説明

物品分離装置

【課題】物品を連続して搬送しながら、物品を傷めることなく、後続の物品から分離させる物品分離装置を提供する。
【解決手段】物品を列をなした状態で搬送する搬送コンベヤ手段10と、先頭の物品に当接係合する係合部材51と、係合部材を移動させる係合部材駆動手段50と、隣接する物品同士間に進入そして脱出する分離部材31と、分離部材を移動させる分離部材駆動手段30を備え、係合部材駆動手段50が係合部材を先頭の物品P1の前面に当接した状態で前進せしめ、かかる状態で分離部材駆動手段30が分離部材を物品間に入り込ませて物品の搬送速度より遅い速度で前進移動させると共に、係合部材駆動手段50は、係合部材を先頭の物品P1の前面への当接を解除した後に、分離部材31が入り込んでいる物品P1,P2間に進入せしめ、分離部材31の移動速度より速い速度で係合部材を前進させて物品P1を前方へ押し出し、後続の物品P2から分離させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、前後に当接し列をなした状態で前方へ搬送される物品を、搬送したまま先頭側の物品を後続の物品から順次分離させる物品分離装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の装置としては、特許文献1に開示されている兼用型カップ入り即席麺充填機が知られている。この特許文献1の装置は、物品としての麺塊が滑落する傾斜シュートと、この麺塊を受けて搬送する反転コンベヤと、その先方かつ下方に位置する充填コンベヤとを有している。傾斜シュート上では、上方側から麺塊同士が接触して連続供給されて該傾斜シュートの下端側から自重により滑落した麺塊が一つずつ上記反転コンベヤへ移行する。その際、傾斜シュート上の麺塊は、該傾斜シュートに平行な走行範囲をもつベルト状の送り出し装置に定間隔に設けられ爪部材により滑落が規制を受けている。一方、反転コンベヤは、この送り出し装置よりも搬送速度が速く、規制を受けつつ反転コンベヤ上に滑落する麺塊同士に間隔を設けて麺塊を前方へ搬送する。この反転コンベヤで搬送される麺塊には、その搬送中に上方から容器たるカップがその底部を上方にした状態で被せられるように配置される。
【0003】
カップが被せられた麺塊は、該カップが外れないようにして、上記反転コンベヤの前端から上下反転してカップの開口が上方に向く状態で落下させて次の充填コンベヤに供給され該充填コンベヤにより次工程へもたらされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特公平6−051490
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の装置には、いくつかの点で改善が望まれる。
【0006】
先ず、傾斜シュート上の麺塊同士は、その自重と傾斜シュートの傾斜により互いに当接力を伴う。麺塊は周囲で麺が突出しているし、また、それ自体脆い。したがって、麺塊は上記当接力をもって互いに押し合いながら傾斜シュートを滑落し、そして反転コンベヤ上に衝突すると、麺が周囲で絡み合ったり欠けたりする。これは、商品としての麺塊の品質低下と、欠けた麺の散乱による装置への悪影響をもたらす。
【0007】
次に、麺塊同士が上述のごとく押し合うので、麺塊の前部または後部に欠けを生じた麺塊は前後方向の麺塊の寸法が短くなって、麺塊同士のピッチも短くなり、送り出し装置の爪部材が進入するための麺塊同士間の位置がずれてしまう。その結果、爪部材は麺塊同士間に進入せずに麺塊自体に押し付けられてその麺塊を破壊してしまう。上記爪部材と麺塊同士間の位置ずれは正常状態に復帰することはなく、定間隔に設定されている爪部材が次々と麺塊を破壊していくことになる。
【0008】
本発明は、かかる事情に鑑み、物品を連続して搬送しながら、物品を傷めることなく、後続の物品から分離させることのできる物品分離装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る物品分離装置は、前後に当接し列をなした状態で搬送物品を、前方へ搬送しながら先頭側の物品を後続の物品から順次分離させる。ここで、搬送方向を前方として、その逆方向を後方とする。以下、他の前後関係を示す語についても同様であり、例えば、前方に向く面を前面とし、後方に向く面を後面とする。
【0010】
