説明

物体検出装置および方法、ならびに物体検出装置を備えた車両

【課題】電磁波によってその物体を検出した時点におけるその物体の移動速度および移動方向を求める。
【解決手段】電磁波を送信し物体から反射される電磁波を異なる位置で受信するレーダヘッド201,202と、レーダヘッド201,202から出力される受信信号より少なくとも物体の相対速度および方位を求めるレーダ信号処理部311,312とを有する複数のレーダ装置と、その複数のレーダ装置によって求められる物体の相対速度および方位を用いて、その物体の移動ベクトルを算出する移動ベクトル検出部402とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーダ波を送信し対象物体から反射されるレーダ波を受信することによって物体の検出を行う物体検出技術およびこの物体検出技術を用いる乗用車等の車両に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、レーダ装置を使った自動車ITS(Intelligent Transportation Systems)として、障害物検知システムやACC(Adaptive Cruise Control) システムなどが開発されている。これらのシステムは、レーダ装置(電波レーダ装置またはレーザレーダ装置)により前方の物体との距離、物体の方位、および物体の相対速度を検出して、前方の車両との適正な車間距離を維持し、前方の物体との衝突可能性などを判定するものである。これらのシステムは当初、自動車専用道路での使用が前提とされていたが、現在は市街地道路における適用も検討されている。
【0003】
従来の車両用の障害物検知システムとしては、被検物体の距離情報と方位情報とから生成される2次元的な位置情報を記憶し、この検出履歴の情報から被検物体の移動軌跡、移動方向、移動速度を求め、これらの情報から接近の危険度を判定するシステムが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平4−270981号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般にレーダ装置において検出される相対速度は、物体の移動速度の成分のうち、被検物体とレーダ装置とを結ぶ軸上における速度成分のみであり、被検物体とレーダ装置とを結ぶ軸に直交する速度成分は観測できない。このため、レーダ装置では、対向車両や追従車両などレーダの観測軸とほぼ平行に移動する物体については、その移動速度をある程度の誤差範囲内で検出できるが、横断歩行者などのレーダの観測軸とほぼ垂直に移動する物体は、その移動速度を検出できないという問題点があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明による物体検出装置は、レーダ部を備えている。このレーダ部には、レーダ波を送信し対象物体から反射されたレーダ波を受信する送受信ユニットが複数個含まれており、これら送受信ユニットの観測領域が互いに重複するよう、複数の異なった位置に搭載してある。また、複数の送受信ユニットに含まれている各受信回路からそれぞれ出力される受信信号に基づいて、各送受信ユニットに対する前記対象物体の相対速度を検出する相対速度検出手段を備えている。
【0006】
さらに、送受信ユニットのそれぞれの搭載位置を基準として前記対象物体の方位を検出する方位検出手段を備えている。移動ベクトル算出手段は、相対速度検出手段により検出された各相対速度と方位検出手段により検出された各方位情報とを用いて、前記対象物体の移動ベクトルを算出する。
【0007】
本発明による物体検出方法は、(1)複数の位置からレーダ波を送信し、対象物体から反射される各レーダ波を受信して得られる受信信号を用いて対象物体の相対速度を求めるステップと、(2)異なる2箇所に配置したレーダ装置の各位置を基準位置として対象物体の方位を求めるステップと、(3)対象物体の相対速度および方位を用いて、対象物体の移動ベクトルを算出するステップとを有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、レーダ波によってその物体を検出した時点におけるその物体の移動ベクトル情報(移動方向および移動速度の情報)を算出することができるため、横断歩行者などのレーダの観測軸とほぼ垂直に移動する物体についても、その移動速度を検出できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
[第1の実施形態]
図1〜図9を参照して本発明の第1の実施形態について説明する。本実施形態は、乗用車等の車両に搭載された物体検出装置に本発明を適用したものである。
図1は、本実施形態に係る物体検出装置100の構成を示すブロック図であり、図1に示すように、物体検出装置100は、レーダヘッド201,202よりなるレーダヘッド部と、レーダ信号処理部311,312よりなるレーダ信号処理部と、物体認識部400とを有している。また、物体検出装置100には、物体認識部400で得られた情報に基づいて車両の走行状態等の制御を行う車両制御装置500が接続されている。
【0010】
