説明

物体の振動特性の測定

物体(12)の振動特性を測定するための方法および装置が開示される。この方法は、少なくとも2つの光源(17)を使用して物体(12)を照光するステップであって、少なくとも2つの光源(17)は、異なる色の光を発光し、少なくとも2つの光源(17)のそれぞれは、それぞれの遅延でストロボ発光させられるステップと、結果として物体(12)の1つの画像となるように、物体(12)からの反射光を取り込むステップであって、画像は、光の異なる色を識別することが可能な、少なくとも2つの識別可能色チャネルを含むステップと、画像の少なくとも2つの識別可能色チャネルで、物体(12)上の点の位置から、物体(12)に関連する振動特性を計算するために、画像を処理するステップとを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運動する物体の振動特性を測定するための方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
振動の動きの特徴付けは、多くの物理的な、および動的なシステムの調査にとって本質的である。振動周波数の測定は、複雑な構造物または機械部品の寿命および健全性を推定するために、さらには、性能分析のために決定的に重要である。従来から、ひずみゲージ、カメラ、およびレーザドップラーをベースとする方法が、振動を測定するために使用されてきた。しかしながら、これらの方法は、潜在的な欠点を示す。
【0003】
ひずみゲージは、それから通じるワイヤとともに、振動する物体上に張りつけられる。ひずみゲージは、抵抗値の変化を、ゲージが置かれる点のそれぞれでのひずみとして測定し、したがって、微小な変位が測定され得る。このシステムは、原始的であり、測定の点の数が増加するにつれて、広範囲のワイヤリングを必要とし、さらには、回転する部品での使用に関しては可能ではない。さらには、このシステムは、質量負荷による誤差をもたらす物体に固定される必要があり、その上、ワイヤの存在により、それを扱いにくいものにする。このシステムはさらに、測定されるべき最小および最大の変位により制限される。さらには、それらは、再使用可能ではない。
【0004】
カメラをベースとするシステムは、表面上の様々な点の変位を経時的に取り込み、振動を調査する。しかしながら、これらのシステムは、フレームレートにより制限される。カメラのコストは、フレームレートが上昇するにつれて上昇し、それによって、フレームレートに関する制限をもたらす。したがって、それらは、振動する周波数を測定するための、振動する物体に関する速度の最大および最小の制限を有するので、より高い速度は取り込まれ得ない。
【0005】
従来から、レーザバイブロメータが、1点のみで振動を測定することができる。このシステムは、様々な方向で振動を測定するために、途方もなく高価な技術および装置を使用する。さらには、それらは、損傷および衝撃の分析のために必要とされる、振動の空間モードを測定することができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の問題を除去、または少なくとも最小化することが、本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的は、物体に関連する振動特性を測定する方法であって、少なくとも2つの光源を使用して物体を照光するステップであって、少なくとも2つの光源は、異なる色の光を発光し、少なくとも2つの光源のそれぞれは、それぞれの遅延でストロボ発光させられるステップと、結果として物体の1つの画像となるように、物体からの反射光を取り込むステップであって、画像は、光の異なる色を識別することが可能な、少なくとも2つの識別可能色チャネルを含むステップと、画像の少なくとも2つの識別可能色チャネルで、物体上の点の位置から、物体の動きに関連する振動特性を計算するために、画像を処理するステップとを含む方法により実現される。
【0008】
それによって、低コストのカメラを使用する、物体の振動の動きに関連する特性の測定を可能にする。
【0009】
ある実施形態によれば、少なくとも2つの光源のそれぞれは、所定のオン時間の間、それぞれの遅延でストロボ発光させられ、それぞれの遅延は、所定のものである。
【0010】
これにより、振動する物体の複数の点の、1つの画像への様々な時間の場合での取り込みが可能になる。
【0011】
さらに別の実施形態によれば、少なくとも2つの光源は、赤色光源、緑色光源、および青色光源からなるグループから選択される。
【0012】
これにより、物体は原色(principle colour)の少なくとも1つを含むことができるので、結果として画像となるように、物体からの反射光を取り込むことが可能になる。
【0013】
さらに別の実施形態によれば、物体の動きに関連する特性は、変位および周波数からなるグループの1つである。
