説明

物品取得装置

【課題】物品収納空間に収納された物品を、操作者が物品取出し口の戸を開放して取出す際に、操作者による不正取出しを防止し、かつ、簡易な構造で物品不正取出し防止機構を備えた物品取得装置を提供することにある。
【解決手段】遮蔽板22は、垂直方向から略水平方向へと移動可能であり、物品落とし口7を遮蔽可能な方形の板部で構成されている。遮蔽板22の下端部は連結部23と連結されている。また、遮蔽板22の上端部の左右両側部には、移動方向を案内するための案内部24内に挿入されて摺動する突起状の滑動部22bが設けられ、戸21が上昇移動すると、遮蔽板22が案内部24に沿って物品収納空間9の奥側から手前側に迫り出す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筐体内の物品載置部に載置された物品のうち所望の物品を選択して筐体内の物品収納空間に移し、物品取出し口から物品を取出す物品取得装置に関し、特に物品不正取出し防止機構を備えた物品取得装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の物品取得装置において、筐体内の物品載置部と、物品を取出す取出し口とが常時連通していると、物品取出し口と物品落とし口とを介して物品載置部に直接手を差込み、または掴持器具を差込み、物品載置部に載置された物品が不正に取出されるおそれがあった。
【0003】
これを防止するために、物品取出し口の開口部を開閉する戸の構造として、物品不正取出し防止機構を備えたものがある(例えば、特許文献1(第2頁、図2)参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−224432号公報
【0005】
前記特許文献1に開示された物品不正取出し防止機構においては、筐体下側の前壁に開口する景品取り出し口に設けられている第1開閉プレートが下降限まで下降しているときは、景品取り出し口を閉止するとともに、防犯用の第2開閉プレートが第1開閉プレートと略平行に保持されている。また、第1開閉プレートが上昇限まで上昇しているときは、景品取り出し口を開放するとともに、第2開閉プレートが景品取り出し口手前側から奥側へ向かって徐々に揺動することで、誘導通路の途中を閉止することができる。
【0006】
すなわち、遊技者が第1開閉プレートを上昇限まで上昇させると、第2開閉プレートが誘導通路の途中を閉止する。そのため、遊技者が誘導通路を通じて、景品ケースに直接手を差込んだり、掴持器具を差込んだりして、景品ケースに載置された景品を取出すことが不可能になることで、遊技者による不正な取出しを防止できるようにしている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、物品取得装置は一般的に、物品収納空間奥側上方に物品載置部が設けられていることが多い。前記特許文献1に開示された物品不正取出し防止機構においては、第1開閉プレートが少しだけ上昇している場合には、誘導通路の途中は、一部開放されたままである。すなわち、第1開閉プレートが完全に上昇している場合には、誘導通路の途中が第2開閉プレートにより完全に閉止されるため、遊技者が景品ケースに直接手を差込んだり、掴持器具を差込んだりすることは不可能となる。しかし、第1開閉プレートが少しだけ上昇している場合には、誘導通路の途中は、一部開放されたままであるため、第1開閉プレートが少しだけ上昇した分の景品取り出し口の隙間と、誘導通路の途中の隙間とを介して、遊技者が景品ケース内に直接手を差込んだり、掴持器具を差込んだりして、景品ケース内に載置された物品が不正に取出されるおそれがある。
【0008】
上記課題に鑑み、本発明の目的は、物品収納空間に収納された物品を、物品取出し口の戸を開放して取出す際に、操作者による不正取出しを防止し、かつ、簡易な構造で物品不正取出し防止機構を備えた物品取得装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、複数の物品を載置する物品載置面上の物品を選び取る物品択出機構と、前記物品択出機構によって選び取られた物品を投入する物品落とし口と、前記物品落とし口の下方に位置し、前記物品を収納する物品収納部と、操作者が前記物品収納部内の前記物品を取り出すための物品取出し口と、前記物品取出し口を閉鎖、開放する戸と、を備えた物品取得装置において、前記物品収納部は、前記物品落とし口を閉鎖、開放する遮蔽板と、前記戸と前記遮蔽板とを連結する連結部と、前記物品落とし口の近傍下側に設けられ、前記遮蔽板を案内する案内部と、を備え、前記遮蔽板は、前記案内部内に挿入されて摺動する滑動部を備え、前記戸が前記物品取出し口を閉鎖、開放するのに伴い、前記連結部と前記滑動部を介して前記案内部に沿って、前記物品落とし口を開放、閉鎖することを特徴とする物品取得装置である。
【0010】
かかる発明では、戸が物品取出し口を閉鎖しているときは、遮蔽板が物品落とし口を開放することで、物品落とし口に落下した物品が物品収納部内に収納される。また、戸が物品取出し口を開放しているときは、遮蔽板が物品落とし口を閉鎖することで、物品取出し口から操作者が手や掴持器具を差込んだりしても、物品載置面までは差込むことができなくなる。
【0011】
ここで、前記戸は、前記物品取出し口を下側から開放し、前記遮蔽板は、前記物品載置面と接する前記物品落とし口の開口端から閉鎖することとしてもよい。
【0012】
かかる発明では、物品取出し口を物品載置面から遠い開口端から開放し、物品落とし口を物品載置面から近い開口端から閉鎖していくことで、少しだけ開放された状態の物品取出し口の隙間から操作者が手や掴持器具を差込んだりしても、物品載置面までは届きにくくなっている。