かかる物品分離装置において、本発明では、物品を列をなした状態で搬送する搬送コンベヤ手段と、先頭の物品に当接係合する係合部材と、該係合部材を前後および上下方向に移動させる係合部材駆動手段と、搬送される物品の前後に隣接する物品同士間に進入そして脱出する分離部材と、分離部材を前後および上記進入そして脱出方向に移動させる分離部材駆動手段を備え、係合部材駆動手段が係合部材を搬送中の先頭の物品の前面に当接した状態で該先頭の物品と共に前進せしめ、かかる状態で分離部材駆動手段が分離部材を物品間に入り込ませて物品の搬送速度より遅い速度で前進移動させるようになっていると共に、上記係合部材駆動手段は、係合部材を先頭の物品の前面への当接を解除した後に後退させ、分離部材が入り込んでいる物品同士間に係合部材を進入せしめ、分離部材の移動速度より速い速度で該係合部材を搬送方向へ前進移動させて該係合部材よりも前方に位置する物品を前方へ押し出し、後続の物品から分離させることを特徴としている。
【0011】
このような構成の本発明の物品分離装置にあっては、係合部材駆動装置と分離部材駆動装置により係合部材と分離部材をそれぞれ作動せしめると、前後に当接して列をなす状態で搬送コンベヤ上を水平方向に前方へ向け搬送される複数の物品のうち、先ず、先頭の物品がその前面で係合部材に当接して前進速度の規制を受けながら該係合部材と共に前進する。したがって後続の物品もこの先頭の物品と同速で前進する。物品が上記係合部材により前進速度の規制を受けているので、その物品の移動に同期させて物品同士間に側方から分離部材を容易に差し込めるようになる。
【0012】
次に、分離させたい物品同士間に分離部材を進入せしめ該分離部材の前進速度を、該分離部材よりも前方で係合部材により前進速度の規制を受けている物品よりも遅くさせる。したがって、上記物品同士間に隙間が生じて後方へ移動した係合部材が難なく物品同士間に進入することができる。
【0013】
分離部材が該分離部材より後方の物品に規制を加えている状態で、次に上記係合部材が先頭物品の前面との係合を解除して後方へ移動して、分離部材により形成された物品同士間の隙間へ進入した後上記分離部材よりも速い速度で前進する。その結果、係合部材は、該係合部材に対して直前に位置する物品の後面を押してそれよりも前方の物品を前進させる。かくして、押し出された物品は、上記分離部材により規制を受けている物品から完全に分離される。上記押し出された物品は、分離部材そして係合部材が進入する物品同士間の位置を適宜選定することにより、単数にも複数にもすることができる。
【0014】
この物品同士の分離を行った後、上記係合部材は前方へ押し出していた物品との係合を解除し、再び後退して上記分離部材により規制を受けている物品を、次に先頭となる物品として該物品の前面に係合して該物品の前進速度を規制しながら前進する。しかる後、分離部材はこの物品の規制を解除して次に分離されるべき物品同士間の位置まで後退し、ここで上記物品同士間に進入する。このように、上記係合部材と分離部材の動作を繰り返して物品の分離を次々と行う。
【0015】
本発明において、搬送コンベヤ手段は、前部コンベヤ手段とこれに隣接する後部コンベヤ手段とに分割されて、物品が後部コンベヤ手段から前部コンベヤ手段へ移行するようになっており、前部コンベヤ手段が後部コンベヤ手段よりも速い搬送速度となっているようにすることができる。
【0016】
こうすることにより、先頭の物品を速やかに分離することができる。
【0017】
本発明において、係合部材駆動手段は、前後方向にて係合部材を前部コンベヤ手段の範囲内で、分離部材駆動手段は、前後方向にて分離部材を後部コンベヤ手段と前部コンベヤ手段の間から前部コンベヤ手段の範囲内で、それぞれ移動せしめるようにすることができる。
【0018】
こうすることにより、後部コンベヤと分離部材の速度差を小さくできるので、分離部材で規制されている物品と後続の物品に押圧(ラインプレッシャ)がほとんどかからない。
【0019】
本発明において、分離部材は、搬送方向に対し両方の側方から物品同士間に進入するようになっているようにすることができる。
【0020】
多くの場合、物品は側方に丸味あるいは面取り部分を有しているので、前後に当接する物品同士間に、側面で略三角状の空間を形成する。したがってこの空間へ分離部材が進入するようにすれば、確実かつ容易に物品との衝突を小さくして進入がなされる。
【発明の効果】
