説明

物体が現れる芸術的な線香

【課題】燃焼後に生じた灰が芸術性をより向上させることができ、さらに使用がより簡便である、物体が現れる芸術的な線香を提供する。
【解決手段】物体が現れる芸術的な線香は、香立て台3と香立て台3の上に立設される香体とから構成され、香体は、燃焼後灰の状態で崩れ落ちない内層香4と、内層香4を覆うように外側に配設された外層香2とを含む。外層香2は、内層香4に隣接する中間層香2.2と最外層香2.1とから構成され、中間層香2.2の収縮率が最外層香2.1の収縮率より小さく設定され、かつ、内層香4と中間層香2.2の間に隔離層5を介在させ、さらに、内層香4と外層香2の先端部に着火させるための助燃層1を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、芸術的な線香に関し、特に燃焼後に物体が現れる芸術的な線香に関する。
【背景技術】
【0002】
現在,一般的に、線香はほとんど同一調合の材料で構成され、また様々な形状に形成され、また彫り物、字、絵などを加えて色も鮮やかに仕上げている。しかし、すべての芸術的な線香が燃焼の過程中に灰がそのまま崩れ落ちる。しかも、芸術的な効果を得ることはできない。
【0003】
そこで、本出願人は、特許文献1において、内側の芸術的な香体は燃焼後崩れ落ちないで芸術的な形状を形成したまま残り、外層香体が剥がれ落ちながら燃焼して像が現れる線香を初めて提出している。
【特許文献1】中華人民共和国実用新案登録第95244904.8号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記特許文献1においては、上記芸術的な線香は内外2層香体のみから構成されており、外層香は同一調合で構成され、同一調合の材料であるため、外層香の収縮率は同じである。そのため着火後外層香はただ垂直に下に向って燃焼し、外層香の灰はぱらぱらと崩れ落ち、その芸術的印象は大きく減少する。また、上記特許文献1においては、着火し難く、一本のマーチで着火することができなかった。また、その材料中には薬物香料が含まれていなかったり、消臭できなかったり、そして虫よけができなかったりするという問題もあった。
【0005】
本発明は、上述した各問題を解消するためになされたもので、燃焼後に生じた灰が芸術性をより向上させることができ、さらに使用がより簡便である、物体が現れる芸術的な線香を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため、請求項1に係る発明の構成上の特徴は、香立て台と香立て台の上に立設される香体とから構成され、香体は、燃焼後灰の状態で崩れ落ちない内層香と、内層香を覆うように外側に配設された外層香とを含む、物体が現れる芸術的な線香において、外層香は、内層香に隣接する中間層香と最外層香とから構成され、中間層香の収縮率が最外層香の収縮率より小さく設定され、かつ、内層香と中間層香の間に隔離層を介在させ、さらに、内層香と外層香の先端部に着火させるための助燃層を設けたことである。
【0007】
また請求項2に係る発明の構成上の特徴は、請求項1において、中間層香の収縮率は5〜15%であり、最外層香の収縮率は20〜30%であることである。
【0008】
また請求項3に係る発明の構成上の特徴は、請求項1または請求項2において、内層香内に下向きの孔を設置したことである。
【0009】
また請求項4に係る発明の構成上の特徴は、請求項1乃至請求項3の何れか一項において、内層香の形状が芸術的な像であることである。
【0010】
また請求項5に係る発明の構成上の特徴は、請求項1乃至請求項4の何れか一項において、香立て台の中心部と周囲に煙を排出するための貫通孔が形成されていることである。
【0011】
また請求項6に係る発明の構成上の特徴は、請求項1乃至請求項5の何れか一項において、内層香の成分のうちいずれかの配合量を調整して内層香の崩れる時間を制御することである。
【発明の効果】
【0012】
上記のように構成した請求項1に係る発明においては、内層香が燃焼後崩れ落ちず、しかも独特な造形を保つ。外層香は収縮率の異なる物質で二層に構成されており、収縮率が異なるため、着火後外層香が牽引されて、同じ位置から外側向きに剥けて蓮花の様になって剥がれ落ちる。これにより、まったく新しい芸術的な効果を得ることができる。同時に内層香と外層香の先端部に着火させるための助燃層を設けたので、マーチ一本で着火することができる。また、必要に応じてその材料中に薬物香料を添加すれば消臭、そして虫よけをすることができる。
【0013】
