説明

物品の転向搬送用中継ベルトコンベヤ

【課題】 物品の転向搬送用中継ベルトコンベヤとして、構造がコンパクトで、コストの低いものを提供する。
【解決手段】 前後のベルトコンベヤ間をのびるとともに長側辺部12と短側辺部13を有する台形状のナイフエッジ形ベルト支持板11と、ベルト支持板11に前後のベルトコンベヤの隣接端辺間を往復的にのびるように張設した、長側部と短側部に長タイミングベルト16と短タイミングベルト17を取り付けた筒状の横編布製シームレスベルト15と、シームレスベルト15の直上で長タイミングベルト16と短タイミングベルト17の内側部に走行案内可能に沿接しかつシームレスベルト15を平面的に台形状を呈するように張設する長ベルトガイド・張設バー18及び短ベルトガイド・張設バー19と、長タイミングベルト16と短タイミングベルト17にシームレスベルト15の長短の両側部を同一位相で走行可能に係合する伝動タイミングギヤ20、21とからなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、物品を直角(90度)等の適宜の角度転向して搬送するために、搬送方向線(軸線)が交差する前後のベルトコンベヤの間に設置する物品の転向搬送用中継ベルトコンベヤに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の中継ベルトコンベヤは、一般には、コーナーベルトコンベヤと称されているが、典型的なものとしては、エンドレスベルトが平面的に円弧状にのびるカーブ形のものが知られている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
しかしこの公知のカーブ形の中継ベルトコンベヤでは、エンドレスベルトを円弧状に保持して移動させるために、エンドレスベルトに外周縁部に沿ってのびる把持用突条を設ける一方、円弧状フレーム、該フレームに取り付ける複数対の上下の把持ローラなどが必要であり、構造が複雑で、製作や保守点検のコストが高くつくという問題がある。
【特許文献1】実公平4−42245号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この発明は、公知の中継ベルトコンベヤに認められる上記のような問題に鑑み、構造がよりコンパクトで、より低コストの物品の転向搬送用中継ベルトコンベヤを提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明によれば、上記の課題は、特許請求の範囲の請求項1に記載のように、基本的には、搬送方向線が交差する前ベルトコンベヤと後ベルトコンベヤの間に延在する、相互に接離するようにのびる前ベルトコンベヤ隣接端辺及び後ベルトコンベヤ隣接端辺並びに前ベルトコンベヤ隣接端辺と後ベルトコンベヤ隣接端辺の対向する各端間を平行にのびる長側辺部及び短側辺部を有する平面的に台形状のナイフエッジ形ベルト支持板と、ベルト支持板の前ベルトコンベヤ隣接端辺と後ベルトコンベヤ隣接端辺の間をベルト支持板の上下(表裏)部を通して往復的にのびるように張設した、ベルト支持板の長側辺部と短側辺部のそれぞれをのびる長筒口端部の長側部と短筒口端部の短側部を有する円錐形筒状の編布製シームレスベルトであって、長側部と短側部の外周部に、それぞれエンドレスの長タイミングベルト(歯付きベルト)と短タイミングベルトを取り付けたシームレスベルトと、シームレスベルトの直上において長タイミングベルトと短タイミングベルトの各対向側部に走行案内可能に沿接するとともにシームレスベルトを支持板上において、長側部と短側部のそれぞれがベルト支持板の長側辺部と短側辺部をのびて、平面的に台形状を呈するように張設する長ベルトガイド・張設バー及び短ベルトガイド・張設バーと、長タイミングベルトと短タイミングベルトのそれぞれに、シームレスベルトの長側部と短側部を同一位相で走行可能に係合する一対の伝動タイミングギヤとからなる、物品の転向搬送用中継ベルトコンベヤによって解決する。
【0006】
この発明に係る中継ベルトコンベヤにおいては、各伝動タイミングギヤを介した長タイミングベルトと短タイミングベルトの同位相の走行によって、ベルト支持板上のシームレスベルトの往路部を前ベルトコンベヤ側から後ベルトコンベヤ側に走行させるもので、これにより前者から受容した物品は、後者に向かって搬送されて、後者に送り出される。
【0007】
この発明の中継ベルトコンベヤにおいては、特許請求の範囲の請求項2に記載のごとく、シームレスベルトの筒状の編布は、筒状の横編布とすることが望ましい。
【発明の効果】
【0008】
特許請求の範囲の請求項1に記載の基本構成によれば、ベルト支持板と、長短一対のタイミングベルト付きのシームレスベルトと、長短一対のベルトガイド・張設バーと、一対の伝動タイミングギアのみからなるコンパクトな構造であるため、製作コスト、保守点検コストが低減される。
【0009】
また特許請求の範囲の請求項2に記載のシームレスベルトの横編布構成によれば、伸縮率が極めて大きいので、一つのサイズのものを、比較的広範囲のサイズの中継ベルトコンベヤの作製に用いることができるとともに、製編時に使用する編糸は1本であるとともにベルトの長さ(周長)に対応する筒径の設定が簡単であるため、特にサイズや材質が異なる多種多様のシームレスベルト、従って中継ベルトコンベヤを安価に製作することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下図面に基づいて、この発明に係る中継ベルトコンベヤの好適な実施形態について説明する。