【0021】
本発明は、以上のように、列をなす物品を水平な搬送コンベヤで搬送して物品同士間に当接力を生ずることなく、係合部材で先頭物品の前面に係合して該先頭物品の前進速度を規制した状態で、分離されるべき物品同士間に分離部材を進入させて該分離部材の後方の物品の前進速度を先頭物品よりも遅くさせるので、物品の移動に同期させて分離されるべき物品同士間に分離部材を差し込むことができ、その結果、この進入に際して、分離部材により物品を傷めることはない。さらに、上記隙間に係合部材が先頭物品の前面との係合を解除して後退して上記隙間に進入して、分離部材より前方の物品を前方へ押し出すので、分離が確実かつ容易に行われ、この点でも分離に際して物品を傷めることはない。さらには、本発明では、物品に直接作用する部材は、係合部材駆動手段で作動される係合部材と、分離部材駆動手段で作動される分離部材のみなので、搬送手段上の物品周辺の構造が簡単となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施形態装置の概要構成を示す側面図である。
【図2】図1装置における搬送コンベヤから排出コンベヤへの物品の分離搬送の様子を、(A)〜(E)に工程順に示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付図面にもとづき、本発明の実施の形態について説明する。図1は、本実施形態装置の側方から見たときの概要構成図である。なお、本実施形態では、物品の搬送方向を前方そしてその逆方向を後方として、物品や各部材について、その前後関係を前面、前端縁等として表記している。
【0024】
図1において、装置は、物品を搬送する搬送コンベヤ手段としての搬送コンベヤ10と、物品を排出する排出コンベヤ手段としての排出コンベヤ20とを有していて、図示しない物品供給装置から上記搬送コンベヤ10へ供給された物品Pが上記搬送コンベヤ10上で前後して接触するように連続して前方(図にて左方)へ搬送され、物品同士間に間隔が形成されるように物品Pが分離されて上記排出コンベヤ20へ移行された後に該排出コンベヤ20で前方へ排出されるようになっている。物品Pは、麺塊等の比較的脆いものでもよい。
【0025】
搬送コンベヤ10は、前部コンベヤ手段としての前部コンベヤ11と、その後方で該前部コンベヤ11に隣接接続される後部コンベヤ手段としての後部コンベヤ12とを有している。前部コンベヤ11はガイドローラ11Aと駆動ローラ11Bそして後部コンベヤ12はガイドローラ12Aと駆動ローラ12Bにより走行案内される無端状の搬送ベルト11C,12Cをそれぞれ有している。前部コンベヤ11の搬送ベルト11Cは上方に位置する前後のガイドローラ11A間を走行する水平部分を搬送域とし、後部コンベヤ12の搬送ベルト12Cは上方に位置する前後のガイドローラ12A間を走行する水平部分を搬送域としている。前部コンベヤ11と後部コンベヤ12の搬送域は、同一高さ位置で水平面をなし前後方向で近接して形成されている。前部コンベヤ11の搬送速度は後部コンベヤ12よりも速く設定されている。
【0026】
排出コンベヤ20は、ガイドローラ21Aと駆動ローラ21Bにより走行案内される無端状の二つの側条帯22と、該側条帯22が上方で前後して位置するガイドローラ21A間を走行する水平部分として形成される搬送域に平行なガイドプレート23とを有している。該ガイドプレート23は、前方で上記側条帯22の搬送域よりも突出した位置にも渡り板をなす部分が設けられている。コンベヤの幅方向で、上記二つの側条帯22の搬送域は上記ガイドプレート23の側縁に沿って位置する。
【0027】
ガイドプレート23は、後方の前部コンベヤ11と後述する前方の容器本体供給装置80とを接続するように両者に近接するよう前後に延びて形成されている。上記ガイドプレート23は、その上面を物品Pが滑動搬送されるようになっている。さらに、該ガイドプレート23は、前後方向の中間部に切欠部が形成されていて、該切欠部に回動板24が設けられている。この回動板24は、後端縁に設けられた軸24Aを中心に、該回動板24の前端側が水平位置から降下するように回動可能となっている。該回動板24が非回動時、すなわち、水平位置にあるときには、回動板24は上記切欠部を塞いでしまい、上記ガイドプレート23と相俟って該ガイドプレート23の前後端の間を滑らかな連続せる水平面を形成する。
【0028】
