物品の表裏判定方法およびその装置
【課題】本発明は、画像処理による金属膜の形成された金属板等の物品の表裏判定能力を向上させることを課題とする。
【解決手段】本発明は、判定対象となる被判定物品(キャップ)Cの表裏いずれかの面を撮像手段8で撮影し、該撮像手段8により得られた画像データから被判定物品Cの領域を検出し、検出された被判定物品Cの領域内における画素の輝度の標準偏差を求め、その算出結果に基づいて前記被判定物品Cの表裏を判定することにある。
【解決手段】本発明は、判定対象となる被判定物品(キャップ)Cの表裏いずれかの面を撮像手段8で撮影し、該撮像手段8により得られた画像データから被判定物品Cの領域を検出し、検出された被判定物品Cの領域内における画素の輝度の標準偏差を求め、その算出結果に基づいて前記被判定物品Cの表裏を判定することにある。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば金属膜の形成された金属板等の物品の表裏判定方法およびその装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、表面実装型電子部品は、断面が凹型のセラミックパッケージを用い、内部に電子素子を搭載し、金属板からなるキャップ(リッド)で気密封止する構成が多用されている。封止方法もレーザー等のビームによる封止やシーム等の抵抗加熱による封止あるいはハンダ封止等各種の封止方法があるが、いずれもセラミックパッケージ側やキャップに設けられた金属膜を溶融させることにより行っている。
【0003】
従来例について、表面実装型水晶振動デバイスを例にとり図11を参照しながら説明する。表面実装型水晶振動デバイスは、上部が開口した凹部を有するセラミックパッケージ30と、このパッケージの中に収納される圧電振動板である水晶振動板31と、パッケージの開口部に接合されるキャップCとからなる。
【0004】
セラミックパッケージ30の周壁上面には周状の金属層30aが形成されている。また、キャップCはコバール等の金属基体C1の表面にニッケル(Ni)膜C2を形成した構成である。このキャップCの下面すなわち前記セラミックパッケージ側には銀ろう層C6が形成されている。電子素子である水晶振動板31をパッケージ30内に収納し、キャップCで気密封止を行う。気密封止はシーム溶接により行う。
【0005】
従来、シーム溶接はセラミックパッケージ側に金属製のシールリングを取り付け、シールリングに形成された最上層の金層等を溶融させて気密封止を行っていたが、パッケージの小型化や薄型化そして低コスト化に対応させるために、上述のようにキャップの一方面に銀ろうを形成しこれを溶融させる技術が採用されるようになってきた。
【0006】
シールリングを用いたシーム溶接においては、キャップ表裏面は同材料であったが、上述の銀ろうを用いる封止技術においては、一方面にのみ銀ろうが形成されるために、キャップについて表裏の区別が必要となった。
【0007】
そこで、キャップ表裏を判定する表裏判定装置として、金属板の表裏いずれかの面に近接または当接するコイルを内蔵した測定プローブと、金属板に近接または当接することにより変化する前記コイルの電気変化量を検出する膜厚測定部と、検出された電気変化量と予め定められた膜厚に関連する電気変化量とを比較して測定した面の表裏を判定する判定部を有するものが公知である(例えば、特許文献1参照)。
【0008】
また、カメラを使用した画像処理装置も公知である(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2003−60102号公報
【特許文献2】特開2004−320676号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、前記特許文献1に記載の表裏判定装置は、表裏に厚さの異なる非磁性金属膜の電気変化量と、予め定められた膜厚に関連する電気変化量とを比較して測定した面の表裏を判定する構成である。このため、測定プローブと測定した面との距離によって、測定結果に対する正確性が低下するおそれがある。特に被測定物に非接触で測定する場合は、近接距離を小さくする必要がある。
【0010】
また、前記特許文献2に記載の表裏判定装置は、カメラで撮影した画像を基にグレースケールにより判定するものである。かかる判定は、各面の輝度の相違により判定する構成であるため、キャップ撮影画像のバラツキの影響を大きく受け、正確な表裏判定が困難な場合がある。
【0011】
本発明は上記問題点を解決するためになされたもので、画像処理による金属膜の形成された金属板等の物品の表裏判定能力を向上させることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記課題を達成するため、本発明の物品の表裏判定方法は、判定対象となる被判定物品の表裏いずれかの面を撮像手段で撮影し、該撮像手段により得られた画像データから被判定物品の領域を検出し、検出された被判定物品の領域内における画素の輝度の標準偏差を求め、その算出結果に基づいて前記判定物品の表裏を判定することにある。
【0013】
前記物品の表裏判定方法において、前記被判定物品の領域内における画素の平均輝度と面積との少なくとも1つを求め、その算出結果と前記標準偏差の算出結果とに基づいて前記判定物品の表裏を判定することにある。
【0014】
本発明の物品の表裏判定装置は、判定対象となる被判定物品の表裏いずれかの面を撮影する撮像手段と、該撮像手段により得られた画像データから被判定物品の領域を検出し、検出された被判定物品の領域内における画素の輝度の標準偏差を求め、その算出結果に基づいて前記判定物品の表裏を判定する処理装置とを備えたことにある。
【0015】
