説明

物体までの距離及び物体の速度のうちの少なくとも一方を求める方法、並びに物体までの距離及び物体の速度のうちの少なくとも一方を求める装置

【課題】効率的に又は実効的に、マルチユーザのシナリオにおいて動作するFM−CWレーダを提供する。
【解決手段】物体が近づいてくるか、又は離れていくかの指示を判断すること、並びに、周波数が一定であるセグメント及び周波数が変化するセグメントから成るシーケンスを含む呼掛け信号を生成することを含む。物体が近づいてくることを上記判断するステップが指示する場合には、該周波数が変化するセグメントの周波数が減少し、物体が離れていくことを上記判断するステップが指示する場合には、該周波数が変化するセグメントの周波数が増加する。呼掛け信号を送信し、物体から反射される呼掛け信号の反射信号を検出する。次に、呼掛け信号及び呼掛け信号の反射信号の組み合わせを用いて、物体までの距離及び物体の速度のうちの少なくとも一方を求める。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえば、周波数変調された搬送波を用いるマイクロ波レーダを使用して、物体までの距離及び物体の速度のうちの少なくとも一方を求める方法に関し、限定はしないが、物体の速度に応答して変調波形を動的に適応させるか又は選択する自動車レーダに特に適用することができる。
【背景技術】
【0002】
自動車警報及び衝突回避のために用いられる数多くのシステムのうちの1つが、周波数変調持続波(FM−CW)レーダである。図1にブロック図で示される、そのようなシステムは、発振器3によって生成される搬送波の周波数が、周波数変調器5を用いて、持続時間TSW及び所定の周波数範囲ΔFにわたって線形に掃引される電圧制御発振器1を有している。詳細には、制御モジュール(図1では図示せず)の制御下にある線形波形発生器7によって変調パターンが与えられる。周波数変調持続波(FM−CW)信号は結合器9によって電力増幅器11に結合され、アンテナ13に結合される増幅信号が生成される。
【0003】
送信信号TXが、対象とする静止障害物15に向けられる。反射信号RXは、物体距離Rに比例する時間τだけ遅れて、受信アンテナ17によって検出され、低雑音増幅器19に結合される。低雑音増幅器19の出力は、結合器9から受信される送信信号の一形態(version)によって形成される基準信号と、ダウンコンバータ21で混合される。受信されたパルス信号は送信された信号に対して遅れているので、いずれの時点においても、送信信号及び受信信号の瞬時周波数は異なる。それゆえ、ダウンコンバータ21の出力において、周波数FBを有するビート信号BSが得られ、周波数FBは静止障害物までの未知の距離Rに正比例する。ダウンコンバータ21の出力はシグナルプロセッサモジュール23に供給され、シグナルプロセッサモジュール23は、クロック29からのタイミングパルスによって駆動されるアナログ/デジタルコンバータ(ADC)25及びデジタルプロセッサ27を備える。ADC25は、ダウンコンバータ21からの信号を、ビート周波数FB、それゆえ物体の距離Rを求めるためにデジタルプロセッサ27によって用いられるデジタル信号に変換する。
【0004】
線形波形発生器7によって与えられる周波数変調パターンは、たとえば、図2aに示されるような、勾配は一定であるが、その符号が入れ替わる周期的な三角波形に従うことができる。この特定の波形を用いることは、多くの場合に、他の線形変調方式(たとえば、鋸歯)よりも好ましい。なぜなら、三角波形によれば、変調波形STX及びその遅延したレプリカSRX(図2bを参照)から導出され、三角波形の立ち上がり部分及び立ち下がり部分に対応する一対の周波数シフト差FU及びFDから、以下のように、動いている障害物の速度VOも推定できるようになるためである。
R=(FD+FU)TSWc/4ΔF (1)
O=(FD−FU)λO/4 (2)
ただし、λOは送信信号TXの波長であり、
cは光の速さであり(〜3×108m/s)、
ΔFは周波数偏移であり、
SWは単一の勾配の持続時間である。
【0005】
代替的には、搬送波周波数を変調するために、図4に示される波形のような台形波形を用いることができる。そのように波形に平坦な部分がある結果として、一定周波数で送信されるようになり、図1に示されるようなFM−CWレーダ構成では、その結果として、ビート信号が、物体が動くことから生じる、いわゆるドップラ周波数シフトに等しい周波数FVを有するようになる。FVの大きさは、物体の速度VOにのみ依存し、測定される距離Rには依存しない。
【0006】
そのようなFM−CW技法に基づくレーダ信号と、デジタル処理によって導出される信号は、同じRF帯域幅を用いて動作しているときに、相互干渉を引き起こす可能性があり、たとえば、自動車の用途において特に必要とされるように、多数の同種のレーダシステム及び異種のレーダシステムが極めて近接して動作しているときに、十分な性能を提供しない場合があることがよく知られている。
【0007】