上記ガイドプレート23の下方で上記回動板24の前方位置には、受けトレイ25が設けられている。上記回動板24は、不良物品発見時に該不良物品が回動している回動板24上を前方に滑落せしめるためのものであり、上記受けトレイ25はこの滑落する不良物品を受けるためのものである。
【0029】
上記ガイドプレート23の幅方向(図1にて紙面に対し直角な方向)の両側には、前後する二つの上記ガイドローラ21Aが位置し、この二つのガイドローラ21A間を搬送域として上記側条帯22が走行している。このガイドプレート23の両側を搬送域として走行する側条帯22の該搬送域は、上記ガイドプレート23の上面よりも若干上方に位置している。また両側の二つの側条帯22は、上記幅方向に延びる押出バー22Aで連結されている。該押出バー22Aは、上記側条帯22の走行方向で定間隔に設けられていて、その間隔は、分離後の物品のピッチに等しい。したがって、上記押出バー22Aは上記ガイドプレート23の上面よりも若干上方位置で前方へ移動する。さらに、かかる押出バー22Aを有する排出コンベヤ20は、搬送域における上記押出バー22Aの高さ方向位置が、前出の前部コンベヤ11の搬送域よりも若干低く設定されている。これは、前部コンベヤ11からの分離後の物品Pが円滑に該排出コンベヤ20へ引き渡されるようにするためである。
【0030】
上記搬送コンベヤ10の上方には、分離装置30が配設されている。該分離装置30は、上下方向に延びる棒状をなしコンベヤの幅方向で物品同士間に両方の側方から進入し、かつ前後に移動可能な二つの分離部材31と、該分離部材31の前後に位置して該分離部材31と共に前後に移動可能なガイド側板32(32A,32B)と、該分離部材31とガイド側板32を支持しつつ移動せしめる分離部材駆動手段33とを有している。
【0031】
上記分離部材駆動手段33は、搬送コンベヤ10の上方で該搬送コンベヤ10の両側側縁に沿って前後に延びるようにして、装置筐体に対して不動に設けられた二つのレール体34を有し、両レール体34で一つの可動体35を前後に可動に案内支持している。可動体35からは、コンベヤ幅方向の両側で、前後の二位置で棒状の垂下部材36A,36Bが垂下して延びており、その下端にガイド側板32A,32Bが物品Pの側面を案内するように設けられている。上記可動体35にはアクチュエータ37が設けられており、該アクチュエータ37によって上記棒状で下方に延びる二つの分離部材31をコンベヤ10の幅方向で接離移動可能としている。上記可動部材35は、二つのレール体34に固定された部材38に取り付けられたサーボモータ39とこれに連結されたロッド40を有する機構により駆動されて、前後に移動可能になっている。このロッド40の一端(図にて右端)は、サーボモータ39の回転軸に対して偏心して設けた軸に回転自在に連結されており、他端(図にて左端)は可動体35の搬送方向に対する幅方向の中央に立設した軸に回転自在に連結されている。これにより、サーボモータ39が横方向に回転すると、ロッド40を介して、可動体35が両側のレール体34に案内されて搬送方向前後方向に往復運動する。かかる機構を有する分離部材駆動手段33によって、分離部材31とこの前後に位置する二つのガイド側板32A,32Bは、前後に一緒に移動し、これに加え、分離部材31は、さらに、搬送コンベヤ10の幅方向で、上記ガイド側板32A,32Bの位置と内方位置の間で移動可能となっている。また、後述する係合部材51の移動に同期して移動するようになっている。
【0032】
次に、排出コンベヤ20の上方位置には、係合装置50が設けられている。該係合装置50は、排出コンベヤ20の幅方向中央位置で後方に延びる水平腕部材52の後端に下方へ屈曲して形成された係合部材51と、該係合部材51を支持しつつ移動せしめる係合部材駆動手段53とを有している。
【0033】
