説明

物品処理装置

【課題】バッチ式の処理装置の構成要素を小型化することで製造コストを更に低減できる物品の処理装置を提供する。
【解決手段】被処理物であるペットボトルPBが搬送機構40で搬送が開始される位置を位置S、第1反転移載装置70で移載される位置を位置E、位置Sから第1成膜ユニット51に対応する位置P1までペットボトルPBが搬送される距離をL11、位置Sから第2成膜ユニット52に対応する位置P2までペットボトルPBが搬送される距離をL21、位置P1から位置EまでペットボトルPBが搬送される距離をL12、位置P2から位置EまでペットボトルPBが搬送される距離をL22、とすると、L11=L22及びL12=L21を満足する。そして、第1成膜ユニット51においてDLC成膜処理を行う第1処理ステップと、第2成膜ユニット52においてDLC成膜処理を行う第2処理ステップと、を交互に繰り返す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、複数の容器の内面にバリア膜を成膜する処理部に当該容器を搬送し処理した後に容器を処理部から排出し、さらに搬送する物品の処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プラスチック容器等の容器、例えばペットボトルは、外部からの酸素の透過、内部(例えば炭酸飲料水)からの二酸化炭素の透過を防止するためにその内面にバリア膜、例えばDLC(Diamond Like Carbon)のような炭素を主成分とするバリア膜やSiを主成分の一つとするシリカ膜などをコーティングすることが行われている。
【0003】
このような容器内面に炭素などのバリア膜をコーティングする装置として、例えば特許文献1〜3に開示されたものが知られている。この装置は、1時間あたりに成膜する容器の本数が15,000本を超えるような大量生産用のロータリ型のものである。バリア膜の成膜は、真空排気が可能なチャンバ内に容器を収容した状態で行われる。この処理装置は、図18に示すように、円周上に例えば30個のチャンバ120が設けられたロータリ型の成膜装置1を備え、容器供給部101から容器(ペットボトル)が供給される。そして、チャンバ開閉部102において開放されたチャンバ120内に容器が挿入され、真空排気部103においてチャンバ120内を真空とし、次いで、放電部104において放電することで容器内にバリア膜が形成され、容器排出部105に向けてバリア膜が形成された容器が排出される、という概略工程を辿る。
【0004】
ロータリ型の処理装置は大量生産に向いているが、飲料の製造工場において、単位時間当りに成膜できる数(処理量)の少ない装置の要求もある。しかし、ロータリ型の処理装置はそもそも製造コストが高いので、ロータリ型の処理装置の処理速度を低下させて生産量を抑えることは非現実的な選択である。したがって、製造コストを下げることのできるバッチ式の処理装置を採用することが処理量の少ない装置にとって有効であることが容易に予測される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−286571号公報
【特許文献2】特開2004−27271号公報
【特許文献3】特開2007−113049号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで本発明は、バッチ式の処理装置を作製する上で、装置の構成要素を小型化することで製造コストを更に低減できる物品処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明者はバッチ式の処理装置の動作について検討を行った。例えば、図19に示すように、n個のチャンバ120を直線上に配置する。チャンバ120に対応して多数の容器PBから2n本の容器PBを割り出して、チャンバ120に向けて搬送路130を搬送するものとする(図19(a))。なお、ここでは、一例として2n=6としている。処理される各チャンバ120に対応する位置まで容器PBを搬送した後(図19(b))に、容器PBを各チャンバ120に供給し、しかる後にチャンバ120内の真空排気、放電を含む一連のバリア膜の成膜処理を行った後(図20(c))、チャンバ120を開放して容器PBを搬送路130に向けて排出する。排出された容器PBは、一列に整列した状態で次工程に向けて搬送される(図20(d))。
【0008】
各チャンバ120に対応する位置まで容器PBが搬送された状態から、チャンバ120に供給される動作、成膜の動作、チャンバ120から搬送路130に排出される動作が連続的に行われる(図21参照)。
【0009】
一連の動作の中で図21から明らかなように、搬送装置、移載装置が停止する時間帯がある。特に成膜に要する時間が比較的長いため、搬送装置、移載装置を停止させる時間も長くなり、装置の効率上この待機の時間帯は無駄といえる。
そこで本発明は、割り出される容器PBの本数をn本(例えば、3本)とするが、チャンバ120は2n本(例えば6本)分用意し、n本の容器PBをn個のチャンバ120で交互に処理することを要旨とする。そうすれば、処理により生じる待機の時間を利用して処理がなされていないチャンバ120に対して容器PBの供給、排出を行うことができるので、単位時間当たりに処理する数を維持しながらも、移載装置はn本分の構成で足りることから、移載装置を含む搬送装置を小型化することができる。一方で、処理が施された被処理物は、次に施される処理のために、搬送路から移載されることがある。この次の処理に向けた移載をも含めて、単位時間当たりに処理する数を維持するために、被処理物をスムーズに搬送する必要がある。本発明の物品処理装置は、この点をも考慮してなされたものである。
【0010】
すなわち本発明の物品処理装置は、搬送開始位置から予め定められた数n毎に被処理物を搬送する搬送路と、搬送路に沿って設けられ、被処理物に特定の処理を施す処理部と、処理前の被処理物を搬送路から処理部に供給するとともに、処理が施された後に被処理物を処理部から搬送路に排出する供給・排出部と、搬送路に排出された被処理物を、次の処理に向けて移載する移載部と、を備える。
本発明の処理部は、第1処理部と第2処理部とを備える。第1処理部と第2処理部は、予め定められた数nに対応する数の処理要素を各々が有する。また、第1処理部と第2処理部は、被処理物が搬送路を搬送される向きに並んで配置されている。
そして、本発明の物品処理装置は、第1処理部において処理を行う第1処理ステップと、第2処理部において処理を行う第2処理ステップと、を交互に繰り返す。
