説明

物体を見るための装置および方法

物体の画像を生成して表示するための装置および方法は、線源および、線源との間に走査範囲を定義するために間隔を置かれて、物体を通って伝えられて入射する放射を検出できる、少なくとも2つ(好ましくは3つ以上)の一連の線形検出器;線形検出器に沿って互いにある角度で連続した経路において、走査範囲を通って物体を相対的に移動させる手段;少なくとも、第1の線形検出器の出力から第1の画像、第2の線形検出器の出力から第2の画像、および第3の画像を各連続した経路のために生成する画像生成装置;第1、第2、第3の画像を連続して表示し、したがって、画像間に単眼の移動視差を表示するのに適した画像ディスプレイ;が使用される。各画像は、走査方向に対して垂直な方向においてビーム拡散に起因する歪みを減らすような方法で、表示の前に処理される。画像間の単眼の移動視差は、観察者の目に見える三次元キューを生成するのに用いられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入射する高エネルギー放射の走査(例えばX線とともに)を用いる三次元空間において、物体をイメージングするための装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、特に、ライン走査原理に作用する装置および方法に関する。そこにおいて、三次元物体は、収集される走査範囲およびイメージング情報によって移動させられる。この原理は、物体の内部のコンテンツに関する情報を得ることが望ましい場合にその物体を走査するために、例えば、限定されないが、セキュリティ産業において、そして、医学イメージング、品質管理目的または構造の完全性を決定する目的のためのイメージング等において、広く利用される。
【0003】
ライン走査原理を利用するイメージング装置は、既知である。概して、この種の装置はX線源から成る。そして、そのビームは、カーテンにコリメートされてよく(通常「カーテンビーム」と呼ばれる)、それから、例えば線形フォトダイオードアレイを含む線形アレイ検出器によって検出される。画像情報は、例えば、ビームに関して直角で線形に移動する関心のある物体を有することによって、そして、完全な画像フレームが編集されることができる線形アレイに由来する、X線伝送情報の連続した走査を記憶することによって、得られる。
【0004】
走査される物体が、X線放射で異質に伝達して、例えば、多数のより小さい物体および/または異なる物質のコンポーネントから成るかまたはそれを収容している場合、物体の、そして特定のコンテンツまたはコンポーネントの場合の、画像を構築することは可能でありえる。画像は、それから視野スクリーン上に表示されてよい。この画像は、例えば上記で概説される可能な用途に関して、有用でありえる。特に、それは、コンテナのコンテンツあるいは、物体または肉体の内部構造を決定する際に有用でありえる。
【0005】
それでも、この種のX線装置によって生成される画像は、制限される。せいぜい、それは、撮像される物体の二次元のシャドウグラフを構成する。これは、解釈することを困難にしないとも限らない。
【0006】
欧州特許第0610084号は、見るための「2.5D」ソリッドモデル画像を生み出す方法を記述する。X線画像の立体写真は、X線源に由来する2つの発散カーテンビームを用いて得られる。これらは、結果として生じるスライス情報から構築される、対をなすスライスおよび2.5D画像に分けられる。
【0007】
結果として生じる画像は、それが完全な立体視装置によってよりむしろ二次元のスクリーン上に提示されるので、厳密に三次元画像(それがしばしば非常に関連されるにもかかわらず)ではない。この種の2.5D表示は、完全な三次元画像が要求される両眼視差または実体鏡学として知られる完全な生理的深さキューよりむしろ、線遠近法、介在、シェーディングおよびシャドーイングのような深さに対する心理的キューを、事実含む。
【0008】
英国特許第2329817号および第2360685号は、完全な立体画像ペアを生成するために用いることができる方法およびシステムの例である。それらは、最終的に、欧州特許第0261984号において述べられる原理に由来する。特に、それらは、検出器および光源ビームのジオメトリに相当な制約条件を課す、段落4の31〜48行で述べられる状況を被る。立体的なイメージングが比較的強力な技術でありえるにもかかわらず、深さ情報に関して完全な生理的キューを利用すること、したがって、ずっと容易にそして明らかに物体またはコンポーネントを識別するX線装置のユーザのためにポテンシャルを提供することは、実際的なオペレーションにおいて複雑でありえる。立体的な効果を利用するために、観察者が各目で同時に別々の画像を受け止めることは、必要である。これは、特別な装置の使用を必要とする。さらに、完全な立体的な技術は、上で識別される状況を顧慮する画像収集プロセスの厳密な制御を要求する。立体写真が効率的である場合、それぞれの画像は、密接に、観察者の視点によって許容されるそれに近い視差によって収集されなければならない。これらの理由により、完全な立体的なイメージングは、このタイプの走査機械にとって広く受け入れられなかった。
【0009】
これらの課題のいくつかは、PCT公報WO2008/119967によって緩和される。そこにおいて、この種の連続した画像の間に単眼の移動視差を表示して、いくつかのさらなる三次元キューを提供するために、ライン走査原理は、相対的移動が物体と線源/検出器装置との間に単一の線形軸線に沿って生じるにつれて、連続した画像を生成するために用いられる。
【0010】
複合ターゲット物体を見ることが望ましい場合、ライン走査X線技術は、医学または他の調査の検査目的、品質管理などのためのイメージングに関しての用途を気づくかもしれない。特に、構成がよりよく特徴づけられることもできる場合、正確な形状のより良好な分解能、および三次元空間における物体のコンポーネントの位置は、現在の技術の相当な進歩である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の目的は、従来技術のライン走査システムの上記の不利点のいくつかまたは全てを緩和することである。
【0012】
したがって、本発明の一態様によれば、物体の画像を生成して表示する装置であって:放射線源および、入射する放射との間に走査範囲を定義するためにそれから間隔を置かれて、入射する放射を検出することができる少なくとも2つしかし好ましくは3つ以上の一連の線形検出器;各々ある角度で少なくとも2つの直線方向に沿って連続した経路において、使用中に前記走査範囲と関連してかつそれを通って物体を移動させる手段;各々の連続した経路にとっての、少なくとも、第1の線形検出器の出力から第1の画像、第2の線形検出器の出力から第2の画像、および第3の画像、を生成する画像生成装置;走査方向に対して垂直な方向に拡散するビームに起因する歪みを減らすように、前記線形検出器の前記出力から収集した画像データを処理する画像処理装置;少なくとも前記第1、第2、第3のような画像を連続して表示し、したがって前記画像間に単眼の移動視差を表示する、画像ディスプレイ;を含む装置が提供される。
【0013】
