説明

物品収容ケース

【課題】略平面状態から基本状態に容易に変相させることができるようにする。さらには、液体漏れ防止効果が得られるようにする。
【解決手段】底部20と、一対の第1側壁部30と、一対の第2側壁部40とを有するケース本体10と、ケース本体10の内側に配設された内側シート60とを有する。各第1側壁部30は、起立姿勢と折り畳み姿勢との間を変位可能であり、各第2側壁部40は、起立姿勢と外方延出姿勢との間を変位可能である。内側シート60(そのうちの実質的連結部90)は、底部20並びに一対の第1側壁部30及び前記一対の第2側壁部40に対応し、第1側壁部30と第2側壁部40とを連結し、折り畳み姿勢の状態の第1側壁部30が起立姿勢に向かって変位することに伴って、外方延出姿勢の状態の第2側壁部40を前記起立姿勢に向かって変位させる連結材としても機能する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品が収容されるケースに関するものである。
【背景技術】
【0002】
各種の物品を輸送等するために、ケース(容器,箱)が使用される場合が多い。
保冷状態・保温状態を維持しつつ搬送するためには、断熱効果を有するケースが使用される。
【0003】
従来の物品収容ケースとしては、例えば、次のようなものがある。
その物品収容ケースは、底部,相対向する一対の第1側壁部,相対向する一対の第2側壁部,蓋部を有している。それらは、各々、表裏一対の合成樹脂のシートの隙間に断熱材が配設されて形成されている。
底部は長方形状をしている。各第1側壁部(その下縁部)は、底部の各短辺に結合されている。各第2側壁部(その下縁部)は、底部の各長辺に結合されている。また、隣接する第1側壁部・第2側壁部(その側縁部)同士も結合されている。
蓋部(その一縁部)は、一方の第2側壁部(その上縁部)に対して開閉可能に設けられている。
【0004】
ところで、省スペースの観点から、物品収容ケースは、物品を収容していない状態(すなわち、空(から)の状態)においては、平たくなっている(すなわち、ほぼ平面の状態になっている)ことが望ましい。
【0005】
しかしながら、上述の物品収容ケースは、ほぼ平面の状態にする(平たくする)ことを想定して形成されていない。
このため、平たくしようとする際は、各第1側壁部をその幅方向における中央において高さ方向に延びる中心線に沿って内側方向に折り曲げ、底部をその短辺の方向における中央において長辺と平行に延びる中心線に沿って折り曲げるようにして、つぶすようにされるのみである。
しかし、この作業は煩雑である。
【0006】
一方、ほぼ平面の状態にする(折り畳む等)ことを想定して形成された物品収容ケースも存在する。
その物品収容ケースは、上述の物品収容ケースとほぼ同様に、底部,相対向する一対の第1側壁部,相対向する一対の第2側壁部,蓋部を有している。
各第1側壁部及び各第2側壁部は、いずれもその下縁部(基縁部)において底部の各辺に対して回動可能に設けられている。すなわち、各第1側壁部及び各第2側壁部は、底部とほぼ垂直に底部から上方に向かう起立姿勢と、内側方向に倒臥して底部と重なる折り畳み姿勢(内側への倒臥姿勢)、及び/又は、外側方向に倒臥して底部とほぼ同一平面を形成する外方延出姿勢(外側への倒臥姿勢)との間を変位可能である。
【0007】
そして、各第1側壁部及び各第2側壁部が起立姿勢となった状態で、隣接する第1側壁部・第2側壁部(その側縁部)同士が、各々に設けられた面ファスナ(オス/メス)によって着脱可能に結合されて、各第1側壁部及び各第2側壁部が起立姿勢に維持される。
なお、このように、すべての側壁部が起立姿勢にされた状態を物品収容ケースの基本状態ということとする。
【0008】
一方、この物品収容ケースは、不使用時(すなわち、物品を収容しない状態)においては、隣接する第1側壁部・第2側壁部同士が分離されて倒臥姿勢にされ、全体としてほぼ平面の状態となる。
なお、このように、すべての側壁部が倒臥姿勢となって全体としてほぼ平面となっている状態を物品収容ケースの略平面状態ということとする。
また、その略平面状態のうち、すべての側壁部が内側への倒臥姿勢(折り畳み姿勢)となっている状態を物品収容ケースの折り畳み状態ということとする。
そして、この物品収容ケースは、使用しようとする際には、略平面状態から基本状態へと変相される。こうして、内側に形成される収容空間に物品が収容される。
【0009】
しかしながら、上記の物品収容ケースにおいては、略平面状態から基本状態に変相させるためには、各第1側壁部及び各第2側壁部を各々倒臥姿勢から起立姿勢に変位させる必要がある。そして、隣接する第1側壁部・第2側壁部同士について、各々、所定の位置関係(いずれも起立姿勢)に位置づけつつ、面ファスナ(オス/メス)によって結合させて、基本状態に維持されるようにする必要がある。
すなわち、上記の物品収容ケースにおいては、略平面状態から基本状態に変相させるためには、すべての側壁部を操作して、それらを起立姿勢に向けて変位させる必要があり、煩雑である。
また、隣接する第1側壁部・第2側壁部同士について、単にそれらを面ファスナによって結合させるのではなく、それらを所定の位置関係に位置づけつつ(それらを起立姿勢に維持しつつ)結合させる必要があり、その作業も煩雑である。
【0010】
また、物品収容ケースは、防水性(液体漏れ防止効果)を有していることが望ましい。
すなわち、例えば、液体をそのまま(すなわち、非包装状態で)収容することは想定していないとしても、液体を収容した容器を収容することがあり、万が一その容器から液体が漏れた場合においても、物品収容ケースからは液体が漏れないことが望ましい。
また、冷たい液体を収容した容器を収容した場合には、その容器の表面に結露が生ずる場合もあり、そのようにして生じた液体(水)も物品収容ケースから漏れないことが望ましい。
【0011】
なお、本発明の属する技術分野において、特許文献1及び特許文献2に開示された先行技術も存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2001−88849号公報
【特許文献2】特開2008−285185号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、略平面状態にすることが可能であるとともに、その略平面状態から基本状態に容易に変相させることができる物品収容ケースを提供することを第1の課題とする。
また、本発明は、さらに、液体漏れ防止効果を有する物品収容ケースを提供することを第2の課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この課題を解決するために、請求項1に係る発明は、内側の収容空間に物品が収容される物品収容ケースであって、底部と、前記底部から垂直方向成分を有する方向に起立する起立姿勢と、内側に倒臥して前記底部に対して重なる折り畳み姿勢との間を変位可能であり、前記起立姿勢の状態で相互に対向する一対の第1側壁部と、前記底部から垂直方向成分を有する方向に起立する起立姿勢と、外側に倒臥して前記底部とほぼ同一平面を形成しつつ外方に延出する外方延出姿勢との間を変位可能であり、前記起立姿勢の状態で相互に対向する一対の第2側壁部と、前記第1側壁部と前記第2側壁部とを連結し、前記折り畳み姿勢の状態の前記第1側壁部が前記起立姿勢に向かって変位することに伴って、前記外方延出姿勢の状態の前記第2側壁部を前記起立姿勢に向かって変位させる連結材とを有する、物品収容ケースである。
【0015】
この発明の物品収容ケースでは、次のような作用効果が得られる。
まず、この物品収容ケースにおいては、一対の第1側壁部及び一対の2側壁部とも起立姿勢の状態において、その内側に収容空間が形成され、その収容空間に物品が収容され得る。なお、このように、一対の第1側壁部及び一対の2側壁部とも起立姿勢の状態を物品収容ケースの基本状態ということとする。
一方、この物品収容ケースは、一対の第1側壁部が折り畳み姿勢の状態であって一対の第2側壁部が外方延出姿勢の状態においては、ほぼ平面状態となる。なお、この状態を物品収容ケースの外方延出状態(略平面状態の1つ)ということとする。
このため、不使用の場合には、折り畳み展開状態(略平面状態)とされることによって、省スペースが図られる。
以上のことは、他の独立項に係る発明においても同様である。
【0016】
そして、この物品収容ケースでは、略平面状態の1つである折り畳み展開状態(一対の第1側壁部が折り畳み姿勢の状態であり、一対の第2側壁部が外方延出姿勢の状態)にある際に、第1側壁部が折り畳み姿勢(内側への倒臥姿勢)から起立姿勢に向かって変位するように操作されることに伴って、連結材を介して、第2側壁部が外方延出姿勢(外側への倒臥姿勢)から起立姿勢に向かって変位する。