本発明の物品処理装置は、被処理物が搬送路で搬送が開始される位置を位置S、移載部の位置を位置E、位置Sから第1処理部に対応する位置P1まで被処理物が搬送される距離をL11、位置Sから第2処理部に対応する位置P2まで被処理物が搬送される距離をL21、位置P1から位置Eまで被処理物が搬送される距離をL12、位置P2から位置Eまで被処理物が搬送される距離をL22、とすると、L11=L22及びL12=L21を満足する。
以上の条件を具備することで、搬送開始位置Sから第1処理部(又は第2処理部)に対応する位置まで被処理物を搬送するのと同期して、第2処理部(又は第1処理部)から排出された被処理物を移載位置Eまで搬送することができる。
【0011】
本発明の物品処理装置において、供給・排出部を、第1処理部に対応する位置と、第2処理部に対応する位置と、の間を往復動可能とすることができる。そして、この場合、n個の被処理物を把持する第1把持部と、n個の被処理物を把持する第2把持部を備え、第1把持部が第1処理部又は第2処理部に対向しているときには、第2把持部は搬送路に対向し、第1把持部が搬送路に対向しているときには、第2把持部は第1処理部又は第2処理部に対向する、ことが好ましい。
そうすることで、第1処理部(又は第2処理部)との間の被処理物の授受と、搬送路との間の被処理物の授受を同時に行うことができるので、被処理物の供給・排出に係る時間を短縮することができる。
【0012】
本発明の物品処理装置において、搬送路をループ状にすることが、装置全体の小型化にとって好ましい。この場合、各々がn個の被処理物を把持しながらループ状の搬送路を移動する、第3把持部と、第4把持部と、第5把持部と、第6把持部と、を設ける。そして、これら把持部の間隔を、上述した被処理物の搬送距離に整合させる。つまり、第3把持部と第6把持部の距離、及び、第4把持部と第5把持部の距離をL11(=L22)に等しくし、かつ、第3把持部と第4把持部の距離、及び、第5把持部と第6把持部の距離をL12(=L21)に等しくなるように、相互の間隔が保持されながら、搬送路を移動するように設定する。
【0013】
本発明の物品処理装置は以上の構成を備えているため、第1処理ステップ及び第2処理ステップで以下のように動作させることができる。
第1処理ステップにおいて、第1処理部で被処理物に処理が施されている間に、第2処理部で処理が施された被処理物を搬送路に排出し、かつ、後続の被処理物を第2処理部に供給する。また、第2処理ステップにおいて、第2処理部で被処理物に処理が施されている間に、第1処理部で処理が施された被処理物を搬送路に排出し、かつ、後続の被処理物を第1処理部に供給する。
そうすることで、被処理物の供給及び排出に要する時間を短縮することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明による物品処理装置は、被処理物に処理を施す処理部を、第1処理部と第2処理部に分けたので、第1処理部において被処理物に処理を施している間は、第1処理部について前述した待機の時間帯が生じるので、第2処理部において被処理物の排出及び供給を行うことができる。また、第2処理部において被処理物に処理を施している間は、第2処理部について前述した待機の時間帯が生じるので、第1処理部において被処理物の排出及び供給を行うことができる。このように、本発明は、待機の時間帯を有効に使うことで、処理される数を維持しながらも、移載装置、つまり搬送装置を小型化することができる。
また、本発明による物品処理装置は、搬送開始位置Sから第1処理部(又は第2処理部)に対応する位置まで被処理物を搬送するのと同期して、第2処理部(又は第1処理部)から排出された被処理物を移載位置まで搬送することで、各々個別の搬送動作を行う必要がない。したがって、搬送装置を簡易な構成にできるため、装置の製造コスト低減に寄与できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本実施の形態におけるDLC成膜装置(物品処理装置)の構成を示す平面図である。
【図2】第1群のペットボトルが、第1成膜ユニットに対応する位置まで搬送された状態を示す。
【図3】第1群のペットボトルが、第1成膜ユニットに供給された状態を示す。
【図4】第2群のペットボトルが、第2成膜ユニットに対応する位置まで搬送された状態を示す。
【図5】第2群のペットボトルが第2成膜ユニットに供給された後に、第3群のペットボトルが第1成膜ユニットに対応する位置まで搬送された状態を示す。
【図6】第1群のペットボトルが第1成膜ユニットから排出されるとともに、第3群のペットボトルが第1成膜ユニットに供給された状態を示す。
【図7】第1群のペットボトルがエアクリーナに向けて搬送されるとともに、第4群のペットボトルが第2成膜ユニットに対応する位置まで搬送された状態を示す。
【図8】第2群のペットボトルが第2成膜ユニットから排出されるとともに、第4群のペットボトルが第2成膜ユニットに供給された状態を示す。
【図9】第2群のペットボトルがエアクリーナに向けて搬送されるとともに、第5群のペットボトルが第1成膜ユニットに対応する位置まで搬送された状態を示す。
【図10】第3群のペットボトルが第1成膜ユニットから排出されるとともに、第5群のペットボトルが第1成膜ユニットに供給された状態を示す。
【図11】第3群のペットボトルがエアクリーナに向けて搬送されるとともに、第6群のペットボトルが第2成膜ユニットに対応する位置まで搬送された状態を示す。
【図12】第4群のペットボトルが第2成膜ユニットから排出されるとともに、第6群のペットボトルが第2成膜ユニットに供給された状態を示す。
【図13】第4群のペットボトルがエアクリーナに向けて搬送されるとともに、第7群のペットボトルが第1成膜ユニットに対応する位置まで搬送された状態を示す。
【図14】第1成膜ユニット、第2成膜ユニット、搬送機構及びボトル供給・排出装置が各々動作する期間を時系列に対比して示すタイミングチャートである。
【図15】ペットボトルの搬送開始位置Sから移載位置Eまでの距離の関係を示す図である。
【図16】図15とは異なる形態を示すタイミングチャートである。
【図17】第1成膜ユニット及び第2成膜ユニットと搬送路の位置関係が相違する形態を示す図である。
【図18】従来のロータリ型の成膜装置の構成を示す。
【図19】バッチ式の成膜装置における、第1成膜ユニット及び第2成膜ユニットに対するペットボトルの供給・成膜・排出の動作を示す図である。
【図20】バッチ式の成膜装置における、第1成膜ユニット及び第2成膜ユニットに対するペットボトルの供給・成膜・排出の動作を示す図であり、図19に続く処理を示す。
