説明

物体の肉厚および表面形状の非破壊測定のための配置および方法

本発明は、内側空間を囲む少なくとも1つの壁を備える中空の物体に対して透過性放射線を用いて測定を実行する方法に関するものであり、前記壁は内面と外面を備え、前記方法は壁の内面の少なくとも一部の位置および形状を決定するために少なくとも実行される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軸方向軸を有し、内側空間を囲む少なくとも1つの壁を備える中空の物体に対して透過性放射線を用いて測定を実行する方法に関するものであり、前記壁は内面と外面を備え、前記方法は壁の内面の少なくとも一部の位置および形状を決定するために少なくとも実行される。
【背景技術】
【0002】
この方法において、壁の内側空間の少なくとも一部分の位置は、物体の残り部分に対して相対的に定めることができる。しかし、これは、物体の環境における既知の固定位置に対して相対的に定めることもできる。
【0003】
少なくとも部分的に管状の物体の肉厚を測定する方法は、米国特許第6,377,654号明細書から知られる。この方法では、物体の管状部に対して、放射線源から放射された放射線を通過させる必要がある。前記管状部の放射線画像の記録は、放射線検出器を用いて実行される。さらに、放射線画像は、デジタル画像に変換される。その後、前記デジタル画像から直線上で減衰プロファイルが作成されるが、前記減衰プロファイルは物体の管状部の壁の接線画像および管状物体の外側のセクションおよび管状物体の内側のセクションを含む。したがって、物体の管状部全体が、放射線源により照射される必要がある。
【0004】
その後、減衰プロファイルは、物体の中心の方向へ反射され、これにより測定反射減衰プロファイルが得られる。次いで、透過トモグラフィー投影再構成法を使って物体の相対密度分布が再構成される。その後、直線上を物体の中点まで走査することによりこの相対密度分布から密度プロファイルが選択される。次いで、前記密度プロファイルから前記壁の外面および内面の位置が決定される。最後に、壁の外面の位置と内面の位置との間の間隔から肉厚が決定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第6,377,654号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この既知の欠点は、壁の接線部分に関する肉厚情報しか得られないという点である。内側からの局部的穴開けの開始は、通常は検出できない。前記技術は内部接線壁の貫通に基づくものであり、X線およびガンマ線は管状物体の内部接線方向の最大貫通材料厚により制限されるため、肉厚が薄く直径が小さい管状物体に本発明が限定されてしまう。本明細書で説明されている配置および方法は、放射線に対して垂直な配置で壁から最良の情報を与えるので、中空または管状物体の接線部分の貫通を必要としない。したがって、本発明は、米国特許第6,377,654号明細書の適用範囲を、より大きな直径および厚い肉厚を持つ物体にまで大幅に拡大し、および/または放射線防護対象となる制御領域を縮小し、測定時間を短縮し、作業領域の近くにいる人々にとって危険度の低い低エネルギー放射線を利用することを可能にする。しかし、本発明の目的は、壁の内面の少なくとも一部分の位置および形状を少なくとも決定することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による方法は、
X線またはガンマ線などの放射線を物体に透過させる工程であって、少なくとも1つの放射線源を使って放射線が少なくとも、検査対象の壁の少なくとも1つの第1の部分を透過し、また物体の壁の他の第2の部分を透過する工程aと、
物体の少なくとも1つの放射線画像を記録するために少なくとも1つの検出器ユニットを使って壁の前記部分を通過した放射線を受ける工程であって、前記少なくとも1つの放射線画像は放射線を受ける位置を前記位置で受ける放射線の強度と一緒に表す工程bと、
少なくとも1つの検出器ユニットを少なくとも使って信号を発生する工程であって、これらの信号は記録された少なくとも1つの放射線画像を表す工程cと、
前記信号を少なくとも1台のコンピュータに送る工程dと、
少なくとも(i)使用される放射線に対する1つまたは複数の壁材料の少なくとも1つの減衰係数および/または使用される放射線に対する1つまたは複数の壁材料の肉厚の減衰の関数に関する情報、(ii)物体に対して相対的な透過放射線の使用される位置および方向に関する情報、および(iii)物体に対して相対的な放射線検出器の少なくとも1つの使用される位置および適宜、使用される少なくとも1つの配向および/または壁の少なくとも1つの第1の部分、適宜壁の第2の部分の(局所的)肉厚および物体を通過する放射線の物体に対して相対的な進行方向および位置の関数としての放射線が物体を通過したときの放射線の予想減衰量などの(i、ii、iii)から導出されうる情報をコンピュータに送る工程eと、
コンピュータを使って、壁の少なくとも1つの第1の部分の内面の推定される位置および形状を計算し、適宜、一方で記録された少なくとも1つの放射線画像に基づき、また他方で少なくとも工程eで与えられる情報に基づき壁の第2の部分の内面の推定される位置および形状を計算する工程fと、
工程aにおいて、放射線が最初に物体を透過しその際に放射線は少なくとも検出対象の壁の少なくとも1つの第1の部分を透過し、また第1の放射線画像を記録するため少なくとも1つの放射線源を使って壁の複数の第2の部分のうちの1つを透過するように、また工程aにおいて、放射線源の位置が少なくとも1回変更された後、放射線が少なくとも検査対象の壁の、少なくとも1つの第1の部分をその後透過し、またすでに撮像されている放射線画像と異なる少なくとも1つの他の放射線画像を記録するために放射線がすでに透過した壁の第2の部分と異なる壁の第2の部分を透過するように軸方向軸の方向の少なくとも1つの成分を含む方向で物体に対して相対的な放射線源の位置を工程aにおいて変更する工程であって、壁の第1の部分に相対的な透過放射線の方向は、放射線源が軸方向軸の方向の成分を有する方向に移動された場合に変化し、前記第1の記録された放射線画像および前記少なくとも1つの他の記録された放射線画像は前記計算を実行するために工程fで使用される工程gとを含む。したがって、放射線画像は、設定された計算を実行するために工程fで組み合わせて使用される。
【0008】
本発明により、壁の少なくとも1つの第1の部分の内面の位置および形状は、比較的高い精度で推定できる。内面の推定された形状は、内面の線分と内面の面分の両方としてよい。
【0009】
工程fにおいて、一方で記録された放射線画像と他方で工程eにおいて与えられる情報は、壁の少なくとも1つの第1の部分の内面の推定される位置および形状を計算するために使用される。本発明により、計算は、さまざまな方法で実行されうる。この考え方は、壁の少なくとも1つの第1の部分の内面の(決定されるべき)位置および形状、壁の第2の部分の内面の位置および形状(壁の第2の部分の内面の位置および形状に関する情報がコンピュータに送られない場合にはこれもまた決定されるべき)、ならびに壁の少なくとも1つの第1の部分および壁の第2の部分の外面の位置および形状(壁の第1の部分および壁の第2の部分の外面の位置および形状に関する情報がコンピュータに送られない場合にはこれもまた決定されるべき)と一緒に工程eにおいて与えられる情報から、取得された放射線画像に対応する放射線の減衰量が得られるというものである。言い換えると、壁の少なくとも1つの第1の部分の内面の位置および形状ならびに適宜(知られていない場合)壁の第2の部分の内面の位置および形状ならびに適宜(知られていない場合)壁の少なくとも1つの第1の位置および壁の第2の位置の外面の位置および形状は、取得された放射線画像に対応して減衰量が求められるように選択されなければならないということである。壁の第2の部分の内面の位置および形状も、取得された放射線画像に基づいて決定されるかどうかは、壁の第2の部分の内面の位置および形状が知られているかどうかに依存する。壁の少なくとも1つの第1の部分および壁の第2の部分の外面の位置および形状にも同じことが言える。このような方法で、1つまたは複数の壁材料の減衰係数が知られているか、または壁の(局所的)肉厚の関数としての減衰量が知られているということがありえる。それに加えて、物体に相対的な透過放射線の位置および方向に関する情報が、物体に対して相対的な放射線検出器の使用される位置および適宜使用される少なくとも1つの配向と一緒に知られているということがありえる。放射線検出器の配向に関する情報が、この配向に依存する記録された放射線画像に必要になることがある。しかし、コンピュータが、そこから導出されうる他の情報を受け取ることもありうる。
【0010】
例えば、物体が溶接部を備えるパイプラインである場合、一般に、外面の形状および位置ならびにパイプラインの内面は、溶接部が存在する位置を除き、機知である。検査対象の壁の第1の部分が溶接部を備えるパイプラインの部分となるような場合に、本発明による方法が適用されうる。壁の他の第2の部分は、一般的にまたはほとんど溶接部を含まず、壁の第2の部分の内面および外面が比較的よく知られるように選択されうる。また、壁の第1の部分の外面は、例えば、目に見えるためよく知られているものとしてよい。したがって、そのような場合、壁の第1の部分の外面の比較的よく知られている位置および形状ならびに壁の第2の部分の外面の位置および形状、さらに壁の第2の部分の内面の位置および形状は、壁の第1の部分の内面の位置および形状を決定するための計算を実行する際の初期点としてコンピュータにより使用されうる。基本的に、壁(この実施例では溶接部を含む)の第1の部分の内面の位置および形状の放射線画像を推定することができる。その後の他の工程において、例えば、第2の部分の内面の形状および位置は、さらに、取得された放射線画像にうまく適合するように変えることができる。壁の第1および第2の部分の外面にも同じことが当てはまる。さらに、これらの表面の場所および形状は、取得された放射線画像にうまく適合するように変えることもできる。
【0011】
取得された放射線画像が多ければ多いほど、少なくとも1つの第1の部分および第2の部分の内面の位置および形状をより正確に計算できる。説明されているように、この計算は、壁の第1および第2の部分の内面の位置および形状に対するいくつかの初期値に基づき最良適合が要求され、反復プロセスがその最良適合を得るために実行される方法を含むことができる。さらに、第1の部分および第2の部分の外面の位置および形状は、この適合をさらに改善するように変えることができる。また、壁の第1の部分の外面の位置および形状ならびに壁の第2の部分の外面および内面の位置および形状が(よく)知られていないということもありえる。その場合、コンピュータは、これらの位置および形状の(可能なコンピュータ生成)第1推定に基づいて計算を開始することができる。他の計算では、これらの推定を上述のように改善して、適合度を高めることができる。
【0012】
一般に、この方法は、壁の複数の異なる第1の部分について実行されうることに留意されたい。好ましくは、壁の複数の第1の部分は隣接している。
【0013】
