説明

物品仕分装置

【課題】物品仕分装置1において、搬送ライン2から分岐ライン4に長物物品Mを受け渡す際に、搬送ライン2に沿った慣性の作用にて長物物品Mが斜め方向に進んで、後工程で姿勢が不揃いになるという問題を解消する。
【解決手段】本願発明の物品仕分装置1は、多数の長物物品Mを列状に並べて搬送する搬送ライン2と、搬送ライン2中の仕分け箇所から搬送ライン2の搬送方向Xと交差する仕分け方向Yに分岐した仕分けライン4と、仕分け箇所から仕分けライン4に向けて長物物品Mを送り出す仕分け機構10と、搬送ライン2と仕分けライン4との間に配置される中継コンベヤ装置40とを備える。中継コンベヤ装置40には、仕分け箇所から送り込まれた長物物品Mを一方向に横回転させて、仕分けライン4での長物物品Mの姿勢を搬送ライン2での搬送姿勢と交差する仕分け姿勢に変更する横回転付与手段42,43を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、果実や野菜等の物品が搬送される搬送ラインと、これから交差方向に分岐した仕分けラインと、前記仕分け箇所から前記仕分けラインに向けて前記長物物品を送り出す仕分け機構と、搬送ラインと仕分ラインとの間に配置される中継コンベヤ装置とを備えた物品仕分装置とに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、搬送ラインにて連続的に搬送される物品を所定のグループ毎に仕分けるための物品仕分装置には様々なタイプが存在する。
【0003】
この種の物品仕分装置の代表例として特許文献1には、クロスベルト式コンベヤの構造が開示されている。クロスベルト式コンベヤは、多数の搬送ユニットを一列状に並べて搬送する搬送ラインと、これから直交方向に分岐した仕分けラインとを備えている。各搬送ユニットには、その上面に載置された果実や野菜等の物品を仕分けラインに向けて送り出すクロスベルトソータが設けられている。この場合、搬送ライン中における所定の仕分け箇所に、仕分け対象となる物品を載せた搬送ユニットが到達すると、クロスベルトソータの作動にて物品が仕分けラインに向けて送り出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−53275号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、前記従来の物品仕分装置できゅうり等の長物物品を仕分けることはよく行われている。前記従来の構成では、搬送ラインから仕分けラインに長物物品を受け渡すに際して、搬送ラインに沿った長物物品の移動(搬送方向の移動)がクロスベルトソータにて急激に規制されるから、搬送ラインに沿った慣性の作用にて長物物品が仕分けライン上で斜め方向に移動する。このため、仕分け後の長物物品を一時的に滞留させる滞留コンベヤ上で長物物品の姿勢は必ず不揃いになり、滞留コンベヤ上の載置スペースを有効利用できず、滞留コンベヤ上での長物物品のストック量が十分でないという問題があった。その上、滞留コンベヤ上の長物物品の姿勢が不揃いであるから、パッキング作業(箱詰め作業)の際に、人手で長物野菜の姿勢を揃えながら箱詰めすることになり、手間がかかるという問題も招来していた。
【0006】
そこで、本願発明は上記の問題点を解消することを技術的課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明は、多数の長物物品を列状に並べて搬送する搬送ラインと、前記搬送ライン中の仕分け箇所から前記搬送ラインの搬送方向と交差する仕分け方向に分岐した仕分けラインと、前記仕分け箇所から前記仕分けラインに向けて前記長物物品を送り出す仕分け機構と、前記搬送ラインと前記仕分けラインとの間に配置される中継コンベヤ装置とを備えている物品仕分装置であって、前記中継コンベヤ装置には、前記仕分け箇所から送り込まれた前記長物物品を一方向に横回転させて、前記仕分けラインでの前記長物物品の姿勢を前記搬送ラインでの搬送姿勢と交差する仕分け姿勢に変更する横回転付与手段を有しているというものである。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1に記載した物品仕分装置において、前記仕分け箇所から送り込まれた前記長物物品が跨って載るように、前記仕分け方向に対して並列に並ぶ2列のコンベヤを備えており、前記各コンベヤの駆動速度に速度差を持たせることによって、前記2列のコンベヤを前記横回転付与手段に構成しているというものである。
