説明

物品位置通知システム

【目的】本発明は、物品にICタグを貼付し位置を検出して通知する物品位置通知システムに関し、物品にICタグ、更に、当該物品を載置等する場所にICタグを貼付して複数のICタグリーダで位置を検出し、これら物品および場所の位置をもとに物品/場所の移動情報(移動前/移動後の位置、紛失)をレイアウト上に強調表示して通知することを目的とする。
【構成】 多数の物品にそれぞれ貼付したICタグから無線で情報を読み取る複数のICタグリーダと、複数のICタグリーダで送信する電波強度を可変してICタグから情報が読み取れたときあるいは読み取れ無くなったときの電波強度をもとに、テーブルを参照してICタグまでの距離を測定する手段と、複数のICタグリーダで測定したICタグまでの距離をもとにICタグの位置を特定する手段と、特定したICタグの位置と、以前のICタグの位置とを比較する手段と、比較した結果を通知する手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品にICタグを貼付してその位置を検出して通知する物品位置通知システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、GPSが使用できない環境下などで、静止した物品の位置を管理する技術として、複数の室を設けて当該室毎にICタグリーダを装着して当該室内に配置した物品にICタグを貼付し、ICタグから情報を読み取って物品の存在の有無を管理する技術がある(特許文献1)。
【特許文献1】特開2000−113077号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述した技術では、室毎にICタグを貼付した1つの物品を入れて管理することしかできず、物品が多い場合には物品数に応じて室とICタグリーダとを増やす必要が生じてコスト高になってまうと共に、1つの室(例えば店舗、倉庫)に多数の物品を配置する必要がある場合には対応できないという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、これらの問題を解決するため、物品にICタグを貼付し、複数のICタグリーダで電波強度を可変して物品に貼付したICタグから情報が読み取れたときなどの強度をもとに距離を算出して3角測量の原理で当該ICタグの位置を検出し、物品が移動したときに通知したり、更に、場所にICタグを貼付して当該ICタグの位置も検出し、物品および場所の移動をもとに物品/場所の移動を通知したりすることを目的としている。
【0005】
従って、物品にICタグ、更に、当該物品を載置等する場所にICタグを貼付して複数のICタグリーダでその位置をそれぞれ検出し、これら物品および場所の位置をもとに物品/場所の移動情報(移動前/移動後の位置、紛失)をレイアウト上に強調表示して通知することが可能となる。
【発明の効果】
【0006】
本願発明は、物品にICタグ、更に、当該物品を載置等する場所にICタグを貼付して複数のICタグリーダでその位置をそれぞれ検出し、これら物品および場所の位置をもとに物品/場所の移動情報(移動前/移動後の位置、紛失)をレイアウト上に強調表示して通知することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明は、物品にICタグを貼付し、複数のICタグリーダで電波強度を可変して物品に貼付したICタグから情報が読み取れたときなどの強度をもとに距離を算出して3角測量の原理で当該ICタグの位置を検出し、物品が移動したときに通知したり、更に、場所にICタグを貼付して当該ICタグの位置も検出し、物品および場所の移動をもとに物品/場所の移動を通知することが実現した。
【実施例1】
【0008】
図1は、本発明のシステム構成図を示す。
図1において、物体位置通知システム11は、物体に貼付されたICタグの位置を特定して通知したり、警報を発したりなどするものであって、ここでは、処理装置12、ICタグリーダ31などから構成されるものである。
【0009】
処理装置12は、プログラムに従い各種処理を実行するものであって、ここでは、ICタグ位置特定手段13、ICタグ位置情報収集手段14、比較手段15、通知手段16、送信手段17、距離変換テーブル21、物品位置テーブル22、地図情報DB23、および物品イメージ情報テーブル24などから構成されるものである。
【0010】
