説明

物品仕分け装置

【課題】駆動機構を小型化するとともに、シーブ径の変更にて簡易にその移動距離を増大もしくは可変できるようにした物品仕分け装置を提供すること。
【解決手段】キャリア上に対峙するように配設した2本のベルト張架用のローラ1、2間を周回するようにして張架したベルト3を物品仕分け時に移動するようにした物品仕分け装置において、互いに対峙しベルト3を張架した2本のベルト張架用のローラ1、2と、各ベルト張架用のローラ1、2に連結固定した1対のシーブ4、9及びシーブ4、9と同軸的に配設し従動する1対の従動シーブ5、10並びに従動シーブ5、10と互いに対峙するようにしてベルト駆動する移動体6に配設した1対の可動シーブ7、8さらに各シーブ間に捲廻するように1本のワイヤロープ14を掛け渡してなるベルト駆動装置3Dとを分離して構成し、移動体6の移動によりその可動距離の少なくとも3倍以上、ベルト3を移動するようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベルトコンベヤで運搬可能な任意形状の物品を仕分ける物品仕分け装置に関し、特に、ベルトを捲廻するようにして張架した対峙するローラと、該ベルトを駆動するようにしたシーブとワイヤロープとで構成する駆動機構とを分離することにより駆動機構を小型化するとともに、簡易にその移動距離を増大もしくは可変させるようにした物品仕分け装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ベルト式キャリアを用いた仕分け装置として、例えば、特許文献1に記載のものがある。該特許文献1に開示された仕分け装置は、1本のベルトを4本の固定ローラと2本の可動部側のローラとの間を互いに掛け渡すようにして通し、かつ捲廻するようにして引張し、可動部の動作ストロークの3倍の距離をキャリア上面においてベルトを移動するように構成している。
【0003】
ところで、1本のベルトを6本のローラ間を掛け渡すようにして捲廻し、その移動時においても常にベルトに緩みや雛が生じないように張架するためにはベルトを張架するすべてのローラの平行度が揃っていなければならず、この複数本のローラを正確に平行を保って配設するには機構及びその調整が必然的に複雑となり、装置が大型、複雑化となり制作費が嵩むとともにメンテナンスも複雑になるという問題があった。
【0004】
また、ベルトの移動距離は、ベルトを張架した駆動ローラで押し動かす可動部の移動距離と使用ローラの本数とにより限定されるため、使用ローラ本数の増減変更はキャリアの構造を根本的に変える必要があるので、ベルト移動距離の変更は簡単には行えないという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平1−261116号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記従来の物品仕分け装置の有する問題点に鑑み、ベルト式キャリアを用いた仕分け装置において、駆動機構を小型化するとともに、シーブ径の変更にて簡易にその移動距離を増大もしくは可変できるようにした物品仕分け装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の物品仕分け装置は、キャリア上に対峙するように配設した2本のベルト張架用のローラ間を周回するようにして張架したベルトを物品仕分け時に移動するようにした物品仕分け装置において、互いに対峙しベルトを張架した2本のベルト張架用のローラと、各ベルト張架用のローラに連結固定した1対のシーブ及び該シーブと同軸的に配設し従動する1対の従動シーブ並びに該従動シーブと互いに対峙するようにしてベルト駆動する移動体に配設した1対の可動シーブさらに各シーブ間に捲廻するように1本のワイヤロープを掛け渡してなるベルト駆動装置とを分離して構成し、移動体の移動によりその可動距離の少なくとも3倍以上、ベルトを移動するようにしたことを特徴とする。
【0008】
この場合において、本発明の物品仕分け装置は、キャリア下部に移動体駆動体を突設し、仕分けを行う位置において仕分けシュート部に設置した固定ガイドに沿って移動体駆動体をキャリア進行方向に対して交わる方向に移動可能とし、直線部のガイドレールと斜行部の案内用固定ガイドの間に方向転換用のガイドを配設し、仕分けを行うキャリアの通過に同期して該方向転換用のガイドを上下させることで、選択的にキャリアのベルト駆動方向を選定し、物品の仕分けを行うように構成することができる。