類推によって、本発明のさらなる態様によれば、物体の画像を得る方法であって:放射線源および、入射する放射との間に走査範囲を定義するためにそれから間隔を置かれて、入射する放射を検出することができる少なくとも2つしかし好ましくは3つ以上の一連の線形検出器を提供するステップ;各々ある角度で少なくとも2つの直線方向に連続した経路において、前記走査範囲と関連してかつそれを通って物体を移動させるステップ;そしてこれにより、各々の連続した経路にとっての、少なくとも第1の線形検出器の出力から第1の画像、少なくとも第2の線形検出器の出力から第2の画像、および少なくとも1つの第3の画像、を生成するステップ;走査方向に対して垂直な方向に拡散するビームに起因する歪みを減らすように、各画像のための収集した画像データを処理するステップ;少なくとも第1、第2、第3のような連続した画像を表示し、したがって前記画像間に単眼の移動視差を表示するステップ;を含む方法が提供される。
【0014】
したがって、本発明の第1および第2の態様の装置および方法によれば、線源からの放射と、走査範囲を通って移動する物体との間で生じる放射相互作用としての、検出器装置での放射線入射から、そして特に、物体を通して伝えられた後の検出器装置での放射線入射から、物体と線源/検出器装置との間で相対的移動が生じるにつれて、連続した画像は生成される。画像は、したがって、連続したラジオグラフ、特に連続した伝送ラジオグラフである。
【0015】
例えば物体ハンドラおよび/または走査アームを含む、適切な手段は、物体および走査範囲の相対的移動を生じさせるために提供される。例えば適切な物体ハンドラまたはコンベヤによって、静的な走査範囲を通して物体が移動されることは、便利でよい。しかし、静的に留まる物体を有して、そして、相対的移動を生み出すために検出器および線源を並進させることが、しばしば好ましいことはいうまでもない。適切な走査アームは、移動可能な線源および/または検出器アレイを含んでよい。
【0016】
本発明は、多数の経路が複数の軸線に沿って作られ、そして、単眼の移動視差を示す一組の画像が各経路上に収集される点で、明確に特徴づられる。例えば、走査アームは、例えば走査アームが検出器アレイおよび線源を担持するという点で、物体と線源/検出器装置との間に相対的移動を生じさせるために用いる。検出器アレイおよび線源は、直線経路方向において静止物体を越えて、共に移動してよい。第1の方向の経路の後、走査アームは、再配置されてよい。例えば、見られるために、物体の概念上の中心点に対して等価の軸線について回転される。そして、さらなる走査経路が第2の方向において作られることができる。このプロセスは、さらなる走査経路の方向において繰り返されることができる。この種の各経路上に、単眼の移動視差を潜在的に表示する他の組の画像が捕えられる。
【0017】
適切な放射線源を有するライン走査検出器を用いて生成される画像は、いくつかのユニークな特性を呈する。典型的に使用する点光源のため、線形アレイ上に入射するように設計されたコリメートされたカーテンビームは、一般のラジオグラフに特徴的であるその長さに沿って、普通の点光源歪みを呈する。しかしながら、移動の方向において、この種の歪みは存在しない。それが両眼立体視または単眼の移動視差に起因するそれらのようなラジオグラフへの強力な深さキューの導入を可能にするので、これは相当に重要である。
【0018】
上で言及したように、立体画像が生成されるために満たされなければならない条件は、非常に厳密で、装置を見る専門家を要求する傾向がある。しかしながら、単眼の移動視差画像は、この種の制約条件を受けない。したがって、有用な三次元キューは、与えられた一連の画像のために得られることができる。
【0019】
本発明によって、多数の経路は、複数の軸線に沿って作られる。そして、単眼の移動視差を呈する一組の画像は、各経路上に収集される。画像の各組が、上で述べられる理由のために移動方向において歪んでいないにもかかわらず、線形検出器のジオメトリ、および拡散するビームの効果は、走査方向に対して垂直な方向の任意のエリアのラジオグラフにおける口径食の効果を経て歪みを生成する。これは、一連の画像が単一の走査方向において生成される場合、すべてのこの種の一連の画像が歪んでいないので、大きな問題でないかもしれない。そして、これは、分かり易さに過度に影響を及ぼさない。口径食に起因する歪みが多数の方向においてあるという点で、それは、画像が多数の経路に沿って生成される場合よりも一層問題である。
【0020】
したがって、本発明の方法は、走査方向に対して垂直な方向におけるビーム拡散に起因して減少した歪みを有する画像を生成するような方法で、そして特に、より真実に近いアスペクト比(すなわち、走査方向に垂直な見かけの長さに対する走査方向の見かけの長さの比率)を有する画像を生成するような方法で、画像表示の前の追加ステップにおいて、各々連続した経路のための各々の画像が処理されることが、明確な特徴である。
【0021】
表示のための画像の画像アスペクト比が制御されることができる、2つの主要な方法がある。第1に、走査する率は、走査方向に対して垂直な方向のビームの拡散に起因する歪みと一致する傾向のある、走査方向の歪みを誘発するために、制御されてよく、そして関数方法で変化されてよい。このようにして、収集した強度データは、真のアスペクト比に対する空間座標における近似関数にそれ自体本質的に調整される。そして、そこから生成されるいかなる画像も、同じように本質的に調整される。第2に、入射する強度データは、ビームの拡散効果を含んで収集されてよい。そして、適切な数値解析手順は、歪みを補償して、実質的に現実に近いアスペクト比を有する画像を生成するために、収集したデータに適用されてよい。例えば適切な画像解析法を使用する数値手順による画像解析は、特に好ましい。例えば、方法は、走査方向に対して垂直な方向のビーム拡散または口径食のために修正される概念上の位置を生成するために、収集したデータの走査方向に対して垂直な方向に割り当てられた位置にスケーリング因子を適用するステップを含んでよい。これら2つの技術の組み合わせは、適用されてよい。
【0022】
したがって、本発明の第1の態様に従う類推によって、装置は、ビーム拡散に起因する歪みを減らすために線形検出器の出力から収集した画像データを処理して、そして特に、現実に近いアスペクト比を有する画像を生成するための、画像処理装置をさらに含むことになる。例えば走査方向に対して垂直な方向のビーム拡散または口径食のための修正するスケーリング因子を、収集したデータに適用するために、例えば、装置は、走査方向に対して垂直な方向のビーム拡散または口径食に起因する歪みを補償するために、収集したデータに数値画像解析を適用するために、数値修正モジュールを含む。
【0023】
複数の軸線にわたる本発明による画像の収集、および、口径食の効果を修正するためのこれらの処理は、線形アレイの方向に沿った歪みの減少が、各経路のために、そして、減少したまたは除去した口径食からの歪みに起因する、この種の画像の分かり易さへの有害な効果を伴う、複数の軸線に沿った三次元キューを有する画像を生成するために実際に用いられる、結果として生じる多数のシリーズの視差画像のために、利用されることができることを意味する。
【0024】
例えば、医療用途が考えられる場合、例えば腕の複合の破壊を見るときに、90度で1つだけでなく、腕の長さに沿った回転する一連の画像を見ることは有利である。これらの90度の極限の間における他の角度の一連の画像が、データセットに加えられることができる。本発明による装置および方法は、単純なライン走査の原理からこれらのキューを配送するために、特に走査方向に対して垂直な歪みに対する修正時に、強力なツールを提供する。
【0025】
