説明

物体認識方法および関連する認識装置

【課題】認識装置によって使用するための物体認識方法を提供する。
【解決手段】複数の物体の各物体は、対応する物体を特徴付けるメタ情報を供給するように構成される。認識装置は、物体認識装置のパースペクティブを変えることによって、選択に複数の物体の少なくとも1つの物体を含める。認識装置は、選択に含まれた複数の物体のこの少なくとも1つの物体を認識し、スナップショット内に選択に含まれる少なくとも1つの物体の表示を取り込む。認識装置は、選択内の少なくとも1つの物体に対応するメタ情報、および追加的に、選択に含まれていない複数の物体のうちのいくつかの物体に対応するメタ情報をさらに認識する。次いで、認識装置は、スナップショットに、選択に含まれている少なくとも1つの物体の表示に追加して、選択内の少なくとも1つの物体に対応するメタ情報、および選択に含まれていない物体に対応するメタ情報を取り込む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプリアンブルに記載の物体認識方法、および請求項4のプリアンブルに記載の関連する認識装置に関する。
【背景技術】
【0002】
かかる方法および関連装置は、当技術分野では、たとえばhttp://www.ricoh.co.jp/r dc/dcで公表もされている、Ricoh Caplio Pro G3 Camera/GPSのカタログからすでに知られている。
【0003】
そこには、さらにデジタルカメラとも呼ばれるRicoh Caplio Pro G3 Camera/GPSという認識装置が記載されている。この認識装置は、複数の物体を含む環境で物体を認識するように構成されている。これらの物体は、対応する物体を特徴付けるメタ情報を供給することができる。デジタルカメラと呼ばれる認識装置は、認識装置の光学レンズによるズームインまたはズームアウトと呼ばれるパースペクティブを変えることにより、視野選択に複数の物体のうちのいくつかの物体を含める。認識装置は、光学レンズの選択された焦点距離および/または認識装置のユーザのスタンドポイントによって作成された、選択に含まれている物体を見る。さらに、認識装置は、カメラのロケーション情報、すなわち選択された物体を含む写真が作成された位置、現在の時刻、および現在の日付など、認識装置それ自体に関するメタ情報を認識する。
【0004】
この情報は、認識装置を介して見られることができるだけであるが、カメラのズームおよびスタンドポイントの関係で選択された、見えている全ての物体を含むデジタル写真と呼ばれるスナップショットに、追加的に取り込まれることができる。
【0005】
かかる認識装置の不利な点は、認識可能な物体が、かかる認識装置を介して認識されることがあり、認識可能で取り込まれた物体の内容に関する情報を何も含まずに、結局取り込まれてしまう可能性があることである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許出願公開第2002/184332号明細書
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Ricoh Caplio Pro G3 Camera/GPSのカタログ
【非特許文献2】BARTON、「Sensor−enhanced Mobile Web Clients: an XForms Approach」、WWW 2003−ACM 1−58113−680−3/03/0005,2003年5月24日、頁80−89
【非特許文献3】KINDBERG、「Implementing physical hyperlinks using ubiquitous identifier resolution」、INTERNATIONAL WORLD WIDE WEB CONFERENCE,PROCEEDINGS OF THE 11TH INTERNATIONAL CONFERENCE ON WORLD WIDE WEB、2002年12月31日、頁191−199
【非特許文献4】「DISTRIBUTING UNIFORM RESOURCE LOCATORS AS BAR CODE IMAGES」、IBM TECHNICAL DISCLOSURE BELLETIN,IBM CORP. NEW YORK,US,第39巻、第1号、1996年、頁167
【非特許文献5】FLECK M; FRID M; KINDBERG T; O’BRIEN−STRAIN E; RAJANI R; SPASOJEVIC M、「From informing to remembering: ubiquitous systems in interactive meseums」、IEEE PERVASIVE COMPUTING、頁13−21