【0009】
また、向転換用ガイドを、左右に対峙して配設して一対とした湾曲転換可動ガイドと、該湾曲転換可動ガイドの端縁と走行路の端に配設した直線部のガイドレールの端縁にそれぞれ接縁するよう左右に対峙して配設した一対の案内ガイドとより構成し、かつ各湾曲転換用ガイド、案内ガイドを物品の仕分け方向に応じて選択的に上下させるように構成することができる。
【0010】
また、この各方向転換用ガイドを、エアシリンダにより上下動させるように構成することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の物品仕分け装置によれば、キャリア上に対峙するように配設した2本のベルト張架用のローラ間を周回するようにして張架したベルトを物品仕分け時に移動するようにした物品仕分け装置において、互いに対峙してベルトを張架した2本のベルト張架用のローラと、各ベルト張架用のローラに連結固定した1対のシーブ及び該シーブと同軸的に配設し従動する1対の従動シーブ並びに該従動シーブと互いに対峙するようにしてベルト駆動する移動体に配設した1対の可動シーブさらに各シーブ間に捲廻するように1本のワイヤロープを掛け渡してなるベルト駆動装置とを分離して構成し、移動体の移動によりその可動距離の少なくとも3倍以上、ベルトを移動するようにしたことにより、ベルト駆動装置が簡易に構成できるとともに、その調整、メンテナンスが容易になり、かつシーブ径の変更のみでベルトの長さ、張架方法を変更することなくベルトの移動距離を容易に変更することができる。
【0012】
また、キャリア下部に移動体駆動体を突設し、仕分けを行う位置において仕分けシュート部に設置した固定ガイドに沿って移動体駆動体をキャリア進行方向に対して交わる方向に移動可能とし、直線部のガイドレールと斜行部の案内用固定ガイドの間に方向転換用のガイドを配設し、仕分けを行うキャリアの通過に同期して該方向転換用のガイドを上下させることで、選択的にキャリアのベルト駆動方向を選定し、物品の仕分けを行うように構成したことにより、簡単な構成でキャリア上のベルト移動方向の変換ができるので、装置を小型化、簡易化して安価に提供することができ、仕分け動作の確実性、正確性が向上する。
【0013】
また、方向転換用ガイドを、左右に対峙して配設して一対とした湾曲転換可動ガイドと、該湾曲転換可動ガイドの端縁と走行路の端に配設した直線部のガイドレールの端縁にそれぞれ接縁するよう左右に対峙して配設した一対の案内ガイドとより構成し、かつ各湾曲転換用ガイド、案内ガイドを物品の仕分け方向に応じて選択的に上下させるように構成することにより、製作を簡易化することができるとともに、仕分け動作の確実性を向上させることができる。
【0014】
また、この各方向転換用ガイドを、エアシリンダにより上下動させるように構成することにより、仕分けの効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の物品仕分け装置の一実施例を示し、キャリアのベルト駆動部を示す外観斜視図である。
【図2】ベルト式キャリアの概略を示す平面図である。
【図3】同側面図である。
【図4】同正面図である。
【図5】仕分けを行うための払い出し部を示す平面図である。
【図6】積載物をキャリアの進行方向に対して左側に払い出す場合を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の物品仕分け装置の実施の形態を、図面に基づいて説明する。
【0017】
図1〜図6に、本発明の物品仕分け装置の一実施例を示す。
一般に、物品仕分け装置は、所要の物品を搬送する経路に沿って配設した搬送路の所定位置に、物品を搬入する搬入ゾーンと物品を仕分けして払い出すようにした仕分けゾーンを配置し、該搬送路に沿って循環走行する多数のベルト式キャリアを直接又はリンクなどの連結具を介して無端状に連結し、該ベルト式キャリアを駆動することで各ベルト式キャリアが搬送路に沿って移動する際、搬入ゾーンで物品の積載を行い、仕分けゾーンにおける所定の仕分けシュートへ払い出して仕分けを行うようにしている。