ICタグ位置特定手段13は、物品に貼付されたICタグの位置(例えば座標(x,y,z),経度・緯度・高度)を測定するものであって、複数のICタグリーダ31から物品に貼付されたICタグに電波強度を可変して送信し、ICタグから情報を読み取れたときあるいは読み取れなくなったときの電波強度をもとに距離変換テーブル21を参照して距離d(ICタグリーダ31からICタグまでの距離d)を算出し、2つ(2次元のとき)あるいは3つ(3次元のとき)の距離をもとに公知の3角測量の原理により、ICタグの位置(例えば座標(x,y,z),経度・緯度・高度)を特定するものである(図2、図13を用いて後述する)。
【0011】
ICタグ位置情報収集手段14は、物品に貼付されたICタグの位置(ICタグ位置特定手段13が特定した位置)を収集して蓄積して管理するものである。
【0012】
比較手段15は、以前の物品に貼付されたICタグの位置と、現在の物品に貼付されたICタグの位置とを比較し、現在の位置が所定距離以上移動したかなどを判定するものである(図2、図3を用いて後述する)。
【0013】
通知手段16は、比較手段15で比較した結果を図示外の管理者に通知したり、表示装置の画面上にレイアウトを表示して当該レイアウトに物品の位置を表示したりなどするものである。
【0014】
送信手段17は、通知手段16で指示された先に、物品の位置などを送信するものである。
【0015】
距離変換テーブル21は、ICタグリーダ31で送信電波強度を変えたときに、ICタグから情報を読み出せるあるいは読み出せないようになったときの電波強度と、ICタグまでの距離とを対応づけて予め実験で求めて登録したテーブルである(図13の(c)参照)。
【0016】
物品位置テーブル22は、物品ID,物品名、物品の位置(前回、今回)などを記憶するものである(図7の(a)参照)。
【0017】
地図情報DB23は、物品を配置する場所の地図(レイアウト)を予め作成して登録したものである(図6など参照)。
【0018】
物品イメージ情報テーブル24は、物品を画面上に表示するイメージを予め作成して登録したものである(図6、図7の(b)など参照)。
【0019】
ICタグリーダ31は、ICタグに向けて送信する電波強度を可変し、ICタグから情報を読み取れたときあるいは読み取れなくなったときの電波強度を求めたり、ICタグから情報を読み取ったりなどするものである(図2などを参照)。
【0020】
ICタグは、物品や場所などに貼付するICタグであって、無線で情報を読み書きできるものである。ここでは、場所は固定で予め図示外のテーブルにその場所の位置(座標(x,y,z),経度・緯度・高度)が登録されているものとする。移動するのは、物体(ICタグ)のみである。尚、場所(物体を載置するケース、台など)にもICタグを取り付けて移動してもその場所の位置を動的に検出する場合については、図8から図12を用いて後述する。
【0021】
次に、図2のフローチャートの順番に、図1の構成の動作を詳細に説明する。
図2は、本発明の動作説明フローチャートを示す。
【0022】
図2において、S1は、前回のICタグの位置を特定する。これは、図1のレイアウト上に配置された複数のICタグリーダ31からある1つの物品に貼付されたICタグに電波強度を可変して送信し、当該ICタグから情報を読み取れたとき(あるいは読み取れなくなったとき)の電波強度について、距離変換テーブル21を参照して距離d(ICタグリーダ31とICタグとの距離d)を算出することを、全ての物品に貼付されたICタグについて繰り返し、公知の3角測量の原理をもとに当該ICタグの位置(レイアウト上の相対座標(x,y,z)あるいは経度・緯度・高度)を特定し、物品位置テーブル(前回)22に保存する。
【0023】
S2は、今回のICタグの位置を特定する。これは、S1と同様に、今回(現在)のICタグの位置を特定し、物品位置テーブル(今回)22に保存する。
【0024】
S3は、作業前と作業後の位置情報を比較する。これは、作業前のS1で保存した物品位置テーブル(前回)22に保存されている物品に貼付されたICタグの位置と、作業後のS2で保存した物品位置テーブル(今回)22に保存されている物品に貼付されたICタグの位置とを比較し、所定距離以上移動したか判別する。
【0025】
S4は、表示する。これは、後述する図3のフローチャートで詳述するように、物品に貼付したICタグが前回から今回に所定距離以上移動したか判別し、移動したときはレイアウト上の移動した位置に移動させて当該位置に物品イメージを強調表示し、移動しないときは元の位置に通常表示し、更に、位置が検出されなかったときは紛失として前回の位置に物品を紛失したことが判るように強調表示する。