各経路のために、少なくとも3つの画像が、線形検出器(好ましくは少なくとも3つの一連の)の少なくとも1つの間隔を置かれたペアから生成される。複数の画像が生成されるにもかかわらず、画像は、立体的な効果を提供する意図をもってペア画像として収集されることはなく、表示されることもない。むしろ、本発明は、各一連の連続した画像間における、単眼の移動視差を利用する。
【0026】
単眼の移動視差は、単独で、三次元空間に位置する物体に関して、特に、連続した画像の多数のシリーズが使われる場合に、いくつかの効果的な生理的キューを与えることができる。その効果は任意の画像ペアのためにあるのだけれども。それは、完全な立体視システムを越える単純性の多くの利点を有する。
【0027】
特に、画像は、個々の二次元の画像として連続して表示され、特別な装置を必要としない。システムは、単眼の視差を利用する。ユーザが立体的に見る場合に、ユーザの各々の目のための別々の画像を同時に生成することは必要でない。両眼または他の複合する立体視装置は必要でない。単純な単眼の表示で十分である。さらに、両眼視差を効果的に利用するために必要な画像生成の比較的厳密な制御は、適用しない。例えば、画像ペアの効果的な両眼視差のために、両者間の視差が、人間の観察者によって許容されることができるそれに密接にマッチするというような方法で、画像は生成されることを必要とする。対照的に、三次元における効果的な単眼の移動視差錯覚は、連続した画像のずっと大きな範囲によって生成されることができる。それは、立体的なイメージングに適用するビームジオメトリのための狭い条件に対応することを必要としない。
【0028】
本発明の第1および第2の態様に従うシステムおよび方法は、したがって、多くの実際的な状況において、両眼の方法および装置よりも、潜在的にそして有意に単純である。本発明は、既存の装置および技術に対して限られた変更を伴う適用に、より密接にそれ自体を貸す傾向がある。
【0029】
互いにある角度で複数の方向において線源/検出器装置と物体との間の相対的移動の連続した経路を含む、連続した走査を実行することによって、単眼の移動視差画像の多数のシリーズを生成する技術の改良は、結果として生じる画像を事実上回転させる可能性を提供することによって、この効果を強調する。各シリーズが上述されるように口径食のために修正されるときに、これは、特に効果的である。
【0030】
本発明の鍵は、少なくとも2つの別々の方向に走査して、少なくとも2つのこのような経路を実行することから生じる付加情報を利用することに関係がある。歪みを取り除くために画像が修正される場合、それから、多数の経路からの画像は、組み合わされることができる。そして、それはデータを操作して、結果として生じる画像において物体がその回りに「見られている」物体軸線を変化させる能力を与える。適切な命令においてこの種の画像を連続して提示することによって、動画の「移動する」画像表現は、三次元自由度を有するビューア制御の下で、操作可能な物体について生成されてよい。好適な場合において、少なくとも3つの経路は、少なくとも3つの直線方向に沿ってそれぞれ連続して実行される。好ましくは、少なくとも3つの方向は、単一の共通の交点で交差する。そして、それは物体の概念上のイメージング中心を表わす。
【0031】
単眼の移動視差の効果は、ちょうど画像ペアにおける理論に存在する。そして、ユーザが、走査された物体を、特に個々のコンテンツおよび/またはそのコンポーネントを分解することを可能にする三次元の視覚キューは、与えられた経路のためのこの種の単純な画像ペアから得られることができる。しかしながら、その効果は、2つ以上の一連の連続した画像が経路ごとに生成されて表示される場合に、強調されて、そして特に、三次元の移動についてのより効果的な印象が得られることができる。本発明によれば、少なくとも3つの画像は、経路ごとに生成される。より好ましくは、少なくとも6つの画像は、経路ごとに生成される。
【0032】
追加的な画像が生成されることができる2つの方法がある。第1に、横に間隔を置かれた一連の2つ以上の線形検出器、例えば少なくとも3つの検出器、より好ましくは少なくとも5つの検出器は、提供されてよい。この種の各検出器の出力は、それから、検出器で収集されるデータの画像表現を生成するために単独で用いられてよい。
【0033】
複数の一連の横に間隔を置かれた線形検出器が提供される場合、それらの間の空間は、例えば、一連の隣接する線形検出器の各ペアが横に実質的に等間隔を置かれる、および/または線源に対して実質的に等しい角度間隔状態にある、という点で、一般に一定であることが好ましい。
【0034】
横に間隔を置かれて並ぶ一連の線形検出器は、好ましくは一般に平行である。それらは、共通平面において、または共通の円弧に沿って、配置されてよい。各線形検出器は、任意の適切な構成(例えば、従来の単純なまたは折り畳まれた構成)でよい。
【0035】
好ましくは、横に間隔を置かれて並ぶ一連の線形検出器は、それらの間の間隔が、各アレイ間に一定の角度間隔を維持するために変化するように、配列される。これは、走査を行う多くの産業において一般にみられるL字状の検出器にとってきわめて重要である。この革新はまた、放射の線源が各アレイの中心地点に置かれないときに、きわめて重要である。
【0036】
好ましくは、装置は、上述のように各線形検出器の厳密なアラインメントを許容するために、アラインメント手段を含む。
【0037】
好ましくは、装置は、好ましくは単一の線源から、複数のビームを分配する手段を含む。例えば、ビームは、各線形検出器で導かれる。好ましくは、複数のビームを分配する手段によって、ユーザは、複数のアレイにおける検出器の数に対応する所望数のビームを選択することができる。都合の良いことに、装置は、ユーザが単一の線源から2〜5のビームを選択することができるのに適したコリメータを含む。
【0038】
加えて、またはこれに代えて、さらなる画像は、隣接する線形検出器から収集される画像ペアの補間によって生成されてよい。したがって、本発明の好ましい実施形態によれば、方法は、少なくとも1つの隣接するペアから少なくとも1つの中間画像を生成するステップをさらに含み、該当する場合には、検出器の複数のまたは各隣接するペアの出力を処理して、そして2つの前記検出出力間に中間出力を表す画像を生成することによって、線形検出器の複数の隣接するペアおよび例えば各隣接するペアから少なくとも1つの中間画像を生成することが好ましい。
【0039】
本発明の装置は、好ましくは、この機能性を有する手段を備える中間画像生成器を含む。
【0040】
単一の中間画像が、隣接する1対の検出画像の間に生成される場合、この中間画像は、2つの検出画像上の等価な像点間の中点に、中間画像上の像点を外挿することが好ましい。複数の中間画像が検出画像ペア間に提供される場合、これらは同様に基づいて、均一に間隔を置かれて外挿することが好ましい。さらに、検出器を相関的に間隔を置くこと、および中間画像生成の構成は、すべての画像がほぼ同じ相対的移動間隔によって生成されるようなものである、ことが好ましい。例えば、検出器は均一に間隔を置かれて、そして、同じ数の中間画像は複数のアレイの各ペア間に生成される。
【0041】
前述にしたがって、どちらかまたは両方のアプローチは、事実上別々の位置に達する走査範囲における物体の一連の画像を生成するために用いられる。第1のアプローチにおいて、複数の間隔を置かれた検出器は、対応する複数の直接像を生成する。第2のアプローチにおいて、隣接する線形検出器からの実際のデータは、直接像に対して間接的な中間画像を生成するために用いられ、したがって、中間の物体位置を表現する。