上記のように構成した請求項2に係る発明においては、請求項1に係る発明において、中間層香の収縮率は5〜15%であり、最外層香の収縮率は20〜30%であるので、確実に外層香を2つの層に分けて剥けるようにすることができる。
【0014】
上記のように構成した請求項3に係る発明においては、請求項1または請求項2において、内層香内に下向きの孔を設置したので、発生した煙を内層香外に導くことができる。
【0015】
上記のように構成した請求項4に係る発明においては、請求項1乃至請求項3の何れか一項において、内層香の形状が芸術的な像であるので、燃焼後芸術的な像が現れるので、芸術的効果を高めることができる。
【0016】
上記のように構成した請求項5に係る発明においては、請求項1乃至請求項4の何れか一項において、香立て台の中心部と周囲に煙を排出するための貫通孔が形成されているので、煙が貫通孔から排出されて香立て台の周辺を漂うため芸術的効果をより高めることができる。
【0017】
上記のように構成した請求項6に係る発明においては、請求項1乃至請求項5の何れか一項に係る発明において、内層香の成分のうちいずれかの配合量を調整して内層香の崩れる時間を制御するので、内層香の崩れる時間をユーザの好みに応じて設定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明による物体が現れる芸術的な線香の一実施形態について図面を参照して説明する。
図1を参照すると、本発明による線香は、香立て台3と香立て台3の上に立設される香体とから構成されている。香体は、先端部にマーチ一本で着火することができる助燃層1が設けられおり、これにより香体への点火を実現する。
図2と図3を参照すると、香体は、燃焼後、灰の状態で崩れ落ちない内層香4と、内層香4を覆うように外側に配設された外層香2とを含んでいる。
【0019】
内層香4は、芸術的な像の形状が形成されている。その内層香4内には、下向きの下降孔4.1が形成されている。これにより、香体を燃焼するとき(お香を焚く時)、煙が下降孔4.1を通って下降して香体の下部ひいては香立て台3から排出するようになっている。
外層香2は、内層香4に隣接する中間層香2.2と最外層香2.1とから構成されている。中間層香2.2の収縮率は最外層香2.1の収縮率より小さい。具体的には中間層香2.2の収縮率は5〜15%に対し、最外層香2.1の収縮率は20〜30%になっている。従って中間層香2.2と最外層香2.1の収縮率は異なるため、本発明の香体では燃焼後外側香2が蓮花の様に剥がれ落ちる。
【0020】
内層香4と中間層香2.2の間に隔離層5が一層介在されている。香体の燃焼後、外層香2がきれいに剥がれ落ちるため、内層香4に外層香2の灰が残ることなく燃焼後の内層香4の表面を綺麗に保つことができる。
【0021】
図1と図4を参照すると、香立て台3の中央部及びその周囲に煙を排出するための貫通孔3.1を複数設置している。これにより、お香を焚くと煙が香立て台3の下の複数の貫通孔3.1から排出して、香立て台3の周りから立ち昇る。
【0022】
実施例)
【0023】
内層香4は、主燃材料(煤粉または炭粉)、脱硫剤(硝石灰)、填料(陶磁器の原料である膨潤土(ベントナイト)または高嶺土(カオリン))、酸化剤(過マンガン酸カリウム)、助燃剤(硝酸バリウムまたは硝酸カリウム)、粘着剤(カルボキシメチルセルロース)、香料(白檀または沈香)、剥離剤(でんぷん、食塩)などの材料を混ぜ合わせた後、型を取って所定の芸術的な造型として製造される。内層香4内にはできるだけ大きい縦孔4.1が開口を下向きに形成されている。
【0024】
外層香2は二層式に形成されている。すなわち中間層香2.2と最外層香2.1の二層からなる。中間層香2.2は主燃材料(煤粉または炭粉)、填料(陶磁器の原料である膨潤土(ベントナイト)または高嶺土(カオリン))、助燃剤(硝酸バリウムまたは硝酸カリウム)、軟化剤(疏松剤)、粘着剤(カルボキシメチルセルロース)などを混合してなり、これによりその収縮率は10%になる。最外層香2.1は主燃材料(煤粉または炭粉)、助燃剤(硝酸バリウムまたは硝酸カリウム)、軟化剤(疏松剤)、粘着剤(カルボキシメチルセルロース)などを混合してなり、これによりその収縮率は20%になる。このように、最外層香2.1の収縮率は中間層香2.2の収縮率より遥かに大きい。この収縮率の違いによって燃焼後中間層香2.2は最外層香2.1に牽引されて同じ位置から外向きに剥けて蓮花の様になって剥がれ落ちる。像が現れる芸術的な線香の芸術性を向上することができる。
【0025】