こうして、この物品収容ケースは、略平面状態から、基本状態(一対の第1側壁部及び一対の第2側壁部とも起立姿勢の状態)になる。
このように、この発明の物品収容ケースでは、第1側壁部及び第2側壁部を各々倒臥姿勢から起立姿勢に向かって変位するように向けて各々操作する必要がなく、略平面状態(折り畳み展開状態)から基本状態に容易に変相させることができる。
【0017】
すなわち、この発明の物品収容ケースでは、不使用の際には略平面状態(折り畳み展開状態)としてコンパクトにすることができるとともに、使用しようとする際には、容易に基本状態にすることができるのである。
【0018】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明の物品収容ケースであって、当該物品収容ケースの内側に配設され、前記底部に対応するとともに、前記一対の第1側壁部及び前記一対の第2側壁部の少なくともその下縁部の側の一部に対応する内側シートを有している、物品収容ケースである。
【0019】
「前記一対の第1側壁部及び前記一対の第2側壁部の少なくともその下縁部の側の一部」の「下縁部」とは、各第1側壁部及び各第2側壁部が起立姿勢となっている状態に基づく表現である。すなわち、底部の側の縁部である。
【0020】
この発明の物品収容ケースでは、請求項1に係る発明の物品収容ケースの作用効果に加えて、次の作用効果が得られる。
すなわち、この物品収容ケースでは、内側に内側シートが配設されており、その内側シートは、底部に対応するとともに、一対の第1側壁部及び一対の第2側壁部の少なくともその下縁部の側の一部に対応している。
このため、この物品収容ケースでは、内側シートが液体を透過させない性質を有する場合において、液体漏れ防止効果(防水性)が得られる。
すなわち、この物品収容ケースの内部において、容器に収容された液体が当該容器から流出した等、この物品収容ケースの内部において非包装状態の液体が生じた場合でも、その液体が内側シートの外部に流出することが阻止され、その液体がこの物品収容ケースの外部に漏れることが防止される。
【0021】
請求項3に係る発明は、請求項2に係る発明の物品収容ケースであって、前記内側シートは、前記連結材としても機能するものである、物品収容ケースである。
【0022】
この発明の物品収容ケースでは、請求項2に係る発明の物品収容ケースの作用効果に加えて、次の作用効果が得られる。
すなわち、この物品収容ケースでは、液体漏れ防止効果(防水性)を得るための内側シートが、折り畳み姿勢の第1側壁部が起立姿勢に向かって変位することに伴って外方延出姿勢の第2側壁部を起立姿勢に向かって変位させる、という連結材としても機能するために、内側シート(連結材としては機能しないもの)及び連結材を各々別個設ける場合よりも、構造がシンプルなものとなる。
【0023】
請求項4に係る発明は、内側の収容空間に物品が収容される物品収容ケースであって、矩形状の底部と、前記底部から垂直方向成分を有する方向に起立する起立姿勢と、内側に倒臥して前記底部に対して重なる折り畳み姿勢との間を変位可能であり、前記起立姿勢の状態で相互に対向する一対の第1側壁部と、前記底部から垂直方向成分を有する方向に起立する起立姿勢と、外側に倒臥して前記底部とほぼ同一平面を形成しつつ外方に延出する外方延出姿勢との間を変位可能であり、前記起立姿勢の状態で相互に対向する一対の第2側壁部とを有するケース本体と、前記ケース本体の内側に配設された内側シートとを有し、前記内側シートは、前記底部に対応するとともに、前記一対の第1側壁部の中途高さ以上の高さ位置において当該第1側壁部の長さ方向成分を有する方向に延びる線及びそれを延長した線からなる線と、前記一対の第2側壁部の中途高さ以上の高さ位置において当該第2側壁部の長さ方向成分を有する方向に延びる線及びそれを延長した線からなる線とによって形成される少なくともほぼ矩形状をしており、前記内側シートには、前記各第1側壁部の基縁部及びそれを延長した線からなる線に対応した折り畳み線に沿って、前記底部に対する前記各第1側壁部の前記折り畳み姿勢に対応して内側方向に折り畳まれる一対の折り畳み部分が形成され、前記各折り畳み部分のうち前記各第1側壁部に対応する部分が当該第1側壁部に対して結合され、前記各折り畳み部分のうちの前記各第2側壁部に対応する部分のうち当該第2側壁部の上縁部の側に対応する部分が当該第2側壁部に対して結合されている、物品収容ケースである。
【0024】
「矩形状」には、長方形状,正方形状が含まれる。このことは、他の請求項に係る発明においても同様である。
「第1側壁部/第2側壁部の中途高さ以上の高さ位置」とは、第1側壁部/第2側壁部が起立姿勢となっている状態に基づく表現である。「第2側壁部の上縁部」についても同様である。
「前記各折り畳み部分のうち前記各第1側壁部に対応する部分が当該第1側壁部に対して結合され」には、「前記各折り畳み部分のうち前記各第1側壁部に対応する部分」のうちのすべての部分が当該第1側壁部に対して結合される態様のみでなく、「前記各折り畳み部分のうち前記各第1側壁部に対応する部分」のうちの一部が当該第1側壁部に対して結合されれる態様も含まれる。
【0025】
この発明の物品収容ケースでは、請求項3に係る発明とほぼ同様の作用効果がより具体的に得られる。
【0026】
すなわち、まず、この発明の物品収容ケースでは、内側に内側シートが配設されている。そして、その内側シートは、底部に対応するとともに、一対の第1側壁部の中途高さ以上の高さ位置において第1側壁部の長さ方向成分を有する方向に延びる線及びそれを延長した線からなる線と、一対の第2側壁部の中途高さ以上の高さ位置において第2側壁部の長さ方向成分を有する方向に延びる線及びそれを延長した線からなる線とによって形成される少なくともほぼ矩形状をしている。
すなわち、この物品収容ケースが基本状態にある際に、内側シートは、底部に対応するとともに、その上縁は、一対の第1側壁部の中途高さ以上の高さ位置及び一対の第2側壁部の中途高さ以上の高さ位置に位置する。
このため、この内側シートが液体を透過させない性質を有する場合において、液体漏れ防止効果(防水性)が得られる。
すなわち、この物品収容ケースの内部において、容器に収容された液体が当該容器から流出した等、この物品収容ケースの内部において非包装状態の液体が生じた場合でも、その液体が内側シートの外部に流出することが阻止され、その液体がこの物品収容ケースの外部に漏れることが防止される。
【0027】
また、この発明の物品収容ケースでは、内側シートには、一対の折り畳み線に沿って内側方向に折り畳まれれる一対の折り畳み部分が形成され、各折り畳み部分のうち各第1側壁部に対応する部分が第1側壁部に対して結合され、各折り畳み部分のうちの各第2側壁部に対応する部分のうち第2側壁部の上縁部の側に対応する部分が第2側壁部に対して結合されている。
こうして、各第1側壁部と各第2側壁部とは、内側シートの各折り畳み部分のうちの、第1側壁部に対応する部分と、第2側壁部に対応する部分のうち第2側壁部の上縁部の側に対応する部分との間の部分(この部分を実質的連結部という)によって、実質的に連結されている。
【0028】
このため、この物品収容ケースが略平面状態の1つである折り畳み展開状態(一対の第1側壁部が折り畳み姿勢の状態であり、一対の第2側壁部が外方延出姿勢の状態)にある際に、一対の第1側壁部が折り畳み姿勢(内側への倒臥姿勢)から起立姿勢に向かって変位するように操作されることに伴って、内側シート(そのうちの実質的連結部)を介して、一対の第2側壁部が外方延出姿勢(外側への倒臥姿勢)から起立姿勢に向かって変位し得る。
こうして、この物品収容ケースは、略平面状態から、基本状態(一対の第1側壁部及び一対の第2側壁部が起立姿勢の状態)になり得る。
このように、この発明の物品収容ケースでは、一対の第1側壁部及び一対の第2側壁部をともに倒臥姿勢から起立姿勢に向かって変位するように向けて各々操作する必要がなく、略平面状態(折り畳み展開状態)から基本状態に容易に変相させることができ得る。
すなわち、この発明の物品収容ケースでは、不使用の際には略平面状態(折り畳み展開状態)としてコンパクトにすることができるとともに、使用する際には、容易に基本状態にすることができ得るのである。
【0029】