【0042】
どちらかまたは両方の方法は、連続した一連の画像を生成するために用いてよい。そしてそれから、連続した各画像ペア間の単眼の移動視差によって、三次元に関する情報および、特に三次元による移動についての印象を、得ることができる。比較的少数の画像は、単純な二次元のスクリーンを観察しているユーザによって、三次元の効果的な動画のような移動を生成されることが要求される。
【0043】
本発明によれば、少なくとも3つの画像は、各シリーズにおいて(すなわち各経路のための)生成される。前述にしたがって、第3の画像は、第3の直接像を生成する第3の検出器の使用、または単一の検出器ペアの出力から第3の間接的な画像を生成する補間方法の使用、のいずれかを要求すると認識される。実際には、両方の効果が共に利用されてよい。そして、より多数の画像(例えば、少なくとも3つの検出器が少なくとも5つの画像を、直接に、および補間方法によって生成する)は、好まれるかもしれない。しかしながら、多数の線形検出器は、必ずしも望ましいわけではなくて、より複合的な装置を要求してよい。例えば、所与の方向における所与の経路のための7つ以上の画像を生成するが、5つ以下の検出器を提供することは、望ましいかもしれない。
【0044】
したがって、好ましい実施形態において、中間画像生成器は、上記のように、5つ以下の検出器からの経路ごとに全体で7つ以上の画像が生成されるように構成されて、提供される。この好ましい実施形態において、装置は、横に間隔を置かれた5つだけの一連の線形検出器、各線形検出器の出力から画像を生成するように構成される直接像生成装置、および、各隣接する線形検出器ペアから少なくとも1つの中間画像を生成するために構成されて、全体で少なくとも7つの画像が生成されるように適合される中間画像生成装置、を含む。この好ましい実施形態において、方法は、全体で少なくとも7つの直接像および中間画像が生成されるように;各線形検出器の出力から直接像を生成するステップ;複数のまたは各隣接する線形検出器ペアの出力を処理することによって、当該複数のまたは各隣接する線形検出器ペアから少なくとも1つの中間画像を生成するステップ;および、2つの前記検出器の出力間に中間出力の画像表現を生成するステップ;を含む。
【0045】
十分な中間画像は、全体(すなわち、各検出器の直接的な検出出力から収集される直接像、および補間によって生成される中間画像、の合計)で少なくとも7つの画像を生み出すために、生成される。2つまたは3つの検出器だけが用いられる場合、追加的な画像は、結果として必要な数の画像を得るために、十分な検出器ペア間に2以上の仮想的に間隔を置かれた中間画像を合成することによって、生み出される。中間画像生成器は、それから、少なくとも1つの隣接するペアから2つ以上の中間画像を生成するように構成される。そして、それは、複数のまたは各隣接する線形検出器ペアの出力を処理して、2つの前記検出出力間に遷移を表現する画像を生成することによって、各隣接するペアにより生成される画像間に段階的な遷移を示す。
【0046】
したがって、この実施形態は、人間の観察者による視差効果の最適分解能のための少なくとも7つの画像を生成するが、全ての場合に5つ以下の線形検出器アレイを有する。十分な視覚情報は、単純化された装置から生成される。
【0047】
少なくとも2つの別々の方向において走査して、歪みを取り除くために好ましくは画像データを修正することによって、本発明は、多数の経路からの画像が組み合わされることを可能にし、そして、それは、物体がその回りに見られる物体軸線を変化させる能力を与える、ことに気づかされた。所与の方向における所与の経路に関して上で概説された中間画像生成の原理は、物体が別々の真のイメージング軸線間で回転するとき、中間画像の生成のために使用されてもよい。
【0048】
すなわち、1つ以上のさらなる画像は、提示される画像により滑らかな遷移を生み出すために、物体が、第1および第2の経路方向間で回転するイメージング方向とともに提示されるにつれて、第1および第2の経路方向のペアから収集されて連続して提示される、画像ペアの補間によって生成されてよい。したがって、本発明の好ましい実施形態によれば、方法は、第1および第2の経路方向でそれぞれ生成される画像位置ごとに検出出力を処理して、そして、2つの前記検出出力間に中間出力を表わす画像を生成することによって、この種の少なくとも1つの画像位置のペアから少なくとも1つの中間画像を生成するステップをさらに含む。
【0049】
上で概説されたそれらに対する同様の原理は、2つの真の画像方向間に中間画像を生成するために適用されてよい。例えば、2つの真の画像方向における検出画像ペア間に単一の中間画像が生成される場合、中間画像は、2つの検出画像上の等価な像点の中間点に中間画像上の像点を外挿することが好ましい。複数の中間画像が検出画像ペア間に提供される場合、これらは同様に基づいて、均一に間隔を置かれて外挿することが好ましい。
【0050】
本発明の装置は、好ましくは、この機能性を有する手段を備える中間画像生成器を含む。
【0051】
都合の良いことに、例えば適切なソフトウェアを含む単一の画像生成器は、真のイメージング位置のためのデータペアから、隣接する検出器間の仮想の画像位置のための中間画像、および/または上述されたような走査軸のペア間の仮想の画像位置のための中間画像、を生成する能力とともに提供される。結果として生じる収集したデータセットおよび仮想画像は、三次元自由度における物体のより完全な操作を可能にし、そして、結果として生じる情報量および任意の画像ディスプレイの価値を改良する。
【0052】
視差効果は、分光情報を画像に提示すること(そして、したがって、構成と区別される関係を有する情報を提示すること)により、別々の物体、コンポーネントまたは画像ペアの分解能を支援する第2の効果によって、本発明の可能な実施形態にしたがって補われてよい。
【0053】
従来技術のシンチレータ−半導体検出器は、伝えられた放射のスペクトルについて、いかなる真の分光情報も与えない。これらの単純な検出器は、伝えられたX線の存在またはその反対を単に検出するだけである。同じ原理で最終的に作動する二重エネルギー検出器でさえ、それらは、2つの異なったスペクトルバンドの範囲内でX線の存在またはその反対を検出する。
【0054】
しかしながら、本発明の好ましい実施形態によれば、一連の線形検出器の少なくともいくつかは、線源スペクトルの少なくとも一部にわたって伝えられた放射に関する分光器で分解された情報を生成することができる検出器を含む。すなわち、検出器は、検索される分光情報を許容して、そして、線源スペクトルの少なくとも一部、好ましくはその大部分にわたって複数の区別されたエネルギーバンドで検出される強度情報を許容する、線源スペクトルの少なくとも一部にわたって分光器的に多様な反応を呈する。強度情報は、それが線源のスペクトル全体の複数の別個のエネルギーバンドに同時に区別されるという意味で、複数の区別されたエネルギーバンドに分解される。検出器システムは、それが入射する放射を線源のスペクトル全体の複数の別個のエネルギーバンドに同時に区別するのに適するという意味で、入射する放射について分光器で分解可能な情報を検出して収集することができる。
【0055】