また、内層香4と中間層香2.2の間に隔離層5が一層(ポリエチレンフィルム)介在されているので、燃焼後、内層香4と外層香2は綺麗に剥がれる。香体の先端部に着火しやすくするための助燃層1が設けられているので、マーチ一本でも簡単に点火することができる。必要に応じてその材料中に薬物香料を添加すれば、消臭、そして虫よけの効果も得ることができる。
【0026】
また、中間層香2.2の収縮率は5〜15%であり、最外層香2.1の収縮率は20〜30%であるので、確実に外層香2を2つの層に分けて剥けるようにすることができる。
【0027】
また、内層香2内に下向きの下降孔4.1を設置したので、発生した煙を内層香2外に導くことができる。
【0028】
また、内層香2の形状が芸術的な像であるので、燃焼後、芸術的な像が現れるので、芸術的効果を高めることができる。
【0029】
また、香立て台3の中心部と周囲に煙を排出するための貫通孔3.1が形成されているので、煙が貫通孔3.1から排出されて香立て台3の周辺を漂うため芸術的効果をより高めることができる。
【0030】
また、内層香4の成分のうちいずれか(例えば食塩)の配合量を調整して内層香4の崩れる時間を制御することが好ましい。食塩の量が多くなるほど崩れる時間は短くなる。これによれば、内層香4の崩れる時間をユーザの好みに応じて設定することができる。
【0031】
なお、物体としては、仏像、字などが書かれている板などがある。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明による物体が現れる芸術的な線香を示す外観斜視図である。
【図2】本発明による物体が現れる芸術的な線香の内部構造を示す図であり、図の下部はその線香の部分断面を示している。
【図3】図1の中のA−A線に沿った断面図である。
【図4】図1の中のB−B線に沿った断面図である。
【符号の説明】
【0033】
1 助燃層、
2 外層香、
2.1 最外層香、
2.2 中間層香、
3 香立て台、
3.1 貫通孔、
4 内層香、
4.1 下降孔、
5 隔離層。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
香立て台と前記香立て台の上に立設される香体とから構成され、
前記香体は、燃焼後灰の状態で崩れ落ちない内層香と、前記内層香を覆うように外側に配設された外層香とを含む、物体が現れる芸術的な線香において、
前記外層香は、前記内層香に隣接する中間層香と最外層香とから構成され、前記中間層香の収縮率が前記最外層香の収縮率より小さく設定され、かつ、前記内層香と前記中間層香の間に隔離層を介在させ、
さらに、前記内層香と前記外層香の先端部に着火させるための助燃層を設けたことを特徴とする物体が現れる芸術的な線香。
【請求項2】
請求項1において、前記中間層香の収縮率は5〜15%であり、前記最外層香の収縮率は20〜30%であることを特徴とする物体が現れる芸術的な線香。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、前記内層香内に下向きの孔を設置したことを特徴とする物体が現れる芸術的な線香。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3の何れか一項において、前記内層香の形状が芸術的な像であることを特徴とする物体が現れる芸術的な線香。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4の何れか一項において、前記香立て台の中心部と周囲に煙を排出するための貫通孔が形成されていることを特徴とする物体が現れる芸術的な線香。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5の何れか一項において、前記内層香の成分のうちいずれかの配合比を調整して前記内層香の崩れる時間を制御することを特徴とする物体が現れる芸術的な線香。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−262049(P2007−262049A)
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−245562(P2006−245562)
【出願日】平成18年9月11日(2006.9.11)
【出願人】(506308275)暖王通商株式会社 (1)
【出願人】(506302996)
【上記1名の代理人】
【識別番号】506308275
【氏名又は名称】暖王通商株式会社
【Fターム(参考)】