説明

物品収納具

【課題】外観上の体裁を良好に維持しつつ、収納物品を1つずつ的確に取り出すのに適した物品収納具を提供すること。
【解決手段】本発明の物品収納具A1は、所定方向Xに延び、かつ弾性変形可能な筒状体1と、この筒状体1の内周面に設けられ、多数の毛体21を有するブラシ部2と、を備える。多数の毛体21は、それぞれの先端が所定方向Xの一方側に向くように傾斜している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえばポリ袋などの物品を収納するのに用いられる物品収納具に関し、特に携帯して使用するのに適した物品収納具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ポリ袋などの物品を収納するための収納具として、筒状の収納具本体(筒状体)を備えて構成されたものが知られている(たとえば、特許文献1を参照)。特許文献1に開示された筒状の収納具は、上端部において開口する投入口(2)と、この投入口につながる指送り出し口(3)とを有する。指送り出し口(3)は、収納具の長手方向に沿ったスリット状とされている。収納具の下端部は、やや先細り状とされている。また、特許文献1の収納具は、背面側に吸盤止め孔(6)を有し、壁面等に固定して使用することが意図されたものである。上記構成の収納具において、収納物品たるポリ袋を取り出す際には、指送り出し口に差し込んだ指によってポリ袋を押し下げると、下端部から順番にポリ袋を取り出すことができる。
【0003】
しかしながら、上記従来の収納具においては、たとえば1つのポリ袋を取り出すべく指でポリ袋を押し下げた際に、押し下げ力が強いと、誤って2つ以上のポリ袋が取り出されてしまうことが起こり得た。また、指送り出し口(3)を通じて内部のポリ袋等が見えるので、外観上の体裁が悪いものとなっていた。このような外観体裁の悪化は、収納具を携帯して使用する場合を考慮すると、より不都合である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3080421号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、このような事情のもとで考え出されたものであって、外観上の体裁を良好に維持しつつ、収納物品を1つずつ的確に取り出すのに適した物品収納具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を講じている。
【0007】
本発明によって提供される物品収納具は、所定方向に延び、かつ弾性変形可能な筒状体と、この筒状体の内周面の少なくとも一部に設けられ、複数の突出部を有する突出部群と、を備え、上記複数の突出部は、それぞれの先端が上記所定方向の一方側に向くように傾斜していることを特徴としている。
【0008】
上記構成の物品収納具によれば、筒状体は、所定方向に延びるとともに弾性変形可能とされているため、この筒状体の内部に複数の物品を所定方向に並べて保持することができる。また、筒状体の内周面には、複数の突出部を有する突出部群が設けられており、複数の突出部は、それぞれの先端が所定方向の一方側に向くように傾斜している。このため、筒状体の内部に物品を収納した状態において、筒状体の外側から複数の突出部が設けられた領域に対して内向きに押圧すると、収納された物品は、突出部によって所定方向の一方側へ徐々に押し出される。したがって、本発明の物品収納具によれば、筒状体を押圧するといった簡単な動作によって、収納物品を1つずつ的確に取り出すことができる。
【0009】
また、上記構成の物品収納具においては、収納物品を取り出すための構成が筒状体の内周面に施されており、筒状体の外周面の外側から内部の収納物品が見えない状態となっている。かかる構成の物品収納具は、外観上の体裁が良好であり、携帯用として用いるのに適している。
【0010】
好ましい実施の形態においては、上記突出部群は、上記筒状体の内周面のうち、上記所定方向における一定範囲の周方向全域に設けられている。
【0011】
好ましい実施の形態においては、上記突出部群は、上記所定方向の他方側の端部寄りに設けられている。
【0012】
好ましい実施の形態においては、上記突出部群は、上記筒状体の内周面の全域に設けられている。
【0013】
好ましい実施の形態においては、上記筒状体は、ゴムまたは軟質樹脂からなる。
【0014】
好ましい実施の形態においては、上記複数の突出部は、上記筒状体よりも硬質な材料からなる。
【0015】
好ましい実施の形態においては、上記筒状体は、上記所定方向に垂直な断面が一様な円形である。