請求項5に係る発明は、内側の収容空間に物品が収容される物品収容ケースであって、矩形状の底部と、前記底部から垂直方向成分を有する方向に起立する起立姿勢と、内側に倒臥して前記底部に対して重なる折り畳み姿勢との間を変位可能であり、前記起立姿勢の状態で相互に対向する一対の第1側壁部と、前記底部から垂直方向成分を有する方向に起立する起立姿勢と、外側に倒臥して前記底部とほぼ同一平面を形成しつつ外方に延出する外方延出姿勢との間を変位可能であり、前記起立姿勢の状態で相互に対向する一対の第2側壁部とを有するケース本体と、前記ケース本体の内側に配設された内側シートとを有し、前記内側シートは、前記底部に対応するとともに、前記一対の第1側壁部の上縁部に沿って延びる直線及びそれを延長した直線からなる直線と、前記一対の第2側壁部の上縁部に沿って延びる直線及びそれを延長した直線からなる直線とによって形成される矩形状をしており、前記内側シートには、前記各第1側壁部の基縁部及びそれを延長した線からなる線に対応した折り畳み線に沿って、前記底部に対する前記各第1側壁部の前記折り畳み姿勢に対応して内側方向に折り畳まれる一対の折り畳み部分が形成され、前記各折り畳み部分のうち前記各第1側壁部の上縁部に対応する部分が当該第1側壁部の上縁部に対して結合され、前記各折り畳み部分のうち前記各第2側壁部の上縁部に対応する部分が当該第2側壁部の上縁部に対して結合されている、物品収容ケースである。
【0030】
「第1側壁部/第2側壁部の上縁部」とは、第1側壁部/第2側壁部が起立姿勢となっている状態に基づく表現である。
【0031】
この発明の物品収容ケースでは、請求項3に係る発明とほぼ同様の作用効果がより具体的に得られる。請求項4に係る発明よりも、より確実な効果が得られる。
【0032】
すなわち、まず、この発明の物品収容ケースでは、内側に内側シートが配設されている。そして、その内側シートは、底部に対応するとともに、一対の第1側壁部の上縁部に沿って延びる直線及びそれを延長した直線からなる直線と、一対の第2側壁部の上縁部に沿って延びる直線及びそれを延長した直線からなる直線とによって形成される矩形状をしている。
すなわち、この物品収容ケースが基本状態にある際に、内側シートは、底部に対応するとともに、その上縁は、一対の第1側壁部の上縁部及び一対の第2側壁部の上縁部に位置する。
このため、この内側シートが液体を透過させない性質を有する場合において、液体漏れ防止効果(防水性)が得られる。
すなわち、この物品収容ケースの内部において、容器に収容された液体が当該容器から流出した等、この物品収容ケースの内部において非包装状態の液体が生じた場合でも、その液体が内側シートの外部に流出することが阻止され、その液体がこの物品収容ケースの外部に漏れることが防止される。
【0033】
また、この発明の物品収容ケースでは、内側シートには、一対の折り畳み線に沿って内側方向に折り畳まれれる一対の折り畳み部分が形成され、各折り畳み部分のうち各第1側壁部の上縁部に対応する部分が当該第1側壁部の上縁部に対して結合され、各折り畳み部分のうち各第2側壁部の上縁部に対応する部分が当該第2側壁部の上縁部に対して結合されている。
こうして、各第1側壁部と各第2側壁部とは、内側シートの各折り畳み部分のうちの、各第1側壁部の上縁部に対応する部分(当該第1側壁部の上縁部に結合されている)(そのうちの端部)と各第2側壁部の上縁部に対応する部分(当該第2側壁部の上縁部に結合されている)(そのうちの端部)とによって形成される部分(この部分を実質的連結部という)によって、実質的に連結されている。
【0034】
このため、この物品収容ケースが略平面状態の1つである折り畳み展開状態(一対の第1側壁部が折り畳み姿勢の状態であり、一対の第2側壁部が外方延出姿勢の状態)にある際に、一対の第1側壁部が折り畳み姿勢(内側への倒臥姿勢)から起立姿勢に向かって変位するように操作されることに伴って、内側シート(そのうちの実質的連結部)を介して、一対の第2側壁部が外方延出姿勢(外側への倒臥姿勢)から起立姿勢に向かって変位する。
こうして、この物品収容ケースは、略平面状態から、基本状態(一対の第1側壁部及び一対の第2側壁部が起立姿勢の状態)になる。
このように、この発明の物品収容ケースでは、一対の第1側壁部及び一対の第2側壁部をともに倒臥姿勢から起立姿勢に向かって変位するように向けて各々操作する必要がなく、略平面状態(折り畳み展開状態)から基本状態に容易に変相させることができる。
すなわち、この発明の物品収容ケースでは、不使用の際には略平面状態(折り畳み展開状態)としてコンパクトにすることができるとともに、使用する際には、容易に基本状態にすることができるのである。
【0035】
請求項6に係る発明は、請求項4又は請求項5に係る発明の物品収容ケースであって、前記第1側壁部が前記折り畳み姿勢から前記起立姿勢に向かって変位し、前記第2側壁部が前記外方延出姿勢から前記起立姿勢に向かって変位することに伴って、前記内側シートのうちの折り畳み部分のうち相互に近接又は接触することになる部分を着脱可能に結合する結合材が設けられている、物品収容ケースである。
【0036】
この発明の物品収容ケースでは、請求項4又は請求項5に係る発明の物品収容ケースの作用効果に加えて、次の作用効果が得られる。
すなわち、この物品収容ケースでは、折り畳み展開状態から基本状態に向かって変相することに伴って、内側シートのうちのうちの折り畳み部分のうち相互に近接又は接触することになる部分が結合材によって結合されることによって、第1側壁部及び第2側壁部がともに起立姿勢で維持されることになる。
このようにして、この物品収容ケースは、容易に基本状態に維持されることになる。
【0037】
請求項7に係る発明は、請求項1〜請求項6のいずれかに係る発明の物品収容ケースであって、さらに、前記一対の第1側壁部が前記折り畳み姿勢となっている状態において、前記一対の第2側壁部が、前記外方延出姿勢と、内側に倒臥して前記底部に対して重なる折り畳み姿勢との間を変位可能である、物品収容ケースである。
【0038】
この発明の物品収容ケースでは、請求項1〜請求項6に係る発明の物品収容ケースの作用効果に加えて、次の作用効果が得られる。
すなわち、この物品収容ケースでは、略平面状態の1つである折り畳み展開状態(一対の第1側壁部が折り畳み姿勢の状態であり、一対の第2側壁部が外方延出姿勢の状態)から、一対の第2側壁部を外方延出姿勢から折り畳み姿勢(第1側壁部を挟んで底部に対して重なる)に変位させることができる。
なお、このように、一対の第1側壁部及び一対の第2側壁部とも折り畳み姿勢の状態を物品収容ケースの折り畳み状態(略平面状態の他の1つ)ということとする。
このため、この物品収容ケースでは、不使用の際には、折り畳み状態とすることによって、さらにコンパクトにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の実施例1の物品収容ケース(基本状態)を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施例1の物品収容ケース(基本状態)を示す分解斜視図である。
【図3】本発明の実施例1の物品収容ケース(基本状態のうちの閉塞状態)を示す斜視図である。
【図4】本発明の実施例1の物品収容ケース(折り畳み展開状態)を示す斜視図である。
【図5】本発明の実施例1の物品収容ケース(折り畳み展開状態)を示す分解斜視図である。
【図6】本発明の実施例1の物品収容ケースを示す分解斜視図であり、仮想的に、ケース本体及び内側シートとも展開状態となっている状態を示す。
【図7A】本発明の実施例1の物品収容ケースを折り畳み展開状態から基本状態に変相させる過程を示す斜視図である。そのうち初期の段階を示す。
【図7B】本発明の実施例1の物品収容ケースを折り畳み展開状態から基本状態に変相させる過程を示す斜視図である。そのうち図7Aの次の段階を示す。
【図7C】本発明の実施例1の物品収容ケースを折り畳み展開状態から基本状態に変相させる過程を示す斜視図である。そのうち図7Bの次の段階を示す。
【図7D】本発明の実施例1の物品収容ケースを折り畳み展開状態から基本状態に変相させる過程を示す斜視図である。そのうち図7Cの次の段階を示す。
【図7E】本発明の実施例1の物品収容ケースを折り畳み展開状態から基本状態に変相させる過程を示す斜視図である。そのうち図7Dの次の段階(最終段階)を示す。
【図8A】本発明の実施例1の物品収容ケースを折り畳み展開状態から折り畳み状態に変相させる過程を示す斜視図である。そのうち初期の段階を示す。
【図8B】本発明の実施例1の物品収容ケースを折り畳み展開状態から折り畳み状態に変相させる過程を示す斜視図である。そのうち図8Aの次の段階(最終段階)を示す。
【図9】本発明の実施例2の物品収容ケース(基本状態)を示す斜視図である。
【図10】本発明の実施例2の物品収容ケース(基本状態)を示す分解斜視図である。
【図11】本発明の実施例2の物品収容ケース(折り畳み展開状態)を示す斜視図である。
【図12】本発明の実施例2の物品収容ケース(折り畳み展開状態)を示す分解斜視図である。