前記物品の表裏判定装置において、前記処理装置は、前記被判定物品の領域内における画素の平均輝度と面積との少なくとも1つを求め、その算出結果と前記標準偏差の算出結果とに基づいて前記判定物品の表裏を判定することにある。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、少なくとも標準偏差の算出結果に基づいて物品の表裏を判定するため、画像処理による物品の表裏判定能力が向上する。
【0017】
また、標準偏差、平均輝度および面積の算出結果に基づいて物品の表裏を判定する場合には、更に画像処理による物品の表裏判定が確実になり、信頼性が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明の実施の形態について、表面実装型水晶振動デバイスに適用するキャップを例にとり図面を参照しながら説明する。図1はかかるキャップの表裏判定装置3を備えた供給搬送システム1の概略図である。
【0019】
キャップCとしては、例えば、図3に例示するものが使用される。同図(a)に示すキャップCは、コバール等の金属基体C1の表裏両面にニッケル層C2、C3が形成されている。そして、このキャップCの裏面すなわち前記セラミックパッケージ側の外周部には、Au―Sn系ろう材層C4が形成されている。なお、ニッケル層C3とAu―Sn系ろう材層C4間に、Auストライクメッキ層を形成した構成であってもよい。
【0020】
同図(b)に示すキャップCは、前記金属基体C1の表面にニッケル層C2が形成され、裏面に銅(Cu)膜C5が形成されている。そして、この銅膜C5にはAg―Cu系ろう材(銀ろう)層C6が全面に形成されている。
【0021】
同図(c)に示すキャップCは、前記金属基体C1の表裏両面にニッケル層C2、C2が形成されている。なお、かかるキャップCは、表裏面が同一材質であるため、表裏識別が不要である場合には、表裏判定を行なう必要はない。但し、表裏面の光沢や面の粗さが相違する場合には、表裏判定が可能である。
【0022】
供給搬送システム1は、パーツフィーダ(部品整列供給装置)2と、表裏判定装置3と、表裏反転ユニット5と、位置調整用カメラ6と、パレット7とを備えている。
【0023】
パーツフィーダ2は、収容されている多数のキャップCを個々に供給するものである。かかるパーツフィーダ2から供給されたキャップCは、図示省略のロボットに吸着されて表裏反転ユニット5に搬送されるようになっている。
【0024】
表裏判定装置3は、撮像手段としてのCCDカメラ(以下、カメラという。)8と、画像処理装置やFAパソコンやパソコン等の処理装置10とから構成されている。
【0025】
カメラ8は、ロボットで搬送されるキャップCの表裏いずれかの面を撮影するものである。このカメラ8には図示省略の光源が接続され、この光源からキャップCに向けて光を照射するようにしている。
【0026】
カメラ8によって撮影された画像は、処理装置10のA/D変換器11によってアナログ信号をデジタル信号に変換して取り込み部12に取り込まれる。すなわち、この取り込み部12に取り込まれた画像の各画素データが0〜255の256階調の輝度としての画像データに変換され、かかる画像データからキャップCの領域を検出する。
【0027】
また、処理装置10は、画像データを処理する画像処理部13を備える。画像処理部13は、見本キャップ表面の画像データを処理して登録する見本キャップ表面用登録部14と、見本キャップ裏面の画像データを処理して登録する見本キャップ裏面用登録部15と、判定対象となる被判定物品(キャップC)の画像データを処理して登録する判定キャップ用登録部16とから構成されている。
【0028】
具体的には、見本キャップ表面用登録部14は、見本キャップ表面の基準面積と、基準平均輝度と、基準標準偏差とを求める。基準面積は、見本キャップ領域内の全画素から所定輝度以上の画素数により設定される。基準平均輝度は、見本キャップ領域内の全画素の輝度の平均値である。基準標準偏差は、見本キャップ領域内の全画素の輝度の標準偏差である。すなわち、図2(a)に示すように、縦軸を画素数とし、横軸を256階調の輝度として表現したヒストグラムを作成する。そして、輝度分布の広がり幅(平均輝度±標準偏差)を測定するようになっている。このように求められた各データは、見本キャップ表面登録部14に算出結果(初期登録1)として記憶される。
【0029】
また、同様にして見本キャップ裏面の基準面積と、基準平均輝度と、基準標準偏差とをそれぞれ求める。このように求められた各データは、見本キャップ裏面用登録部15に算出結果(初期登録2)として記憶される。
【0030】
また、製品となるキャップCの一面もカメラ8により撮影される。そして、見本キャップと同様にキャップの面積、平均輝度、標準偏差が求められるようになっている。算出された各データは、判定キャップ用登録部16に記憶される。
【0031】
また、処理装置10は、見本キャップ表面用登録部14および見本キャップ裏面用登録部15にそれぞれ登録された算出結果と、判定キャップ用登録部16に登録された算出結果とを比較して表裏を判定する判定部17を備えている。
【0032】
表裏反転ユニット5は、前記表裏判定装置3の判定結果が、キャップCが裏であると判定された場合には、そのキャップCを表に反転させるものである。
【0033】
表が上面となるように統一されたキャップCは、図示省略のロボットによりパレット7に搬送される。なお、このキャップCの搬送時に、位置調整用カメラ6でキャップCの位置が確認され、パレット7の所定位置に載置されるようになっている。
【0034】
次に、上記構成からなる供給搬送システム1の動作について、図4および図5のフロー図を参照しながら説明する。
【0035】
先ず、図4に示すように、見本キャップの初期登録を行う。すなわち、カメラ8で見本キャップ表面を撮影し(S1)、そのキャップの領域を検出する(S2)。
【0036】