本発明の第1の特別な実施形態により、工程fにおいて、壁の少なくとも1つの第1の部分の内面の推定される位置および形状ならびに壁の少なくとも1つの第1の部分の外面の推定される位置および形状の計算ならびに適宜、壁の第2の部分の内面の推定される位置および形状ならびに/または壁の第2の部分の外面の推定される位置および形状の計算は、一方では記録された放射線画像に基づき、他方では少なくとも工程eで与えられる情報に基づく。この実施形態により、第1の部分の外面がよく知られていない場合に壁の第1の部分の内面と外面の両方の位置および形状に関する情報を得ることが望ましいことがある。その場合、第1の部分の内面の位置および形状、さらに第1の部分の外面の改善された位置および形状が、取得された放射線画像とのよい適合をもたらすように計算されうる。
【0014】
本発明の第2の特別な実施形態により、工程fにおいて、壁の少なくとも1つの第1の部分の内面の推定される位置および形状ならびに壁の少なくとも1つの第1の部分の外面の推定される位置および形状の計算ならびに適宜、壁の第2の部分の内面の推定される位置および形状ならびに/または壁の第2の部分の外面の推定される位置および形状の計算は、一方では記録された放射線画像に基づき、他方では、一方で放射線源により送り出されて物体を通過し、放射線検出器によって受け取られる放射線の減衰量と他方で物体に対して相対的な放射線の可能な位置および方向ならびに壁の少なくとも1つの第1の部分および壁の第2の部分の可能な(局所的)厚さとの間の与えられた関係に基づく。物体に対して相対的な放射線の位置および方向ならびに壁の第1および第2の部分の局所的厚さは、長さが材料の減衰係数とともにとりわけ放射線の減衰量を決定する材料内を放射線が通過する際に辿る経路の部分の全長に関する情報をもたらすことに留意されたい。放射線の実際の減衰は、放射線画像を使って位置合わせされる。放射線画像および前記与えられた放射線に基づき、壁の第1および第2の部分の局所的厚さを推定できる。その後、この実施形態により、第1および第2の部分の外面の知られている場所および形状に基づき、第1および第2の部分の内面の場所および形状が決定されうる。しかし、さらに、これらの内面の場所および位置も、この方法で推定されることがありうる。一方で放射線源により送り出される放射線の減衰量と他方で物体に対して相対的な放射線の可能な位置および方向ならびに壁の第1および第2の部分の可能な(局所的)厚さとの間の関係は、較正ピースを使用することにより求めることができることに留意されたい。
【0015】
本発明の第3の特別な実施形態により、工程fにおいて、壁の少なくとも1つの第1の部分の内面および壁の少なくとも1つの第1の部分の外面の推定される位置および形状ならびに適宜、壁の第2の部分の外面の推定される位置および形状および/または壁の第2の部分の内面の推定される位置および形状は、一方では記録された放射線画像に基づき、他方では、一方で放射線源により送り出されて物体を通過し、放射線検出器によって受け取られる放射線の減衰量、他方で、使用される放射線に対する物体の材料の減衰係数、物体の可能な幾何学的形状、物体に対して相対的な放射線源の使用される位置および適宜使用される少なくとも1つの配向、または物体に対して相対的な放射線の場所および方向、ならびに物体に対して相対的な放射線検出器の使用される少なくとも1つの位置および適宜使用される少なくとも1つの配向の間の与えられた関係に基づき計算される。放射線源の配向は、放射線の方向および/または強度がこの配向に依存する場合に必要になることがある。この方法は、第2の特別な実施形態による方法と異なる情報に基づき実行される。
【0016】
好ましくは、この方法は、さらに、
壁の少なくとも1つの第1の部分の外面の位置および形状に関する情報ならびに壁の他の少なくとも1つの第2の部分の外面の位置および形状に関する情報をコンピュータに送る工程であって、前記情報はさらに設定された計算を実行するために工程eにおいてコンピュータに送られる情報を組み合わせて工程fにおいて使用される工程hを含む。これは、外壁の位置および形状が、目に見えるため容易に決定できる場合に有利なものと言える。
【0017】
本発明の特別な一実施形態により、工程fを実行するために、
前記放射線源が物体に対して相対的な前記位置にあるときにコンピュータを使って近似された放射線画像を決定する工程であって、近似された放射線画像を撮像するための前記決定は工程hにおける外面の与えられた位置および形状または外面の位置および形状の第1推定に基づき、物体に対して相対的な放射線源の使用される位置および適宜、使用される少なくとも1つの配向、物体に対して相対的な放射線検出器の使用される少なくとも1つの位置および適宜、使用される少なくとも1つの配向、ならびに壁の少なくとも1つの第1の部分および壁の第2の部分の内面の位置および形状の推定に基づき、さらに使用される放射線に対する壁の材料の少なくとも1つの減衰係数および物体の幾何学的形状の情報またはそこから導出されうる情報に基づき適用される第1の所定のアルゴリズムを使って実行される工程iと、
近似された放射線画像と、それぞれの対応する記録された放射線画像との間の差をコンピュータを使って計算する工程jと、
第2の所定のアルゴリズムを計算された差の関数として使って、壁の少なくとも1つの第1の部分の内面の新しい推定された位置および形状ならびに適宜、壁の第2の部分の内面の新しい推定された位置および形状ならびに適宜、壁の少なくとも1つの第1の部分の外面の新しい推定された位置および形状ならびに適宜、壁の第2の部分の外面の新しい推定された位置および形状を計算する工程kと、
工程jで求められる差が所定の要件を満たすまで工程jおよびkを繰り返す工程lと、
所定の要件を満たす差に属す壁の少なくとも1つの第1の部分の内面の推定された位置および形状を与える工程m、の各工程が実行される。
【0018】
上で説明されているように、第1の部分の内面の位置および形状に対する新しい推定のみが計算され、第1の部分の外面の(知られているまたは推定された)場所および形状、第2の部分の外面の(知られているまたは推定された)位置および形状、ならびに第2の部分の内面の(知られているまたは推定された)位置および形状は同じままであるものとしてよい。しかし、第1および第2の部分の内面の位置および形状に対する両方の新しい推定が計算されることもありうる。より具体的には、第1の部分および/または第2の部分の外面に対する新しい位置および形状も同様に計算されうるものとしてよい。後者の計算は、多数の近似された放射線画像が撮像される場合に実行することが好ましい。
【0019】
好ましくは、工程i、j、k、およびlにおいて、最小二乗法に基づき近似された放射線画像と位置合わせされた放射線画像との間の最良適合を求める反復法が実行されると考えられる。
【0020】
本発明の特別な一実施形態により、この方法は、さらに、物体が、壁の少なくとも1つの第1の部分および壁の第2の部分の外面上にマーカーを付けられ、放射線源、放射線検出器、およびコンピュータを使い、コンピュータ断層撮影法、コンピュータ平面断層撮影法、またはコンピュータ積層撮影法などの他の方法によりマーカーの位置が求められる工程nを含み、工程hにおいてコンピュータに対して、マーカーの求められた位置に基づき壁の少なくとも1つの第1の部分の外面の位置および形状ならびに壁の第2の部分の外面の位置および形状が与えられる。これは、前記外面の場所と形状を決定するのに非常に適した方法である。説明されているように、これは目視検査により行うこともできるが、これはいつでも可能であるというわけではなく、さらに、コンピュータ平面断層撮影法またはコンピュータ積層撮影法が使用される方法は、可能な手動による測定を含む目視検査よりも正確である。
【0021】
好ましくは、その場合、マーカーの位置は、平行移動積層撮影法または回転積層撮影法により求められる。好ましくは、コンピュータ平面断層撮影法またはコンピュータ積層撮影法および壁の少なくとも1つの第1の部分の内面の形状および位置の決定は、放射線源および放射線検出器を使って実行される同一の測定に基づいて行われる。後者は、上で説明されているようにマーカーを使用して決定されうる。
【0022】
本発明の特別な一実施形態により、内面の形状および外面の形状は、それぞれ前記内面および外面の線分により形成されると考えられる。特別な一実施形態により、工程gにおいて放射線源は直線に沿って移動するとも考えられる。好ましくは、これらの線分は直線に平行すると考えられる。特別な一実施形態により、放射線源は扇ビームを発生する。好ましくは、その場合、線分は、扇ビームの平面内に置かれる。
【0023】
本発明による方法は、物体が縦に長い形状を有する場合に特に有利である。好ましくは、その場合、直線は、物体の長手方向に延びる。また好ましくは、その場合、線分は、物体の長手方向に延びる。より具体的には、その場合、物体はパイプラインである。
【0024】
本発明の非常に有利な一実施形態により、この方法は、さらに、放射線源、放射線検出器、およびコンピュータを使って、壁の少なくとも1つの第1の部分の材料の画像がコンピュータ断層撮影法、コンピュータ平面断層撮影法、またはコンピュータ積層撮影法などの他の方法により取得され、材料の前記画像は材料中の不均質の位置および形状に関する情報を示す工程oを含む。コンピュータ平面断層撮影法またはコンピュータ積層撮影法は、よく知られている3D断層撮影法が使用できない物体に対して特に使用される。例えば、物体が縦方向に長い形状を有する場合、物体の周り360°にわたって分布する複数の角度の下で撮像される放射線画像を取得することは可能でない。このことは、制限された視野状態(死角効果)があることを意味する。材料の画像が制限された視野角の下で取得される方法は、コンピュータ平面断層撮影法またはコンピュータ積層撮影法と呼ばれる。このような方法の欠点は、材料の取得された画像が、物体の長手方向に延びる不均質に関する情報を示さないことにある。これは、さらに、物体の長手方向に延びる物体の内面または外面の場所および位置を示さないことを意味する。これは、壁の第1の部分の材料の画像を構成するための情報を得ようとしてコンピュータ平面断層撮影法またはコンピュータ積層撮影法を使用した場合に放射線が物体の長手方向に物体中を通過しえないことが原因である。これは、使用時には、放射線が長手方向に物体中を通過するように放射線源と放射線検出器との間で縦方向に長い物体を位置決めできないことが原因である。物体の長手方向の長さは、単純に、放射線源と放射線検出器との間の距離よりも大きい。非常に有利な一実施形態では、本発明による方法は、
少なくとも1台のコンピュータを使って壁の少なくとも1つの第1の部分の材料の画像と壁の少なくとも1つの第1の部分の内面の得られた位置および形状とを組み合わせて、壁の少なくとも1つの第1の部分内の材料の前記不均質の位置および形状に関する情報を壁の少なくとも1つの第1の部分の内面の位置および形状に関する情報と組み合わせて示す第2の画像を撮像する工程pを含む。次に、この第2の画像は、壁の材料の画像に加えて壁の少なくとも1つの第1の部分の内面の位置および形状に関する情報もそのようなものとして含む。好ましくは、この方法は、