第1のレーダヘッド201および第1のレーダ信号処理部311から、物体までの距離、物体の相対速度、および物体の方位の情報を計測する第1のレーダ装置が構成され、第2のレーダヘッド202および第2のレーダ信号処理部312から、物体までの距離、物体の相対速度、および物体の方位の情報を計測する第2のレーダ装置が構成されている。その第1および第2のレーダ装置は異なる周波数帯域の電波を使用している。
【0011】
レーダヘッド201,202は、それぞれ車両の前方空間に電磁波の送信信号1,2を送信する送信部1と、前方の物体で反射された電磁波よりなる受信信号1,2,3,4(反射信号)を受信する2つの受信部2a,2bとを有する。レーダヘッド201,202は、三角波(または鋸歯状波等でもよい)で周波数変調された送信信号を用いるFM−CW方式(Frequency Modlated-Continuous Wave Method)(周波数変調連続波レーダ方式)のレーダヘッドである。距離計測方法としては、三角波で周波数変調した送信信号を用いて、計時時間に応じて周波数上昇変調と周波数下降変調とを行い、周波数上昇変調時の送信信号と受信信号との周波数差と、周波数下降変調時の送信信号と受信信号との周波数差の平均値から距離を算出する。さらに、その差分値から相対速度を計測する。
【0012】
図2(a)に示すように、レーダヘッド201,202は本実施形態の車両MBに対して車幅方向に所定間隔で配置され、車両MBの前方互いに重なるように設定されている観測領域内の移動ベクトルV0 を持つ反射物体(対象物体)600に送信信号を送る。レーダヘッド201,202は、一例として図2(b)に示すように、車両MBのフロントバンパーFBの近傍にほぼ対称に設置されている。
【0013】
図1に戻り、第1のレーダヘッド201の送信部1は、電圧制御発振器であるVCO(Voltage Controlled Oscillator)13と、電力分配器12と、送信アンテナ11とを有している。VCO13は、レーダ信号処理部311の三角波発生部301から送られてきた三角波信号(変調信号1)に応じて周波数変調した送信信号を生成する。電力分配器12は、VCO13で生成した送信信号を所定の電力比で2つの信号に電力分配し、一方を送信信号1として送信アンテナ11から送信し、他方を2つの受信部2a,2bのミキサ回路22a,22bに入力するローカル信号とする。送信アンテナ11は送信信号1を前方空間に送信する。
【0014】
レーダヘッド201の2つの受信部2a,2bは、それぞれ受信アンテナ21a,21bと、ミキサ回路22a,22bと、増幅回路23a,23bとを有する。受信アンテナ21a,21bは、送信アンテナ11から送出された送信信号が前方の物体で反射して戻ってきた受信信号1,2(反射信号)を受信する。ミキサ回路22a,22bは、電力分配器12で分岐された送信信号1の一部と受信信号1,2とをミキシングして送信信号周波数と受信信号周波数との差分周波数のIF(Intermediate Frequency)信号1,2を生成する。増幅回路23a,23bは、ミキサ回路22a,22bで生成されたIF信号1,2を増幅してレーダ信号処理部311のFFT(高速フーリエ変換)処理部302a,302bへ出力する。
【0015】
図3にFM−CW方式のレーダヘッド201における送受信信号例を示す。図3(a)〜(d)の横軸は時間t、図3(a)の縦軸は信号強度、図3(b)〜(d)の縦軸は周波数fである。まず、図3(a)の三角波変調信号(図1の三角波発生部301から出力される)に応じて、図3(b)に示すように送信信号が周波数変調される。前方の物体からの反射信号(受信信号)の周波数は、図3(c)に示すように、点線の送信信号と比して空間伝搬分だけ時間遅延して観測される。図1のミキサ回路22a,22bから出力されるIF信号の周波数は、図3(d)に示されるように、三角波の周波数上昇区間と周波数下降区間とで異なる周波数f1,f2を示す。この2つの周波数f1,f2の平均値が空間伝搬遅延時間に比例することから物体までの距離が算出できる。また、周波数差Δf(=f2−f1)がドップラ周波数に比例することから物体の相対速度を算出することができる。
【0016】
図1に戻り、レーダヘッド201に方位検出機能を備える場合、送受信アンテナを1次元的に機械的に走査する機械式スキャン方式、受信系を2つ設けて各々で受信する反射信号の強度差から方位を算出するモノパルス方式、または2つの反射信号の位相差から方位を算出する位相差方式などがある。本実施形態では、モノパルス方式を用いた方法について、被検物体を反射物体として説明する。
【0017】
レーダヘッド201の送信部1の送信アンテナ11のアンテナゲインを受信部2a,2bの受信アンテナ21a,21bのアンテナゲインの2分の1とし、受信アンテナ21a,21bの半値角で重なるように受信方位を異ならせている。一例として、図4に示すように、受信アンテナ21a,21bの半値幅が30度である場合には、受信アンテナ21a,21bの受信感度方向を各々+15度、−15度とし、送信アンテナ11は半値幅60度、送信方位0度とする。なお、図4の横軸は、受信アンテナ21a,21bに対する反射物体の方位(ここでは、車両の前方方向に対して路面に平行な方向に沿ってなす角度)θ(deg) である。
【0018】
