説明

物品取り去り方法、コンベア装置

【課題】コンベア装置がトラブルにより停止して動かなくなっても、載置された物品を迅速に取り去ることができるようにする。
【解決手段】中間コンベア装置16は、フレーム19と、少なくとも2組の搬送チェーン20と、走行面22と、駆動部24と、を備えている。フレーム19は、床面FLより低い位置に形成されたピットP内に配置可能である。少なくとも2組の搬送チェーン20は、フレーム19に移動可能に装着され、搬送方向と交差する方向に隙間をあけて配置され、カゴ台車Cを床面より高い位置で載置可能である。走行面22は、昇降台を有するハンドパレットトラックが走行可能であり、搬送チェーン20の間に床面FLと実質的に同じ高さに配置されている。駆動部24は、走行面22より低い位置で搬送チェーン20を循環駆動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、間隔をあけて配置された少なくとも2組の無端搬送部材を有し、物品を載置して搬送可能なコンベア装置から前記物品を取り去る方法、並びにそれに用いる物品を搬送可能なコンベア装置に関する。
【背景技術】
【0002】
物流において、台車(物品の一例)に品物を載せた状態で台車をコンベア装置により搬送することがある。例えば、チェーン(無端搬送部材の一例)を用いたチェーンコンベア等のコンベア装置で台車を搬送することが従来行われている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平7−24831号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなコンベア装置を用いて物品を搬送すると、コンベア上に適宜の間隔をあけて並べて物品を配置できる。しかし、コンベア装置が何らかのトラブルで停止して動かなくなると、搬送中の物品をコンベア上から取り去る必要が生じる。特に、コンベア装置を搬送方向と交差する方向に複数列、隙間を少なくして密集して配置して場合には、コンベア装置の間にハンドパレットトラック等の運搬装置を入れにくくなる。この結果、コンベア装置の側部から物品を取り去ることができない。このため、搬入口又は搬出口等の搬送路の一端から一つずつ物品を手で押して移動させなければならない。このように物品を手で押して移動させるとコンベア装置の復旧に長時間を要し、コンベア装置のトラブルに迅速に対応できない。
【0005】
本発明の課題は、コンベア装置がトラブルにより停止して動かなくなっても、載置された物品を迅速に取り去ることができるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る物品取り去り方法は、間隔をあけて配置された少なくとも2組の無端搬送部材を有し、物品を載置して搬送可能なコンベア装置から物品を取り去る方法である。物品取り去り方法は、進入ステップと、停止ステップと、載置ステップと、退出ステップと、を含んでいる。進入ステップでは、昇降台を備えた運搬装置を無端搬送部材の間に進入させる。停止ステップでは物品の下方に昇降台を停止させる。載置ステップでは、昇降台を上昇させて物品を昇降台に載置する。退出ステップでは、物品を載置した運搬装置を無端搬送部材の間から退出させる。
この物品取り去り方法では、コンベア装置がトラブルにより停止すると、コンベア装置の搬送路の一端、例えば搬入口又は搬出口から物品を取り去る。このとき、ハンドパレットトラックのような昇降台を有する運搬装置を使用する。まず、運搬装置を無端搬送部材の間に進入させる。そして、昇降台を物品の下方に配置して運搬装置を停止させる。この状態で運搬装置の昇降台を上昇させて物品を昇降台に載置する。そして、物品を載置した運搬装置を搬入口又は搬出口に退出させる。この動作を載置された物品の数だけ繰り返す。ここでは、コンベア装置の搬送路の一端である搬入口又は搬出口から物品を取り去ることができる。このため、コンベア装置がトラブルによって停止して動かなくなっても、載置された物品を迅速に取り去ることができるようになる。
