説明

物体の搬出方法、物体の交換方法、物体保持装置、露光装置、フラットパネルディスプレイの製造方法、及びデバイス製造方法

【課題】基板ステージ上の基板の搬出を迅速に行う。
【解決手段】 基板ホルダ30aには、基板Pの搬送に用いられる基板トレイ40aを収容するX溝31xが形成されている。また、X溝31x内には、基板トレイ40aを押圧して基板トレイ40aと共に基板Pを移動させる基板搬出装置70aが設けられている。このため、基板Pに対する露光処理が終了した後、基板Pの交換のために基板ステージ20aを基板交換位置に位置させる前に基板Pの搬出動作を開始することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物体の搬出方法、物体の交換方法、物体保持装置、露光装置、フラットパネルディスプレイの製造方法、及びデバイス製造方法に係り、更に詳しくは、物体保持装置上の物体を物体支持部材と共に前記物体保持装置から搬出する物体の搬出方法、前記物体の搬出方法を含む前記物体保持装置上の物体の交換方法、前記物体の搬出のための搬出装置の少なくとも一部を備える物体保持装置、前記物体保持装置を備える露光装置、前記露光装置を用いるフラットパネルディスプレイの製造方法、及び前記露光装置を用いるデバイス製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液晶表示素子、半導体素子(集積回路等)等の電子デバイス(マイクロデバイス)を製造するリソグラフィ工程では、主として、ステップ・アンド・リピート方式の投影露光装置(いわゆるステッパ)、あるいはステップ・アンド・スキャン方式の投影露光装置(いわゆるスキャニング・ステッパ(スキャナとも呼ばれる))などが用いられている。
【0003】
この種の露光装置としては、露光対象物であるガラスプレート又はウエハ(以下、「基板」と総称する)を所定の基板搬送装置を用いて基板ステージ装置に対して搬入及び搬出するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
ここで、露光装置では、基板ステージ装置に保持された基板への露光処理が終了すると、その基板は基板ステージ上から搬出され、基板ステージ上には別の基板が搬送されることにより、複数の基板に対して連続して露光処理が行われる。従って、複数の基板に対して連続して露光処理を行う際には、基板ステージ装置からの基板の搬出を迅速に行うことが好ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第6,559,928号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の事情の下でなされたもので、第1の観点からすると、物体を保持する物体保持部材と前記物体の搬送に用いられる物体支持部材とを保持した物体保持装置を、該物体保持部材上から前記物体を搬出する物体搬出位置に向けて移動させることと、前記物体保持装置が前記物体搬出位置に到達する前に、前記物体を前記物体保持部材上から搬出する搬出動作を開始することと、を含む物体の搬出方法である。
【0007】
これによれば、物体保持装置が物体搬出位置に到達する前に物体の搬出動作が開始されるので、物体保持部材上の物体の搬出動作を迅速に行うことができる。
【0008】
本発明は、第2の観点からすると、本発明の第1の観点にかかる物体の搬出方法と、前記物体保持装置が前記物体搬出位置に到達する前に、別の物体支持部材に支持された別の物体を所定の待機位置に待機させることと、前記物体保持装置が前記物体搬出位置に位置した状態で前記物体と該物体を支持する前記物体支持部材とを前記物体保持装置から搬出することと、前記待機位置に位置する前記別の物体と該別の物体を支持する前記別の物体支持部材とを共に前記物体保持装置上に搬入することと、を含む物体保持装置上の物体の交換方法である。
【0009】
本発明は、第3の観点からすると、物体と該物体の搬送に用いられる物体支持部材とを保持する物体保持部材と、前記物体保持部材が保持する前記物体と該物体を支持する前記物体支持部材とを共に前記物体保持部材上から搬出する搬出装置の少なくとも一部と、を備える物体保持装置である。
【0010】
本発明は、第4の観点からすると、本発明の第3の観点にかかる物体保持装置と、前記物体にエネルギビームを用いて所定のパターンを形成するパターン形成装置と、を備える露光装置である。
【0011】
本発明は、第5の観点からすると、本発明の第4の観点にかかる露光装置を用いて前記物体を露光することと、露光された前記物体を現像することと、を含むフラットパネルディスプレイの製造方法である。
【0012】
本発明は、第6の観点からすると、本発明の第4の観点にかかる露光装置を用いて前記物体を露光することと、露光された前記物体を現像することと、を含むデバイス製造方法である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】第1の実施形態の液晶露光装置の構成を概略的に示す図である。
【図2】図2(A)は、図1の液晶露光装置で用いられる基板トレイの平面図、図2(B)は、図2(A)の基板トレイの側面図である。
【図3】図1の液晶露光装置が有する基板ホルダ及びポート部の平面図である。
【図4】図4(A)は、基板ホルダと基板トレイとが組み合わされた状態を示す平面図、図4(B)は、図4(A)のA−A線断面図である。
【図5】図1の液晶露光装置が有する基板搬入装置の平面図である。
【図6】図6(A)〜図6(C)は、基板搬入動作を説明するための図(その1〜その3)である。
【図7】図7(A)及び図7(B)は、基板搬出動作を説明するための図(その1及びその2)である。
【図8】図8(A)〜図8(C)は、基板ホルダ上の基板交換動作を説明するための図(その1〜その3)である。
【図9】図9(A)は、第2の実施形態に係る基板トレイの平面図、図9(B)は、図9(A)の基板トレイの側面図である。
【図10】第2の実施形態に係る基板ホルダ及びポート部の平面図である。
【図11】図11(A)〜図11(C)は、第2の実施形態の基板搬出動作を説明するための図(その1〜その3)である。
【図12】第3の実施形態に係る基板ホルダ及びポート部の平面図である。
【図13】第4の実施形態に係る基板ホルダの断面図である。
【図14】図14(A)は、第5の実施形態に係る基板ホルダの平面図、図14(B)は、図14(A)の基板ホルダと基板トレイとが組み合わされた状態を示す図である。
【図15】図15(A)は、第6の実施形態に係る基板トレイの平面図、図15(B)は、図15(A)の基板トレイと第6の実施形態に係る基板ホルダとが組み合わされた状態を示す図である。
【図16】第6の実施形態に係る基板ホルダ、及びポート部の平面図である。
【図17】図17(A)は、第7の実施形態に係る基板トレイ、基板ホルダ、及びポート部の平面図であり、図17(B)は、第7の実施形態における基板搬出動作を説明するための図である。
【図18】第8の実施形態に係るポート部の平面図である。
【図19】第8の実施形態の基板搬出時における基板の動作を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
《第1の実施形態》
以下、第1の実施形態について、図1〜図8(C)を用いて説明する。
【0015】
図1には、第1の実施形態の液晶露光装置10の構成が概略的に示されている。液晶露光装置10は、例えば液晶表示装置(フラットパネルディスプレイ)などに用いられる矩形(角型)のガラス基板P(以下、単に基板Pと称する)を露光対象物とする投影露光装置である。
【0016】
液晶露光装置10は、照明系IOP、マスクMを保持するマスクステージMST、投影光学系PL、表面(図1で+Z側を向いた面)にレジスト(感応剤)が塗布された基板Pを保持する基板ステージ装置PST、基板搬入装置50、外部装置との間で基板の受け渡しを行うポート部60a、及びこれらの制御系等を含む。以下においては、露光時にマスクMと基板Pとが投影光学系PLに対してそれぞれ相対走査される方向をX軸方向とし、水平面内でX軸に直交する方向をY軸方向、X軸及びY軸に直交する方向をZ軸方向とし、X軸、Y軸、及びZ軸回りの回転方向をそれぞれθx、θy、及びθz方向として説明を行う。また、X軸、Y軸、及びZ軸方向に関する位置をそれぞれX位置、Y位置、及びZ位置として説明を行う。
【0017】
照明系IOPは、例えば米国特許第6,552,775号明細書などに開示される照明系と同様に構成されている。すなわち、照明系IOPは、図示しない光源(例えば、水銀ランプ)から射出された光を、それぞれ図示しない反射鏡、ダイクロイックミラー、シャッター、波長選択フィルタ、各種レンズなどを介して、露光用照明光(照明光)ILとしてマスクMに照射する。照明光ILとしては、例えばi線(波長365nm)、g線(波長436nm)、h線(波長405nm)などの光(あるいは、上記i線、g線、h線の合成光)が用いられる。
【0018】
マスクステージMSTには、回路パターンなどがそのパターン面に形成されたマスクMが、例えば真空吸着により吸着保持されている。マスクステージMSTは、装置本体(ボディ)の一部である鏡筒定盤16上に搭載され、例えばリニアモータを含むマスクステージ駆動系(不図示)により走査方向(X軸方向)に所定の長ストロークで駆動されるとともに、Y軸方向、及びθz方向に適宜微少駆動される。マスクステージMSTのXY平面内の位置情報(θz方向の回転情報を含む)は、不図示のレーザ干渉計を含むマスク干渉計システムにより求められる。
【0019】
投影光学系PLは、マスクステージMSTの下方に配置され、鏡筒定盤16に支持されている。投影光学系PLは、例えば米国特許第6,552,775号明細書に開示された投影光学系と同様に構成されている。すなわち、投影光学系PLは、マスクMのパターン像の投影領域が千鳥状に配置された複数の投影光学系(マルチレンズ投影光学系)を含み、Y軸方向を長手方向とする長方形状の単一のイメージフィールドを持つ投影光学系と同等に機能する。本実施形態では、複数の投影光学系それぞれとしては、例えば両側テレセントリックな等倍系で正立正像を形成するものが用いられている。
【0020】