マルチユーザ性能が不十分になるおそれがある理由のうちの1つは、FM−AM変換雑音と呼ばれる現象である。送信される搬送波の大きな周波数偏移を得るために三角波形を用いるFM−CWレーダでは、変調用信号と同じような周波数を有するAM成分が、周波数変調された波形に重ね合わせられる場合がある。典型的には、これは主に、レーダ送信機内のVCOの出力電力−周波数特性の非線形性に起因する。そのような特性からのAM成分がダウンコンバータ21(図1を参照)によって検出される場合がある。周波数変調のために用いられる三角波の周波数は一般的に、周波数復調されるときに、測距される物体からのエコー信号の周波数に近いので、受信の信号対雑音比は劣化する。結果として、電力増幅器11からの出力電力を高めて、要求される動作範囲を保持する必要がある。
【0008】
マルチユーザのシナリオにおいて測定性能を或る程度まで保持できるようにするために、FM−AM変換からの望ましくない影響を最小限に抑えることを目的とするいくつかの既知の方法がある。たとえば、H. Yatsukaによる特許文献1は、送信波が適切な周波数で切り替えられるスイッチングレーダシステムを提案する方法を開示する。スイッチング周波数に基づく中間周波数だけが抽出される。その方法は、レーダ送信機の動作を周期的に中断して、他のレーダシステムからの干渉信号だけを受信できるようにし、それによって、送信が再開されるときに、測距される対象物から反射した信号を弁別するためのバックグラウンドを与えることを想定している。また、そのシステムは、所与の時間にわたって干渉波のスイッチング周波数をモニタし、それにより、システムのスイッチング周波数及び中間周波数を異なる値に設定することもできる。しかしながら、そのようなレーダシステムは、干渉の特性に従って適応的に選択される必要がある複数の発振器及びバンドパスフィルタを備える必要があるので、複雑になる可能性がある。
【0009】
FM−CWレーダの干渉排除能力を改善することを目的とする他の従来技術による技法は主に、種々の符号化波形を用いる迅速な広帯域周波数変調に基づく。共有されるスペクトル内で多数のレーダシステムが動作するための候補の中でも、たとえば、多相符号化波形及びコスタス符号化波形が最も良い候補であると見なされている。これらの技法に基づいて選択された解決策の例が特許文献2、特許文献3、非特許文献1及び非特許文献2において記述される。
【0010】
マルチユーザ能力を提供できる可能性がある、たとえばLissel(特許文献4)によって提案される別の実現可能な解決策は、ステップチャープ波形の使用を伴う。そのような手法は、FMチャープの全変調帯域幅を一連の重なり合う狭帯域サブチャープに分割し、それらのサブチャープは周波数においても重なり合う場合がある。受信機は狭帯域サブチャープにのみ同調するので、その受信機は他の部分帯域において送信する他のレーダに対する高い排除を提供する。サブチャープは、ランダム又は擬似ランダムパターン(すなわち、コスタス波形)に従って適切に選択され得る。さらに、各サブチャープは、その部分帯域が空きであるときに、好機をねらって(又は適応的に)送信され得る。
【0011】
特許文献5において、Lisselは別の技法に言及しており、その技法によれば、チャープ内の周波数変調は、異なるパターン、すなわち勾配が異なり振幅(周波数)が一定でありランダムである三角形に従う。その方法の主な目的は、いくつかの障害物を高い精度で測距できるようにすることであるが、マルチユーザ能力も提供できることがクレームされている。
【0012】
特許文献6では、Curranによって、送信される搬送波の周波数を変調するために用いられる波形における上り勾配、下り勾配及び一定の振幅セグメントを使用することが提案される。それらのセグメントは、順次に且つ周期的に用いられる。しかしながら、その発明も、近接して位置し、同じような速度で動いている場合であっても、いくつかの車両を検出しながら、改善された測距能力及び追跡能力を提供する。
【0013】
特許文献7では、Isajiによって、異なる振幅及び周期を有する三角形セグメントから成る変調パターンを使用することが提案される。パラメータがランダムに選択される、円弧のような他のセグメント形状も提案される。その方法の主な目的は、多数の物体を距離及び速度に関して追跡できるようにすることである。しかしながら、その著者は、その方法によって、測距される物体に関連する受信信号を雑音及び他の干渉信号から弁別できるようになることもクレームしている。
【0014】
上記で提示された手法に関連する別の技法が、非特許文献3において記述されている。提案される技法は、線形周波数変調(LFM)及び周波数偏移変調(FSK)の組み合わせに基づいており、その技法は、マルチターゲットの状況において、距離及び速度を高い分解能及び精度で明確に測定することを目的とする。著者によって、この手法もマルチユーザ能力を提供することがクレームされるが、変調方式が複雑であるために、その方式はこの点に関して評価されなかった。
【0015】