【0014】
さらに別の実施形態によれば、変位は、画像の少なくとも2つの識別可能色チャネルの2つの色チャネルで、物体上の点の位置の間の距離として計算される。
【0015】
さらに別の実施形態によれば、物体上の点での変位は、特徴点または反射マーカの少なくとも1つを使用して位置決めされる。
【0016】
さらに別の実施形態によれば、変位は、パターンマッチングアルゴリズムを使用して計算される。
【0017】
それによって、物体上の複数の点の振動に関連する変位が測定される環境において、より高い精度を提供する。
【0018】
さらに別の実施形態によれば、パターンマッチングアルゴリズムを使用する変位の計算は、画像の少なくとも2つの色チャネルの2つの色チャネルで、物体上の点の位置情報を取得するステップと、点の組を取得するために、画像の少なくとも2つの色チャネルの2つの色チャネルで、物体を点に置換する(reduce)ステップと、画像の少なくとも2つの色チャネルの2つの色チャネルの点の組で、物体の対応する点をマッピングするステップと、画像の少なくとも2つの色チャネルの2つの色チャネルの点の組で、物体の対応する点の間の距離として、物体の変位を計算するステップとを含む。
【0019】
さらに別の実施形態によれば、物体の振動の周波数は、時間ラッピングアルゴリズム(time wrapping algorithm)を使用して計算される。
【0020】
さらに別の実施形態によれば、ラッピングアルゴリズムを使用する周波数の計算は、画像の少なくとも2つの識別可能色チャネルで、振動する物体上の点の位置情報を取得するための時間周期を初期化するステップと、画像の少なくとも2つの色チャネルの2つの色チャネルで、物体上の点の位置情報をその時間周期にラッピングするステップと、その時間周期で、画像の少なくとも2つの色チャネルの2つの色チャネルの点の組で、物体の対応する点をマッピングするステップと、点のラップ時間周期を初期化された時間周期と等しくすることにより、主サイクル(dominant cycle)の時間周期を計算するステップとを含む。
【0021】
それによって、物体のクラスタリングされた(clustered)画像を取得し、点のラッピング時間が、時間周期のそれと同じときには、主サイクルを示す。
【0022】
さらに別の実施形態によれば、点のラップ時間周期が、その時間周期と異なるならば、画像の少なくとも2つの色チャネルで、物体の点の組で、点の誤差測定基準(error metric)の最小値に対応する時間周期が計算される。
【0023】
さらに別の実施形態によれば、誤差測定基準は、物体の点の組での、異なる連続する点の間の距離の二乗平均平方根値を表す。
【0024】
それによって、物体の振動周波数を決定するために、物体上の点の振動の主サイクルを取得する。
【0025】
別の実施形態は、物体に関連する振動特性を測定するための装置を含み、この装置は、少なくとも2つの光源を備える照光デバイスであって、少なくとも2つの光源は、異なる色の光を発光し、少なくとも2つの光源のそれぞれは、それぞれの遅延でストロボ発光させられる照光デバイスと、結果として物体の1つの画像となるように、物体からの反射光を取り込むためのカラーカメラであって、画像は、光の異なる色を識別することが可能な、少なくとも2つの識別可能色チャネルを含むカラーカメラと、画像の少なくとも2つの識別可能色チャネルで、物体の位置から、物体に関連する振動特性のために、画像を処理するためのプロセッサとを備える。
【0026】
それによって、物体の振動に関連する特性を測定するための、高価な高速度カメラが必要でなくなる。
【0027】
本発明はさらに、添付図面に示される例示された実施形態を参照して、以下で説明される。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本明細書の実施形態による、物体の動きに関連する振動特性を測定するための装置を図示するブロック図である。
【図2】本明細書の実施形態による、物体の高速度画像を獲得するための、光源のストロボ発光を図示する概略図である。
【図3】本明細書の実施形態による、画像のサンプル収集位相の一例としての図示を例示する図である。
【図4A】本明細書の実施形態による、適正なラッピング時間でのクラスタリングされた画像サンプルの一例としての図示を例示する図である。
【図4B】本明細書の実施形態による、不適正なラッピング時間での散在する画像サンプルの一例としての図示を例示する図である。
【図5】本明細書の実施形態による、振動する物体の変位を計算する方法を例示するフロー図である。
【図6】本明細書の実施形態による、時間ラッピングアルゴリズムを使用する、物体の振動の周波数を測定する方法を例示するフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