少なくとも1台のコンピュータを使って壁の少なくとも1つの第1の部分の材料の画像と壁の少なくとも1つの第1の部分の外面の得られた位置および形状とを組み合わせて、壁の少なくとも1つの第1の部分内の材料の前記不均質の位置および形状に関する情報を壁の少なくとも1つの第1の部分の内面および外面の位置および形状に関する情報と組み合わせて示す第2の画像を撮像する工程qを含む。その場合、第2の画像は、壁の少なくとも1つの第1の部分の明確な表現を構成する。これは、壁の材料と壁の外面および内面の両方を示す。特別な一実施形態により、材料の画像は、少なくとも、壁の少なくとも1つの第1の部分の内面および外面を貫通する平面内に置かれている材料の画像を含み、第2の画像は少なくとも1つの第1の部分の内面および少なくとも1つの第1の部分の外面の位置および形状をそれぞれ示し、前記内面および外面はそれぞれ前記平面内に置かれる線分である。
【0025】
好ましくは、壁の少なくとも1つの第1の部分の材料の前記画像ならびに壁の少なくとも1つの第1の部分の内面の形状および位置は、放射線源および放射線検出器を使って実行される同一の測定に基づいて取得される。このため、この方法は費用が比較的少なくて済む。また、好ましくは、コンピュータ平面断層撮影法またはコンピュータ積層撮影法および壁の少なくとも1つの第1の部分の内面の形状および位置の決定は、放射線源および放射線検出器を使って実行される同一の測定に基づいて行われる。後者は、上で説明されているようにマーカーを使用して決定されうる。
【0026】
工程nの非常に好ましい一実施形態により、FBRまたはARTなどの再構成法が使用され、前記再構成法において、壁の少なくとも1つの第1の部分の内面の決定された位置および形状および/または壁の第2の部分の内面の決定された位置および形状および/または壁の少なくとも1つの第1の部分の外面の決定された位置および形状および/または壁の第2の部分の外面の決定された位置および形状に関する情報が使用される。上記に照らして、FBRまたはARTなどの再構成法だけでなく他の知られている再構成法は、第1の部分の内面の決定された位置および形状および/または第2の部分の内面の決定された位置および形状に関する情報を使用して改善されうることは当業者にとっては明らかであろう。第1の部分の外面の決定された位置および形状および/または第2の部分の外面の決定された位置および形状にも同じことが言える。
【0027】
特別な一実施形態により、放射線検出器は物体に対して相対的に静止状態にある。しかし、放射線検出器は放射線源に対して相対的に静止状態にあることも可能である。放射線検出器は、フラットパネル型検出器またはライン型検出器としてよい。放射線検出器は、放射線画像を取得するために物体に対して相対的な異なる配置で位置決めされうるポイント型検出器であってもよい。工程gでコンピュータに送られる情報は、放射線の減衰量の測定および較正ピースを使って得られてよい。較正ピースは、物体中に存在することが予想される可能な肉厚に対応する肉厚を有するものとしてよい。
【0028】
物体は、液体などの物質を充填されている可能性があり、その場合適宜、方法において、物質による放射線の減衰に対する補正が実行される。上記に照らして、方法において、物質による放射線の減衰に対する補正が実行されうることは当業者にとって明らかなことであろう。物質は、実行される計算において認められうる物体を通過する放射線の付加的な減衰をもたらす。また、上記に照らして、方法において、散乱に対する補正が実行されうることも当業者にとって明らかなことであろう。
【0029】
本発明は、さらに、中空の物体の内部空間を囲む壁を含む中空の物体に対して照射試験を実行して、壁の材料の不均質の位置および形状を決定する方法にも関係し、前記壁は内面および外面を備え、前記方法は、
X線またはガンマ線などの放射線を物体に透過させる工程であって、少なくとも1つの放射線源を使って放射線が検査対象の壁の少なくとも1つの第1の部分を透過し、また物体の壁の他の第2の部分を透過する工程aと、
物体の少なくとも1つの放射線画像を記録するために少なくとも1つの検出器ユニットを使って壁の前記部分を通過した放射線を受ける工程であって、前記放射線画像は放射線を受ける検出器上の位置を前記位置で受ける放射線の強度と一緒に表す工程bと、
少なくとも1つの検出器ユニットを使って信号を発生する工程であって、これらの信号は記録された放射線画像を表す工程cと、
前記信号を少なくとも1台のコンピュータに送る工程dと、
前記コンピュータを使い、前記信号に基づき壁の前記少なくとも1つの第1の部分の材料の第1の画像を生成する工程であって、前記第1の画像が前記不均質の位置および形状に関する情報を示し、また壁の外側を囲むその境界を含む壁の少なくとも1つの第1の部分の内面の少なくとも一部および壁の外側を囲むその境界を含む壁の少なくとも1つの第1の部分の外面の少なくとも一部を覆う画像である工程eと、
コンピュータを使って、壁の少なくとも1つの第1の部分の内面の推定される位置および形状を計算し、一方で少なくとも1つの記録された放射線画像に基づき、他方で放射線源により送り出されて物体を通過し、放射線検出器によって受け取られる放射線の減衰量、使用される放射線または壁材料に対する物体の壁材料の少なくとも1つの減衰係数、および/または使用される放射線に対する1つまたは複数の壁材料の肉厚の減衰の関数、および物体に対する相対的な放射線の方向および位置の間の与えられた関係に基づき壁の少なくとも1つの第1の部分の外面の推定される位置および形状を適宜計算する工程fと、
少なくとも1台のコンピュータを使って、材料の第1の画像と壁の少なくとも1つの第1の部分の内面の得られた位置および形状とを組み合わせて、壁の少なくとも1つの第1の部分内の材料の前記不均質の位置および形状に関する情報を壁の少なくとも1つの第1の部分の内面の位置および形状に関する情報と組み合わせて示す第2の画像を撮像する工程gとを含む。
【0030】
特許請求の範囲に記載の方法を実行する本発明によるシステムは、少なくとも1つの放射線源、少なくとも1つの放射線検出器、放射線源の位置および/または配向および/または物体に対して相対的な放射線検出器の位置を変更するための少なくとも1つの移送デバイス、ならびにこの方法の計算を実行するためのソフトウェアを含むコンピュータを備える。
【0031】
そこで、本発明による方法の可能な一実施例は、以下の図に基づき説明される。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明による方法を実行する本発明によるシステムを示す図である。
【図2A】図1のシステムにより撮像されうる物体の材料の画像を示す図である。
【図2B】本発明による方法によって取得される、図2Aの物体の壁の一部の推定される位置および形状を示す図である。
【図2C】本発明による方法により撮像される、図2Aおよび2Bに基づく画像を示す図である。
【図3】本発明による方法を実行する本発明による第1の代替システムを示す図である。
【図4】本発明による方法を実行する本発明による第2の代替システムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1では、中空の物体2に照射試験を実行するための本発明によるシステム1が示されている。中空の物体は、物体の内部空間6を囲む少なくとも1つの壁4を備える。前記壁は、内面8および外面10を備える。
【0034】
システムは、この実施例においてX線を発生するための放射線源12、フラットプレート型検出器14、コンピュータ16、およびディスプレイ18を備える。さらに、システムは、放射線源12の位置を変更するため移送デバイス20を備える。図1において、移送デバイス12は、放射線源を移送する際に辿る直線を用いて概略が示されている。移送デバイス20は、コンピュータ16により生成される制御信号s^により制御される。さらに、放射線源12は、コンピュータ16により生成される制御信号Tにより制御される。フラットプレート型放射線検出器によって生成される信号Rは、コンピュータ16に送出される。
【0035】
本発明の実施例では、物体は、縦方向に長い形状を有し、より具体的には、物体は、長手方向22を有するパイプラインであり、この方向はパイプラインの軸方向軸22も形成する。さらに、パイプラインは溶接部24を備える。
【0036】
この実施例では、システムを使って、壁4の少なくとも1つの第1の部分26の内面8の位置および形状を決定するための方法が実行される。図1に示されているように。壁の第1の部分26は溶接部24を備える。
【0037】
壁の第1の部分の内面の位置は、物体の残り部分に対して相対的に定義されるか、または物体の環境内の静止位置Fに対して相対的に定義されうる。壁の少なくとも1つの第1の部分の内面の位置を定義する必要があるのは以下の理由による。すなわち、壁の複数の第1の部分の形状を組み合わせて、壁のより広い(または全ての)内面の形状を示す単一の画像に仕上げることが可能である場合、相対的な壁の第1の部分の内面の位置が知られていなければならない。したがって、第1の部分の内面の形状だけでなく、この実施例では、物体の残り部分に対して、この実施例では相対的なその位置も取得される。この実施例では、壁の外面10の位置および形状が既知である。壁の内面8の位置および形状は、既知ではなく、壁26の第1の部分の内面の位置および形状は決定されなければならない。
【0038】
使用時に、X線またはガンマ線などの放射線は、放射線源12が位置P1にあるときに放射線源12を使って検査対象の壁の少なくとも第1の部分を透過し、また壁の他の第2の部分30Aを透過する。この実施例では、放射線源は、図1に示されている図面の平面内に置かれる扇ビームを生成する。放射線は、壁の第2の部分30Aを通過し、さらに壁26の第1の部分を通過し、その後、この実施例では物体に対して相対的に静止状態にある検出器ユニット14により受け取られる。
【0039】
検出器ユニットは、物体の放射線画像を記録して位置合わせする(register)ために使用され、前記放射線画像は、放射線を受け取った位置を、前記位置で受けた放射線の強度とともに表す。
【0040】
検出器14は、記録された放射線画像を表す信号を発生する。この実施例では、放射線源が扇ビームを生成するため画像は線分である。
【0041】
検出器14を使って生成される信号Rは、コンピュータ16に送られる。その後、コンピュータ16は、放射線源を停止させる。さらに、コンピュータ16は、放射線源12を新しい位置P2に移動するように移送デバイス20を制御する。移送デバイスは、軸方向22に延びる成分を有する方向に放射線源を移動する。この実施例では、移送デバイスは、軸方向に延びる方向に位置P2まで放射線源を移動した。位置P2において、コンピュータは、放射線源を起動し、放射線が壁の他の第2の部分30Bを透過し、壁の第1の部分26を透過するようにする。ここでもまた、検出器14を使って、放射線画像が取得され、対応する信号がコンピュータ16に送られる。その後、コンピュータ16は、放射線源を停止し、放射線源を軸方向22で第3の位置P3に移動する。次いで、コンピュータは、放射線源を起動し、放射線が壁の他の第2の部分30Cを透過し、再び壁の第1の部分26を透過するようにする。取得された放射線画像を表す信号がコンピュータ16に送られる。コンピュータが放射線源を停止せず、したがって物体の検査中に起動したままとなることもありえる。
【0042】
この実施例で説明されているように、壁の外面10の場所および形状は既知であるる。外面10の場所および形状に関する情報がコンピュータ16に供給される。この実施例では、物体はパイプラインであり、外面が直径Dを有する円筒を形成する。実際には、この直径Dの値がコンピュータに供給される。そこで溶接部24が存在している場合のみ、直径はより大きい。この実施例では、直径D(x)は、コンピュータに送られる第1の物体の長手方向22における位置xの関数である。これは、この実施例においてコンピュータに、壁の第1の部分の外面の位置および形状に関する情報ならびに壁の他の第2の部分の外面の位置および形状に関する情報が送られることを意味する。後述のように、コンピュータに、溶接部が存在していない直径の値のみを送ることも可能である。