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の一目的は、上記の知られているタイプの認識方法および関連する認識装置であるが、選択された物体に加えて、認識装置の環境全体を特徴付ける付加的なメタ情報が取り込まれる、認識方法および関連する認識装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、この目的は、請求項1に記載の物体認識方法、および請求項4に記載の認識装置によって達成される。
【0010】
実際、認識装置によって、選択に含まれている少なくとも1つの物体に対応するメタ情報を認識し、選択に含まれていない複数の物体のうちのいくつかの物体に対応するメタ情報を追加的に認識し、その情報を認識することに加えて、選択内の少なくとも1つの物体に対応するメタ情報および前記選択に含まれていない物体に対応するメタ情報を、スナップショットに追加的に取り込むことによって、(選択に含まれている少なくとも1つの物体の取り込まれた表示を含む)スナップショットに注釈も付ける。
【0011】
このようにして、スナップショット、写真、またはレコーディングと呼ばれる選択内の物体の表示は、選択内の物体の環境を特徴付ける情報で注釈を付けられる。
【0012】
本発明の他の特徴的な実施形態は、請求項2に記載の方法、および請求項5に記載の認識装置で説明されている。
【0013】
認識装置PDは、認識装置のユーザに関するメタ情報を認識し、スナップショットにユーザに関するメタ情報を追加的に取り込むように追加的に構成される。
【0014】
本発明の他の特徴的な実施形態は、請求項3に記載の方法および請求項6に記載の認識装置で説明されている。
【0015】
物体認識装置PDは、認識装置に関するメタ情報を認識し、前記スナップショットに前記物体認識装置に関する前記メタ情報を取り込むように追加的に構成される。このメタ情報は、とりわけ、認識装置のロケーションのワールド座標、現在の時刻、現在の気温などでよい。
【0016】
特許請求の範囲で使用されている「含む」という用語は、その後に列挙されている手段に制限されると解釈されるべきでないことに留意されたい。したがって、「手段AおよびBを含む装置」という表現の範囲は、構成要素AおよびBだけからなる装置に限定されるべきはではない。すなわち、本発明に関しては、その装置のただ関連するだけの構成要素が、AおよびBであることを意味する。
【0017】
同様に、特許請求の範囲で使用されている「結合された」という用語も、直接の接続だけに限定されると解釈されるべきでないことに留意されたい。したがって、「装置Bに結合された装置A」という表現の範囲は、装置Aの出力が装置Bの入力に直接接続されている装置またはシステムに限定されるべきではない。すなわち、他の装置または手段を含む経路でもよい、Aの出力とBの入力との間の経路が存在することを意味する。
【0018】
本発明の上記および他の目的ならびに特徴は、添付の図面に関連して行われる実施形態についての以下の説明を参照することによって、より明らかになり、本発明自体が最もよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の認識装置PDを表す図である。
【図2】本発明の認識装置PDが使用される環境を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下のパラグラフでは、図面を参照しながら、認識装置PDの実装について説明する。この説明の第1のパラグラフでは、図1に示す認識装置PDの主な要素について説明する。第2のパラグラフでは、前述の要素と部分との間の全ての接続について規定する。次のパラグラフでは、認識装置PDによる本発明の実際の実行について説明する。
【0021】
複数の物体のうちのいくつかの物体が、対応する物体を特徴付けるメタ情報を供給することができる複数の物体を含む環境で、少なくとも1つの物体を認識するように構成された認識装置PD。かかる認識装置PDは、特定のフォトカメラでも、音および光景を記録するための特定のビデオカメラでも、あるいは特定のオーディオレコーダでもよい。この認識装置PDは、選択に含まれている複数の物体の少なくとも1つの物体を認識するように構成された、物体認識部OPPを含む。この認識装置の物体認識部OPPは、カメラの光学レンズでも、オーディオレコーダのマイクロフォンアレイでも、あるいはそれらの組合せでもよい。
【0022】
認識装置PDは、物体認識装置PDのパースペクティブを変えることによって、選択に複数の物体のうちの少なくとも1つの物体を含めることができる、物体選択部OSPをさらに含む。このパースペクティブは、レンズの焦点距離、カメラのユーザの位置およびスタンドポイント、および/またはマイクロフォンアレイの構成によって決定されることができる。
【0023】