このため、照明系IOPからの照明光ILによってマスクM上の照明領域が照明されると、マスクMを通過した照明光ILにより、投影光学系PLを介してその照明領域内のマスクMの回路パターンの投影像(部分正立像)が、基板P上の照明領域に共役な照明光ILの照射領域(露光領域)に形成される。そして、マスクステージMSTと基板ステージ装置PSTとの同期駆動によって、照明領域(照明光IL)に対してマスクMを走査方向に相対移動させるとともに、露光領域(照明光IL)に対して基板Pを走査方向に相対移動させることで、基板P上の1つのショット領域の走査露光が行われ、そのショット領域にマスクMに形成されたパターンが転写される。すなわち、本実施形態では照明系IOP及び投影光学系PLによって基板P上にマスクMのパターンが生成され、照明光ILによる基板P上の感応層(レジスト層)の露光によって基板P上にそのパターンが形成される。
【0021】
基板ステージ装置PSTは、定盤12、及び定盤12の上方に配置された基板ステージ20aを備えている。
【0022】
定盤12は、平面視で(+Z側から見て)矩形の板状部材から成り、その上面は、平面度が非常に高く仕上げられている。定盤12は、装置本体の一部である基板ステージ架台13上に搭載されている。基板ステージ架台13を含み、装置本体は、クリーンルームの床11上に設置された防振装置14上に搭載されており、これにより上記マスクステージMST、投影光学系PLなどが床11に対して振動的に分離される。
【0023】
基板ステージ20aは、X粗動ステージ23X、X粗動ステージ23X上に搭載されX粗動ステージ23Xと共にいわゆるガントリ式XY2軸ステージ装置を構成するY粗動ステージ23Y、Y粗動ステージ23Yの+Z側(上方)に配置された微動ステージ21、基板Pを保持する基板ホルダ30a、定盤12上で微動ステージ21を下方から支持する重量キャンセル装置26などを備えている。
【0024】
X粗動ステージ23Xは、平面視でY軸方向を長手方向とする矩形の部材から成り、その中央部にY軸方向を長手方向とする長孔状の開口部(不図示)が形成されている。X粗動ステージ23Xは、床11上に装置本体と分離して設置されたX軸方向に延びる不図示のガイド部材上に搭載されており、例えば露光時のスキャン動作、基板交換動作時などにリニアモータなどを含むXステージ駆動系によりX軸方向に所定のストロークで駆動される。
【0025】
Y粗動ステージ23Yは、平面視矩形の部材から成り、その中央部に開口部(不図示)が形成されている。Y粗動ステージ23Yは、X粗動ステージ23X上にYリニアガイド装置25を介して搭載されており、例えば露光時のYステップ動作時などにリニアモータなどを含むYステージ駆動系によりX粗動ステージ23X上でY軸方向に所定のストロークで駆動される。また、Y粗動ステージ23Yは、Yリニアガイド装置25の作用により、X粗動ステージ23Xと一体的にX軸方向に移動する。
【0026】
微動ステージ21は、平面視ほぼ正方形の高さの低い直方体状の部材から成る。微動ステージ21は、Y粗動ステージ23Yに固定された固定子と、微動ステージ21に固定された可動子とから成る複数のボイスコイルモータ(あるいはリニアモータ)を含む微動ステージ駆動系により、Y粗動ステージ23Yに対して6自由度方向(X軸、Y軸、Z軸、θx、θy、θz方向)に微少駆動される。複数のボイスコイルモータには、微動ステージ21をX軸方向に微少駆動する複数(図1では紙面奥行き方向に重なっている)のXボイスコイルモータ29x、微動ステージ21をY軸方向に微少駆動する複数のYボイスコイルモータ(不図示)、微動ステージ21をZ軸方向に微少駆動する複数(例えば微動ステージ21の四隅部に対応する位置に配置されている)のZボイスコイルモータ29zが含まれる。
【0027】
また、微動ステージ21は、上記複数のボイスコイルモータを介してY粗動ステージ23Yに誘導されることにより、Y粗動ステージ23Yと共にX軸方向、及び/又はY軸方向にXY平面に沿って所定のストロークで移動する。微動ステージ21のXY平面内の位置情報は、微動ステージ21にミラーベース24を介して固定された移動鏡(X軸に直交する反射面を有するX移動鏡22xと、Y軸に直交する反射面を有するY移動鏡(不図示)とを含む)に測長ビームを照射する不図示の干渉計(X移動鏡22xを用いて微動ステージ21のX位置を計測するX干渉計と、Y移動鏡を用いて微動ステージ21のY位置を計測するY干渉計とを含む)を含む基板干渉計システムにより求められる。微動ステージ駆動系、及び基板干渉計システムの構成については、例えば米国特許出願公開第2010/0018950号明細書に開示されている。
【0028】
基板ホルダ30aは、X軸方向を長手方向とする平面視矩形の高さの低い直方体状の部材から成り、微動ステージ21の上面上に固定されている。基板ホルダ30aの上面には、不図示の複数の孔部が形成されている。基板ホルダ30aは、外部に設けられたバキューム装置に接続されており、上記バキューム装置により基板Pを吸着保持することができるようになっている。基板ホルダ30aの構成については、後に詳しく説明する。
【0029】
重量キャンセル装置26は、Z軸方向に延びる一本の柱状の部材から成り(心柱とも称される)、レベリング装置27と称される装置を介して、微動ステージ21の中央部を下方から支持している。重量キャンセル装置26は、X粗動ステージ23X、及びY粗動ステージ23Yそれぞれの開口部内に挿入されている。重量キャンセル装置26は、その下面部に取り付けられた複数のエアベアリング26aを介して定盤12上に微少なクリアランスを介して浮上している。重量キャンセル装置26は、そのZ軸方向に関する重心高さ位置で複数の連結装置26bを介してY粗動ステージ23Yに接続されており、Y粗動ステージ23Yに牽引されることにより、そのY粗動ステージ23Yと共にY軸方向、及び/又はX軸方向に定盤12上を移動する。
【0030】
重量キャンセル装置26は、例えば不図示の空気ばねを有しており、空気ばねが発生する鉛直方向上向きの力により、微動ステージ21、レベリング装置27、基板ホルダ30aなどの重量(鉛直方向下向きの力)をキャンセルし、これにより微動ステージ駆動系が有する複数のボイスコイルモータの負荷を軽減する。レベリング装置27は、微動ステージ21をXY平面に対して揺動(チルト動作)可能に下方から支持している。レベリング装置27は、不図示のエアベアリングを介して重量キャンセル装置26に下方から非接触支持されている。レベリング装置27、連結装置26bを含み、重量キャンセル装置26の詳細な構成、及び動作については、例えば米国特許出願公開第2010/0018950号明細書などに開示されている。
【0031】
ここで、液晶露光装置10において、基板ホルダ30aへの基板Pの搬入(ロード)、及び基板ホルダ30aからの基板Pの搬出(アンロード)は、基板Pを図2(A)及び図2(B)に示される基板トレイ40aと称される部材上に載置して行われる。
【0032】
基板トレイ40aは、図2(A)に示されるように、複数の支持部材41、連結部材42、複数の補剛部材43などを有している。支持部材41は、X軸方向に延びる棒状の部材から成り、長手方向に直交する断面(YZ断面)の形状は、矩形となっている。複数の支持部材41は、Y軸方向にほぼ均等な間隔で互いに平行に配置されている。図5に示されるように、支持部材41の長手方向寸法は、基板PのX軸方向の寸法よりも幾分長く設定されており、基板トレイ40aは、複数の支持部材41を用いて基板Pを下方から支持する。複数の支持部材41それぞれの上面には、不図示の微少な孔部が複数形成されており、該複数の孔部を介して基板Pを吸着保持することができる。なお、図2(A)、図4、図5などに示される本第1の実施形態の基板トレイ40aは、一例として3本の支持部材41を有しているが、支持部材41の本数は、これに限られず、例えば基板Pの大きさ、厚さ(撓みやすさ)などに応じて適宜変更可能である。
【0033】
複数の支持部材41それぞれの+X側の端部には、図2(B)に示されるように、−X側から+X側に向けて細くなるテーパ面を有するテーパ部材44a(円錐台状の部材)が取り付けられている。また、複数の支持部材41それぞれの−X側の端部には、+X側から−X側に向けて細くなるテーパ面を有するテーパ部材44bが取り付けられている。
【0034】
連結部材42は、図2(A)及び図2(B)から分かるように、Y軸方向に延びるXZ断面矩形の棒状の部材から成る。連結部材42は、複数の支持部材41それぞれの+X側の端部近傍における上面に形成された凹部にその下部が嵌合しており、複数の支持部材41を相互に連結している。複数の補剛部材43は、それぞれY軸方向に延びるXZ断面矩形の棒状の部材から成り、その厚さは、支持部材41よりも薄く設定されている。複数の支持部材41それぞれには、図2(B)に示されるように、その上面にX軸方向に所定間隔で凹部が形成されており、その複数の凹部それぞれに補剛部材43が嵌合している。補剛部材43が嵌合する凹部の深さは、補剛部材43の上面が支持部材41の上面よりも−Z側(あるいは同じZ位置)に位置するように設定されている。基板トレイ40aは、複数の支持部材41の長手方向の中間部が複数の補剛部材43により相互に接続されることにより、全体的な剛性が向上されている。
【0035】
また、複数の支持部材41(本実施形態では、例えば3本)のうち、中央の支持部材41は、その下面における−X側の端部近傍に直方体状の突起45aを有している。突起45aの機能については後述する。
【0036】
図3に示されるように、基板ホルダ30aの上面(基板載置面)には、上記基板トレイ40aの複数の支持部材41(図2(A)参照)に対応して、X軸に延びるX溝31xがY軸方向に所定の間隔で複数(本第1の実施形態では、例えば3本)形成されている。X溝31xは、基板ホルダ30aの+X側及び−X側それぞれの側面に開口している。複数のX溝31xのY軸方向に関する間隔は、図2(A)に示される基板トレイ40aの複数の支持部材41のY軸方向に関する間隔と概ね一致している。図4(A)に示されるように、基板Pが基板ホルダ30a上に載置された状態で、X溝31x内には、基板トレイ40aの支持部材41が収容される。また、基板ホルダ30aのX軸方向に関する長さは、支持部材41のX軸方向に関する長さよりも短く設定されており、基板トレイ40aと基板ホルダ30aとが組み合わされた状態で、連結部材42は、基板ホルダ30aの外側(基板ホルダ30aの+X側の端部よりも+X側)に位置し、テーパ部材44a、44bは、それぞれ基板ホルダ30aの外側に突き出している。
【0037】
図3に戻り、基板ホルダ30aの上面には、上記基板トレイ40aの複数の補剛部材43(図2(A)参照)に対応して、Y軸方向に延びるY溝31yがX軸方向に所定の間隔で複数(本第1の実施形態では、例えば3本)形成されている。複数のY溝31yのX軸方向に関する間隔は、図2(A)に示される基板トレイ40aの複数の補剛部材43のX軸方向に関する間隔と概ね一致しており、図4(A)に示されるように、基板トレイ40aと基板ホルダ30aとが組み合わされた状態で、Y溝31y内には、基板トレイ40aの補剛部材43が収容される。