【0043】
さらに、コンピュータに、使用される放射線に対する壁材料の減衰係数に関する情報が送られる。この実施例では、減衰係数μは、溶接部24を含む壁のすべての場所において同じであると仮定される。
【0044】
さらに、コンピュータに、物体の幾何学的形状に関する情報が送られる。この実施例では、物体の幾何学的形状に関する情報は、すでに述べた直径D(x)とは別に、位置xの関数として、物体の内径dの推定値を含む。初期値として、位置xの関数としての直径d(x)はxのそれぞれの値について同じであると仮定する。しかし、図面から明らかなように、これは、物体が溶接部24を備えている場合の位置については正しくない。したがって、壁の第2の部分30A、30Bの内面の位置および形状は、比較的よく知られているが、壁の第2の部分30Aの内面の位置および形状は、おおよそにしか知られておらず、壁の第1の部分26の内面の位置および形状もおおよそ知られている。第1の部分および第2の部分の外面の位置および形状はこの実施例でもよく知られている。
【0045】
放射線源が位置P1にあるときに検出器14により受け取られる放射線の減衰量は、とりわけ溶接部の第2の部分30A内で放射線が通る経路の長さおよび放射線が溶接部の第1の部分を通過する経路の長さにより決定される。溶接部の第2の部分30Aを通る経路の長さは、放射線の通過方向および一方の物体に対して相対的な放射線の位置および(D(x=P1)−d(x=P1))/2で推定できる壁の第2の部分30Aの肉厚から推定できる。放射線が壁の第1の部分を通過する経路の長さは、ここでもまた放射線の通過方向32、放射線の位置、ならびに壁の第1の部分26の外面の場所および形状ならびに壁の第1の部分26の内面の場所および形状に依存する。説明されているように、壁の第1の部分の外面の場所および形状は、初期値または第1推定値としておおよそ知られており、主要な未知係数は壁の第1の部分の内面の場所および形状である。したがって、検出器が受けた減衰量は、壁の第1の部分の内面の場所および形状に関する情報をもたらす。この減衰量は、検出器により、またコンピュータに送られた前記信号により決定された放射線画像によって反映される。
【0046】
放射線源が位置P1にあるときに減衰および放射線画像についてこれまでに説明された内容は、必要な変更を加えて、放射線源が位置P3にあるときの減衰および放射線画像にも当てはまる。放射線源が位置P2にあるときには、主な違いは、壁の第2の部分30Bの肉厚が、壁の第2の部分30Bの内面の形状が未知であるためあまり正確には知られないという点である。したがって、この実施形態では、放射線が物体を透過すると、放射線は一般に軸方向軸22に平行な平面(この実施例では図面の平面)内に広がり、少なくとも1つの放射線源により、放射線は少なくとも検査対象の壁の少なくとも1つの第1の部分を透過し、さらに、壁の他の第2の部分のうちの1つを透過し、第1の放射線画像の記録が行われる。この実施形態では、軸方向軸22は、前記平面(この実施例では、図面の平面)内に置かれると考えられる。また、前記平面は図面の平面に平行することも可能である。両方の場合において、それに加えて放射線はさらに平面の外に広がることも考えられる。放射線は、さらに、例えば、円錐ビームが使用される場合に平面の外に広がる。この場合も、放射線は、一般に平面内にも広がるので、放射線は少なくとも一般に平面内に広がるといえる。さらに、物体の軸方向で物体に対して相対的な放射線源の位置は、放射線が少なくとも検査対象の壁の少なくとも1つの第1の部分を透過し、また、放射線がすでに透過している壁の第2の部分と異なる壁の第2の部分を透過するように、少なくとも1回、変更される。これは、すでに取得されている放射線画像と異なる少なくとも1つの他の(新しい)放射線画像の記録をするためである。壁の第1の部分に対して相対的な透過放射線の方向32は、放射線源が軸方向22の成分を有する方向に移動された場合に変化する。
【0047】
しかし、第1推定すなわち初期値として、壁の第2の部分30Bの内面は公称肉厚を有する未溶接パイプの内面であるとコンピュータにおいて仮定する。
【0048】
この仮定に基づき、コンピュータは、上で説明されているように第1のアルゴリズムを使って放射線源が放射線を送り出す位置のそれぞれおよび近似された放射線画像について計算することができる。その後、コンピュータは、近似された複数の放射線画像とそれぞれに対応する記録された放射線画像との間の差分を計算する。さらに、これらの差分に基づき、コンピュータは、第2の所定のアルゴリズムを使って、壁の第1の部分の内面の新しい推定された位置および形状を計算する。適宜、コンピュータは、さらに、壁の第2の部分の内面の新しい推定された位置および形状も計算することができる。壁の内面の新しい推定された位置および形状ならびに壁の第2の部分の内面の適宜新しい推定された位置および形状に基づき、コンピュータは、第1の3つの近似された放射線画像が撮像されるときと同じ方法で第1のアルゴリズムを使って3つの新しい近似された放射線画像を決定する。新しい近似された放射線画像は、その後、コンピュータにより、対応する記録された放射線画像と比較される。ここでもまた、コンピュータは、近似された放射線画像とそれぞれの対応する記録された放射線画像との間の差分を計算する。これらの差分の計算結果に基づき、コンピュータは、再び、第2の所定のアルゴリズムに基づき、第1の部分の内面の新しい推定された位置および第2の部分のそれぞれに対する内面の適宜新しい推定された位置および形状を計算する。このプロセスは、求められた差が所定の要件を満たしている間繰り返されうる。プロセスが終了すると、壁の第1の部分の内面の推定された位置および形状が決定される。適宜、壁の第2の部分のそれぞれに対する外面の推定された位置および形状も、同様にして求めることができる。
【0049】
したがって、この実施例では、近似された放射線画像と記録された放射線画像との間の最良適合を求める照射方法が実行されるということになる。この実施例では、近似された放射線画像と記録された放射線画像との間の最良適合を求める照射方法は、最小二乗法に基づく。上の説明において、前記第1の記録された放射線画像および前記少なくとも1つの他の記録された放射線画像が、前記計算を実行するために組み合わせて使用されると考えられる。
【0050】
上記説明は、より具体的には、コンピュータを使って、前記放射線源が物体に対して相対的な前記位置にあるときにそれぞれ得られる近似された放射線画像が決定される。近似された放射線画像を取得するための前記決定は、以下の情報に基づいて適用される第1の所定のアルゴリズムにより実行される。すなわち、外面の与えられた位置および形状または外面の位置および形状の第1推定(第1推定はコンピュータ自体により生成されうる)に基づいて適用される。物体に対して相対的な放射線源の使用される位置および使用される配向、物体に対して相対的な放射線検出器の使用される位置および使用される配向、および壁の少なくとも1つの第1の部分および壁の第2の部分の内面の位置および形状の推定に基づいて適用される。および、使用される放射線に対する壁の材料の少なくとも1つの減衰係数および物体の幾何学的形状の情報またはその情報から導き出せる情報に基づいて適用される。さらに、前記第1のアルゴリズムにおいて、近似された放射線画像は、放射線を壁の前記部分に通過させることにより引き起こされる放射線の予想される減衰を計算することにより得られる。前記減衰は放射線が材料中を通過する経路の長さおよび材料の減衰係数に依存する。前記経路の長さは、物体に対して相対的な放射線源の使用される位置および使用される配向、壁の少なくとも1つの第1の部分の外面の位置および形状、壁の少なくとも1つの第1の部分の内面の推定される位置および形状、壁の第2の部分の外面の位置および形状、ならびに壁の第2の部分の内面の推定される位置および形状に依存すると考えられる。
【0051】
上記の方法において、さらに壁の第1の部分の外面の改善された位置および形状および/または壁の第2の部分の外面の改善された位置および形状も反復プロセスで推定されうる。また、壁の第2の部分の内面の位置および形状の改善された推定も計算できる。これは、放射線源が多数の異なる位置に置かれている場合に多数の放射線画像が撮像されるときに特に実行されうる。したがって、その場合、壁の第1の部分の内面および外面だけでなく壁の第2の部分の内面および外面についても最良適合を実行するのに利用可能な多数の情報がある。
【0052】
上述の方法において、コンピュータに、使用される放射線に対する1つまたは複数の壁材料の少なくとも1つの減衰係数および/または使用される放射線に対する1つまたは複数の壁材料の肉厚の減衰の関数に関する情報、ならびに物体に対して相対的な放射線の透過位置および方向および物体に対して相対的な放射線検出器の使用される位置および適宜、使用される配向に関する情報および/または壁の少なくとも1つの第1の部分、適宜壁の第2の部分の(局所的)肉厚および物体を通過する放射線の物体に対して相対的な進行方向および位置の関数としての放射線が物体を通過したときの放射線の予想減衰量などからそこで導出されうる情報が少なくとも送られると考えられる。さらに、コンピュータを使って、壁の少なくとも1つの第1の部分の内面の推定される位置および形状が計算され、適宜、一方で記録された放射線画像に基づき、また他方で少なくともコンピュータに送られる情報に基づき壁の第2の部分の内面の推定される位置および形状が計算される。
【0053】
したがって、その場合、コンピュータを使って、第1の部分の内面の推定される位置および形状および適宜、第2の部分の内面の推定される位置および形状が、一方で位置合わせされた放射線画像ならびに他方で、使用される放射線に対する物体の材料の減衰係数の関数としての放射線源により送り出されて物体を通過し、放射線検出器によって受け取られる放射線の減衰量、物体の可能な幾何学的形状、物体に対する相対的な放射線源の位置、および物体に対して相対的な放射線検出器の位置の間の所定の関係に基づき計算されるとも考えられる。
【0054】
コンピュータが推定される放射線画像を計算する方法には、いろいろなものがある。説明されているように、使用される放射線に対する材料の減衰係数μが知られている場合、減衰は、放射線が壁材料を通過する経路の長さに基づき容易に計算されうる。しかし、減衰量を決定し、それによりさまざまな肉厚について推定される放射線画像を決定し、それにより壁の第1の部分の内面のさまざまな位置および形状、ならびに適宜壁の第1の部分の外面のさまざまな位置および形状、壁の第2の部分の内面のさまざまな位置および形状、ならびに壁の第2の部分の外面のさまざまな位置および形状について推定される放射線画像を決定するために較正ピースを使用することも可能である。これに対応する放射線画像は、コンピュータ内に格納される。所定のアルゴリズムに基づいて、コンピュータは、記録された放射線画像に基づき、格納されている最良適合放射線画像を選択することができ、これにより、壁の第1の部分の内面の推定される形状および位置ならびに適宜、壁の第1の部分の外面の形状および位置、壁の第2の部分の内面の形状および位置、および/または壁の第2の部分の形状および位置を与えることができる。