【0007】
本発明に係るコンベア装置は、物品を搬送可能な装置である。コンベア装置は、フレームと、少なくとも2組の無端搬送部材と、走行面と、駆動部と、を備えている。フレームは、床面より低い位置に形成されたピット内に配置可能である。少なくとも2組の無端搬送部材は、フレームに移動可能に装着され、搬送方向と交差する方向に隙間をあけて配置され、物品を床面より高い位置で載置可能である。走行面は、昇降台を有する運搬装置が走行可能であり、無端搬送部材の間に床面と実質的に同じ高さに配置されている。駆動部は、走行面より低い位置で無端搬送部材を循環駆動する。
このコンベア装置では、駆動部が走行面より低い位置で無端搬送部材を駆動するので、走行面を遮るものがない。また、無端搬送部材の間に配置された走行面は、床面と実質的に同じ高さである。この結果、運搬装置を走行面でスムーズに走行させることができる。駆動部が何らかのトラブルで停止して無端搬送部材が動かなくなった場合、走行面に運搬装置を進入させ、床面より高い位置に載置された物品を昇降台に載置して取り去ることができる。
ここでは、コンベア装置の2組の無端搬送部材の間の隙間に走行面を設けるとともに、駆動部が走行面より低い位置で無端搬送部材を駆動するので、コンベア装置の搬送方向の全長で走行面を運搬装置がスムーズに走行可能になる。このため、コンベア装置がトラブルにより停止して動かなくなっても、載置された物品を運搬装置により迅速に取り去ることができる。
【0008】
コンベア装置は、搬送方向に並べて配置された上記コンベア装置と、複数のコンベア装置の間に配置され物品の落ち込みを防止する落ち込み防止コンベア装置とを備えていてもよい。
この場合には、複数のコンベア装置を搬送方向に並べて配置しても、その隙間に物品が落ち込まなくなる。このため、物品の搬送を円滑に行える。
【0009】
落ち込み防止コンベア装置は、各組の無端搬送部材に沿って配置されていてもよい。
この場合には、各組の無端搬送部材に沿って落ち込み防止コンベア装置が設けられているので、物品の落ち込みを防止しながら運搬装置の走行スペースを確保できる。
【0010】
物品は、床面を移動可能な車輪を有していてもよい。コンベア装置は、物品が搬入される搬入口に設けられ、床面から徐々に低くなり、車輪が接触可能な傾斜面を有する傾斜部材をさらに備えていてもよい。
この場合には、車輪と異なる位置で無端搬送部材が物品を載置する場合、傾斜面に車輪を接触させることで傾斜部材を利用して物品を搬入口からコンベア装置にスムーズに搬入することができる。
【0011】
物品が搬出される搬出口に配置される無端搬送部材は、載置された物品の車輪が移動に伴って床面より高い位置から床面と実質的に同じ高さまで変化するように傾斜して配置されていてもよい。コンベア装置は、搬出口に設けられ、床面と実質的に同じ高さに配置され、車輪が接触可能な水平面を有する水平部材をさらに備えていてもよい。
この場合には、搬出口では、床面より高い位置から床面と同じ高さになるように無端搬送部材が配置されている。したがって、車輪が床面より高い位置から床面と実質的に同じ高さまで下がる。この下がってきた車輪は水平部材の床面と実質的に同じ高さの水平面に接触するので、物品を搬出口から床面にスムーズに搬出することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る物品取り去り方法によれば、物品をコンベア装置の搬送方向の一端である搬入口又は搬出口から取り去ることができる。このため、コンベア装置がトラブルによって停止して動かなくなっても、載置された物品を迅速に取り去ることができるようになる。
【0013】
本発明に係るコンベア装置によれば、ここでは、コンベア装置の無端搬送部材の間の隙間に走行面を設けるとともに駆動部が走行面より低い位置で無端搬送部材を駆動するので、コンベア装置の搬送方向の全長で走行面を運搬装置が走行可能になる。このため、コンベア装置がトラブルにより停止して動かなくなっても、載置された物品を運搬装置により迅速に取り去ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態によるコンベア装置の平面図。