それにもかかわらず、FM−CWレーダにおいてマルチユーザ能力を可能にすることを目的とする上記の複数の手法は、実施される信号処理方式をかなり複雑にすることになり、それゆえ、マスマーケットを対象とする自動車衝突回避/警報システムのような低コストの用途にとって望ましい解決策とは見なされない場合がある。それゆえ、特に車両衝突回避システム及び/又は車両衝突警報システムのための用途において、従来技術の技法によって提供されるよりも効率的に又は実効的に、マルチユーザのシナリオにおいて動作するFM−CWレーダの動作性能を改善するための新規の信号処理方法及び信号処理装置を開発することが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】米国特許第5,274,380号明細書
【特許文献2】米国特許第5,151,702号明細書
【特許文献3】米国特許第5,376,939号明細書
【特許文献4】米国特許第5,768,131号明細書
【特許文献5】米国特許第6,396,436号明細書
【特許文献6】米国特許第6,104,336号明細書
【特許文献7】米国特許第7,002,512号明細書
【非特許文献】
【0017】
【非特許文献1】Kretschmer著「Doppler Properties of Polyphase Coded Pulse Compression Waveforms」(IEEE Trans. Aerosp. Electron. Syst., 1983, 19, (4), pp. 521-531)
【非特許文献2】Jankiraman他による論文「System Design and Verification of the PANDORA Multifrequency Radar」(Int'l. Conf on Radar Syst., Brest, France, 17-21 May 1999)
【非特許文献3】H. Rohlingによる論文「Waveform Design Principles for Automotive Radar Systems」(International Conference Radar 2001, Beijing, China)
【発明の概要】
【0018】
本発明の複数の態様が添付の特許請求の範囲において提示される。
【0019】
静止したFM−CWレーダでは、静止した障害物OBまでの距離Rは、変調波形STXの周波数と、障害物から反射される信号RXから導出される、STXの遅延したレプリカSRXの周波数との間のビート周波数FBから求められ、それは以下のように求めることができる。
B≡FR=2RΔF/cTSW (3)
ただし、cは光の速さであり、ΔFは持続時間TSWの掃引中の周波数偏位である。たとえば、ΔF=75MHz及びTSW=3.5msであるとき、R=1.5mの距離にある静止した障害物はビート周波数FB≒212Hzを生じさせる。障害物とFM−CWシステムとの間に相対的な動きがあるとき、観測されるビート周波数FBは以下の2つの成分を含む。
・FR−距離Rのみに起因する
・FV−相対速度VOに起因する
それゆえ、以下の式が成り立つ。
B=FR±FV (4)
【0020】
ドップラ成分FDは以下の式から求めることができる。
V=2VO/λO (5)
ただし、λOは送信されるレーダ信号の波長である。たとえば、相対速度VO=0.5m/sであるとき、77GHzレーダシステム(すなわち、λO=3.9mm)において観測されるビート周波数のドップラ成分はFV≒256Hzである。それゆえ、距離R=1.5mにある障害物が速度VO=0.5m/sで動いているときに、合成ビート周波数FBは、図3に示されるように、それが三角形の搬送波変調波形の上り掃引から求められるか、下り掃引から求められるかによって、44Hz又は468Hzのいずれかに等しくなるであろう。
【0021】
468Hzの合成ビート周波数は、たとえば、3.5ms内に高い信頼性で測定することができるが、44Hzの周波数は低すぎて実際には使用することはできない。なぜなら、必要とされる測定時間が長すぎるためである。それゆえ、対象とする障害物の距離R及び速度VOの両方を求めるために、ドップラ成分だけの周波数をさらに別に測定する必要がある。これは、三角形FMを用いるFM−CW信号内に一定周波数のセグメントを組み込むことによって成し遂げることができる。1つのそのような解決策が、図4に示される周期的な台形FM波形であり、当業者に知られている技法である(たとえば、米国特許第7190305号)。FM−CW信号の一部として一定周波数セグメントを用いることによって、2つの周波数掃引(上り掃引及び下り掃引)のうちの一方が余分になる。したがって、合成ビート周波数FBのうちの大きい方の値を生成する周波数掃引だけが保持されるべきである。本発明の1つの実施の形態は以下のステップを含む適応的な手順、
・三角形周波数変調を用いて、2つの周波数掃引のうちのいずれが保持されるべきであるかを判断するステップ
・図5に示されるような4つの基本波形を含む集合{HH、LL、LH、HL}から、信号セグメントを適切に合成することによって、周波数変調信号を設計するステップ