【図13A】本発明の実施例2の物品収容ケースを折り畳み展開状態から基本状態に変相させる過程を示す斜視図である。そのうち初期の段階を示す。
【図13B】本発明の実施例2の物品収容ケースを折り畳み展開状態から基本状態に変相させる過程を示す斜視図である。そのうち図13Aの次の段階(終盤の段階)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0040】
[実施例1]
次に、本発明の実施例1である物品収容ケースについて、図1〜図8Bに基づいて説明する。なお、その物品収容ケースが水平面に載置された状態に基づいて説明する。
図1,図2,図4,図5等に示すように、この物品収容ケースは、ケース本体10,内側シート60を有している。
この物品収容ケースは、直方体状をなす基本状態(図1〜図3)と、ほぼ平面状態をなす略平面状態(図4,図5,図8B)との間を変相可能である。略平面状態には、折り畳み展開状態(図4,図5)と、折り畳み状態(図8B)とがある。
【0041】
図2,図5,図6に示すように、ケース本体10は、底部20,相対向する一対の第1側壁部30,相対向する一対の第2側壁部40,蓋部50を有している。それらは、各々、表裏一対の合成樹脂のシートを有するとともに、その両シートの間の隙間に断熱材が配設されて形成されている。
【0042】
底部20は長方形状をしている。すなわち、相対向する一対の短辺(符号省略)、及び、相対向する一対の長辺(符号省略)を有している。
基本状態(図2)において隣接する各第1側壁部30(その側縁部)と各第2側壁部40(その側縁部)とは、略平面状態(図5,図8B)の際はもちろん、基本状態(図2)の際においても、直接的に結合されてはいない。
【0043】
図2,図5,図6等に示すように、各第1側壁部30は、その下縁部(基縁部)において、底部20の各短辺(一方の一対の縁部)に対して回動可能に結合されている。
各第1側壁部30は、起立姿勢(図1,図2)と折り畳み姿勢(図4,図5)との間を変位可能である。図1及び図2に示すように、起立姿勢とは、底部20と垂直に起立する姿勢である。図4及び図5に示すように、折り畳み姿勢とは、起立姿勢から内側に倒臥して底部20と重なる姿勢(内側への倒臥姿勢)である。
【0044】
なお、図6に示すように、第1側壁部30は、本来的には(すなわち、内側シート60が取り付けられていないケース本体10のみの状態では)、起立姿勢から外方延出姿勢までも変位することが可能である。外方延出姿勢とは、起立姿勢から外側に倒臥して底部20とほぼ一平面状となる姿勢(外側への倒臥姿勢)である。
【0045】
図2及び図5に示すように、各第1側壁部30の外面(起立姿勢の状態における外面であり、折り畳み姿勢の状態における上面)には、把持部35が取り付けられている。把持部35は、帯状の布によって形成されている。
【0046】
図2及び図5等に示すように、各第1側壁部30の上縁部(起立姿勢の状態における上縁部)には、結合片32が設けられている。各結合片32は、その基縁部において、同一平面姿勢(図5)と折り曲げ姿勢(図2)との間を変位可能である。図5に示すように、同一平面姿勢とは、各第1側壁部30とほぼ同一平面を形成する姿勢である。図2に示すように、折り曲げ姿勢とは、各第1側壁部30と垂直になる(起立姿勢の状態の各第1側壁部30から内側方向に向かってほぼ水平状態になる)姿勢である。
各結合片32の上面(各第1側壁部30が起立姿勢に位置し、各結合片32が折り曲げ姿勢の状態のおける各結合片32の上面)には、面ファスナ(メス)33が取り付けられている。
【0047】
図2,図5,図6等に示すように、蓋部50は、一方の第2側壁部40に連設されている。すなわち、一方の第2側壁部40と一体的(連続的)に形成されている。
なお、蓋部50が連設されていない第2側壁部40のことを非連設第2側壁部40Aといい、蓋部50が連設されている第2側壁部40のことを連設第2側壁部40Bということとする。
【0048】
図2,図5,図6,図8A,図8B等に示すように、各第2側壁部40は、その下縁部(基縁部)において、底部20の各長辺(他方の一対の縁部)に対して回動可能に結合されている。正確にいえば、各第2側壁部40は底部20と一体的(連続的)に形成されており、各第2側壁部40は底部20の各長辺に対して折り曲げ可能に連設されているといえる。
各第2側壁部40は、起立姿勢(図1,図2)を基準に、外方延出姿勢(図4〜図6)と折り畳み姿勢(図8A,図8B)との間を変位可能である。
図1及び図2に示すように、起立姿勢とは、底部20と垂直に起立する姿勢である。図4〜図6に示すように、外方延出姿勢とは、起立姿勢から外側に倒臥して底部20とほぼ一平面状となる姿勢(外側への倒臥姿勢)である。図8A及び図8Bに示すように、折り畳み姿勢とは、起立姿勢から内側に倒臥して底部20と重なる姿勢(内側への倒臥姿勢)である。
【0049】
すなわち、図4に示すように、各第1側壁部30とは異なり、ケース本体10に対して内側シート60が取り付けられた状態においても、各第2側壁部40は、外方延出姿勢まで変位することが可能である。
また、ケース本体10に対して内側シート60が取り付けられた状態(図1等)においては、図7A〜図7Eに示すように、各第2側壁部40は、各第1側壁部30が起立姿勢等になっている状態においては、折り畳み姿勢に変位することはできない。一方、図8A及び図8Bに示すように、各第2側壁部40は、各第1側壁部30が折り畳み姿勢になっている状態においてのみ、折り畳み姿勢まで変位することができる。
【0050】
図2等に示すように、非連設第2側壁部40Aの外面のうちの上縁部(起立姿勢の状態における外面の上縁部)の近傍には面ファスナ(メス)44が取り付けられている。
また、ケース本体10の外側であって底部20と非連設第2側壁部40Aとの境界部分には、結合片27が設けられている。結合片27のうちの非連設第2側壁部40Aの側の面には面ファスナ(オス)28が形成されている。
【0051】
図2,図5,図6等に示すように、蓋部50には、蓋本体部51及び折り曲げ部52がある。
折り曲げ部52は、蓋本体部51とほぼ一平面状をなす略一平面状姿勢(図5)と、蓋本体部51と垂直(蓋本体部51の内面の方に向けて垂直)になる折り曲げ姿勢(図2)との間を変位可能である。
【0052】
蓋本体部51は、物品収容ケースが閉塞状態(図3参照)となっている際に、底部20(内側シート60に覆われている)に対向する部分である。閉塞状態とは、図3に示すように、物品収容ケースが基本状態となっており、蓋本体部51が水平になって、一対の第1側壁部30及び一対の第2側壁部40の上縁部によって形成される開口部(符号省略)を閉じた状態である。
図2等に示すように、蓋本体部51の内面(閉塞状態における下面)のうちの各短辺の近傍には、各第1側壁部30の(結合片32)の面ファスナ(メス)33に対応して、面ファスナ(オス)53が取り付けられている。
折り曲げ部52の内面には、非連設第2側壁部40Aの面ファスナ(メス)44に対応して、面ファスナ(オス)54が取り付けられている。
また、図3,図8A,図8Bに示すように、蓋本体部51のうちの上面には、結合片27の面ファスナ(オス)28に対応して、面ファスナ(メス)58が取り付けられている。
【0053】
図2,図5,図6等に示すように、内側シート60は、可撓性を有する合成樹脂によって形成されており、液体を透過させないものである。
図6に示すように、内側シート60は、1枚の長方形状のシートによって形成されている。
図6に示すように、内側シート60(展開状態)は、展開状態のケース本体10(そのうち蓋部50を除く)における両第1側壁部30の上縁部(起立姿勢の状態における上縁部)及び両第2側壁部40の上縁部(起立姿勢の状態における上縁部)を連ねて形成される長方形に対応した大きさの長方形状をしている。
すなわち、内側シート60の一対の短辺は、各第1側壁部30の上縁部及びそれを両方向に延長した直線に対応している。内側シート60の一対の長辺は、各第2側壁部40の上縁部及びそれを両方向に延長した直線に対応している。
【0054】
図5に示すように、この物品収容ケースが折り畳み展開状態の際において、内側シート60は、一対の折り畳み線61に沿って折り畳まれた状態とされる。
折り畳み線61とは、底部20と各第1側壁部30との結合部分(すなわち、底部20の各短辺であり、各第1側壁部30の下縁部(各第1側壁部30が起立姿勢の状態における下縁部))に対応する部分及びそれを延長した一対の直線である。
図5及び図6に示すように、内側シート60のうち、一対の折り畳み線61の間の部分を中央部分70といい、各折り畳み線61よりも外側の部分を折り畳み部分80ということとする。