さらに、検出された見本キャップ表面の画像データに基づいて見本キャップ表面の基準面積、基準平均輝度および基準標準偏差を求める(S3)。そして、それらのデータを初期登録1として見本キャップ表面用登録部14に記憶する(S4)。
【0037】
また、同キャップ裏面の画像を撮像する(S5)。さらに、同キャップの裏の画像データに基づいて基準面積、基準平均輝度および基準標準偏差を求める(S6)。さらに、それらのデータを初期登録2として見本キャップ裏面用登録部15に記憶する(S7)。
【0038】
見本キャップ表裏の基準面積、基準平均輝度および基準標準偏差は、判定するキャップCの種類に応じて相違するため、そのキャップC毎に初期登録1、2は、それぞれ所定範囲で設定値が設定される。例えば、表裏の面積で判定し難いキャップに対しては、それぞれの表裏の基準面積の設定値の範囲を大ききく設定し、表裏の面積での誤判定を避けるようにしている。そして、他の判定方法、例えば、標準偏差で判定するようにする。
【0039】
なお、かかる見本キャップの初期登録は、前記カメラ8以外のカメラで行ってもよい。また、判定するキャップCの種類に応じた複数種類の見本キャップの初期登録1、2を予め行っておくことも可能である。
【0040】
次に、キャップCの判定および搬送工程について説明する。先ず、パーツフィーダ2からロボットがキャップCを取り、表裏反転ユニット5に搬送する。この搬送の途中において、図5に示すように、カメラ8が搬送されるキャップCの一面を撮影する(S8)。そして、そのキャップCの領域を検出する(S9)。この検出された画像データに基づいてキャップCの面積、平均輝度および標準偏差を求める(S10)。
【0041】
さらに、このように求められたキャップCの面積、平均輝度および標準偏差の算出結果と、初期登録1(見本キャップ表面の基準面積、基準平均輝度および基準標準偏差)のそれぞれの設定値とを比較する(S11)。そして、面積判定、平均輝度判定および標準偏差判定において、いずれも設定値の範囲内であると判断した場合には、表であると判定する(S12)。
【0042】
面積判定、平均輝度判定および標準偏差判定の何れかで表でないと判定された場合には、キャップCの面積、平均輝度および標準偏差の算出結果と、初期登録2(見本キャップ裏面の基準面積、基準平均輝度および基準標準偏差)のそれぞれの設定値と比較する(S13)。そして、面積判定、平均輝度判定、標準偏差判定において、設定値の範囲内である場合には、裏であると判定する(S14)。
【0043】
例えば、図3(a)に示すキャップCの表裏を判定する場合について説明する。このキャップCの裏面を撮影した場合には、その裏面の外周縁部にAu―Sn系ろう材層C4が帯状に形成されているため、この帯状の中央部分は明るく撮影され、端の部分は暗く撮影される。この結果、裏面の面積は、初期登録1の基準面積の設定値よりも小さい(または範囲外)と判断される。なお、初期登録1の基準面積は、見本キャップ表面全面が明るく撮影されるため、キャップの領域内の全画素数が基準面積に相当する。
【0044】
また、このキャップC裏面の平均輝度は、初期登録1の基準平均輝度の設定値よりも小さい(または範囲外)と判断される。また、このキャップCの裏面の標準偏差は、初期登録1の標準偏差の設定値と相違する(または範囲外)と判断される。
【0045】
また、何れかの判定が裏でないと判定された場合には、不良と判定される(S15)。
【0046】
以上のように、表裏判定装置3でキャップCの表裏判定を行う。そして、キャップCが表と判定された場合には、表裏反転ユニット5に搬送されたキャップは、表裏反転ユニット5で反転されることない。反対にキャップCが裏と判定された場合には、キャップCは、表裏反転ユニット5で反転される。
【0047】
このように、キャップCの上面が表面となるように統一されると、そのキャップCをロボットで搬送する際に、位置調整用カメラ6で位置検出し、さらに位置補正してパレット7の所定位置に載置する。そして、パレット7に載置された複数のキャップCは、パレット7とともに、次工程に搬送される。なお、不良と判定されたキャップCは、表裏反転ユニット5から不良品ボックス20に排出される。
【0048】
以上のように、本実施の形態は、キャップCの表裏判定を、カメラ8による面積判定、平均輝度判定および標準偏差判定の3つのそれぞれ相違する表判定方法を採用している。そして、その判定方法の何れか1つでも表でないと判定された場合に、さらに、3つの判定方法で裏判定を行っている。
【0049】
この結果、キャップCの判定ミスを減少させることができ、キャップCの判定結果の信頼性が向上し、製品の歩留りを向上させることができる。
【0050】
本発明は、前記実施の形態に限定されるものではない。例えば、キャップCの種類に応じて、各判定の設定値の範囲を任意に設定したり、場合によっては、判定方法を任意に選んで設定したりすることも可能である。
【実施例】
【0051】
図6〜図10に、2種類のキャップを実際に測定した実験結果を例示する。
【0052】
図6、図7および図10(a)は、図3(a)で示したキャップ(Au―Sn系ろう材にて封止を行うDSX211A用キャップ)の場合を示す。
【0053】
図10(a)は、DSX211A用キャップ20枚の表裏を測定した結果をそれぞれ示す。数値は、見本登録した画像の値との差(割合)をそれぞれ示す。
【0054】
図6(a)において、横軸は初期登録1に対する表裏面の面積を表示し、縦軸はその頻度を表示する。同図(b)において、横軸は初期登録1に対する表裏面の平均輝度を表示し、縦軸はその頻度を表示する。同図(c)において、横軸は初期登録1に対する表裏面の標準偏差を表示し、縦軸はその頻度を表示する。
【0055】
