説明

物体検査方法および物体検査装置

【課題】被検査物体の欠陥による共振周波数の変化が小さいときにも、被検査物体の欠陥を比較的容易に発見できるようにすること。
【解決手段】被検査物体の周波数スペクトルのスペクトル振幅から欠陥がないときの被検査物体の周波数スペクトルのスペクトル振幅を周波数毎に減算し、それらスペクトル振幅の減算結果を観測することで、被検査物体に欠陥が存在するか否かを判定するようにした。そのため、被検査物体に欠陥が存在し、被検査物体の共振周波数が正常品の共振周波数から変化すると、共振周波数においてスペクトル振幅間の差に大きな値が現れるため、当該差を観測し、大きな値を検出することで、被検査物体の欠陥を発見することができ、その結果、被検査物体の欠陥による共振周波数の変化が小さいときにも、被検査物体の欠陥を比較的容易に発見することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検査物体の欠陥の有無を判定する物体検査方法、および当該物体検査方法に好適な物体検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の技術としては、被検査物体に振動を与え、その振動に応じて被検査物体が発生する振動波を検出し、その振動波に基づいて被検査物体の共振周波数と欠陥のない正常品の共振周波数とのずれ量を観測することで、被検査対象物の欠陥の有無を検査する物体検査方法がある(例えば、特許文献1参照)。
このような物体検査方法にあっては、通常、共振周波数のずれ量は、被検査物体の振動波に基づいて算出される被検査物体の周波数スペクトルと、正常品の周波数スペクトルとを重ねて表示したグラフから読み取るようになっている。
【特許文献1】特開2003−307510号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来の技術にあっては、複数の部品から構成される組み立て品を被検査物体とする場合には、各部品の共振周波数が重なったり、拘束条件が変化したりすることで、被検査物体に欠陥が存在しても共振周波数が殆ど変化しないことがある。そして、共振周波数の変化量が小さくなることで、被検査物体の周波数スペクトルと正常品の周波数スペクトルとを重ねて表示したグラフから共振周波数のずれ量を読み取ることが困難となり、被検査物体の欠陥の有無を判定することが困難となる可能性がある。
本発明は、上記従来の技術に鑑みてなされたものであって、被検査物体の欠陥による共振周波数の変化が小さいときにも、被検査物体の欠陥の有無を比較的容易に検出可能な物体検査方法及び当該物体検査方法に好適な物体検査装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するために、請求項1に係る発明である物体検査方法にあっては、被検査物体に検査入力を加え、その検査入力によって前記被検査物体が発生する出力波を検出し、その出力波に基づいて前記被検査物体の周波数スペクトルを算出し、その周波数スペクトルのスペクトル振幅と欠陥がないときの前記被検査物体の周波数スペクトルのスペクトル振幅(つまり、欠陥がないときに得られることが予想される被検査物体の周波数スペクトルのスペクトル振幅)との差を周波数毎に算出し、それらスペクトル振幅の差を観測することで、前記被検査物体に欠陥が存在するか否かを判定することを特徴とする。
【0005】
また、請求項2に係る発明である物体検査方法にあっては、前記検査入力は、打撃であり、前記出力波は、前記打撃によって前記被検査物体が発生する音波または振動波であることを特徴とする。
一方、請求項3に係る発明である物体検査装置にあっては、検査入力を被検査物体に加える入力手段と、前記検査入力によって前記被検査物体が発生する出力波を検出する検出手段と、前記検出手段で検出された出力波に基づいて前記被検査物体の周波数スペクトルのスペクトル振幅と欠陥がないときの前記被検査物体の周波数スペクトルのスペクトル振幅(つまり、欠陥がないときに得られることが予想される被検査物体の周波数スペクトルのスペクトル振幅)との差を周波数毎に算出する算出手段と、前記振幅差算出手段で算出された差と周波数との関係を提示する提示手段と、を備えたことを特徴とする。
【0006】
また、請求項4に係る発明である物体検査装置にあっては、前記算出手段は、前記検出手段で検出された出力波に基づいて前記被検査物体の周波数スペクトルを算出するスペクトル算出手段と、前記スペクトル算出手段で算出された周波数スペクトルのスペクトル振幅と欠陥がないときの前記被検査物体の周波数スペクトルのスペクトル振幅との差を周波数毎に算出する振幅差算出手段と、を備えることを特徴とする。