図1の送信部1から送信された送信信号1は、前方の反射物体から反射されて受信部2a,2bで受信される。ここで受信アンテナ21aおよび21bで観測される反射信号を受信信号1および2とし、受信信号1の信号強度をA1、受信信号2の受信強度をA2とすると、信号強度A1およびA2(感度)は図4の曲線R+ およびR- で表される。また、次式から信号強度の規格化された差分ΔAを算出し、図4の感度差/感度和を示す規格化された曲線RA(=(R+ −R-)/(R+ +R-))と比較することで、反射物体の方位θを求めることができる。
【0019】
ΔA=(A1−A2)/(A1+A2)
図1の第2のレーダヘッド202についても、レーダヘッド201と同様に送信部1から送信信号2を出力し、受信部2a,2bで受信信号3,4を受信し、これらの受信信号3,4を処理して得られるIF信号3,4を第2のレーダ信号処理部312のFFT処理部302a,302bに出力する。
【0020】
第1のレーダ信号処理部311は、三角波発生部301と、レーダヘッド201から供給されるIF信号1,2の周波数解析を行うFFT処理部302a,302bと、IF信号1,2の周波数平均値、周波数差、およびIF信号1,2の規格化された強度差(=強度差/強度和)から、反射物体までの距離、相対速度、および方位を算出する物体情報検出部303とを有する。
【0021】
同様に、第2のレーダ信号処理部311は、三角波発生部301と、FFT処理部302a,302bと、物体情報検出部303とを有し、レーダヘッド202から出力されるIF信号3,4を用いて、反射物体までの距離、相対速度、および方位を算出する。
物体認識部400は、レーダ信号処理部311および312から出力された反射物体の距離情報および方位情報を用いて反射物体の同定を行う検出物体同定判定部401と、レーダ信号処理部311および312から出力された反射物体の相対速度(これをV2,V1とする)および方位(これをθ2,θ1とする)を用いて反射物体の移動ベクトルを算出する移動ベクトル検出部402と、反射物体との衝突危険性を判定する衝突危険性判定部403とを有する。特に限定されてないが、本実施形態の物体認識部400は、記憶手段を有することが好ましい。
【0022】
以下、物体認識部400の各部の動作について説明する。検出物体同定判定部401は、2台のレーダ装置のレーダ信号処理部311,312で検出された反射物体の距離情報および方位情報から反射物体の2次元的な位置情報を検出し、検出結果を車両制御装置500に出力するとともに、2台のレーダ装置で観測される反射物体の情報を抽出して移動ベクトル検出部402に出力する。移動ベクトル検出部402では、検出物体同定判定部401で2台のレーダ装置(本実施形態では2台のレーダ装置を用いているが、2台以上であることが好ましい。)で検出されていると判定された反射物体の相対速度V1,V2と方位θ1,θ2とを下記の式(1)および式(2)に代入して、例えば図6に示す反射物体600の相対移動方向θref および相対移動速度Vref を算出する。
【0023】
【数1】


図1の衝突危険性判定部403では、検出物体同定判定部401で検出された反射物体の2次元的な位置情報と、移動ベクトル検出部402で検出された反射物体の移動ベクトルと、自車両寸法とをパラメータとして、その反射物体と自車両との衝突の危険度を判定し、衝突危険度を車両制御装置500に出力する。
【0024】
以下、移動ベクトル検出演算について説明する。まず、自車両の速度が0である場合について説明する。図5に示すように、移動ベクトルV0 (移動速度|V0 |、移動方向θ0 )を持つ反射物体600について、異なる位置に搭載された2つのレーダヘッド201,202で計測した場合、2つのレーダヘッド202,201で計測された相対速度V1,V2は、各々検出された方位(θ1,θ2)の速度成分のみで、その方位に直交する速度成分V1P,V2Pは不明である。検出された方位(θ1,θ2)の情報から、図6に示すように、検出された方位と直交する直線(図6中の方位θ1P,θ2Pで表される直線)上に移動ベクトルV0 が存在することが推定され、その2つの直線の交点の位置が反射物体600の移動ベクトルV0 の終点を示すことがわかる。反射物体600の位置(方位θ1,θ2で表される2直線の交点)から、方位θ1P,θ2Pで表される2直線の交点までの方位(相対移動方向θref)と絶対値(相対移動速度Vref の絶対値)とを算出するのが、上記式(1)、式(2)である。
【0025】
一方、図7は、自車両が速度Vm で直進している場合を示し、図7において、自車両が速度Vm で直進するため、相対的に反射物体600の移動速度に速度Vm が重畳する形で観測される。速度Vm の方位θ1,θ2方向の速度成分をVm1,Vm2として、速度成分Vm1,Vm2は、レーダヘッド202,201で計測される反射物体600の相対速度V1,V2に重畳して検出されている。この場合にも、図6と同様に、検出された方位と直交する2直線(図7中の方位θ1P,θ2Pで表される直線)の交点を求めることで、相対的な移動ベクトルVref を求めることができる。この移動ベクトルVref で反射物体600が相対的に移動することがわかり、自車両幅などのパラメータから自車両との衝突の可能性を判定できる。図7の例では、移動ベクトルVref の方向は、レーダヘッド201,202の幅(ほぼ自車両の幅に等しい)から大きく外れているため、衝突の危険度は低いと判定できる。