図7(a)において、横軸は初期登録2に対する表裏の面積を表示し、縦軸はその頻度を表示する。同図(b)において、横軸は初期登録2に対する表裏面の平均輝度を表示し、縦軸はその頻度を表示する。同図(c)において、横軸は初期登録2に対する表裏面の標準偏差を表示し、縦軸はその頻度を表示する。
【0056】
以上のように、前記DSX211A用キャップの場合は、面積判定、平均輝度判定および標準偏差判定において、表裏の区別ができていることが確認できた。
【0057】
また、図8、図9および図10(b)は、図3(b)で示したキャップ(銀ろう材を用いてシーム溶接封止を行うDST310S用キャップ)の場合を示す。
【0058】
図10(b)は、DST310S用キャップ20枚の表裏を測定した結果をそれぞれ示す。数値は、見本登録した画像の値との差(割合)をそれぞれ示す。
【0059】
図8(a)において、横軸は初期登録1に対する表裏の面積を表示し、縦軸はその頻度を表示する。同図(b)において、横軸は初期登録1に対する表裏面の平均輝度を表示し、縦軸はその頻度を表示する。同図(c)において、横軸は初期登録1に対する表裏面の標準偏差を表示し、縦軸はその頻度を表示する。
【0060】
図9(a)において、横軸は初期登録2に対する表裏の面積を表示し、縦軸はその頻度を表示する。同図(b)において、横軸は初期登録2に対する表裏面の平均輝度を表示し、縦軸はその頻度を表示する。同図(c)において、横軸は初期登録2に対する表裏面の標準偏差を表示し、縦軸はその頻度を表示する。
【0061】
以上のように、前記DST310S用キャップの場合は、特に標準偏差において、表裏の区別ができていることが確認できた。
【0062】
このように、測定結果からは、いずれの場合にも標準偏差判定における表裏判定が特に有効であることが確認できた。例えば、ロボットがパーツフィーダ2から供給されたキャップCを搬送する際に、キャップCが煽る等した場合には、図2(b)に示すように、同じ面であっても検出される平均輝度が若干相違(横軸方向にシフト)する場合があるが、標準偏差は同等に算出されるため、標準偏差判定により、表裏判定を確実に行うことが可能である。
【0063】
また、実際の供給搬送システム1において、パーツフィーダ2からロボットによるキャップCの吸着ミス等が発生するトラブルを考慮する必要がある。かかる場合には、キャップCは搬送されないため、カメラ8は、キャップCを撮影することはない。しかしながら、カメラ8による画像データに基づいて画像処理が行われる。この結果、標準偏差判定においては正確に判定できないおそれがあるが、面積判定において、所定面積以下の場合はキャップCが無いと判断することにより、キャップCの搬送ミスと判定することは可能であり、前記3つの判定を採用することの効果は大きい。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の一実施の形態に係る供給搬送システムの概略を示す構成図である。
【図2】(a)および(b)は、同装置により作成されたヒストグラムをそれぞれ示す図である。
【図3】(a)〜(c)は、各種類のキャップの断面図である。
【図4】見本キャップの初期登録を示すフロー図である。
【図5】キャップ表裏判定フロー図である。
【図6】(a)はキャップの初期登録1における面積と頻度との関係を示す図、(b)は同平均輝度と頻度との関係を示す図、(c)は同標準偏差と頻度との関係を示す図である。
【図7】(a)はキャップの初期登録2における面積と頻度との関係を示す図、(b)は同平均輝度と頻度との関係を示す図、(c)は同標準偏差と頻度との関係を示す図である。
【図8】(a)はキャップの初期登録1における面積と頻度との関係を示す図、(b)は同平均輝度と頻度との関係を示す図、(c)は同標準偏差と頻度との関係を示す図である。
【図9】(a)はキャップの初期登録2における面積と頻度との関係を示す図、(b)は同平均輝度と頻度との関係を示す図、(c)は同標準偏差と頻度との関係を示す図である。
【図10】(a)は図6および図7に対応する測定値を示す図、(b)は図8および図9に対応する測定値を示す図である。
【図11】従来の水晶振動デバイスの構成を示す分解斜視図である。
【符号の説明】
【0065】
1 供給搬送システム
2 パーツフィーダ
3 表裏判定装置
5 表裏反転ユニット
6 位置調整用カメラ
7 パレット
8 カメラ(撮像手段)
10 処理装置
11 A/D変換器
12 取り込み部
13 画像処理部
14 見本キャップ表面用登録部
15 見本キャップ裏面用登録部
16 判定キャップ用登録部
17 判定部
C キャップ(被判定物品)
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば金属膜の形成された金属板等の物品の表裏判定方法およびその装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、表面実装型電子部品は、断面が凹型のセラミックパッケージを用い、内部に電子素子を搭載し、金属板からなるキャップ(リッド)で気密封止する構成が多用されている。封止方法もレーザー等のビームによる封止やシーム等の抵抗加熱による封止あるいはハンダ封止等各種の封止方法があるが、いずれもセラミックパッケージ側やキャップに設けられた金属膜を溶融させることにより行っている。
【0003】
従来例について、表面実装型水晶振動デバイスを例にとり図11を参照しながら説明する。表面実装型水晶振動デバイスは、上部が開口した凹部を有するセラミックパッケージ30と、このパッケージの中に収納される圧電振動板である水晶振動板31と、パッケージの開口部に接合されるキャップCとからなる。
【0004】
セラミックパッケージ30の周壁上面には周状の金属層30aが形成されている。また、キャップCはコバール等の金属基体C1の表面にニッケル(Ni)膜C2を形成した構成である。このキャップCの下面すなわち前記セラミックパッケージ側には銀ろう層C6が形成されている。電子素子である水晶振動板31をパッケージ30内に収納し、キャップCで気密封止を行う。気密封止はシーム溶接により行う。