【図21】バッチ式の成膜装置における、第1成膜ユニット及び第2成膜ユニットの動作状態と、搬送装置の動作状態とを対比して示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、ペットボトルの内面にDLC膜を成膜する装置に本発明を適用した例について説明する。
図1に示される本実施の形態に係るDLC成膜装置10は、以下のように動作することで、ペットボトル(被処理物)PBの内面にDLC膜を成膜する。
供給コンベア20から供給されるペットボトルPBは、拡幅移載装置30により搬送機構(搬送路)40へ移載される。
搬送機構40へ移載されたペットボトルPBは、成膜部(処理部)50に向けて搬送機構40により搬送される。
所定位置まで搬送されたペットボトルPBは、ボトル供給・排出装置60により、搬送機構40から成膜部50に供給される。
成膜部50に供給されたペットボトルPBは、成膜部50に保持されながら内面にDLC膜が形成される。
DLC膜が形成されたペットボトルPBは、ボトル供給・排出装置60により、成膜部50から搬送機構40に排出される。
搬送機構40に排出されたペットボトルPBは、第1反転移載装置70まで、搬送機構40により搬送される。
ペットボトルPBは、第1反転移載装置70により、搬送機構40から排出されるとともに次の処理が行われるエアクリーナ80に供給される。ペットボトルPBは、エアクリーナ80において内部にエアが吹き付けられることで、内部の洗浄が行われる。
内部の洗浄が終わったペットボトルPBは、第2反転移載装置90によりエアクリーナ80から排出されるとともに排出コンベア100に移載され、さらに排出コンベア100により次工程へ搬送される。
DLC成膜装置10は、以上の動作を司る制御部110を備えている。
【0017】
以下、各要素について説明する。
[供給コンベア20]
供給コンベア20の上流側には多数のペットボトルPBが保持され、供給コンベア20はそこからペットボトルPBを連続的に搬送する。供給コンベア20は、搬送されるペットボトルPBから、一度のバッチ処理の対象となる本数のペットボトルPBを割り出す。本実施形態では、3本を一度のバッチ処理の対象としており、供給コンベア20は、3本のペットボトルPBを割り出すためのストッパ21,22等からなる割り出し機構を備えている。3本のペットボトルPBは、図1に示すように、互いに接触した状態で割り出される。
なお、図1において、ペットボトルPBの中に示される数字(1,2…)は、DLC膜が形成されるバッチ処理の順番を示している。つまり、1が付されたペットボトルPBは成膜部50において一番始めに成膜処理が施され、2が付されたペットボトルPBは成膜部50において二番目に成膜処理がなされる。以下、n番目に成膜処理されるペットボトルPBを、第n群のペットボトルPBと呼ぶことにする。
【0018】
[拡幅移載装置30]
拡幅移載装置30は、供給コンベア20で割り出された(3本の)ペットボトルPBを、搬送機構40に移載する。
拡幅移載装置30は、ペットボトルPBを把持する3つのグリッパ31を備えている。拡幅移載装置30は、グリッパ31を、ペットボトルPBが供給コンベア20又は搬送機構40により搬送される方向に対して直交する方向に往復移動させる機構を備えている。また、拡幅移載装置30は、グリッパ31同士の間隔を広げ又は縮める機構を備えている。なお、これらの機構は図示を省略している。
【0019】
拡幅移載装置30は、供給コンベア20で割り出された3本のペットボトルPBをグリッパ31で掴む。このとき、3本のペットボトルPBが互いに接触しているのに対応して、グリッパ31は間隔が縮められている。ペットボトルPBを把持しているグリッパ31は、搬送機構40に向けて前進する。3本のペットボトルPBが互いに接触したままでは、成膜チャンバ511、512に挿入することができないので、搬送機構40に向けて前進する過程で、グリッパ31の間隔が広げられる。ペットボトルPBは広げられた間隔で、拡幅移載装置30のグリッパ31から、搬送機構40の第1グリッパユニット41を構成する各グリッパ411に移載される。拡幅移載装置30のグリッパ31は、ペットボトルPBを搬送機構40に渡した後、供給コンベア20で割り出された後続のペットボトルPBを把持する位置に後退する。
拡幅移載装置30は、以上の動作を繰り返すことで、供給コンベア20で割り出された第1群〜第n群のペットボトルPBを、順番に3本ずつ搬送機構40に移載する。
【0020】
[搬送機構40]
搬送機構40は、拡幅移載装置30から移載されたペットボトルPBを成膜部50まで搬送し、また、搬送機構40に排出されたDLC膜が形成されペットボトルPBを第1反転移載装置70まで搬送する。
搬送機構40は、ペットボトルPBを把持する第1グリッパユニット41(第3把持部)、第2グリッパユニット42(第4把持部)、第3グリッパユニット43(第5把持部)及び第4グリッパユニット44(第6把持部)を備えている。これらグリッパユニットは、各々独立してペットボトルPBを把持することができる。なお、以下では、第1グリッパユニット41、第2グリッパユニット42、第3グリッパユニット43及び第4グリッパユニット44を総称する場合には、グリッパユニット41〜44と表記する。
グリッパユニット41〜44は、各々、グリッパ411、421、431、441を3つずつ備えている。
【0021】
搬送機構40は、グリッパユニット41〜44をペットボトルPBの搬送路に沿って移動させる移動機構を備えている。この移動機構は、所定の間隔を空けて配置される駆動プーリ45及び従動プーリ46と、駆動プーリ45及び従動プーリ46に掛け回されているエンドレスな作動ベルト47と、を備えている。図示を省略するアクチュエータにより駆動プーリ45を回転させることで、ループ状の作動ベルト47を走行させることができる。
【0022】
グリッパユニット41〜44は、把持部分が外側を向くように、作動ベルト47に固定されている。したがって、駆動プーリ45を回転させると、グリッパユニット41〜44は、作動ベルト47と同期して移動する。グリッパユニット41〜44が、供給コンベア20と後述する成膜部50に対して平行に走行できるように、駆動プーリ45と従動プーリ46の間隔が空けて配置されている。
【0023】