さらに、請求項5に係る発明である物体検査装置にあっては、前記検査入力は、打撃であり、前記出力波は、前記打撃によって前記被検査物体が発生する音波または振動波であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
請求項1に係る発明である物体検査方法にあっては、被検査物体に欠陥が存在し、被検査物体の共振周波数が正常品の共振周波数から変化すると、共振周波数においてスペクトル振幅間の差に大きな値が現れるため、当該差を観測し、大きな値を検出することで、被検査物体の欠陥を発見することができ、被検査物体の欠陥による共振周波数の変化が小さいときにも、被検査物体の欠陥を比較的容易に発見できる。
また、請求項2に係る発明である物体検査方法にあっては、打撃によって被検査物体が発生する音波または振動波に基づいて被検査物体の周波数スペクトルを算出することで、被検査物体の周波数スペクトルを容易に算出できる。
【0008】
一方、請求項3に係る物体検査装置にあっては、被検査物体の周波数スペクトルのスペクトル振幅および欠陥がないときの被検査物体の周波数スペクトルのスペクトル振幅の差と周波数との関係を容易に得ることができ、提示される差を観測し、その大きな値を検出することで、被検査物体の欠陥を発見することができ、被検査物体の欠陥による共振周波数の変化が小さいときにも、被検査物体の欠陥を比較的容易に発見できる。
【0009】
また、請求項4に係る発明である物体検査方法にあっては、出力波に基づいて被検査物体の周波数スペクトルを算出し、その周波数スペクトルのスペクトル振幅から欠陥がないときの前記被検査物体の周波数スペクトルのスペクトル振幅を周波数毎に減算するようにしたため、それら周波数スペクトルの差を容易に算出できる。
さらに、請求項5に係る発明である物体検査装置にあっては、打撃によって被検査物体が発生する音波または振動波に基づいて被検査物体の周波数スペクトルを算出することで、被検査物体の周波数スペクトルを容易に算出できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を説明する。
<構成>
本実施形態の物体検査装置の構成を図面に基づいて説明する。
図1は、物体検査装置の概略構成を示す構成図である。
物体検査装置1は、打診法によって被検査物体の欠陥の有無を検査するためものであり、図1に示すように、打撃部2、集音部3およびコンピュータ4を備える。
打撃部2は、コンピュータ4から検査の開始指令が出力されると、ハンマヘッド5aが被検査物体に設定速度で衝突するように、被検査物体に向かってハンマ5を水平に振り出し、被検査物体に打撃を与えて音を発生させる。
集音部3は、ハンマヘッド5aの打撃によって被検査物体から発せられる音の音波を検出し、その検出結果を電気信号に変換してコンピュータ4に出力する。
コンピュータ4は、利用者によって検査の開始操作が行われると、検査の開始指令を打撃部2に出力する。
【0011】
また、コンピュータ4は、集音部3から出力される電気信号である時間領域信号を高速フーリエ変換によって周波数スペクトルに変換し、その周波数スペクトルのスペクトル振幅から欠陥がないときの被検査物体の周波数スペクトルのスペクトル振幅(つまり、欠陥がないときに得られることが予想される被検査物体の周波数スペクトルのスペクトル振幅)を周波数毎に減算する。そして、コンピュータ4は、後述する図8に示すように、横軸が周波数を表し且つ縦軸がスペクトル振幅の減算結果を表すグラフに、算出したスペクトル振幅の減算結果と対応する周波数との関係をプロットしたものをディスプレイ6に表示する。
【0012】
すなわち、現在の被検査物体の周波数スペクトルをそのまま表示するのではなく、欠陥がないときの被検査物体の周波数スペクトルのスペクトル振幅を基準として、現在の被検査物体の周波数スペクトルのスペクトル振幅それぞれを修正したものを表示するようにした。そして、被検査物体の共振周波数が欠陥のない共振周波数から変化すると、共振周波数においてスペクトル振幅の減算結果に大きな値が現れるようにし、共振周波数の変化が小さいときにも、被検査物体の欠陥を比較的容易に発見できる構成とした。
なお、欠陥がないときの被検査物体の周波数スペクトルとしては、目視、超音波探傷検査(UT)、浸透探傷検査(PT)等、他の詳細な検査方法によって損傷や変形等の欠陥が無く正常であると判定された被検査物体の見本品の周波数スペクトルを予め用意しておく。