この物品仕分け装置における搬送路に沿って循環走行するベルト式キャリアには、キャリアフレームと、このキャリアフレーム上部に配設したベルト駆動機構、及び下部に配設した走行機構とを備える。
【0018】
ベルト式キャリアは、キャリアフレーム20の下部に走行機構を構成する走行車輪15a〜15dと横行支持ローラ16a〜16dを、図3に示すように配設し、搬送路31に沿って敷設した走行レール23に導かれてベルト式キャリアが走行するようにし、かつ上部にはベルト駆動機構を構成するキャリアフレーム20とその両側に対峙するように配設したベルト張架用のローラ1、2間にベルト3を張架し、このベルト3を複数のシーブとワイヤロープからなるベルト駆動装置3Dにて所定の払出位置で前記ベルト3を駆動するように構成している。
なお、この場合、キャリアフレーム20の前後両側部に配設する走行車輪15と横行支持ローラ16とは、図2に示すように、常に一対となるようにして配設し、これをキャリアフレーム20の下部で、かつキャリアフレーム20の四隅位置外側(キャリアフレーム走行方向の両側前後位置)に下垂してキャリアが常に安定して走行するようにする。
【0019】
このベルト駆動装置3Dは、図1に示すように、自由に回転するようにしてキャリアフレーム20の走行方向(進行方向)両側上部に対峙して配設したベルト張架用のローラ1、2間に搬送する物品の積載及び払い出しを可能としたエンドレス状のベルト3を張架し、かつ該両ベルト張架用のローラ1、2の少なくとも片端部に配設するもので、これは前記ベルト張架用のローラ1の軸(図示省略)にシーブ4及びベルト張架用のローラ2の軸(図示省略)にシーブ9をそれぞれ固定し、これらシーブ4、9と同軸上に隣接配設してシーブ4或いは9に対して自由に回転するようにした従動シーブ5、10と、前記両ベルト張架用のローラ1、2端間に可動的に配置した移動体6に、前記一対となるシーブと従動シーブとを互いに対峙するようにして可動シーブ7、8をそれぞれ回転可能に配設し、これら複数のシーブ4、9、従動シーブ5、10、及び可動シーブ7、8間に捲廻するようにしてベルト駆動用のワイヤロープ14を掛け渡す、すなわち、従動シーブ5、可動シーブ7、シーブ4、シーブ9、可動シーブ8、従動シーブ10の順で掛け、このワイヤロープ14の両端をそれぞれのワイヤ留め12、13を介して移動体6に固定して構成する。
【0020】
この移動体6をキャリアフレーム20の進行方向に対して横行方向に移動する方法として、特に限定されるものではないが、例えば、移動体6の下部に移動体駆動体11を突設し、該移動体駆動体11を搬送路側に配置したガイドレール19a、19b及び可動ガイドに導かれてキャリアフレーム20の中央位置から左右いずれかの方向に選択的に移動する際、ベルト駆動装置3Dのワイヤロープ14を介して両ベルト張架用のローラ1、2が同期して回転駆動することでベルト3を選択的に左右いずれかの払出方向に駆動するようにする。
【0021】
また、移動体6が、キャリアフレーム20の進行方向に対して横行方向、すなわち、ベルト張架用のローラ1、2間を移動する際、円滑に、かつ正確に移動するよう、図2〜図3に示すように、キャリアフレーム20の端部で、その進行方向に対して交わる方向に配設したガイドレール6Gにて導かれるようにする。
【0022】
また、ベルト張架用のローラ1、2間に張架するベルト3には、図2に示すように、このベルト3上に積載される仕分けされる物品の荷重でベルト3が撓まないように複数の支持ローラ17、18を、ベルト張架用のローラ1、2間の適当な位置に配設して取り付けるようにすることができる。
【0023】
図5は、移動体6をベルト張架用のローラ1、2間の中間位置より進行方向に対して左又は右方向へ移動させてベルト上の積載物24を払い出すようにした払い出し部を示す平面図、図6は積載物24をキャリア進行方向に対して左側に払い出すようにした場合で、湾曲転換可動ガイド25と隣接配設される案内ガイド27が上昇状態を示し、右方向転換用の湾曲転換可動ガイド26及び案内ガイド28は省略している。
ガイドレール19a、19bは、キャリアが走行する際、移動体6を中間位置に保持するようにして、左右の走行レール23、23の略中間位置に配置し、この対峙する両ガイドレール19a、19bにて移動体駆動体11をその両側より挟むようにして導くもので、これは積載物を搬入する位置から払出ゾーンに至る搬送路のほぼ全長に亘って敷設するが、走行ゾーンRでは連続的に配設することもできるが、払出ゾーンOでは、各払出シュートS1、S2、・・・毎に分断して配置するようにする。