様々な実施形態が、図面を参照して説明され、図面を通じて、同じ参照番号が、同じ要素を参照するために使用される。以下の記述では、説明のために、多くの具体的な詳細が、1つまたは複数の実施形態の完全な理解をもたらすために示される。そのような実施形態が、これらの具体的な詳細なしに実施され得ることは、明らかであろう。
【0030】
図1は、本発明の実施形態による、物体12の動きに関連する振動特性を測定するための装置を図示するブロック図を例示する。装置10は、物体12を照光するための照光デバイス11と、振動する物体12の画像を取り込むためのカメラ13と、物体12の振動特性を計算するための画像処理手段14とを備える。ここで測定される物体12の振動特性は、変位および周波数を含む。
【0031】
図1の示される例では、照光デバイス11は、少なくとも2つの光源17を備え、光源は、異なる色の光を発光する。光源17は、赤色、緑色および青色の原色から選択される。光源17のそれぞれは、それぞれの所定の遅延で、それぞれの所定のオン時間の間、ストロボ発光させられる。物体12は、それぞれの所定のオン時間の間、光源17によりそれに照射される光を反射するものとする。例えば、赤色光源、緑色光源および青色光源などの3つの光源17を備える照光デバイス11を使用して照光される物体12は、赤色光、緑色光および青色光をそれぞれ反射することになる。
【0032】
カメラ13は、光源17のストロボ発光の全体の持続期間にわたって露光され、それによって、物体12からの異なる色の反射光を、識別可能色チャネルを含む1つの画像に取り込む。取得される画像は、複数の色チャネルを含む複合画像である。一例として、画像内の色チャネルの数は、物体12を照光する光源の数に相当する。したがって、複合画像は、光源により生成される光の異なる色、例えば、赤色、緑色および青色を識別することが可能である色チャネルを含む。このように、異なる色の光を発光する光源17で物体12を照光し、光源17のストロボ発光の全体の持続期間にわたって、カメラを露光することは、物体12により反射される光の異なる色を、様々な時間の場合に、1つの画像に取り込むことを可能にする。物体12からの異なる色の反射光を、様々な時間の場合に、1つの画像に取り込むことは、振動する物体12のイメージングを可能にする。物体12からの反射光の、光の異なる色を識別することが可能な色チャネルでの取り込みは、物体12の位置を、様々な時間の場合に決定することを可能にする。
【0033】
ある実施形態では、画像処理手段14は、メモリ16に動作可能に結合されるプロセッサ15を備える。プロセッサ15は、物体12の特徴点18の位置を、画像の異なる色チャネルで決定することにより、物体12の振動特性を計算するために、カメラ13により取り込まれる画像を処理する。メモリ16は、その中に格納される、物体12の振動の変位および周波数を決定するためのアルゴリズムを含むことができる。振動する物体12上の様々な点18での変位は、特徴点の位置により取り込まれる。パターンマッチングアルゴリズムは、画像の異なる色チャネルで、物体12上の様々な点18を整合することを可能にする。画像の2つの色チャネルでの、物体12の点18の間の距離は、物体12の変位を与える。
【0034】
異なる色チャネルでの物体12の異なる位置での画像が、取り込まれ、次いで、特徴点を取得するために分析される。十分な数の画像が取得される後で、メモリ16にフィードされるアルゴリズムが、振動する物体12上の点の組で、各点18の周波数を算出するために使用される。
【0035】
図2は、本明細書の実施形態による、物体の高速度画像を獲得するための、光源のストロボ発光を図示する概略図を例示する。図2の例では、照光デバイス11は、3つの光源17を備える。装置10は、照光デバイス11を使用して、物体12の高速度画像を獲得し、同じ露光時間でカメラ13を使用して、画像を取り込む。照光デバイス11は、例えば、RGBストロボ光源17であってよい。光源17のそれぞれは、時間遅延の後、参照周期から、オン時間の間、ストロボ発光される。カメラ13は、光源17を使用する物体12の照光による、物体12からの反射光が、単一の画像フレームに取り込まれるように、しばらく露光される。したがって、この場合、低コストのカメラ13は、わずかな時間の間隔だけ離れた、3つの画像フレームを取得することができる。画像獲得時間に対応するフレーム間遅延が発生し、連続する画像獲得がこれに続く。
【0036】
このように、異なる色の光を発光する光源17で物体12を照光し、光源17のストロボ発光の全体の持続期間にわたって、カメラ13を露光することは、物体12により反射される光の異なる色を、様々な時間の場合に、1つの画像に取り込むことを可能にする。物体12からの異なる色の反射光を、様々な時間の場合に、1つの画像に取り込むことは、振動する物体12のイメージングを可能にする。物体12からの反射光の、光の異なる色を識別することが可能な色チャネルでの取り込みは、物体12の位置を、様々な時間の場合に決定することを可能にする。振動する物体12上の様々な点での変位は、画像の少なくとも2つの色チャネルで、物体12の特徴点の位置を調査することにより取り込まれる。