分光情報の適切な分解能は、2つの効果を与える。それは、別々のコンポーネントまたは物体または画像の部分の構成を特徴づけるために、ポテンシャルを直接提供する。そして、別々の構成の物体、コンポーネントまたは部分の間を区別することによって、例えば、結果として生じる画像にそれらの違いを(例えば違う色で)表現することによって、それは、画像の別々の物体、コンポーネントまたは部分の分解能において支援する。
【0056】
好ましい実施形態によれば、この種の各線形検出器の出力から得られる伝えられた放射の分光器分解能は、生成された画像において表現される。例えば、収集したデータにおける分光器分化は、区別された色、シェーディングまたはマーキングとして、画像において表現される。例えば、関数マッピングは、検出器によって収集した分光情報と、視覚のスペクトルとの間に生み出される。そして、着色した画像ディスプレイは、この関数関係にしたがって、由来する。これに代えて、スペクトルが複数のバンド(例えば4〜8のバンド)に分けられるという点で、バンドマッピングが用いられる。そして、別々の色は、表示された画像においてこの種の各バンドを表現するために用いられる。装置は、このマッピングを生じさせるために、適切な画像処理手段を便利に含む。また、前述のように、画像は、単一のエネルギーバンドとして、またはエネルギーバンドの組み合わせとして、表示されることができる。
【0057】
検出器システムが、データ処理装置によって分光器で分解可能であるように放射を検出することを可能にされることは、必要である。好ましくは、本発明の線形検出器システム、または、本発明のマルチエレメント検出器システムを占めるいくつかのまたはすべての別々の検出器エレメントは、それが直接的な分光器反応を呈するという点で、分光器分解能を生成するために本質的に適していてよい。特に、システムまたはエレメントは、直接の物質特性として、直接の可変的な電気的および例えば光電的応答を、線源のスペクトルの別々の部分に本質的に呈するように選択される材料から製作される。例えば、検出器システムまたはエレメントは、広い直接のバンドギャップ半導体物質を含む。例えば、検出器システムまたはエレメントは、大容量の結晶として、および例えば大容量単結晶(この文脈における大容量の結晶は、少なくとも500μmの、そして好ましくは少なくとも1mmの厚さを示す)として、好ましくは形成される半導体物質または材料を含む。半導体を占める材料は、テルル化カドミウム、テルル化カドミウム亜鉛(CZT)、テルル化カドミウムマンガン(CMT)、ゲルマニウム、臭化ランタン、臭化トリウム、から好ましくは選択される。グループII〜VI半導体および特にリストされるそれらは、特にこの点に関しては好ましい。半導体を占める材料は、テルル化カドミウム、テルル化カドミウム亜鉛(CZT)、テルル化カドミウムマンガン(CMT)、およびそれらの合金から好ましくは選択されて、例えば結晶Cd1−(a+b)MnZnTe、ここでa+b<1、aおよび/またはbはゼロでもよい、を含む。
【0058】
これらの組み合わせおよびこの種の材料の任意の他のものは、入射する放射の振幅を単に単色的に検出するよりはむしろ、いずれが分光器検出を与えるかについて考慮してよい。
【0059】
多数の画像の生成を許容して、これらを動画のシーケンスとして見るために、一連に配列された少なくとも2つの線形アレイ検出器、および好ましくは複数のこれと同じものを含む基礎ジオメトリは、物体の形状および形態を解釈するために改良された能力を提供する際の本発明の基本となる。
【0060】
しかしながら、分光線形検出器を用いて与えられる非常に改良された材料識別能力は、付加的なそして補強することで可能な多くのステップを介して、物体の構成を本質的に識別する能力、および画像における別々の物体の分解性、の両方を改良する。
【0061】
特に、例えば、分光検出器はエネルギー選択方法で作動されることができる。そして、従来技術の標準的な二重エネルギー検出器から入手可能である2つと比較して、有意に増加したエネルギーバンドに分解される画像を提示する能力を引き起こす。この情報は、現在可能であるよりも非常に高い物質の識別の程度を提供するために、そしてまた、合成画像の範囲内で別々の組成物の物体を別に識別することによって、この種の物体の分解性を改良するために、用いることができる。
【0062】
都合の良いことに、連続した画像は、各一連の画像から、および連続した画像の表示から、三次元キューの効果的な操作を生み出すように、監視制御下で(例えば、制御手段は、ユーザが、制御下で連続した画像の表示を、例えば画像ディスプレイ手段上の選択された速度でおよび/または進み、戻りの命令において、可能にするために提供されるという点で)表示される。例えば、これは、ユーザが、各画像間に人間の観察者のための滑らかな遷移を可能にするために、連続した画像を可変速度で表示すること、および/または進み、戻りの命令において画像を走らせること、を可能にする。本発明の方法によれば、連続した画像は、したがって、解釈を容易にするために、観察者の制御下で、カスタム定義可能なリフレッシュ速度および方向で表示される。
【0063】
本発明の装置は、静止状態に留まる試験下の物体を有していて、そして相対的移動を生み出すために検出器および線源を並進させる場合の適用に、特に適している。装置は、少なくとも検出器および線源、および、ロケーションの自然の位置で物体を走査するための携帯用手段においてコンパクトに共に結びつけられる、好ましくは他のコンポーネントを、都合良く含んでよい。
【0064】
本発明の装置および方法は、医学的/獣医学的は別にして、異常または損傷の診断または他の目的および観察のためであるにせよ、その内部オペレーションの観察を含む、さまざまな目的のためのヒトまたは動物の肉体の部分を走査することに特に適している。好適なケースは、線源/検出器装置が、損傷した肉体の部分の検査に特に適しているモバイル性のもの(例えば、損傷が発生した元の位置または事故現場で局地的にそれに対する)の場合である。
【0065】
好適なケースにおいて、方法は、診断または他の目的のためであるにせよ、ヒトまたは動物の肉体の一部からイメージングデータを得る方法を含み、そして、上述されたようにして物体としての肉体の一部を走査することを含む。特定の好適なケースにおいて、方法は、上述のように肉体をイメージングするステップ、および、例えば外傷性傷害の疾患の状態を識別するために画像を評価するさらなるステップを含む、ヒトまたは動物の肉体の疾患(例えば外傷性傷害)の診断方法を含む。これは、エネルギー選択分析が、構成についての情報を生成するために用いられる好適なケースにおいて、特に適用できる。装置は、この種の使用を容易にするのに都合良く適している。
【0066】
表示手段は、都合の良いことに単純な二次元の表示スクリーン(例えば、従来のビデオ表示スクリーン)である。そして、この用語は、いかなる陰極線管、プラズマディスプレイ、液晶ディスプレイ、液晶オンシリコンディスプレイ、発光ダイオードディスプレイ、または同様の技術を活用している、いかなる直接的ディスプレイまたはプロジェクションシステムも含むことを意図する。例えば、セキュリティまたは医学イメージング分野における既存のシステムに相当する標準的なディスプレイスクリーンを、方法が、それとともに使用するために想定することができること、および、本発明の装置が、それに組み込まれることは、特定の利点である。
【0067】