【0038】
図3に戻り、複数のX溝31xのうち、中央のX溝31xを除く他のX溝31x(本第1の実施形態では、+Y側及び−Y側の2本のX溝31x)内それぞれには、トレイガイド装置32が複数(本第1の実施形態では、ひとつのX溝31xにつき、X軸方向に所定間隔で、例えば3つ)収容されている。トレイガイド装置32は、図4(B)に示されるように、X溝31xを規定する底面に形成された凹部33内に収容されたZアクチュエータ34、及びZアクチュエータ34によりX溝31x内で上下(Z軸)方向に駆動されるガイド部材35を有する。Zアクチュエータ34の種類は、特に限定されないが、例えば水平方向の力を垂直方向の力に変換するカム装置、送りねじ装置、エアアクチュエータなどを用いることができる。複数のトレイガイド装置32それぞれのZアクチュエータ34は、不図示の主制御装置により同期駆動される。ガイド部材35は、XY平面に平行な板状部材から成り、基板トレイ40aの支持部材41を下方から支持する。ガイド部材35の上面には、不図示の微少な孔部が複数形成されており、その孔部から加圧気体(例えば、空気)を噴出し、微少なクリアランスを介して支持部材41を浮上支持することができるようになっている。また、ガイド部材35は、上記孔部(あるいは別の孔部)を用いて、その上面上に載置された支持部材41を吸着保持することができるようになっている。
【0039】
図3に戻り、複数のX溝31xのうち、中央のX溝31x内には、基板搬出装置70aが収容されている。基板搬出装置70aは、X走行ガイド71、及び押圧部材72aを有している。X走行ガイド71は、X軸方向に延びる部材から成り、X溝31xを規定する底面に固定されている。X走行ガイド71の長手(X軸)方向の寸法は、基板ホルダ30aのX軸方向の寸法よりも長く設定されており、その長手方向の両端部それぞれが基板ホルダ30aの外側に突き出している。押圧部材72aは、図7(A)に示されるように、XZ断面L字状の部材から成り、XY平面に平行な部分がX走行ガイド71に対してX軸方向にスライド可能に係合しており、X走行ガイド71上でX軸方向に所定のストロークで駆動される。押圧部材72aを駆動するための駆動装置の種類は、特に限定されないが、例えばX走行ガイド71が有する固定子と、押圧部材72aが有する可動子とから成るXリニアモータ、あるいはX走行ガイド71が有する送りねじと、押圧部材72aが有するナットとから成る送りねじ装置などを用いることができる。
【0040】
基板搬入装置50は、図1に示されるように、第1搬送ユニット51aと第2搬送ユニット51bとを有している。第1搬送ユニット51aは、後述するポート部60aの上方に配置され、第2搬送ユニット51bは、第1搬送ユニット51aの−X側であって、基板Pの交換を行うために基板ステージ20aがポート部60aに隣接する位置(定盤12の+X側の端部近傍上の位置。以下、基板交換位置と称する)に移動したときに、基板ホルダ30aの上方に位置するように配置されている。なお、基板交換位置は、後述のように基板ホルダ30a(基板ステージ20a)に保持された基板Pを、基板ホルダ30a(基板ステージ20a)上から搬出する基板搬出位置(物体搬出位置)と換言することができる。
【0041】
第1搬送ユニット51aは、図5に示されるように、一対のX走行ガイド52、一対のX走行ガイド52に対応して設けられた一対のXスライド部材53、及び一対のXスライド部材53間に架設された保持部材54aを有している。一対のX走行ガイド52は、それぞれX軸方向に延びる部材から成り、その長手方向寸法は、基板PのX軸方向寸法よりも幾分長く設定されている。一対のX走行ガイド52は、Y軸方向に所定間隔(基板PのY軸方向寸法よりも幾分広い間隔)で互いに平行に配置されている。一対のXスライド部材53それぞれは、対応するX走行ガイド52に対してX軸方向にスライド可能に係合しており、不図示のアクチュエータ(例えば送りねじ装置、リニアモータ、ベルト駆動装置など)により、X走行ガイド52に沿って所定のストロークで同期駆動される。
【0042】
保持部材54aは、Y軸方向に延びる部材から成り、−X側を向いた面部に複数の凹部55aが形成されている。複数の凹部55aは、Y軸方向に所定間隔(基板トレイ40aの複数のテーパ部材44aのY軸方向に関する間隔とほぼ同じ間隔)で複数形成されている。凹部55aは、−X側から+X側に向けて狭くなるテーパ面により規定され、保持部材54aは、複数の凹部55a内に基板トレイ40aの複数のテーパ部材44aそれぞれが挿入されることにより、基板トレイ40aの+X側の端部を保持する。上記一対のX走行ガイド52、一対のXスライド部材53、及び保持部材54aは、不図示のZアクチュエータによりZ軸方向に所定のストロークで駆動される。なお、一対のX走行ガイド52、及び一対のXスライド部材53のZ位置を変えず、保持部材54aのみ一対のX走行ガイド52に対してZ軸方向に移動可能としても良い。第2搬送ユニット51bの構成は、基板トレイ40aのテーパ部材44bが挿入される複数の凹部55bが保持部材54bの+X側の面部に形成されている点を除き、上記第1搬送ユニット51aと同じであるので、説明を省略する。
【0043】
基板搬入装置50は、第1搬送ユニット51aの保持部材54a、及び第2搬送ユニット51bの保持部材54bによって基板トレイ40aを保持した状態で、複数のXスライド部材53が同期駆動されることにより、基板トレイ40aをXY平面(水平面)に沿ってポート部60aの上方と、基板交換位置の上方との間で移動させることができる。また、基板搬入装置50は、第1搬送ユニット51aと第2搬送ユニット51bとが同期してZ軸方向に駆動されることにより、ポート部60aの上方、あるいは基板交換位置の上方の領域それぞれで基板トレイ40aを上下動させることができる。
【0044】
ここで、基板搬入装置50を用いた基板ホルダ30aに対する基板Pの搬入動作について図6(A)〜図6(C)を用いて説明する。なお、図6(A)〜図6(C)では、簡略化のため、基板ステージ20aにおける基板ホルダ30aを除く部材、基板搬入装置50における保持部材54a、54bを除く部材の図示がそれぞれ省略されている。図6(A)に示されるように、保持部材54a、54bに保持された基板トレイ40aは、基板交換位置に位置した基板ホルダ30aの上方に搬送される。基板ステージ20aは、基板トレイ40aの複数の支持部材41(図2(A)参照)のY位置と、複数のX溝31xのY位置とが概ね一致するようにY位置が位置決めされる。基板ホルダ30aにおいて、複数のトレイガイド装置32それぞれのガイド部材35は、その上面が基板ホルダ30aの上面よりも+Z側に位置するように(基板ホルダ30aの上面から突き出すように)位置決めされている。また、基板搬出装置70aの押圧部材72aは、その可動範囲の最も−X側の位置であって、基板ホルダ30aの外側に位置している。X走行ガイド71の長さは、基板搬入時に押圧部材72aと基板トレイ40aとが接触しないように設定されている。
【0045】
図6(A)に示される状態から、不図示の主制御装置は、保持部材54a、54bそれぞれを−Z方向に駆動(図6(A)の矢印参照)することにより、基板トレイ40aを降下させる。これにより、図6(B)に示されるように、基板トレイ40aが複数のトレイガイド装置32上に受け渡され、複数のガイド部材35に吸着保持される。主制御装置は、基板トレイ40aが複数のトレイガイド装置32のガイド部材35上に載置された状態で、保持部材54a、54bそれぞれを基板トレイ40aから離間する方向に駆動(図6(B)の矢印参照)した後、図6(C)に示されるように、上方に駆動(図6(C)の矢印参照)する。
【0046】
また、基板ホルダ30aでは、図6(C)に示されるように、複数のガイド部材35が同期して−Z方向に駆動(図6(C)の矢印参照)され、これにより、基板トレイ40aが降下し、基板Pが基板ホルダ30aの上面上に載置される。また、複数のガイド部材35は、基板Pが基板ホルダ30aの上面上に載置された後も、さらに−Z方向に駆動される。これにより、基板トレイ40aと基板Pの下面とが離間し、基板Pが基板ホルダ30aに吸着保持される。
【0047】
図1に戻り、ポート部60aは、架台61、及び複数のトレイガイド装置62(図1では紙面奥行き方向に重なって隠れている。図3参照)を有している。架台61は、床11上であって、定盤12の+X側の位置に設置され、基板ステージ装置PSTと共に、不図示のチャンバー内に収容されている。
【0048】
複数(本実施形態では、例えば2台)のトレイガイド装置62は、図3に示されるように、架台61上にY軸方向に所定間隔で搭載されている。なお、本実施形態のポート部60aは、一例として2台のトレイガイド装置62を有しているが、複数のトレイガイド装置62の台数は、これに限られず、例えば基板トレイ40aの支持部材41(図3では不図示。図2(A)参照)の本数に応じて適宜変更可能である。具体的には、複数の支持部材41のうち、突起45a(図2(B)参照)を有している支持部材41(本第1の実施形態では中央の支持部材41)を除く、その他の支持部材41に対応してトレイガイド装置62が架台61上に設置される。本実施形態において、例えば2台のトレイガイド装置62のY軸方向に関する間隔は、図5に示されるように、基板トレイ40aの最も+Y側の支持部材41と、最も−Y側の支持部材41との間隔と概ね一致している。
【0049】
トレイガイド装置62は、図1に示されるように、X軸方向に延びる板状部材から成るベース63、ベース63上にX軸方向に所定間隔で搭載された複数(例えば3台)のZアクチュエータ64、Zアクチュエータ64により上下(Z軸)方向に駆動される複数のガイド部材65などを有する。ベース63は、架台61の上面に固定された複数のXリニアガイド部材66と、ベース63の下面に固定され、Xリニアガイド部材66にスライド自在に係合するXスライド部材67とから成るXリニアガイド装置によりX軸方向に直進案内されている。また、ベース63は、図示しないXアクチュエータ(例えば送りねじ装置、リニアモータなど)によりX軸方向に所定のストロークで駆動される。Zアクチュエータ64の種類は、特に限定されないが、例えばカム装置、送りねじ装置、エアアクチュエータなどを用いることができる。複数のトレイガイド装置62それぞれのZアクチュエータ64は、不図示の主制御装置により同期駆動される。ガイド部材65は、XY平面に平行な板状部材から成り、その上面上に基板トレイ40aの支持部材41(図2(A)参照)が載置される。ガイド部材65の上面には、不図示の微少な孔部が複数形成されており、その孔部から加圧気体(例えば、空気)を噴出し、微少なクリアランスを介して基板トレイ40aを浮上支持することができるようになっている。