第1グリッパユニット41と第4グリッパユニット44の距離、及び、第2グリッパユニット42と第3グリッパユニット43の距離がL11(=L22)になるように作動ベルト47に固定される。また、第1グリッパユニット41と第2グリッパユニット42の距離、及び、第3グリッパユニット43と第4グリッパユニット44の距離がL12(=L21)になるように作動ベルト47に固定される。このようにグリッパユニット41〜44の間隔を設定している理由については、後述する。
【0024】
[成膜部50]
ペットボトルPBにDLC膜を形成する成膜部50は、第1成膜ユニット(第1処理部)51と、第2成膜ユニット(第2処理部)52と、を備えている。
第1成膜ユニット51と第2成膜ユニット52は、基本的には同じ構成を有しており、第1成膜ユニット51は3つの成膜チャンバ(処理要素)511を備え、第2成膜ユニット52は3つの成膜チャンバ(処理要素)521を備えている。ペットボトルPBは、これらチャンバの中に収容された状態でDLC膜が形成される。
また、第1成膜ユニット51と第2成膜ユニット52は、搬送機構40の作動ベルト47の走行方向、つまりペットボトルPBが搬送される方向に平行に並んで配置されている。この配置を、以下、直列に配置されている、と言うことがある。ペットボトルPBは、n群毎に、第1成膜ユニット51と第2成膜ユニット52に交互に供給され、交互にDLC膜が形成される。
【0025】
成膜部50は、ペットボトルPBが成膜チャンバ511、521に収容された時にペットボトルPBを取り囲む外部電極、外部電極内のペットボトルPBに排気管側から挿入され、接地側に接続される内部電極、内部電極に媒質ガスを供給するためのガス供給手段、外部電極に接続される高周波電源、等を備えているが、これらの構成は特許文献1〜3に記載されているように周知であるため、ここでの説明は省略する。なお、DLC膜の形成は、概略、以下の手順で行われる。
(1)チャンバ(外部電極)内にペットボトルPBを装填する。
(2)チャンバ内を真空引きする。
(3)ペットボトルPB内部に膜の原料となるアセチレンガスを供給する。
(4)高周波のRF(Radio Frequency:13.56MHz)電力にてアセチレンガスをプラズマ化しペットボトルPB内面に10〜30nmの薄膜(DLC膜)を蒸着する。
(5)チャンバを大気開放した後、ペットボトルPBを取り出す。
【0026】
[ボトル供給・排出装置60]
ボトル供給・排出装置60は、搬送機構40のグリッパユニット41〜44から受け取ったペットボトルPBを成膜部50に供給する。また、ボトル供給・排出装置60は、成膜部50から受け取ったDLC膜が形成されたペットボトルPBを搬送機構40に排出する。
ボトル供給・排出装置60は、ペットボトルPBを把持する第1グリッパユニット61(第1把持部)と、第2グリッパユニット62(第2把持部)と、を備え、第1グリッパユニット61は3つのグリッパ611を備え、第2グリッパユニット62は3つのグリッパ621を備えている。第1グリッパユニット61と第2グリッパユニット62は、互いに線対称の位置に配置されている。
【0027】
ボトル供給・排出装置60は、基部63を備えており、さらに基部63から図中左右に延びる横アーム64と、横アーム64に直交する3本の縦アーム65とを備えている。縦アーム65は、軸方向に伸縮可能とされており、その先端にグリッパ611、621が取付けられている。
基部63は、図中の矢印の向きに180°ずつ間欠的に回転(反転)可能であるとともに、搬送機構40によるペットボトルPBの搬送方向に往復移動が可能とされている。この往復移動は、第1成膜ユニット51に対応する位置(図1の実線)と、第2成膜ユニット52に対応する位置(図1の一点鎖線)との間で行われる。
【0028】
以上のように構成されたボトル供給・排出装置60は、第2グリッパユニット62が第1成膜ユニット51に対向し、第1グリッパユニット61が搬送機構40に対向している図1の場合、以下のように動作する。
第1成膜ユニット51に対してペットボトルPBを供給し、また、第1成膜ユニット51からペットボトルPBを受け取るときには、グリッパ621が第1成膜ユニット51の成膜チャンバ511に到達するように縦アーム65を伸張させる。また、搬送機構40からペットボトルPBを受け取り、また、成膜処理を終えたペットボトルPBを搬送機構40に渡すときには、グリッパ611が搬送機構40に到達するように縦アーム65を伸張させる。
また、第2グリッパユニット62で成膜処理を終えたペットボトルPBを把持し、第1グリッパユニット61でこれから成膜処理を行うペットボトルPBを把持した場合には、基部63を反転させることにより、第1グリッパユニット61を第1成膜ユニット51に対向させ、第2グリッパユニット62を搬送機構40に対向させる。
第2成膜ユニット52に対してペットボトルPBの授受を行う場合、ボトル供給・排出装置60を第2成膜ユニット52に対応する位置に移動させる。
【0029】
ボトル供給・排出装置60は、第1グリッパユニット61と第2グリッパユニット62を備え、かつ反転するので、第1成膜ユニット51(又は第2成膜ユニット52)へのペットボトルPBの供給及び搬送機構40へのペットボトルPBの排出を同期して行うことができる。したがって、ペットボトルPBの供給、排出の時間を短縮できる。ただし、このことは本発明を限定する要素ではなく、単一のグリッパユニットを備える形態をも本願発明は包含する。
【0030】
[第1反転移載装置70]
第1反転移載装置70は、DLC膜の成膜処理が終えたペットボトルPBを、搬送機構40から次工程を行うエアクリーナ80に移載する。
第1反転移載装置70は、ペットボトルPBを把持する3つのグリッパ71を備えている。
第1反転移載装置70は、また、基部74と、基部74から延びるアーム75を備えている。アーム75は、軸方向に伸縮可能とされており、その先端にグリッパ71が取付けられている。また、グリッパ71は、相互の間隔が広がり又は縮まるように、アーム75に取付けられている。
【0031】
第1反転移載装置70は、搬送機構40からペットボトルPBを受け取るとき、グリッパ71が搬送機構40のいずれかのグリッパユニット41〜44に届くようにアーム75を伸ばす。このとき、グリッパ71の間隔は広げられている。グリッパ71がペットボトルPBを把持すると、アーム75を縮まる。そして、基部74が時計回りに90°回転することで、グリッパ71をエアクリーナ80に向ける。続いて、アーム75を伸ばしてペットボトルPBをエアクリーナ80に渡せる位置まで移動させる。
【0032】
[エアクリーナ80]
エアクリーナ80は、DLC膜が形成されたペットボトルPBの内面に空気(エア)を吹き付けることで、付着している異物、主に炭素化合物を除去する。