【0013】
<検査方法>
次に、本実施形態の物体検査装置を用いて行われる物体検査方法について説明する。
まず、検査対象である被検査物体を物体検査装置1にセットし、利用者が検査の開始操作を行ったとする。すると、コンピュータ4によって、検査の開始指令が打撃部2に出力され、打撃部2によって、被検査物体に向かってハンマ5が水平に振り出され、被検査物体に打撃が与えられて音が発生する。そして、集音部3によって、被検査物体から発せられる音の音波が検出され、その検出結果がコンピュータ4に出力される。
【0014】
集音部3から音波の検出結果(電気信号)が出力されると、コンピュータ4によって、その電気信号が高速フーリエ変換によって周波数スペクトルに変換され、その周波数スペクトルのスペクトル振幅から欠陥がないときの被検査物体の周波数スペクトルのスペクトル振幅が周波数毎に減算される。そして、図8に示すように、横軸が周波数を表し且つ縦軸がスペクトル振幅の減算結果を表すグラフに、その算出されたスペクトル振幅の減算結果と対応する周波数との関係をプロットしたものがディスプレイ6に表示される。
【0015】
ここで、被検査物体に損傷や変形等の欠陥が無く、被検査物体の共振周波数が正常品の共振周波数と等しいときには、いずれの周波数においてもスペクトル振幅の減算結果が小さな値となる。そのため、ディスプレイ6にスペクトル振幅の減算結果が表示されると、利用者は減算結果を観測し、欠陥判断用のしきい値より大きな値が現れていないことを確認することで、被検査物体に欠陥が無いと判定することができる。
なお、欠陥判断用のしきい値としては、他の詳細な検査方法によって欠陥があると判定された被検査物体の周波数スペクトルのスペクトル振幅から欠陥がないときの被検査物体の周波数スペクトルのスペクトル振幅を周波数毎に減算し、その減算結果のうち最大のものよりも小さい値(例えば、最大値の1/3の値)を用いる。
【0016】
また、被検査物体に損傷や変形等の欠陥が有るときには、被検査物体の共振周波数が正常品の共振周波数から殆ど変化していなくても、共振周波数においてスペクトル振幅の減算結果に大きな値が現れる。そのため、ディスプレイ6にスペクトル振幅の減算結果が表示されると、利用者は減算結果を観測し、欠陥判断用のしきい値より大きな値が現れていることを確認することで、被検査物体に欠陥があると判定することができる。
【0017】
すなわち、本発明者は、被検査物体に欠陥が存在しても共振周波数が殆ど変化しないことがあることを見つけ出した。そして、共振周波数の変化量が小さくなることで、図2に示すように、被検査物体の周波数スペクトルと正常品の周波数スペクトルとを重ねて表示したグラフから共振周波数のずれ量を読み取ることが困難となり、共振周波数のずれ量を観測することで被検査物体の欠陥の有無を判定することが困難となることを発見した。
【0018】
そして、これに対し、被検査物体の周波数スペクトルのスペクトル振幅と欠陥がないときの被検査物体の周波数スペクトルのスペクトル振幅との差を周波数毎に算出し、それらスペクトル振幅の差を観測することで、被検査物体の欠陥による共振周波数の変化が小さいときにも、被検査物体の欠陥の有無を比較的容易に検出できることを見いだした。
【0019】
<実施例>
次に、本実施形態の物体検査方法の効果を検証した実験について説明する。
この実験では、被検査物体として、図3に示すように、直径50mmの欠陥のない実験用疑似ロール71をピローブロック8を介してフレーム9に組み付けた欠陥のない組み立て品101と、外形が変形している実験用疑似ロール72をピローブロック8を介してフレーム9に組み付けた欠陥のある組み立て品102と、を用いた。
そして、図4に示すように、他の振動の影響を受けないように、組み立て品101、102を発泡スチロール製の緩衝材11上に載置し、図5〜図7に示すように、実験用疑似ロール71、72に打撃を与え、打撃音の音波に基づいて、組み立て品101、102の周波数スペクトルのスペクトル振幅から欠陥のない組み立て品の見本品の周波数スペクトルのスペクトル振幅を減じた減算結果をそれぞれ取得した。
【0020】
図8は、実験結果を示すグラフであり、図8(a)は、欠陥のない組み立て品101の周波数スペクトルのスペクトル振幅から欠陥のない組み立て品の見本品の周波数スペクトルのスペクトル振幅を減じた減算結果と対応する周波数との関係を示すグラフである。また、図8(b)は、欠陥のある組み立て品102の周波数スペクトルのスペクトル振幅から欠陥のない組み立て品の見本品の周波数スペクトルのスペクトル振幅を減じた減算結果と対応する周波数との関係を示すグラフである。