【0037】
一例として、第1の光源は赤色光源であってよく、第2の光源は緑色光源であってよく、第3の光源は青色光源であってよい。カメラ13のオン時間および時間遅延は、適用物の面積に応じて調整されてよい。例えば、非常に高速に運動する物体の周波数を取得するために、遅延は減少される場合があり、低速に運動する物体の周波数を測定するために、遅延は増加される場合がある。
【0038】
図3は、本明細書の実施形態による、画像のサンプル収集位相の一例としての図示を例示する。図3に例示されるように、信号18は、振動している物体12上の点の位置である。19(a)として示される、その周波数が測定されることになる主サイクルが選択される。装置10は、3つのサンプル(20)を、30ms間隔ごとに収集することができ、照明は、3つのサンプルを、任意のわずかな間隔で収集することを可能にする。点印として図示される3つのサンプルは、あらゆる30msのサイクル(20(a)、20(b)、20(c)、20(d)、20(e))に対して収集される。サイクル20(a)は、サンプル点(t1,y1)、(t2,y2)、(t3,y3)を与え、サイクル20(b)は、サンプル点(t4,y4)、(t5,y5)、(t6,y6)を与え、後に続くサイクルも同様である。ここで、(t1,y1)は、サンプルの獲得の時間およびサンプル獲得の時間での物体上の点の位置を表す。この位置は、運動する物体12上の特徴点を使用して、または反射マーカを使用して位置決めされる。サンプリングおよび分析は、物体12の静的振動に基づいて実行される。収集されたサンプルは、振動の主サイクルを識別するために使用される。次いで、振動周波数は、時間ラッピングアルゴリズムを使用して実行される、サイクルの時間周期の逆数を使用することにより取得され得る。
【0039】
ここで、1つの従来の画像フレームが、わずかな間隔だけ離れて獲得される色平面を含む、3つのRGBフレームに分けられる。3つのRGBフレームの次に、サンプリングレートは、カメラ画像獲得間隔により制限され、例として30msが挙げられる。大多数のシステムは周期的に振動するので、1つの獲得サイクル自体では、それは、多数のサンプルを取り込むことを必要とはしない。30ms周期での異なる位置でのサンプルが、異なるサイクルで収集される。このように、30msの1つの獲得周期の間に、異なる部分で、適切なサンプルが収集される。
【0040】
図4Aは、本明細書の実施形態による、適正なラッピング時間でのクラスタリングされた画像サンプルの一例としての図示を例示する。初めに、時間周期Twが、画像獲得のための間隔として設定される。異なる位置での画像データのサンプルが、時間周期の異なる部分で測定される。このように取得されたサンプルは、初期化された時間周期Twにラッピングされる。例えば、Tw=10ならば、(2.1,3.2)、(3.2,.123)、(4.5,.34)、(12.5,.91)、(22.4,.21)、(25.1,-2.3)でのサンプルが、(2.1,3.2)、(3.2,.123)、(4.5,.34)、(12.5,.91)、(22.4,.21)、(25.1,-2.3)としてラッピングされることになる。サンプルのラッピング時間が、初期化された時間周期Twと整合するならば、サンプル画像データ点は、図4Aに例示されるようにクラスタリングされることになる。次いで、この時間周期は、振動の周波数をさらに算出するために、振動現象の主サイクルとして選択される。
【0041】
図4Bは、本明細書の実施形態による、不適正なラッピング時間での散在する画像サンプルの一例としての図示を例示する。初めに、時間周期Twが、画像獲得のための間隔として設定される。異なる位置での画像データのサンプルが、時間周期の異なる部分で測定される。このように取得されたサンプルは、初期化された時間周期Twにラッピングされる。サンプルが、初期化された時間周期Twと比較して不適正な時間でラッピングされるならば、サンプル画像データ点は、図4Bに例示されるように散在することになる。この場合には、物体12の異なる連続する点の間のペアワイズの距離の二乗平均平方根値を測定することにより、誤差測定基準が取得される。次いで、時間周期Twが走査的に調査され、誤差測定基準の最小値に対応するTwの値が算出される。これが、物体12の点18の振動の主サイクルを与える。したがって、物体12の振動の周波数は、主サイクルの時間周期の逆数を取ることにより取得され得る。
【0042】