エアクリーナ80は、ボトル受け入れステージ81と、第1洗浄ステージ82と、第2洗浄ステージ83と、ボトル排出ステージ84と、を備えている。ボトル受け入れステージ81において、第1反転移載装置70からペットボトルPBを受け取る。また、ボトル排出ステージ84において、洗浄が終了したペットボトルPBを排出コンベア100に渡す。
エアクリーナ80は、異物除去の完全性を期すために、洗浄を第1洗浄ステージ82と第2洗浄ステージ83の2段階で行う。各々の洗浄の仕方は任意であって、同内容の洗浄を繰り返してもよいし、異なる内容の洗浄を行ってもよい。もちろん、洗浄を一段階とすることを本発明は許容する。
【0033】
以上の洗浄動作を行うエアクリーナ80は、第1グリッパユニット85、第2グリッパユニット86、第3グリッパユニット87及び第4グリッパユニット88を備えている。これらグリッパユニットは、各々独立してペットボトルPBを把持することができる。なお、以下では、第1グリッパユニット85、第2グリッパユニット86、第3グリッパユニット87及び第4グリッパユニット88を総称する場合には、グリッパユニット85〜88と表記する。
グリッパユニット85〜88は、各々、グリッパ851、861、871、881を3つずつ備えている。
【0034】
エアクリーナ80は、基部89を備えている。基部89は、平面視した形状が矩形をなしており、各辺にグリッパユニット85〜88がそれぞれ設けられている。基部89は、図中の矢印の向きに、90°ずつ間欠的に回転可能とされている。この回転が止まる位置に、グリッパユニット85〜88が、ボトル受け取りステージ81、第1洗浄ステージ82、第2洗浄ステージ83及びボトル排出ステージ84が配置されている。したがって、基部89が間欠的に回転するのにともなって、例えば、グリッパユニット85は、ボトル受け取りステージ81、第1洗浄ステージ82、第2洗浄ステージ83及びボトル排出ステージ84の順に訪れることになる。
エアクリーナ80は、ボトル受け取りステージ81、第1洗浄ステージ82、第2洗浄ステージ83及びボトル排出ステージ84を、矩形の各辺に沿って配置している。したがって、これらステージを直線上に配置するのにくらべて、DLC成膜装置10に占めるエアクリーナ80のスペースを小さくできる。
【0035】
[第2反転移載装置90]
第2反転移載装置90は、エアクリーナ80により処理が終了したペットボトルPBを、エアクリーナ80から排出コンベア100へ移載する。
第2反転移載装置90は、平行移動をしないことを除くと、ボトル供給・排出装置60と同様の動作をする装置であり、互いに線対称の位置に配置される第1グリッパユニット91と第2グリッパユニット92を備えている。第1グリッパユニット91は3つのグリッパ911を備え、第2グリッパユニット92は3つのグリッパ921を備えている。
第1グリッパユニット91及び第2グリッパユニット92が基部93は、図中の矢印の向きに180°ずつ間欠的に回転可能とされている。第1グリッパユニット91及び第2グリッパユニット92は基部93に対して進退可能に取付けられており、エアクリーナ80からペットボトルPBを受け取るとき、または、排出コンベア100にペットボトルPBを渡すときに、授受が可能な位置まで第1グリッパユニット91及び第2グリッパユニット92が移動する。
【0036】
[排出コンベア100]
排出コンベア100は、第2反転移載装置90から受け取ったペットボトルPBを、次工程に向けて搬送する。
【0037】
[ペットボトルPBの処理手順]
以下、供給コンベア20から供給されるペットボトルPBにDLC膜を形成した後に排出コンベア100に排出されるまでの処理手順を図2〜図13を参照して説明する。この処理手順は、制御部110からの指示にしたがって実行される。なお、成膜部50(第1成膜ユニット51、第2成膜ユニット52を除く)等の一部の記載を図2〜図13では省略している。
第1成膜ユニット51に対応する位置まで第1群のペットボトルPBが搬送されていたものとする(図2参照)。第1群のペットボトルPBは、第1成膜ユニット51に対応する位置に停止している第1グリッパユニット41から、ボトル供給・排出装置60の第1グリッパユニット61に渡される。このとき、第2群のペットボトルPBは、第2グリッパユニット42に把持されており、さらに後続の3本の第3群のペットボトルPBは、供給コンベア20上で割り出されている。
【0038】
第1群のペットボトルPBを第1グリッパユニット61が受け取ると、ボトル供給・排出装置60は時計回りに180°回転して停止する。次いで、ボトル供給・排出装置60は、第1グリッパユニット61を第1成膜ユニット51に向けて移動させてから、第1群のペットボトルPBを第1成膜ユニット51の成膜チャンバ511に供給する(図3参照)。成膜チャンバ511を密閉した後に、DLC膜の成膜処理が開始される。
【0039】
第1群のペットボトルPBが第1成膜ユニット51に供給された後、ボトル供給・排出装置60は第2成膜ユニット52に対応する位置まで移動する(図4参照)。この移動と同期して、搬送機構40の駆動プーリ45を回転させることで、第2グリッパユニット42をボトル供給・排出装置60、つまり第2成膜ユニット52に対応する位置まで移動させる。次いで、ボトル供給・排出装置60は、第2グリッパユニット42に把持されている第2群のペットボトルPBを受け取る。この間に、後続の第3群のペットボトルPBは、供給コンベア20から第3グリッパユニット43に渡される。以上の動作は、第1群のペットボトルPBにDLC膜を形成している間に行われる。
【0040】
ボトル供給・排出装置60は、第2群のペットボトルPBを受け取ると、時計回りに180°だけ回転して停止する。次いで、ボトル供給・排出装置60は、第2グリッパユニット62を第2成膜ユニット52に向けて移動させてから、第2群のペットボトルPBを第2成膜ユニット52の成膜チャンバ521に供給する(図5参照)。
この間に、搬送機構40を動作させることにより、第3グリッパユニット43に把持されている後続の第3群のペットボトルPBは、第1成膜ユニット51に対応する位置まで搬送される。また、後続の第4群のペットボトルPBは、供給コンベア20から第4グリッパユニット44に渡される。
【0041】
第2群のペットボトルPBが第2成膜ユニット52に供給された後、ボトル供給・排出装置60は第1成膜ユニット51に対応する位置まで移動する(図6参照)。
この時点で第1群のペットボトルPBのDLC膜の形成が終了し、成膜チャンバ511は大気に開放される。一方、第2群のペットボトルPBのDLC膜の形成が開始される。