放射線源は、高エネルギー放射(例えば電離放射)、例えば高エネルギー電磁放射(例えばX線および/またはガンマ線)、または亜原子粒子放射、を分配するために、好ましくは線源を含む。そして、検出システムは、このスペクトルの放射を検出するためにそれに対応して構成される。放射線源は、例えば、広帯域線源(例えばエネルギーの広い範囲にわたる広いスペクトル放射を生成することができるブロードバンドのX線源またはガンマ線源)である。
【0068】
従来のライン走査装置からよく知られているように、線源は好ましくはカーテンビーム線源である。線源は、例えば適切なビームスプリッティング装置によって、適切な角度分離で横に間隔を置かれた一連のアレイにおける各線形検出器上に入射されるように整列配置されるカーテンビームのような、一連のビームを生成するのに適した単一の一次線源を含んでよい。これに代えて、一連のアレイにおける線形検出器上に入射するカーテンビームのようなビームを各々生成する、多数の線源が提供されてよい。線源は、上述の原理の両方を組み合わせた線源を含んでよい。
【0069】
横に間隔を置かれた一連の各線形検出器は、伝えられた放射の検出のための検出器である。例えば、各検出器は、伝えられた放射に応答して電気インパルスを発生するのに適していて、したがって、物体が走査範囲を通って移動させられるときに、それから画像が作られることができるデータの収集を可能にする。各検出器は、光電反応を都合良く呈して、そして、例えばフォトダイオードセルの線形アレイを含んでよい。
【図面の簡単な説明】
【0070】
本発明は、添付図面を参照してここに一例として記述される。
【図1】図1は、本発明の原理によって生成される単一の画像シリーズの表示である。
【図2】図2は、図1の原理により生成される多数の画像シリーズによって生み出される効果を示す。
【図3】図3は、修正されてない画像の歪みを示す。
【図4】図4は、画像アスペクト比の修正を有する画像処理およびディスプレイシステムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0071】
図1aを参照すると、適切なX線源1は、3つの線形アレイ検出器3a〜3cの方向における走査範囲を介して、X線を導くために用いられる。
【0072】
本実施形態において、線形アレイ検出器3a〜3cは、入射X線の分光器分解能が可能な材料を含み、そして、当業者が他の材料の選択が適切でよいと認識するにもかかわらず、具体例では、テルル化カドミウムを含む。このスペクトル分解を利用するために、X線源は、広いエネルギースペクトル全体のX線を発する。実施例において、タングステン源が使われる。但し、当業者はその他の材料が適切かもしれないと認識する。
【0073】
入射光線経路5a〜5cは、X線源1と、それぞれの検出器3a〜3cとの間の走査範囲を通して示される。
【0074】
線源1および検出器アレイ3a〜3cが取り付けられる適切な走査アーム(図示せず)は、物体が、走査範囲の光線経路5a〜5cを遮るように、線源および線形アレイを、走査される物体9に対して共に移動させる。本発明のこの実施形態の可能な用途は、セキュリティ走査装置としてである。そして、物体9は、組成的に特徴づけるために、そして三次元で事実上見るために、有用でかつ望ましいさまざまな異なった物体を収容すると予想される、コンテナであると概してみなされることができる。しかしながら、当業者は、同じ原理が、例えば、内部検査目的のための物体の走査に、医療的な走査に、そして同様の用途に、適用されることができると容易に認識する。
【0075】
図1bの画像a〜cは、3つの検出器3a〜3cの各々から伝えられる情報を積み上げることによって生成される。図1に示すように、これらは、左、中央、右としてそれぞれ識別される3つの概観を生成する。そして、それらは別々の光線経路(それぞれ5a〜5c)からの等価な画像を表わす。これらは、画像の単一のシーケンスを共に形成する。ジオメトリは、画像シーケンスを回転させる。そして、連続した画像表示は、それらの間の単眼の移動視差から得られる三次元キューを可能にする。
【0076】
図1は、単一の走査方向を示す。しかしながら、本発明は、各々に対してある角度で多数の走査方向を有する際に、明確に特徴づけられる。この効果は、図2に示される。そして、それは、すべてが共通の概念上の中心を通る4つの走査方向に対して生成される画像シーケンスの平面図の表現を示す。図示の例では、概念上の「南北」方向において生成される画像シーケンスは、ピッチを与える。概念上の「東西側」方向において生成される画像シーケンスは、ロールを与える。そして、中央軸線まわりの回転は、ヨーを与える。したがって、単眼の移動視差効果が、三次元すべての経時的な画像を動画化することによって、より分かりやすい情報を生成するために使用可能である場合に、画像は生成される。
【0077】
操作される画像が、点光源によって生成されるカーテンビームからの、一連の線形アレイ検出器から生成される、単なる未処理の画像ラジオグラフである場合、それらは、口径食の結果として、ある程度の歪みを受ける。上記したように、画像が走査方向において歪められないにもかかわらず、画像は、垂直方向の光線拡散の結果として、歪められる。多数の軸線に沿った多数の画像が生成される場合、この歪みは、多数の方向において見られる。この効果は、図3において図式的に示される。
【0078】
図3の方向xは、X線源と物体との間の相対的移動の方向である。画像は、平面15において生成される。画像歪みは、方向y’、y”において、中心点Oから距離の増加とともに増加する。
【0079】
したがって、本発明の原理によれば、各生成された画像は、画像アスペクト比を1:1に戻すために適切な修正に委ねられる。例えば、垂直な方向に適切な画像修正要因を適用することによって、走査方向における、そして真実と等価の垂直な方向における次元は、生成された画像において等しく維持される。
【0080】
画像は今では両方向において歪んでおらず、そして、単眼の移動視差の効果が三次元において完全に用いられるにつれて、別々の画像の相対的な理解は改良されるので、これはずっと強力な技術を作る。
【0081】
画像が操作されることができ、かつ表示されることができる適切な装置は、図4において図式的に表現される。
【0082】
図4を参照すると、線源1および一連の検出器3a〜3cを一定の関係において取り付ける走査モジュール2は、物体が走査範囲を通過させられるように、物体(図示せず)に対する線源および検出器の相対的移動を生じさせるために使用される。
【0083】
データは、3つの検出器アレイ3a〜3cから集められて、データ収集および処理装置21に伝えられる。そして、それは、データを収集して、照合して、各検出器から収集したデータの特徴を有する個々の画像を生成する。これらは、画像記憶レジスタ22に送られる。
【0084】
本発明によって想定されるように、画像の解釈の鍵は、画像が表示される方法にある。この実施例では、二次元のビデオ表示画面を含む単純なディスプレイ25が、提供される。画像は、画像レジスタ22からディスプレイ上に、連続的して順次に表示される。この連続した順次の表示の結果は、スクリーン25を見ている観察者が、連続した画像から、そして、それら間の単眼の移動視差によって、特定の三次元キューにおいて、情報を収集することが可能である。
【0085】