【0016】
好ましい実施の形態においては、上記複数の突出部は、自然状態における上記筒状体の内径寸法の1/20〜1/4の長さを有する。
【0017】
好ましい実施の形態においては、上記筒状体の内面には、基材が取り付けられており、上記突出部は、上記基材に植設された毛体からなる。
【0018】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1実施形態に係る物品収納具の斜視図である。
【図2】図1のII−II線に沿う要部断面図である。
【図3】筒状体が弾性変形させられた状態を示す要部断面図である。
【図4】図1に示す物品収納具の使用状態の一例を示す要部断面図である。
【図5】図1に示す物品収納具の使用状態の一例を示す要部断面図である。
【図6】本発明の第2実施形態に係る物品収納具を示す図2と同様の断面図である。
【図7】図6に示す物品収納具の使用状態の一例を示す要部断面図である。
【図8】図6に示す物品収納具の使用状態の一例を示す要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照して具体的に説明する。
【0021】
図1〜図5は、本発明の第1実施形態に係る物品収納具を示している。図1〜図3に表れているように、本実施形態の物品収納具A1は、筒状体1と、筒状体1の内周面に設けられたブラシ部2とを備えて構成されている。本実施形態の物品収納具A1は、筒状体1の内部に、たとえばポリ袋などの変形可能な物品を収納するためのものである。
【0022】
筒状体1は、一定方向に延びる円筒状であり、長手方向Xの一端および他端に開口1a,1bを有している。筒状体1は、たとえば長手方向Xに垂直な断面が一様な円形とされており、弾性変形可能な材料によって構成されている。そのような材料としては、たとえばゴムまたは軟質樹脂などを挙げることができる。かかる構成により、筒状体1は、外周面から内向きの押圧力が作用すると、図3に表れているように、弾性変形させられる。筒状体1のサイズ(内径寸法や長手方向の寸法など)は、この筒状体1の内部に収納する物品に応じて適宜設定することができる。ポリ袋を収納する場合、筒状体1の内径寸法は、たとえば30〜40mm程度とされ、筒状体1の長手方向の寸法は、たとえば150〜200mm程度とされ、筒状体1の厚さは、たとえば1〜3mm程度とされる。
【0023】
図1に表れているように、本実施形態では、筒状体1の長手方向Xの一端部付近には、係止片11が一体的に設けられている。係止片11には、フックなどを引っ掛けるための係止孔11aが形成されている。
【0024】
ブラシ部2は、多数の毛体21を有して構成されており、筒状体1の内周面の全域に設けられている。より詳細には、多数の毛体21は、それぞれが、薄い樹脂製シートからなる基材22に植設されており、この基材22が筒状体1の内周面に取り付けられている。また、多数の毛体21は、それぞれの基端が基材22に対して傾斜する姿勢で植設されている。これにより、多数の毛体21は、それぞれの先端が筒状体1の長手方向Xの一方側に向くように傾斜している。毛体21は、たとえば筒状体1よりも硬質な材料からなり、たとえば合成樹脂製の硬質繊維によって構成される。このような毛体21の材質の一例としては、たとえばナイロンを挙げることができる。
【0025】
毛体21の寸法の一例を挙げると、直径が0.1〜0.5mm程度とされ、長さ(根元から先端までの長さ)が3〜15mm程度とされる。また、毛体21の長さは、好ましくは、筒状体1の内径寸法の1/20〜1/4とされる。なお、毛体21の密度については、たとえば、筒状体1の内周面1cm2当たり4600本程度設けられる。このような構成の毛体21は、本発明でいう突出部の一例に相当する。また、ブラシ部2は、本発明でいう突出部群の一例に相当する。
【0026】
次に、上記構成の物品収納具A1の作用について説明する。
【0027】
本実施形態の物品収納具A1は、たとえば、ペットの糞処理用としてのポリ袋を携帯する場合に用いられる。ここで、ポリ袋は、一般に、買い物の際に商品を入れるために支給されたものが再利用される。図4に表れているように、筒状体1の内部には、複数のポリ袋Pが長手方向Xに並んで収納されている。これらポリ袋Pは、それぞれが適度に丸められた状態にて、開口1bを通じて筒状体1の内部に挿入される。各ポリ袋Pは、外面部分が毛体21に接触した状態で筒状体1に保持される。
【0028】