【0055】
しかし、さらに、較正ピースを使って、一方で放射線源により送出され、物体を通過し、放射線検出器により受け取られる放射線の減衰量と他方で物体に対して相対的な放射線の可能な位置および方向ならびに壁の第1の部分および壁の第2の部分の可能な局所的厚さとの間の関係を求めることも可能である。したがって、その場合、撮像された画像は格納されないが、物体に対して相対的な放射線の可能な位置および方向ならびに壁の第1の部分および壁の第2の部分の可能な局所的厚さに対する減衰量の情報は、格納される。放射線の格納されている減衰量は上述の格納されている放射線画像に対応することは明らかである。したがって、両方の場合において、コンピュータは、一方で放射線源により送り出され、物体を通過し、放射線検出器により受け取られる放射線の減衰量と他方で物体に対して相対的な放射線の可能な位置および方向ならびに壁の第1の部分および壁の第2の部分の可能な(局所的)厚さとの間の関係を供給されると考えられる。
【0056】
上述の実施形態のいくつかの変更形態も可能である。この方法において、散乱に対する補正を実行できる。これは、いわゆるビルドアップ係数を考慮している。これは、壁の第1の部分の(局所的)肉厚および壁の第2の部分の(局所的)肉厚の関数としての放射線が物体を通過したときの放射線の補正された予想減衰量、物体に対して相対的な放射線の進行方向、物体に対して相対的な放射線の位置を提示する。上記に照らして、散乱に対する補正とは別に、硬化に対する補正を実行することも可能であることは当業者にとっても明らかなことであろう。また、溶接部の材料に対する異なる減衰係数の補正についても適用可能である。溶接部の材料に対する使用される放射線の減衰係数が知られている場合、予想される減衰量、したがって近似された放射線画像を上述の方法と同様にして計算することが可能である。また、パイプラインの材料に加えて溶接部の材料も含む較正ピースを使用しながら、予想される減衰量および近似された放射線画像を取得することも可能である。
【0057】
上述のように、コンピュータに、壁の少なくとも1つの第1の部分の外面の位置および形状の第1推定ならびに壁の第2の部分の外面の位置および形状の第1推定を与えることができる。その後、説明されているように、壁の第1の部分の外面の位置および形状ならびに壁の第2の部分の外面の位置および形状の改善された推定を放射線画像に基づき求めることができる。
【0058】
また、外面の位置および形状が知られていない場合もありうる。その場合、壁の少なくとも1つの第1の部分および壁の第2の部分の外面の位置および形状の第1推定は、コンピュータそれ自体により生成され、その後、説明されているように改善された推定が計算されうる。その場合、壁の少なくとも1つの第1の部分の内面の位置および形状は、前に説明されているように計算できる。
【0059】
また(外面の上記の位置および形状が未知であるか否かに加えて)壁の第2の部分の内面の位置および形状が知られていない場合もある。その場合、壁の第2の部分の内面の位置および形状の第1推定は、コンピュータそれ自体により生成できる。その場合、壁の少なくとも1つの第1の部分の内面の位置および形状は、上で説明されているように計算できる。また、壁の第2の部分のその後に改善された位置および形状も、上述のように生成されうる。
【0060】
壁の第1の部分の外面の位置および形状ならびに壁の第2の部分の外面の位置および形状は上述のように第1推定または固定された情報として方法により求めることができ、その際に、物体に対して、壁の少なくとも第1の部分および第2の部分の外面にマーカー34を付け、放射線源、放射線検出器、およびコンピュータを使って、コンピュータ平面断層撮影法(computed planar tomography)またはコンピュータ積層撮影法(computed laminography)によりマーカーの位置が求められる。これらのマーカーの位置に基づき、壁の第1の部分および第2の部分の外面の位置および形状を求めることができる。マーカーの位置は、平行移動積層撮影法(translational laminography)または例えば回転積層撮影法(rotational laminography)により求められる。この実施例では、放射線源を方向22に平行移動できるため、マーカーの位置は平行移動積層撮影法により求められる。好ましくは、コンピュータ平面断層撮影法またはコンピュータ積層撮影法は、壁の第1の部分の内面、また前述のように、適宜、壁の第1の部分の外面、ならびに壁の第2の部分の内面および/または外面の少なくとも形状および位置を決定するために放射線源および放射線検出器を使って実行される同じ測定に基づき実行される。
【0061】
上述の方法は、壁の第1の部分について実行される。しかし、壁の複数の異なる第1の部分についてこの方法を実行することも可能である。好ましくは、壁の前記複数の第1の部分は、壁の複数の第1の部分が壁の途切れのないより大きな部分に広がるように隣接する。
【0062】
システムは、さらに、放射線源、放射線検出器、およびコンピュータを使って、コンピュータ平面断層撮影法またはコンピュータ積層撮影法により壁の第1の部分の材料の画像を撮像し、材料の前記画像が材料中の不均質の位置および形状に関する情報を示すようにする方法を実行するのに好適である。本発明の実施例では、この画像は図1の図面の平面内にある。この実施例において、材料の画像は、さらに、壁の外側を囲む境界を含む壁の第1の部分の内面を覆い、材料の前記画像は、さらに、壁の外側を囲む境界を含む壁の第1の部分の外面を覆う。コンピュータ平面断層撮影法またはコンピュータ積層撮影法では、複数の放射線画像が検出され、放射線源は、上述のように物体に対して相対的な複数の異なる位置にある。図1から明らかなように、放射線の方向32が物体の実際の方向22である状況はない。そのため、知られている結果として、方向22に広がる、また方向22に広がっている限り物体の内面および外面内に広がる不均質は検出されないということになる。これは、いわゆる死角問題と呼ばれる。材料の撮像された画像は図2aに示されている。図2aは、さらに、壁の第1の部分26の材料の前記画像を含む。図2aが、実際に、図のどの部分が壁の材料に属し、どの部分が壁の周囲に属すのかを示していないことは明らかである。
【0063】
図2bには、壁の第1の部分の内面の位置および形状ならびに壁の第1の部分の外面の位置および形状が示されている。壁の内側および外側の第1の部分のこの位置および形状は、上述の方法のどれかで得られる。その後コンピュータにより、図2aにおいて壁の外側にある部分が黒くなるように図2aおよび2bの情報が組み合わされる。これの結果は、図2cに示されている。明らかに、図2cでは、壁の第1の部分の内面および外面の位置および形状に関する情報が示されている。したがって、この方法は、さらに、少なくとも1台のコンピュータを使って壁の少なくとも1つの第1の部分の材料の画像と壁の少なくとも1つの第1の部分の内面の得られた位置および形状とを組み合わせて、壁の少なくとも1つの第1の部分内の材料の前記不均質の位置および形状に関する情報を壁の少なくとも1つの第1の部分の内面の位置および形状に関する情報と組み合わせて示す第2の画像を撮像する工程を含むと考えられる。この方法は、さらに、少なくとも1台のコンピュータを使って壁の少なくとも1つの第1の部分の材料の画像と壁の少なくとも1つの第1の部分の外面の得られた位置および形状とを組み合わせて、壁の少なくとも1つの第1の部分内の材料の前記不均質の位置および形状に関する情報を壁の少なくとも1つの第1の部分の内面および外面の位置および形状に関する情報と組み合わせて示す第2の画像を撮像する工程を含むと考えられる。
【0064】
図2Aの実施例では、壁26、26’、26’’、26’’’、26(4)、26(5)の複数の第1の部分の材料の画像が撮像されている。実施例では、壁の複数のこれらの第1の部分は、壁の材料の大きな画像が取得されるように隣接する。また、壁のこの複数の第1の部分の内面および外面の位置および形状も、上述のように本発明による方法を使って取得される。したがって、図2A、2B、および2Cは、壁のこの複数の第1の部分の画像を示す。
【0065】
さらに、材料の画像は、少なくとも、壁の少なくとも1つの第1の部分の内面および外面を貫通する平面内に置かれている材料の画像を含み、第2の画像は少なくとも1つの第1の部分の内面および少なくとも1つの第1の部分の外面の位置および形状をそれぞれ示し、前記内面および外面はそれぞれ前記平面内に置かれる線分であると考えられる。また、この方法では、放射線検出器は物体に対して相対的に静止状態にあると考えられる。このような方法には、比較的低いコストで実行できるという利点がある。材料の画像を撮像する上述のコンピュータ平面断層撮影法またはコンピュータ積層撮影法は、FBRまたはARTなどの再構成法を使って適用されうる。マーカーの位置を取得するために同じことが上述のコンピュータ平面断層撮影法およびコンピュータ積層撮影法に当てはまる。
【0066】
さらに、前述のFBRまたはARTなどの再構成法では、少なくとも1つの第1の部分の内面の決定された位置および形状および/または第2の部分の内面の決定された位置および形状および/または少なくとも1つの第1の部分の外面の決定された位置および形状および/または第2の部分の外面の決定された位置および形状に関する情報が、これらの再構成法の精度をさらに高めるために使用される可能性もある。例えば、他の再構成に基づき物体表面の論理的逆投影を適用することが可能である(例えば、add関数を使用する)。また、上述のような計算された投影を使用して逆投影法を適用し、コンピュータ積層撮影法および平面断層撮影法では失敗する投影の代わりとすることが可能である。
【0067】
上述の実施例のそれぞれにおいて、扇ビームの代わりに、少なくとも実質的に平行なビームまたは円錐ビームなどの他のビームも使用されうる。さらに、放射線源だけでなく放射線検出器もそれぞれコリメータを備えることができる。このようにして、散乱を減少させることが可能である。上記の実施例では、表面の決定された位置および形状は、実際には前記表面の線分である。また、表面の決定された位置および形状は、二次元であり、内面と外面の平面の一セグメントを形成することも可能である。それぞれ図1において、これは、例えば、物体をその軸方向軸22の周りで回転させた後、上述の方法を繰り返すことにより適用することができる。その場合、面分は、互いに隣接する複数の線分により形成される。
【0068】
扇ビームの代わりに、円錐ビームが使用され、また検出器14がフラットプレート型検出器である場合、壁の少なくとも1つの第1の部分は、線分にそって放射線を放射されず、代わりに面分にそって放射線を放射される。その場合、壁の少なくとも1つの第1の部分の内面および/または外面の形状および位置は、2つの次元で直接的に得られ、壁の第1の位置の内面および外面の面分を形成する。しかし、所定の実施例において、検出器14は、方向22に延びるライン型検出器としてもよい。また、これは、方向xに延びる方向xでの走査により画像を構成するために方向22に移動可能なポイント型検出器であってもよい。また、方向22に移動可能であり、図面に対して垂直な方向に延びるライン型検出器であってもよい。さらに、実施例では、放射線源は、物体の長手方向に直線にそって移動する。しかし、放射線源が他の所定の経路にそって移動し、直線から逸脱する可能性もある。