図5は、本明細書の実施形態による、物体の異なる点での変位を計算する方法を例示するフロー図を例示する。ブロック51では、物体12の位置情報が、画像の少なくとも2つの色チャネルの2つの色チャネルで取得される。次に、ブロック52では、物体12が、少なくとも2つの色チャネルの2つの色チャネルで、点の組を取得するために、点18に置換される。ブロック53では、画像の少なくとも2つの色チャネルの2つの色チャネルの点の組で、物体12の対応する点18がマッピングされる。次にブロック54に移ると、物体12上の様々な点18での変位が、画像の2つの色チャネルで、物体12の対応する点18の間の距離として計算される。
【0043】
好ましくは、2つの色チャネルでの物体12の点18の位置情報は、パターンマッチングアルゴリズムを使用して取得される。
【0044】
図6は、本明細書の実施形態による、時間ラッピングアルゴリズムを使用する、物体の振動の周波数を測定する方法を例示するフロー図を例示する。ブロック61では、カメラ13が、振動する物体12の画像を単一の露光フレームで取り込むために、物体12に向けて露光される。RGBストロボ発光システムである照光デバイス11は、RGBストロボ光を使用して、物体12の高速度画像を獲得する。ブロック62では、物体12は、赤色光でストロボ発光され、赤色画素が、画像を獲得する。わずかな時間の間隔の後には、物体12は、数画素分離れた位置に移動し、次いで、ブロック63で、物体12は、緑色光でストロボ発光される。ブロック64では、物体12は、青色光でストロボ発光される。ブロック65では、カメラ13が、全体の時間間隔にわたって露光され続けている間に、複合画像が結果として出力する。ブロック66では、物体12のストロボ時間および特徴点が取り込まれ、物体12上の点18の位置および変位が取得される。ブロック67では、画像獲得サイクルが、画像獲得時間に対応するわずかなサイクル間遅延の後で反復する。ブロック68では、時間ラッピングアルゴリズムが、格納された点18に関して実行される。次に、ブロック69では、振動の周波数が、対応する画像データを獲得された画像データのラッピング時間でマッピングすることにより、画像獲得の主サイクルを計算することによって測定される。
【0045】
好ましくは、ラッピング時間が、初期化された時間周期のそれと同じならば、画像データ点がクラスタリングされる。ラッピング時間が、その時間周期と異なるならば、画像の少なくとも2つの色チャネルで、物体12の点の組で、点18の誤差測定基準の最小値に対応する時間周期が計算される。誤差測定基準は、物体12の点の組で、異なる連続する点18の間の距離の二乗平均平方根値を表す。
【0046】
このように、本明細書で説明される実施形態は、高速度で運動する物体の変位、周波数等のような特性を、比較的高価ではないカメラを使用して決定することを可能にする。さらには、測定されるパラメータの精度は、比較的高い。その上、本明細書で説明される技術は、高速度で運動する物体12の画像を取り込むための、大容積であり、外部冷却システムを必要とする、高速度カメラという必要品を不要にする。さらには、装置は、より大きなダイナミックレンジを示し、追加的な組み立てなしに使用され得る。
【0047】
上記に鑑みて、説明された利点のために、本明細書で開示される物体の振動周波数を測定するための装置は、多様な分野での広範囲な用途を有する。それは、性能分析のための、クランクシャフトおよびショックアブソーバなどの機械部品に関する、負荷の、および動的な、応力およびひずみの予測のために使用され得る。一般には、材料の寿命時間は、振動周波数により推定され得る疲労負荷サイクルの数により測定される。負荷サイクルの数が、リアルタイムで算出されるので、この装置は、圧力を受ける物体の寿命のより良好な推定を提供し、それによって、不測の損傷を回避する。
【0048】
この装置は、大規模な土木構造物、振動する膜、および物体の振動モード形状分析を評価するために使用され得る。
【0049】
本発明は、特定の好ましい実施形態を参照して詳細に説明されたが、本発明は、それらの厳密な実施形態に限定されないということを理解されたい。むしろ、本発明を実施するための現在のベストモードを説明する本開示に鑑みれば、当業者に対しては、本発明の範囲および趣旨から逸脱することなく、多数の修正および変化が出現するであろう。したがって、本発明の範囲は、前述の説明によってではなく、以下の特許請求の範囲によって示される。特許請求の範囲の同義の趣旨および領域内にある、すべての変更、修正、および変化は、それらの範囲内にあると見なされるべきである。
【符号の説明】
【0050】
10 装置
11 照光デバイス
12 物体
13 カメラ
14 画像処理手段
15 プロセッサ
16 メモリ
17 光源
18 特徴点、点、信号
20(a)、20(b)、20(c)、20(d)、20(e) サイクル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体(12)に関連する振動特性を測定する方法であって、