【0050】
ここで、基板搬出装置70aを用いた基板トレイ40a、及び基板トレイ40a上に載置された基板Pの基板ホルダ30aからポート部60aへの受け渡し動作(基板搬出動作)について図7(A)及び図7(B)を用いて説明する。なお、図7(A)及び図7(B)では、簡略化のため、基板ステージ20aにおける基板ホルダ30aを除く部材、ポート部60aにおける架台61の一部の図示が、それぞれ省略されている。基板ホルダ30aから基板Pが搬出される際、基板ホルダ30aでは、図7(A)に示されるように、基板Pの吸着保持が解除された後、複数のトレイガイド装置32が同期駆動され、複数のガイド部材35が+Z方向に駆動される。これにより、基板トレイ40aが上昇し、基板Pが複数の支持部材41により下方から支持される。また、主制御装置は、基板Pが基板トレイ40aに支持された後も、さらに複数のガイド部材35を+Z方向に移動させる。これにより、基板Pと基板トレイ40aとが一体的に+Z方向に移動し、基板Pの下面が基板ホルダ30aの上面から離間する。このとき、主制御装置は、基板Pを基板ホルダ30aから離間させ、かつ複数の補剛部材43の下面を基板ホルダ30aの上面よりも+Z側に位置させるのに必要な最小のストロークでガイド部材35を駆動する。このため、基板トレイ40aの複数の支持部材41は、その下半部がX溝31x内に収容された状態となっている。
【0051】
また、ポート部60aでは、複数のトレイガイド装置62が−X方向(基板ステージ20a側)に駆動され、ベース63の−X側の端部が架台61から−X側に突き出した位置に位置決めされている。また、複数のガイド部材65のZ位置が、基板ホルダ30a内の複数のガイド部材35のZ位置を概ね同じ(あるいは幾分−Z側)となるように複数のZアクチュエータ64が制御される。
【0052】
そして、基板ホルダ30aでは、基板搬出装置70aの押圧部材72aが+X方向に駆動される。押圧部材72aのZ位置(高さ)は、基板Pを搬出するために基板トレイ40aが基板ホルダ30a内で複数のトレイガイド装置32に支持された状態で、突起45aに当接するように設定されている。このため、押圧部材72aが+X方向に駆動されると、図7(B)に示されるように、基板トレイ40aが押圧部材72aに押圧され、押圧部材72aと一体的に+X方向に移動する。また、ポート部60aでは、+X方向に移動する基板トレイ40aに連動して、トレイガイド装置62が+X方向に駆動される。
【0053】
この際、基板ホルダ30a側のガイド部材35、及びポート部60a側のガイド部材65は、それぞれ支持部材41の下面に対して加圧気体を噴出し、基板トレイ40aを浮上支持する。従って、基板トレイ40a(基板P)を高速、かつ低発塵で基板ホルダ30aからポート部60aに搬出することができる。なお、基板Pを高速で搬出することから、基板トレイ40aは、基板Pの位置がずれないように、基板Pを吸着保持しても良い(摩擦力による保持のみでも良い)。また、基板トレイ40a上での基板Pの移動を規制する規制部材(例えば、支持部材41から突き出したピン状の部材など)を基板トレイ40aに設けても良い。また、基板トレイ40aが浮上支持されていることから、基板トレイ40aを押圧部材72aで押圧する際に基板トレイ40aと押圧部材72aとが離間しないように、例えば押圧部材72aに突起45aを吸着保持する吸着装置(例えば、真空吸着装置、磁気吸着装置など)を設けても良い。あるいは、例えば押圧部材72aと基板トレイ40aとを機械的に係合させる機構(例えば、ロックピンなど)を設けても良い。また、例えば、ガイド部材35の吸着保持機能を利用して基板トレイ40aに−Z方向の軽い負荷(制動力)を作用させることにより、押圧部材72aと突起45aとが離れるのを防止しても良い。
【0054】
さらに、本第1の実施形態では、基板Pの搬出は、基板ホルダ30aが有する基板搬出装置70aにより行われるが、これと併せてポート部60aに基板トレイ40aを保持して+X方向に移動させる別の基板搬出装置を設け、基板トレイ40aの移動途中で基板搬出装置70aによる基板搬出動作から上記別の基板搬出装置を用いた基板搬出動作に切り換えても良い。この場合、押圧部材72aのストロークを短くできる。また、基板トレイ40aが浮上支持されることから、押圧部材72aにより押圧された(+X方向の推力が与えられた)基板トレイ40aを慣性によりガイド部材35上からガイド部材65上に移動させても良い。この場合も押圧部材72aのストロークを短くできる。
【0055】
上述のようにして構成された液晶露光装置10(図1参照)では、不図示の主制御装置の管理の下、不図示のマスクローダによって、マスクステージMST上へのマスクMのロードが行われるとともに、基板搬入装置50によって、基板ホルダ30a上への基板Pのロードが行なわれる。その後、主制御装置により、不図示のアライメント検出系を用いてアライメント計測が実行され、そのアライメント計測の終了後、基板P上に設定された複数のショット領域に逐次ステップ・アンド・スキャン方式の露光動作が行なわれる。なお、この露光動作は従来から行われているステップ・アンド・スキャン方式の露光動作と同様であるので、その詳細な説明は省略するものとする。そして、露光処理が終了した基板が基板ホルダ30aから搬出されるとともに、次に露光される別の基板が基板ホルダ30aに搬送されることにより、基板ホルダ30a上の基板の交換が行われ、複数の基板に対し、露光動作などが連続して行われる。
【0056】
以下、液晶露光装置10における基板ホルダ30a上の基板交換動作について図8(A)〜図8(C)を用いて説明する。なお、図8(A)〜図8(C)では、簡略化のため、基板ステージ20aでは基板ホルダ30aを除く他の部材、基板搬入装置50では、保持部材54a、54bを除く他の部材、ポート部60aでは、架台61の一部の図示がそれぞれ省略されている。本第1の実施形態では、基板ホルダ30a上の基板交換動作時に、図8(A)〜図8(C)に示されるように、2つの基板トレイ40a(便宜上、基板トレイ40a、40aと称する)を用いて基板Pの搬送が行われる。2つの基板トレイ40a、40aは、実質的に同じものである。以下の基板交換動作は、不図示の主制御装置の管理の下に行われる。
【0057】
図8(A)に示されるように、基板ホルダ30aから搬出される露光処理の終了した基板Pは、一方の基板トレイ40a上に載置されており、その基板トレイ40aは、基板ホルダ30aの複数のトレイガイド装置32により下方から支持されている。これに対し、次に露光処理が行われる予定の別の基板Pは、他方の基板トレイ40a上に載置されている。また、基板トレイ40aは、基板ホルダ30aが基板交換位置に位置した場合にその基板ホルダ30aの上方に位置するように保持部材54a、54bに保持されている。
【0058】
ここで、主制御装置は、基板P上に設定された複数のショット領域のうち、最後のショット領域に対する露光処理が終了した後、基板ステージ20aを投影光学系PL(図1参照)の下方から、基板交換位置(ポート部60aに隣接する位置)に移動させる。そして、主制御装置は、図8(A)に示されるように、基板ステージ20aの移動中、すなわち基板交換位置に到達する前に、基板ホルダ30a内の複数のトレイガイド装置32を制御することにより基板トレイ40aを上昇させ、基板Pを基板ホルダ30aの上面から離間させ、さらに、基板搬出装置70aを制御し、押圧部材72aを用いて基板トレイ40aを+X側(ポート部60a側)に移動させる。このように、本第1の実施形態では、基板ステージ20aの基板交換位置への移動動作と、基板Pの搬出動作とが、一部並行して(すなわち、基板ステージ20aの基板交換位置への位置決めに先行して基板Pの搬出動作が)行われる。
【0059】
以下、図8(A)に示される状態から、基板Pの搬出が、前述した図7(A)、及び図7(B)に示される手順で行われる。すなわち、基板Pを支持する基板トレイ40aが基板ホルダ30a内の基板搬出装置70aにより+X側にさらに駆動され、その基板トレイ40aがポート部60aのトレイガイド装置62に受け渡される。
【0060】
次いで、図8(B)に示されるように、前述した図6(A)〜図6(C)に示される手順で基板ホルダ30aに対して、基板ホルダ30aの上方で予め待機していた基板Pの搬入が行われる。そして、図8(C)に示されるように、基板ステージ20aでは、X粗動ステージ23X、及び/又はY粗動ステージ23Y(それぞれ図8(C)では不図示。図1参照)が適宜駆動され、基板ホルダ30aに保持された基板Pに対する露光動作が行われる。また、基板Pの露光動作と並行してポート部60aでは、露光済みの基板Pが基板トレイ40a上から外部装置(例えば、コータ・デベロッパ装置)に搬送されるとともに、別の基板Pが、基板トレイ40a上に載置される。上記ポート部60aにおける基板の交換動作は、例えば不図示のロボットアーム、ポート部60aに設けられた不図示のリフトピン装置などを用いて行われる。
【0061】
以下、不図示であるが、基板Pを支持する基板トレイ40aは、保持部材54a、54bに保持され、図8(A)に示される位置(基板交換位置の上方)に搬送される。通常は、ポート部60aにおける基板P、Pの交換動作、及び基板搬入装置50による基板トレイ40aの搬送動作の方が、基板Pに対する露光動作よりも早く終了するため、主制御装置は、基板Pに対する露光動作が終了し、基板ホルダ30aが基板交換位置に移動して来るまでに基板Pを基板交換位置の上方に位置させることができる。このように、本第1の実施形態では、2つの基板トレイ40a、40aを用いるので、基板ホルダ30a上の基板の交換のサイクルタイムを短縮することができる。
【0062】
以上説明した本第1の実施形態では、基板ホルダ30aが基板搬出装置70aを備えているので、露光動作の終了後であって、基板ホルダ30aが基板交換位置に到達する前に基板Pの搬出動作を開始することができる。従って、基板ホルダ30a上の基板の交換のサイクルタイムを短縮することができ、単位時間当たりの基板Pの処理枚数を増やすことができる。これに対し、基板搬出装置が基板ステージ20aの外部(例えばポート部60a)に設けられている場合、基板搬出動作を開始するためには、基板ホルダ30aを基板交換位置に位置決めをしなければならず、本第1の実施形態に比べて基板搬出動作に時間がかかる。
【0063】
《第2の実施形態》