各折り畳み部分80は、各折り畳み線61に沿って、ケース本体10における底部20に対する各第1側壁部30の折り畳み姿勢に対応する方向に折り曲げられている。
【0055】
また、この物品収容ケースが折り畳み展開状態(内側シート60が上述のように折り畳まれている状態)の際において、その内側シート60のうちの各第2側壁部40に対応する部分には、中央部分70に該当する部分と、折り畳み部分80に該当する部分とがある。そのうち折り畳み部分80に該当する部分のことを折り畳み第2側壁部対応部88ということとする。折り畳み第2側壁部対応部88は、正方形状をしている。
【0056】
図4及び図5に示すように、内側シート60は、この物品収容ケースの折り畳み展開状態を基準に、次のようにして、ケース本体10に対して取り付けられている。
【0057】
内側シート60(各折り畳み部分80)の一対の短辺のうちの各第1側壁部30の上縁部に対応する部分は、各々、第1側壁部30の上縁部に対して結合されている(縫い付けられている)。
なお、その縫い付け作業の際には、図6に示すように、ケース本体10及び内側シート60とも展開状態とされる。すなわち、ケース本体10については、各第1側壁部30及び各第2側壁部40とも外方延出姿勢とされ、内側シート60について、各折り畳み線61に沿って折り畳まれていない平面の状態とされる。
【0058】
図4に戻り、内側シート60の一対の長辺(中央部分70に該当する部分、及び、折り畳み部分80に該当する部分とも)は、各々、第2側壁部40の上縁部に対して結合されている(縫い付けられている)。
なお、その縫い付け作業の際には、ケース本体10及び内側シート60とも、この物品収容ケースの折り畳み展開状態に対応した状態とされる。
【0059】
図4及び図5に示すように、この物品収容ケースが折り畳み展開状態の際において、内側シート60のうちの中央部分70は、下側(すなわち、底部20及び一対の第2側壁部40の側)に位置し、内側シート60のうちの折り畳み部分80は、上側(すなわち、各第1側壁部30の側)に位置する。
その状態で、内側シート60もほぼ水平な状態でほぼ平面状態となって、ケース本体10(その底部20,各第1側壁部30,各第2側壁部40)に沿っている。
【0060】
図4,図5,図6,図7A等に示すように、内側シート60のうちの4隅の点(展開状態の内側シート60における4隅の点)が作用部位81である(図5及び図6においては符号なし)。
すなわち、作用部位81は、物品収容ケースが折り畳み展開状態の際において、内側シート60のうち一対の折り畳み部分80のうちの各第2側壁部40の上縁部(各第2側壁部40が起立姿勢の状態における上縁部)に対応するとともに、各第1側壁部30の上縁部(各第1側壁部30が起立姿勢の状態における上縁部)の延長線上に対応する点である。
【0061】
内側シート60のうち、各作用部位81と、各第1側壁部30の各側縁部の下端部に対応する点とを結ぶ線が、折り曲げ線82である。すなわち、折り曲げ線82は、正方形状をなす折り畳み第2側壁部対応部88の一の対角線である。
また、内側シート60のうち、各第1側壁部30の上縁部に対応する部分(前述したように、その部分において第1側壁部30に対して結合されている)の各端部と各作用部位81とを直線的に結んで形成される部分が、実質的連結部90である。
すなわち、実質的連結部90は、内側シート60の短辺のうち、折り畳み第2側壁部対応部88に該当する部分である。
各第1側壁部30と、各第2側壁部40とは、実質的に、内側シート60のうちの実質的連結部90によって連結されているといえる。すなわち、内側シート60のうちの実質的連結部90が、本発明の連結材としても機能する部分である。
【0062】
図1及び図2に示すように、この物品収容ケースが基本状態の際においても、内側シート60は、ケース本体10(その底部20,各第1側壁部30,各第2側壁部40)に沿っている。
すなわち、底部20に対応する部分は、この物品収容ケースが折り畳み展開状態の際と同様に、ほぼ水平であるとともに、各第1側壁部30に対応する部分は、各第1側壁部30に沿ってほぼ鉛直であり、各第2側壁部40に対応する部分は、各第2側壁部40に沿ってほぼ鉛直である。
その際、内側シート60のうちの各折り畳み第2側壁部対応部88は、折り曲げ線82に沿って折り畳まれて2枚重ね状となって、内側シート60のうちの中央部分70(そのうち第2側壁部40に対応する部分)とともに、各第2側壁部40に対応している(図5,図6,図7A〜図7Eも参照)。
すなわち、その部分においては、内側シート60は、合計で3枚重ね状となっている。
【0063】
図4〜図6,図7A等に示すように、内側シート60の折り畳み部分80のうちの非連設第2側壁部40Aに対応する折り畳み第2側壁部対応部88には、次のように、折り曲げ線82を基準に(折り曲げ線82を挟んで)対称的に、面ファスナ(オス)84(結合材),面ファスナ(メス)94(結合材)が取り付けられている。
面ファスナ(オス)84は、各折り畳み第2側壁部対応部88のうち、非連設第2側壁部40Aの上部(非連設第2側壁部40A起立姿勢の状態における上部)における左右の各端部に対応する部分に取り付けられている。
面ファスナ(メス)94は、それらに対応して、各実質的連結部90のうち、第1側壁部30のおもて面の上縁部(第1側壁部30が起立姿勢の状態におけるおもて面の上縁部)の近傍に各々取り付けられている。
【0064】
また、図1,図2,図4,図5,図7D,図7E等に示すように、連設第2側壁部40Bの上部(起立姿勢の状態における上部)における左右の各端部には、結合片55(その基縁部)が取り付けられている。
結合片55は、本来姿勢と、折り返し姿勢との間を変位可能である。本来姿勢とは、図4,図7D等に示すように、その基縁部を基準に上方に向かう(連設第2側壁部40Bが起立姿勢の状態において上方に向かう)姿勢である。折り返し姿勢とは、図1,図7Eに示すように、その基縁部を基準に下方に向かう(連設第2側壁部40Bが起立姿勢の状態において上方に向かう)姿勢である。
結合片55の内側(図7Dに示すように、連設第2側壁部40Bが起立姿勢の状態において、結合片55が本来姿勢の状態における内側)には、面ファスナ(オス)56(結合材)が形成されている。
【0065】
それらに対応して、図2,図4〜図6,図7D等に示すように、内側シート60の一対の折り畳み部分80のうちの連設第2側壁部40Bの側の各実質的連結部90のうち、第1側壁部30の内面の上縁部(第1側壁部30が起立姿勢の状態における内面の上縁部)の近傍には、各々、面ファスナ(メス)96(結合材)が取り付けられている。
【0066】
次に、この物品収容ケースの使用方法について説明する。
まず、使用方法の概略について説明する。
図1〜図3に示すように、この物品収容ケースは、基本状態とされて使用される。
基本状態とは、この物品収容ケースがほぼ直方体状をなす状態である(このことは前述)。すなわち、基本状態とは、ケース本体10の一対の第1側壁部30及び一対の第2側壁部40が起立姿勢となっており、隣接する各第1側壁部30の側縁部と各第2側壁部40の側縁部とは、少なくともほぼ一致した状態である。
その際、内側シート60は、ケース本体10の内部において、ケース本体10(底部20の上面,各第1側壁部30の内面,各第2側壁部40の内面)に対して沿った状態にある。
また、その状態において、内側シート60の上縁(展開状態における内側シート60の長辺・短辺を形成する縁部)は、各第1側壁部30及び各第2側壁部40の上縁部に位置(一致)している。
【0067】
そして、その基本状態(そのうち蓋部50が開いた状態)において、その内部に各種の物品が収容される。その際、予め、各結合片32は同一平面姿勢(ほぼ鉛直な姿勢)又はそれに近い状態にされると(図7E参照)、その収容作業がより能率的に行われ得る。
その収容作業終了後に、図1→図3に示すように、蓋部50を閉じる。
すなわち、各第1側壁部30の結合片32が折り曲げ姿勢(内側方向にほぼ水平の姿勢)とされた状態で(図1)、蓋部50(蓋本体部51)の各面ファスナ(オス)53を各第1側壁部30の結合片32の面ファスナ(メス)33に対して結合させる。それとともに、蓋部50の折り曲げ部52の面ファスナ(オス)54が非連設第2側壁部40Aの面ファスナ(メス)44に対して結合させる。こうして、この物品収容ケースは閉塞状態(図3)とされる。
この物品収容ケースは、この閉塞状態で運搬される。
【0068】
一方、物品を収容していない場合(それまで収容していた物品が取り出された後)においては、この物品収容ケースは、折り畳み展開状態(図4)又は折り畳み状態(図8B)とされる。