【0026】
図8は、自車両が速度Vm 、移動方向θm (これを移動ベクトルVm で表す)で移動している場合を示し、図8の場合にも、図7と同様に、相対速度V1,V2に自車両の移動ベクトルVmの成分Vm1,Vm2が重畳して検出される。図8の場合には、算出された移動ベクトルVref の方向は、自車方向を向いていることから(すなわち、レーダヘッド201,202の幅の範囲内に入っていることから)、衝突の危険度は高いと判定できる。
【0027】
次に、図9のフローチャートを参照して、本実施形態の図1の物体検出装置100の物体検出動作の一例につき説明する。動作を開始すると、図9のステップS1にて、図1のレーダヘッド201,202(図9ではレーダ201,202として表されている)で測距動作を開始し、レーダ信号処理部311,312において反射物体までの距離、相対速度、および方位を計測し、物体認識部400に出力する。次のステップS2では、検出物体同定判定部401にて、レーダヘッド201,202で検出された物体の距離情報および方位情報から同一物体が重複して観測されているか否かを判定し、同一物体が重複して観測されている場合は、ステップS3に進み、重複して観測されていない場合は、ステップS7に進む。
【0028】
なお、レーダヘッド201,202では、例えば図5に示すように、それぞれ反射物体600までの距離および方位θ2,θ1が検出でき、それによって反射物体600の車両の幅方向および進行方向の位置(2次元的な位置)が特定できる。したがって、レーダヘッド201,202で観測される物体の2次元的な位置が所定の許容幅で合致する場合には、その物体は同一物体であると判定できる。
【0029】
図9のステップS3では、図1の移動ベクトル検出部402において、重複して観測されている物体の相対速度情報と方位情報とから、その物体の相対的な移動ベクトルを算出し、衝突危険性判定部403に出力する。次のステップS4において、衝突危険性判定部403は、物体の移動ベクトル情報と車両寸法情報とから衝突危険度の算出を行い、次のステップS5で衝突危険度が高いと判定された場合は、ステップS6に進み、衝突危険フラグの付いた検出物体情報を車両制御装置500(車両CPU)に出力して終了する。また、ステップS5において、衝突危険度が低いと判定された場合は、ステップS7に進み、衝突危険性判定部403は検出物体情報のみを車両制御装置500に出力して終了する。
【0030】
なお、例えば図7において、相対的な移動ベクトルVref ではなく、反射物体600の絶対的な移動ベクトルV0 (移動速度|V0 |、移動方向θ0 )を算出することも可能である。この場合には、自車両の移動速度Vm 、移動方向θm (例えば自車両の操舵角およびヨーレートから求めることができる)と、レーダヘッド202,201で計測される相対速度V1,V2および方位θ1,θ2とを用いて、移動ベクトル検出部402では、次の式(3)、式(4)から絶対的な移動ベクトルV0 (移動速度|V0 |、移動方向θ0 )を算出できる。
【0031】
【数2】


本実施形態の物体検出装置100によれば、以下の作用効果を有する。
(1)物体検出装置100は、それぞれ電磁波(レーダ波)を送信し物体から反射される電磁波を異なる位置で受信するレーダヘッド201,202と、レーダヘッド201,202から出力される受信信号より少なくともその物体の相対速度V2,V1を求めるレーダ信号処理部311,312と、異なる2箇所の位置(図5のレーダヘッド201,202の位置)に対するその物体の方位θ2,θ1を求めるレーダ信号処理部311,312と、その物体の相対速度V2,V1、およびその物体の方位θ2,θ1の情報を用いて、その物体の移動ベクトルVref を算出する移動ベクトル検出部402とを備えている。
【0032】
したがって、2つのレーダ装置により得られた物体の相対速度情報およびそれらのレーダ装置により得られた物体の方位情報から、その物体のこれまでの検出履歴を用いることなく、かつ電磁波によってその物体を検出した時点におけるその物体の移動ベクトル(移動方向および移動速度)の情報が算出される。その移動ベクトルの情報を用いることによって、歩行者の飛び出しなど検出履歴を使った場合に危険判断に遅れが発生するような場面においても、時間遅れの無い危険度の判定が可能になり、被検物体の急な移動方向の変更などにも対応することができるようなり、迅速で正確な危険度の判定が行えるようになる。
【0033】
また、通常レーダ装置において不得手である横方向に移動する物体の移動ベクトルが計測できるようになり、市街地など様々な移動物体が存在する場面においても、安定した障害物回避動作を行うことができるようになる。
(2)本実施形態では、例えば車両に対する搭載位置の異なる2台のレーダ装置により得られた物体までの距離情報および方位情報を用いて、2台のレーダ装置によって同一物体が重複して観測されていると判定される場合にのみ(図9のステップS2〜S3)、移動ベクトル検出部402による移動ベクトル情報の算出を行っている。これによって、2台のレーダ装置によって異なる物体を検出している場合に、誤って1つの物体と誤認して移動ベクトルを算出することを防止できる。