【0005】
従来、シーム溶接はセラミックパッケージ側に金属製のシールリングを取り付け、シールリングに形成された最上層の金層等を溶融させて気密封止を行っていたが、パッケージの小型化や薄型化そして低コスト化に対応させるために、上述のようにキャップの一方面に銀ろうを形成しこれを溶融させる技術が採用されるようになってきた。
【0006】
シールリングを用いたシーム溶接においては、キャップ表裏面は同材料であったが、上述の銀ろうを用いる封止技術においては、一方面にのみ銀ろうが形成されるために、キャップについて表裏の区別が必要となった。
【0007】
そこで、キャップ表裏を判定する表裏判定装置として、金属板の表裏いずれかの面に近接または当接するコイルを内蔵した測定プローブと、金属板に近接または当接することにより変化する前記コイルの電気変化量を検出する膜厚測定部と、検出された電気変化量と予め定められた膜厚に関連する電気変化量とを比較して測定した面の表裏を判定する判定部を有するものが公知である(例えば、特許文献1参照)。
【0008】
また、カメラを使用した画像処理装置も公知である(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2003−60102号公報
【特許文献2】特開2004−320676号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、前記特許文献1に記載の表裏判定装置は、表裏に厚さの異なる非磁性金属膜の電気変化量と、予め定められた膜厚に関連する電気変化量とを比較して測定した面の表裏を判定する構成である。このため、測定プローブと測定した面との距離によって、測定結果に対する正確性が低下するおそれがある。特に被測定物に非接触で測定する場合は、近接距離を小さくする必要がある。
【0010】
また、前記特許文献2に記載の表裏判定装置は、カメラで撮影した画像を基にグレースケールにより判定するものである。かかる判定は、各面の輝度の相違により判定する構成であるため、キャップ撮影画像のバラツキの影響を大きく受け、正確な表裏判定が困難な場合がある。
【0011】
本発明は上記問題点を解決するためになされたもので、画像処理による金属膜の形成された金属板等の物品の表裏判定能力を向上させることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記課題を達成するため、本発明の物品の表裏判定方法は、判定対象となる被判定物品の表裏いずれかの面を撮像手段で撮影し、該撮像手段により得られた画像データから被判定物品の領域を検出し、検出された被判定物品の領域内における画素の輝度の標準偏差を求め、その算出結果に基づいて前記判定物品の表裏を判定することにある。
【0013】
前記物品の表裏判定方法において、前記被判定物品の領域内における画素の平均輝度と面積との少なくとも1つを求め、その算出結果と前記標準偏差の算出結果とに基づいて前記判定物品の表裏を判定することにある。
【0014】
本発明の物品の表裏判定装置は、判定対象となる被判定物品の表裏いずれかの面を撮影する撮像手段と、該撮像手段により得られた画像データから被判定物品の領域を検出し、検出された被判定物品の領域内における画素の輝度の標準偏差を求め、その算出結果に基づいて前記判定物品の表裏を判定する処理装置とを備えたことにある。
【0015】
前記物品の表裏判定装置において、前記処理装置は、前記被判定物品の領域内における画素の平均輝度と面積との少なくとも1つを求め、その算出結果と前記標準偏差の算出結果とに基づいて前記判定物品の表裏を判定することにある。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、少なくとも標準偏差の算出結果に基づいて物品の表裏を判定するため、画像処理による物品の表裏判定能力が向上する。
【0017】
また、標準偏差、平均輝度および面積の算出結果に基づいて物品の表裏を判定する場合には、更に画像処理による物品の表裏判定が確実になり、信頼性が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明の実施の形態について、表面実装型水晶振動デバイスに適用するキャップを例にとり図面を参照しながら説明する。図1はかかるキャップの表裏判定装置3を備えた供給搬送システム1の概略図である。
【0019】
キャップCとしては、例えば、図3に例示するものが使用される。同図(a)に示すキャップCは、コバール等の金属基体C1の表裏両面にニッケル層C2、C3が形成されている。そして、このキャップCの裏面すなわち前記セラミックパッケージ側の外周部には、Au―Sn系ろう材層C4が形成されている。なお、ニッケル層C3とAu―Sn系ろう材層C4間に、Auストライクメッキ層を形成した構成であってもよい。
【0020】
同図(b)に示すキャップCは、前記金属基体C1の表面にニッケル層C2が形成され、裏面に銅(Cu)膜C5が形成されている。そして、この銅膜C5にはAg―Cu系ろう材(銀ろう)層C6が全面に形成されている。
【0021】
同図(c)に示すキャップCは、前記金属基体C1の表裏両面にニッケル層C2、C2が形成されている。なお、かかるキャップCは、表裏面が同一材質であるため、表裏識別が不要である場合には、表裏判定を行なう必要はない。但し、表裏面の光沢や面の粗さが相違する場合には、表裏判定が可能である。
【0022】
供給搬送システム1は、パーツフィーダ(部品整列供給装置)2と、表裏判定装置3と、表裏反転ユニット5と、位置調整用カメラ6と、パレット7とを備えている。
【0023】