【0026】
以上のように、レイアウト(地図)上の前回の物品に貼付されたICタグの位置を特定して表示し、今回の物品に貼付されたICタグの位置が所定距離以上移動したときは、移動した位置に当該物品の物品イメージを移動が判るように強調表示し、所定距離以上移動しないときは元の位置に物品の物品イメージを通常表示し、物品に貼付したICタグが特定できず紛失したと判明したときは元の位置に物品の物品イメージを紛失した旨が判るように強調表示することにより、店舗内に多数の物品にICタグをそれぞれ貼付し、前回と今回の位置を比較して移動、紛失したときにその位置(移動したときは移動後の位置、紛失したときは元の位置)に移動、紛失が判るように強調表示し、迅速かつ簡単かつリアルタイムに物品に移動、紛失を表示して監視することが可能となる。
【0027】
図3は、本発明の動作説明フローチャート(比較・表示)を示す。
図3において、S11は、位置の移動か判別する。これは、既述した図2のS3で作業前(前回)のある物品に貼付されたICタグの位置と、作業後(今回)の当該ある物品に貼付されたICタグの位置とを比較し、所定距離以上移動したか判別する。YESの場合には、ICタグの位置が前回から今回にかけて移動したと判明したので、S12で移動した位置に表示(強調表示)、例えばレイアウト上の移動した位置に当該物品の物品イメージを移動したことが判るように強調表示する。一方、S11のNOの場合には、移動しないと判明したので、S13に進む。
【0028】
S13は、存在しないか判別する。これは、前回は検出されたある物品に貼付されたICタグが、今回は検出されなく、存在しないか判別する。YESの場合には、物品に貼付したICタグが検出されなく、紛失したと判明したので、S14で元の位置を強調表示して紛失メッセージを表示(例えばレイアウト上の元の物品の位置に当該物品の物品イメージを紛失が判るように強調表示すると共に、紛失メッセージを併せて表示)する。一方、S13のNOの場合には、物品に貼付したICタグの位置が移動もしなく、紛失もしないと判明したので、S15で元の位置に表示(通常表示)する。
【0029】
以上によって、レイアウト上に配置した物品に貼付したICタグについて、今回その位置が所定距離以上移動したときは移動後の位置に当該物品の物品イメージを移動が判るように強調表示し、今回その物品に貼付したICタグの位置が特定できなかったときは紛失として元の位置に物品の物品イメージを紛失が判るように強調表示および紛失メッセージを表示し、それ以外は元の位置に物品の物品イメージを通常表示することにより、レイアウト上に配置した物品のうち、移動した物品、紛失した物品(盗難された物品、売却などした物品)をそれぞれ強調表示して監視することが可能となる。
【0030】
図4は、本発明のレイアウト例を示す。これは、部屋のレイアウト内の図示では天井に配置した複数のICタグリーダ31をもとに、既述した図2、図3のフローチャートの手順に従い、監視対象の装置に装着したコネクタ1,2にICタグ1,2をそれぞれ貼付し、その位置(ICタグ1(X1,Y1,Z1).ICタグ2(X2、Y2、Z2))を検出した状態を示す。この状態で、何らかの理由でコネクタ1,2を取り外し、作業後に間違って再接続した場合、後述する図5に示すように、作業前(前回)と作業後(今回)とのICタグ1,2の位置が移動しており、図3のS11のYES,S12によって、画面のレイアウト上の移動した位置に移動した旨で強調表示されるので、即座にICタグ1(コネクタ1)と、ICタグ2(コネクタ2)とを接続間違いしたことを警告し、修正接続を促すことが可能となる。
【0031】
図5は、本発明の説明図を示す。
図5の(a)は、作業前のレイアウト上に表示された場所Aに接続されたICタグ1(コネクタ1)、場所Bに接続されたICタグ2(コネクタ2)のイメージ表示を示す。
【0032】
図5の(b)は、作業後のレイアウト上に表示された場所Bに接続されたICタグ1(コネクタ1)、場所Aに接続されたICタグ2(コネクタ2)のイメージ表示を示す。この作業後の状態は、既述した図3のS11のYESに相当し、ICタグ1、ICタグ2との位置がともに、作業前の図5の(a)の位置と所定距離以上移動したと判明し、当該レイアウト上で強調表示されるので、作業者はその移動強調表示を見て、間違いを修正することが可能となる。
【0033】
図6は、本発明の表示例を示す。これは、画面上にレイアウトとして擬似3次元レイアウト表示した例である。
【0034】
図6の(a)は作業前の擬似3次元レイアウト表示の例を示す。この作業前の状態では、