【0024】
また、各払出シュートS1、S2、・・・には、平行する走行レール23、23の中央部に配設したガイドレール19a、19bと、これと別に払出側となる左右の両端部にそれぞれ仕分け用のガイドレール19c、19dを互いに所定の間隔をあけて対峙して配設し、払出シュート位置で積載物を払い出さない場合、移動体6の下部に突設下垂した移動体駆動体11を上流側(走行ゾーン側)のガイドレール19a、19bから下流側(払出側)の中央部に配設したガイドレール19a、19bへと直線状に導かれるようにし、反対に所定位置の払出シュート位置では前記移動体駆動体11が左右いずれか一方の仕分け用のガイドレール19c、19dに選択的に導かれるようにする。
そしてこの各仕分けシュート間の中央位置に配置するガイドレール19a、19bと走行ゾーンの中央位置に配置するガイドレール19a、19bとは、対向するように配設し、その接続部となる空間位置において、昇降可能とした方向転換用の湾曲転換可動ガイド25、26及び案内ガイド27、28と案内用固定ガイド29、30とを配設する。
【0025】
この方向転換用の湾曲転換可動ガイド25、26は、図5に示すように、移動体駆動体11の外周面と接する面を円弧形に形成するように、中央部から2分割して互いに左右に対峙するように配設し、この各湾曲転換可動ガイド25、26の下部に配設した扛上機(図示省略)、特に限定されるものではないが、例えば、エアシリンダにて昇降するように構成し、これにより左右いずれか片方の湾曲転換可動ガイドと接触してその方向が転換されるようになる。
【0026】
また、この方向転換用の湾曲転換可動ガイド25、26と隣接配設される案内ガイド27、28も左右に対称的に配置され、各案内ガイド27、28も湾曲転換可動ガイド25、26と同様にその下部位置に配設した扛上機、特に限定されるものではないが、例えば、エアシリンダにて昇降するように構成する。この場合、例えば、左側の湾曲転換可動ガイドと案内ガイドとを同じ1台の扛上機にて、また右側の湾曲転換可動ガイドと案内ガイドも同じ1台の扛上機により、同時に昇降動作を行えるようにすることもできる。なお、いずれの扛上機も図示省略した。
【0027】
案内用固定ガイド29、30は、前記案内ガイド27、28の端部より仕分け用のガイドレール19c、19dへと円滑に導かれるようするもので、特に限定されるものではないが、例えば、移動体駆動体11の軌跡が案内ガイド27、28の直線から斜めの案内用固定ガイド29、30に遷移する間の昇降動作をする方向転換用の湾曲転換可動ガイド25、26の形状は、図示のようにクロソイド曲線(緩和曲線)とする。この場合、もし湾曲転換可動ガイドが直線的で折れ線状態であれば移動体駆動体11が各ガイド間を移動する際に大きな衝撃が発生し、衝撃荷重によるワイヤロープの素線切れを起こすこともあるが、このクロソイド曲線で横方向の加速度を徐々に変化させることで衝撃を緩和でき、各ガイド間の移動時にも移動体駆動体11による衝撃を緩和でき、衝撃荷重によるワイヤロープの素線切れを未然に防止することができ、かつワイヤロープの寿命も延び、仕分ける積載物への衝撃を緩和でき、さらには積載物の転落防止にも役立つものとなる。
【0028】
また、ベルト式キャリアの走行駆動装置は、特に限定されるものではないが、例えば、図3及び図5に示すように、モータ21と、該モータ21にて駆動される走行駆動用ベルト22より構成する。この走行駆動装置を搬送路31の長さに応じて1台もしくは複数台配置するもので、概ねベルト式キャリアの20台に対して1台の走行駆動装置を搬送路に沿って分散配置し、ベルト式キャリアを分散駆動するようにする。
搬送路の走行レール23の所定位置に、該走行レール23の内側に平行して沿わせるように所定の長さを有する走行駆動用ベルト22を配設し、この走行駆動用ベルト22をモータ21にて駆動することでキャリアフレーム20の下部左右に配設したいずれか片側方の横行支持ローラ16c、16dと接するようにし、キャリアを走行させるようにする。
【0029】