係合部材駆動手段53は、排出コンベヤ20の上方で該排出コンベヤ20の幅方向中央位置で前後に延びるようにして、装置筐体に対して設けられたリニアスライダ54を有している。該リニアスライダ54は、前後に可動な可動部56を有しており、該可動部56は取付板56Aを介してサーボモータ55を保持しており、その結果、サーボモータ55は前後に移動可能になっている。上記取付板56Aには、垂下部材57A−1が垂下して取り付けられており、該垂下部材57A−1は上下に延びる一対のレール57A−2を支持している。該レール57A−2は水平部材57Bを上下に案内支持している。上記垂下部材57A−1、レール57A−2そして水平部材57Bは、支持体57を構成している。該支持体57の該水平部材57Bからは垂下腕部材58が垂下して設けられていて、該垂下腕部材58の下端に設けられた支点軸として水平なピン58Aにより、既述の水平腕部材52が上下に揺動自在に支持されている。水平腕部材52はピン58Aよりも後方に延びるとともに、ピン58Aよりも前方に検出部として、上方へ立ち上った逆L字状をした前端金具52Aを備えている。該水平腕部材52と支持体57の水平部材57Bとの間には、圧縮ばね59が設けられていて、上記水平腕部材52は該圧縮ばね59によって下方へ付勢され、前端の前端金具52Aが、その上方となる水平部材57Bの下面に設けられたセンサ61に押しつけられている。一方、上記サーボモータ55と、上記水平部材57Bとの間には、上記サーボモータ55の回転をロッドを介して上下の直動に変換する機構60が設けられている。この機構60により、上記水平部材57Bは上下に移動される。水平部材57Bが上下動すると、垂下腕部材58を介して水平腕部材52が上下動される。正規状態では、上記前端金具52Aは、上記圧縮ばね59の付勢力により該センサ61と接触している。しかし、係合部材51が正規状態でなく、物品へ突き当たったときには、物品からの反力により突き上げられるので、前端金具52Aはセンサ61と非接触となり、センサ61はこれを感知して、これにより既述の回動板24は下方へ回動するようになる。
【0034】
本実施形態では、上記排出コンベヤ20の後部領域の上方位置に、排出機構70が設けられている。該排出機構70は、装置筐体に対して不動に設けられて、コンベヤ10の幅方向両側位置で上下に延びる一対のレール体71を有し、水平方向に延びるリニアスライダ72が該レール体71により上下方向に移動可能に案内支持されている。上記レール体71の上端部には、サーボモータ73が支持されていて、該サーボモータ73と上記リニアスライダ72の間には、該サーボモータ73の回転を上下方向の直動に変換する機構74が設けられていて、該サーボモータ73の上下方向の回転により上記リニアスライダ72が上下動するようになっている。該リニアスライダ72には、下方に向け逆L字状に垂下する引掛部材75が上記リニアスライダ72の可動部に支持されていて水平方向に移動可能に案内されている。該引掛部材75は、下端の爪部75Aが排出コンベヤ20の後部領域からガイドプレート23の前端を越えてさらに後方の位置まで移動可能となっている。
【0035】
上記ガイドプレート23の前方には、容器本体供給装置80が配設されている。該容器本体供給装置80は、上記排出コンベヤ20の搬送面の高さに上面が位置している物品反転体81と、該物品反転体81の上方に位置している容器本体貯留体84と、容器本体受渡し体83とを有している。
【0036】
上記物品反転体81は、上下方向に軸線をもつ略円柱体外形をなしていて、図1において紙面に対して直角な方向に延びて設けられている軸82まわりに180°毎に一方向に回転するようになっている。図1にて、物品反転体81は、上下面に物品Pを配する凹面81A,81Bを有しており、該凹面81A,81B内に物品Pを安定して受けるようになっている。該物品反転体81は、二つの凹面81A,81Bが交互に上方に向くように位置したとき、上方に向いて位置した凹面の周壁が上記ガイドプレート23の高さと同じ高さ位置にあって該ガイドプレート23の前端に近接するようになっている。上記凹面の周壁の上面は、後述する容器本体Qの開口フランジが接面する面を形成している。上記凹面81A,81Bは、図示しない吸引装置に接続されていて、所定期間に負圧を生ずるようになっている。
【0037】
容器本体貯留体84は、主として円筒状をなした保持体84Aを有し、積み重ねられた複数の空容器本体Qを容器本体の周縁フランジを半径方向に圧することにより摩擦力で保持しており、最下位の容器本体P1の底面を吸引することにより、保持体84Aの下部開口から一つずつ取出し可能となっている。
【0038】