【図2】コンベア装置の側面図。
【図3】コンベア装置の搬入口付近の側面部分図。
【図4】コンベア装置の搬出口付近の側面部分図。
【図5】コンベア装置の断面図。
【図6】駆動部の側面図。
【図7】落ち込み防止コンベア装置の断面図。
【図8】落ち込み防止コンベア装置の側面図。
【図9】取り去り処理のフローチャート。
【図10】他の実施形態の図5に相当する図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(1)コンベア装置の全体構成
図1、図2、図3及び図4において、本発明の一実施形態を採用した搬送システム10は、例えば、物流において、物品であるカゴ台車Cを搬送するシステムである。カゴ台車C内には、仕分けされる商品が収納されている。カゴ台車Cは、等脚台形状に折り曲げられた形状の底部フレーム80を有している。カゴ台車Cは、折り畳み可能であり、底部フレーム80の四隅に配置された4つキャスタ付きの車輪90を有している。
【0016】
搬送システム10は、搬送方向に並べて配置された搬入コンベア装置12と、搬出コンベア装置14(図4参照)と、搬入コンベア装置12と搬出コンベア装置14との間に配置された少なくとも一つの中間コンベア装置16と、を備えている。これらの各コンベア装置12,14,16は、建家内にそれぞれ形成されたピットP内に搬送方向と交差する方向に複数列(例えば、3列)配置されている。各列の隙間は、メンテナンス用の人員が入れるだけの大きさである。したがって、各列の隙間には、フォーク形状の昇降台92を有するコンパクトな運搬装置であるハンドパレットトラックH(図1)が入りにくい空間である。また、搬送システム10は、搬入コンベア装置12と中間コンベア装置16との間、及び複数の中間コンベア装置16の間に配置された落ち込み防止コンベア装置18をさらに備えている。
【0017】
(2)各コンベア装置の構成
各コンベア装置12,14,16は、一部を除いて概ね同じ構成である。各コンベア装置12,14,16は、フレーム19と、カゴ台車Cが載置される2組の搬送チェーン(無端搬送部材の一例)20と、走行面(図5参照)22と、駆動部24と、を備えている。
【0018】
(3)フレームの構成
フレーム19は例えば溝形鋼や軽量溝形等の鋼材を溶接やネジ止めして形成されている。フレーム19の搬送方向の中間部には、図2、図3及び図4に示すように、駆動部24が配置されている。フレーム19は、図5に示すように、搬送方向に沿って長い左右1対の主フレーム部材30を有している。主フレーム部材30は、形鋼のフランジ部が対向するように配置されている。1対の主フレーム部材30の間隔は、搬送チェーン20にカゴ台車Cが載置されたとき、カゴ台車Cの車輪90が主フレーム部材30の両外側に配置されるような間隔である。主フレーム部材30の上面には、搬送チェーン20を案内するチェーンガイド35が固定されている。チェーンガイド35は、図5に示すように、搬送チェーン20をそれぞれ案内可能に中央部に凹部35aを有している。主フレーム部材30は、床面FLに掘られたピットPにアンカーボルトにより固定されている。
【0019】
主フレーム部材30の両端には、搬送チェーン20が巻回される従動スプロケット40が装着されている。主フレーム部材30の背面(外側面)には、従動スプロケット40を支持するための支持板42が装着されている。従動スプロケット40は、図8に示すように、支持軸44に回転自在に支持されている。支持軸44は、支持板42と、支持板42から主フレーム部材30の内側に離反して配置された支持ブラケット43と、に両端支持されている。
【0020】
(4)搬送チェーンの構成
搬送チェーン20は、チェーンガイド35に案内される。搬送チェーン20は、カゴ台車Cの底部フレーム80を床面FLより高い位置で載置可能である。