次に第2の実施形態について図9(A)〜図11(C)を用いて説明する。本第2の実施形態に係る液晶露光装置は、基板ホルダ30b、ポート部60b(それぞれ図10参照)、及び基板トレイ40b(図9(A)参照)の構成を除き、上記第1の実施形態の液晶露光装置10(図1参照)と同じなので、以下、相違点についてのみ説明し、上記第1の実施形態と同じ構成、機能を有する要素については、上記第1の実施形態と同じ符号を付してその説明を省略する。
【0064】
上記第1の実施形態の基板トレイ40a(図2(A)参照)が、例えば3本(奇数本)の支持部材41を用いて基板を下方から支持したのに対し、図9(A)に示される第2の実施形態の基板トレイ40bは、例えば4本(偶数本)の支持部材41を有している。また、上記第1の実施形態の基板トレイ40a(図2(A)参照)が、例えば3本の補剛部材43により複数の支持部材41の長手方向の中間部が互いに接続されていたのに対し、図9(A)に示される第2の実施形態の基板トレイ40bは、複数の支持部材41の−X側の端部近傍を互いに接続する補剛部材43を更に有している(合計で、例えば4本の補剛部材43を有している)。なお、基板トレイ40bは、上記第1の実施形態の基板トレイ40aのような突起45a(図2(B)参照)を有さない。
【0065】
図10に示されるように、基板ホルダ30bの上面には、上記基板トレイ40b(図10では不図示。図9(A)参照)の、例えば4本の支持部材41、及び例えば4本の補剛部材43それぞれに対応する複数のX溝31x、Y溝31yが形成されている。基板ホルダ30bと基板トレイ40bとが組み合わされた状態で、複数の支持部材41、補剛部材43それぞれは、対応するX溝31x、Y溝31y内に収容される。ただし、図11(A)に示されるように、最も−X側の補剛部材43は、基板ホルダ30bの外側に位置する。図10に戻り、複数のX溝31x内には、それぞれ複数のトレイガイド装置32が収容されている。また、基板ホルダ30bの上面のY軸方向に関する中央部には、別のX溝73xが形成されている。X溝73x内には、基板搬出装置70bが収容されている。なお、X溝73xは、基板搬出装置70bを収容するために形成されており、基板トレイ40bの支持部材41は、収容されない。また、ポート部60bにおいて、架台61上には、例えば4本の支持部材41に対応して、例えば4つのトレイガイド装置62が搭載されている。
【0066】
基板搬出装置70bは、X走行ガイド71、及び基板トレイ40bを押圧する押圧部材72bを有している。押圧部材72bは、図11(A)に示されるように、XY平面に平行な板状部材から成り、X走行ガイド71上でX軸方向に駆動されるXスライド部72bと、Xスライド部72bに対して、例えばヒンジ装置を介して一端が接続された板状部材から成る押圧部72bとを有している。基板搬出装置70bは、不図示のアクチュエータを有しており、そのアクチュエータによりXスライド部72bと押圧部72bとの角度が適宜制御される。
【0067】
以下、基板搬出装置70bを用いた基板交換動作について図11(A)〜図11(C)を用いて説明する。本第2の実施形態でも、上記第1の実施形態と同様に、2つの基板トレイ40b(図11(A)〜図11(C)では、基板トレイ40b、40bとする)が用いられる。図11(A)に示される基板ホルダ30bと基板トレイ40bとが組み合わされた状態から、基板トレイ40bと共に基板Pを基板ホルダ30bから搬出する際には、図11(B)に示されるように、Xスライド部72bと押圧部72bとの角度は、例えば90°とされ、上記第1の実施形態と同様に、押圧部材72bが基板トレイ40bを押圧することにより基板Pの搬出が行われる。この際、押圧部材72bは、基板トレイ40bが有する複数の補剛部材43のうちの最も−X側の補剛部材43を押圧する。このため、押圧部材72bの高さ(Z軸)方向寸法は、上記第1の実施形態に比べて幾分長く設定されている。
【0068】
また、本第2の実施形態でも、基板ホルダ30b上の基板Pの交換は、上記第1の実施形態と同様に、基板Pが基板ホルダ30b上から搬出された後、図11(C)に示されるように、別の基板トレイ40bに支持された別の基板Pが不図示の基板搬入装置により基板ホルダ30b上搬入されることにより行われる。
【0069】
そして、基板Pの搬入動作終了後、図11(C)に示されるように、基板搬出装置70bの押圧部材72bが不図示のアクチュエータにより、Xスライド部72bと押圧部72bとの角度が鈍角となるように(基板搬出時よりも開いた状態に)制御され、その状態で、X走行ガイド71上において−X方向に駆動される。ここで、Xスライド部72bと押圧部72bとの角度は、複数のトレイガイド装置32に支持された基板トレイ40bが最も−Z側に位置した状態(基板Pが基板ホルダ30bの上面上に載置され、基板トレイ40bと離間した状態)で補剛部材43に接触しないように設定されている。
【0070】
以上説明した第2の実施形態では、基板Pが基板ホルダ30b上に載置された状態(例えば露光中を含む)であっても、押圧部材72bを図11(A)に示される初期位置(基板トレイ40bを押圧可能な位置)に復帰させることができる。従って、基板Pを搬出した後、直ちに別の基板Pの搬入動作を開始できる(これに対し、上記第1の実施形態では、押圧部材72aの初期位置への復帰を待つ必要がある)。
【0071】
また、基板ホルダ30bでは、基板搬出装置70bがX溝73x(基板トレイ40bの収容に用いられない専用の溝)内に収容されているので、基板トレイ40bは、基板ホルダ30bにおいて、全ての支持部材41がトレイガイド装置32により下方から支持されるとともに、ポート部60bにおいて、全ての支持部材41がトレイガイド装置62により下方から支持される。従って、基板トレイ40b、及び基板Pの撓みが抑制される。
【0072】
なお、押圧部材72bは、押圧部72bがXスライド部72bに対して回転される構成とされたが、押圧部材72bの構成は、基板トレイ40bを押圧可能な状態と、基板トレイ40bに接触せずにX軸方向に移動可能な状態との間を移行可能であればこれに限られず、例えば押圧部材72b(あるいは基板搬出装置70b全体)がZ軸方向に移動(上下動)可能に構成されても良い。また、図3などに示される上記第1の実施形態の基板搬出装置70aを本第2の実施形態の基板搬出装置70bと同様に構成しても良い。
【0073】
《第3の実施形態》
次に第3の実施形態について図12を用いて説明する。本第3の実施形態に係る液晶露光装置の構成は、基板ホルダ30cを除き、上記第2の実施形態の液晶露光装置と同じ(基板トレイ40b(図12では不図示。図9(A)参照)、ポート部60bを含む)なので、以下、相違点についてのみ説明し、上記第1及び第2の実施形態と同じ構成、機能を有する要素については、上記第1及び第2の実施形態と同じ符号を付してその説明を省略する。
【0074】
上記第2の実施形態では、図10に示されるように、基板ホルダ30bの中央に基板搬出装置70bを収容するX溝73xが、基板トレイ40b(図10では不図示。図9(A)参照)の複数の支持部材41を収容するためのX溝31xとは別に形成されていたのに対し、本第3の実施形態では、図12に示されるように、基板ホルダ30cには、例えば4本のX溝31xのうち、+Y側から1つ目のX溝31xと2つ目のX溝31xとの間、及び3つ目のX溝31xと4つ目のX溝31xとの間それぞれに、基板搬出装置70cを収容するためのX溝73xが形成されている。このため、基板ホルダ30cは、基板搬出装置70cをY軸方向に離間して2台有している。基板搬出装置70cは、押圧部材72cにおける基板トレイ(図12では不図示)との当接部分に半球状の押し当て部材(図12では不図示)を有している点を除き、上記第2の実施形態と同じである。また、基板交換動作についても、上記第2の実施形態と同じであるので、説明を省略する。
【0075】
本第3の実施形態によれば、例えば2台の基板搬出装置70cを有しているので、基板搬出時における基板トレイ及び基板のθz方向(ヨーイング方向)の移動を容易に抑制することができる。また、基板トレイを移動させる推力が向上するので、よりスムーズかつ迅速に基板トレイの搬出を行うことができる。なお、押圧部材72cは、半球状の押し当て部材を有していなくても(基板トレイに対して点接触でも面接触でも)良い。
【0076】
《第4の実施形態》
次に第4の実施形態について図13を用いて説明する。本第4の実施形態に係る液晶露光装置の構成は、基板ホルダ30dを除き、上記第1の実施形態の液晶露光装置10(図1参照)と同じ(基板トレイ40aを含む)なので、以下、相違点についてのみ説明し、上記第1の実施形態と同じ構成、機能を有する要素については、上記第1の実施形態と同じ符号を付してその説明を省略する。
【0077】
図13に示されるように、基板ホルダ30dは、ロープ駆動装置74、及び押圧部材72aを含む基板搬出装置70dを有する。ロープ駆動装置74は、ロープ74、複数のプーリ74などを含む。ロープ74の中間部分には、押圧部材72aが接続されている。ロープ74は、基板ホルダ30dの上面に形成されたX溝31x内に押圧部材72aと共にその一部が挿入されている。なお、図13では不図示であるが、X溝31xは、基板ホルダ30dの上面にY軸方向に所定間隔で、例えば3本形成され、ロープ74は、そのうちの中央のX溝31x内に挿入され、他のX溝31x内には複数のトレイガイド装置32が収容されている。また、基板ホルダ30dの下面のY軸方向に関する中央部には、別のX溝74が形成され、そのX溝74内には、ロープ74の他の一部が挿入されている。複数のプーリ74は、基板ホルダ30dの+X側及び−X側の端面それぞれに上下方向に離間して、例えば2つずつ(計4つ)取り付けられている。複数のプーリ74それぞれには、ロープ74が巻き掛けられている。複数のプーリ74のうちのひとつには、不図示のアクチュエータ(例えば回転モータ)が接続されており、そのアクチュエータが接続されたプーリ74が回転駆動されることにより、押圧部材72aがX溝31x内でX軸方向に所定のストロークで移動する。基板搬出装置70dを用いた基板搬出動作については、上記第1の実施形態と同じなので、その説明を省略する。
【0078】