【0009】
請求項3の発明は、請求項2に記載した物品仕分装置において、前記2列のコンベヤのうち前記搬送ラインから見て搬送方向下流側にある下流コンベヤの駆動速度を、もう一方の上流コンベヤよりも速くし、前記搬送ラインでの前記長物物品の搬送姿勢を、前記搬送方向と交差する方向に延びる姿勢とし、前記仕分けラインでの前記長物物品の仕分け姿勢を、前記搬送方向に沿って延びる姿勢としているというものである。
【発明の効果】
【0010】
本願発明によると、多数の長物物品を列状に並べて搬送する搬送ラインと、前記搬送ライン中の仕分け箇所から前記搬送ラインの搬送方向と交差する仕分け方向に分岐した仕分けラインと、前記仕分け箇所から前記仕分けラインに向けて前記長物物品を送り出す仕分け機構と、前記搬送ラインと前記仕分けラインとの間に配置される中継コンベヤ装置とを備えている物品仕分装置であって、前記中継コンベヤ装置には、前記仕分け箇所から送り込まれた前記長物物品を一方向に横回転させて、前記仕分けラインでの前記長物物品の姿勢を前記搬送ラインでの搬送姿勢と交差する仕分け姿勢に変更する横回転付与手段を有しているから、前記横回転付与手段の作用によって、前記搬送ラインに密に載置できる搬送姿勢から、前記仕分けラインに密に載置できる仕分け姿勢に、前記長物物品の姿勢を変更することが可能になる。
【0011】
このため、前記搬送ラインと前記仕分けラインとが交差する配置関係にして、設置スペースを有効利用できる物品仕分装置でありながら、前記両ラインに前記長物物品を効率よく載置して、前記長物物品の単位時間当りの搬送量を多くできる(前記仕分けラインでのストック量を多くできる)という効果を奏する。また、前記仕分けラインでの前記長物物品の仕分け姿勢を揃えられるから、その後のパッキング作業(箱詰め作業)の作業効率向上に寄与できる利点もある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】物品仕分装置の概略平面図である。
【図2】物品仕分装置の概略斜視図である。
【図3】倍移動機構を説明する側面図であり、(a)は送り出し前、(b)は送り出し後の状態を示す図である。
【図4】搬送ユニットを省略した状態での物品仕分装置の概略平面図である。
【図5】(a)−(d)は仕分け態様の一連の流れを説明する概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本願発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0014】
(1).物品仕分装置の概要
はじめに、図1−図4を参照しながら物品仕分装置1の概要を説明する。物品仕分装置1は、きゅうり、大根又はにんじんといった長物物品Mを、等級(品質)や階級(サイズ及び形状)に応じたグループ毎に仕分けるためのものであり、多数の搬送ユニット3を列状に並べて搬送する搬送コンベヤライン2と、当該搬送コンベヤライン2から分岐した少なくとも1つの仕分けコンベヤライン4とを備えている。搬送コンベヤライン2と各仕分けコンベヤライン4との間には、搬送コンベヤライン2から各仕分けコンベヤライン4への長物物品Mの受け渡しを中継する中継コンベヤ装置40が配置されている。
【0015】
各仕分けコンベヤライン4は、中継コンベヤ装置40から送り込まれた長物物品Mを一時的に滞留させながら搬送する目的で、間欠的に駆動するように構成されている。各仕分けコンベヤライン4上に滞留している長物物品Mは、例えばオペレータの手作業にて透明合成樹脂製の包装パックや段ボール箱等の包装用容器にパッキング(箱詰め)される。
【0016】