【0021】
搬送チェーン20は、1本の主フレーム部材30に配置された外側コンベアチェーン20a及び内側コンベアチェーン20bを有している。したがって、この実施形態では、外側コンベアチェーン20a及び内側コンベアチェーン20bを1組とした2組の搬送チェーン20が搬送方向と交差する方向に隙間をあけて配置されている。これに伴い、従動スプロケット40は、外側スプロケット歯40aと内側スプロケット歯40bとの2枚のスプロケット歯で構成されている。なお、落ち込み防止コンベア装置18が配置されている部分には、さらに落ち込み防止コンベア装置18を構成する後述する第1従動スプロケット60又は駆動スプロケット61が内側スプロケット歯40bの内側に装着されている。
【0022】
(5)走行面の構成
走行面22は、駆動部24がトラブルにより停止したとき、図1に示すハンドパレットトラックHによりカゴ台車Cを取り去る際に使用される。走行面22は、図5に示すように、この実施形態では、ピットPを掘った残りの床面FLを使用している。このため、走行面22は、床面FLと実質的に同じ高さである。走行面22の両側にはハンドパレットトラックHを案内するためのガイド部22bが配置されている。
【0023】
(6)駆動部の構成
駆動部24は、走行面22より低い位置で2組の搬送チェーン20を循環駆動するものである。駆動部24は、図2、図3及び図4に示すように、各コンベア装置12,14,16の中間部に配置されている。駆動部24は、図6に示すように、2つの従動スプロケット53と、一つの駆動スプロケット54と、を有している。従動スプロケット53は、駆動スプロケット54の間で駆動スプロケット54より高い位置に配置されている。2つの従動スプロケット53は、主フレーム部材30に固定された駆動ブラケット36に両端支持された従動軸37に回転自在に支持されている。片側の従動スプロケット53は、外側コンベアチェーン20aに張力を付与する図示しないテンション機構を有している。駆動スプロケット54は、駆動ブラケット36に両端を回転自在に支持された駆動軸38に一体回転可能に装着されている。駆動軸38は、減速機付きのモータ39により、例えばローラチェーンを介して回転駆動される。これらの従動軸37及び駆動軸38は、搬送チェーン20毎に設けられている。
【0024】
(7)落ち込み防止コンベア装置の構成
落ち込み防止コンベア装置18は、前述したように搬入コンベア装置12と中間コンベア装置16との間及び複数の中間コンベア装置16の間に設けられている。この実施形態では、中間コンベア装置16と搬出コンベア装置14との間には設けられていない。しかし、中間コンベア装置16と搬出コンベア装置14との間に落ち込み防止コンベア装置18を設けてもよい。また、落ち込み防止コンベア装置18は、各列の搬送チェーン20の内側に配置され搬送チェーン20に沿って配置されている。
【0025】
落ち込み防止コンベア装置18は、図7及び図8に示すように、第1従動スプロケット60と、駆動スプロケット61と、第2従動スプロケット62と、コンベアチェーン63と、を有している。第1従動スプロケット60は、各コンベア装置12,14の従動スプロケット40に装着され、具体的には、内側スプロケット歯40bの内側に回転自在に装着されている。駆動スプロケット61は、隣り合う従動スプロケット40に装着され、具体的には、隣り合う従動スプロケット40の内側スプロケット歯40bの内側に一体回転可能に連結されている。第2従動スプロケット62は、第1従動スプロケット60と駆動スプロケット61との間に配置されている。コンベアチェーン63は、これらの3つのスプロケット60,61,62に巻回されている。コンベアチェーン63は、内側コンベアチェーン20bと同じ仕様である。第1従動スプロケット60及び駆動スプロケット61は、従動スプロケット40の歯数と同じ歯数である。駆動スプロケット61は、搬送方向下流側の中間コンベア装置16の従動スプロケット40に連結されている。したがって、第1従動スプロケット60は、上流側の搬入コンベア装置12,16の従動スプロケット40に装着されている。これにより、下流側の中間コンベア装置16が駆動されると、落ち込み防止コンベア装置18は駆動されるが、上流側のコンベア装置12,16が駆動されても落ち込み防止コンベア装置18は駆動されない。これにより、カゴ台車Cの衝突を防止できる。
