つ曲尺を提供し、その目的を達成できる特徴がある。
【0020】
請求項3の発明は、請求項1に記載の物の寸法を計測する方法に使用する曲尺の鞘管であって、
鞘管は、筒状の本体と、本体に設けた少なくとも二本の曲尺のそれぞれ長尺の短手方向を併設して収容できる方形状の収容部と、収容部にスペーサを収容し、スペーサで、曲尺を収容部に緊締すると共に、緊締を、本体に螺着した止め螺子で行う構成とした曲尺の鞘管である。
【0021】
請求項4の発明は、請求項1に記載の物の寸法を計測する方法に使用する曲尺の鞘管であって、
鞘管は、ケースと、ケースに設けた少なくとも二本の曲尺のそれぞれ長尺の短手方向を併設して収容できる方形状の空胴部と、又は空胴部に至るケースに螺着した止め螺子で行う構成とした曲尺の鞘管である。
【0022】
従って、請求項3・4は、請求項1の目的を達成するための曲尺の構造を提供できる特徴がある。
【0023】
請求項5の発明は、請求項2に記載の物の寸法を計測する方法に使用する曲尺の鞘管であって、
収容部の底部に、底部より低い底部を形成し、低い底部に、前記スペーサを、収容する構成とした曲尺の鞘管である。
【0024】
請求項6の発明は、請求項3、又は請求項4に記載の物の寸法を計測する方法に使用する曲尺の鞘管であって、
本体、又はケースは、扁平筒状とする構成とした曲尺の鞘管である。
【0025】
従って、請求項5・6は、請求項3の目的を達成するための曲尺の鞘管の構造を提供できる特徴がある。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】曲尺の短尺と長尺を、ともに隣接する固定方法において、短尺間で物を挾み、長尺の目盛りを視認し、物の長さを計測する方法に使用する曲尺の組合せと鞘管の一例とを示した斜視図
【図2】図1の使用状態を示した斜視図
【図3】鞘管の一例と曲尺との関係を示した分解拡大斜視図
【図4】図3の組立て図
【図5】図4のX−X‘断面図
【図6】曲尺の短尺と長尺を、ともに隣接する固定方法において、短尺間で物を挾み、長尺の目盛りを視認し、物の長さを計測する方法に使用する曲尺の組合せと鞘管の他の一例とを示した斜視図
【図7】鞘管の他の一例と曲尺との関係を示した組立て図
【図8】図7のY−Y‘断面図
【図9−1】第一の計測方法を示した平面図
【図9−2】第二の計測方法を示した平面図
【図9−3】第三の計測方法を示した平面図
【図9−4】第四の計測方法を示した平面図
【図9−5】第五の計測方法を示した平面図
【図9−6】第六の計測方法を示した平面図
【図9−7】第七の計測方法を示した平面図
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の好ましい、実施例と、計測方法を説明するが、最初に、曲尺と鞘管との構造を、続いて、この曲尺と鞘管とを利用して、計測可能な、各例を説明する。しかし、計測方法は、あくまで、一実施例であり、図示の各例に、限定されない。
【0028】
図1〜図5に示した一例では、曲尺Aの長尺1と短尺2を、並列状態に配置し、この長尺1と短尺2を、それぞれ隣接し、この状態を、鞘管Bを介して、保持する構造である。従って、後述するように止め具を操作し、一方の長尺1をスライド(摺動、又は移動)し、かつ一方の短尺2をスライドする。このスライド位置にある一方の短尺2と、他方の長尺1の短尺2間に物Cを挾み、スライドした一方の短尺2の距離を、他方の長尺1(スライドしない長尺1)を利用して計測する構造である。この計測が終了した時点で、一方の長尺1を元に戻すことで、計測と、その操作(作業)が終了する。
【0029】
この実施例における鞘管Bの構造は、筒状の本体3と、この本体3に設けた(長手方向に貫設した)方形状の収容部6と、この方形状の収容部6は、二本の曲尺A、A(対の例では、一つの符合とする)のそれぞれ長尺1の短手方向1aを併設して収容できる構造である。図例では、ケース5は、両壁300を長手方向に設けてなる略溝形の底体301と、この底体301を閉塞する両壁300に止め具7を持って取付けられる蓋体302とで構成し、この底体301と蓋体302により、前記収容部6を構成する。そして、この収容部6には、窪部600を形成し、この窪部600には、弾性体、又は剛性等でなるスペーサ8を設け、このスペーサ8と緊締止め具10を介して、二本の曲尺A、Aを、壁300に弾圧する構造とし、かつ二本の曲尺A、Aをスライド可能とするか、又は緊締する。そして、この方形状の収容部6を利用する方法は、二本の曲尺A、Aをセットすると共に、固定側の曲尺Aに対して、スライド側の曲尺Aを、スライド可能とする。しかし、必要により、このスライド側の曲尺Aを、スライドする際に、止め具10を螺戻し、スペーサ8を後退させることで、余裕をもっとスライドする。その後、止め具10を螺入し、このスライド側の曲尺Aを、固定し、計測も可能である。
【0030】