【0021】
これらのグラフより、本実験では、被検査物体に損傷や変形等の欠陥が無く、被検査物体の共振周波数が正常品の共振周波数と等しいときには、図8(a)に示すように、いずれの周波数においてもスペクトル振幅の減算結果が小さな値となることが確認でき、利用者は減算結果に、欠陥判断用のしきい値より大きな値が現れていないことを観測することで、被検査物体に欠陥が無いと判定できることが確認できた。
【0022】
また、本実験では、被検査物体に損傷や変形等の欠陥が有り、被検査物体の共振周波数が正常品の共振周波数から変化しているときには、図8(b)に示すように、共振周波数においてスペクトル振幅の減算結果に大きな値が現れることを確認でき、利用者は減算結果に、欠陥判断用のしきい値より大きな値が現れていることを観測することで、被検査物体に欠陥があると判定できることが確認できた。
【0023】
ちなみに、共振周波数のずれ量を観測することで被検査物体の欠陥の有無を検査する方法にあっては、図9(a)および図9(a)の一部を拡大して示す図9(b)に示すように、共振周波数のずれ量が数十Hz〜数百Hzの範囲となると、測定レンジに比べて非常に小さくなるため、共振周波数のずれ量を読み取ることは困難である。
以上、本実施形態では、図1の打撃部2が特許請求の範囲に記載の入力手段を構成し、以下同様に、図1の集音部3が検出手段を構成し、図1のコンピュータ4が算出手段、スペクトル算出手段および振幅算出手段を構成し、図1のコンピュータ4のディスプレイ6が提示手段を構成する。
【0024】
<作用・効果>
(1)このように、本実施形態の物体検査方法にあっては、被検査物体の周波数スペクトルのスペクトル振幅から欠陥がないときの被検査物体の周波数スペクトルのスペクトル振幅を周波数毎に減算し、それらスペクトル振幅の減算結果を観測することで、被検査物体に欠陥が存在するか否かを判定するようにした。そのため、被検査物体に欠陥が存在し、被検査物体の共振周波数が正常品の共振周波数から変化すると、共振周波数においてスペクトル振幅間の差に大きな値が現れるため、当該差を観測し、大きな値を検出することで、被検査物体の欠陥を発見することができ、被検査物体の欠陥による共振周波数の変化が小さいときにも、被検査物体の欠陥を比較的容易に発見することができる。
また、組み立て品を分解することなく、欠陥の有無を検査できるため、例えば、組み立て品を分解して部品毎に欠陥の有無を検査する方法に比べ、検査時間が短くて済む。
【0025】
なお、欠陥がないときの被検査物体の周波数スペクトルとして、他の詳細な検査方法によって欠陥が無く正常であると判定された被検査物体の見本品の周波数スペクトルを予め用意しておく例を示したが、これに限られるものではない。例えば、検査対象である被検査物体の周波数スペクトルを検出した後に前記見本品の周波数スペクトルを算出してもよい。また、例えば、検査対象である被検査物体が多数ある場合には、各被検査物体それぞれについて周波数スペクトルを算出し、それら周波数スペクトルのスペクトル振幅の平均値を周波数毎に算出し、それら平均値と対応する周波数との関係を示すグラフを、欠陥がないときの被検査物体の周波数スペクトルとして用いてもよい。
また、例えば、欠陥がないときの被検査物体の数値モデル作成し、その数値モデルを用いて打撃を与えた場合の被検査物体の振動を模擬するシミュレーションを行うことにより、欠陥がないときの被検査物体の周波数スペクトルを算出してもよい。
【0026】
(2)また、打撃によって被検査物体が発生する音波に基づいて被検査物体の周波数スペクトルを算出することで、被検査物体の周波数スペクトルを容易に算出できる。
なお、本実施形態にあっては、打撃によって被検査物体が発生する音波に基づいて被検査物体の周波数スペクトルを算出する例を示したが、これに限られるものではない。例えば、打撃によって被検査物体が発生する振動波を検出し、その振動波に基づいて被検査物体の周波数スペクトルを算出してもよい。
【0027】
(3)さらに、本実施形態の物体検査装置にあっては、被検査物体の周波数スペクトルのスペクトル振幅から欠陥がないときの被検査物体の周波数スペクトルのスペクトル振幅を周波数毎に減算し、それらスペクトル振幅の減算結果を表すグラフをディスプレイ6に表示するようにした。そのため、被検査物体の周波数スペクトルのスペクトル振幅および欠陥がないときの被検査物体の周波数スペクトルのスペクトル振幅の差と周波数との関係を容易に得ることができ、提示される差を観測し、その大きな値を検出することで、被検査物体の欠陥を発見することができ、被検査物体の欠陥による共振周波数の変化が小さいときにも、被検査物体の欠陥を比較的容易に発見することができる。