物体認識装置PDは、選択内の少なくとも1つの物体に対応するメタ情報を認識するように構成された、メタ情報認識部MPPを追加的に含む。このメタ情報認識部MPPは、リアルタイムメッセージベースの(たとえばW3C Webオントロジ言語、RDF、HTTP、またはWiFiに基づく)物体メタ情報交換通信プロトコルをイネーブルにする、無線送受信装置でよい。メタ情報認識部MPPは、要求/応答メッセージング通信モデル(ローカルブロードキャスト)を使用して、(少なくとも1つの一意の物体識別子、物体のロケーションのワールド座標、およびメタ情報の経過時間を示すリアルタイムスタンプを含む)認識装置PDの近所内にある物体の全てのメタ情報、および周りの物体の対応する拡張メタ情報を収集することができる。メタ情報認識部MPPは、受信した応答物体のロケーションのワールド座標、認識装置のロケーションの実際のワールド座標、および、たとえば認識装置のパースペクティブ規定を使用して、応答物体のうちのどれが、認識装置のパースペクティブ内にあるかを規定する。たとえば、ビジュアルパースペクティブは、認識装置のレンズの仕様、ビューイング方向を表す3次元方向ベクトル(これは航空学では、姿勢およびコンパス方位によって規定される)、および位置によって規定される。ユーザは、たとえば認識装置のビジュアル機器の焦点距離および開口を調整して、ビジュアルパースペクティブ内の焦点および被写界深度を調整することができ、たとえば、前の選択内の物体のうちの少なくとも1つに、ビジュアルに焦点を合わせることができる。次いで、ユーザは、認識装置からメタ情報ブラウザを使用して、選択された物体の受信されたメタ情報をブラウズすることができる。
【0024】
実施形態の一例として、物体メタ情報をビジュアルにブラウズするユーザ体験は、以下の通りであり得る。ユーザが、認識装置PDのビジュアルシーカに目を通しているとき、ユーザには、オーバレイ内に、現在見えている範囲内の物体の利用可能なメタ情報の存在を示すシーカビュー内にあるいくつかのビジュアルマーカが見える。認識装置PDには、ポインティング/選択装置が装備されていてもよい。ユーザが、ビジュアルマーカの1つを指すと、たとえば名前だけなど、いくつかの最少物体メタ情報が、オーバレイ内に表示される。もちろん、これは、シーカビュー内のオーバレイに物体名を常に表示しておくためのデフォルト設定であり得ることが考えられる。ユーザが、指示したマーカを選ぶと、現在のシーカビューの被写界深度の向こうまたはその前の物体に関するメタ情報のブラウジングをイネーブルにするために、シーカビューに、より多くのメタ情報、たとえばさらに詳しい情報への選択可能なURLリンクなどがビジュアルに示されることができる。あるいは、現在シーカビュー内に見えない物体に関するメタ情報をブラウズすることができるように、ユーザは、認識装置PDの選択スライダを使用することができる。このようにして、ユーザは、物体の存在、そのメタ情報、および、たとえば認識装置PDのロケーションに関するその物体のロケーションおよび距離を知ることができる。もちろん、このユーザ体験は、装備されている認識装置PDのビジュアルシーカの使用によって限定されるものではない。認識装置PDには、追加の小さなスクリーンも装備されていること、あるいは少なくともより大きなスクリーンが接続されることができることが考えられる。同じことは、体験のオーディオ態様にもあてはまる。たとえば、周りの物体は、それらが方向をそれとなく示しているという印象をユーザに与えることができる。
【0025】
一例として、ポータブルラジオは、少なくとも以下のメタ情報、すなわち、ポータブルラジオの一意の物体識別子、ポータブルラジオのロケーションのワールド座標、メタ情報の経過時間を示すリアルタイムスタンプ、現在のオーディオソース(ラジオ局、CD、カセットなど)、および現在演奏中の歌を含む。記載されるように、たとえば、オーディオソースを切替えるための制御URL、現在の局へのURL、ソングライターのWebサイトへのURLなどをさらに送り返して、追加の情報を問い合わせることができる。
【0026】
認識された物体のメタ情報のブラウジングは、ビジュアルに体験されることができる物体に限定されない。ビジュアルパースペクティブ規定内かつ範囲内にあるメタ情報の送信元である全ての物体が、選択の候補である。例としては、仮想ポストイットノート、オーディオソースなどの情報源がある。
【0027】
メタ情報認識部MPPは、自然発生的ブロードキャスト通信プロトコルをサポートすることもできることに留意されたい。このようにして、移動する物体が認識されることができる。受信されたメタ情報が、たとえば速度ベクトル、加速ベクトルなど、物体の物理的コンテキストの情報を含むことは明らかである。
【0028】