を利用する。下り掃引に関して大きい方のビート周波数が観測される場合には、上り掃引セグメントが除去されるべきである(物体が近づいてくる)。上り掃引に関して大きい方のビート周波数が観測される場合には、下り掃引セグメントが除去されるべきである(物体が離れていく)。この技法は、適応台形周波数変調(ATFM)と呼ばれる。
【0022】
近づいてくる障害物に対して最適なATFM信号は、基本波形HH、LL、HLを(繰返し)用いることによって構成することができる。しかしながら、マルチユーザ環境の場合のように、用途によっては、それらの基本波形が現れる順序を以下の確率を用いて予測不可能にすることができるようにすれば、好都合である。
Pr(HL)=1/2 Pr(LL)=Pr(HH)=1/4
図7aに示される例は、近づいてくる障害物を検出するために設計されるATFM信号を表すシンボル列を示す。
【0023】
同じようにして、離れていく障害物を検出するための最適なATFM信号は、基本波形HH、LL、LHを(繰返し)用いることによって構成することができる。ここでもまた、用途によっては、それらの基本波形が現れる順序を、以下の確率を用いて予測不可能にすることが好都合な場合もある。
Pr(LH)=1/2 Pr(LL)=Pr(HH)=1/4
図7bに示される例は、離れていく障害物を検出するために設計されるATFM信号を表すシンボル列を示す。
【0024】
最適なATFM信号の構造の解析によって、信号設計のために用いられる基本波形を、4つの2個組波形:HH&HL、HL&LL、LH&HH及びLL&LHによって置き換えることができることがわかっている。
・近づいてくる障害物の場合:{(HH&HL),(HL&LL)}、
ただし、Pr[(HH&HL)]=Pr[(HL&LL)]=1/2
・離れていく障害物の場合:{(LH&HH),(LL&LH)}、
ただし、Pr[(LH&HH)]=Pr[(LL&LH)]=1/2
4つの2個組波形が図6に示される。
【0025】
三角形FM(初期検出サイクル中)と適応台形FM(後続の推定サイクル中)とを組み合わせる結果として、自動車用FM−CWシステムの性能が改善されるであろう。
【0026】
正確なドップラ推定値を得るために、一定周波数セグメント、(HH)及び(LL)の持続時間は、周波数上り掃引及び下り掃引、(LH)及び(HL)の持続時間に対してそれぞれ延長される場合がある。
【0027】
ここで、本発明の例示的な実施の形態を、添付の図面を参照しながら説明する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】自動車衝突回避のために用いられる従来のFM−CWレーダシステムのブロック図である。
【図2a】図1のFM−CWレーダシステムのVCOにおいて周波数を変調するために用いられる三角形変調波形を示す図である。
【図2b】図1のFM−CWレーダシステムにおける、送信される三角形変調波形STX及び受信される三角形変調波形SRXを示す図である。
【図3】距離R=1.5mにあり、速度VO=0.5m/sで動いている障害物に関して、上り掃引及び下り掃引からのビート周波数の値例と共に図2bの三角形変調波形を示す図である。
【図4】図1のFM−CWレーダシステムにおいて用いることもできる台形変調波形を示す図である。
【図5】マルチユーザの用途に適している周波数変調波形を生成するために用いることができる4つの基本セグメント{HH、LL、LH、HL}を示す図である。
【図6】a)近づいてくる障害物及びb)離れていく障害物を測距するのに適している2個組波形の一例を示す図である。
【図7a】近づいてくる障害物を測距するのに適している、ランダムに選択された基本セグメント{HH、LL、HL}から成る周波数変調波形の一例を示す図である。
【図7b】離れていく障害物を測距するのに適している、ランダムに選択された基本セグメント{HH、LL、LH}から成る周波数変調波形の一例を示す図である。
【図8】適応台形周波数変調を利用するFM−CW自動車レーダの機能ブロック図である。
【図9】適応台形周波数変調器及び関連するモジュールの機能ブロック図である。
【図10】離れていく障害物に関して適応台形周波数変調器によって生成される波形を示す図である。
【図11】近づいてくる障害物に関して適応台形周波数変調器によって生成される波形を示す図である。
【図12】モード1(基本)における適応台形周波数変調器の動作のための流れ図である。
【図13】モード2(適応)における適応台形周波数変調器の動作のための流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
適応台形周波数変調技法を利用するFM−CW自動車レーダの機能ブロック図が図8に示される。周波数変調モジュール41は、周波数変調波形FMを与え、その波形は送信−受信モジュール43に供給される。周波数変調波形FMの性質は、制御ユニット47によって出力される波形選択ビットWSを用いて決定される。周波数変調波形FMは、送信−受信モジュール43の一部を形成する電圧制御発振器(a voltage-controlled oscillator)(図8には示されない)の周波数を制御する。この実施形態では、電圧制御発振器によって出力される信号の周波数は、周波数変調波形の電圧に比例する。