少なくとも2つの光源(17)を使用して前記物体(12)を照光するステップであって、前記少なくとも2つの光源(17)は、異なる色の光を発光し、前記少なくとも2つの光源(17)のそれぞれは、それぞれの遅延でストロボ発光させられるステップと、
結果として前記物体(12)の1つの画像となるように、前記物体(12)からの反射光を取り込むステップであって、前記画像は、前記光の前記異なる色を識別することが可能な、少なくとも2つの識別可能色チャネルを含むステップと、
前記画像の前記少なくとも2つの識別可能色チャネルで、前記物体(12)上の点(18)の位置から、前記物体(12)に関連する前記振動特性を計算するために、前記画像を処理するステップと
を含む方法。
【請求項2】
前記少なくとも2つの光源(17)のそれぞれは、所定のオン時間の間、前記それぞれの遅延でストロボ発光させられ、
前記それぞれの遅延は、所定のものである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも2つの光源(17)は、赤色光源、緑色光源、および青色光源からなるグループから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記物体12に関連する前記振動特性は、周波数および変位の少なくとも1つを含むグループの1つである、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記変位は、前記画像の前記少なくとも2つの識別可能色チャネルの2つの色チャネルで、前記物体(12)上の前記点(18)の位置の間の距離として計算される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記物体(12)上の前記点(18)での前記変位は、特徴点および反射マーカの少なくとも1つを使用して位置決めされる、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記変位は、パターンマッチングアルゴリズムを使用して計算される、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
前記パターンマッチングアルゴリズムを使用する前記変位の計算は、
前記画像の前記少なくとも2つの色チャネルの2つの色チャネルで、前記物体(12)上の前記点(18)の位置情報を取得するステップと、
点の組を取得するために、前記画像の前記少なくとも2つの色チャネルの前記2つの色チャネルで、前記物体(12)を前記点(18)に置換するステップと、
前記画像の前記少なくとも2つの色チャネルの前記2つの色チャネルの前記点の組で、前記物体(12)の対応する点(18)をマッピングするステップと、
前記画像の前記少なくとも2つの色チャネルの前記2つの色チャネルの前記点の組で、前記物体12の対応する前記点(18)の間の距離として、前記物体(12)の前記変位を計算するステップと
を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記物体(12)の振動の前記周波数は、時間ラッピングアルゴリズムを使用して計算される、請求項4に記載の方法。
【請求項10】
前記ラッピングアルゴリズムを使用する前記周波数の計算は、
前記画像の前記少なくとも2つの識別可能色チャネルで、前記振動する物体(12)上の前記点(18)の位置情報を取得するための時間周期を初期化するステップと、
前記画像の前記少なくとも2つの色チャネルの前記2つの色チャネルで、前記物体12上の前記点(18)の位置情報を前記時間周期にラッピングするステップと、
前記時間周期で、前記画像の前記少なくとも2つの色チャネルの前記2つの色チャネルの前記点の組で、前記物体(12)の対応する前記点(18)をマッピングするステップと、
前記点(18)のラップ時間周期を前記時間周期と等しくすることにより、主サイクルの時間周期を計算するステップと
を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記ラップ時間周期が、前記時間周期と異なるならば、前記画像の前記少なくとも2つの色チャネルで、前記物体(12)の前記点の組で、前記点(18)の誤差測定基準の最小値に対応する時間周期が計算される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記誤差測定基準は、前記物体(12)の前記点の組での、異なる連続する前記点(18)の間の距離の二乗平均平方根値を表す、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
物体(12)に関連する振動特性を測定するための装置(10)であって、