メタ情報受信部MRPは、同様に、選択に含まれていない複数の物体のうちのいくつかの物体に対応するメタ情報を受信することもできる。このメタ情報受信部MRPは、(たとえば、W3C Webオントロジ言語、HTTP、およびWiFiに基づく)リアルタイムメッセージベースの物体メタ情報交換通信プロトコルをイネーブルにする無線送受信装置でよい。メタ情報受信部MRPは、要求/応答メッセージング通信モデルを使用して、少なくとも一意の物体識別子、物体ロケーションの物体ワールド座標、およびメタ情報の経過時間を示すリアルタイムスタンプを含む、周りの物体の全てのメタ情報を収集することができる。
【0029】
さらに、物体認識装置PDは、認識装置のユーザに関するメタ情報を認識するように構成されたユーザメタ情報受信部UMRPを含む。ユーザメタ情報受信部UMRPは、(たとえば、W3C Webオントロジ言語、HTTP、およびWiFiに基づく)リアルタイムメッセージベースの物体メタ情報交換通信プロトコルをイネーブルにする無線送受信装置でよい。UMRPは、要求/応答メッセージング通信モデルを使用して、ユーザの心拍周波数、ユーザの体温、およびたとえばユーザの個人識別でよい、カメラのユーザのメタ情報を収集する。
【0030】
前記認識装置に関するメタ情報を認識するように構成された認識装置メタ情報受信部PDMRP。このメタ情報は、認識装置のたとえば現在の高度、認識装置のたとえば物体識別、たとえば装備された温度センサ、気圧センサ、湿度センサなどを介して認識された現在のロケーションでの環境特性を含む、たとえば装備された全地球測位システムモジュールを介して取り出された、認識装置のロケーションの少なくともたとえばワールド座標を含むこともできる。認識装置メタ情報受信部PDMRPは、全体としての認識装置PDのアセンブリ、前記認識装置PDのアセンブリ内の部分、部分の制約および機能についてのメタ情報と共に部分間の関係、および前記認識装置PDのアセンブリの関係に関する、取込み部CPのメタ情報をも提供する。認識装置メタ情報受信部PDMRPは、現在のロケーションによる現在のカレンダおよび現在の時刻についての取込み部CPのメタ情報をも提供する。リアルタイムスタンプは、それぞれのメタ情報の経過時間を示す。
【0031】
認識装置は、取込み部CPをさらに含み、この取込み部CPは、選択に含まれている少なくとも1つの物体の表示を、スナップショットに取り込むことができ、それに加えて、選択内の少なくとも1つの物体に対応するメタ情報、および選択に含まれていない物体に対応するメタ情報を、このスナップショットに取り込むことができる。取込み部CPは、認識装置のユーザに関するメタ情報および認識装置PDに関するメタ情報を、スナップショットに取り込むように任意選択で構成されることができる。
【0032】
さらに、選択内の少なくとも1つの物体の表示に対応するスナップショットを処理することができる処理部PPがある。処理部PPは、スナップショットを記憶しておくための記憶部でよい。あるいは、処理部PPは、スナップショットを、たとえば、記憶媒体、別のユーザ、または別のカメラを有するホームコンピュータに転送することができる転送手段でもよい。これは、WiFi通信、GSM通信、RFID通信、あるいは他のどんな適切な通信技術を使用して行われてもよい。
【0033】
あるいは、処理部は、たとえば、ある物体のメタ情報に含まれているURL情報に基づいて、インターネットをブラウズするためのブラウジング装置でもよい。
【0034】
物体選択部OSPは、物体認識部OPPの入力に結合され、同時にメタ情報認識部MPPの入力に結合される出力を有する。以下の各部分、つまり、物体認識部OPP、メタ情報認識部MPP、メタ情報受信部MRP、認識装置メタ情報受信部PDMRP、およびユーザメタ情報受信部UMRPは、出力で取込み部CPの入力に結合される。取込み部CPは、処理部PPの入力に結合される出力をさらに有する。処理部PPは、同様に、同時に認識装置PDの出力端末O1である出力も有する。
【0035】
物体選択部OSPは、同時に認識装置PDの入力端末I1である入力を有する。この入力端末は、パースペクティブを制御するためのユーザ制御情報を受信することができる。メタ情報認識部MPPは、同時に認識装置PDの入力端末I1である入力を有する。この入力端末は、物体認識部OPPの選択内の物体によって送信されたメタ情報を受信することができる。さらに、メタ情報受信部MRPおよびユーザメタ情報受信部UMRPは、それぞれ、認識装置の入力端末I3、I4にそれぞれ結合された入力を有する。入力端末I3で受信された情報は、認識装置のユーザに関する情報を含む。さらに、入力端末I4で受信された情報は、選択に含まれていない物体に関するメタ情報を含む。物体認識部OPPは、同時に認識装置PDの入力端末である入力を有する。認識装置のこの入力端末は、現実の世界に関する情報のエントリ、すなわち、物体認識部OPPの選択内の物体のビジュアル表示、または物体認識部OPPによって送信される音を表す。