【0034】
(3)移動ベクトル検出部402よって算出された物体の移動ベクトル情報と、物体検出装置100が搭載されている車両(構造体)の寸法等の形状情報とを用いて、その物体と車両との衝突危険度を判定する衝突危険性判定部403をさらに備えている。したがって、その物体の検出履歴等を用いることなく、その物体と自車両との衝突危険度の判定を行うことができ、この判定結果に基づいて迅速に回避動作等を行うことができる。
【0035】
(4)図1の2台のレーダ装置(201,311および202,312)は、それぞれ物体までの距離情報、相対速度情報、および方位情報を求めることができる。したがって、2台のレーダ装置を用いるのみの簡単な構成で、別途方位計測用の装置を設けることなく、物体の移動ベクトルを求めることができる。
(5)本実施形態の2台のレーダ装置は、互いに異なる周波数帯域の電磁波を使用している。したがって、互いの信号が干渉することで発生する誤検出を防止することができ、安定した物体観測および移動ベクトルの算出が行えるようになる。また、複数のレーダ装置が使用する周波数帯域を異ならせることで、1回の計測で移動ベクトルを算出することができ、迅速で正確な物体との衝突危険度の判定が行えるようになる。
【0036】
(6)本実施形態の車両は、物体検出装置100を備えており、移動ベクトル検出部402は、自車両の移動速度および移動方向(例えば自車両の操舵角およびヨーレートから求めることができる)から自車両の移動ベクトルを算出し、この自車両の移動ベクトルの情報を用いて、物体の絶対移動ベクトルを算出できる。
これによって、自車両の移動状態に関係なく、被検物体の実際の移動速度および移動方向を求めることができ、この情報を衝突回避等に利用できる。
【0037】
[第2の実施形態]
図10〜図14を参照して本発明の第2の実施形態につき説明する。図10において図1に対応する部分には同一符号を付してその詳細な説明を省略する。
図10は、本実施形態の物体検出装置100Aのブロック図を示し、この図10において、物体検出装置100Aは、中央に距離検出機能と相対速度検出機能と方位検出機能とを有するレーダヘッド201を配置し、左右両側には距離検出機能と相対速度検出機能とを有するレーダヘッド210,211を配置した点が、第1の実施形態の物体検出装置100と異なっている。すなわち、物体検出装置100Aは、第1の実施形態においても使用されていたレーダヘッド201およびレーダ信号処理部311よりなる第1のレーダ装置と、レーダヘッド210,211およびレーダ信号処理部320,321よりなる第2および第3のレーダ装置とを含む複数のレーダ装置を備えている。以下では、第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0038】
図11に示すように、第1のレーダ装置のレーダヘッド201が車両MBの前部中央に設置され、それを車幅方向に挟むように第2および第3のレーダ装置のレーダヘッド210,211が設置され、レーダヘッド201,210,211から車両前方の重複する観測領域内の反射物体600に互いに異なる周波数帯域の電波よりなる送信信号が出力される。
【0039】
図10に戻り、中央のレーダヘッド201はレーダ信号処理部311からの変調信号3を受けて送信信号3を出力し、物体からの受信信号3,4を受信して、IF信号3,4をレーダ信号処理部311に供給し、レーダ信号処理部311では物体までの距離、相対速度、方位を求める。一方、レーダヘッド201を挟む左右のレーダヘッド210,211は、レーダヘッド201と比べて、送信部1および1つの受信部2a(受信アンテナ21、ミキサ回路22、および増幅器23から構成されている)を持つのみであるため、構成は単純であるが、方位計測機能はない。すなわち、レーダヘッド210,211は、レーダ信号処理部320,321からの変調信号1,2を受けて送信信号1,2を出力し、物体からの受信信号1,2を受信して、IF信号1,2をレーダ信号処理部320,321内のFFT処理部302に供給し、レーダ信号処理部320,321の物体情報検出部303Aでは物体までの距離および相対速度を求める。
【0040】
物体認識部400の検出物体同定判定部401では、中央のレーダヘッド201で計測された物体の距離と方位の情報を用いて、左右のレーダヘッド210および211で距離が計測された物体が同一であるか否かを判定する。同一であると判定された場合に、移動ベクトル検出部402の第1計算部(図示せず)では、下記の式(5)、式(6)を用いて、図12に示すように、中央のレーダヘッド201で計測された物体までの距離Rc と方位θc とから、左右のレーダヘッド211,210に対する物体の方位θ1,θ2(第1の実施例で説明した図5参照)を求める。ここで、Lは左右のレーダヘッド210,211の設置間隔である。
【0041】
【数3】


なお、同一物体であると判定された場合には、移動ベクトル検出部402の第1計算部(図示せず)では、図13に示すように、レーダヘッド211,210で検出された反射物体600までの距離R1,R2から、下記の式(7)、式(8)を用いて、左右のレーダヘッド211,210に対する物体の方位θ1,θ2(第1の実施形態で説明した図5参照)を算出することも可能である。