パーツフィーダ2は、収容されている多数のキャップCを個々に供給するものである。かかるパーツフィーダ2から供給されたキャップCは、図示省略のロボットに吸着されて表裏反転ユニット5に搬送されるようになっている。
【0024】
表裏判定装置3は、撮像手段としてのCCDカメラ(以下、カメラという。)8と、画像処理装置やFAパソコンやパソコン等の処理装置10とから構成されている。
【0025】
カメラ8は、ロボットで搬送されるキャップCの表裏いずれかの面を撮影するものである。このカメラ8には図示省略の光源が接続され、この光源からキャップCに向けて光を照射するようにしている。
【0026】
カメラ8によって撮影された画像は、処理装置10のA/D変換器11によってアナログ信号をデジタル信号に変換して取り込み部12に取り込まれる。すなわち、この取り込み部12に取り込まれた画像の各画素データが0〜255の256階調の輝度としての画像データに変換され、かかる画像データからキャップCの領域を検出する。
【0027】
また、処理装置10は、画像データを処理する画像処理部13を備える。画像処理部13は、見本キャップ表面の画像データを処理して登録する見本キャップ表面用登録部14と、見本キャップ裏面の画像データを処理して登録する見本キャップ裏面用登録部15と、判定対象となる被判定物品(キャップC)の画像データを処理して登録する判定キャップ用登録部16とから構成されている。
【0028】
具体的には、見本キャップ表面用登録部14は、見本キャップ表面の基準面積と、基準平均輝度と、基準標準偏差とを求める。基準面積は、見本キャップ領域内の全画素から所定輝度以上の画素数により設定される。基準平均輝度は、見本キャップ領域内の全画素の輝度の平均値である。基準標準偏差は、見本キャップ領域内の全画素の輝度の標準偏差である。すなわち、図2(a)に示すように、縦軸を画素数とし、横軸を256階調の輝度として表現したヒストグラムを作成する。そして、輝度分布の広がり幅(平均輝度±標準偏差)を測定するようになっている。このように求められた各データは、見本キャップ表面登録部14に算出結果(初期登録1)として記憶される。
【0029】
また、同様にして見本キャップ裏面の基準面積と、基準平均輝度と、基準標準偏差とをそれぞれ求める。このように求められた各データは、見本キャップ裏面用登録部15に算出結果(初期登録2)として記憶される。
【0030】
また、製品となるキャップCの一面もカメラ8により撮影される。そして、見本キャップと同様にキャップの面積、平均輝度、標準偏差が求められるようになっている。算出された各データは、判定キャップ用登録部16に記憶される。
【0031】
また、処理装置10は、見本キャップ表面用登録部14および見本キャップ裏面用登録部15にそれぞれ登録された算出結果と、判定キャップ用登録部16に登録された算出結果とを比較して表裏を判定する判定部17を備えている。
【0032】
表裏反転ユニット5は、前記表裏判定装置3の判定結果が、キャップCが裏であると判定された場合には、そのキャップCを表に反転させるものである。
【0033】
表が上面となるように統一されたキャップCは、図示省略のロボットによりパレット7に搬送される。なお、このキャップCの搬送時に、位置調整用カメラ6でキャップCの位置が確認され、パレット7の所定位置に載置されるようになっている。
【0034】
次に、上記構成からなる供給搬送システム1の動作について、図4および図5のフロー図を参照しながら説明する。
【0035】
先ず、図4に示すように、見本キャップの初期登録を行う。すなわち、カメラ8で見本キャップ表面を撮影し(S1)、そのキャップの領域を検出する(S2)。
【0036】
さらに、検出された見本キャップ表面の画像データに基づいて見本キャップ表面の基準面積、基準平均輝度および基準標準偏差を求める(S3)。そして、それらのデータを初期登録1として見本キャップ表面用登録部14に記憶する(S4)。
【0037】
また、同キャップ裏面の画像を撮像する(S5)。さらに、同キャップの裏の画像データに基づいて基準面積、基準平均輝度および基準標準偏差を求める(S6)。さらに、それらのデータを初期登録2として見本キャップ裏面用登録部15に記憶する(S7)。
【0038】
見本キャップ表裏の基準面積、基準平均輝度および基準標準偏差は、判定するキャップCの種類に応じて相違するため、そのキャップC毎に初期登録1、2は、それぞれ所定範囲で設定値が設定される。例えば、表裏の面積で判定し難いキャップに対しては、それぞれの表裏の基準面積の設定値の範囲を大ききく設定し、表裏の面積での誤判定を避けるようにしている。そして、他の判定方法、例えば、標準偏差で判定するようにする。
【0039】
なお、かかる見本キャップの初期登録は、前記カメラ8以外のカメラで行ってもよい。また、判定するキャップCの種類に応じた複数種類の見本キャップの初期登録1、2を予め行っておくことも可能である。
【0040】
次に、キャップCの判定および搬送工程について説明する。先ず、パーツフィーダ2からロボットがキャップCを取り、表裏反転ユニット5に搬送する。この搬送の途中において、図5に示すように、カメラ8が搬送されるキャップCの一面を撮影する(S8)。そして、そのキャップCの領域を検出する(S9)。この検出された画像データに基づいてキャップCの面積、平均輝度および標準偏差を求める(S10)。
【0041】
さらに、このように求められたキャップCの面積、平均輝度および標準偏差の算出結果と、初期登録1(見本キャップ表面の基準面積、基準平均輝度および基準標準偏差)のそれぞれの設定値とを比較する(S11)。そして、面積判定、平均輝度判定および標準偏差判定において、いずれも設定値の範囲内であると判断した場合には、表であると判定する(S12)。
【0042】