すなわち、いずれにしても、まず、この物品収容ケースは、折り畳み展開状態(図4)とされる。図4及び図5に示すように、折り畳み展開状態とは、一対の第1側壁部30が折り畳み姿勢になり、一対の第2側壁部40が外方延出姿勢になった状態である。
【0069】
その状態から、必要に応じて、折り畳み状態(図8B)とされる。
すなわち、図8Aに示すように、ほぼ平面状態の連設第2側壁部40B及び蓋部50を、そのほぼ中央長さの仮想線(底部20からの長さ(距離)としてほぼ中央の長さにおいて底部20の長辺と平行に延びる直線)に沿って折り曲げ(二点鎖線→実線)、図8Bに示すように、それを底部20に対して重ね合わせる。
その状態で、図8Bに示すように、結合片27の面ファスナ(オス)28を蓋部50の面ファスナ(メス)58に対して結合させる(二点鎖線→実線)。
こうして、コンパクトな折り畳み状態(図8B)とされ得る。
すなわち、折り畳み状態とは、一対の第1側壁部30及び一対の第2側壁部40が折り畳み姿勢になった状態である。
【0070】
次に、上記の使用方法の詳細及びこの物品収容ケースの作用について説明する。
この物品収容ケースを折り畳み展開状態(図4)から基本状態(図1)へ変相させる操作について説明する。
図4→図7A→図7B→図7Cに示すように、作業員が、折り畳み姿勢の一対の第1側壁部30(把持部35)を把持して、その折り畳み姿勢の一対の第1側壁部30を起立姿勢に向けて変位させる。
その際、内側シート60の実質的連結部90を介して各第1側壁部30と各第2側壁部40とが連結されているために、各第1側壁部30が折り畳み姿勢から起立姿勢に向かって変位することに伴って、各第2側壁部40も、外方延出姿勢から起立位置に向かって変位する。
【0071】
すなわち、第1側壁部30が折り畳み姿勢から起立姿勢に向かって変位しようとすることに伴って、各内側シート60のうちの折り畳み第2側壁部対応部88が折り曲げ線82に沿って折り曲げられつつ、折り畳み第2側壁部対応部88のうちの折り曲げ線82を基準に第1側壁部30の側の部分が、第2側壁部40(内側シート60のうちの中央部分70のうち第2側壁部40に対応する部分)から離隔していく。
それに伴って、第2側壁部40が、実質的連結部90(そのうちの作用部位81)によって引っ張られるようにして、外方延出姿勢から起立姿勢に向かって変位していく。
【0072】
こうして、図7Cに示すように、各第1側壁部30及び各第2側壁部40がともに起立姿勢に近い姿勢に位置することになり、その起立姿勢に近い姿勢の一対の第1側壁部30(その側縁部)と、起立姿勢に近い姿勢の各第2側壁部40(その側縁部)とが近接することになる。
【0073】
それに伴って、同じく図7Cに示すように、非連設第2側壁部40Aの側においては、内側シート60(折り畳み第2側壁部対応部88)の各面ファスナ(オス)84と各面ファスナ(メス)94とが対向状態で近接することになる。
その状態から、図7C→図7Dに示すように、各面ファスナ(オス)84と内側シート60の各面ファスナ(メス)94とを結合させる。
こうして、一対の第1側壁部30がともにほぼ起立姿勢になり、非連設第2側壁部40Aも起立姿勢になるとともに、そのほぼ起立姿勢の一対の第1側壁部30(その非連設第2側壁部40Aの側の側縁部)と、起立姿勢の非連設第2側壁部40A(その側縁部)とが、少なくともほぼ一致する。
【0074】
同様にして、図7D→図7Eに示すように、起立姿勢に近い姿勢の一対の第1側壁部30(その側縁部)と、起立姿勢に近い姿勢の各第2側壁部40(その側縁部)とが近接することに伴って、連設第2側壁部40Bの側においては、各結合片55と内側シート60(折り畳み第2側壁部対応部88)のうちの各面ファスナ(メス)96とが接近することとなる。
その状態から、各結合片55を折り返し姿勢とさせ、各結合片55の面ファスナ(オス)56を内側シート60の各面ファスナ(メス)96に対して結合させる。
こうして、一対の第1側壁部30がともに起立姿勢になり、連設第2側壁部40Bも起立姿勢になるとともに、その起立姿勢の一対の第1側壁部30(その連設第2側壁部40Bの側の側縁部)と、起立姿勢の連設第2側壁部40B(その側縁部)とが、少なくともほぼ一致する。
【0075】
以上のようにして、この物品収容ケースが、折り畳み展開状態(図4)から基本状態(図1,図7E)に変相する。
【0076】
また、以上と逆の操作を行うことによって、この物品収容ケースは、基本状態(図1,図7E)から折り畳み展開状態(図4)に変相する。
すなわち、図7E→図7D(→図7C)に示すように、各結合片55の面ファスナ(オス)56を内側シート60の各面ファスナ(メス)96から取り外して連設第2側壁部40Bと各第1側壁部30とを分離させ、連設第2側壁部40Bを起立姿勢から外方延出姿勢に向かって変位させる(図7C参照)。
それとともに、図7D→図7Cに示すように、内側シート60の各面ファスナ(オス)84と内側シート60の各面ファスナ(メス)94とを分離させて非連設第2側壁部40Aと各第2側壁部40とを分離させ、図7C→図7B→図7Aに示すように、非連設第2側壁部40A及び連設第2側壁部40Bを起立姿勢から外方延出姿勢に向かって変位させる。
それに伴って、図7C→図7B→図7A→図4に示すように、内側シート60の実質的連結部90を介して、各第1側壁部30が、起立姿勢から折り畳み姿勢に向かって変位する。
以上のようにして、この物品収容ケースは、基本状態(図1,図7E)から折り畳み展開状態(図4)に変相する。
【0077】
以上のように、この物品収容ケースは、容易に、折り畳み展開状態(略平面状態)から基本状態に変相させることができる。
すなわち、第1側壁部30を折り畳み姿勢から起立姿勢に向けて変位させることに伴って、自動的に第2側壁部40も外方延出姿勢から起立姿勢に向けて変位するために、第1側壁部30及び第2側壁部40とも各々操作して起立姿勢に向けて変位させる必要がなく、容易に、折り畳み展開状態(略平面状態)から基本状態に変相させることができるのである。
【0078】
また、逆に、この物品収容ケースは、容易に、基本状態から折り畳み展開状態(略平面状態)に変相させることができる。
すなわち、第2側壁部40を起立姿勢から外方延出姿勢(外側への倒臥姿勢)に向けて変位させることに伴って、自動的に第1側壁部30も起立姿勢から折り畳み姿勢(内側への倒臥姿勢)に向けて変位するために、第1側壁部30及び第2側壁部40とも各々操作して倒臥姿勢に向けて変位させる必要がなく、容易に、基本状態から折り畳み展開状態(略平面状態)に変相させることができるのである。
【0079】
また、この物品収容ケースを折り畳み展開状態から基本状態に変相させようとする際において、図7Cに示すように、一対の第1側壁部30及び非連設第2側壁部40Aとも起立姿勢に近い姿勢に位置することによって、両者を起立姿勢に維持するために結合されるための内側シート60の各面ファスナ(オス)84と各面ファスナ(メス)94とが対向状態で近接することになる。このため、図7C→図7Dに示すように、各面ファスナ(オス)84と各面ファスナ(メス)94とを容易に結合させることが可能となる。
同様に、図7Dに示すように、一対の第1側壁部30及び連設第2側壁部40Bとも起立姿勢に近い姿勢に位置することによって、両者を起立姿勢に維持するために結合されるための各結合片55と各面ファスナ(メス)96とが接近することになる。このため、図7D→図7Eに示すように、各結合片55の面ファスナ(オス)56と各面ファスナ(メス)96とを容易に結合させることが可能となる。
こうして、この物品収容ケースでは、各第1側壁部30及び各第2側壁部40を容易に起立姿勢で維持し、容易に基本状態に維持することが可能である。
この点でも、この物品収容ケースは、容易に、折り畳み展開状態(略平面状態)から基本状態に変相させることができるのである。
【0080】
また、前述したように、この物品収容ケースにおいては、ケース本体10の内側に内側シート60が配設されている。そして、内側シート60は、非透液性を有しているとともに、1枚のシートによって形成されている。さらに、内側シート60は、底部20(その上面),両第1側壁部30(その内面),両第2側壁部40(その内面)のすべてに対応している(それらすべてを被覆している)。
このため、この物品収容ケースの内部(すなわち内側シート60の内部)において水等の液体が生じた場合においても、その液体が外部に漏れ出ることが防止される。
すなわち、例えば、飲料や血液(献血等によるもの)等の液体が収容された瓶等の容器がこの物品収容ケース内に収容され、万が一、その容器から液体が流出した場合においても、内側シートによって、その液体が外部(物品収容ケースの外部)に漏れ出ることが防止されるのである。