図6〜図8に示した他の一例では、鞘管Bをケース5とする構造であり、このケース5の空胴部500に、曲尺Aの長尺1と短尺2を、並列状態に配置し、この長尺1と短尺2を、それぞれ隣接し、この状態を、鞘管Bを介して、保持する構造である。従って、一方の長尺1を把持してスライドし、かつ一方の短尺2をスライドする。このスライド位置にある一方の短尺2と、他方の長尺1の短尺2間に物Cを挾み、スライドした一方の短尺2の距離を、他方の長尺1(スライドしない長尺1)を利用して計測する構造である。そして、この計測が終了した時点で、一方の長尺1を元に戻すことで、計測と、その操作が終了する。
【0031】
この実施例における鞘管Bの構造は、樹脂製の筒状の本体3と、この本体3に設けた方形状の収容部6と、この方形状の収容部6は、二本の曲尺Aのそれぞれ長尺1の短手方向1aを併設して収容できる構造である。一体構造である。但し、二本の曲尺Aを、止め具(図示しない)を介して緊締する例もあり得る。そして、この例では、一方の長尺1を把持して、スライドすることで、一方の短尺2がスライドする単純な機構であり、誰でも簡易かつ確実に使用できるのが特徴である。一方の短尺2がスライドした状態で、この一方の短尺2と他方の短尺2との間に、物Cを挾み、他方の長尺1の目盛りを視認する(読む)ことで、計測ができる。尚、図示しない止め具を採用する構造は、図示しない、止め具の螺入、螺戻を介して、一方の長尺1のスライドと、この一方の長尺1の固定を図る構造であり、原則として、前述の一例に、略準ずる。
【0032】
続いて、図1等による計測方法と、図9−1〜図9−6を基に、計測方法の一例を説明すると、図示しない計測方法は、◎ 請求項1の(1)、(4)に記載である。図9−1の例であり、曲尺Aの短尺2と長尺1を、ともに隣接する固定方法において、一方の長尺1をスライド(摺動)し、この一方・他方の長尺1を固定した状態で、一方・他方の短尺2間で物Cを挾み、他方の長尺1の目盛りを視認し、物Cの長さ(外径)を計測する方法であり、その一方・他方の長尺1の操作と、スライド(摺動)、又は固定は前述の通りである。◎ 次に、請求項1の(2)に記載である。図1等の例であり、曲尺Aの短尺2と長尺1を、ともに隣接する固定方法において、一方・他方の短尺2を物Cの内面(内輪等)に当接し、他方の長尺1の目盛りを視認し、物Cの長さ(内径)を計測する方法であり、その一方・他方の長尺1の操作と、スライド、又は固定は前述の通りである。◎ 請求項1の(3)に記載である。図9−2の例であり、曲尺Aの長尺1を、長手方向が対峙して隣接する固定方法において、前述の如く、一方の長尺1をスライドし、この一方・他方の長尺1を固定した状態で、一方・他方の短尺2間で物Cを挾み、他方の長尺1の目盛りを視認し、物Cの長さを計測する方法であり、その一方・他方の長尺1の操作と、スライド、又は固定は前述の通りである。 ◎ そして、請求項1の(5)に記載である。図9−3の例であり、曲尺Aの一方・他方の短尺2を、対峙方向とすると共に、一方・他方の長尺1の背面側を、隣接する固定方法において、対峙する一方・他方の短尺2を、それぞれ物Cに当接し、他方の長尺1の目盛りを視認し、物Cの長さを計測する方法であり、その一方・他方の長尺1の操作と、スライド、又は固定は前述の通りである。この計測方法は、図示の如く、一方・他方の短尺2間に邪魔物C1があっても計測できるのが特徴である。 ◎ 請求項1の(6)に記載である。図9−4の例であり、曲尺Aの一方・他方の短尺2を、対峙方向で、かつ上下方向とすると共に、一方・他方の長尺1の背面側を、隣接する固定方法において、一方の短尺2と、他方の長尺1の長手方向の端面を、それぞれ物Cに当接し、この他方の長尺1の目盛りを視認し、物Cの深さを計測する方法であり、その一方・他方の長尺1の操作と、スライド、又は固定は前述の通りである。 ◎ 請求項1の(7)に記載である。図9−5に示した例は、一方の長尺1に、他方の短尺2を固定し、一方の短尺2と、他方の長尺1とを、それぞれ二つの物Cに当接し、この一方の短尺2と、他方の長尺1の目盛りを視認し、この物Cの長さを計測する方法であり、その一方・他方の長尺1の操作と、スライド、又は固定は前述の通りである。また、この計測方法で、二つの物C間の距離を、一方の長尺1の目盛りを視認して計測することも可能であり、重宝する。◎ そして、請求項1には記載しないが、図9−6に示した例は、三本の曲尺Aと二個の鞘管Bを利用する計測方法であり、中間の曲尺Aを繋ぎとする構造である。その使用方法は、原則として、図9−2の例に準ずる。 ◎ さらに、請求項1には記載しないが、図9−7に示した例は、屋上等において配管Dが重畳して設けられている例では、図9−1に示した固定方法による曲尺Aを利用して計測することで、配管Dの水平方向のズレを計測でき、カバーEの製作時の切欠き箇所を把握できる利点がある。曲尺Aの操作と取扱は、原則として、図9−1の例に準ずる。
【0033】
以上で、それぞれ説明した二本の曲尺Aの使用(スライドと固定)は、一例であり、その他種々の方法があり、本発明の計測方法に、技術思想が同じもの、又は類似するものは、本発明の範疇である。
【0034】
その他として、例えば、樹木の幹等を計測する場合において、測定箇所に、邪魔となる枝、葉、実等がある場合では、通常の測定具では計測できない状況でも、本発明の曲尺、又は計測方法では、極めて簡易、かつ迅速に計測できる利点がある。また、同様に事務所に設置されているパソコン機材、電話、事務機材、そのコード、又はプリンタ等の計測、又は設置の可能性等の計測に於いても、利用できる。さらに、建築資材、建築現場、又は各種の工事現場等に於いても、本発明の曲尺、又は計測方法では、極めて簡易、かつ有益性がある。