【0026】
このように従動スプロケット40に支持された構成の落ち込み防止コンベア装置18では、簡素な構成で、各コンベア装置12,16間でのカゴ台車Cの落ち込みを防止できる。このため、落ち込み防止コンベア装置18の導入に伴うコストアップを抑えることができる。
【0027】
(8)その他の構成
搬入口に設けられた搬入コンベア装置12には、さらに傾斜部材50が設けられている。傾斜部材50は、主フレーム部材30の両外側面に配置されている。傾斜部材50は、搬入口側が床面FLと同じ高さであり、そこから徐々に低くなる傾斜面を有している。傾斜部材50は、板状の部材であり、カゴ台車Cの車輪90に接触可能な位置に配置されている。このような傾斜部材50を設けることにより、搬入時にカゴ台車Cが傾斜部材50を走行して底部フレーム80が搬送チェーン20に載置される。このため、搬入時にカゴ台車Cを軽く押すだけで自重によりカゴ台車Cを搬入コンベア装置12に搬入できる。また、傾斜部材50に沿って降りる構造であるため、車輪の高さが異なる多品種のカゴ台車も使用できる。
【0028】
搬出口に設けられた搬出コンベア装置14には、さらに水平部材52が設けられている。搬出コンベア装置14は、カゴ台車Cの車輪90が床面FLより高い位置に配置されるような高さから徐々に低くなるように傾斜して配置されている。そして、搬出口では、車輪90が床面FLと同じ高さとなるように傾斜している。すなわち、搬出コンベア装置14の主フレーム部材30は、この条件を満たすように傾斜して配置され、それに伴い搬送チェーン20も傾斜して配置されている。また、搬出コンベア装置14に接続された少なくとも1台の中間コンベア装置16は、それより搬送方向上流側の中間コンベア装置16に対して高さが徐々に高くなるように傾斜して配置されている。
【0029】
水平部材52は、搬出コンベア装置14の主フレーム部材30の両側に床面FLと実質的に同じ高さに配置されている。水平部材52は、板状の部材であり、カゴ台車Cの車輪90に接触可能な位置に配置されている。水平部材52は、搬出されるカゴ台車Cの車輪90を床面FLにスムーズに案内するために用いられる。このような水平部材52を設けることにより、搬出時にカゴ台車Cの車輪90が水平面52aに載置されるので、カゴ台車Cをわずかに引っ張るだけの軽い力でカゴ台車Cを取り出せる。
【0030】
(9)コンベア装置におけるカゴ台車の取り去り方法
搬送システム10にカゴ台車Cが載置された状態で各コンベア装置12,14,16のいずれかがトラブルにより停止して動かなくなった場合は、載置されたカゴ台車Cを取り去る必要がある。
【0031】
例えば、図2に搬入コンベア装置12の隣の中間コンベア装置16がトラブルにより動かなくなったとき、まず、搬入コンベア装置12は動くので、逆転させて搬入コンベア装置12上のカゴ台車Cを取り出す。次に、中間コンベア装置16に載置されたカゴ台車Cを取り去る。この場合、図9に示すように、ステップS1で、作業者がハンドパレットトラックHを床面FLから中間コンベア装置16の搬送チェーン20の間の走行面22に進入させる。ステップS2では、カゴ台車Cの下方にハンドパレットトラックHの昇降台92を停止させる。ステップS3では、昇降台92を上昇させ、カゴ台車Cの底部フレーム80を受けてカゴ台車Cを昇降台92上に載置する。載置が終わると、ステップS4では、走行面22を通って搬送チェーン20の間からカゴ台車Cを載置したハンドパレットトラックHを退出させ、床面FLまで運ぶ。ステップS5では、中間コンベア装置16上のすべてのカゴ台車Cを取り去ったか否かを確認し、まだカゴ台車Cが残っている場合は、ステップS2に戻って上記の処理を繰り返す。すべての処理が終わると取り去り処理を終了する。