上下方向で上記容器本体貯留体84と物品反転体81の間の位置には、容器本体受渡し体83が設けられている。該容器本体受渡し体83は、上下方向に移動可能であると共に、180°毎に回転するようになっている。さらに、該容器本体受渡し体83は、図示しない吸引装置に接続されていて、吸着面が上方に向いて上昇した際に、容器本体貯留体82に収められている最下位の容器本体Qをその底面で吸着して下方へ取り出し、吸着面を下方に向けるように180°回転しながら降下して容器本体Qを上記物品本体反転体81へ、物品Pに被せるようにして配置するようになっている。配置後、吸着力は解除され、再び回転しながら上方へ向け次の容器本体の取出し位置へ移動する。
【0039】
容器本体Qが物品Pに被された物品反転体81は、凹面81Aと容器本体Qとで囲まれて形成された空間を吸引力により負圧として該容器本体Qを保持した状態で180°回転して下方に位置にまで移動すると、上記吸引力を解除し、上下に反転して物品Pが収まった容器本体Qとして、下方に位置する取出しコンベヤ90上に落下せしめる。容器本体Qは取出しコンベヤ90で次工程にもたらされて蓋部材で封止される。
【0040】
本実施形態装置は、図示しない制御装置を有しており、この制御装置によって、各手段は、下述のごとくの所定の動作を行う。
【0041】
以下、搬送コンベヤ10上の物品Pの状態を平面図で示す、図2を参照しつつ、本実施形態装置についての動作を説明する。
【0042】
(1)図2(A)にて、複数の物品Pは搬送コンベヤ10(前部コンベヤ11及び後部コンベヤ12)上で、前後に当接しながら、前方に向け搬送されている。ここで、図2(A)における状態での複数の物品Pを先頭からP1,P2・・・と符号を付すこととする。図2(A)では、先頭の物品P1の前面に係合部材51が当接している。該係合部材51は、制御装置(図示せず)により制御される係合部材駆動手段53によって、上記先頭物品P1の前面に当接してその搬送速度を規制しつつ前進しており、この先頭物品P1以降の物品P2,P3・・・も、互いの当接状態を維持しつつ前進している。上記係合部材51の前進時には、前後方向で二つのガイド側板32A,32Bの間の間隙でコンベヤ幅方向では物品の側方に位置している二つの分離部材31は、上記ガイド側板32A,32Bと共に後退している。
【0043】
(2)先頭物品P1が前部コンベヤ11に移動した時点、すなわち、この先頭物品P1と二番目の物品P2との当接位置が後部コンベヤ12から前部コンベヤ11に移動する時点で、図2(A)の位置にある二つの分離部材31が、図2(B)に示されるように、互いに近接するようにコンベヤ幅方向で移動して先頭物品P1と二番目の物品P2との間に入り込んで該二番目の物品P2の前面に当接する。したがって、二番目以降の物品P2,P3は後部コンベヤ12上で該分離部材31の前進速度に規制されて搬送される。
【0044】
(3)一方、先頭物品P1は、後部コンベヤ12よりも速い速度で移動する前部コンベヤ11に移行するので、二番目の物品P2から離間して前進し、上記分離部材31の進入を容易にすると共に、その離間距離をさらに大きくして前進する。係合部材51は、分離部材31が物品同士間に差し込まれると、上方へ退避して(図2(B)の状態)、これにより先頭の物品P1が前部コンベヤ11の速度で搬送され、分離部材31で前進を規制されている後続物品P2に対して間隔が開けられ、その間隔に係合部材51が差し込まれて、該先頭物品P1の後面に係合し、しかる後に前進して該先頭物品P1を後方から押し出し、上記先頭物品P1を上記前部コンベヤ11から前方の排出コンベヤ20へと移行させる(図2(C)参照)。排出コンベヤ20は、前部コンベヤ11よりも速い搬送速度で走行しており、上記先頭物品P1は、後続の二番目の物品P2との間隔を大きく維持したまま該排出コンベヤ20で次工程へ搬送される。上記係合部材51が前部コンベヤ11上の先頭物品P1の後面の直後位置へ降下する際に、何らかの不具合でタイミングが所定時期からずれて、上記先頭物品P1の上面に衝突して物品を破壊してしまったときには、係合部材51は所定位置まで降下しないので、もち上がり、その結果、水平腕部材52がピン58Bまわりに回動した状態となり、前端金具52Aがセンサ61から離れ、センサ61がこれを異常として感知して、制御装置が回動板24を図1で破線にて示されるように下方へ回動せしめて、破壊された上記先頭物品P1を不良品として排出コンベヤ20に移行してから、上記回動板24で滑落せしめて、受けトレイ25へ排出する。
【0045】