【0036】
本発明を説明するために、認識装置が、複数の物体Ob〜Obが認識装置PDの周りに存在する、図2に示すような環境で使用されると仮定する。
【0037】
物体Ob〜Obのそれぞれは、その物体に関するメタ情報を供給することができると仮定する。このメタ情報は、一意の物体識別子、物体のロケーションのワールド座標、メタ情報の経過時間を示すリアルタイムスタンプ、追加情報のURL、制御URLなど、物体の説明を含むことができる。
【0038】
認識装置PDの物体選択部OSPは、前記物体認識装置のパースペクティブを変化させることによって、認識装置PDによって見られる選択内の複数の物体のうちのいくつかの物体を含むことができる。ここでパースペクティブは、とりわけ、ユーザのスタンドポイント、ビューイング方向、およびビューイングアングルから、認識装置PDのレンズの焦点距離によって決定される。あるロケーションおよび高度でのビューイング方向の正確な規定をサポートするために、認識装置PDには、ワールド座標システムに関するビューイング方向に影響を与える、認識装置PDのティルト、パン、バンク、またはロールなどの特性を限定するための複数のセンサ機器が装備されることができる。図2に示されているビューイング方向の場合、パースペクティブは、物体ObおよびObが、選択に含まれるように、したがって物体ObおよびObを認識することができる物体認識部OPPによって、認識装置PDを介して見られることができるように変えられる。
【0039】
メタ情報認識部MPPは、さらに、選択された物体ObおよびObに対応するメタ情報を見ることができる。城である物体Obの場合、メタ情報は、城の名前、城の年代、入城時間、およびより詳しい情報を得るためのURLでよく、ホテルである物体Obは、特定のホテルに関するWebサイトのURLを含み得るメタ情報を有する。認識装置PDのユーザは、このWebサイトをブラウズし、処理部PPによってWebサイトと対話することができる。
【0040】
物体ObからObは、たとえば、それぞれ彫像Ob、交通標識Ob、同様の認識装置Obを有する人物、店舗Ob内の写真を印刷することができるプリンタなどでよい。物体ObからObが選択されない場合、メタ情報認識部MPPおよびメタ情報受信部MRPは、メタ情報を受信する。物体ObからObが選択された場合は、選択された物体に対応するさらに多くの情報が、メタ情報受信部MRPによって受信されて見られることができる。彫像Obに関しては、彫像のスタイル、主題、制作年月日、彫刻された材料、彫刻家の名前、および、さらに多くの情報を得るための追加のURLについて知ることができる。制御URLが受信されることは考えられない。制御URLは、たとえば、アプローチなどのWebサービス(W3C Webサービスアーキテクチャ参照)内の、コマンドおよびパラメータをエンコードして、選択された物体を指し戻すURLである。制御URLを選択すると、その結果、暗がりで写真を作成するために彫像をより良く照明するために、ライトのオン/オフの切替えることができる。追加のマルチメディアベースの情報にアクセスするために、たとえば、彫像の歴史的背景に関する簡単な説明(テキスト、写真、音声、および/または映像)にアクセスするために、URLが提供されることは考えられない。これらのマルチメディア成果物は、近所のローカルアクセスポイントを介してダウンロードされることができ、同じ認識装置PDの処理部PPによって再生されることができる。(たとえば、後ほど家で休日の写真鑑賞会にこれらを使用するために)Eメールを介してこれらの成果物の参考事項を送信するためのオプションが提供されることは考えられない。交通標識Obの場合は、その標識のメッセージの意味に関する追加のメタ情報、異常事態の場合は責任者の電話番号、もよりの警察署の電話番号、(たとえば、基本的標識コースへのアクセスを提供する)さらに詳しい情報を得るためのURLを受信することができる。同様の認識装置Obを有する人物の場合は、名前、感情の状態、通信参考事項(住所、電話番号、GSM番号)、年齢、職業、その人物のWebページへのURL、認識装置にローカルに記憶されている写真にアクセスするURLを受信し、あるいは、もう一方の認識装置によって現在使用中の認識規定、範囲規定、および焦点規定の値にアクセスすることができる。もう一方の認識装置で利用可能なメタ情報へのアクセスが提供されるということは考えられない。店舗Ob内のフォトプリンタの場合は、フォトプリンタの主な特性についてのメタ情報を受信することが考えられ、たとえば、店舗の名前、開店時間、印刷単価、ならびに名前、住所、電話番号、GSM番号などの連絡先人物の通信特性にアクセスすることが考えられる。
【0041】
物体ObおよびObと、認識装置PD、メタ情報認識部MPP、およびメタ情報受信部MRPとの間のメタ情報の交換については、実施形態の例として以下のように詳細に説明することができる。