【0030】
図1を参照しながら上記で説明されたのと同じようにして、電圧制御発振器によって出力される被周波数変調信号は電力増幅器及びダウンコンバータに結合される。電力増幅器によって出力される増幅信号はアンテナ45に結合され、アンテナ45によって検出される反射信号は低雑音増幅器に結合される。その後、低雑音増幅器の出力は、ダウンコンバータに入力され、それにより、ダウンコンバータは、送信信号と反射信号との間の周波数差を表すビート信号を出力する。
【0031】
演算ユニット49は、送信−受信モジュール43によって出力されるビート信号を処理し、物体までの推定距離及び物体の速度を含む出力データODを求める。また、演算ユニット49は、その物体が近づいてくるか、離れていくかのような、速度測定に関する情報を制御ユニット47に提供する信号DRも出力する。
【0032】
制御ユニット47は、1つには演算ユニット49からの信号DRの内容に基づいて、周波数変調モジュール41に送信される波形選択ビットWSを求める。詳細には、後にさらに詳細に検討するように、制御ユニット47は、測距される障害物の動く方向(すなわち、レーダアンテナに向かってくるか、又は離れていくか)に応じて、選択ビットWSの値を適応的に判断する。この好ましい実施形態では、FM三角波形のセグメントを周波数変調波形FMとして周期的に利用することによって、物体の動く方向を推定する。
【0033】
また、制御ユニット47は、周波数変調モジュール41及び演算ユニット49に周期的なタイミングパルスCPを出力する。
【0034】
図8の周波数変調モジュール41の細部が図9に示される。制御ユニット47から受信される周期的なタイミングパルスCPは、三角波形発生器63、矩形波形発生器65及び論理回路71に入力される。
【0035】
三角波形発生器63は、タイミングパルスCPの周期よりも2倍だけ長い周期を有する第1の三角波形信号T1、及び180°だけ位相がずれた第1の三角波形信号に相当する第2の三角波形信号T2を生成する。このようにして、第1の三角波形信号T1が大きくなると、第2の三角波形信号T2が小さくなり、その逆も成り立つ。
【0036】
矩形波形発生器65は、タイミングパルスの周期の4倍だけ長い周期を有する第1の矩形波形R1、及び180°だけ位相がずれた第1の矩形波形信号R1に相当する第2の矩形波形信号R2を生成する。このようにして、第1の矩形波形R1が高い状態にあるときに、第2の矩形波形R2は低い状態にあり、その逆も成り立つ。
【0037】
第1の三角波形信号T1及び第2の三角波形信号T2、並びに第1の矩形波形信号R1及び第2の矩形波形信号R2は、マルチプレクサ69のそれぞれのデータ入力に入力される。マルチプレクサ69の出力は、周波数変調波形FMを形成する。
【0038】
ランダム2値波形発生器67は、波形選択ビットWSと共に論理回路71に入力されるランダム2値波形RBを生成する。この実施形態では、ランダム2値波形発生器67は、値1を有する波形の確率が値0を有する波形の確率に経時的に実質的に等しい2値波形を生成する。
【0039】
下記でさらに詳細に検討されるように、論理回路71は、波形選択ビットWS及びランダム2値波形RBを処理してアドレス信号を生成する。アドレス信号は、波形FMが、T1と同じであるか(WS=10又は11のとき)、又は測距される障害物の動く方向に応じて、図6a及び図6bに示されるランダムに選択される2個組波形(すなわち、離れていく障害物の場合にWS=01、近づいてくる障害物の場合にWS=00)から構成されることができるように、マルチプレクサ69に入力される。値WS=01のとき、及びWS=00のときの波形の一式(the complete sets)がそれぞれ、図10及び図11に示される。
【0040】
この実施形態では、FM−CW自動車レーダは、2つのモード:モード1(基本)及びモード2(適応)で動作する。モード1では、波形選択ビットのうちの第1のビットが1に設定され(すなわち、WS=10又は11)、一方、モード2では、波形選択ビットのうちの第1のビットは0に設定される(すなわち、WS=00又は01)。波形選択ビットのうちの第2のビットは、物体が離れていくものと判断される場合に1に設定され、物体が近づいてくるものと判断される場合に0に設定される。これらの2つのモードでFM−CW自動車レーダによって実施される論理機能を説明する流れ図が、それぞれ図12及び図13に示される。
【0041】