【0042】
【数4】


その後は、第1の実施形態と同様に、移動ベクトル検出部402の第2計算部(図示せず)では、図10の左右のレーダヘッド211,210によって計測される物体の相対速度V1,V2、および上記の式(5)、(6)または式(7)、(8)によって計算される方位θ1,θ2を用いて、物体の移動ベクトルを検出し、この検出結果に基づいて衝突危険性判定部403が衝突危険度の判定を行う。
【0043】
次に、図14のフローチャートを参照して、本実施形態の物体検出装置100Aの物体検出動作の一例につき説明する。図14において、第1の実施形態の図9と同じステップには同じ符号を付してその説明を省略する。動作を開始すると、図14のステップS11にて図10のレーダヘッド210,201,211で測距動作を開始し、レーダ信号処理部311において反射物体までの距離、相対速度、および方位を計測し、レーダ信号処理部320,321において反射物体までの距離および相対速度を計測し、物体認識部400に出力する。次のステップS12では、検出物体同定判定部401にてレーダヘッド210,211で検出された物体の距離と、レーダヘッド201で検出された物体の距離および方位とから、レーダヘッド210,211によって同一物体が重複して観測されているか否かを判定し、同一物体が重複して観測されている場合は、ステップS13に進み、重複して観測されていない場合は、ステップS7に進む。
【0044】
ステップS13では、図10の移動ベクトル検出部402において、レーダヘッド201で計測された物体の距離と方位から、レーダヘッド210,211で検出された物体の方位を演算する。次のステップS14では、ステップS13で演算された方位とレーダ部210,211から出力される物体の相対速度とから、式(1)、式(2)を用いて物体の相対的な移動ベクトルを算出し、衝突危険性判定部403に出力して、ステップS4に進む。ステップS4以降では、第1の実施形態と同様に、物体の移動ベクトルおよび車両寸法の情報から衝突危険度を算出し、衝突危険度が高いと判断された場合は、衝突危険度フラグの付いた検出物体情報を車両制御装置500(車両CPU)に出力する。
【0045】
一方、ステップS12で検出された物体が同一でない場合には、ステップS7に進んで物体の移動ベクトルの算出は行わない。
本実施形態の物体検出装置100Aによれば、物体までの距離、物体の相対速度、および物体の方位を求めるレーダヘッド201を持つ第1のレーダ装置と、そのレーダヘッド201を挟むように対称に配置されたレーダヘッド210,211を有し、それぞれ少なくとも物体の相対速度を求める第2および第3のレーダ装置とからなる3台の電波レーダ装置を備え、移動ベクトル検出部402の第1の計算部(図示せず:方位情報を取得する)は、その第1のレーダ装置によって求められる物体の方位を、そのレーダヘッド210,211に対する物体の方位に変換している。
【0046】
したがって、方位計測機能を持つ1台のレーダ装置と、少なくとも相対速度を計測できる2台のレーダ装置とを用いるのみの比較的簡単な構成で、物体の検出履歴を用いることなく、その物体の移動ベクトルを求めることができる。
また、レーダヘッド210,211で検出される物体までの距離と、レーダヘッド201で計測される物体の方位とからレーダヘッド210,211で検出される物体が同一である場合にのみ(図9のステップS12,S13)、物体の移動ベクトルを求めている。したがって、異なる物体の計測データに基づいて誤った移動ベクトルを求めることがない。
【0047】
[第3の実施形態]
図15を参照して本発明の第3の実施形態につき説明する。図15において図1および図10に対応する部分には同一符号を付してその詳細な説明を省略する。
図15は、本実施形態の物体検出装置100Bのブロック図を示し、この図15において、物体検出装置100Bは、レーダヘッド210,211,212およびレーダ信号処理部320,321,322よりなり、物体までの距離と相対速度とを計測する3台のレーダ装置を備えている。これら3台のレーダ装置は異なる周波数帯域の電波を使用する。一例として、車両前部の中央にレーダヘッド211が配置され、これを左右に挟むようにレーダヘッド210,212が配置されているものとする。
【0048】
この場合、レーダヘッド210,212,211はレーダ信号処理部320,322,321からの変調信号1,2,3を受けて送信信号1,2,3を出力し、物体からの受信信号1,2,3を受信して、IF信号1,2,3をレーダ信号処理部320,322,321のFFT処理部302に供給し、物体情報検出部303Aでは、物体までの距離および物体の相対速度を求め、検出結果を物体認識部400に出力する。
【0049】
物体認識部400内の検出物体同定判定部401では、3つのレーダヘッド210,211,212から得られる距離情報から、左右のレーダヘッド210,212で検出されている物体が同一物体であるか否かを判定する。その物体が同一物体である場合には、移動ベクトル検出部402の第1計算部(図示せず)において、左右のレーダヘッド210,212から出力される物体までの距離R2,R1を式(7)、式(8)に代入し(第2の実施形態について説明した図13参照)、レーダヘッド212,210に対するその物体の方位θ1,θ2を計算する。次に、移動ベクトル検出部402の第2計算部(図示せず)において、その方位θ1,θ2およびレーダヘッド212,210で計測される相対速度V1,V2を式(1)、式(2)に代入することで、物体の移動ベクトルが算出できる。