【0042】
全ての物体ObからObは、メタ情報を含む、非請求(non−solicited)の通知メッセージを定期的な時間間隔でブロードキャストする。このメタ情報は、たとえば少なくとも以下のメタ情報、つまり前記非請求の通知メッセージの目的を示す識別子、メッセージの発信元の一意の物体識別子、メッセージの発信物体のロケーションのワールド座標、およびメッセージが送信された時刻を示すリアルタイムスタンプを含む。
【0043】
メタ情報認識部MPPおよびメタ情報受信部MRPは、両方とも、メタ情報を含むこれらの非請求の通知メッセージを受信し処理することができる。
【0044】
メタ情報認識部MPPは、たとえば追加メタ情報を要求するために、選択された物体との特定のリアルタイム通信セッションを設定することができる。これは、少なくともたとえば以下の情報、すなわち、非請求の要求メッセージの目的を示す識別子、追加メタ情報要求明細、メタ情報認識部MPPによって規定された通信セッション識別子、メッセージが発信された時刻を示すリアルタイムスタンプ、通信のための目標物体の物体識別子、メッセージが発信された時刻にメタ情報認識部MPPによって知られた目標物体のロケーションのワールド座標、この場合たとえば認識装置PDの物体識別子であるこのメッセージの発信元の物体識別子、およびメッセージが発信された時点の認識装置PDのロケーションのワールド座標を含む、非請求の要求メッセージをブロードキャストすることによって達成されることができる。
【0045】
受信された非請求の要求メッセージに記載された通信のための目標物体の物体識別子と同じ物体識別子を有する物体を意味する目標物体は、たとえばメタ情報認識部MPPによって要求された追加のメタ情報を提供する。目標物体は、応答として、少なくともたとえば以下の情報、すなわち、請求された応答メッセージの目的を示す識別子、通信のための目標物体としての認識装置PDの物体識別子、請求された応答メッセージが発信された時刻の非請求の要求メッセージの発信物体のロケーションの知られているワールド座標、通信の発信元としての応答物体の物体識別子、発信物体のロケーションのワールド座標、通信コンテキストとしての、前に受信された非請求の要求メッセージからのセッション識別子、メッセージが発信された時刻を示すリアルタイムスタンプ、および要求された追加のメタ情報を含む、請求された応答メッセージのブロードキャストを使用する。
【0046】
メタ情報認識部MPPは、非請求の通知メッセージ、非請求の要求メッセージ、あるいは、たとえば通信のための目標物体の物体識別子または通信セッション識別子の調査に基づく、請求された応答メッセージを廃棄することができる。
【0047】
メタ情報受信部MRPは、非請求の通知メッセージ、非請求の要求メッセージ、あるいは、たとえば通信のための目標物体の物体識別子、メッセージの目的を示す識別子、通信セッション識別子、追加のメタ情報に関する定式化要求の存在、または追加のメタ情報の存在の調査に基づき、請求された応答メッセージを廃棄することができる。
【0048】
認識装置PDは、メタ情報を認識することができる。物体ObからObに対応するこのメタ情報は、W3C Webオントロジ言語(OWL)、またはW3C RDFベースの記述(リソース記述フレームワーク)、あるいは知識を記述するためのその他のどんな手段を使用して、たとえばエンコードされたメッセージを転送する無線通信技術を用いて、認識装置PDに送信されることができる。
【0049】
物体認識装置PDは、さらに、認識装置のユーザに関するメタ情報を認識するように構成されたユーザメタ情報受信部UMRPをも含む。このメタ情報は、心拍周波数、血圧、体温、専用のセンサによって検出されることができる、あるいはローカル身体ネットワーク機器によって提供されることができる個人識別を含む。
【0050】
認識装置は、取込み部CPをさらに含み、取込み部CPは、「スナップショット」に、物体選択部OSPによって作成された選択に含まれる全ての物体ObからObから選択された物体ObおよびObの表示を取り込むように構成される。取込み部CPは、スナップショットに、物体Obおよび物体Obの表示に加えて、物体ObおよびObに対応するメタ情報、ならびに前記選択に含まれない物体に対応するメタ情報をさらに含む。
【0051】
取込み部CPにとって利用可能な選択内の物体ObおよびObに関するさらに多くのメタ情報が存在し、したがってこれらの物体に対応するさらに多くのメタ情報が、スナップショットに記憶しておかれることができることは明らかである。それにもかかわらず、物体ObからObに関する最少のメタ情報は、取込み部CPにとって利用可能であり、その結果として、スナップショットに記憶しておかれる。
【0052】