また、この物品収容ケース(ケース本体10)は断熱性を有している(このことは前述)ため、保温・保冷効果があり、低温の液体を収容した容器が収容される場合もあり、その際は、その容器の外表面に結露が生ずる場合もある。しかしながら、そのようにして発生した水も、内側シート60によって、外部に漏れ出ることが防止される。
【0081】
このように、この物品収容ケースにおいては、内側シート60が、液体の漏れを防止することに寄与しているとともに、そのうちの実質的連結部90が第1側壁部30と第2側壁部40とを連結し、第1側壁部30を折り畳み姿勢から起立姿勢へと変位させることに伴って第2側壁部40を外方延出姿勢から起立姿勢へと変位させること、及び、第2側壁部40を起立姿勢から外方延出姿勢へと変位させることに伴って第1側壁部30を起立姿勢から折り畳み姿勢へと変位させることにも寄与しているのである。
【0082】
[実施例2]
次に、本発明の実施例2について、実施例1との相違点を中心に、図9〜図13Bに基づいて説明する。実施例1の各要素に対応する各要素については、対応する符号(「100」を加算した符号)を付して、適宜、その説明を省略する。
【0083】
この物品収容ケースは、内側シート(60)を有さない点で、実施例1と相違する。
この物品収容ケースは、直方体状をなす基本状態(図9,図10)と、ほぼ平面状態をなす折り畳み展開状態(略平面状態)(図11,図12)との間を変相可能である。
【0084】
図9〜図12に示すように、この物品収容ケースは、底部120,相対向する一対の第1側壁部130,相対向する一対の第2側壁部140,蓋部150,4対の連結材190を有している。
【0085】
基本状態(図9)において隣接する各第1側壁部130(その側縁部)と各第2側壁部140(その側縁部)とは、略平面状態(図11)の際はもちろん、基本状態(図9)の際においても、直接的に結合されてはいない。
【0086】
図9〜図11,図13A,図13Bに示すように、各第1側壁部130は、その下縁部(基縁部)において、底部120の各短辺(一方の一対の縁部)に対して回動可能に結合されている。
各第1側壁部130は、起立姿勢(図9)と折り畳み姿勢(図11)との間を変位可能である。
【0087】
図9〜図12等に示すように、蓋部150には、蓋本体部151及び折り曲げ部152がある。蓋部150は、一方の第2側壁部140に連設されている。
なお、蓋部150が連設されていない第2側壁部140のことを非連設第2側壁部140Aといい、蓋部150が連設されている第2側壁部140のことを連設第2側壁部140Bということとする。
【0088】
図9〜図11,図13A,図13Bに示すように、各第2側壁部140は、その下縁部(基縁部)において、底部120の各長辺(他方の一対の縁部)に対して回動可能に結合(折り曲げ可能に連設)されている。
各第2側壁部140は、起立姿勢(図9)を基準に、外方延出姿勢(図11)との間を変位可能である。
【0089】
図9〜図11,図13A,図13Bに示すように、各連結材190は、直角二等辺三角形状をしている。
各連結材190の対称な2辺の長さは、各第1側壁部130及び各第2側壁部140の高さ(鉛直な起立姿勢における高さ)に対応している。
【0090】
各連結材190は、その対称な2辺のうちの1辺において、各第1側壁部130の側縁部に対して回動可能に結合(折り曲げ可能に連設)されている。
各連結材190は、その斜辺(直角の頂点に対向する辺)において、各第2側壁部140に対して回動可能に結合されている。
各連結材190の対称な2辺のうちの他の1辺と斜辺との交点は、各第2側壁部140の上縁部(第2側壁部140が起立姿勢における上縁部)のうち、左右の各縁部から第2側壁部140の高さ(鉛直な起立姿勢における高さ)に対応する長さだけ中央寄りの部位に位置している。
こうして、各第1側壁部130と、各第2側壁部140とは、各連結材190を介して連結されている。
【0091】
非連設第2側壁部140Aの内面のうちの左右の各縁部の近傍には、面ファスナ(オス)143(結合材)が取り付けられている。
蓋部150の蓋本体部151及び連設第2側壁部140にわたって、その内面のうちの左右の各縁部の近傍には、面ファスナ(オス)153(結合材)が取り付けられている。
それらに対応して、各連結材190には面ファスナ(メス)193(結合材)が取り付けられており、各第1側壁部130の結合片132にも面ファスナ(メス)133が取り付けられている。
【0092】
なお、この物品収容ケースは、次のように製造される。
図12に示すように、まず、予め、底部120・一対の第2側壁部140・蓋部150からなる第1連設体101と、第1側壁部130・一対の連結材190からなる第2連設体102(一対)とが、各々、一体的(連続的)に形成される。
そして、その後に、第1連設体101と一対の第2連設体102とが結合され、この物品収容ケースが形成される。
なお、分解斜視図である図10は、第2連設体102について、その各要素に着目して便宜的に分解したものである。
【0093】
次に、この物品収容ケースの作用効果について説明する。
この物品収容ケースを折り畳み展開状態(図11)から基本状態(図9)へ変相させる操作について説明する。
図11→図13A→図13Bに示すように、作業員が、折り畳み姿勢の一対の第1側壁部130を起立姿勢に向けて変位させる。
その際、連結材190を介して各第1側壁部130と各第2側壁部140とが連結されているために、各第1側壁部130が折り畳み姿勢から起立姿勢に向かって変位することに伴って、各第2側壁部140も、外方延出姿勢から起立位置に向かって変位する。
【0094】
すなわち、第1側壁部130が折り畳み姿勢から起立姿勢に向かって変位しようとすることに伴って、連結材190が(正確には、そのうち斜辺から遠い部分を中心として)、第2側壁部140から離隔していく。
それに伴って、第2側壁部140が、連結材190によって引っ張られるようにして、外方延出姿勢から起立姿勢に向かって変位していく。
【0095】
こうして、図13Bに示すように、各第1側壁部130及び各第2側壁部140がともに起立姿勢に近い姿勢に位置することになり、その起立姿勢に近い姿勢の一対の第1側壁部130(その側縁部)と、起立姿勢に近い姿勢の各第2側壁部140(その側縁部)とが近接することになる。
【0096】
それに伴って、非連結第2側壁部140Aの側においては、非連設第2側壁部140Aの各面ファスナ(オス)143と、各連結材190の面ファスナ(メス)193とが対向状態で近接することになる。
その状態から、各面ファスナ(オス)143と各連結材190の面ファスナ(メス)193とを結合させる。
同様にして、連設第2側壁部140Bの側においても、連設第2側壁部140B及び蓋本体部151の面ファスナ(オス)153(そのうちの連設第2側壁部140Bの部分)と、各連結材190の面ファスナ(メス)193とが接近することとなる。
その状態から、各面ファスナ(オス)153(そのうちの連設第2側壁部140Bの部分)と各連結材190の面ファスナ(メス)193とを結合させる。
【0097】
こうして、図9に示すように、一対の第1側壁部130がともに起立姿勢になり、連設第2側壁部140Bも起立姿勢になるとともに、起立姿勢の一対の第1側壁部130(その連設第2側壁部140Bの側の側縁部)と、起立姿勢の連設第2側壁部140B(その側縁部)とが、少なくともほぼ一致する。
【0098】
以上のようにして、この物品収容ケースが、折り畳み展開状態(図11)から基本状態(図9)に変相する。
【0099】
また、以上と逆の操作を行うことによって、この物品収容ケースは、基本状態(図9)から折り畳み展開状態(図11)に変相する。
【0100】
以上のように、この物品収容ケースも、容易に、折り畳み展開状態(略平面状態)から基本状態に変相させることができる。
すなわち、第1側壁部130を折り畳み姿勢から起立姿勢に向けて変位させることに伴って、自動的に第2側壁部140も外方延出姿勢から起立姿勢に向けて変位するために、第1側壁部130及び第2側壁部140とも各々操作して起立姿勢に向けて変位させる必要がなく、容易に、折り畳み展開状態(略平面状態)から基本状態に変相させることができるのである。
【0101】
また、逆に、この物品収容ケースも、容易に、基本状態から折り畳み展開状態(略平面状態)に変相させることができる。
すなわち、第2側壁部140を起立姿勢から外方延出姿勢(外側への倒臥姿勢)に向けて変位させることに伴って、自動的に第1側壁部130も起立姿勢から折り畳み姿勢(内側への倒臥姿勢)に向けて変位するために、第1側壁部130及び第2側壁部140とも各々操作して倒臥姿勢に向けて変位させる必要がなく、容易に、基本状態から折り畳み展開状態(略平面状態)に変相させることができるのである。