【0050】
本実施形態の物体検出装置100Bによれば、それぞれ物体の距離情報および相対速度情報を求める少なくとも3台のレーダヘッド210,211,212を有するレーダ装置を備え、移動ベクトル検出部402の第1計算部(図示せず:方位情報を取得する)は、左右の2台のレーザ装置で求められる物体までの距離情報とこれら2台のレーザ装置の間隔(搭載位置情報)とからその物体の方位を求めている。
【0051】
したがって、特に方位計測機能を有するレーダ装置を用いることなく、比較的簡単な装置構成で物体の移動ベクトルを求めることができる。
また、本実施形態においても、3台のレーダ装置で検出された距離情報から左右のレーダ装置で検出された物体が同一物体であると判定された場合にのみ、その物体の移動ベクトル算出を行っているため、移動ベクトルの誤計算が防止できる。
【0052】
物体検出装置に使用するレーダ装置としては、電波レーダの他に赤外光等を用いるレーザレーダも使用できる。また、レーダ方式としては、FM−CW方式の他に、短時間のパルス信号を送信し、物体に反射して戻ってきたパルス信号を受信するまでの時間を測定して距離を算出するパルス方式や、振幅変調された連続波を送信し、受信信号の周波数変位や位相変位により反射物体までの距離を算出する方式等も使用できる。
【0053】
本発明の物体検出装置は、車両のみならず、船舶、航空機等にも適用できるとともに、建物に備えられる監視装置等としても適用できる。
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【0054】
特許請求の範囲の構成要素と上述の実施形態の構成要素との対応関係は次の通りである。すなわち、送受信ユニットはレーダヘッド201,202に、相対速度検出手段は物体情報検出部303に、方位検出手段は物体情報検出部303に、移動ベクトル算出手段は移動ベクトル検出部402にそれぞれ対応する。
【0055】
以上の説明はあくまで一例であり、発明を解釈する際、上記の実施形態の記載事項と特許請求の範囲の記載事項との対応関係になんら限定も拘束もされない。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の第1の実施形態の物体検出装置の構成を示すブロック図である。
【図2】(a)は図1のレーダヘッド201,202の位置関係を示す図、(b)は図1の物体検出装置を備えた車両を示す斜視図である。
【図3】FM−CW方式のレーダ装置の変調信号、送信信号、反射信号、およびIF信号の一例を示す図である。
【図4】モノパルス方式における2つの受信アンテナの感度曲線と、2つの信号の強度差を強度和で割って得られる方位検出用の曲線とを示す図である。
【図5】第1の実施形態において2つのレーダヘッドで観測される物体の相対速度と移動ベクトルとを示す図である。
【図6】第1の実施形態において2つのレーダヘッドで観測された物体の相対速度および方位から物体の移動ベクトルを算出する原理を説明するための図である。
【図7】第1の実施形態において自車両が速度Vm で直進する場合に物体の移動ベクトルを算出する原理を説明するための図である。
【図8】第1の実施形態において自車両が速度Vm で方向θm に進む場合に物体の移動ベクトルを算出する原理を説明するための図である。
【図9】第1の実施形態における物体検出装置の物体検出動作の一例を示すフローチャートである。
【図10】本発明の第2の実施形態の物体検出装置の構成を示すブロック図である。
【図11】第2の実施形態の車両に対する3台のレーダヘッドの搭載位置と観測範囲とを示す図である。
【図12】第2の実施形態において、2台のレーダで観測された相対速度と、1台のレーダで観測された距離および方位とから物体の移動ベクトルを算出する原理を説明するための図である。
【図13】第2の実施形態において2台のレーダで観測された距離から物体の方位を算出する原理を説明するための図である。
【図14】第2の実施形態の物体検出装置による物体検出動作の一例を示すフローチャートである。
【図15】本発明の第3の実施形態の物体検出装置の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0057】
100,100A,100B 物体検出装置
201,202 レーダヘッド
210,211,212 レーダヘッド
11 送信アンテナ
12 電力分配器
21,21a,21b 受信アンテナ
22,22a,22b ミキサ回路
311,312 レーダ信号処理部
320,321,322 レーダ信号処理部
302,302a,302b FFT処理部
303,303A 物体情報検出部
400 物体認識部
401 検出物体同定判定部
402 移動ベクトル検出部
403 衝突危険性判定部