(4)係合部材51が先頭物品P1との係合の解除後に後退している間に、分離部材31により規制を受けながら前進する二番目の物品P2は、後部コンベヤ12から前部コンベヤ11にまたがるようにして前進しており、前部コンベヤ11へ完全に移行しきる前に、図2(D)に見られるように、後退してきた係合部材51により前面で規制を受けるようになる。この係合部材51が二番目の物品P2の前面に当接して該物品P2を規制しながら前進している間に、上記二つの分離部材31は互いに側方へ離間するように移動後(図2(E)参照)、ガイド側板32A,32Bと共に後退する(図2(F)参照)。かくして、図2(F)における二番目の物品P2は、図2(A)における当初の先頭物品P1と同じ位置にもたらされる。以上の工程を繰り返して、物品P1,P2,P3…は次々と後続の物品から間隔をもって分離されて排出コンベヤ20へ引き渡される。
【0046】
本発明は、図示された形態に限定されず、種々変更が可能である。例えば、物品は一つずつ分離されずとも、前部コンベヤの長さ、係合部材そして分離部材の前後移動距離を適宜設定することで、二つずつのように複数毎に分離することが可能である。又、物品は、コンベヤ幅方向に多列に配されていて、これらの列の物品を同時に切り離すようにすることもできる。
【0047】
さらには、図示の例では、物品の平面形状が円形であったため、物品同士間に側方に開く空間へ分離部材を側方から進入させる形態をとったが、物品の形態によって、上方から進入させ空間が物品同士間に形成されているときには、上方から進入させてもよい。同様に、係合部材に関しても、一部材によらず、分離部材と同様に二部材とすることも、さらには、上方からでも側方からでも物品に対しての係合が可能である。
【符号の説明】
【0048】
10 搬送コンベヤ(手段)
11 前部コンベヤ(手段)
12 後部コンベヤ(手段)
30 分離部材駆動手段
31 分離部材
P1 (先頭の)物品
P2 後続(二番目の)物品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前後に当接し列をなした状態で搬送される物品を、前方へ搬送しながら先頭側の物品を後続の物品から順次分離させる物品分離装置において、
物品を列をなした状態で搬送する搬送コンベヤ手段と、先頭の物品に当接係合する係合部材と、該係合部材を前後および上下方向に移動させる係合部材駆動手段と、搬送される物品の前後に隣接する物品同士間に進入そして脱出する分離部材と、分離部材を前後および上記進入そして脱出方向に移動させる分離部材駆動手段を備え、
係合部材駆動手段が係合部材を搬送中の先頭の物品の前面に当接した状態で該先頭の物品と共に前進せしめ、かかる状態で分離部材駆動手段が分離部材を物品間に入り込ませて物品の搬送速度より遅い速度で前進移動させるようになっていると共に、
上記係合部材駆動手段は、係合部材を先頭の物品の前面への当接を解除した後に後退させ、分離部材が入り込んでいる物品同士間に係合部材を進入せしめ、分離部材の移動速度より速い速度で該係合部材を搬送方向へ前進移動させて該係合部材よりも前方に位置する物品を前方へ押し出し、後続の物品から分離させることを特徴とする物品分離装置。
【請求項2】
搬送コンベヤ手段は、前部コンベヤ手段とこれに隣接する後部コンベヤ手段とに分割されて、物品が後部コンベヤ手段から前部コンベヤ手段へ移行するようになっており、前部コンベヤ手段が後部コンベヤ手段よりも速い搬送速度となっていることとする請求項1に記載の物品分離装置。
【請求項3】
係合部材駆動手段は、前後方向にて係合部材を前部コンベヤ手段の範囲内で、分離部材駆動手段は、前後方向にて分離部材を後部コンベヤ手段と前部コンベヤ手段の間から前部コンベヤ手段の範囲内で、それぞれ移動せしめることとする請求項2に記載の物品分離装置。
【請求項4】
分離部材は、搬送方向に対し両方の側方から物品同士間に進入するようになっていることとする請求項1に記載の物品分離装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−91800(P2012−91800A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−238817(P2010−238817)
【出願日】平成22年10月25日(2010.10.25)
【出願人】(000226976)日清食品ホールディングス株式会社 (127)
【出願人】(393027121)株式会社ファブリカトヤマ (27)
【Fターム(参考)】