・場所AにICタグ3(X1,Y1,Z1)
・場所BにICタグ4(X2,Y2,Z2)
・場所CにICタグ5(X4,Y4,Z4)
とICタグ3,4,5の位置をそれぞれ特定し、図7の(a)の物品位置テーブル22の前回の情報として登録する。
【0035】
図6の(b)は作業後の擬似3次元レイアウト表示の例を示す。この作業後の状態では、
・場所AにICタグ3(X1,Y1,Z1)
・場所DにICタグ4(X3,Y3,Z3)
・場所CにICタグ5(なし)
とICタグ3,4,5の位置をそれぞれ特定する。ここで、第1に、場所BのICタグ4の位置が
・作業前の(X2、Y2、Z2)から作業後の(X3、Y3、Z3)
と所定距離以上移動し、図6の(b)の位置に当該ICタグ4を貼付した物品の物品イメージを移動強調表示(1)するので、作業者は画面上に移動強調表示された(1)のICタグ4の物品(ルビー宝石)が床に落下して移動したことを認識し、元の位置に戻すなどを行うことが可能となる。また、第2に、場所CのICタグ5の位置が
・作業前の(X4、Y4、Z4)から作業後の(なし)
と検出できなかったので、図6の(b)の元の位置に当該ICタグ4を貼付した物品の物品イメージを移動強調表示(2)するので、作業者は画面上に紛失強調表示された(2)のICタグ5の物品(ダイヤモンド)が紛失(盗難、顧客に販売)したことを認識し、当該紛失に対応した処置を行うことが可能となる。
【0036】
図7は、本発明のテーブル/情報例を示す。
図7の(a)は、物品位置テーブルの例を示す。物品位置テーブル22は、物品をレイアウト上に配置した前回、今回の位置などを保存して管理するものであって、ここでは、図示の下記の情報を対応づけて保存して管理するものである。
【0037】
・物品ID:
・物品名:
・前回位置:
・今回位置:
・比較結果:
・その他:
ここで、物品IDはレイアウト上に配置した物品を一意に識別するIDである。物品名は物品IDの物品名である。前回位置は前回物品にICタグを貼付してレイアウト上に配置したときに当該ICタグの特定された位置(X,Y,Z)である。今回位置は物品にICタグを貼付してレイアウト上に配置されている現在(今回)の当該ICタグの特定された位置(X,Y,Z)である。比較結果は、前回位置と今回位置とを比較し、所定移動距離範囲で一致したときは0、所定移動距離範囲を超えたときは1、今回位置が特定不可のときは2(見つからない)を設定する欄である。
【0038】
以上のように、物品に貼付したICタグのレイアウト上の前回位置と今回位置とを特定して比較し、その比較結果(一致、不一致、見つからない)に応じてレイアウト上に既述した図6の(b)に示すように表示(一致したときは通常表示、不一致のときは移動先に物品イメージを移動強調表示、見つからないときは元の位置に物品イメージを紛失強調表示)することが可能となる。
【0039】
図7の(b)は、物品イメージ情報テーブルの例を示す。物品イメージ情報テーブル24は、レイアウト上に物品の物品イメージを表示するための当該物品イメージを予め作成して登録したものであって、例えば既述した図6のICタグ3を貼付した物品3(モニュメント)のイメージである。
【0040】
以上のように、物品の物品イメージを物品イメージ情報テーブル24に予め作成して登録することにより、画面のレイアウト上に図6に示すように、物品を配置した位置に当該物品の物品イメージで判り易く表示することが可能となる。
図7の(c)は、物品テーブルの例を示す。物品テーブルは、物品名を登録したものであって、ここでは、図示の下記の情報を対応づけて登録したものである。
【0041】
・物品ID:
・物品名:
・その他:物品属性など
ここで、物品IDは物品を一意に識別するIDである。物品名は物品IDの物品名である。その他の物品属性などは、物品がいずれの物品属性(時計、指輪、モニュメントなどの物品属性)であって、例えば既述した図6の(b)で場所Cに物品属性が「指輪」と図示外のテーブルに設定されていた場合(設定した場合)、当該場所Cの(2)なしと表示され、前回特定されたICタグ5(物品ID=003.ダイヤモンド)を顧客に販売して当該場所Cになくなったので、次に同じ物品属性の、ここでは、新たなダイヤモンド(指輪)を倉庫から取り出して新たなICタグを貼付して配置し、その情報を図6の(a)に示す前回と同様に登録する。このように、場所に対応づけて物品属性を図示外のテーブルに設定した場合に、各場所にはテーブルに設定された物品属性の物品のみが配置でき、他の物品属性の物品を配置したときはエラーとして物品属性違い強調表示することが可能となる。