500 車両制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーダ波を送信し対象物体から反射されたレーダ波を受信する送受信ユニットを複数備え、該送受信ユニットの観測領域が互いに重複するよう複数の異なった位置に該複数の送受信ユニットを搭載したレーダ部と、
前記複数の送受信ユニットにそれぞれ含まれている各受信回路から出力される受信信号に基づいて、各送受信ユニットに対する前記対象物体の相対速度を検出する相対速度検出手段と、
前記送受信ユニットのそれぞれの搭載位置を基準位置として、前記対象物体の方位を検出する方位検出手段と、
前記相対速度検出手段により検出された相対速度と前記方位検出手段により検出された方位とを用いて、前記対象物体の移動ベクトルを算出する移動ベクトル算出手段と、
を備えることを特徴とする物体検出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の物体検出装置において、さらに加えて、
前記複数の送受信ユニットに含まれている各受信回路からそれぞれ出力される受信信号に基づいて、前記複数の送受信ユニットから前記対象物体までの距離を検出する距離検出手段を備え、
前記方位検出手段により検出された方位と前記距離検出手段により検出された距離とに基づいて同一対象物体が重複して観測されていると判定されたとき、前記移動ベクトル算出手段により前記移動ベクトルの算出を行うことを特徴とする物体検出装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の物体検出装置において、さらに加えて、
前記移動ベクトル算出手段により算出された前記対象物体の移動ベクトルと、前記距離検出手段により検出された距離と、前記レーダ部が搭載されている車両の形状情報とを用いて、前記対象物体との衝突危険度を判定する衝突判定手段を備えることを特徴とする物体検出装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の物体検出装置において、
前記レーダ部は、異なる2か所にそれぞれ配置した2台の送受信ユニットを有することを特徴とする物体検出装置。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の物体検出装置において、
前記レーダ部は、
前記対象物体までの距離、前記対象物体の相対速度、および前記対象物体の方位を検出するための第1の送受信ユニットと、
前記第1の送受信ユニットを挟む位置に配置されており、少なくとも前記対象物体の相対速度を検出する第2の送受信ユニットおよび第3の送受信ユニットを備え、
前記方位検出手段は、該第1の送受信ユニットを介して検出された距離および方位に基づいて、該第2の送受信ユニットおよび該第3の送受信ユニットを基準位置とした方位を算出することを特徴とする物体検出装置。
【請求項6】
レーダ波を送信し対象物体から反射されたレーダ波を受信する送受信ユニットを少なくとも3基備え、少なくとも2基の送受信ユニットの観測領域内に前記対象物体が観測されるよう該送受信ユニットを異なった位置に搭載したレーダ部と、
前記送受信ユニットに含まれている各受信回路からそれぞれ出力される受信信号に基づいて、各送受信ユニットに対する前記対象物体の相対速度を検出する相対速度検出手段と、
前記送受信ユニットに含まれている各受信回路からそれぞれ出力される受信信号に基づいて、前記送受信ユニットから前記対象物体までの各距離を検出する距離検出手段と、
前記相対速度検出手段により検出された相対速度と、前記距離検出手段により検出された距離と、前記レーダ部の搭載位置情報とを用いて、前記対象物体の移動ベクトルを算出する移動ベクトル算出手段と、
を備えることを特徴とする物体検出装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の物体検出装置において、
前記送受信ユニットは、互いに異なる周波数帯域の電磁波を使用することを特徴とする物体検出装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の物体検出装置を備えた車両において、
自車両の移動速度と、操舵角情報およびヨーレート情報とに基づいて自車両の移動ベクトル情報を算出し、該自車両の移動ベクトル情報を用いて、前記対象物体の絶対移動ベクトル情報を算出する手段を備えることを特徴とする車両。
【請求項9】
複数の位置からレーダ波を送信し、対象物体から反射される各レーダ波を受信して得られる受信信号を用いて前記対象物体の相対速度を求める工程と、
異なる2箇所に配置したレーダ装置の各位置を基準位置として前記対象物体の方位を求める工程と、
前記対象物体の相対速度および前記対象物体の方位を用いて、前記対象物体の移動ベクトルを算出する工程と、
を有することを特徴とする物体検出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2009−41981(P2009−41981A)
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−205324(P2007−205324)
【出願日】平成19年8月7日(2007.8.7)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】