図2及び図4に示すように、搬送コンベヤライン2は、その長手方向に沿って延びる左右一対の走行レール5を備えている。これら走行レール5上に、台車タイプの搬送ユニット3群が走行可能に配置されている。図示は省略するが、搬送コンベヤライン2の長手両端部には、駆動スプロケットと従動スプロケットとが振り分けて配置されている。両スプロケットに巻き掛けられた無端チェンに、各搬送ユニット3が所定のピッチ間隔で連結されている。両スプロケット及び無端チェンの駆動にて、搬送ユニット3群は搬送コンベヤライン2を循環移動する。実施形態の搬送ユニット3群は、搬送コンベヤライン2の上部側で搬送方向Xに沿って移動する。なお、各搬送ユニット3の位置は、駆動スプロケットの駆動量をロータリエンコーダ(図示省略)でカウントすることによって計測される。
【0017】
図1−図3に示すように、各搬送ユニット3は、搬送コンベヤライン2中における所定の仕分け箇所(仕分けコンベヤライン4との分岐箇所)にて、搬送方向Xと交差する仕分け方向Yに搬送ユニット3上の長物物品Mを送り出す仕分け機構としてのクロスベルトソータ10を備えている。実施形態のクロスベルトソータ10は、搬送ユニット3における一対のフレーム板11の間に設けられた倍移動機構12と、倍移動機構12に巻き掛けられたクロスベルト13とを有している。なお、実施形態では、仕分け方向Yは搬送方向Xと直交する関係にある。
【0018】
倍移動機構12は、クロスベルト13を回行移動させる上下のローラ対14,15の組合せからなるものである。上下のローラ対14,15はいずれも、搬送方向Xに沿って互いに平行状に延びている。上ローラ対14は仕分け方向Yに間隔を空けて配置され、一対のフレーム板11に回動可能に軸支されている。下ローラ対15は上ローラ対14の間で互いに近接して配置され、連結シュー16を介して回転可能に連結されている。連結シュー16は、仕分け方向Yに往復動してクロスベルト13を回行移動させるものであり、その下面側に下向きに突出するガイドピン17が設けられている。
【0019】
図3(a)(b)に示すように、クロスベルト13は帯状に形成されており、その長手方向を仕分け方向Yに沿わせている。クロスベルト13は上ローラ対14に上方から巻き掛けられている。クロスベルト13の長手方向一端側は、一方の上ローラ14から下ローラ対15の間を上から下に通り抜けて、前記一方の上ローラ14と同じ側にある下ローラ15に巻き掛けられ、それから、前記一方の上ローラ14と同じ側に引き出されてクロスベルトソータ10の底板に固定されている。クロスベルト13の長手方向他端側は、他方の上ローラ14から下ローラ対15の間を上から下に通り抜けて、前記他方の上ローラ14と同じ側にある下ローラ15に巻き掛けられ、それから、前記他方の上ローラ14と同じ側に引き出されてクロスベルトソータ10の底板に固定されている。
【0020】
図3(a)(b)に示すように、連結シュー16を仕分け方向Yと逆方向に移動させると、下ローラ対15が動滑車の役割を果たして、上下のローラ対14,15を回転させながらクロスベルト13を滑り移動させる。クロスベルト13の上面側は仕分け方向Yに移動する。クロスベルト13の上面側には長物物品Mが載置される。従って、クロスベルト13上の長物物品Mは、クロスベルト13上面側の仕分け方向Yへの移動にて中継コンベヤ装置40に向けて搬出される。この場合、長物物品Mは、搬送方向Xと直交する仕分け方向Yに長く延びる搬送姿勢で各クロスベルト13上に載置される(図1及び図2等参照)。
【0021】
上ローラ対14は定滑車の役割を担う一方、下ローラ対15は動滑車の役割を担っている。このため、クロスベルト13上面側の仕分け方向Yへの移動量Lに対して、連結シュー16及びガイドピン17は、その半分のL/2だけ仕分け方向Yと逆方向に移動すれば済む。すなわち、連結シュー16及びガイドピン17の移動量L/2に対して、クロスベルト13上面側の仕分け方向Yへの移動量Lが2倍になるから、仕分け方向Yに長い搬送姿勢で載置された各搬送ユニット3上の長物物品Mを、中継コンベヤ装置40に向けて確実且つスムーズに搬出できる。なお、クロスベルトソータ10の内部には、クロスベルト13の上面側を下方から支持する支持板18が配置されている。支持板18は、クロスベルト13上の長物物品Mの重量を受け止めるためのものであり、一対のフレーム板11の内面側に固着されている。
【0022】