【0069】
本発明の代替実施形態は、図3に示されている。図3では、放射線源12は、図1とともに説明されているように方向22に移動可能である。さらに、放射線源12の配向は、図3においてドットで概略が示されている移送デバイス20を使って変更できる。さらに、図3では、放射線検出器14の方向xにおける位置は、図3に線として概略が示されている移送デバイス20’により変更されうる。
【0070】
1回で、放射線源12は、放射線を壁26の第1の部分に透過させ、また壁30Aaの第2の部分に透過させるような方向(図3に示されている)に配向される。放射線画像は、位置P1にあるプレート型放射線検出器14により撮像される。放射線画像に関する情報がコンピュータ16に送られる。
【0071】
その後、コンピュータ16は、放射線検出器12が角度φの方向に軸Aの周りを回転するように移送デバイス20を制御する。さらに、コンピュータ16は、放射線検出器14が位置P2に移動されるように移送デバイス20’を制御する。次に、放射線検出器は、方向32’で放射線を壁の第1の部分26に透過させ、この放射線はさらに壁30Bの第2の部分も通過する。放射線画像は、検出器14を使って作成され、その放射線画像に関する情報は再びコンピュータ16に送られる。その後、コンピュータの制御の下で、放射線源は、さらに、軸Aの周りを回転して、放射線を方向32’’に送り出し、この放射線は壁の第1の部分だけでなく壁の第2の部分30Cも通過し、再び、放射線画像が撮像され、その情報はコンピュータ16に送られる。次いで、放射線源が図1について説明されているように他の位置に移動され、上述のように放射線源の異なる配向に対してさらに多くの放射線画像が撮像される。これらの放射線画像に基づき、上述したのと同じ方法で第1の部分の壁の内面の位置および形状が撮像されうる。同じことが、上述のような壁の他の部分の位置および形状の可能な決定に対しても当てはまる。さらに、マーカー34の位置も、複数の方向に放射線を送り出し、放射線検出器を使ってこれらの放射線を検出することにより取得することができる。例えば、放射線が方向32’’’の方へ送り出された場合、34’と表されているマーカーの1つが検出されうる。また、放射線源12を回転させ、それと同時に放射線検出器14を移動して、物体の壁8を通過する放射線が検出されるようにすることで、壁の材料の画像が、制限された視角を持つコンピュータ断層撮影法、平面断層撮影法、またはコンピュータ積層撮影法などの方法により撮像できる。
【0072】
図4は、図3で説明されている実施形態と非常によく似た代替実施形態を示している。図4では、プレート型検出器14は大きいので、軸Aの周りの上述の配向のそれぞれで放射線源12により送出される放射線を受けることができる。したがって、説明されている画像はそれぞれ、この実施例においてプレート型検出器またはライン型検出器としてよい単一の検出器14で受け取ることができる。
【0073】
最後に、図1では、プレート型検出器は、さらに、図3について説明されているような方向Rに移動可能な検出器で置き換えることができ、したがって、図1のプレート型検出器を使って同じ情報を取得できる。
【0074】
この実施例では、物体の内部空間は空である。しかし、物体の内部空間が、例えば液体で満たされていることも可能である。その場合、上で説明されたような方法も同様に実行できる。適用される放射線に対する減衰係数を決定することにより、液体の減衰を考慮することができる。減衰係数が知られている場合、内部空間内の液体による放射線の付加的な減衰量がどのようなものとなるかを推定できる。このような仕方で、それに応じて上述のようにこの方法を実行できる。前記液体を満たした図1の物体と同じ幾何学的形状を有する較正ピースを使用することも可能である。その場合、較正ピースは、上で説明したのと同様に方法を適用するために上で説明したのと同様に使用できる。これらの実施例のそれぞれにおいて、前記計算を実行する工程fで使用される複数の異なる放射線画像、好ましくは少なくとも3つの異なる放射線画像、より好ましくは少なくとも4つの異なる放射線画像、より好ましくは少なくとも10の異なる放射線画像を撮像するために、物体に対して相対的な放射線源の位置が、物体の軸方向に複数回、好ましくは少なくとも3回、より好ましくは少なくとも4回、より好ましくは少なくとも10回変更されると考えられる。
【0075】
このような修正形態はそれぞれ、本発明の範囲内に含まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向軸を有し、中空の物体の内側空間を囲む少なくとも1つの壁を備える前記物体に対して透過性放射線を用いて測定を実行する方法であって、
前記壁は内面と外面を備え、
前記方法は、前記壁の少なくとも1つの第1の部分の前記内面の位置および形状を決定するために少なくとも実行され、
X線またはガンマ線などの放射線を前記物体に透過させる工程であって、少なくとも1つの放射線源を使って前記放射線が少なくとも検査対象の前記壁の前記少なくとも1つの第1の部分を透過し、また前記物体の前記壁の他の第2の部分を透過する工程aと、
前記物体の少なくとも1つの放射線画像を記録するために少なくとも1つの検出器ユニットを使って前記壁の前記部分を通過した放射線を受ける工程であって、前記少なくとも1つの放射線画像は前記放射線を受ける位置を前記位置で受ける放射線の強度と一緒に表す工程bと、
前記少なくとも1つの検出器ユニットを少なくとも使って信号を発生する工程であって、前記信号は前記記録された少なくとも1つの放射線画像を表す工程cと、
前記信号を少なくとも1台のコンピュータに送る工程dと、
少なくとも(i)使用される放射線に対する前記1つまたは複数の壁材料の少なくとも1つの減衰係数および/または前記使用される放射線に対する前記1つまたは複数の壁材料の肉厚の減衰の関数に関する情報、(ii)前記物体に対して相対的な前記透過放射線の前記使用される位置および方向に関する情報、および(iii)前記物体に対して相対的な前記放射線検出器の前記少なくとも1つの使用される位置および適宜、前記使用される少なくとも1つの配向および/または前記壁の前記少なくとも1つの第1の部分、適宜前記壁の前記第2の部分の(局所的)肉厚および前記物体を通過する前記放射線の前記物体に対して相対的な進行方向および位置の関数としての前記放射線が前記物体を通過したときの前記放射線の予想減衰量などの(i、ii、iii)から導出されうる情報を前記コンピュータに送る工程eと、
前記コンピュータを使って、前記壁の前記少なくとも1つの第1の部分の前記内面の推定される位置および形状を計算し、適宜、一方で前記記録された少なくとも1つの放射線画像に基づき、また他方で少なくとも工程eで与えられる前記情報に基づき前記壁の前記第2の部分の前記内面の推定される位置および形状を計算する工程fと、
工程aにおいて、前記放射線が最初に前記物体を透過しその際に前記放射線は少なくとも検査対象の前記壁の前記少なくとも1つの第1の部分を透過し、また第1の放射線画像を記録するため前記少なくとも1つの放射線源を使って前記壁の前記複数の第2の部分のうちの1つを透過するように、また工程aにおいて、前記放射線源の位置が少なくとも1回変更された後、前記放射線が少なくとも検査対象の前記壁の前記少なくとも1つの第1の部分をその後透過し、また前記すでに取得されている放射線画像と異なる少なくとも1つの他の放射線画像を記録するために前記放射線がすでに透過した前記壁の第2の部分と異なる前記壁の第2の部分を透過するように前記軸方向軸の方向の少なくとも1つの成分を含む方向で前記物体に対して相対的な前記放射線源の位置を工程aにおいて少なくとも1回変更する工程であって、前記壁の前記第1の部分に相対的な前記透過放射線の前記方向は、前記放射線源が前記軸方向軸の方向の成分を有する方向に移動された場合に変化し、前記第1の記録された放射線画像および前記少なくとも1つの他の記録された放射線画像は前記計算を実行するために工程fで使用される工程gとを含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、
工程fにおいて、前記コンピュータを使って、前記壁の前記少なくとも1つの第1の部分の前記内面の推定される位置および形状および適宜、前記壁の前記第2の部分の前記内面の推定される位置および形状が、一方で前記記録された放射線画像に基づき、また他方で、一方における前記放射線源により送り出されて前記物体を通過し、放射線検出器により受け取られる前記放射線の減衰量と他方における前記物体に対して相対的な前記放射線の可能な位置および方向ならびに前記壁の前記少なくとも1つの第1の部分および前記第2の部分の可能な(局所的)厚さとの間の所定の関係に基づき計算されることを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の方法において、
工程fにおいて、前記壁の前記第1の部分の前記内面の推定される位置および形状ならびに適宜、前記第2の部分の前記内面の推定される位置および形状は、一方では前記記録された放射線画像に基づき、他方では、一方で前記放射線源により送り出されて前記物体を通過し、前記放射線検出器によって受け取られる前記放射線の減衰量と他方で、前記使用される放射線に対する前記物体の材料の前記少なくとも1つの減衰係数、前記物体の可能な幾何学的形状、前記物体に対して相対的な前記放射線源の前記使用される位置および適宜前記使用される少なくとも1つの配向、または前記物体に対して相対的な前記放射線の前記場所および方向、ならびに前記物体に対して相対的な前記放射線検出器の前記使用される少なくとも1つの位置および適宜前記使用される少なくとも1つの配向の間の与えられた関係に基づき計算されることを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の方法において、
工程fにおいて、前記壁の前記少なくとも1つの第1の部分の前記内面の推定される位置および形状ならびに前記壁の前記少なくとも1つの第1の部分の前記外面の推定される位置および形状が計算され、適宜、前記壁の前記第2の部分の前記内面の推定される位置および形状ならびに/または前記壁の前記第2の部分の前記外面の推定される位置および形状は、一方では前記記録された放射線画像に基づき、他方では少なくとも工程eで与えられる情報に基づき計算されることを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法において、
工程fにおいて、前記壁の前記少なくとも1つの第1の部分の前記内面の推定される位置および形状ならびに前記壁の前記少なくとも1つの第1の部分の前記外面の推定される位置および形状の計算ならびに適宜、前記壁の前記第2の部分の前記内面の推定される位置および形状ならびに/または前記壁の前記第2の部分の前記外面の推定される位置および形状の計算は、一方では前記記録された放射線画像に基づき、他方では、一方で前記放射線源により送り出されて前記物体を通過し、前記放射線検出器によって受け取られる前記放射線の減衰量と他方で前記物体に対して相対的な前記放射線の可能な位置および方向ならびに前記壁の前記少なくとも1つの第1の部分および前記壁の前記第2の部分の可能な(局所的)厚さとの間の与えられた関係に基づくことを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項4または請求項5に記載の方法において、