【0032】
なお、中間コンベア装置16のいずれかがトラブルにより停止したとき、搬入口又は搬出口のいずれか近い方からカゴ台車Cを取り去ればよい。この場合、駆動可能なコンベア装置12,14,16は、駆動してカゴ台車Cを取り去り、その後、停止している中間コンベア装置16からハンドパレットトラックHを用いてカゴ台車Cを取り去ればよい。
【0033】
(10)本発明の特徴
(A)物品取り去り方法は、間隔をあけて配置された少なくとも2組の無端搬送部材としての搬送チェーン20を有し、物品としてのカゴ台車Cを載置して搬送可能なコンベア装置12,14,16からカゴ台車Cを取り去る方法である。物品取り去り方法は、進入ステップと、停止ステップと、載置ステップと、退出ステップと、を含んでいる。進入ステップでは、昇降台92を備えた運搬装置としてのハンドパレットトラックHを搬送チェーン20の間に進入させる。停止ステップではカゴ台車Cの下方に昇降台92を停止させる。載置ステップでは、昇降台92を上昇させてカゴ台車Cを昇降台92に載置する。退出ステップでは、カゴ台車Cを載置したハンドパレットトラックHを搬送チェーン20の間から退出させる。
この物品取り去り方法では、各コンベア装置12,14,16のいずれかがトラブルにより停止すると、各コンベア装置12,14,16の搬送方向の一端、例えば搬入口又は搬出口からカゴ台車Cを取り去る。このとき、昇降台92を有するハンドパレットトラックHを使用する。まず、ハンドパレットトラックHを搬送チェーン20の間に進入させる。そして、昇降台92をカゴ台車Cの下方に配置してハンドパレットトラックHを停止させる。この状態でハンドパレットトラックHの昇降台92を上昇させてカゴ台車Cを昇降台92に載置する。そして、カゴ台車Cを載置したハンドパレットトラックHを搬入口又は搬出口に退出させる。この動作を載置されたカゴ台車Cの数だけ繰り返す。ここでは、カゴ台車Cを各コンベア装置12,14,16の搬送路の一端である搬入口又は搬出口から取り去ることができる。このため、各コンベア装置12,14,16のいずれかがトラブルによって停止して動かなくなっても、載置されたカゴ台車Cを迅速に取り去ることができるようになる。
【0034】
(B)コンベア装置12,14,16は、カゴ台車Cを搬送可能な装置である。コンベア装置12,14,16は、フレーム19と、少なくとも2組の搬送チェーン20と、走行面22と、駆動部24と、を備えている。フレーム19は、床面FLより低い位置に形成されたピットP内に配置可能である。少なくとも2組の搬送チェーン20は、フレーム19に移動可能に装着され、搬送方向と交差する方向に隙間をあけて配置され、カゴ台車Cを床面FLより高い位置で載置可能である。走行面22は、昇降台92を有するハンドパレットトラックHが走行可能であり、搬送チェーン20の間に床面FLと実質的に同じ高さに配置されている。駆動部24は、走行面22より低い位置で搬送チェーン20を循環駆動する。
このコンベア装置12,14,16では、駆動部24が走行面22より低い位置で搬送チェーン20を駆動するので、走行面22を遮るものがない。また、搬送チェーン20の間に配置された走行面22は、床面FLと実質的に同じ高さである。この結果、走行面22にハンドパレットトラックHを走行面22でスムーズに走行させることができる。駆動部24が何らかのトラブルで停止して搬送チェーン20が動かなくなった場合、走行面22にハンドパレットトラックHを進入させ、床面FLより高い位置に載置されたカゴ台車Cを昇降台92に載置して取り去ることができる。
ここでは、各コンベア装置12,14,16の2組の搬送チェーン20の間の隙間に走行面22を設けるとともに、駆動部24が走行面22より低い位置で搬送チェーン20を駆動している。したがって、コンベア装置12,14,16の搬送方向の全長で走行面22をハンドパレットトラックHが走行可能になる。このため、いずれかのコンベア装置12,14,16がトラブルにより停止して動かなくなっても、載置されたカゴ台車CをハンドパレットトラックHにより迅速に取り去ることができる。