これは、それぞれの物体のロケーションのワールド座標と一緒に、少なくともたとえば、城(Ob参照)の一意の名前、ホテル(Ob参照)の一意の名前、彫像(Ob参照)の一意の名前、交通標識(Ob参照)の一意の名前、人物(Ob参照)の一意の名前、およびフォトプリンタ(Ob参照)の一意の名前を含むことができる。
【0053】
メタ情報が名前を含む場合、取込み部は、重複が発生した場合、スナップショットのコンテキスト内の名前を一意にする。
【0054】
さらに、ユーザメタ情報受信部UMRPによって認識される認識装置のユーザに関する認識されたメタ情報は、前記認識装置のいくつかのメタ情報と一緒に、取込み部CPによってスナップショットに追加的に組み込まれることができる。認識装置のこのメタ情報は、認識装置メタ情報受信部PDMRPによって認識されるように、認識装置に組み込まれている全地球測位システムモジュールに基づく装置のロケーション、現在の時刻、ロケーションの現在の気温、高度、気圧などでよい。
【0055】
選択内の物体の表示は、ビデオレコーディングの場合、録音された音を追加的に含むことができることに留意されたい。
【0056】
メタ情報認識部MPPは、物体選択部OSPによって行われた認識装置の選択に対応する少なくとも1つの物体との通信をサポートする、指向性アンテナの使用を含むことができることにさらに留意されたい。この場合、装置は通信の手段の性質によって、選択内の物体、すなわち指向性通信エリア内にある物体について知っているので、物体は、メタ情報内のワールド座標をそこに送信する必要がない。また、メタ情報受信部MRPは、物体選択部OSPの制御の下に行われた認識装置の選択に対応しない物体の少なくとも1つとの通信をサポートする、無指向性アンテナを含むことができること。
【0057】
メタ情報認識部MPPは、認識装置の選択に対応する少なくとも1つの物体から追加のメタ情報を取り出すために、通信に関するセッション通信管理を含むことができ、一方、メタ情報受信部MRPの手段は、選択に含まれていない物体に関する、非請求の基本的メタ情報および請求された基本的メタ情報を取り出すことに留意されたい。
【0058】
さらに、PDは、複数のより高いレベルのアプリケーションをホストすることができることに留意されたい。上記の諸機能は、PD内部でホストされることができる様々な特定のアプリケーションをイネーブルにする。ユーザが、どの方向に行くべきか、また、これらの物体の方に物理的にどれぐらいの距離を行くべきかについて、ビジュアルシーカ内のオーバレイ内でビジュアルフィードバックを得ることができることは考えられる。ビジュアルフィードバックは、コンパス表示、ワールド座標システムに関連する認識装置PDの姿勢に関する範囲表示、認識装置の現在のロケーションの全地球測位システム座標、認識装置PDに装備可能なセンサに全て基づく表示に従う方向を含むことができる。現在のシーカビュー内に見える、あるいは見えない周りの物体が、ユーザが興味のある選択された物体の方に移動するのをサポートするために、追加の情報および/またはビジュアルフィードバックを提供することは考えられる。かかる協働の一例は、ユーザが市街地図などを使用して、たどるべきルート情報を得ることであり得る。
【0059】
他の使用例は、エンドユーザが、観察された物体に対するリモート触覚(タッチ、モーションなど)フィードバックを得る、ゲームコンソールでのフォースフィードバックのアプリケーションに類似したアプリケーションである。この場合、物体は、そこでの触覚フィードバック体験についての特定のメタ情報を送信するが、本発明の認識装置PDには、適切なフィードバック構成要素が装備されている。
【0060】
また、実施者は、自分が必要とする保護されたインフラストラクチャを得るために、上記ソリューションをどんな利用可能なセキュリティ機構とも統合することができることにも留意されたい。
【0061】
最後に言及することは、本発明の諸実施形態は、機能的ブロックの点から見て説明されていることである。上記のこれらのブロックの機能的説明から、どのようにこれらのブロックの諸実施形態が、よく知られている電子部品で製作されることができるかは、電子装置を設計する当業者には明らかである。したがって、機能ブロックの内容の詳細なアーキテクチャは説明されない。
【0062】
本発明の原理は、特定の機器に関して上記に説明されてきたが、この説明は、単に例として行われただけであり、添付の特許請求の範囲に規定される本発明の範囲に関する限定としてではないことを明確に理解されたい。
【符号の説明】
【0063】
O1 出力端末
I1、I3、I4 入力端末
Ob、Ob、Ob、Ob、Ob、Ob 物体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の物体を含む環境内で少なくとも1つの物体を認識するように構成された認識装置(PD)によって使用される物体認識方法であって、前記複数の物体の各物体が、前記対応する物体を特徴付けるメタ情報を供給するように構成され、前記物体認識方法が、