ボトル供給・排出装置60は、成膜チャンバ511から第1群のペットボトルPBを第2グリッパユニット62で受け取ると同時に、第3グリッパユニット43に把持されている第3群のペットボトルPBを第1グリッパユニット61で受け取る。そうすると、ボトル供給・排出装置60は、時計回りに180°だけ回転して停止する。
【0042】
次いで、ボトル供給・排出装置60は、第1グリッパユニット61を第1成膜ユニット51に向けて移動させてから、第3群のペットボトルPBを第1成膜ユニット51の成膜チャンバ511に供給する。一方、ボトル供給・排出装置60は、第2グリッパユニット62を搬送機構40の第3グリッパユニット43に向けて移動させてから、第1群のペットボトルPBを第3グリッパユニット43に渡す。この間、第2群のペットボトルPBへの成膜処理が続いている。
【0043】
第3群のペットボトルPBを第1成膜ユニット51に供給し、また、第1群のペットボトルPBを第3グリッパユニット43に渡した後に、ボトル供給・排出装置60は第2成膜ユニット52に対応する位置に移動する(図7参照)。同時に、搬送機構40を動作させることにより、第4グリッパユニット44に把持されている後続の第4群のペットボトルPBは、第2成膜ユニット52に対応する位置まで搬送される。そうすると、第2群のペットボトルPBへの成膜処理を終えるとともに、第3群のペットボトルPBの成膜処理を開始する。
以上の動作に対応して、第3グリッパユニット43に把持されている第1群のペットボトルPBは、第1反転移載装置70に対応する位置まで運ばれる。また、後続の第5群のペットボトルPBは、供給コンベア20から第1グリッパユニット41に渡される。
【0044】
ボトル供給・排出装置60は、大気に開放された成膜チャンバ521に収容されている第2群のペットボトルPBを第1グリッパユニット61で受け取ると同時に、第4グリッパユニット44に把持されている第4群のペットボトルPBを第2グリッパユニット62で受け取る。その後、ボトル供給・排出装置60は、時計回りに180°だけ回転して停止する(図8参照)。
次いで、ボトル供給・排出装置60は、第2グリッパユニット62を第2成膜ユニット52に向けて移動させてから、第4群のペットボトルPBを第2成膜ユニット52の成膜チャンバ521に供給する。一方、ボトル供給・排出装置60は、第1グリッパユニット61を搬送機構40の第4グリッパユニット44に向けて移動させてから、第2群のペットボトルPBを第4グリッパユニット44に渡す。この間、第3群のペットボトルPBへの成膜処理が続いている。
この間に、第1群のペットボトルPBは、第1反転移載装置70を介して、エアクリーナ80に移載される。
【0045】
第4群のペットボトルPBが第2成膜ユニット52に供給された後、ボトル供給・排出装置60は第1成膜ユニット51に対応する位置まで移動する(図9参照)。
この時点で第3群のペットボトルPBのDLC膜の形成が終了し、成膜チャンバ511は大気に開放される。一方、第4群のペットボトルPBのDLC膜の形成が開始される。
ボトル供給・排出装置60は、成膜チャンバ511から第3群のペットボトルPBを第2グリッパユニット62で受け取ると同時に、第1グリッパユニット41に把持されている第5群のペットボトルPBを第1グリッパユニット61で受け取る。そうすると、ボトル供給・排出装置60は、時計回りに180°だけ回転して停止する。
【0046】
次いで、ボトル供給・排出装置60は、第1グリッパユニット61を第1成膜ユニット51に向けて移動させてから、第5群のペットボトルPBを第1成膜ユニット51の成膜チャンバ511に供給する。一方、ボトル供給・排出装置60は、第2グリッパユニット62を搬送機構40の第1グリッパユニット41に向けて移動させてから、第3群のペットボトルPBを第1グリッパユニット41に渡す(図10参照)。この間、第4群のペットボトルPBへの成膜処理が続いている。
またこの間に、第2群のペットボトルPBは、第1反転移載装置70を介して、エアクリーナ80(ボトル受け入れステージ81)に移載される。第1群のペットボトルPBは、第1洗浄ステージ82に移動し、その内面が洗浄される。
【0047】
第5群のペットボトルPBを第1成膜ユニット51に供給し、また、第3群のペットボトルPBを第1グリッパユニット41に渡した後に、ボトル供給・排出装置60は第2成膜ユニット52に対応する位置に移動する(図11参照)。同時に、搬送機構40を動作させることにより、第2グリッパユニット42に把持されている後続の第6群のペットボトルPBは、第2成膜ユニット52に対応する位置まで搬送される。そうすると、第4群のペットボトルPBへの成膜処理を終えるとともに、第5群のペットボトルPBの成膜処理を開始する。
第1グリッパユニット41に把持されている第3群のペットボトルPBは、第1反転移載装置70に対応する位置まで運ばれる。また、第2群のペットボトルPBは第1洗浄ステージ82に移動されるとともに内面が洗浄され、第1群のペットボトルPBは第2洗浄ステージ83に移動されるとともに内面が洗浄される。
後続の第7群のペットボトルPBは、供給コンベア20から第3グリッパユニット43に渡される。
【0048】
ボトル供給・排出装置60は、大気に開放された成膜チャンバ521に収容されている第4群のペットボトルPBを第1グリッパユニット61で受け取ると同時に、第2グリッパユニット42に把持されている第6群のペットボトルPBを第2グリッパユニット62で受け取る。その後、ボトル供給・排出装置60は、時計回りに180°だけ回転して停止する(図12参照)。
次いで、ボトル供給・排出装置60は、第2グリッパユニット62を第2成膜ユニット52に向けて移動させてから、第6群のペットボトルPBを第2成膜ユニット52の成膜チャンバ521に供給する。一方、ボトル供給・排出装置60は、第1グリッパユニット61を搬送機構40の第2グリッパユニット42に向けて移動させてから、第4群のペットボトルPBを第2グリッパユニット42に渡す。この間、第5群のペットボトルPBへの成膜処理が続いている。
この間に、第3群のペットボトルPBは、第1反転移載装置70を介して、エアクリーナ80に移載される。
【0049】
第6群のペットボトルPBが第2成膜ユニット52に供給された後、ボトル供給・排出装置60は第1成膜ユニット51に対応する位置まで移動する(図13参照)。
この時点で第5群のペットボトルPBのDLC膜の形成が終了し、成膜チャンバ511は大気に開放される。一方、第6群のペットボトルPBのDLC膜の形成が開始される。