【符号の説明】
【0035】
A 曲尺
1 長尺
2 短尺
B 鞘管
3 本体
300 壁
301 底体
302 蓋体
5 ケース
500 空胴部
6 収容部
600 窪部
7 止め具
8 スペーサ
10 止め具
C 物
C1 邪魔物
D 配管
E カバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも二本の曲尺を、鞘管の緊締で、この曲尺の組合せを固定する固定方法と、また、この少なくとも二本の曲尺を、この鞘管の緊締解除による摺動で、この曲尺の組合せを変更する変更方法とを利用して、種々の物の寸法を計測する方法であって、
(1) 前記曲尺の短尺と長尺を、ともに隣接する固定方法において、この短尺間で物を挾み、この長尺の目盛りを視認し、この物の長さを計測する方法と、
(2) 前記曲尺の短尺と長尺を、ともに隣接する固定方法において、この短尺の外側と内側を物の内面に当接し、この長尺の目盛りを視認し、この物の長さを計測する方法と、
(3) 前記曲尺の長尺を、隣接する固定方法において、この曲尺の短尺間で、かつこの短尺の内側同士で、物を挾み、この長尺の目盛りを視認し、この物の長さを計測する方法と、
(4) 前記曲尺の短尺と長尺を、ともに隣接する固定方法において、この短尺の内側と外側を物の外面に当接し、この長尺の目盛りを視認し、この物の長さを計測する方法と、
(5) 前記曲尺の長尺を、隣接するとともに、その短尺を、相反する方向に設けた固定方法において、この短尺の外側を、それぞれ物に当接し、この長尺の目盛りを視認し、この物の長さを計測する方法と、
(6) 前記曲尺の長尺を、隣接するとともに、その短尺を、相反する方向に設けた固定方法において、この短尺の外側に、また、この長尺の長手方向の端部を、それぞれ物に当接し、この長尺の目盛りを視認し、この物の長さを計測する方法と、
(7) 前記曲尺の長尺を、その短尺に隣接する固定方法において、この長短尺を、それぞれ物に当接し、この短尺、又は長尺の目盛りを視認し、この物の間隔を計測する方法と、
上記の各計測する方法を選択できることを特徴とする物の寸法を計測する方法。
【請求項2】
請求項1に記載の物の寸法を計測する方法であって、
前記曲尺の長短尺の内外側に、目盛りを設け、この内外側の目盛りを利用して、物の寸法を計測する方法。
【請求項3】
請求項1に記載の物の寸法を計測する方法に使用する曲尺の鞘管であって、
この鞘管は、筒状の本体と、この本体に設けた前記少なくとも二本の曲尺のそれぞれ長尺の短手方向を併設して収容できる方形状の収容部と、この収容部にスペーサを収容し、このスペーサで、前記曲尺を収容部に緊締すると共に、この緊締を、前記本体に螺着した止め螺子で行う構成とした曲尺の鞘管。
【請求項4】
請求項1に記載の物の寸法を計測する方法に使用する曲尺の鞘管であって、
この鞘管は、ケースと、このケースに設けた前記少なくとも二本の曲尺のそれぞれ長尺の短手方向を併設して収容できる方形状の空胴部と、又はこの空胴部に至るケースに螺着した止め螺子で行う構成とした曲尺の鞘管。
【請求項5】
請求項3に記載の物の寸法を計測する方法に使用する曲尺の鞘管であって、
前記収容部の底部に、この底部より低い底部を形成し、この低い底部に、前記スペーサを、収容する構成とした曲尺の鞘管。
【請求項6】
請求項3、又は請求項4に記載の物の寸法を計測する方法に使用する曲尺の鞘管であって、
前記本体、又はケースは、扁平筒状とする構成とした曲尺の鞘管。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9−1】
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【図9−2】
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【図9−3】
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【図9−4】
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【図9−5】
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【図9−6】
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【図9−7】
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【公開番号】特開2013−54008(P2013−54008A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−194215(P2011−194215)
【出願日】平成23年9月6日(2011.9.6)
【出願人】(510235257)
【Fターム(参考)】