【0035】
(C)カゴ台車Cは、床面FLを移動可能な車輪90を有する。搬入コンベア装置12は、カゴ台車Cが搬入される搬入口に設けられ、床面FLから徐々に低くなり、車輪90が接触可能な傾斜面50aを有する傾斜部材50をさらに備えている。
この場合には、車輪90と異なる位置で搬送チェーン20がカゴ台車Cを載置する場合、傾斜面50aに車輪90を接触させることで傾斜部材50を利用してカゴ台車Cを搬入口から搬入コンベア装置12にスムーズに搬入することができる。
【0036】
(D)カゴ台車Cが搬出される搬出口に配置される搬送チェーン20は、載置されたカゴ台車Cの車輪90が移動に伴って床面FLより高い位置から床面FLと実質的に同じ高さにまで変化するように傾斜して配置される。搬出コンベア装置14は、搬出口に設けられ、床面FLと実質的に同じ高さに配置され、車輪90が接触可能な水平面52aを有する水平部材52をさらに備えている。
この場合には、搬出口では、床面より高い位置から床面FLと同じ高さになるように搬送チェーン20が配置されている。したがって、車輪90が床面FLより高い位置から床面FLと実質的に同じ高さまで下がる。この下がってきた車輪90は水平部材52の床面FLと実質的に同じ高さの水平面52aに接触するので、カゴ台車Cを搬出口から床面FLにスムーズに搬出することができる。
【0037】
(E)搬送システム10は、搬送方向に並べて配置された複数のコンベア装置12,14,16と、複数のコンベア装置12,14,16の間に配置され物品の落ち込みを防止する落ち込み防止コンベア装置18とを備えている。
この場合には、複数のコンベア装置12,14,16を搬送方向に並べて配置しても、その隙間にカゴ台車Cが落ち込まなくなる。このため、カゴ台車Cの搬送を円滑に行える。
【0038】
(F)落ち込み防止コンベア装置18は、各組の搬送チェーン20に沿って配置されている。
この場合には、各組の搬送チェーン20に沿って落ち込み防止コンベア装置18が設けられているので、カゴ台車Cの落ち込みを防止しながらハンドパレットトラックHの走行スペースを確保できる。
【0039】
(11)他の実施形態
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0040】
(a)前記実施形態では、無端搬送部材として搬送チェーン20を例示したが、無端搬送部材は、チェーンに限定されず、ベルト等であってもよい。
【0041】
(b)前記実施形態では、物品としてのカゴ台車Cの取り去り処理を作業員による人手で行っているが、本発明はこれに限定されず自動化してもよい。例えば、ハンドパレットトラックの機能を自動化して、自律走行等の適宜の手段により各コンベア装置12,14,16に移動して物品を検出して取り去るようにしてもよい。
【0042】
(c)前記実施形態では、本発明に係る物品取り去り方法及びコンベア装置において扱う物品として床面を移動可能なカゴ台車を例示した。しかし、物品は移動可能なものに限定されず、移動不能なものであってもよい。この場合、例えば、商品そのものでもよいし、商品を収納するコンテナや商品を載置するパレットのようなものでもよい。
【0043】
(d)前記実施形態では、走行面22をピットを掘らずに残った床面を利用しているが、本発明の走行面22はこれにされない。例えば図5に示すように、コンベア装置12,14,16がピットP内に配置されている場合、コンベア装置12,14,16等に使用される脚部34を連結する連結部材32に走行面22を有する走行部材22aを設けてもよい。走行面22を有する走行部材22aは、連結部材32により脚部34と同じ間隔で支持されている。走行部材22aは、各コンベア装置12,14,16との接続部分で隙間が生じにくいような長さに形成されており、搬送システム10の全長にわたり形成されている。搬入コンベア装置12の入口である搬入口及び搬出コンベア装置14の出口である搬出口においては、走行部材22aは、床面FLとの隙間が小さくなるように形成されている。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は、物流の分野において、物品を搬送するコンベア装置に、広く適用可能である。