面積判定、平均輝度判定および標準偏差判定の何れかで表でないと判定された場合には、キャップCの面積、平均輝度および標準偏差の算出結果と、初期登録2(見本キャップ裏面の基準面積、基準平均輝度および基準標準偏差)のそれぞれの設定値と比較する(S13)。そして、面積判定、平均輝度判定、標準偏差判定において、設定値の範囲内である場合には、裏であると判定する(S14)。
【0043】
例えば、図3(a)に示すキャップCの表裏を判定する場合について説明する。このキャップCの裏面を撮影した場合には、その裏面の外周縁部にAu―Sn系ろう材層C4が帯状に形成されているため、この帯状の中央部分は明るく撮影され、端の部分は暗く撮影される。この結果、裏面の面積は、初期登録1の基準面積の設定値よりも小さい(または範囲外)と判断される。なお、初期登録1の基準面積は、見本キャップ表面全面が明るく撮影されるため、キャップの領域内の全画素数が基準面積に相当する。
【0044】
また、このキャップC裏面の平均輝度は、初期登録1の基準平均輝度の設定値よりも小さい(または範囲外)と判断される。また、このキャップCの裏面の標準偏差は、初期登録1の標準偏差の設定値と相違する(または範囲外)と判断される。
【0045】
また、何れかの判定が裏でないと判定された場合には、不良と判定される(S15)。
【0046】
以上のように、表裏判定装置3でキャップCの表裏判定を行う。そして、キャップCが表と判定された場合には、表裏反転ユニット5に搬送されたキャップは、表裏反転ユニット5で反転されることない。反対にキャップCが裏と判定された場合には、キャップCは、表裏反転ユニット5で反転される。
【0047】
このように、キャップCの上面が表面となるように統一されると、そのキャップCをロボットで搬送する際に、位置調整用カメラ6で位置検出し、さらに位置補正してパレット7の所定位置に載置する。そして、パレット7に載置された複数のキャップCは、パレット7とともに、次工程に搬送される。なお、不良と判定されたキャップCは、表裏反転ユニット5から不良品ボックス20に排出される。
【0048】
以上のように、本実施の形態は、キャップCの表裏判定を、カメラ8による面積判定、平均輝度判定および標準偏差判定の3つのそれぞれ相違する表判定方法を採用している。そして、その判定方法の何れか1つでも表でないと判定された場合に、さらに、3つの判定方法で裏判定を行っている。
【0049】
この結果、キャップCの判定ミスを減少させることができ、キャップCの判定結果の信頼性が向上し、製品の歩留りを向上させることができる。
【0050】
本発明は、前記実施の形態に限定されるものではない。例えば、キャップCの種類に応じて、各判定の設定値の範囲を任意に設定したり、場合によっては、判定方法を任意に選んで設定したりすることも可能である。
【実施例】
【0051】
図6〜図10に、2種類のキャップを実際に測定した実験結果を例示する。
【0052】
図6、図7および図10(a)は、図3(a)で示したキャップ(Au―Sn系ろう材にて封止を行うDSX211A用キャップ)の場合を示す。
【0053】
図10(a)は、DSX211A用キャップ20枚の表裏を測定した結果をそれぞれ示す。数値は、見本登録した画像の値との差(割合)をそれぞれ示す。
【0054】
図6(a)において、横軸は初期登録1に対する表裏面の面積を表示し、縦軸はその頻度を表示する。同図(b)において、横軸は初期登録1に対する表裏面の平均輝度を表示し、縦軸はその頻度を表示する。同図(c)において、横軸は初期登録1に対する表裏面の標準偏差を表示し、縦軸はその頻度を表示する。
【0055】
図7(a)において、横軸は初期登録2に対する表裏の面積を表示し、縦軸はその頻度を表示する。同図(b)において、横軸は初期登録2に対する表裏面の平均輝度を表示し、縦軸はその頻度を表示する。同図(c)において、横軸は初期登録2に対する表裏面の標準偏差を表示し、縦軸はその頻度を表示する。
【0056】
以上のように、前記DSX211A用キャップの場合は、面積判定、平均輝度判定および標準偏差判定において、表裏の区別ができていることが確認できた。
【0057】
また、図8、図9および図10(b)は、図3(b)で示したキャップ(銀ろう材を用いてシーム溶接封止を行うDST310S用キャップ)の場合を示す。
【0058】
図10(b)は、DST310S用キャップ20枚の表裏を測定した結果をそれぞれ示す。数値は、見本登録した画像の値との差(割合)をそれぞれ示す。
【0059】
図8(a)において、横軸は初期登録1に対する表裏の面積を表示し、縦軸はその頻度を表示する。同図(b)において、横軸は初期登録1に対する表裏面の平均輝度を表示し、縦軸はその頻度を表示する。同図(c)において、横軸は初期登録1に対する表裏面の標準偏差を表示し、縦軸はその頻度を表示する。
【0060】
図9(a)において、横軸は初期登録2に対する表裏の面積を表示し、縦軸はその頻度を表示する。同図(b)において、横軸は初期登録2に対する表裏面の平均輝度を表示し、縦軸はその頻度を表示する。同図(c)において、横軸は初期登録2に対する表裏面の標準偏差を表示し、縦軸はその頻度を表示する。
【0061】
以上のように、前記DST310S用キャップの場合は、特に標準偏差において、表裏の区別ができていることが確認できた。
【0062】
このように、測定結果からは、いずれの場合にも標準偏差判定における表裏判定が特に有効であることが確認できた。例えば、ロボットがパーツフィーダ2から供給されたキャップCを搬送する際に、キャップCが煽る等した場合には、図2(b)に示すように、同じ面であっても検出される平均輝度が若干相違(横軸方向にシフト)する場合があるが、標準偏差は同等に算出されるため、標準偏差判定により、表裏判定を確実に行うことが可能である。
【0063】