本第4の実施形態の基板搬出装置70dによれば、例えば送りねじ装置などを用いる場合に比べ、押圧部材72aをより高速でX軸方向に駆動することができ、基板を迅速に基板ホルダ30dから搬出できる。なお、押圧部材72aを+X方向、及び−X方向に牽引できれば、ロープ74に替えて、ベルト(歯付きでも歯無しでも良い)、チェーンなどを用いても良い。また、ロープ74は、その材質が特に限定されず、例えばワイヤロープであっても良いし、合成樹脂製であっても良い。また、プーリを回転させるアクチュエータなど、基板搬出装置70dの一部は、基板ホルダ30d以外の部材(例えばY粗動ステージ23Y(図13では不図示。図1参照)に設けられても良い。この場合、基板ホルダ30dを軽量化でき、基板の位置制御性が向上する。押圧部材72aは、上記第2の実施形態のように可動式(図11(A)など参照)であっても良い。また、基板搬出装置70dは、上記第3の実施形態のように、Y軸方向に離間して複数設けられても良い。また、押圧部材72aをX軸方向に案内するガイド部材を設けても良い。
【0079】
《第5の実施形態》
次に第5の実施形態について図14(A)及び図14(B)を用いて説明する。本第5の実施形態に係る液晶露光装置の構成は、基板ホルダ30e、基板トレイ40e(図14(A)では不図示。図14(B)参照)を除き、上記第1の実施形態の液晶露光装置10(図1参照)と同じなので、以下、相違点についてのみ説明し、上記第1の実施形態と同じ構成、機能を有する要素については、上記第1の実施形態と同じ符号を付してその説明を省略する。
【0080】
第5の実施形態に係る液晶露光装置で用いられる基板トレイ40eは、上記第1の実施形態(図2(A)参照)と同様に、複数(例えば3本)の支持部材41を有しているが、その下面に突起45a(図2(B)参照)を有していない点が上記第1の実施形態と異なる。また、基板ホルダ30eの上面には、上記複数(例えば3本)の支持部材41に対応する複数(例えば3本)のX溝31xが形成されているが、その全てのX溝31x内に、複数(例えばX軸方向に所定間隔で3つ)のトレイガイド装置32が収容されており、基板トレイ40eの複数の支持部材41は、全て基板ホルダ30eのX溝31x内でトレイガイド装置32により下方から支持される。なお、不図示ではあるが、第5の実施形態のポート部は、上記複数(例えば3本)の支持部材41に対応した、複数(例えば3台)のトレイガイド装置62(図1参照)を有している。
【0081】
図14(B)に示されるように、基板ホルダ30eが有する基板搬出装置70eは、一対のローラ装置75を備えている。基板ホルダ30eの+X側の端部近傍における中央のX溝31xの+Y側、及び−Y側には、それぞれ凹部75が形成され、一対のローラ装置75は、一方が+Y側の凹部75内、他方が−Y側の凹部75内に、中央のX溝31xを挟んだ状態で収容されている。一対のローラ装置75それぞれは、回転モータ75、及び回転モータ75に回転駆動されるローラ75を有している。ローラ75のZ位置は、基板P(図14(B)では不図示。図1参照)を搬出するために基板トレイ40eの補剛部材43の下面を基板ホルダ30eの上面よりも+Z側に位置させた状態で、その基板トレイ40eの支持部材41を挟み込むことができる位置に設定されている。基板搬出装置70eでは、一対のローラ75間に支持部材41が挿入された状態で一対のローラ75それぞれが互いに反対方向に回転されると、その一対のローラ75それぞれと支持部材41との間の摩擦力により、基板トレイ40eが基板ホルダ30eに対して+X方向に移動し、基板ホルダ30eから不図示のポート部に送り出される。基板搬出装置70eを用いた基板搬出動作については、上記第1の実施形態と同じなので、その説明を省略する。
【0082】
本第5の実施形態に係る基板搬出装置70eによれば、小型軽量でありながら、基板トレイ40eを迅速に基板ホルダ30eから搬出することができる。また、基板トレイ40eを搬出する際にX軸方向に所定のストロークで移動する部材(例えば上記第1の実施形態の押圧部材72a(図3参照))を有さず、その部材を基板トレイ40eの搬出後に初期位置に戻す動作が必要ないため、基板交換動作を迅速に行うことができる。また、基板ホルダ30e(及び不図示のポート部)において、複数の支持部材41全てが下方から支持された状態で基板トレイ40eの搬出を行うことができるので、基板P(図14(A)及び図14(B)では不図示。図1参照)の撓みを抑制できる。
【0083】
なお、ローラ装置75には、ローラ75を支持部材41に向けて付勢する付勢部材を設けると良く、これにより、ローラ75と支持部材41との滑りを抑制できる。また、一対のローラ75それぞれがY軸方向に微少駆動できるように構成されても良い。これにより、支持部材41をX溝31xに挿入する際に一対のローラ75を支持部材41から退避させること、及び基板トレイ40eの搬出時に確実に一対のローラ75により支持部材41を挟み込むことができる。また、基板搬出装置70eは、Y軸方向に離間して複数(例えば最も+Y側及び最も−Y側のX溝31xに対応して)設けられても良い。さらに、一対のローラ装置75(図14(A)及び図14(B)参照)と同じ構成を有する一対のローラ装置(不図示)がポート部に設けられても良い。
【0084】
《第6の実施形態》
次に第6の実施形態について図15(A)〜図16を用いて説明する。本第6の実施形態に係る液晶露光装置の構成は、基板ホルダ30f(図15(A)では不図示。図15(B)参照)、基板トレイ40f、ポート部60f(図15(A)及び図15(B)では不図示。図16参照)を除き、上記第1の実施形態の液晶露光装置10(図1参照)と同じなので、以下、相違点についてのみ説明し、上記第1の実施形態と同じ構成、機能を有する要素については、上記第1の実施形態と同じ符号を付してその説明を省略する。
【0085】
上記第1〜第5の実施形態において、基板搬出装置は、それぞれ基板ホルダに設けられたのに対し、本第6の実施形態では、図15(B)に示されるように、基板ホルダ30fが有する一対のX固定子76と、基板トレイ40fが有する一対のX可動子45fとから構成される一対のXリニアモータ70fが基板搬出装置として機能する。
【0086】
図15(A)に示されるように、基板トレイ40fは、上記第1の実施形態(図2(A)参照)と同様に、複数(例えば3本)の支持部材41を有している。そして、例えば3本の支持部材41のうちの中央の支持部材41の+Y側及び−Y側の面部それぞれには、X軸方向に所定間隔で配列された複数の永久磁石を含むX可動子45fが取り付けられている。X可動子45fは、支持部材41の両端部近傍を除くほぼ全体にわたって設けられている。なお、上記中央の支持部材41は、上記第1の実施形態の基板トレイ40aのような突起45a(図2(B)参照)を有さない。
【0087】
図16に示されるように、基板ホルダ30fの上面には、上記複数(例えば3本)の支持部材41に対応する複数(例えば3本)のX溝31xが形成されている。そして、その全てのX溝31x内に、複数(例えばX軸方向に所定間隔で3つ)のトレイガイド装置32が収容されており、基板トレイ40fの複数の支持部材41(図16では不図示。図15(B)参照)は、全て基板ホルダ30fのX溝31x内でトレイガイド装置32により下方から支持される。また、基板ホルダ30fの+X側の端部近傍であって、例えば3本のX溝31xのうち、中央のX溝31xを規定する一対の対向面部それぞれには、図15(B)に示されるように、コイルユニットを含むX固定子76が収容されている。なお、図15(B)は、図16のB−B線断面図に相当する(ただし図16では基板トレイ40fは不図示)。一対のX固定子76それぞれのZ位置は、基板P(図15(B)では不図示。図1参照)を搬出するために基板トレイ40fの補剛部材43の下面を基板ホルダ30fの上面よりも+Z側に位置させた状態で、その基板トレイ40fの支持部材41に取り付けられたX可動子45fに対向する位置に設定されている。
【0088】
また、図16に示されるように、ポート部60fは、上記複数(例えば3本)の支持部材41(図16では不図示。図15(A)参照)に対応した、複数(例えば3台)のトレイガイド装置62を有している。そして、例えば3台のトレイガイド装置62のうち、中央のトレイガイド装置62のベース63の−X側の端部近傍には、一対のX固定子68が取り付けられている。一対のX固定子68それぞれは、X固定子76と同様にコイルユニットを含む。一対のX固定子68は、上記基板トレイ40fの支持部材41のY軸方向に関する寸法(幅)よりも広い間隔でY軸方向に離間して配置され、そのZ位置は、複数のガイド部材65上に支持部材41が搭載された状態で、その支持部材41に取り付けられたX可動子45f(図16では不図示。図15(A)参照)のZ位置とほぼ同じとなるように(X可動子45fと対向するように)設定されている。
【0089】
本第6の実施形態では、基板ホルダ30fからの基板トレイ40fの搬出時、基板ホルダ30fの一対のX固定子76と基板トレイ40fの一対のX可動子45fとにより構成される一対のXリニアモータ70f、及びポート部60fの一対のX固定子68と基板トレイ40fの一対のX可動子45fとにより構成される別の一対のXリニアモータの計4つのXリニアモータが基板搬出装置として適宜用いられる。基板搬出動作については、上記第1の実施形態と同じなので、その説明を省略する。
【0090】
本第6の実施形態では、基板ホルダ30fから基板トレイ40fを非接触で高速に搬出できるので、発塵が防止される。また、基板ホルダ30f、及びポート部60fにおいて、複数の支持部材41全てが下方から支持された状態で基板トレイ40fの搬出を行うことができるので、基板P(図15(A)〜図16では不図示。図1参照)の撓みを抑制できる。なお、Xリニアモータは、上記第3の実施形態のように、Y軸方向に離間して複数(例えば最も+Y側及び最も−Y側の支持部材41に対応して)設けられても良い。
【0091】
《第7の実施形態》
次に第7の実施形態について図17(A)及び図17(B)を用いて説明する。本第7の実施形態に係る液晶露光装置の構成は、基板ホルダ30g、基板トレイ40g、ポート部60gを除き、上記第1の実施形態の液晶露光装置10(図1参照)と同じなので、以下、相違点についてのみ説明し、上記第1の実施形態と同じ構成、機能を有する要素については、上記第1の実施形態と同じ符号を付してその説明を省略する。
【0092】
上記第1〜第6の実施形態では、基板ホルダ30a〜30f(それぞれ図1〜図16参照)が基板搬出装置(あるいは基板搬出装置の一部)を有していたのに対し、本第7の実施形態では、図17(A)に示されるように、基板ホルダ30gの外部であって、基板ホルダ30gの+Y側、及び−Y側それぞれに基板搬出装置70gが配置されている。例えば2つの基板搬出装置70gそれぞれの構成は、押圧部材72gのZ軸方向寸法が幾分長く設定されている点を除き、上記第1の実施形態の基板搬出装置70a(図3参照)と同じである。
【0093】