【0042】
図7の(d)は、ICタグ情報の例を示す。
図7の(d−1)はモニュメントに貼るICタグ情報の例を示し、図7の(d−2)はルビー宝石に貼るICタグ情報の例を示し、図7の(d−3)はダイヤモンドに貼るICタグ情報の例を示す。ここでは、図示の下記の情報を対応づけてICタグに書き込む。
【0043】
・タグID:
・物品ID:
・その他:
ここで、タグIDはICタグを一意に識別すると共に、ICタグリーダ31から一意に呼び出すときのIDである。物品IDはICタグを貼付した物品のIDである。
【0044】
次に、図8から図12を用いて物品にICタグを貼付するに加えて、更に、場所(陳列台、ケースなどの場所)にICタグを貼付し、両者が移動する場合について以下順次詳細に説明する。
【0045】
図8は、本発明の他のシステム構成図を示す。ここで、物体位置通知システム11の構成は既述した図1の物体位置通知システム11の構成と基本的にはほぼ同一であるので、説明を省略する(但し、後述する図9から図12で説明する動作を行う点を付加するものとする)。ここで、図1から図7で既述した置く側の物品にICタグを貼付するに加え、更に、場所AにICタグを貼付する。これにより、物品に貼付したICタグ、場所に貼付したICタグの両者の位置を特定し、後述する図12の(B)の(a)物品ICタグテーブル、(b)場所ICタグテーブルにそれぞれ位置情報を登録して管理することとなる。
【0046】
図9は、本発明の他の動作説明フローチャートを示す。
図9において、S21は、ICタグの位置を特定して位置情報とタグ情報を取得する。これは、図8のレイアウト上に配置された複数のICタグリーダ31からある1つの物品(更にある1つの場所)に貼付されたICタグに電波強度を可変して送信し、当該ICタグから情報を読み取れたとき(あるいは読み取れなくなったとき)の電波強度について、距離変換テーブル21を参照して距離d(ICタグリーダ31とICタグとの距離d)を算出することを、全ての物品に貼付されたICタグ(更に、場所に貼付されたICタグ)について繰り返し、公知の3角測量の原理をもとに当該ICタグの位置(レイアウト上の相対座標(x,y,z)あるいは経度・緯度・高度)を特定し、物品ICタグテーブルおよび場所ICタグテーブルに保存する(図12の(B)参照)。
【0047】
S22は、対応する場所のICタグからタグ情報を取得する。これは、場所に貼付したICタグからタグ情報を読み取って保存する。
【0048】
S23は、比較する。これは、S21、S22で取得した情報をもとに、後述する図11のフローチャートで説明するように比較し、例えば
・物品の位置と場所の位置とが一緒に移動した場合はOK
・物品のみが移動した場合はNG
・場所のみが移動した場合はNG
・物品の位置と場所の位置とが共に元の位置の場合はOK
と判定する。
【0049】
S24は、表示する。これは、S23の判定結果に応じた表示(一緒に移動、元の位置の場合はレイアウト上に場所、物品のイメージを現在の位置にそれぞれ表示、一方のみが移動したときは移動後の位置に移動した物品、場所のイメージを移動強調表示)する。
【0050】
以上によって、物品にICタグを貼付に加え、場所にICタグを貼付し当該場所の位置を特定し、物品の位置、場所の位置を比較し、いずれか一方が移動したときにその物品、場所のイメージをレイアウト上で移動強調表示することにより、物品のみの移動に加え、場所(陳列台、物品を搭載した車付台車など)の移動を反映した移動強調表示をすることが可能となる。以下順次詳細に説明する。
【0051】
図10は、本発明の他の動作説明フローチャート(登録)を示す。これは、物品に貼付したICタグと、場所に貼付したICタグとの距離が最も近い組を対応づけて検出して図12の(B)の(g)の対応付けテーブルに登録するときのフローチャートである。
【0052】
図10において、S31は、物品の位置を検出する。これは、図8の構成のもとで、複数のICタグリーダ31からある1つの物品に貼付したICタグに電波強度可変して送信し、当該ICタグから情報を読み取れたときあるいは読み取れなくなったときの電波強度を求め、距離変換テーブルを参照してICタグまでの距離dを求め、これら求めた距離をもとに公知の3角測量の原理でICタグの位置(座標(X、Y、Z)、経度・緯度・高度)を全て検出する。
【0053】
S32は、一番近い場所を見つける。これは、S31で検出した物品のICタグの位置に一番近距離にある場所に貼付したICタグを見つける。