物品収納具A1からポリ袋Pを取り出す際には、図5に表れているように、筒状体1の適所を絞るように、当該筒状体1の外側から内向きに押圧する。このとき、筒状体1は弾性変形させられ、当該筒状体1によってポリ袋Pも押圧されて若干変形する。ここで、筒状体1の内周面に設けられた多数の毛体21は、それぞれが長手方向Xの一方側に傾斜している。このため、ポリ袋Pは、毛体21によって長手方向Xの一方側へ徐々に押し出される。その一方、ポリ袋Pの長手方向Xにおける他方側への移動は阻止される。
【0029】
そして、筒状体1の押圧動作を繰り返すことによって、筒状体1における長手方向の一端側の開口1aから、ポリ袋Pが取り出される。このようなことから理解されるように、本実施形態の物品収納具A1によれば、筒状体1を押圧するといった簡単な動作によって、収納物品たるポリ袋Pを1つずつ的確に取り出すことができる。
【0030】
また、物品収納具A1においては、収納物品(ポリ袋P)を取り出すための構成が筒状体1の内周面に施されており、筒状体1の外周面の外側から内部のポリ袋Pが見えない状態となっている。したがって、物品収納具A1は、外観上の体裁が良好であり、携帯用として用いるのに適している。
【0031】
筒状体1は、ゴムまたは軟質樹脂によって構成されている。このため、筒状体1を押圧することによって当該筒状体1を容易に変形させることができる。
【0032】
本実施形態では、多数の毛体21を有するブラシ部2は、筒状体1の内周面の全域に設けられている。このため、筒状体1のいずれの部位を押圧しても、収納物品たるポリ袋Pを押し出すことができる。
【0033】
毛体21は、筒状体1よりも硬質な材料によって構成されている。このため、毛体21は、充分な弾性を有しており、収納物品(ポリ袋P)を押し上げる際に適度な弾性力を発揮することができる。
【0034】
なお、物品収納具A1(筒状体1)からポリ袋Pを取り出した後、開口1bを通じて他のポリ袋Pを挿入することによって、ポリ袋Pを補充することができる。
【0035】
図6〜図8は、本発明の第2実施形態に係る物品収納具を示している。なお、これらの図においては、上記実施形態と同一または類似の要素には、上記実施形態と同一の符号を付しており、適宜説明を省略する。
【0036】
図6および図7に表れているように、本実施形態の物品収納具A2は、筒状体1と、筒状体1の内周面に設けられた突起群2’とを備えて構成されている。本実施形態の物品収納具A2は、たとえば軟式用のテニスボールを収納するために用いられる。
【0037】
筒状体1は、上記実施形態と同様に、一定方向に延びる円筒状とされており、たとえばゴムまたは軟質樹脂などの弾性変形可能な材料によって構成されている。筒状体1のサイズの一例を挙げると、軟式用のテニスボールを内部に収納する場合、筒状体1の内径寸法は、テニスボールの外径よりも若干小とされ、たとえば63〜65mm程度とされる。筒状体1の長手方向の寸法は、たとえば26〜35cm程度とされ、筒状体1の厚さは、たとえば3〜5mm程度とされる。
【0038】
突起群2’は、複数の突起21’を有して構成されている。本実施形態では、突起群2’は、筒状体1の長手方向Xにおける他端寄りの一定範囲に設けられている。突起群2’は、当該一定範囲において、筒状体1の周方向の全域に設けられている。
【0039】
複数の突起21’は、薄いシート材22’に一体形成されており、このシート材22’が筒状体1の内周面に取り付けられている。複数の突起21’は、それぞれの先端が筒状体1の長手方向Xの一方側に向くように傾斜している。突起21’は、たとえば筒状体1よりも硬質な材料からなり、たとえばゴムまたは合成樹脂によって構成される。
【0040】
突起21’は、やや先細りの丸棒状とされており、先端は丸みを帯びている。突起21’の寸法の一例を挙げると、直径が0.8〜1.5mm程度とされ、長さ(基端から先端までの長さ)が3〜15mm程度とされる。このような構成の突起21’は、本発明でいう突出部の一例に相当する。また、突起群2’は、本発明でいう突出部群の一例に相当する。
【0041】
図7に表れているように、本実施形態の物品収納具A2において、筒状体1の内部には、複数の軟式用のテニスボールBが長手方向Xに並んで収納される。これらテニスボールBは、それぞれが適度に弾性変形させられた状態にて、開口1bを通じて筒状体1の内部に挿入される。筒状体1に収納されるテニスボールBのうち、突起群2’が設けられた領域(長手方向xの他端寄り)にあるものについては、当該テニスボールBの外面部分が突起21’に接触した状態で筒状体1に保持される。また、筒状体1に収納されるテニスボールBのうち、突起群2’が設けられていない領域にあるものについては、当該テニスボールBの外面部分が筒状体1の内周面に接触した状態で当該筒状体1に保持される。