これにより、各ベルト式キャリアが走行駆動装置の位置に到達すると、キャリアフレーム20の横行支持ローラ16c、16dが走行レール23、走行駆動用ベルト22間に挟まれるようになって横行支持ローラ16c、16dに摩擦が生じると走行駆動用ベルト22の駆動力が横行支持ローラ16c、16d側に伝達されてベルト式キャリアが走行駆動用ベルト22の半分の速度で走行駆動するようになるが、駆動力は2倍となる。
なお、この走行駆動用ベルト22の全長は少なくとも同時に2台以上の複数台のベルト式キャリアが走行駆動される長さを有するようにすれば、走行駆動力をベルト式キャリア側に確実に伝達でき、循環走行が円滑に行えるものとなる。
【0030】
また、キャリアの走行駆動時の騒音を低減するには、走行駆動用ベルト22、横行支持ローラ16に弾性体を使用することで騒音の発生を抑制することができる。さらに騒音を低減するには、キャリア側にアルミ製リアクションプレートを設け、走行レール側にリニア誘導モータを設置することで低騒音化を図ることもできる。
【0031】
次に、本発明の物品仕分け装置における積載物を払い出す場合の動作について説明する。
図5〜図6は、仕分ける積載物をキャリア進行方向に対して左側に払い出す場合を示す。キャリアが走行ゾーンRを走行している場合、或いは払出ゾーンOで積載物を払い出さない場合は、キャリアは図5において矢符xで示すように走行レール23に沿って進行している。この時、移動体駆動体11は走行レール中央部に敷設されたガイドレール19a、19b間を、図5における矢符A又はB或いはCに示すように移動しているので、該移動体駆動体11を下方に突設した移動体6は、移動体駆動体11がガイドレール19a、19b間に保持されているので横方向に移動することなく、図1及び図3に示すように、対峙する2つのベルト張架用のローラ1、2間の中間位置(移動体の中立位置)に保持されていて、該ベルト張架用のローラ1、2間に張架されたベルト3は移動しない。
【0032】
しかし、払出ゾーンOにおける払い出すべき所定の位置、例えば、払出シュートS1の直前位置までキャリアが到達すると、扛上機のエアシリンダ(図示省略)により方向転換用で、図6に示すように、左方向の湾曲転換可動ガイド25と同じく左方向の案内ガイド27を降下した待機位置から同時に上げると、走行ゾーンR(或いは払出ゾーンOの指定以外の払出シュート位置)の直線部分でガイドレール19a、19bに沿って移動していた移動体駆動体11は、この上昇位置にある湾曲転換可動ガイド25の湾曲面と接触転動するようになり、その湾曲面に沿って、移動体駆動体11は、左方向に移動するようになる。そして、この湾曲転換可動ガイド25より案内ガイド27側に転動し、さらには案内用固定ガイド30を(図5及び図6に示す矢符y方向のクロソイド曲線を描くように)経て仕分け用のガイドレール19c、19dへと移動する。
なお、図示の実施例では案内用固定ガイド30を直線的に表したが、移動体駆動体11が該案内用固定ガイド30に沿って移動する際、その軌跡がクロソイド曲線を描くように形成するものとする。
【0033】
この移動体駆動体11が移動する時、走行駆動の力の向きを横方向に変換し、移動体駆動体11の動きと逆方向にベルト3が回転し、ベルト3に載っている仕分け用の積載物24はキャリア外側方の仕分け用シュート側に押出され、仕分けが行われる。そして、積載物24を所定位置で払い出した後は、扛上機のエアシリンダ(図示省略)を再び駆動して上昇位置にある湾曲転換可動ガイド25と同じく左方向の案内ガイド27を同時に待機位置まで降下させる。
【0034】
また、反対に積載物をキャリア進行方向に対して右側に払い出す、すなわち、図5に示す矢符z方向にように、移動体駆動体11を移動する場合は、右方向の湾曲転換可動ガイド26と右方向の案内ガイド28を同時に上げるようにすればよい。
なお、払い出し動作中に移動体駆動体11が左右いずれかの案内ガイドに乗り移った時期に同期してエアシリンダで右又は左方向の湾曲転換可動ガイドを下位置に戻すことができる。そして払い出しを終えたキャリアのベルトはそのまま周回移動を続け、仕分け物を搬入(投人)する直前の位置で固定ガイド(図示省略)により外側から中央の中立位置に戻すようにし、次の仕分け物の投入に備えるようにする。
【0035】