単一の軸線に沿って収集される一連の画像を単に見ることが望ましい場合、この種の単純な表示は十分でよい。各画像は、上で述べた歪みの問題を受けるが、しかし同じ意味で、これは、スクリーン25を見ている観察者が得ることが可能な情報を、有意に損なわないかもしれない。しかしながら、本発明によれば、連続した画像シーケンスは、各々に対してある角度で複数の軸線に沿って収集される。各々の連続したシリーズは、別の意味で規則的な歪みを有する。したがって、画像が十分に、そしてそれらの最大ポテンシャルで解釈される場合、各画像が、ビーム拡散に起因する歪みを排除するために第1に数値修正を受けることは好ましい。
【0086】
したがって、装置は、収集した画像データに適切な画像解析修正を適用する手段を備え、そして特に、アスペクト比(走査方向に垂直な見かけの長さに対する走査方向の見かけの長さの比率)が真実に密接に相関するレジスタ22における記憶のための画像データセットを生成するために、好ましくは、走査方向に対して垂直な方向の画像データにスケーリング因子を適用する手段を備える、画像解析モジュール23をさらに含む。これは、別々の走査方向における画像間の相対的な歪みを実質的に取り除いて、スクリーン25を見ている観察者が、多数の方向における連続した画像から情報をよりよく解釈できることを意味する。
【0087】
データ収集および処理装置21は、例えば適切な処理ソフトウェアの形態で、直接像モジュールおよび中間画像モジュール(別に識別されない)を任意に含む。直接像モジュールは、3つの検出器アレイ3a〜3cの各々での入射情報データセットを表現する画像データセットを生成する。中間画像モジュールは、検出器アレイ3a〜3cの各隣接するペアの入射情報データセットの数値処理に基づいて、仮想の画像データセットを生成する。例示の実施形態において、中間画像生成器は、検出器の複数のまたは各隣接するペアの出力を処理して、そして2つの前記検出出力間に遷移を表す画像を生成することによって、各隣接するペアにより生成される直接像間に段階的な遷移を示す、各隣接するペアから2つ以上の中間画像を生成するように構成される。
【0088】
1つの可能な実施形態において、単一の中間画像は、各々の収集ペアごとに生成される。したがって、データレジスタ22は、順次表示されることができる5つの画像を保存する。第2の可能な実施形態において、2つの仮想的に間隔を置かれた中間画像は、各々の収集ペアごとに生成される。したがって、データレジスタ22は、順次表示されることができる少なくとも7つの画像を保存する。他の配列および中間画像プロトコルは、適用されてよい。
【0089】
もちろん、本発明の原理は、3つの線形検出器に限られず、各隣接するペアによって生成される1つまたは2つの中間画像に限られず、連続してさまざまな位置の物体を実質的に示す、3つ以上の任意の一連の画像、および特に、好ましくは6つ以上の(5つ以下の検出器から生成される特に7つ以上の)画像、にもあてはまる。
【0090】
さらに、検出器出力間に中間画像を生成するソフトウェアは、走査方向間に中間画像を生成することができる(例えば、図2に記載された位置NWの画像は、Nの画像とWの画像とから生成されることができる。また、NNWの画像は、NWの画像とNの画像とから生成されることができる)。これは、画像を回転させ、そして、別の走査方向を追う前に中心地点に戻る必要性を有する、走査方向のみ限定される操作よりむしろ、3つの自由度に関して滑らかに操作する能力を与える。原理は、それによる工学モデルがCADにおいて操作され、そして、物体を見ているオペレータが、物体の構造をより良く理解することを許容することと、類似として見られることができる。
【0091】
この補間を用いることは、例えば、図2に示す画像の外側の円の回りで、中間画像を生成する。最低3つの走査方向、および好ましくは少なくとも4つの走査方向を使用することは、画像間の遷移を滑らかにするためにこれらの方向間に生成される中間画像については、望ましいかもしれない。
【0092】
スクリーン25上の画像の順次的な表示は、制御手段27によってユーザの制御下にある。これは、ユーザが、データレジスタ22に保存される画像の連続物から動画のシーケンスを生成して、収集したデータから有意な三次元キューを得るために、画像の収集物を効果的に操作することを許容する。任意に、さらにこれを改良するために、制御手段27は、ユーザが走査方向を動的に操作することができるために、走査アームを制御する手段29を含む。
【0093】
図示の実施形態では、伝えられたX線を分光器的に分解することのできる検出器が、用いられる。この分解された分光情報は、画像における物体の材料識別を提供するためにその後処理されるデータの一部を形成する。
【0094】
例示の実施形態によれば、3つの線形アレイ検出器は、直列に図示される。検出器ペアも、それから単眼の移動視差を得ることのできる画像ペアを生成すること、および、実際のシステムにおいて、より多数の一連の検出器を有することが望ましいかもしれないこと、は理解される。3つの検出器は、例示目的によって提示される。それにもかかわらず、効果的に操作可能なおよび動画可能な画像シリーズは、特に、収集したデータから中間画像を生成するために、そして口径食効果を修正するために、適切なアルゴリズムがイメージングシステムの範囲内で用いられる場合に、比較的少数の一連の線形検出器から得られることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体の画像を生成して表示する装置であって:
放射線源および、入射する放射との間に走査範囲を定義するためにそれから間隔を置かれて、入射する放射を検出することができる少なくとも2つしかし好ましくは3つ以上の一連の線形検出器;
各々ある角度で少なくとも2つの直線方向に沿って連続した経路において、使用中に前記走査範囲と関連してかつそれを通って物体を移動させる手段;
各々の連続した経路にとっての、少なくとも、第1の線形検出器の出力から第1の画像、第2の線形検出器の出力から第2の画像、および第3の画像、を生成する画像生成装置;
走査方向に対して垂直な方向に拡散するビームに起因する歪みを減らすように、前記線形検出器の前記出力から収集した画像データを処理する画像処理装置;
少なくとも前記第1、第2、第3のような画像を連続して表示し、したがって前記画像間に単眼の移動視差を表示する、画像ディスプレイ;
を含む装置。
【請求項2】
前記画像処理装置は、走査方向に対して垂直な方向に拡散するビームに起因する歪みを補償するために、収集したデータに数値画像解析を適用する修正モジュールを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記画像処理装置は、走査方向に対して垂直な方向において収集したデータの位置に数値スケーリング因子を適用する修正モジュールを含む、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
物体と走査範囲との相対的移動を生じさせる移動手段を含む、請求項1または2に記載の装置。
【請求項5】
前記移動手段は、前記相対的移動を生み出すために、前記検出器および線源を静的物体に対して並進させる手段を含む、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記移動手段は、可動の走査範囲を生み出すために、線源および検出器を一定の空間関係に運び込む走査アームを含む、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
横に間隔を置かれて一連に並ぶ前記線形検出器は、ほぼ平行である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