【0042】
物品収納具A2からテニスボールBを取り出す際には、図8に表れているように、筒状体1の長手方向Xにおける他端寄りの部位を絞るように、当該筒状体1の外側から内向きに押圧する。このとき、筒状体1は弾性変形させられ、当該筒状体1によってテニスボールBも押圧されて若干変形する。ここで、筒状体1の内周面に設けられた複数の突起21’は、それぞれが長手方向Xの一方側に傾斜している。このため、テニスボールBは、突起21’によって長手方向Xの一方側へ徐々に押し出される。その一方、テニスボールBの長手方向Xにおける他方側への移動は阻止される。
【0043】
そして、筒状体1の押圧動作を繰り返すことによって、筒状体1における長手方向の一端側の開口1aから、テニスボールBが取り出される。このようなことから理解されるように、本実施形態の物品収納具A2によれば、筒状体1を押圧するといった簡単な動作によって、収納物品たるテニスボールBを1つずつ的確に取り出すことができる。
【0044】
また、物品収納具A2においては、収納物品(テニスボールB)を取り出すための構成が筒状体1の内周面に施されており、筒状体1の外周面の外側から内部のテニスボールBが見えない状態となっている。したがって、物品収納具A2は、外観上の体裁が良好であり、携帯用として用いるのに適している。
【0045】
以上、本発明の具体的な実施形態を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、発明の思想から逸脱しない範囲内で種々な変更が可能である。本発明に係る物品収納具の各部の具体的な形状や材質なども、上記実施形態に限定されるものではない。
【0046】
上記実施形態において、筒状体については、断面円形状である場合を例に挙げて説明したが、筒状体の形状はこれに限定されない。筒状体は、たとえば断面矩形状であってもよい。
【0047】
上記実施形態では、毛体21や突起21’(突出部)が筒状体よりも硬質な材料からなる場合を例に挙げて説明したが、これに限定されない。たとえば、突出部として、筒状体と同等の硬さの材料あるいは筒状体よりも軟質な材料を用いてもよい。たとえば、筒状体よりも軟質な材料によって突出部を構成する場合、硬質な材料からなる場合よりも突出部の密度を大きくすることによって、上記実施形態において述べたのと同様に、筒状体の内部にある物品を徐々に押し出すことができる。
【0048】
筒状体の内部に設けられる突出部の態様としては、上記実施形態において例示した毛体あるいは突起に限定されるものではなく、たとえば板状片などの他の形状のものを採用することができる。
【符号の説明】
【0049】
A1,A2 物品収納具
X 長手方向(所定方向)
1 筒状体
1a,1b 開口
11 係止片
11a 係止孔
2 ブラシ部(突出部群)
21 毛体(突出部)
22 基材
2’ 突起群(突出部群)
21’ 突起(突出部)
22’ シート材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定方向に延び、かつ弾性変形可能な筒状体と、この筒状体の内周面の少なくとも一部に設けられ、複数の突出部を有する突出部群と、を備え、
上記複数の突出部は、それぞれの先端が上記所定方向の一方側に向くように傾斜していることを特徴とする、物品収納具。
【請求項2】
上記突出部群は、上記筒状体の内周面のうち、上記所定方向における一定範囲の周方向全域に設けられている、請求項1に記載の物品収納具。
【請求項3】
上記突出部群は、上記所定方向の他方側の端部寄りに設けられている、請求項1または2に記載の物品収納具。
【請求項4】
上記突出部群は、上記筒状体の内周面の全域に設けられている、請求項2に記載の物品収納具。
【請求項5】
上記筒状体は、ゴムまたは軟質樹脂からなる、請求項1ないし4のいずれかに記載の物品収納具。
【請求項6】
上記筒状体は、上記所定方向に垂直な断面が一様な円形である、請求項1ないし5のいずれかに記載の物品収納具。
【請求項7】
上記複数の突出部は、自然状態における上記筒状体の内径寸法の1/20〜1/4の長さを有する、請求項6に記載の物品収納具。
【請求項8】
上記筒状体の内面には、基材が取り付けられており、
上記突出部は、上記基材に植設された毛体からなる、請求項1ないし7のいずれかに記載の物品収納具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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