また、本実施例ではワイヤロープとシーブによるベルト駆動機構をベルトの外側で走行方向に対してキャリアの後端に配置した例を示したが、ローラを2分割し、そのローラとローラの中間位置に駆動機構を介在することでキャリアの機長を短くすることができ、さらには駆動機構をキャリアの前後に設けることで重量物の仕分けにも対応できる。
【0036】
以上、本発明の物品仕分け装置について、実施例に基づいて説明したが、本発明は上記実施例に記載した構成に限定されるものではなく、実施例に記載した構成を適宜組み合わせる等、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明の物品仕分け装置は、ベルトを捲廻して張架したローラと、該ベルトを駆動するようにしたシーブ及びワイヤロープで構成する駆動機構とを分離することにより駆動機構を小型化するとともに、シーブ径の変更にて簡易にその移動距離を増大もしくは可変できるという特性を有していることから、物品仕分け装置の用途に好適に用いることができるほか、例えば、物流システムのコンベヤ装置の用途にも用いることができる。
【符号の説明】
【0038】
R 走行ゾーン
O 払出ゾーン
S1 払出シュート
S2 払出シュート
1 ベルト張架用のローラ
2 ベルト張架用のローラ
3 ベルト
3D ベルト駆動装置
4 シーブ
5 従動シーブ
6 移動体
7 可動シーブ
8 可動シーブ
9 シーブ
10 従動シーブ
11 移動体駆動体
12 ワイヤ留め
13 ワイヤ留め
14 ワイヤロープ
15a〜15d 走行車輪
16a〜16d 横行支持ローラ
17 支持ローラ
18 支持ローラ
19a〜19d ガイドレール
20 キャリアフレーム
21 モータ
22 走行駆動用ベルト
23 走行レール
24 積載物
25 方向転換用の湾曲転換可動ガイド
26 方向転換用の湾曲転換可動ガイド
27 案内ガイド
28 案内ガイド
29 案内用固定ガイド
30 案内用固定ガイド
31 搬送路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャリア上に対峙するように配設した2本のベルト張架用のローラ間を周回するようにして張架したベルトを物品仕分け時に移動するようにした物品仕分け装置において、互いに対峙しベルトを張架した2本のベルト張架用のローラと、各ベルト張架用のローラに連結固定した1対のシーブ及び該シーブと同軸的に配設し従動する1対の従動シーブ並びに該従動シーブと互いに対峙するようにしてベルト駆動する移動体に配設した1対の可動シーブさらに各シーブ間に捲廻するように1本のワイヤロープを掛け渡してなるベルト駆動装置とを分離して構成し、移動体の移動によりその可動距離の少なくとも3倍以上、ベルトを移動するようにしたことを特徴とする物品仕分け装置。
【請求項2】
キャリア下部に移動体駆動体を突設し、仕分けを行う位置において仕分けシュート部に設置した固定ガイドに沿って移動体駆動体をキャリア進行方向に対して交わる方向に移動可能とし、直線部のガイドレールと斜行部の案内用固定ガイドの間に方向転換用のガイドを配設し、仕分けを行うキャリアの通過に同期して該方向転換用のガイドを上下させることで、選択的にキャリアのベルト駆動方向を選定し、物品の仕分けを行うように構成したことを特徴とする請求項1記載の物品仕分け装置。
【請求項3】
方向転換用ガイドを、左右に対峙して配設して一対とした湾曲転換可動ガイドと、該湾曲転換可動ガイドの端縁と走行路の端に配設した直線部のガイドレールの端縁にそれぞれ接縁するよう左右に対峙して配設した一対の案内ガイドとより構成し、かつ各湾曲転換用ガイド、案内ガイドを物品の仕分け方向に応じて選択的に上下させるように構成したことを特徴とする請求項1又は2記載の物品仕分け装置。
【請求項4】
方向転換用ガイドを、エアシリンダにより上下動させるように構成したことを特徴とする請求項1、2又は3記載の物品仕分け装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−1537(P2013−1537A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−136341(P2011−136341)
【出願日】平成23年6月20日(2011.6.20)
【出願人】(000005452)株式会社日立プラントテクノロジー (1,767)
【Fターム(参考)】