また、実際の供給搬送システム1において、パーツフィーダ2からロボットによるキャップCの吸着ミス等が発生するトラブルを考慮する必要がある。かかる場合には、キャップCは搬送されないため、カメラ8は、キャップCを撮影することはない。しかしながら、カメラ8による画像データに基づいて画像処理が行われる。この結果、標準偏差判定においては正確に判定できないおそれがあるが、面積判定において、所定面積以下の場合はキャップCが無いと判断することにより、キャップCの搬送ミスと判定することは可能であり、前記3つの判定を採用することの効果は大きい。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の一実施の形態に係る供給搬送システムの概略を示す構成図である。
【図2】(a)および(b)は、同装置により作成されたヒストグラムをそれぞれ示す図である。
【図3】(a)〜(c)は、各種類のキャップの断面図である。
【図4】見本キャップの初期登録を示すフロー図である。
【図5】キャップ表裏判定フロー図である。
【図6】(a)はキャップの初期登録1における面積と頻度との関係を示す図、(b)は同平均輝度と頻度との関係を示す図、(c)は同標準偏差と頻度との関係を示す図である。
【図7】(a)はキャップの初期登録2における面積と頻度との関係を示す図、(b)は同平均輝度と頻度との関係を示す図、(c)は同標準偏差と頻度との関係を示す図である。
【図8】(a)はキャップの初期登録1における面積と頻度との関係を示す図、(b)は同平均輝度と頻度との関係を示す図、(c)は同標準偏差と頻度との関係を示す図である。
【図9】(a)はキャップの初期登録2における面積と頻度との関係を示す図、(b)は同平均輝度と頻度との関係を示す図、(c)は同標準偏差と頻度との関係を示す図である。
【図10】(a)は図6および図7に対応する測定値を示す図、(b)は図8および図9に対応する測定値を示す図である。
【図11】従来の水晶振動デバイスの構成を示す分解斜視図である。
【符号の説明】
【0065】
1 供給搬送システム
2 パーツフィーダ
3 表裏判定装置
5 表裏反転ユニット
6 位置調整用カメラ
7 パレット
8 カメラ(撮像手段)
10 処理装置
11 A/D変換器
12 取り込み部
13 画像処理部
14 見本キャップ表面用登録部
15 見本キャップ裏面用登録部
16 判定キャップ用登録部
17 判定部
C キャップ(被判定物品)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
判定対象となる被判定物品の表裏いずれかの面を撮像手段で撮影し、該撮像手段により得られた画像データから被判定物品の領域を検出し、検出された被判定物品の領域内における画素の輝度の標準偏差を求め、その算出結果に基づいて前記判定物品の表裏を判定することを特徴とする物品の表裏判定方法。
【請求項2】
前記請求項1に記載の物品の表裏判定方法において、前記被判定物品の領域内における画素の平均輝度と面積との少なくとも1つを求め、その算出結果と前記標準偏差の算出結果とに基づいて前記判定物品の表裏を判定することを特徴とする物品の表裏判定方法。
【請求項3】
判定対象となる被判定物品の表裏いずれかの面を撮影する撮像手段と、該撮像手段により得られた画像データから被判定物品の領域を検出し、検出された被判定物品の領域内における画素の輝度の標準偏差を求め、その算出結果に基づいて前記判定物品の表裏を判定する処理装置とを備えたことを特徴とする物品の表裏判定装置。
【請求項4】
前記請求項3に記載の物品の表裏判定装置において、前記処理装置は、前記被判定物品の領域内における画素の平均輝度と面積との少なくとも1つを求め、その算出結果と前記標準偏差の算出結果とに基づいて前記判定物品の表裏を判定することを特徴とする物品の表裏判定装置。
【請求項1】
判定対象となる被判定物品の表裏いずれかの面を撮像手段で撮影し、該撮像手段により得られた画像データから被判定物品の領域を検出し、検出された被判定物品の領域内における画素の輝度の標準偏差を求め、その算出結果に基づいて前記判定物品の表裏を判定することを特徴とする物品の表裏判定方法。
【請求項2】
前記請求項1に記載の物品の表裏判定方法において、前記被判定物品の領域内における画素の平均輝度と面積との少なくとも1つを求め、その算出結果と前記標準偏差の算出結果とに基づいて前記判定物品の表裏を判定することを特徴とする物品の表裏判定方法。
【請求項3】
判定対象となる被判定物品の表裏いずれかの面を撮影する撮像手段と、該撮像手段により得られた画像データから被判定物品の領域を検出し、検出された被判定物品の領域内における画素の輝度の標準偏差を求め、その算出結果に基づいて前記判定物品の表裏を判定する処理装置とを備えたことを特徴とする物品の表裏判定装置。
【請求項4】
前記請求項3に記載の物品の表裏判定装置において、前記処理装置は、前記被判定物品の領域内における画素の平均輝度と面積との少なくとも1つを求め、その算出結果と前記標準偏差の算出結果とに基づいて前記判定物品の表裏を判定することを特徴とする物品の表裏判定装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−91298(P2010−91298A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−258863(P2008−258863)
【出願日】平成20年10月3日(2008.10.3)
【出願人】(000149734)株式会社大真空 (312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年10月3日(2008.10.3)
【出願人】(000149734)株式会社大真空 (312)
【Fターム(参考)】
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