初期検出サイクル中に、FM−CW自動車レーダはモード1で動作する。これは、制御ユニット47が波形選択ビットWSを10に設定し、それに応答して、測距される障害物の動く方向を明らかにするために、周波数変調モジュール41が周期的な三角FM波形(たとえば、第1の三角波形T1)を与えるように、論理回路71がマルチプレクサ69に入力されるアドレスビットを設定することを伴う。生成される各サイクルは、2つの周波数FU及びFDを有するビート信号をもたらし、それらの周波数は三角FM波形の上り勾配及び下り勾配にそれぞれ対応する。これらの2つの周波数FU及びFDのうちの小さい方に等しい周波数Fmが、最も小さな起こり得る測定可能な周波数F0よりも大きい場合には、既知の最新の技法を用いて(たとえば、式1及び式2から)、周波数FU及びFDから直に距離及び速度が求められる。その後、その処理はモード1で続けられ、三角波形の別のサイクルが生成される。
【0042】
これらの2つの周波数FU及びFDのうちの大きい方に等しい周波数Fxが、F0よりも小さい場合には、有用な推定値が得られない場合がある。しかしながら、周波数FxがF0よりも大きいが、周波数FmがF0よりも小さい場合には、図13に示されるモード2(適応)の1組の演算を用いて、距離及び速度推定が続けられる。ここで、4つの取り得る2個組波形のうちの1つを生成することに関する判断は、波形選択ビットWSの第2のビット、すなわち、物体の動く方向を指示するビット、及びランダム2値波形RBに基づいて行なわれる。
【0043】
第2の波形選択ビットの値は、モード1で実行される周波数Fxの選択に依存する。周波数Fx=FUである場合には、物体が離れていくものと仮定され、それゆえ、第2の波形選択ビットは1に設定される。それとは異なり、Fx≠FUであるとき(近づいてくる物体の場合)、第2の波形選択ビットは0に設定される。
【0044】
図10から明らかであるように、モード2において、物体が離れていく状態にあるときに、ランダム2値波形RBが値1を有する場合には、論理回路71は、信号が低い値から高い値に上昇する1つのタイミングパルス周期と、信号が高い値に保持される後続の1つのタイミングパルス周期とから成る第1の基本波形が放出されるように、マルチプレクサ69にアドレスビットを入力する。ランダム2値波形RBが値0を有する場合には、論理回路71は、信号が低い値に保持される1つのタイミングパルス周期と、信号が低い値から高い値に上昇する後続の1つのタイミングパルス周期とから成る第2の基本波形が放出されるように、マルチプレクサ69にアドレスビットを入力する。それゆえ、第1の基本波形(これ以降、タイプAと呼ばれる)及び第2の基本波形(これ以降、タイプBと呼ばれる)は、図6(b)に示される、離れていく物体に関する2個組波形対に対応する。
【0045】
図11から明らかであるように、モード2において、物体が近づいてくる状態にあるときに、ランダム2値波形RBが値1を有する場合には、論理回路71は、一定の高電圧に維持される1つのタイミングパルス周期と、信号が高電圧から低電圧へ下降する後続の1つのタイミングパルス周期から成る第3の基本波形が放出されるように、マルチプレクサ69にアドレスビットを入力する。ランダム2値波形RBが値0を有する場合には、論理回路71は、信号が高電圧から低電圧へ下降する1つのタイミングパルス周期と、信号が低電圧に維持される後続の1つのタイミングパルス周期から成る第4の基本波形が放出されるように、マルチプレクサ69にアドレスビットを入力する。それゆえ、第3の基本波形(これ以降、タイプAと呼ばれる)及び第4の基本波形(これ以降、タイプBと呼ばれる)は、図6(a)に示される、近づいてくる物体に関する2個組波形対に対応する。
【0046】
図10及び図11に示されるように、論理回路71は、同期パルスSA及びSBも出力し、それらのパルスはそれぞれ、各2個組波形タイプA及びタイプBの開始を指示する。同期パルスは、物体の距離R及び速度VOを推定するために用いられる特定の周波数を有するビート信号の部分を指示するために、演算ユニット49に送られる。
【0047】
距離及び速度はビート周波数FS及びFLから求められ、それらの周波数はそれぞれ線形勾配又はCW伝送に対応する。周波数FSが周波数FLよりも小さい場合には、第2の波形選択ビットが否定され、2個組波形生成の処理が繰り返される。周波数FSが周波数FLよりも大きく、且つ周波数F0よりも大きい場合には、物体の距離及び速度が求められる。しかしながら、周波数FLが周波数F0よりも小さい場合には、その処理は上記のようにモード1で続けられる。
【0048】
2個組波形(タイプA又はB)のランダムな選択は、等しい確率で実行されるので、結果として生成されるFM波形は最大限に予測不可能になり、それは、衝突回避レーダシステムのようなマルチユーザの用途において最適な解決策である。
【0049】
多くの形の論理回路71を用いて、入力波形選択ビットWS及びランダム2値波形RB値の組み合わせ毎に所望のアドレスビットを達成することができ、そのような論理回路の設計は型にはまった設計作業であることは理解されよう。さらに、図9を参照しながら説明された周波数変調モジュール41のハードウエアの実施態様の代わりに、ソフトウエアの実施態様を用いることもできる。
【0050】