【0028】
なお、被検査物体の打撃音の音波に基づいて被検査物体の周波数スペクトルを算出し、その周波数スペクトルのスペクトル振幅から欠陥がないときの被検査物体の周波数スペクトルのスペクトル振幅を周波数毎に減算して、ディスプレイ6に表示するグラフを生成する例を示したが、これに限られるものではない。例えば、被検査物体の周波数スペクトルを生成することなく、音波の電気信号から直接にグラフを生成してもよい。
(4)また、打撃によって被検査物体が発生する音波に基づいて被検査物体の周波数スペクトルを算出し、その周波数スペクトルのスペクトル振幅から欠陥がないときの被検査物体の周波数スペクトルのスペクトル振幅を周波数毎に減算するようにしたため、それらスペクトル振幅間の差を容易に算出できる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】物体検査装置の概略構成を示す構成図である。
【図2】被検査物体の周波数スペクトルと正常品の周波数スペクトルとを重ねて示すグラフである。
【図3】組み立て品の概略構成を示す構成図である。
【図4】組み立て品の配置状態を示す説明図である。
【図5】欠陥のない実験用疑似ロールを示す説明図である。
【図6】欠陥のある実験用疑似ロールを示す説明図である。
【図7】実験状況を示す説明図である。
【図8】検査対象である組み立て品の周波数スペクトルのスペクトル振幅から欠陥のない組み立て品の見本品の周波数スペクトルのスペクトル振幅を減じた減算結果と対応する周波数との関係を示すグラフである。
【図9】被検査物体の周波数スペクトルと正常品の周波数スペクトルとを重ねて示すグラフである。
【符号の説明】
【0030】
1は物体検査装置、2は打撃部、3は集音部、4はコンピュータ、5はハンマ、5aはハンマヘッド、6はディスプレイ、71、72は実験用疑似ロール、8はピローブロック、9はフレーム、101、102は組み立て品、11は緩衝材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検査物体に検査入力を加え、その検査入力によって前記被検査物体が発生する出力波を検出し、その出力波に基づいて前記被検査物体の周波数スペクトルを算出し、その周波数スペクトルのスペクトル振幅と欠陥がないときの前記被検査物体の周波数スペクトルのスペクトル振幅との差を周波数毎に算出し、それらスペクトル振幅の差を観測することで、前記被検査物体に欠陥が存在するか否かを判定することを特徴とする物体検査方法。
【請求項2】
前記検査入力は、打撃であり、
前記出力波は、前記打撃によって前記被検査物体が発生する音波または振動波であることを特徴とする請求項1に記載の物体検査方法。
【請求項3】
検査入力を被検査物体に加える入力手段と、前記検査入力によって前記被検査物体が発生する出力波を検出する検出手段と、前記検出手段で検出された出力波に基づいて前記被検査物体の周波数スペクトルのスペクトル振幅と欠陥がないときの前記被検査物体の周波数スペクトルのスペクトル振幅との差を周波数毎に算出する算出手段と、前記振幅差算出手段で算出された差と周波数との関係を提示する提示手段と、を備えたことを特徴とする物体検査装置。
【請求項4】
前記算出手段は、前記検出手段で検出された出力波に基づいて前記被検査物体の周波数スペクトルを算出するスペクトル算出手段と、前記スペクトル算出手段で算出された周波数スペクトルのスペクトル振幅から欠陥がないときの前記被検査物体の周波数スペクトルのスペクトル振幅を周波数毎に減算する振幅差算出手段と、を備えることを特徴とする請求項3に記載の物体検査装置。
【請求項5】
前記検査入力は、打撃であり、
前記出力波は、前記打撃によって前記被検査物体が発生する音波または振動波であることを特徴とする請求項3または4に記載の物体検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−168494(P2009−168494A)
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−4222(P2008−4222)
【出願日】平成20年1月11日(2008.1.11)
【出願人】(000001258)JFEスチール株式会社 (8,589)
【Fターム(参考)】