ボトル供給・排出装置60は、成膜チャンバ511から第5群のペットボトルPBを第2グリッパユニット62で受け取ると同時に、第3グリッパユニット43に把持されている第7群のペットボトルPBを第1グリッパユニット61で受け取る。そうすると、ボトル供給・排出装置60は、時計回りに180°だけ回転して停止する。
また、第3群のペットボトルPBは第1洗浄ステージ82に移動されるとともに内面が洗浄され、また、第2群のペットボトルPBは第2洗浄ステージ83に移動されるとともに内面が洗浄される。第1群のペットボトルPBは、ボトル排出ステージ84に移動された後、第2反転移載装置90により排出コンベア100に排出される。
後続の第8群のペットボトルPBは、供給コンベア20から第4グリッパユニット44に渡される。
【0050】
[DLC成膜装置10の効果]
DLC成膜装置10は、以上の手順を繰り返すことにより、ペットボトルPBにDLC膜を形成し、エアを吹き付けによるペットボトルPB内面の洗浄を連続的に行う。その中で、ペットボトルPBに成膜処理する一連の動作について、第1成膜ユニット51、第2成膜ユニット52、搬送機構40及びボトル供給・排出装置60の動作の一部を対比して図14に示している。
【0051】
図14に示すように、第1成膜ユニット51で第1群のペットボトルPBに成膜処理を施している間に、第2群のペットボトルPBを第2成膜ユニット52に供給し、かつ、第3群のペットボトルPBを第1成膜ユニット51に対応する位置まで搬送する。
第1群のペットボトルPBの成膜処理が終了すると、第2成膜ユニット52において第2群のペットボトルPBの成膜処理が開始される。これと同時に、第1群のペットボトルPBの排出と第3群のペットボトルPBの供給を行う。それが終わると、次に、第4群のペットボトルPBを第2成膜ユニット52に対応する位置まで搬送する。
第2群のペットボトルPBの成膜処理が終了すると、第1成膜ユニット51において第3群のペットボトルPBの成膜処理が開始される。これと同時に、第2群のペットボトルPBの排出と第4群のペットボトルPBの供給を行う。それが終わると、次に、第5群のペットボトルPBを第1成膜ユニット51に対応する位置まで搬送する。
【0052】
以後、同様の手順で後続のペットボトルPBに成膜処理が施されるが、図14から明らかなように、
第1成膜ユニット51においてペットボトルPBに成膜処理を施している間に、第2成膜ユニット52においてペットボトルPBの排出及び供給を行う。また、第2成膜ユニット52においてペットボトルPBに成膜処理を施している間に、第1成膜ユニット51においてペットボトルPBの排出及び供給を行う。このように、DLC成膜装置10は、割り出されるペットボトルPBの本数は3本であるが、第1成膜ユニット51及び第2成膜ユニット52で交互に絶え間なく成膜処理を行うことができる。したがって、6本のペットボトルPBを一度に搬送及び成膜処理をする場合と、単位時間当たりの処理数を同等にすることができる。しかも、6本のペットボトルPBを一度に搬送及び成膜処理する装置と比べると、DLC成膜装置10は、グリッパ611、612…の数を半分にできるので、ボトル供給・排出装置60を小型化し、かつ低コストにできる。第1反転移載装置70、エアクリーナ80及び第2反転移載装置90についても同様である。
【0053】
DLC成膜装置10は、第1成膜ユニット51と第2成膜ユニット52が、直列に配置されている。したがって、割り出されたペットボトルPBが搬送機構40により搬送が開始される位置から第1成膜ユニット51又は第2成膜ユニット52までの距離が相違する。この位置関係を図15に示すが、ペットボトルPBの搬送を開始する位置Sから第1成膜ユニット51に対応する位置P1までの搬送距離をL11、位置Sから第2成膜ユニット52に対応する位置P2までの搬送距離をL21とする。
次に、第1成膜ユニット51から排出されたペットボトルPB、及び、第2成膜ユニット52から排出されたペットボトルPBは、第1反転移載装置70によりエアクリーナ80に移載されるが、第1反転移載装置70の位置は固定されている。第1成膜ユニット51から排出されたペットボトルPBが第1反転移載装置70まで搬送される距離をL12、第2成膜ユニット52から排出されたペットボトルPBが第1反転移載装置70まで搬送される距離をL22とする。
【0054】
そして、搬送機構40のグリッパユニット41〜44は作動ベルト47に固定されており、作動ベルト47に対する相対的な位置は不変である。
以上の前提の下に、DLC成膜装置10は、以下の関係を満足するように距離L11、L12、L21及びL22が設定されている。
L11=L22
L12=L21
そして、第1グリッパユニット41と第4グリッパユニット44の距離、及び、第2グリッパユニット42と第3グリッパユニット43の距離がL12(=L21)になるように作動ベルト47に固定される。また、第1グリッパユニット41と第2グリッパユニット42の距離、及び、第3グリッパユニット43と第4グリッパユニット44の距離がL11(=L22)になるように作動ベルト47に固定される。
このように設定することで、搬送機構40は、搬送開始位置Sから第1成膜ユニット51(又は第2成膜ユニット52)に対応する位置までペットボトルPBを搬送するのと同期して、第2成膜ユニット52(又は第1成膜ユニット51)から排出されたペットボトルPBを第1反転移載装置70まで搬送することができる。
【0055】
以上、本発明の実施形態としてDLC成膜装置10を説明した。しかし、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施の形態で挙げた構成を取捨選択し、あるいは他の構成に適宜変更することが可能である。
例えば、DLC成膜装置10は、図14にも示されるように、第2成膜ユニット52で第2群のペットボトルPBに成膜処理を施している間に、第1群のペットボトルPBを第1成膜ユニット51から排出するとともに第3群のペットボトルPBを第1成膜ユニット51に対応する位置まで搬送し、加えて、第4群のペットボトルPBを第2成膜ユニット52に対応する位置まで搬送する。この形態はペットボトルPBの搬送、供給に要する時間を短縮するので好ましいが、本発明はこれに限定されない。
例えば、図16に示すように、第2成膜ユニット52で第2群のペットボトルPBに成膜処理を施している間に、第3群のペットボトルPBを第1成膜ユニット51に対応する位置まで搬送するとともに、第1成膜ユニット51から第1群のペットボトルPBを排出しかつ第3群のペットボトルPBを第1成膜ユニット51に供給する、という手順を採用することができる。