本発明の好ましい実施形態のこれまでの説明は、例示及び説明する目的のためだけに提示されてきた。その説明は、包括的であることも、本発明を開示されるのと全く同じ形態及び用途に限定することも意図していない。これまでの説明に鑑みて、多くの改変、変更及び変形を加えることによって、当業者が、検討される特定の用途に合わせて本発明を種々の実施形態において利用できるようになることは明らかである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体までの距離、及び物体の速さのうちの少なくとも一方を求める方法であって、該方法は、
前記物体が近づいてくるか、又は離れていくかの指示を判断するステップと、
周波数が一定であるセグメント及び周波数が変化するセグメントから成るシーケンスを含む呼掛け信号を生成するステップであって、前記判断するステップが、前記物体が近づいてくることを指示する場合には、該周波数が変化するセグメントの周波数が減少し、前記判断するステップが、前記物体が離れていくことを指示する場合には、該周波数が変化するセグメントの周波数が増加する、生成するステップと、
前記呼掛け信号を送信すると共に、前記物体から反射される前記呼掛け信号の反射信号を検出するステップと、
前記呼掛け信号及び前記呼掛け信号の前記反射信号の組み合わせから、前記物体までの距離及び前記物体の速さのうちの少なくとも一方を求めるステップとを含む、方法。
【請求項2】
前記判断するステップは、
周波数が増加するセグメント及び周波数が減少するセグメントを有する周波数変調された信号を生成すると共に、該周波数変調された信号を送信すること、
前記物体からの反射信号を検出すること、
周波数が増加する部分に対応する第1のビート周波数及び周波数が減少する部分に対応する第2のビート周波数を導出するために、前記周波数変調された信号及び前記反射信号を合成すること、及び
前記第1のビート周波数及び前記第2のビート周波数のいずれが高いかを判断することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記呼掛け信号生成ステップは、周波数が一定であるセグメント及び周波数が変化するセグメントから成るランダムなシーケンスを生成することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記呼掛け信号生成ステップは、ランダムな信号を生成すること、並びに前記物体が近づいてくるか又は離れていくかと前記ランダムな信号の値とに従って、1組の基本波形から選択することを含み、該1組の基本波形は、
第1の周波数を有する第1のセグメントと、周波数が該第1の周波数から第2の周波数に減少する後続の第2のセグメントから成る第1の基本波形と、
周波数が前記第1の周波数から前記第2の周波数に減少する第1のセグメントと、前記第2の周波数を有する後続の第2のセグメントから成る第2の基本波形と、
周波数が前記第2の周波数から前記第1の周波数に上昇する第1のセグメントと、前記第1の周波数を有する後続の第2のセグメントから成る第3の基本波形と、
前記第2の周波数を有する第1のセグメントと、周波数が前記第1の周波数から前記第2の周波数に上昇する後続の第2のセグメントから成る第4の基本波形とを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記ランダム信号生成ステップはランダム2値信号を生成する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記生成されたランダムな信号は、近づいてくる物体に関して、前記呼掛け信号において前記第1の基本波形が生じる確率及び前記第2の基本波形が生じる確率が実質的に等しく、離れていく物体に関して、前記呼掛け信号において前記第3の基本波形が現れる確率及び前記第4の基本波形が現れる確率が実質的に等しいような信号である、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
周波数が増加するセグメント及び周波数が減少するセグメントを有する呼掛け信号を用いて、前記距離及び前記速さのうちの前記少なくとも一方を求めることができるか否かを検査するステップと、
前記検査するステップが、周波数が増加するセグメント及び周波数が減少するセグメントを有する呼掛け信号を用いて、前記距離及び前記速さのうちの前記少なくとも一方を求めることができるものと判断する場合には、前記呼掛け信号を用いて継続するステップと、
前記検査するステップが、周波数が増加するセグメント及び周波数が減少するセグメントを有する呼掛け信号を用いて、前記距離及び前記速さのうちの前記少なくとも一方を求めることができるものと判断する場合には、請求項1〜6のいずれか一項に従って継続するステップと
から成る予備ステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
物体までの距離、及び物体の速さのうちの少なくとも一方を求める装置であって、該装置は、
前記物体が近づいてくるか、又は離れていくかの指示を判断する手段と、
周波数が一定であるセグメント及び周波数が変化するセグメントから成るシーケンスを含む呼掛け信号を生成する手段と、
前記呼掛け信号を送信すると共に、前記物体から反射される前記呼掛け信号の反射信号を検出する手段と、