【0054】
S33は、対をテーブルに登録する。これは、S32で見つけた対を、後述する図12の(B)の(g)の対応付けテーブルに示すように、物品IDと場所IDとの対を登録する。
【0055】
S34は、終わりか判別する。YESの場合には、終了する。NOの場合には、S31以降を繰り返し、全ての物品IDと場所IDとの対をテーブルに登録する。
【0056】
以上によって、レイアウト上に配置した全ての物品に貼付したICタグと、場所に貼付したICタグとの対応付けを対応付けテーブルに登録できたこととなる。
【0057】
図11は、本発明の他の動作説明フローチャート(比較・表示)を示す。
図11において、S41は、物品が動いたか判別する。これは、既述した図9のS21で取得した前回の物品、場所に貼付したICタグの位置と、今回(現在)、取得した物品、場所に貼付したICタグの位置とを比較し、物品に貼付したICタグの位置が所定距離以上動いたか判別する。YESの場合には、物品に貼付したICタグが前回と比較して所定距離以上移動したと判明したので、S42に進む。一方、NOの場合には、物品に貼付したICタグが前回と比較して所定距離以上動いていないと判明したので、S45に進む。
【0058】
S42は、S41のYESで物品に貼付したICタグが所定距離以上移動したと判明したので、更に、場所が同位置に動いたか判別する。YESの場合には、物品に貼付したICタグと、場所に貼付したICタグが同位置に移動したと判明したので、S43で一緒に移動と判定し、OKと決定し、S48に進む。一方、NOの場合には、S44で物品のみが移動と判定し、NGと決定し、S48に進む。尚、物品の貼付したICタグの移動に加え、場所に貼付したICタグが異なる位置に所定距離以上移動した場合にはS46の場所のみの移動を付加する。
【0059】
S45は、S41のNOで物品に貼付したICタグが所定距離以上移動しなかったと判明したので、更に、場所が動いたか判別する。YESの場合には、物品に貼付したICタグが移動しなく、場所に貼付したICタグが所定距離以上移動したと判明したので、S46で場所のみ移動と判定し、NGと決定し、S48に進む。一方、NOの場合には、物品、場所に貼付したICタグが共に移動しなく、元の位置と判定し、OKと決定し、S48に進む。
【0060】
S48は、物品/場所のみが移動したICタグ情報の一覧表示する。これは、S44で物品のみ(更に、場所も)移動、S46で場所のみ移動したと判明したので、これら移動した物品、場所の一覧を表示する。また、レイアウト上で移動した物品、場所を移動した位置に当該イメージの移動強調表示し、いずれに移動したかを管理者に知らせる。
【0061】
以上によって、物品、場所に貼付したICタグの前回位置と今回位置とを比較し、物品、場所が移動したときにその一覧を表示すると共に、レイアウト上に移動後の位置に物品、場所を移動強調表示して管理者が一目で分かるように表示し、対処を促すことが可能となる。
【0062】
図12は、本発明の表示/テーブル/情報例を示す。
図12の(A)は、表示例を示す。これは、画面上に擬似3次元レイアウト表示した例であって、場所Aに貼付したICタグ、物品に貼付したICタグについて特定した位置にこれら場所、物品のイメージを3次元イメージで表示したものである。前回の位置と今回(現在)の位置とが異なる場合(移動した場合)には、図示のように、警告通知をイメージで表示し、監視者にわかり易く表示する。
【0063】
図12の(B)は、テーブル/情報例を示す。
図12の(B)の(a)は、物品ICタグテーブル例を示す。物品ICタグテーブルは、物品に貼付したICタグから読み取った情報、および当該ICタグの位置(前回位置、今回位置)を既述した手法により検出して登録したものであって、ここでは、図示の下記の情報を対応づけて登録したものである。
【0064】
・物品ID:
・タグ情報:
・位置情報(前回):
・位置情報(今回):
・その他:
ここで、物品IDはレイアウト上に配置した物品に貼付したICタグに書き込んだ物品IDである。タグ情報はICタグから読み出しタグ情報である。位置情報(前回)、位置情報(今回)は、物品に貼付したICタグの前回の位置情報、今回(現在)の位置情報である。
【0065】
図12の(B)の(b)は、場所ICタグテーブル例を示す。場所ICタグテーブルは、場所に貼付したICタグから読み取った情報、および当該ICタグの位置(前回位置、今回位置)を既述した手法により検出して登録したものであって、ここでは、図示の下記の情報を対応づけて登録したものである。