a.前記認識装置が、前記物体認識装置のパースペクティブを変えることによって、選択に前記複数の物体の前記少なくとも1つの物体を含むステップと、
b.前記認識装置が、前記選択に含まれる前記複数の物体の前記少なくとも1つの物体を認識するステップと、
c.前記認識装置が、スナップショットに、前記選択に含まれている前記少なくとも1つの物体の表示を取り込むステップとを含み、前記物体認識方法がさらに、
d.前記認識装置が、前記選択内の前記少なくとも1つの物体に対応する前記メタ情報を認識するステップと、
e.前記認識装置が、前記選択に含まれていない前記複数の物体のうちの前記物体に対応する前記メタ情報を認識するステップと、
f.前記認識装置が、前記選択に含まれている前記少なくとも1つの物体の前記表示に加えて、前記選択内の前記少なくとも1つの物体に対応する前記メタ情報、および前記選択に含まれていない前記物体に対応する前記メタ情報を、前記スナップショットに取り込むステップとを含むことを特徴とする認識方法。
【請求項2】
前記認識装置が、前記認識装置のユーザに関するメタ情報を認識し、前記スナップショットに前記ユーザに関する前記メタ情報を取り込むステップをさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の物体認識方法。
【請求項3】
前記認識装置が、前記認識装置に関するメタ情報を認識し、前記スナップショットに前記認識装置に関する前記メタ情報を取り込むステップをさらに含むことを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の物体認識方法。
【請求項4】
複数の物体を含む環境内の少なくとも1つの物体を認識するように構成された物体認識装置(PD)であって、前記複数の物体の各物体が、前記対応する物体を特徴付けるメタ情報を供給するように構成され、前記物体認識装置(PD)が、
a.物体認識装置のパースペクティブを変えることによって、選択に前記複数の物体の前記少なくとも1つの物体を含むように構成された物体選択部(OSP)と、
b.前記選択に含まれている前記複数の物体の前記少なくとも1つの物体を認識するように構成された物体認識部(OPP)と、
c.スナップショットに、前記選択に含まれている前記少なくとも1つの物体の表示を取り込むように構成された取込み部(CP)とを含み、前記物体認識装置(PD)がさらに、
d.前記選択内の前記少なくとも1つの物体に対応する前記メタ情報を認識するように構成されたメタ情報認識部(MPP)と、
e.前記選択に含まれていない前記複数の物体のうちの前記物体に対応する前記メタ情報を受信するように構成されたメタ情報受信部(MRP)とを含むこと、および、
前記取込み部(CP)が、前記選択に含まれている前記少なくとも1つの物体の前記表示に加えて、前記選択内の前記少なくとも1つの物体に対応する前記メタ情報、および前記選択に含まれていない前記物体に対応する前記メタ情報を、前記スナップショットに取り込むようにさらに構成されることを特徴とする物体認識装置(PD)。
【請求項5】
前記物体認識装置(PD)が、前記物体認識装置のユーザに関するメタ情報を認識するように構成されたユーザメタ情報受信部(UMRP)をさらに含むこと、および前記取込み部(CP)が、前記スナップショットに前記物体認識装置の前記ユーザに関する前記メタ情報を追加的に取り込むようにさらに構成されることを特徴とする、請求項4に記載の物体認識装置(PD)。
【請求項6】
前記物体認識装置(PD)が、前記物体認識装置に関するメタ情報を認識するように構成された認識装置メタ情報受信部(PDMRP)をさらに含むこと、および、前記取込み部(CP)が、前記スナップショットに前記物体認識装置に関する前記メタ情報を追加的に取り込むようにさらに構成されることを特徴とする、請求項4または請求項5に記載の物体認識装置(PD)。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2011−259491(P2011−259491A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−176072(P2011−176072)
【出願日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【分割の表示】特願2006−82157(P2006−82157)の分割
【原出願日】平成18年3月24日(2006.3.24)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.GSM
【出願人】(391030332)アルカテル−ルーセント (1,149)
【Fターム(参考)】