少なくとも2つの光源(17)を備える照光デバイス(11)であって、前記少なくとも2つの光源(17)は、異なる色の光を発光し、前記少なくとも2つの光源(17)のそれぞれは、それぞれの遅延でストロボ発光させられる照光デバイスと、
結果として前記物体(12)の1つの画像となるように、前記物体12からの反射光を取り込むためのカラーカメラ(13)であって、前記画像は、前記光の前記異なる色を識別することが可能な、少なくとも2つの識別可能色チャネルを含むカラーカメラと、
前記画像の前記少なくとも2つの識別可能色チャネルで、前記物体(12)上の点(18)の位置から、前記物体(12)に関連する前記振動特性を取得するために、前記画像を処理するための処理手段(14)と
を備える装置(10)。
【請求項14】
前記少なくとも2つの光源(17)のそれぞれは、所定のオン時間の間、前記それぞれの遅延でストロボ発光させられ、前記それぞれの遅延は、所定のものである、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記少なくとも2つの光源(17)は、赤色光源、緑色光源、および青色光源からなるグループから選択される、請求項13に記載の装置。
【請求項16】
前記物体(12)に関連する前記振動特性は、周波数および変位の少なくとも1つを含むグループの1つである、請求項13に記載の装置。
【請求項17】
前記変位は、前記画像の前記少なくとも2つの識別可能色チャネルの2つの色チャネルで、前記物体(12)上の前記点(18)の位置の間の距離として計算される、請求項13に記載の装置。
【請求項18】
前記物体(12)上の前記点での前記変位は、特徴点および反射マーカの少なくとも1つを使用して位置決めされる、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記変位は、パターンマッチングアルゴリズムを使用して計算される、請求項16に記載の装置。
【請求項20】
前記パターンマッチングアルゴリズムを使用する前記変位の計算は、前記プロセッサを、
前記画像の前記少なくとも2つの色チャネルの2つの色チャネルで、前記物体(12)上の前記点(18)の位置情報を取得し、
点の組を取得するために、前記画像の前記少なくとも2つの色チャネルの前記2つの色チャネルで、前記物体(12)を前記点(18)に置換し、
前記画像の前記少なくとも2つの色チャネルの前記2つの色チャネルの前記点の組で、前記物体(12)の対応する点をマッピングし、
前記画像の前記少なくとも2つの色チャネルの前記2つの色チャネルの前記点の組で、前記物体(12)の対応する前記点(18)の間の距離として、前記物体(12)の前記変位を計算する
ように構成するステップを含む、請求項19に記載の装置。
【請求項21】
前記物体(12)上の点(18)の振動の前記周波数は、時間ラッピングアルゴリズムを使用して計算される、請求項16に記載の装置。
【請求項22】
前記時間ラッピングアルゴリズムを使用する前記周波数の計算するステップは、前記プロセッサ(15)を、
前記画像の前記少なくとも2つの識別可能色チャネルで、前記振動する物体(12)上の前記点(18)の位置情報を取得するための時間周期を初期化し、
前記画像の前記少なくとも2つの色チャネルの前記2つの色チャネルで、前記物体(12)上の前記点(18)の前記位置情報を前記時間周期にラッピングし、
前記時間周期で、前記画像の前記少なくとも2つの色チャネルの前記2つの色チャネルの前記点の組で、前記物体(12)の対応する前記点(18)をマッピングし、
前記点(18)のラップ時間周期を前記時間周期と等しくすることにより、主サイクルの時間周期を計算する
ように構成するステップを含む、請求項21に記載の装置。
【請求項23】
前記ラップ時間周期が、前記時間周期と異なるならば、前記画像の前記少なくとも2つの色チャネルで、前記物体(12)の前記点の組で、前記点(18)の誤差測定基準の最小値に対応する時間周期が計算される、請求項22に記載の装置。
【請求項24】
前記誤差測定基準は、前記物体(12)の前記点の組での、異なる連続する前記点(18)の間の距離の二乗平均平方根値を表す、請求項23に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2012−516432(P2012−516432A)
【公表日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−546639(P2011−546639)
【出願日】平成21年11月24日(2009.11.24)
【国際出願番号】PCT/EP2009/065715
【国際公開番号】WO2010/086044
【国際公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【出願人】(508008865)シーメンス アクティエンゲゼルシャフト (99)
【Fターム(参考)】