【0066】
・場所ID:
・タグ情報:
・位置情報(前回):
・位置情報(今回):
・その他:
ここで、場所IDはレイアウト上に場所に貼付したICタグに書き込んだ場所IDである。タグ情報はICタグから読み出しタグ情報である。位置情報(前回)、位置情報(今回)は、場所に貼付したICタグの前回の位置情報、今回(現在)の位置情報である。
【0067】
図12の(B)の(c)は、物品ICタグ情報例を示す。物品ICタグ情報は、物品に貼付したICタグに書き込んだ情報であって、ここでは、図示の下記の情報を対応づけて書き込んだものである。
【0068】
・タグID:
・物品ID:
・タグ情報:
・その他:
ここで、タグIDは物品に貼付したICタグを一意に識別するIDである。物品IDはタグIDを貼付した物品の物品IDである。タグ情報は貼付した物品のタグ情報であって、ここでは、図示の名称、サイズ、純金製、作者などの情報を書き込んだものである。
【0069】
図12の(B)の(d)は、場所ICタグ情報例を示す。場所ICタグ情報は、場所に貼付したICタグに書き込んだ情報であって、ここでは、図示の下記の情報を対応づけて書き込んだものである。
【0070】
・タグID:
・場所ID:
・タグ情報:
・その他(物品属性):
ここで、タグIDは場所に貼付したICタグを一意に識別するIDである。場所IDはタグIDを貼付した場所の場所IDである。タグ情報は貼付した場所のタグ情報であって、ここでは、図示の名称、サイズ、純金製、作者などの情報を書き込んだものである。その他(物品属性)は、場所がいずれの物品属性(時計、指輪、モニュメントなどの物品属性)であって、例えば図12で場所Aに物品属性が「モニュメント」と設定されていた場合(設定した場合)に、当該場所Aに、タグICを貼付した物品を配置した場合、当該物品に貼付されているICタグの物品名が当該物品属性に含まれる場合(あるいはその他(物品属性)の欄に物品属性「モニュメント」と設定されている場合)以外はエラー処理(異なる物品属性の物品が場所Aに配置された旨の一覧、あるいはイメージ表示などする処理)を行うことが可能となる。
【0071】
図12の(B)の(e)は、物品イメージ情報例を示す。物品イメージ情報は、物品のイメージを画面のレイアウト上に表示するときに使用するものであって、ここでは、図示の下記の情報を対応づけて登録するものである。
【0072】
・物品ID:
・物品イメージ:
・その他:
ここで、物品IDは物品に付与した一意のIDである。物品イメージは物品を画面のレイアウト上に表示するイメージである。
【0073】
図12の(B)の(f)は、物品テーブル例を示す。物品テーブルは、物品の情報を登録したものであって、ここでは、図示の下記の情報を対応づけて登録したものである。
【0074】
・物品ID:
・物品名:
・その他:
ここで、物品IDは物品に付与した一意のIDである。物品名は物品に付与したわかり易く名前である。
【0075】
図12の(B)の(g)は、対応付けテーブル例を示す。対応付けテーブルは、場所
(受け側)に配置した物品(置く側)の対応(対)を登録したものであって、ここでは、図示の下記の情報を対応づけて登録したものである。
【0076】
・対応ID:
・置く側:物品ID:
・受け側:場所ID:
・その他:
ここで、対応IDは場所とその場所に配置した物品との対応(対)に付与した一意のIDである。置く側:物品IDは場所に置く側の物品IDである。受け側:場所IDは物品を置く受け側の場所IDである。
【0077】
図13は、本発明の説明図(位置の特定)を示す。
図13の(a)は、構成例を示す。ここで、ICタグリーダ1,2,3の3つからそれぞれ物品に貼付したICタグに、電波強度を可変して当該ICタグから情報を読み取れたあるいは読み取れなくなったときの電波強度をそれぞれ検出し、これら検出した電波強度をもとに図13の(c)の距離変換テーブル21を参照してICタグリーダ1,2,3とICタグとの図示の距離d1,d2,d3をそれぞれ求める。そして、これら距離d1,d2,d3と、各ICタグリーダ1,2,3の位置(座標)をもとに、3角測量の原理に従い、後述する図13の(b)の式に代入し、当該ICタグの位置(X,Y,Z)を算出する。
【0078】
図13の(b)は、位置の求め方を示す。ここで、図13の(a)のICタグリーダ1,2,3の座標を(X1、Y1、Z1)、(X2、Y2、Z2)、(X3、Y3、Z3)である。また、ICタグと、ICタグリーダ1,2,3との間の距離はd1,d2,d3と測定されたとする。これら値を図示の式に代入し、ICタグの位置(X,Y,Z)を求める。