【符号の説明】
【0045】
10 搬送システム
12 搬入コンベア装置
14 搬出コンベア装置
16 中間コンベア装置
18 落ち込み防止コンベア装置
19 フレーム
20 搬送チェーン
20a 外側コンベアチェーン
20b 内側コンベアチェーン
22a 走行部材
22 走行面
22b ガイド部
24 駆動部
30 主フレーム部材
32 連結部材
34 脚部
35 チェーンガイド
35a 凹部
36 駆動ブラケット
37 従動軸
38 駆動軸
39 モータ
40 従動スプロケット
40a 外側スプロケット歯
40b 内側スプロケット歯
42 支持板
43 支持ブラケット
44 支持軸
50 傾斜部材
50a 傾斜面
52 水平部材
52a 水平面
53 従動スプロケット
54 駆動スプロケット
60 第1従動スプロケット
61 駆動スプロケット
62 第2従動スプロケット
63 コンベアチェーン
80 底部フレーム
90 車輪
92 昇降台
C カゴ台車
FL 床面
H ハンドパレットトラック

【特許請求の範囲】
【請求項1】
間隔をあけて配置された少なくとも2組の無端搬送部材を有し、物品を載置して搬送可能なコンベア装置から前記物品を取り去る方法であって、
昇降台を備えた運搬装置を前記無端搬送部材の間に進入させる進入ステップと、
前記物品の下方に前記昇降台を停止させる停止ステップと、
前記昇降台を上昇させて前記物品を前記昇降台に載置する載置ステップと、
前記物品を載置した前記運搬装置を前記無端搬送部材の間から退出させる退出ステップと、
を含む物品取り去り方法。
【請求項2】
物品を搬送可能なコンベア装置であって、
床面より低い位置に形成されたピット内に配置可能なフレームと、
前記フレームに移動可能に装着され、搬送方向と交差する方向に間隔をあけて配置され、前記物品を前記床面より高い位置で載置可能な少なくとも2組の無端搬送部材と、
昇降台を有する運搬装置が走行可能であり、前記無端搬送部材の間に前記床面と実質的に同じ高さに配置された走行面と、
前記走行面より低い位置で前記無端搬送部材を循環駆動する駆動部と、
を備えたコンベア装置。
【請求項3】
搬送方向に並べて配置された請求項2に記載の複数の前記コンベア装置と、
複数の前記コンベア装置の間に配置され前記物品の落ち込みを防止する落ち込み防止コンベア装置と、
を備えたコンベア装置。
【請求項4】
前記落ち込み防止コンベア装置は、各組の無端搬送部材に沿って配置されている、請求項3に記載のコンベア装置。
【請求項5】
前記物品は、前記床面を移動可能な車輪を有し、
前記物品が搬入される搬入口に設けられ、前記床面と同じ高さから徐々に低くなり、前記車輪が接触可能な傾斜面を有する傾斜部材をさらに備える、請求項1から4のいずれか1項に記載のコンベア装置。
【請求項6】
前記物品が搬出される搬出口に配置される前記無端搬送部材は、載置された前記物品の前記車輪が移動に伴って前記床面より高い位置から前記床面と実質的に同じ高さにまで変化するように傾斜して配置されており、
前記搬出口に設けられ、前記床面と実質的に同じ高さに配置され、前記車輪が接触可能な水平面を有する水平部材をさらに備える、請求項5に記載のコンベア装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−126704(P2011−126704A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−289398(P2009−289398)
【出願日】平成21年12月21日(2009.12.21)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】