図17(A)に示されるように、基板トレイ40gは、複数(例えば5本)の支持部材41を有している。また、上記第1の実施形態の基板トレイ40a(図2(A)参照)が、例えば3本の補剛部材43により複数の支持部材41の長手方向の中間部が互いに接続されていたのに対し、基板トレイ40gは、複数の支持部材41の−X側の端部を互いに連結する補剛部材45gを更に有している。なお、基板トレイ40gは、上記第1の実施形態の基板トレイ40aのような突起45a(図2(B)参照)を有さない。
【0094】
また、上記複数の補剛部材43、45gのうち、最も−X側の補剛部材45gは、その長手方向寸法が他の補剛部材43よりも長く、その寸法は、図17(A)に示されるように、基板トレイ40gが基板ホルダ30g内に収容された状態で、その−Y側の端部が基板ホルダ30gの−Y側の端部から−Y側に突き出し、かつ+Y側の端部が基板ホルダ30gの+Y側の端部から+Y側に突き出すように設定されている。基板トレイ40gは、図17(B)に示されるように、補剛部材45gの+Y側の端部近傍が、基板ホルダ30gの+Y側に配置された基板搬出装置70gの押圧部材72gに押圧されると共に、補剛部材45gの−Y側の端部近傍が、基板ホルダ30gの−Y側に配置された基板搬出装置70gの押圧部材72gに押圧されることにより、基板ホルダ30gから搬出される。
【0095】
ここで第7の実施形態の基板ステージ20gの基板ホルダ30gは、図1に示される上記第1の実施形態と同様に、Y粗動ステージ23Y(図17(A)及び図17(B)では不図示)の上方に配置されている。そして、図17(A)及び図17(B)に示される、例えば2つの基板搬出装置70gそれぞれは、不図示の支持部材を介してY粗動ステージ23Yに取り付けられており、基板ホルダ30gに対して機械的(及び振動的)に分離されている。例えば2つの基板搬出装置70gを用いた基板搬出動作については、上記第1の実施形態と同じなので、その説明を省略する。なお、ポート部60g、及び不図示の基板搬入装置は、例えば5本の支持部材41を有する基板トレイ40gに対応して構成されている点を除き、その機能は上記第1の実施形態と同じなのでその説明を省略する。
【0096】
本第7の実施形態では、例えば2台の基板搬出装置70gそれぞれが、基板ホルダ30gの外部に配置されているので、基板ホルダ30gに基板搬出装置70gを収容するための溝などを形成する必要がなく、基板ホルダ30gの剛性低下を抑制できる。また、より広い面積で基板Pを吸着保持できるため、基板Pの平坦度を向上できる。また、基板ホルダ30gを軽量化でき、かつ押圧部材72gを駆動する際の反力が基板ホルダ30gに作用しないので、基板ホルダ30g(基板P)の位置制御性が向上する。また、基板搬出装置70gは、基板ホルダ30gの外部に配置されているため、メンテナンス性にも優れる。
【0097】
また、複数のZボイスコイルモータ29z(図1参照)を用いて基板ホルダ30gを+Z方向に微少駆動して、例えば2台の基板搬出装置70gそれぞれを基板トレイ40gの補剛部材45gの−Z側に位置させることにより、基板ホルダ30g上に基板Pが載置された状態であっても、押圧部材72gが補剛部材45gの下方を通過することが可能となる。これにより、上記第2の実施形態と同様の効果、すなわち基板搬出後、速やかに別の基板搬入を行うことが可能となる。なお、例えば2台の基板搬出装置70gそれぞれをY粗動ステージ23Y上で上下動可能としても良い。
【0098】
なお、押圧部材72gが補剛部材45gを吸着しない(当接するのみの)構成とすれば、上記第3の実施形態と同様に基板トレイ40g及び基板Pのθz方向(ヨーイング方向)の移動を容易に抑制することができる。また、押圧部材72gが補剛部材45gを吸着保持する場合には、基板搬出装置70gは、基板ホルダ30gの外側にひとつのみ設けられても良い。また、押圧部材72gは、上記第4の実施形態と同様にロープなどにより牽引されても良い。また、上記第5の実施形態に係る基板搬出装置70e(図14(A)参照)のようなローラ装置75を本第7の実施形態と同様に、基板ホルダの外側に配置しても良い。また、上記第6の実施形態と同様に、基板トレイに可動子を取り付け、X固定子を基板ホルダの外側に配置しても良い。
【0099】
《第8の実施形態》
次に第8の実施形態について図18及び図19を用いて説明する。本第8の実施形態に係る液晶露光装置の構成は、ポート部60hを除き、上記第7の実施形態の液晶露光装置(基板ホルダ30g、基板トレイ40gを含む)と同じなので、以下、相違点についてのみ説明し、上記第7の実施形態と同じ構成、機能を有する要素については、上記第7の実施形態と同じ符号を付してその説明を省略する。
【0100】
図18に示されるように、ポート部60hは、架台61の−X側にトレイガイド装置62hを有している。トレイガイド装置62hは、不図示の床上に搭載されたベース63hと、ベース63h上に搭載されガイド部材65hとを含む。なお、本第8の実施形態において、架台61上に搭載された複数のトレイガイド装置62は、X軸方向に移動しない。ガイド部材65hは、Y軸方向に延びる部材から成り、その長手方向寸法は、基板トレイ40g(及び基板P)のY軸方向に関する長さ(幅)よりも長く(広幅に)設定されている。ガイド部材65hは、架台61上の他のガイド部材65と同じ高さ位置に設置され、ガイド部材65と同様に、その上面から加圧気体を噴出して基板トレイ40gを浮上支持することができる。これにより、基板トレイ40gを基板ホルダ30gからポート部60hに受け渡すために基板ステージ20gを基板交換位置に移動させる際、基板ホルダ30gの+X側の端部から突き出した基板トレイ40gがガイド部材65hに下方から支持される。従って、基板トレイ40g、及び基板Pの撓みを抑制できる。
【0101】
ここで、例えば基板Pに複数のショット領域が設定されている場合、通常、最後に露光処理が行われるショット領域は、基板Pの総移動量を減らすため、基板Pの+Y側、あるいは−Y側に設定される。従って、最後のショット領域への露光処理が終了した後の基板ステージ20gは、基板交換位置に向けて移動する際、X軸方向へ移動すると共に、Y軸方向へも移動する(X軸に対して斜めの方向に移動する)。これに対し、本第8の実施形態では、ガイド部材65hのY軸方向に関する寸法が、基板トレイ40gのY軸方向に関する寸法よりも長く設定されているため、基板ステージ20gがX軸に対して斜めの方向に移動する場合であっても、基板トレイ40gの基板ホルダ30gの+X側の端部から突き出した部分がガイド部材65hにより下方から支持される。これにより、基板Pをより迅速に搬出することができる。
【0102】
図19を用いて具体的に説明すると、基板P上には、例えば6つのショット領域が設定され、そのうち最後のショット領域は、基板Pの+Y側かつ+X側に設定されたショット領域Sである。また、ショット領域Sに対する露光動作の開始前の基板Pの中心は、位置CPに位置し、その露光動作が終了したときの基板Pの中心は、位置CPに位置する。なお、図19では、基板トレイ40a、基板搬出装置70g、トレイガイド装置62、62hなど(それぞれ図18参照)の図示が省略されている。
【0103】
そして、第8の実施形態では、基板ステージ20gが基板交換位置に到達する前に、不図示の基板搬出装置70g(図18参照)により、基板P(及び不図示の基板トレイ40g)の搬出動作が開始される。これにより、基板P(及び不図示の基板トレイ40g)が基板ホルダ30gの+X側の端部から突き出し、その付き出した部分をトレイガイド装置62hのガイド部材65h(図19では不図示。図18参照)が、架台61上のガイド部材65に先行して下方から支持する。
【0104】
そして、本第8の実施形態では、基板Pの中心が図19の位置CP→CP→CPの順を通るように基板ステージ20gの位置制御を行うことができる。すなわち、仮にポート部60hがトレイガイド装置62h(図19では不図示。図18参照)を有さないと仮定した場合、基板Pの搬出時に基板トレイ40g(図19では不図示。図18参照)がX軸方向に平行に移動することから、架台61上の複数のトレイガイド装置62(図19では不図示。図18参照)のY軸方向に関する位置と、基板トレイ40g(図19では不図示。図18参照)が有する複数の支持部材41のY軸方向に関する位置とが概ね一致するように基板ステージ20gのY位置制御を行わなければならず、この場合、基板Pの中心が図19の位置CP→CP→CP→CPの順を通るように基板ステージ20gの位置制御を行う必要がある。
【0105】
これに対し、本第8の実施形態では、基板ステージ20gのY位置によらず基板トレイ40g(図19では不図示。図18参照)の+X側の端部近傍がガイド部材65h(図19では不図示。図18参照)に支持されるので、基板ステージ20gを最終ショット領域の露光処理が終了したときの位置(位置CP)から直接的に基板交換位置(位置CP)に移動させることができ、基板Pの搬出動作を迅速に行うことができる。なお、本第8の実施形態に係る補助的なトレイガイド装置62h、及び基板Pの搬出方法は、上記第1〜第7の実施形態にも適用可能である。ただし、基板ホルダからの基板Pの突き出し量が少ない場合(基板交換位置でもトレイガイド装置62に接触しない場合)には、補助的なトレイガイド装置62hを有していなくても基板ステージ20a〜20fを最終ショット領域の露光処理が終了したときの位置から直接的に基板交換位置に移動させても良い。
【0106】
なお、液晶露光装置の構成は、上記第1〜第8の実施形態に記載したものに限らず、適宜変更が可能である。例えば、トレイガイド装置32、62のガイド部材35、65ぞれぞれは、基板トレイ40a〜40gを非接触(浮上)支持する構成であったが、これに限られず、例えばボールなどの転動体を用いて低摩擦で接触支持しても良い。また、トレイガイド装置32、62それぞれは、ガイド部材35、65を用いて基板トレイ40a〜40gをX軸方向に直進案内するように構成されても良い。
【0107】
また、照明光は、ArFエキシマレーザ光(波長193nm)、KrFエキシマレーザ光(波長248nm)などの紫外光や、F2レーザ光(波長157nm)などの真空紫外光であっても良い。また、照明光としては、例えばDFB半導体レーザ又はファイバーレーザから発振される赤外域、又は可視域の単一波長レーザ光を、例えばエルビウム(又はエルビウムとイッテルビウムの両方)がドープされたファイバーアンプで増幅し、非線形光学結晶を用いて紫外光に波長変換した高調波を用いても良い。また、固体レーザ(波長:355nm、266nm)などを使用しても良い。
【0108】