図4に示すように、搬送コンベヤライン2における一対の走行レール5の間のうち仕分けコンベヤライン4寄りの箇所には、搬送方向Xに沿って延びる上向き開放の溝状経路21が設けられている。溝状経路21には、各搬送ユニット3のガイドピン17が上方から嵌り込む。各搬送ユニット3の搬送方向Xに沿った移動によって、ガイドピン17が搬送方向Xに案内される。他方、搬送コンベヤライン2中の仕分け箇所には、搬送ユニット3の搬送方向Xに沿った移動によってガイドピン17を仕分け方向Yと逆方向に案内する誘導板22が配置されている。誘導板22は、平面視で搬送コンベヤライン2の搬送下流側に行くに連れて仕分けコンベヤライン4から離れる斜め方向に傾斜している。誘導板22における仕分けコンベヤライン4寄りの一端部は、溝状経路21の適宜箇所に形成された連通隙間23に臨ませている。
【0023】
連通隙間23の箇所には、電磁ソレノイド25の駆動にて上下回動可能な切換片24が配置されている。案内プレート22の近傍には、駆動プーリ27及び従動プーリ28に巻き掛けられた補助ベルト26が配置されている。補助ベルト26において搬送コンベヤライン2の搬送上流側の部分は、誘導板22における前記搬送上流側の平坦面に重なっている。駆動プーリ27に連結された駆動モータ29の駆動にて、補助ベルト26は循環移動するように構成されている。実施形態の補助ベルト26は常時、図4の平面視で反時計回りに循環移動する。従って、補助ベルト26のうち誘導板22と重なる部位は、誘導板22に沿った斜め方向に移動する。
【0024】
切換片24を上向き回動させた場合は、溝状経路21が切換片24にて遮断され、ガイドピン17は切換片24に突き当たる。そうすると、ガイドピン17は、搬送ユニット3の搬送方向Xに沿った移動と補助ベルト26の送り作用とによって、誘導板22に沿った斜め方向にスライド移動する。そして、ガイドピン17の斜め方向の移動に伴い、連結シュー16が仕分け方向Yと逆方向に移動し、これに連動してクロスベルト13の上面側が仕分け方向Yに移動する。その結果、クロスベルト13上の長物物品Mが中継コンベヤ装置40に向けて送り出される。切換片24を下向き回動させた場合は、搬送ユニット3の搬送方向Xに沿った移動にて、ガイドピン17がそのまま溝状経路21に沿って進むことになる。溝状経路21、誘導板22、連通隙間23、切換片24及び補助ベルト26の組合せは、倍移動機構12(具体的にはガイドピン17)に対する案内手段20を構成している。
【0025】
なお、搬送コンベヤライン2における最上流の仕分け箇所よりも搬送上流側には、長物物品Mの等級を判定する判定手段30が配置されている。判定手段30は、仕分けの目的や長物物品Mの種類に応じて採用される。例えばサイズや形状で仕分ける場合は、光学センサや画像処理装置等を採用すればよく、品質で仕分ける場合は糖度計等を採用すればよい。また、図示は省略するが、搬送コンベヤライン2における最下流の仕分け箇所よりも更に搬送下流側には、各搬送ユニット3のガイドピン17を溝状経路21の位置に戻す戻し誘導板が設けられている。
【0026】
図1、図2及び図4に示すように、搬送コンベヤライン2と各仕分けコンベヤライン4との間に配置された中継コンベヤ装置40は、一対の略平行なコンベヤフレーム41を備えている。両コンベヤフレーム41の間には、搬送コンベヤライン2中の仕分け箇所から送り込まれた長物物品Mが跨って載るように、ベルト式の2列のコンベヤ42,43が仕分け方向Yに対して並列に並べて配置されている。コンベヤ42,43群は、搬送コンベヤライン2から見て搬送下流側に位置する下流コンベヤ42と、搬送上流側に位置する上流コンベヤ43とからなっている。各コンベヤ42,43は、駆動源である電動モータ(図示省略)からの動力伝達にて駆動するように構成されている。電動モータはコンベヤ毎に別々に設けてもよいし、電動モータを共通にした上で、異なる減速比で各コンベヤ42,43に動力伝達してもよい。コンベヤ42,43は両方とも、同一方向に循環移動するように構成されている。
【0027】