工程fにおいて、前記壁の前記少なくとも1つの第1の部分の前記内面および前記壁の前記少なくとも1つの第1の部分の前記外面の推定される位置および形状ならびに適宜、前記壁の前記第2の部分の前記外面の推定される位置および形状および/または前記壁の前記第2の部分の前記内面の推定される位置および形状は、一方では前記記録された放射線画像に基づき、他方では、一方で前記放射線源により送り出されて前記物体を通過し、前記放射線検出器によって受け取られる前記放射線の減衰量、他方で、前記使用される放射線に対する前記物体の前記材料の前記減衰係数、前記物体の可能な幾何学的形状、前記物体に対して相対的な前記放射線源の前記使用される位置および適宜前記使用される少なくとも1つの配向、または前記物体に対して相対的な前記放射線の前記場所および方向、ならびに前記物体に対して相対的な前記放射線検出器の前記使用される少なくとも1つの位置および適宜前記使用される少なくとも1つの配向の間の与えられた関係に基づき計算されることを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の方法において、
前記壁の前記少なくとも1つの第1の部分の前記外面の位置および形状に関する情報ならびに前記壁の前記他の少なくとも1つの第2の部分の前記外面の位置および形状に関する情報を前記コンピュータに送る工程であって、前記情報はさらに設定された計算を実行するために工程eにおいて前記コンピュータに送られる前記情報を組み合わせて工程fにおいても使用される工程hをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項2に記載の方法において、
工程hにおいて、前記壁の前記少なくとも1つの第1の部分の前記外面の前記位置および形状の第1推定ならびに前記壁の前記第2の部分の前記外面の前記位置および形状の第1推定が与えられることを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の方法において、
工程fを実行するために、
前記放射線源が前記物体に対して相対的な前記位置にあるときに前記コンピュータを使って近似された放射線画像を決定する工程であって、近似された放射線画像を取得するための前記決定は請求項7に記載の工程hにおける前記外面の前記所定の位置および形状または前記外面の前記位置および形状の第1推定に基づき、前記物体に対して相対的な前記放射線源の前記使用される位置および適宜、前記使用される少なくとも1つの配向、前記物体に対して相対的な前記放射線検出器の前記使用される少なくとも1つの位置および適宜、前記使用される少なくとも1つの配向、ならびに前記壁の前記少なくとも1つの第1の部分および前記壁の前記第2の部分の前記内面の前記位置および形状の推定に基づき、さらに前記使用される放射線に対する前記壁の前記材料の前記少なくとも1つの減衰係数および前記物体の幾何学的形状の情報またはそこから導出されうる情報に基づき適用される第1の所定のアルゴリズムを使って実行される工程iと、
前記近似された放射線画像と前記それぞれの対応する記録された放射線画像との間の差を前記コンピュータを使って計算する工程jと、
第2の所定のアルゴリズムを前記計算された差の関数として使って、前記壁の前記少なくとも1つの第1の部分の前記内面の新しい推定された位置および形状ならびに適宜、前記壁の前記第2の部分の前記内面の新しい推定された位置および形状ならびに適宜、前記壁の前記少なくとも1つの第1の部分の前記外面の新しい推定された位置および形状ならびに適宜、前記壁の前記第2の部分の前記外面の新しい推定された位置および形状を計算する工程kと、
工程jで求められる前記差が所定の要件を満たすまで工程jおよびkを繰り返す工程lと、
前記所定の要件を満たす差に属す前記壁の前記少なくとも1つの第1の部分の前記内面の前記推定された位置および形状を与える工程m、の各工程が実行されることを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法において、
工程i、j、k、およびlにおいて、最小二乗法に基づき前記近似された放射線画像と前記記録された放射線画像との間の最良適合を求める反復法が実行されることを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項9または請求項10に記載の方法において、
前記第1のアルゴリズムにおいて、前記近似された放射線画像のそれぞれは、前記放射線を前記壁の前記部分に通過させることにより引き起こされる前記放射線の予想される減衰を計算することにより得られ、前記減衰は前記放射線が前記材料中を通過する前記経路の長さおよび前記使用される放射線に対する前記材料の前記少なくとも1つの減衰係数に依存し、前記経路の前記長さは、前記物体に対して相対的な前記放射線源の前記位置および適宜、前記配向、前記壁の前記少なくとも1つの第1の部分の前記外面の前記位置および形状、前記壁の前記少なくとも1つの第1の部分の前記推定される内面の前記位置および形状、前記壁の前記第2の部分の前記外面の前記位置および形状、または前記壁の前記第2の部分の前記推定される内面から遠く離れた推定および前記位置および形状に依存することを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の方法において、
さらに、前記物体が前記壁の前記少なくとも1つの第1の部分および前記壁の前記第2の部分の前記外面上にマーカーを付けられ、前記放射線源、前記放射線検出器、および前記コンピュータを使い、コンピュータ断層撮影法、コンピュータ平面断層撮影法、またはコンピュータ積層撮影法などの他の方法によりマーカーの位置が求められる工程nを含み、
請求項7に記載の工程hにおいて前記コンピュータに対して、前記マーカーの前記求められた位置に基づき前記壁の前記少なくとも1つの第1の部分の前記外面の前記位置および形状ならびに前記壁の前記第2の部分の前記外面の前記位置および形状が与えられることを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項12に記載の方法において、
前記マーカーの前記位置は、平行移動積層撮影法または回転積層撮影法により求められることを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項1から請求項13のいずれか1項に記載の方法において、
前記内面の前記形状および前記外面の前記形状は、それぞれ前記内面および外面の線分により形成されることを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項1から請求項13のいずれか1項に記載の方法において、
前記表面の前記外側形状は、それぞれ前記内面および外面の面分により形成されることを特徴とする方法。
【請求項16】
請求項1から請求項15のいずれか1項に記載の方法において、
請求項1に記載の工程gにおいて、前記放射線源は直線にそって移動することを特徴とする方法。
【請求項17】
請求項14および請求項16に記載の方法において、
前記線分は、前記直線に平行することを特徴とする方法。
【請求項18】
請求項1から請求項17のいずれか1項に記載の方法において、
前記放射線源は、扇ビームを発生することを特徴とする方法。
【請求項19】
請求項17および請求項18に記載の方法において、
前記線分は、前記扇ビームの平面内に置かれることを特徴とする方法。
【請求項20】
請求項15および請求項19に記載の方法において、
前記面分は、互いに隣接する複数の前記線分により形成されることを特徴とする方法。
【請求項21】
請求項1から請求項20のいずれか1項に記載の方法において、
前記放射線源は、円錐ビームまたは少なくとも実質的に平行なビームを発生することを特徴とする方法。
【請求項22】
請求項18または請求項20に記載の方法において、
前記放射線源および/または前記放射線検出器は、コリメータを備えることを特徴とする方法。
【請求項23】
請求項1から請求項22に記載の方法において、
前記物体は、縦方向に長い形状を有することを特徴とする方法。
【請求項24】
請求項14および請求項23に記載の方法において、
前記直線は、前記物体の前記軸方向に延びることを特徴とする方法。
【請求項25】
請求項14および請求項23に記載の方法において、
前記線分は、前記物体の前記軸方向に延びることを特徴とする方法。
【請求項26】
請求項23、請求項24または請求項25に記載の方法において、
前記物体は、パイプラインであることを特徴とする方法。
【請求項27】
請求項26に記載の方法において、
前記壁の前記少なくとも1つの第1の部分の前記内面は、前記パイプラインの溶接部の少なくとも一部を含むことを特徴とする方法。
【請求項28】
請求項1から請求項27のいずれか1項に記載の方法において、
前記放射線源、前記放射線検出器、および前記コンピュータを使って、前記壁の前記少なくとも1つの第1の部分の前記材料の画像がコンピュータ断層撮影法、コンピュータ平面断層撮影法、またはコンピュータ積層撮影法などの他の方法により取得され、前記材料の前記画像は前記材料中の不均質の位置および形状に関する情報を示す工程oをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項29】
請求項28に記載の方法において、
前記材料の前記画像は、さらに、前記壁の外側を囲む境界を含む前記壁の前記少なくとも1つの第1の部分の前記内面を覆い、また適宜、前記材料の前記画像は、さらに、前記壁の外側を囲む境界を含む前記壁の前記少なくとも1つの第1の部分の前記外面を覆うことを特徴とする方法。
【請求項30】
請求項29に記載の方法において、
前記少なくとも1台のコンピュータを使って前記壁の前記少なくとも1つの第1の部分の前記材料の前記画像と前記壁の前記少なくとも1つの第1の部分の前記内面の前記得られた位置および形状とを組み合わせて、前記壁の前記少なくとも1つの第1の部分内の前記材料の前記不均質の前記位置および形状に関する情報を前記壁の前記少なくとも1つの第1の部分の前記内面の前記位置および形状に関する情報と組み合わせて示す第2の画像を撮像する工程pをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項31】
請求項29または請求項30に記載の方法において、
前記少なくとも1台のコンピュータを使って前記壁の前記少なくとも1つの第1の部分の前記材料の前記画像と前記壁の前記少なくとも1つの第1の部分の前記外面の前記得られた位置および形状とを組み合わせて、前記壁の前記少なくとも1つの第1の部分内の前記材料の前記不均質の前記位置および形状に関する情報を前記壁の前記少なくとも1つの第1の部分の前記内面および前記外面の前記位置および形状に関する情報と組み合わせて示す前記第2の画像を撮像する工程qをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項32】
請求項28から請求項31のいずれか1項に記載の方法において、
前記材料の前記画像は、少なくとも、前記壁の前記少なくとも1つの第1の部分の前記内面および前記外面を貫通する平面内に置かれている前記材料の画像を含み、前記第2の画像は、前記壁の前記少なくとも1つの第1の部分の前記内面および前記壁の前記少なくとも1つの第1の部分の前記外面の前記位置および形状をそれぞれ示し、前記内面および外面はそれぞれ前記平面内に置かれる線分であることを特徴とする方法。