また、上記実施形態では、投影光学系PLが、複数本の投影光学ユニットを備えたマルチレンズ方式の投影光学系である場合について説明したが、投影光学ユニットの本数はこれに限らず、1本以上あれば良い。また、マルチレンズ方式の投影光学系に限らず、例えばオフナー型の大型ミラーを用いた投影光学系などであっても良い。また、上記実施形態では投影光学系PLとして、投影倍率が等倍のものを用いる場合について説明したが、これに限らず、投影光学系は縮小系及び拡大系のいずれでも良い。
【0109】
なお、上記実施形態においては、光透過性のマスク基板上に所定の遮光パターン(又は位相パターン・減光パターン)を形成した光透過型マスクを用いたが、このマスクに代えて、例えば米国特許第6,778,257号明細書に開示されているように、露光すべきパターンの電子データに基づいて、透過パターン又は反射パターン、あるいは発光パターンを形成する電子マスク(可変成形マスク)、例えば、非発光型画像表示素子(空間光変調器とも呼ばれる)の一種であるDMD(Digital Micro-mirror Device)を用いる可変成形マスクを用いても良い。
【0110】
なお、露光装置としては、サイズ(外径、対角線の長さ、一辺の少なくとも1つを含む)が500mm以上の基板、例えば液晶表示素子などのフラットパネルディスプレイ用の大型基板を露光する露光装置に対して適用することが特に有効である。
【0111】
また、露光装置としては、ステップ・アンド・リピート方式の露光装置、ステップ・アンド・スティッチ方式の露光装置にも適用することができる。
【0112】
また、露光装置の用途としては、角型のガラスプレートに液晶表示素子パターンを転写する液晶用の露光装置に限定されることなく、例えば半導体製造用の露光装置、薄膜磁気ヘッド、マイクロマシン及びDNAチップなどを製造するための露光装置にも広く適用できる。また、半導体素子などのマイクロデバイスだけでなく、光露光装置、EUV露光装置、X線露光装置、及び電子線露光装置などで使用されるマスク又はレチクルを製造するために、ガラス基板又はシリコンウエハなどに回路パターンを転写する露光装置にも本発明を適用できる。なお、露光対象となる物体はガラスプレートに限られるものでなく、例えばウエハ、セラミック基板、フィルム部材、あるいはマスクブランクスなど、他の物体でも良い。また、露光対象物がフラットパネルディスプレイ用の基板である場合、その基板の厚さは特に限定されず、例えばフィルム状(可撓性を有するシート状の部材)のものも含まれる。
【0113】
また、露光装置に限らず、例えば所定の物体の検査に用いられる物体検査装置など、物体に関して所定の処理を行う物体処置装置に上記第1〜第8の実施形態で説明した基板(物体)の交換方法を適用しても良い。
【0114】
液晶表示素子(あるいは半導体素子)などの電子デバイスは、デバイスの機能・性能設計を行うステップ、この設計ステップに基づいたマスク(あるいはレチクル)を製作するステップ、ガラス基板(あるいはウエハ)を製作するステップ、上述した各実施形態の露光装置、及びその露光方法によりマスク(レチクル)のパターンをガラス基板に転写するリソグラフィステップ、露光されたガラス基板を現像する現像ステップ、レジストが残存している部分以外の部分の露出部材をエッチングにより取り去るエッチングステップ、エッチングが済んで不要となったレジストを取り除くレジスト除去ステップ、デバイス組み立てステップ、検査ステップ等を経て製造される。この場合、リソグラフィステップで、上記実施形態の露光装置を用いて前述の露光方法が実行され、ガラス基板上にデバイスパターンが形成されるので、高集積度のデバイスを生産性良く製造することができる。
【産業上の利用可能性】
【0115】
以上説明したように、本発明の物体の搬出方法は、物体保持装置上から物体を搬出するのに適している。また、本発明の物体の交換方法は、物体保持装置に保持される物体の交換をするのに適している。また本発明の物体保持装置は、物体の搬出を迅速に行うのに適している。また、本発明の露光装置は、物体を露光するのに適している。また、本発明のフラットパネルディスプレイの製造方法は、フラットパネルディスプレイの製造に適している。また、本発明のデバイス製造方法は、マイクロデバイスの製造に適している。
【符号の説明】
【0116】
10…液晶露光装置、20a…基板ステージ、30a…基板ホルダ、31x…X溝、32…トレイガイド装置、40a…基板トレイ、41…支持部材、45a…突起、50…基板搬入装置、60a…ポート部、70a…基板搬出装置、71…X走行ガイド、72a…押圧部材、P…基板、PST…基板ステージ装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体を保持する物体保持部材と前記物体の搬送に用いられる物体支持部材とを保持した物体保持装置を、該物体保持部材上から前記物体を搬出する物体搬出位置に向けて移動させることと、
前記物体保持装置が前記物体搬出位置に到達する前に、前記物体を前記物体保持部材上から搬出する搬出動作を開始することと、を含む物体の搬出方法。
【請求項2】
前記搬出動作を開始することでは、前記物体保持装置が有する搬出装置を用いて、前記物体を支持する前記物体支持部材を前記物体保持部材に対して移動させる請求項1に記載の物体の搬出方法。
【請求項3】
前記物体と前記物体支持部材とは、前記物体搬出位置において第1の方向に移動されることにより前記物体保持装置から搬出され、
前記搬出動作は、前記物体保持装置の前記第1の方向に交差する第2の方向への移動と並行して行われる請求項1又は2に記載の物体の搬出方法。
【請求項4】
前記物体支持部材は、前記物体が前記物体保持部材に保持された状態で前記物体から離間して前記物体保持装置に保持され、
前記搬出動作を開始することは、前記物体保持装置上で前記物体に対して前記物体支持部材を駆動して前記物体を支持させることと、前記物体を支持した前記物体支持部材を前記物体と共に前記物体保持部材に対して移動させることと、を含む請求項1〜3のいずれか一項に記載の物体の搬出方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の物体の搬出方法と、
前記物体保持装置が前記物体搬出位置に到達する前に、別の物体支持部材に支持された別の物体を所定の待機位置に待機させることと、
前記物体保持装置が前記物体搬出位置に位置した状態で前記物体と該物体を支持する前記物体支持部材とを前記物体保持装置から搬出することと、
前記待機位置に位置する前記別の物体と該別の物体を支持する前記別の物体支持部材とを共に前記物体保持装置上に搬入することと、を含む物体保持装置上の物体の交換方法。
【請求項6】
前記搬出することでは、前記物体と該物体を支持する前記物体支持部材とを所定の二次元平面に沿って移動させ、
前記搬入することでは、前記別の物体と該別の物体を支持する前記別の物体支持部材とを前記所定の二次元平面に直交する方向に移動させる請求項5に記載の物体の交換方法。
【請求項7】
物体と該物体の搬送に用いられる物体支持部材とを保持する物体保持部材と、
前記物体保持部材が保持する前記物体と該物体を支持する前記物体支持部材とを共に前記物体保持部材上から搬出する搬出装置の少なくとも一部と、を備える物体保持装置。
【請求項8】
前記物体保持部材は、前記物体が載置される物体保持面部に前記物体支持部材の少なくとも一部が収容される凹部が形成され、
前記搬出装置は、前記凹部内に収容される請求項7に記載の物体保持装置。
【請求項9】
前記物体保持部材は、前記物体が載置される物体保持面部に前記物体支持部材の少なくとも一部が収容される第1の凹部と、前記搬出装置が収容される第2の凹部とが形成される請求項7に記載の物体保持装置。
【請求項10】
前記搬出装置は、前記物体保持部材の外側に配置される請求項7に記載の物体保持装置。
【請求項11】
前記物体保持部材を所定の二次元平面に沿って所定のストロークで誘導する誘導装置を更に備え、
前記搬出装置は、前記誘導装置に設けられる請求項10に記載の物体保持装置。
【請求項12】
前記搬出装置は、複数設けられる請求項7〜11のいずれか一項に記載の物体保持装置。
【請求項13】
前記搬出装置は、前記物体を支持した前記物体支持部材を押圧することにより前記物体を前記物体支持部材から搬出する押圧部材を有する請求項7〜12のいずれか一項に記載の物体保持装置。
【請求項14】
前記押圧部材は、前記物体保持部材に保持された前記物体支持部材を押圧可能な位置と、前記物体保持部材に保持された前記物体支持部材から退避した位置と、の間を移動可能である請求項13に記載の物体保持装置。
【請求項15】
前記搬出装置は、前記物体支持部材に当接可能な回転体を有し、該回転体を回転させることにより前記物体支持部材を移動させる請求項7〜12のいずれか一項に記載の物体保持装置。
【請求項16】
前記搬出装置の前記一部は、前記物体支持部材に設けられた可動子と共にリニアモータを構成する固定子であり、
前記物体支持部材は、前記リニアモータにより駆動される請求項7〜12のいずれか一項に記載の物体保持装置。
【請求項17】
前記物体保持部材は、前記物体に所定の処理が行われる物体処理位置と、前記物体の搬出が行われる物体搬出位置との間で移動可能に設けられ、
前記搬出装置は、前記物体保持部材が前記物体搬出位置に到達する前に、前記物体を前記物体保持部材上から搬出する搬出動作を開始する請求項7〜16のいずれか一項に記載の物体保持装置。
【請求項18】
請求項17に記載の物体保持装置と、
前記物体にエネルギビームを用いて所定のパターンを形成するパターン形成装置と、を備える露光装置。
【請求項19】
前記物体は、フラットパネルディスプレイ装置に用いられる基板である請求項18に記載の露光装置。
【請求項20】
前記基板は、少なくとも一辺の長さが500mm以上である請求項19に記載の露光装置。
【請求項21】
請求項19又は20に記載の露光装置を用いて前記物体を露光することと、
露光された前記物体を現像することと、を含むフラットパネルディスプレイの製造方法。
【請求項22】
請求項18に記載の露光装置を用いて前記物体を露光することと、
露光された前記物体を現像することと、を含むデバイス製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2012−237913(P2012−237913A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−107789(P2011−107789)
【出願日】平成23年5月13日(2011.5.13)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】