前記呼掛け信号及び前記呼掛け信号の前記反射信号の組み合わせから、前記物体までの距離及び前記物体の速さのうちの少なくとも一方を求める手段とを備え、
前記生成する手段は、前記物体が近づいてくるものと前記判断する手段が判断する場合には、前記周波数が変化するセグメントの周波数が減少し、前記物体が離れていくものと前記判断する手段が判断する場合には、該周波数が変化するセグメントの周波数が増加するように構成される、装置。
【請求項9】
前記判断する手段は、
周波数が増加するセグメント及び周波数が減少するセグメントを有する周波数変調された信号を生成すると共に、該周波数変調された信号を送信する手段と、
前記物体からの反射信号を検出する手段と、
周波数が増加する部分に対応する第1のビート周波数及び周波数が減少する部分に対応する第2のビート周波数を導出するために、前記周波数変調された信号及び前記反射信号を合成する手段と、
前記第1のビート周波数及び前記第2のビート周波数のいずれが高いかを判断する手段とを備える、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記呼掛け信号生成手段は、周波数が一定であるセグメント及び周波数が変化するセグメントから成るランダムなシーケンスを生成する手段を備える、請求項8に記載の装置。
【請求項11】
前記呼掛け信号生成手段は、
ランダムな信号を生成する手段と、
前記物体が近づいてくるか又は離れていくかと前記ランダムな信号の値とに従って、1組の基本波形から選択する手段とを含み、該1組の基本波形は、
第1の周波数を有する第1のセグメントと、周波数が該第1の周波数から第2の周波数に減少する後続の第2のセグメントから成る第1の基本波形と、
周波数が前記第1の周波数から前記第2の周波数に減少する第1のセグメントと、前記第2の周波数を有する後続の第2のセグメントから成る第2の基本波形と、
周波数が前記第2の周波数から前記第1の周波数に上昇する第1のセグメントと、前記第1の周波数を有する後続の第2のセグメントから成る第3の基本波形と、
前記第2の周波数を有する第1のセグメントと、周波数が前記第1の周波数から前記第2の周波数に上昇する後続の第2のセグメントから成る第4の基本波形とを含む、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記ランダム信号生成手段はランダム2値信号を生成することができる、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記生成されたランダムな信号は、近づいてくる物体に関して、前記呼掛け信号において前記第1の基本波形が生じる確率及び前記第2の基本波形が生じる確率が実質的に等しく、離れていく物体に関して、前記呼掛け信号において前記第3の基本波形が現れる確率及び前記第4の基本波形が現れる確率が実質的に等しいような信号である、請求項11に記載の装置。
【請求項14】
周波数が増加するセグメント及び周波数が減少するセグメントを有する呼掛け信号を用いて、前記距離及び前記速さのうちの前記少なくとも一方を求めることができるか否かを検査する手段をさらに備え、
前記装置は、周波数が増加するセグメント及び周波数が減少するセグメントを有する呼掛け信号を用いて前記距離及び前記速さのうちの前記少なくとも一方を求めることができるものと前記検査する手段が判断する場合には、該呼掛け信号を用いるように構成され、
前記装置は、周波数が増加するセグメント及び周波数が減少するセグメントを有する呼掛け信号を用いて、前記距離及び前記速さのうちの前記少なくとも一方を求めることができないものと前記検査する手段が判断する場合には、周波数が一定であるセグメント及び周波数が変化するセグメントから成るシーケンスを含む前記呼掛け信号を用いるように構成される、請求項8に記載の装置。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7a】
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【図7b】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−122226(P2010−122226A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−266664(P2009−266664)
【出願日】平成21年11月24日(2009.11.24)
【出願人】(501253316)ミツビシ・エレクトリック・アールアンドディー・センター・ヨーロッパ・ビーヴィ (77)
【氏名又は名称原語表記】MITSUBISHI ELECTRIC R&D CENTRE EUROPE B.V.
【住所又は居所原語表記】20 Frederick Sanger Road, The Surrey Research Park, Guildford, Surrey GU2 5YD, Great Britain
【Fターム(参考)】