両コンベヤ42,43の駆動速度には速度差を持たせている。換言すると、下流コンベヤ42の駆動速度の方を上流コンベヤ43の駆動速度よりも速い設定にしている。詳細は後述するが、搬送コンベヤライン2から中継コンベヤ装置40に長物物品Mを送り込んだ際は、搬送コンベヤライン2による慣性の作用にて、下流コンベヤ42と上流コンベヤ43とに長物物品Mが跨る。すなわち、先端側が上流コンベヤ43に載り後端側が下流コンベヤ42に載るような仕分け方向Yに対して斜めの姿勢で、長物物品Mは中継コンベヤ装置40上に載置される(図5(b)参照)。そして、両コンベヤ42,43の駆動速度に速度差があるため、長物物品Mのうち下流コンベヤ42側の略半部が、上流コンベヤ43側の略半部よりも先に搬送されることになる。このような先送り現象によって、中継コンベヤ装置40上の長物物品Mは、下流コンベヤ42から上流コンベヤ43に向かう矢印R方向に横回転する。つまり、両コンベヤ42,43の駆動速度差によって、長物物品Mは矢印R方向に横回転しながら仕分けコンベヤライン4に向けて搬送される。
【0028】
実施形態では、中継コンベヤ装置40上の長物物品Mが、仕分けコンベヤライン4に送り出されるまでに90°程度に横回転するように(搬送方向Xに沿って長く延びる姿勢で仕分けコンベヤライン4に搬出されるように)、両コンベヤ42,43の駆動速度が設定されている(図4及び図5(c)(d)参照)。また、上流コンベヤ43は、搬送コンベヤライン2中の仕分け箇所にある誘導板22、切換片24及び補助ベルト26等の位置に対応して配置されている。
【0029】
(2).物品仕分装置での仕分け態様
次に、図5(a)−(d)を参照しながら、物品仕分装置1での仕分け態様の一例について説明する。仕分け箇所に到達した搬送ユニット3上の長物物品Mが、クロスベルト13の回行移動にて中継コンベヤ装置40に搬出される際は、搬送コンベヤライン2による搬送方向Xの移動力Fx(慣性)と、クロスベルトソータ10による仕分け方向Yの押し出し力Fyとが長物物品Mに作用する(図5(a)参照)。このため、長物物品Mは、移動力Fxと押し出し力Fyとの合力F(x+y)に沿った斜め方向にスライド移動し、最終的には、先端側が上流コンベヤ43に載り後端側が下流コンベヤ42に載る斜めの姿勢で、中継コンベヤ装置40に乗り移る(図5(b)参照)。
【0030】
次いで、長物物品Mが乗り移った両コンベヤ42,43の駆動速度には速度差があるため、長物物品Mは矢印R方向に横回転しながら仕分け方向Yに移動し、両コンベヤ42,43の下流側に到達するあたりでは、搬送方向Xに沿って長く延びる姿勢まで向きを変える(図5(c)参照)。そして、間欠駆動して上流側に載置スペースの空いた仕分けコンベヤライン4に、搬送方向Xに延びる仕分け姿勢の長物物品Mが受け渡されるのである(図5(d)参照)。
【0031】
以上の構成によると、多数の長物物品Mを列状に並べて搬送する搬送ライン2と、前記搬送ライン2中の仕分け箇所から前記搬送ライン2の搬送方向Xと交差する仕分け方向Yに分岐した仕分けライン4と、前記仕分け箇所から前記仕分けライン4に向けて前記長物物品Mを送り出す仕分け機構10と、前記搬送ライン2と前記仕分けライン4との間に配置される中継コンベヤ装置40とを備えている物品仕分装置1であって、前記中継コンベヤ装置40には、前記仕分け箇所から送り込まれた前記長物物品Mを一方向に横回転させて、前記仕分けライン4での前記長物物品Mの姿勢を前記搬送ライン2での搬送姿勢と交差する仕分け姿勢に変更する横回転付与手段42,43を有しているから、前記横回転付与手段42,43の作用によって、前記搬送ライン2に密に載置できる搬送姿勢から、前記仕分けライン4に密に載置できる仕分け姿勢に、前記長物物品Mの姿勢を変更することが可能になる。
【0032】
このため、前記搬送ライン2と前記仕分けライン4とが交差する配置関係にして、設置スペースを有効利用できる(省スペース化できる)物品仕分装置1でありながら、前記両ライン2,4に前記長物物品Mを効率よく載置して、前記長物物品Mの単位時間当りの搬送量を多くできる(前記仕分けライン4でのストック量を多くできる)。前記仕分けライン4での前記長物物品Mの仕分け姿勢を揃えられるから、その後のパッキング作業(箱詰め作業)の作業効率向上に寄与できる。
【0033】
また、前記仕分け箇所から送り込まれた前記長物物品Mが跨って載るように、前記仕分け方向Yに対して並列に並ぶ2列のコンベヤ42,43を備えており、前記各コンベヤ42,43の駆動速度に速度差を持たせることによって、前記2列のコンベヤ42,43を前記横回転付与手段に構成しているから、前記長物物品Mの姿勢を、前記搬送ライン2での搬送姿勢から前記仕分けライン4での仕分け姿勢に簡単に変更できる。