【0079】
図13の(c)は、距離変換テーブル例を示す。距離変換テーブルは、ICタグリーダ1,2,3から電波強度を可変してICタグから情報が読み取れたときの電波強度あるいは読み取れ無くなったときの電波強度と、当該ICタグリーダ1,2,3とICタグとの距離とを対応づけ、予め実験して求めて登録したものである。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明は、物品にICタグ、更に、当該物品を載置等する場所にICタグを貼付して複数のICタグリーダでその位置をそれぞれ検出し、これら物品および場所の位置をもとに物品/場所の移動情報(移動前/移動後の位置、紛失)をレイアウト上に強調表示して通知することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】本発明のシステム構成図である。
【図2】本発明の動作説明フローチャートである。
【図3】本発明の動作説明フローチャート(比較・表示)である。
【図4】本発明のレイアウト例である。
【図5】本発明の説明図である。
【図6】本発明の表示例である。
【図7】本発明のテーブル/情報例である。
【図8】本発明の他のシステム構成図である。
【図9】本発明の他の動作説明フローチャートである。
【図10】本発明の他の動作説明フローチャート(登録)である。
【図11】本発明の他の動作説明フローチャート(比較・表示)である。
【図12】本発明の表示/テーブル/情報例である。
【図13】本発明の説明図(位置の特定)である。
【符号の説明】
【0082】
11:物体位置通知システム
12:処理装置
13:ICタグ位置特定手段
14:ICタグ位置情報収集手段
15:比較手段
16:通知手段
17:送信手段
21:距離変換テーブル
22:物品位置テーブル
23:地図情報DB
24:物品イメージ情報テーブル
31:ICタグリーダ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品にICタグを貼付してその位置を検出して通知する物品位置通知システムにおいて、
多数の物品にそれぞれ貼付したICタグから無線で情報を読み取る複数のICタグリーダと、
前記複数のICタグリーダで送信する電波強度を可変して前記ICタグから情報が読み取れたときあるいは読み取れ無くなったときの電波強度をもとに、テーブルを参照してICタグまでの距離を測定する手段と、
前記複数のICタグリーダで測定したICタグまでの距離をもとに当該ICタグの位置を特定する手段と、
前記特定したICタグの位置と、以前の当該ICタグの位置とを比較する手段と、
前記比較した結果を通知する手段と
を備えたことを特徴とする物品位置通知システム。
【請求項2】
前記特定したICタグの位置と、以前の当該ICタグの位置とを比較して所定距離以上移動したと判明したときに、レイアウト上に現在の位置と、以前の位置とを区別して強調表示、および必要に応じて警報を発することを特徴とする請求項1記載の物品位置通知システム。
【請求項3】
前記ICタグを貼付した物品を置く場所に更にICタグを貼付しておき、当該場所のICタグの位置を特定し、前記特定した物品のICタグの位置と場所のICタグの位置とをもとに警報を発することを特徴とする請求項1あるいは請求項2記載の物品位置通知システム。
【請求項4】
前記特定した物品のICタグの位置と場所のICタグの位置とが一緒に移動したときにはOKで警報を発しなく、いずれか一方のみが移動したときにNGで警報を発することを特徴とする請求項3記載の物品位置通知システム。
【請求項5】
前記特定した物品のICタグの位置に一番近い位置にある場所のICタグから情報を読み取り、当該情報中の物品属性が物品のICタグから読み取った物品あるいは物品属性に含まれないあるいは一致しないときに、当該物品をレイアウト上に強調表示および必要に応じて警報を発することを特徴とする請求項3あるいは請求項4記載の物品位置通知システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2006−133128(P2006−133128A)
【公開日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−323889(P2004−323889)
【出願日】平成16年11月8日(2004.11.8)
【出願人】(598057291)富士通サポートアンドサービス株式会社 (147)
【Fターム(参考)】