【請求項33】
請求項28から請求項32のいずれか1項に記載の方法において、
前記壁の前記少なくとも1つの第1の部分の前記材料の前記画像ならびに前記壁の前記少なくとも1つの第1の部分の前記内面の前記形状および位置は、前記放射線源および前記放射線検出器を使って実行される同一の測定に基づいて取得されることを特徴とする方法。
【請求項34】
請求項12に記載の方法において、
前記コンピュータ平面断層撮影法またはコンピュータ積層撮影法および前記壁の前記少なくとも1つの第1の部分の前記内面の前記形状および位置の前記決定は、前記放射線源および前記放射線検出器を使って実行される同一の測定に基づいて行われることを特徴とする方法。
【請求項35】
請求項28から請求項34のいずれか1項に記載の方法において、
工程nにおいて、FBRまたはARTなどの再構成法が使用され、前記再構成法において、前記壁の前記少なくとも1つの第1の部分の前記内面の前記決定された位置および形状および/または前記壁の前記第2の部分の前記内面の前記決定された位置および形状および/または前記壁の前記少なくとも1つの第1の部分の前記外面の前記決定された位置および形状および/または前記壁の前記第2の部分の前記外面の前記決定された位置および形状に関する情報が使用されることを特徴とする方法。
【請求項36】
請求項1から請求項35のいずれか1項に記載の方法において、
前記放射線検出器は、前記物体に対して相対的に静止状態にあることを特徴とする方法。
【請求項37】
請求項1から請求項36のいずれか1項に記載の方法において、
前記放射線検出器は、前記放射線源に対して相対的に静止状態にあることを特徴とする方法。
【請求項38】
請求項1から請求項37のいずれか1項に記載の方法において、
前記放射線検出器は、フラットパネル型検出器、デジタル検出器アレイ、ライン型検出器、またはライン型検出器アレイあることを特徴とする方法。
【請求項39】
請求項1から請求項38のいずれか1項に記載の方法において、
工程eにおいて前記コンピュータに送られる前記情報は、較正測定により取得されることを特徴とする方法。
【請求項40】
請求項1から請求項39のいずれか1項に記載の方法において、
工程eにおいて前記コンピュータに送られる前記情報は、較正ピースで前記放射線の減衰量を測定することにより取得されることを特徴とする方法。
【請求項41】
請求項1から請求項40のいずれか1項に記載の方法において、
前記物体は、液体などの物質を充填され、適宜、前記方法において、前記物質による前記放射線の減衰に対する補正が実行されることを特徴とする方法。
【請求項42】
請求項1から請求項41のいずれか1項に記載の方法において、
前記方法において、散乱に対する補正が実行されることを特徴とする方法。
【請求項43】
請求項1から請求項42のいずれか1項に記載の方法において、
前記方法において、肉厚の変化によりスペクトルの変化が生じることを特徴とする方法。
【請求項44】
請求項1から請求項43のいずれか1項に記載の方法において、
前記方法は、前記壁の複数の異なる第1の部分について実行されることを特徴とする方法。
【請求項45】
請求項44に記載の方法において、
前記壁の前記複数の第1の部分は、隣接していることを特徴とする方法。
【請求項46】
請求項1から請求項45のいずれか1項に記載の方法において、
工程gにおいて、前記物体に対して相対的な前記放射線源の前記位置は、前記計算を実行する工程fで使用される複数の異なる放射線画像、好ましくは少なくとも3つの異なる放射線画像、より好ましくは少なくとも4つの異なる放射線画像、より好ましくは少なくとも10の異なる放射線画像をそれぞれ取得するために、前記物体の前記軸方向軸の方向の成分を有する方向に複数回、好ましくは少なくとも3回、より好ましくは少なくとも4回、より好ましくは少なくとも10回変更されることを特徴とする方法。
【請求項47】
中空の物体の内部空間を囲む壁を含む前記物体に対して照射試験を実行して、前記壁の材料の不均質の位置および形状を決定する方法であって、
前記壁は内面および外面を備え、
X線またはガンマ線などの放射線を前記物体に透過させる工程であって、少なくとも1つの放射線源を使って前記放射線が少なくとも調査対象の前記壁の少なくとも1つの第1の部分を透過し、また前記物体の前記壁の他の第2の部分を透過する工程aと、
前記物体の少なくとも1つの放射線画像を記録するために少なくとも1つの検出器ユニットを使って前記壁の前記部分を通過した放射線を受ける工程であって、前記放射線画像は前記放射線を受ける前記検出器上の前記位置を前記位置で前記受ける放射線の強度と一緒に表す工程bと、
前記少なくとも1つの検出器ユニットを使って信号を発生する工程であって、前記信号は前記記録された放射線画像を表す工程cと、
前記信号を前記少なくとも1台のコンピュータに送る工程dと、
前記コンピュータを使い、前記信号に基づき前記壁の前記少なくとも1つの第1の部分の前記材料の第1の画像を生成する工程であって、前記第1の画像は前記不均質の前記位置および形状に関する情報を示し、また前記壁の外側を囲むその境界を含む前記壁の前記少なくとも1つの第1の部分の前記内面の少なくとも一部および前記壁の外側を囲むその境界を含む前記壁の前記少なくとも1つの第1の部分の前記外面の少なくとも一部を覆う画像である工程eと、
前記コンピュータを使って、前記壁の前記少なくとも1つの第1の部分の前記内面の推定される位置および形状を計算し、一方で前記少なくとも1つの位置合わせされた放射線画像に基づき、他方で前記放射線源により送り出されて前記物体を通過し、前記放射線検出器によって受け取られる前記放射線の減衰量、前記使用される放射線または壁材料に対する前記物体の前記壁材料の前記少なくとも1つの減衰係数、および/または前記使用される放射線に対する前記1つまたは複数の壁材料の肉厚の減衰の関数、および前記物体に対して相対的な前記放射線の前記方向および位置の間の与えられた関係に基づき前記壁の前記少なくとも1つの第1の部分の前記外面の推定される位置および形状を適宜計算する工程fと、
前記少なくとも1台のコンピュータを使って、前記材料の前記第1の画像と前記壁の前記少なくとも1つの第1の部分の前記内面の前記得られた位置および形状とを組み合わせて、前記壁の前記少なくとも1つの第1の部分内の前記材料の前記不均質の前記位置および形状に関する情報を前記壁の前記少なくとも1つの第1の部分の前記内面の前記位置および形状に関する情報と組み合わせて示す第2の画像を取得する工程gとを含むことを特徴とする方法。
【請求項48】
請求項47に記載の方法において、
前記少なくとも1台のコンピュータを使って、前記材料の前記第1の画像と前記壁の前記少なくとも1つの第1の部分の前記外面の前記得られた位置および形状とを組み合わせて、前記壁の前記少なくとも1つの第1の部分内の前記材料の前記不均質の前記位置および形状に関する情報を前記壁の前記少なくとも1つの第1の部分の前記内面の前記位置および形状に関する情報とも組み合わせて示す第2の画像を取得する工程hとを含むことを特徴とする請求項47に記載の方法。
【請求項49】
請求項47または請求項48に記載の方法において、
工程fは、少なくとも2回または3回実行され、前記放射線源は、それぞれ前記物体に対して相対的な少なくとも2つまたは3つの相互に異なる位置を有し、工程gにおいて、それぞれの記録された放射線画像は、対応する予想減衰量と比較され、それに基づき、前記壁の前記少なくとも1つの第1の部分の前記内面の推定された位置および形状が計算されることを特徴とする方法。
【請求項50】
請求項47、請求項48または請求項49に記載の方法において、
前記物体は、中空のパイプラインであり、前記第1の画像は、前記パイプラインの軸方向および半径方向に延びる平面内に広がり、前記壁の前記少なくとも1つの第1の部分の前記内面の前記取得された位置および形状は、前記第1の画像を貫通する線分であることを特徴とする方法。
【請求項51】
請求項49および請求項50に記載の方法において、
前記少なくとも2つまたは3つの位置は、前記パイプラインの軸方向に平行する線上に置かれることを特徴とする方法。
【請求項52】
請求項47から請求項51のいずれか1項に記載の方法において、
前記壁の前記少なくとも1つの第1の部分は、溶接部を備えることを特徴とする方法。
【請求項53】
請求項47から請求項52のいずれか1項に記載の方法において、
前記第1の画像は、コンピュータ平面断層撮影法またはコンピュータ積層撮影法により取得されることを特徴とする記載の方法。
【請求項54】
請求項53に記載の方法において、
前記第1の画像は、平行移動積層撮影法または回転積層撮影法により取得されることを特徴とする方法。
【請求項55】
請求項47から請求項53のいずれか1項に記載の方法において、
扇ビーム、円錐ビーム、または少なくとも実質的に平行なビームは、前記放射線源を使って生成されることを特徴とする方法。
【請求項56】
請求項47から請求項54のいずれか1項に記載の方法において、
前記壁の複数の異なる第1の部分について実行されることを特徴とする方法。
【請求項57】
請求項56に記載の方法において、
前記壁の前記複数の第1の部分は、隣接していることを特徴とする方法。
【請求項58】
請求項1から請求項57のいずれか1項に記載の方法において、
工程aにおいて、前記放射線は、前記物体の外から前記物体を透過し、および/または工程bにおいて、前記放射線は、前記物体の外で受け取られることを特徴とする方法。
【請求項59】
請求項1から請求項58のいずれか1項に記載の方法において、
工程aにおいて、前記放射線は前記物体を透過して、前記放射線は少なくとも、一般に前記軸方向軸に平行な平面内で広がるか、または前記放射線は少なくとも、前記軸方向軸が平面内に置かれている平面内で広がり、それに加えて、前記放射線は、さらに、前記平面の外に広がりうることを特徴とする方法。
【請求項60】
請求項1から請求項59のいずれか1項に記載の方法を実行するシステムであって、
少なくとも1つの放射線源、少なくとも1つの放射線検出器、前記放射線源の前記位置および/または配向および/または前記物体に対して相対的な前記放射線検出器の前記位置を変更するための少なくとも1つの移送デバイス、ならびに前記方法の計算を実行するためのソフトウェアを格納するコンピュータを備えることを特徴とするシステム。
【請求項61】
請求項60に記載のシステムにおいて、
前記コンピュータは、前記移送デバイスを制御するためのソフトウェアを備えることを特徴とするシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2010−504536(P2010−504536A)
【公表日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−530301(P2009−530301)
【出願日】平成19年9月25日(2007.9.25)
【国際出願番号】PCT/NL2007/050470
【国際公開番号】WO2008/039070
【国際公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【出願人】(509084600)
【Fターム(参考)】