【0011】
図示の形態は、搬送方向線が直角に交差する前ベルトコンベヤ22と後ベルトコンベヤ23の間に設置したもので、ナイフエッジ形ベルト支持板11は、相互の間隔が増減するように傾斜してのびる前ベルトコンベヤ22隣接端辺と後ベルトコンベヤ23隣接端辺及び前ベルトコンベヤ22と後ベルトコンベヤ23の幅を超えて突出する長側辺部12と短側辺部13を有する平面的に台形状のプレートで、長側辺部12と短側辺部13の両端部に取り付けた支脚14によりフロア上等に支持する。
【0012】
長側部と短側部の外周部のそれぞれに長タイミングベルト16と短タイミングベルト17を取り付けたシームレスベルト15は、平面的には台形状の筒状の横編布製で、ベルト支持板11に、長タイミングベルト16付きの長側部と短タイミングベルト17付きの短側部のそれぞれが長側辺部12と短側辺部13に位置するように、上下部を通して張設してある。
【0013】
シームレスベルト15の張設状態の保持を兼ねる長ベルトガイド・張設バー18と短ベルトガイド・張設バー19は、ベルト支持板11の長側辺部12上と短側辺部13上のシームレスベルト15の直上部を、長タイミングベルト16と短タイミングベルト17の対向側部に沿接してのびている。この長ベルトガイド・張設バー18と短ベルトガイド・張設バー19の両端部は、ベルト支持板11や隣接するベルトフレーム(図示せず)の適宜の位置に着脱自在に取り付ける。
【0014】
長タイミングベルト16と短タイミングベルト17のそれぞれに係合する伝動タイミングギヤ20、21は、それぞれ大径と小径で、それぞれ長タイミングベルト16と短タイミングベルト17の同一位相の送りに対応した速度で回転するように設定してある。
【0015】
この図示の形態においては、各伝動タイミングギヤ20、21による長タイミングベルト16と短タイミングベルト17の同一位相の送りに連動して、ベルト支持板11に張設したシームレスベルト15の往路部が、物品搬送方向に走行する。これにより図2に矢印で示すごとく、前ベルトコンベヤ22から受容した物品は、後ベルトコンベヤ23に向かって搬送されて、後ベルトコンベヤ23上に送り出される。
【0016】
この発明に係る中継ベルトコンベヤは、このほか種々の形態で実施することができるもので、上記の形態に限定されるものでない。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】この発明に係る中継ベルトコンベヤの好適な実施形態の略斜視図である。
【図2】図1に示す実施形態の略平面図である。
【図3】図1に示す実施形態の略側面図である。
【図4】図1に示す実施形態におけるシームレスベルトのベルト支持板張設前の略斜視図である。
【符号の説明】
【0018】
11 ベルト支持板
12 長側辺部
13 短側辺部
14 支脚
15 シームレスベルト
16 長タイミングベルト
17 短タイミングベルト
18 長ベルトガイド・張設バー
19 短ベルトガイド・張設バー
20 伝動タイミングギヤ
21 伝動タイミングギヤ
22 前ベルトコンベヤ
23 後ベルトコンベヤ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送方向線が交差する前ベルトコンベヤと後ベルトコンベヤの間に延在する、相互に接離するようにのびる前ベルトコンベヤ隣接端辺及び後ベルトコンベヤ隣接端辺並びに前ベルトコンべヤ隣接端辺と後ベルトコンベヤ隣接端辺の対向する各端間を平行にのびる長側辺部及び短側辺部を有する平面的に台形状のナイフエッジ形ベルト支持板と、ベルト支持板の前ベルトコンベヤ隣接端辺と後ベルトコンベヤ隣接端辺の間をベルト支持板の上下部を通して往復的にのびるように張設した、ベルト支持板の長側辺部と短側辺部のそれぞれをのびる長筒口端部の長側辺部と短筒口端部の短側部を有する円錐形筒状の編布製シームレスベルトであって、長側部と短側部の外周部に、それぞれエンドレスの長タイミングベルトと短タイミングベルトを取り付けたシームレスベルトと、シームレスベルトの直上において長タイミングベルトと短タイミングベルトの各対向側部に走行案内可能に沿接するとともにシームレスベルトをベルト支持板上において、長側部と短側部のそれぞれがベルト支持板の長側辺部と短側辺部をのびて、平面的に台形状を呈するように張設する長ベルトガイド・張設バー及び短ベルトガイド・張設バーと、長タイミングベルトと短タイミングベルトのそれぞれに、シームレスベルトの長側部と短側部を同一位相で走行可能に駆動係合する一対の伝動タイミングギヤとからなる、物品の転向搬送用中継ベルトコンベヤ。
【請求項2】
シームレスベルトの筒状の編布が筒状の横編布である、請求項1記載の中継ベルトコンベヤ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−131361(P2006−131361A)
【公開日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−323145(P2004−323145)
【出願日】平成16年11月8日(2004.11.8)
【出願人】(592205045)株式会社北村製作所 (10)
【Fターム(参考)】