【0102】
また、この物品収容ケースを折り畳み展開状態から基本状態に変相させようとする際において、図13Bに示すように、一対の第1側壁部130及び非連設第2側壁部140Aとも起立姿勢に近い姿勢に位置することによって、各面ファスナ(オス)143と各面ファスナ(メス)193とが対向状態で近接することになるため、両者を容易に結合させることが可能となる。
同様に、一対の第1側壁部130及び連設第2側壁部140Bとも起立姿勢に近い姿勢に位置することによって、各面ファスナ(オス)153(そのうちの連設第2側壁部140Bの部分)と各面ファスナ(メス)193とが対向状態で近接することになるため、両者を容易に結合させることが可能となる。
こうして、この物品収容ケースでも、各第1側壁部130及び各第2側壁部140を容易に起立姿勢で維持し、容易に基本状態に維持することが可能である。
この点でも、この物品収容ケースは、容易に、折り畳み展開状態(略平面状態)から基本状態に変相させることができるのである。
【0103】
なお、上記のものはあくまで本発明の数例の実施例にすぎず、当業者の知識に基づいて種々の変更を加えた態様で本発明を実施できることはもちろんである。
【0104】
例えば、実施例1の変形例として、内側シート(60)の大きさが実施例1のものよりも小さなものとされてもよい。すなわち、物品収容ケースが基本状態にある際において、内側シート(60)の上縁は、各第1側壁部(30)及び各第2側壁部(40)の上縁部と一致しておらず、各第1側壁部(30)及び各第2側壁部(40)の中途高さ位置に位置する、という態様でもよい。
なお、その際において、内側シート(60)の折り畳み部分(80)のうち、折り畳み第2側壁部対応部(88)及びその近傍(第1側壁部の側縁部に対応する部分)等のみが第1側壁部(30)及び第2側壁部(40)の上縁部と一致するようにされてもよい。
【0105】
また、各実施例における各要素を結合させる面ファスナについては、そのオス・メスが逆にされてもよい。
また、各要素を結合させるものとして、例えば、ホック(フック)等、面ファスナ以外のものが使用されてもよい。
【符号の説明】
【0106】
10 ケース本体
20,120 底部
30,130 第1側壁部
40,140 第2側壁部
56,84,143,153 面ファスナ(オス)(結合材)
60 内側シート
61 折り畳み線
80 折り畳み部分
90 実質的連結部(連結材) 190 連結材
94,96,193 面ファスナ(メス)(結合材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内側の収容空間に物品が収容される物品収容ケースであって、
底部と、
前記底部から垂直方向成分を有する方向に起立する起立姿勢と、内側に倒臥して前記底部に対して重なる折り畳み姿勢との間を変位可能であり、前記起立姿勢の状態で相互に対向する一対の第1側壁部と、
前記底部から垂直方向成分を有する方向に起立する起立姿勢と、外側に倒臥して前記底部とほぼ同一平面を形成しつつ外方に延出する外方延出姿勢との間を変位可能であり、前記起立姿勢の状態で相互に対向する一対の第2側壁部と、
前記第1側壁部と前記第2側壁部とを連結し、前記折り畳み姿勢の状態の前記第1側壁部が前記起立姿勢に向かって変位することに伴って、前記外方延出姿勢の状態の前記第2側壁部を前記起立姿勢に向かって変位させる連結材と
を有する、物品収容ケース。
【請求項2】
請求項1に記載の物品収容ケースであって、
当該物品収容ケースの内側に配設され、前記底部に対応するとともに、前記一対の第1側壁部及び前記一対の第2側壁部の少なくともその下縁部の側の一部に対応する内側シートを有している、
物品収容ケース。
【請求項3】
請求項2に記載の物品収容ケースであって、
前記内側シートは、前記連結材としても機能するものである、
物品収容ケース。
【請求項4】
内側の収容空間に物品が収容される物品収容ケースであって、
矩形状の底部と、
前記底部から垂直方向成分を有する方向に起立する起立姿勢と、内側に倒臥して前記底部に対して重なる折り畳み姿勢との間を変位可能であり、前記起立姿勢の状態で相互に対向する一対の第1側壁部と、
前記底部から垂直方向成分を有する方向に起立する起立姿勢と、外側に倒臥して前記底部とほぼ同一平面を形成しつつ外方に延出する外方延出姿勢との間を変位可能であり、前記起立姿勢の状態で相互に対向する一対の第2側壁部と
を有するケース本体と、
前記ケース本体の内側に配設された内側シートとを有し、
前記内側シートは、前記底部に対応するとともに、前記一対の第1側壁部の中途高さ以上の高さ位置において当該第1側壁部の長さ方向成分を有する方向に延びる線及びそれを延長した線からなる線と、前記一対の第2側壁部の中途高さ以上の高さ位置において当該第2側壁部の長さ方向成分を有する方向に延びる線及びそれを延長した線からなる線とによって形成される少なくともほぼ矩形状をしており、
前記内側シートには、前記各第1側壁部の基縁部及びそれを延長した線からなる線に対応した折り畳み線に沿って、前記底部に対する前記各第1側壁部の前記折り畳み姿勢に対応して内側方向に折り畳まれる一対の折り畳み部分が形成され、
前記各折り畳み部分のうち前記各第1側壁部に対応する部分が当該第1側壁部に対して結合され、
前記各折り畳み部分のうちの前記各第2側壁部に対応する部分のうち当該第2側壁部の上縁部の側に対応する部分が当該第2側壁部に対して結合されている、
物品収容ケース。
【請求項5】
内側の収容空間に物品が収容される物品収容ケースであって、
矩形状の底部と、
前記底部から垂直方向成分を有する方向に起立する起立姿勢と、内側に倒臥して前記底部に対して重なる折り畳み姿勢との間を変位可能であり、前記起立姿勢の状態で相互に対向する一対の第1側壁部と、
前記底部から垂直方向成分を有する方向に起立する起立姿勢と、外側に倒臥して前記底部とほぼ同一平面を形成しつつ外方に延出する外方延出姿勢との間を変位可能であり、前記起立姿勢の状態で相互に対向する一対の第2側壁部と
を有するケース本体と、
前記ケース本体の内側に配設された内側シートとを有し、
前記内側シートは、前記底部に対応するとともに、前記一対の第1側壁部の上縁部に沿って延びる直線及びそれを延長した直線からなる直線と、前記一対の第2側壁部の上縁部に沿って延びる直線及びそれを延長した直線からなる直線とによって形成される矩形状をしており、
前記内側シートには、前記各第1側壁部の基縁部及びそれを延長した線からなる線に対応した折り畳み線に沿って、前記底部に対する前記各第1側壁部の前記折り畳み姿勢に対応して内側方向に折り畳まれる一対の折り畳み部分が形成され、
前記各折り畳み部分のうち前記各第1側壁部の上縁部に対応する部分が当該第1側壁部の上縁部に対して結合され、
前記各折り畳み部分のうち前記各第2側壁部の上縁部に対応する部分が当該第2側壁部の上縁部に対して結合されている、
物品収容ケース。
【請求項6】
請求項4又は請求項5に記載の物品収容ケースであって、
前記第1側壁部が前記折り畳み姿勢から前記起立姿勢に向かって変位し、前記第2側壁部が前記外方延出姿勢から前記起立姿勢に向かって変位することに伴って、前記内側シートのうちの折り畳み部分のうち相互に近接又は接触することになる部分を着脱可能に結合する結合材が設けられている、
物品収容ケース。
【請求項7】
請求項1〜請求項6のいずれかに記載の物品収容ケースであって、
さらに、前記一対の第1側壁部が前記折り畳み姿勢となっている状態において、前記一対の第2側壁部が、前記外方延出姿勢と、内側に倒臥して前記底部に対して重なる折り畳み姿勢との間を変位可能である、
物品収容ケース。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図7D】
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【図7E】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13A】
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【図13B】
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【公開番号】特開2010−235187(P2010−235187A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−87853(P2009−87853)
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(592110808)株式会社吉良紙工 (11)
【Fターム(参考)】