横に間隔を置かれた少なくとも3つの一連の線形検出器は、連続した表示のための少なくとも3つの一連の画像を生成するために提供される、請求項1〜7のいずれか1項に記載の装置。
【請求項9】
線形検出器の少なくとも1つの隣接するペアの出力を処理して、2つの検出した出力間に中間の出力の画像表現を生成することによって、検出器の前記ペアから少なくとも1つの中間画像を生成するように構成される中間画像生成器をさらに含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載の装置。
【請求項10】
画像位置ごとに検出した出力を処理して、2つの検出した出力間に中間の出力の画像表現を生成することによって、第1および第2の経路方向でそれぞれ生成される画像位置の少なくとも1つのペアから、少なくとも1つの中間画像を生成するように構成される中間画像生成器をさらに含む、請求項1〜9のいずれか1項に記載の装置。
【請求項11】
横に間隔を置かれた一連の各線形検出器は、フォトダイオードセルの線形アレイを含む、請求項1〜10のいずれか1項に記載の装置。
【請求項12】
前記線形検出器の少なくともいくつかは、伝えられた放射について分光情報を生成することができる検出器を含み、前記検出器は、分光情報によって検索される線源スペクトルの少なくとも実質的な部分全体で、分光器的に多様な反応を呈する、請求項1〜11のいずれか1項に記載の装置。
【請求項13】
生成された画像における前記線源スペクトルの分光器分解能を表現するのに適した画像処理手段を含む、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記線形検出器は、それが、直接の物質特性として、そして、前記線源スペクトルの別々の部分に対する、直接の可変の電気的および例えば光電的応答として、本質的に呈するように選択される半導体物質から製造されるという点で、直接的な分光器反応を呈する、請求項12または13に記載の装置。
【請求項15】
前記半導体物質は、テルル化カドミウム、テルル化カドミウム亜鉛(CZT)、テルル化カドミウムマンガン(CMT)、ゲルマニウム、臭化ランタン、臭化トリウム、から選択される、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記半導体物質は、結晶Cd1−(a+b)MnZnTe、ここでa+b<1、aおよび/またはbはゼロでもよい、を含む、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
物体の画像を得る方法であって:
放射線源および、入射する放射との間に走査範囲を定義するためにそれから間隔を置かれて、入射する放射を検出することができる少なくとも2つしかし好ましくは3つ以上の一連の線形検出器を提供するステップ;
各々ある角度で少なくとも2つの直線方向に連続した経路において、前記走査範囲と関連してかつそれを通って物体を移動させるステップ;そしてこれにより、
各々の連続した経路にとっての、少なくとも第1の線形検出器の出力から第1の画像、少なくとも第2の線形検出器の出力から第2の画像、および少なくとも1つの第3の画像、を生成するステップ;
走査方向に対して垂直な方向に拡散するビームに起因する歪みを減らすように、各画像のための収集した画像データを処理するステップ;
少なくとも第1、第2、第3のような連続した画像を表示し、したがって前記画像間に単眼の移動視差を表示するステップ;
を含む方法。
【請求項18】
各画像のための収集した画像データを処理する前記ステップは、走査方向に対して垂直な方向に拡散するビームに起因する歪みを補償するために、収集したデータに数値画像解析を適用するステップを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記数値画像解析は、走査方向に対して垂直な方向において収集したデータの位置に数値スケーリング因子を適用するステップを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
相対的移動を生み出すために、静的物体に関連して一定の関係における前記検出器および線源を含む、請求項17〜19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
横に間隔を置かれた少なくとも3つの一連の線形検出器は、連続した表示のための少なくとも3つの一連の画像を生成するために提供される、請求項17〜20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
線形検出器の少なくとも1つの隣接するペアの出力を処理して、2つの検出した出力間に中間の出力の画像表現を生成することによって、検出器の前記ペアから少なくとも1つの中間画像を生成するステップ、をさらに含む、請求項17〜21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
画像位置ごとに検出した出力を処理して、2つの検出した出力間に中間の出力の画像表現を生成することによって、第1および第2の経路方向でそれぞれ生成される画像位置の少なくとも1つのペアから、少なくとも1つの中間画像を生成するステップ、をさらに含む、請求項17〜22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
多数の経路からの多数の画像は、組み合わされ、そして、物体が三次元においてその回りに見られる物体軸線の操作を可能にする方法で、連続して提示される、請求項17〜23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
線形検出器の少なくともいくつかによって生成される画像は、線源スペクトルの少なくとも実質的な部分全体で、分光器的に分解され、そして、この種の各線形検出器の出力から得られる分光器分解能は、表示される画像において表現される、請求項17〜24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
請求項17〜25のいずれか1項に記載の物体として、ヒトまたは動物の肉体の一部を走査するステップを含み、前記肉体の前記一部からイメージングデータを得る方法。
【請求項27】
請求項26に従う肉体のイメージングステップを含み、そして疾患状態(例えば外傷損傷)を識別するために画像を評価するさらなるステップを含む、ヒトまたは動物の肉体の疾患の診断方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2012−517587(P2012−517587A)
【公表日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−548779(P2011−548779)
【出願日】平成22年1月26日(2010.1.26)
【国際出願番号】PCT/GB2010/050108
【国際公開番号】WO2010/092368
【国際公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【出願人】(507282783)クロメック リミテッド (23)
【住所又は居所原語表記】NetPark Incubator, Thomas Wright Way, Sedgefield, County Durham TS21 3FD (GB)
【Fターム(参考)】