【0056】
次に、DLC成膜装置10は、第1成膜ユニット51と第2成膜ユニット52が直列に配置されているが、本発明における第1成膜ユニット51と第2成膜ユニット52の配置はこれに限定されない。
例えば、図17に示すように、搬送路130を挟んで第1成膜ユニット51と第2成膜ユニット52を対向して配置させることもできる。このように配置すれば、上述した、L11=L22、L12=L21という距離の設定を行う必要がない。もっとも、DLC成膜装置10の場合、成膜ユニット以外の要素が専有する面積が大きく、かつ成膜ユニットとこれら要素を離間することに制約があるために、第1成膜ユニット51と第2成膜ユニット52を直列に配置されている。したがって、このような制約がない場合に、図17に示す形態を適用することができる。
【0057】
また、DLC成膜装置10は第1成膜ユニット51と第2成膜ユニット52を設けているが、本発明はこれに限定されない。3つ以上の成膜ユニット(処理部)を備えることを本発明は許容する。3つ以上の成膜ユニット(処理部)を有する場合、1つの成膜ユニット(処理部)で成膜している間に、他の2つの成膜ユニットの双方又は一方において、ペットボトルPBの供給、排出が行われる。
【0058】
以上の実施形態はDLC成膜装置10について説明したが、被処理物が処理部まで搬送され、処理部に対して供給、排出がなされる処理装置に本発明は広く適用され、処理の具体的な内容は任意である。
【符号の説明】
【0059】
10…DLC成膜装置(物品処理装置)、
20…供給コンベア、21,22…ストッパ
30…拡幅移載装置、31…グリッパ
40…搬送機構(搬送路)、41…第1グリッパユニット、42…第2グリッパユニット、43…第3グリッパユニット、44…第4グリッパユニット、45…駆動プーリ、46…従動プーリ、47…作動ベルト、
50…成膜部、51…第1成膜ユニット、52…第2成膜ユニット、511、521…成膜チャンバ
60…ボトル供給・排出装置、61…第1グリッパユニット、62…第2グリッパユニット、611、621…グリッパ、63…基部、64…横アーム、65…縦アーム
70…第1反転移載装置、71…グリッパ、74…基部、75…アーム
80…エアクリーナ、81…ボトル受け入れステージ、82…第1洗浄ステージ、83…第2洗浄ステージ、84…ボトル排出ステージ、85…第1グリッパユニット、86…第2グリッパユニット、87…第3グリッパユニット、88…第4グリッパユニット、89…基部
90…第2反転移載装置、91…第1グリッパユニット、92…第2グリッパユニット、93…基部、911、921…グリッパ
100…排出コンベア
110…制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送開始位置から予め定められた数n毎に被処理物を搬送する搬送路と、
前記搬送路に沿って設けられ、前記被処理物に特定の処理を施す処理部と、
前記処理前の前記被処理物を前記搬送路から前記処理部に供給するとともに、前記処理が施された後に前記被処理物を前記処理部から前記搬送路に排出する供給・排出部と、
前記搬送路に排出された前記被処理物を、次の処理に向けて移載する移載部と、を備える物品処理装置であって、
前記処理部は、
予め定められた前記数nに対応する数の処理要素を各々が有する、第1処理部と第2処理部とが、前記被処理物が前記搬送路を搬送される向きに並んで配置されており、
前記被処理物が前記搬送路で搬送が開始される位置を位置S、
前記移載部の位置を位置E、
前記位置Sから前記第1処理部に対応する位置P1まで前記被処理物が搬送される距離をL11、
前記位置Sから前記第2処理部に対応する位置P2まで前記被処理物が搬送される距離をL21、
前記位置P1から前記位置Eまで前記被処理物が搬送される距離をL12、
前記位置P2から前記位置Eまで前記被処理物が搬送される距離をL22、とすると、
L11=L22及びL12=L21を満足し、
前記第1処理部において前記処理を行う第1処理ステップと、前記第2処理部において前記処理を行う第2処理ステップと、を交互に繰り返す、
ことを特徴とする物品処理装置。
【請求項2】
前記第1処理部に対応する位置と、前記第2処理部に対応する位置と、の間を往復動可能に設けられる前記供給・排出部は、
n個の前記被処理物を把持する第1把持部と、n個の前記被処理物を把持する第2把持部を備え、
前記第1把持部が前記第1処理部又は前記第2処理部に対向しているときには、前記第2把持部は前記搬送路に対向し、
前記第1把持部が前記搬送路に対向しているときには、前記第2把持部は前記第1処理部又は前記第2処理部に対向する、
請求項1に記載の物品処理装置。
【請求項3】
各々がn個の前記被処理物を把持しながらループ状の前記搬送路を移動する、第3把持部と、第4把持部と、第5把持部と、第6把持部と、を備え、
前記第3把持部と前記第6把持部の距離、及び、前記第4把持部と前記第5把持部の距離が前記L11(=L22)に等しく、
かつ、前記第3把持部と前記第4把持部の距離、及び、前記第5把持部と前記第6把持部の距離がL12(=L21)に等しくなるように、相互の間隔が保持されながら、前記搬送路を移動する、
請求項1又は2に記載の物品処理装置。
【請求項4】
前記第1処理ステップにおいて、
前記第1処理部で前記被処理物に処理が施されている間に、
前記第2処理部で前記処理が施された前記被処理物を前記搬送路に排出し、かつ、後続の前記被処理物を前記第2処理部に供給し、
前記第2処理ステップにおいて、
前記第2処理部で前記被処理物に処理が施されている間に、
前記第1処理部で前記処理が施された前記被処理物を前記搬送路に排出し、かつ、後続の前記被処理物を前記第1処理部に供給する、
請求項1〜3のいずれか一項に記載の物品処理装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate


【公開番号】特開2012−31455(P2012−31455A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−170568(P2010−170568)
【出願日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【出願人】(505193313)三菱重工食品包装機械株式会社 (146)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】