【0034】
ところで、前記搬送ライン2から前記仕分けライン4に前記長物物品Mを受け渡すに際して、前記搬送ライン2に沿った前記長物物品Mの移動は前記仕分け機構10にて急激に規制されるから、前記搬送ライン2に沿った慣性の作用によって、前記長物物品Mは、前記仕分け方向Yに対して斜めの姿勢で、前記中継コンベヤ装置40上に載置される。
【0035】
これに対して実施形態では、前記2列のコンベヤ42,43のうち前記搬送ライン2から見て搬送方向下流側にある下流コンベヤ42の駆動速度を、もう一方の上流コンベヤ43よりも速くし、前記搬送ライン2での前記長物物品Mの搬送姿勢を、前記搬送方向Xと交差する方向(仕分け方向Y)に延びる姿勢とし、前記仕分けライン4での前記長物物品Mの仕分け姿勢を、前記搬送方向Xに沿って延びる姿勢としているから、慣性の作用による前記長物物品Mの斜め姿勢での受け渡しを逆に利用して、前記搬送ライン2に密に載置できる搬送姿勢から、前記仕分けライン4に密に載置できる仕分け姿勢に、前記長物物品Mの姿勢を簡単且つスムーズに変更でき、前記長物物品Mに傷みを生じさせるおそれを大幅に抑制できる。
【0036】
(3).その他
本願発明は、前述の実施形態に限らず、農産物以外の様々な種類の長物物品を搬送・仕分する物品仕分装置として広く適用できる。長物物品の種類や大きさ等に応じて、仕分けコンベヤライン4の幅寸法や誘導板22及び切換片24の個数等は適宜設定できる。仕分け機構はクロスベルトソータ10に限らず、スライドシューソータでもよい。
【0037】
その他、各部の構成は図示の実施形態に限定されるものではなく、本願発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更が可能である。
【符号の説明】
【0038】
Fx 慣性
Fy 押し出し力
F(x+y) 合力
M 長物物品
X 搬送方向
Y 仕分け方向
1 物品仕分装置
2 搬送コンベヤライン
3 搬送ユニット
4 仕分けコンベヤライン
10 クロスベルトソータ(仕分け機構)
12 倍移動機構
13 クロスベルト
20 案内手段
40 中継コンベヤ装置
42 下流コンベヤ
43 上流コンベヤ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数の長物物品を列状に並べて搬送する搬送ラインと、前記搬送ライン中の仕分け箇所から前記搬送ラインの搬送方向と交差する仕分け方向に分岐した仕分けラインと、前記仕分け箇所から前記仕分けラインに向けて前記長物物品を送り出す仕分け機構と、前記搬送ラインと前記仕分けラインとの間に配置される中継コンベヤ装置とを備えている物品仕分装置であって、
前記中継コンベヤ装置には、前記仕分け箇所から送り込まれた前記長物物品を一方向に横回転させて、前記仕分けラインでの前記長物物品の姿勢を前記搬送ラインでの搬送姿勢と交差する仕分け姿勢に変更する横回転付与手段を有している、
物品仕分装置。
【請求項2】
前記仕分け箇所から送り込まれた前記長物物品が跨って載るように、前記仕分け方向に対して並列に並ぶ2列のコンベヤを備えており、前記各コンベヤの駆動速度に速度差を持たせることによって、前記2列のコンベヤを前記横回転付与手段に構成している、
請求項1に記載した物品仕分装置。
【請求項3】
前記2列のコンベヤのうち前記搬送ラインから見て搬送方向下流側にある下流コンベヤの駆動速度を、もう一方の上流コンベヤよりも速くし、
前記搬送ラインでの前記長物物品の搬送姿勢を、前記搬送方向と交差する方向に延びる姿勢とし、前記仕分けラインでの前記長物物品の仕分け姿勢を、前記搬送方向に沿って延びる姿勢としている、
請求項2に記載した物品仕分装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2012−217897(P2012−217897A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−84545(P2011−84545)
【出願日】平成23年4月6日(2011.4.6)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】