【0013】
また、前記遮蔽板は、前記戸が前記物品取出し口を完全に閉鎖している位置にある場合に、前記物品載置面の下方に収納され、前記物品落とし口を完全に開放する落下口開放位置と、前記戸が前記物品取出し口を完全に開放している位置にある場合に、前記物品載置面の下方から迫り出すことで前記物品落とし口を完全に閉鎖する落下口閉鎖位置と、に位置することとしてもよい。
【0014】
かかる発明では、戸が物品取出し口を閉鎖している場合に、遮蔽板を物品載置面の下方に収納することで、物品収納部内のスペースを有効利用できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、物品収納空間に収納された物品を、操作者が物品取出し口の戸を開放して取出す際に、操作者による不正取出しを防止し、かつ、簡易な構造で物品不正取出し防止機構を備えた物品取得装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1実施形態に係る物品不正取出し防止機構を備えた物品取得装置の斜視図である。
【図2】物品取出し口が完全に閉鎖している状態(閉鎖状態)の物品収納空間の前後方向断面図である。
【図3】物品取出し口が半分だけ開放している状態(半開放状態)の物品収納空間の前後方向断面である。
【図4】物品取出し口が完全に開放している状態(開放状態)の物品収納空間の前後方向断面図である。
【図5】本発明の第2実施形態に係る物品不正取出し防止機構を備えた物品取得装置の物品収納空間の前後方向断面図である。
【図6】本発明の第3実施形態に係る物品不正取出し防止機構を備えた物品取得装置の前後方向断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の詳細を図1乃至図6に図示された実施例1乃至実施例3について説明する。なお、以下の説明において、前後方向、上下方向及び左右方向に言及している場合には、物品取得装置に向かって立つ操作者から見た方向を意味する。また、「手前側」及び「奥側」との表現は、それぞれ物品取得装置に向かって立つ操作者の立つ側及びその反対側を意味する。
【0018】
本実施例の物品取得装置は、筐体内部に色々な種類の物品を収納し、筐体内部天井から吊り下がるクレーンを用いて所望の物品を掴んで、あるいは引っ掛けて物品落とし口まで運ぶことで物品を取得するクレーンゲーム機である。クレーンゲーム機は、略直方体状(円筒体でも可)に形成された筐体部を備えている。
【実施例1】
【0019】
図1は、本発明の実施の形態に係る物品取得装置の斜視図を示す。
【0020】
クレーンゲーム機1は、略直方体状の筐体部の下半部を占める筐体下部2と、筐体下部2の上方に形成され、外部から内部を視認可能な透明板で覆われている上半部の筐体上部3とからなる。
【0021】
筐体下部2は、略直方体状の外周面を形成する外周壁4を備え、外周壁4の上端縁には物品載置板5が張設される。物品載置板5上には数種の物品6が載置されるようになっている。物品6は、ここでは円筒状のお菓子等の景品である。物品載置板5の手前側には、方形に開口し、筐体下部2と筐体上部3とを連通する物品落とし口7が形成されている。手前側の外周壁4には、取得した物品6を取出すための方形に開口した物品取出し口8が形成されている。また、物品落とし口7の下方位置であって、物品取出し口8の奥側には、物品6を収納可能な空間を有する物品収納空間9が設けられている。なお、物品落とし口7は物品載置板5の手前側でなくてもよく、また、物品取出し口8は外周壁4の手前側でなくてもよく、物品落とし口7が物品取出し口8に連通していれば、例えば、側面等に形成されていてもよい。さらに、物品収納空間9の左右幅は、物品落とし口7、物品取出し口8の左右幅以上が好ましく、また、物品収納空間9の前後幅は、物品落とし口7の前後幅以上が好ましい。
【0022】
物品取出し口8の内側には、上下方向にスライド移動して、物品取出し口8を開閉する揚げ戸である戸21の昇降機構が設けられている。昇降機構は図示しないガイドレールに沿って、戸21を手動で昇降させることができる。
【0023】
物品収納空間9内には、物品落とし口7の左右幅以上の左右幅を有し、物品落とし口7を遮蔽可能な遮蔽板22が設けられている。さらに、戸21が移動することで、遮蔽板22を移動させることができる、戸21の左右下端部と遮蔽板22の一端部(遮蔽板22が垂直方向を向いている位置にあるときの下端部)を連結している連結部23が設けられている。また、遮蔽板22の動きを案内可能な案内部24が設けられている。
【0024】
筐体上部3は透明板で覆われたプレイ空間10を形成しており、プレイ空間10の天井の前後には、左右水平方向に指向した図示しない2本の横行用固定レールが配設されるとともに、該2本の横行レールの下側には、前後方向に指向した図示しない縦行用移動レールが取り付けられる。縦行用移動レールの下側には、走行型クレーン11が取り付けられる。走行型クレーン11は、図示しないクレーン台車が縦行用移動レールに沿って前後方向へ走行可能に設けられ、クレーン台車に伸縮パイプの上端部が一体に装着され、伸縮パイプの下端に設けた把持爪開閉部には1対の把持爪が開閉可能に設けられている。
【0025】
なお、本実施例では、物品把持型のクレーンゲーム機1が用いられているが、操作者による操作の結果、物品収納空間9に物品6が収納されるような形態であれば、他の形態の物品取得装置であってもよい。例えば、操作者が所定のゲームをクリアしたり、抽選に当選したりすると、物品収納空間9に物品6が移送されて収納されるような形態の物品取得装置でもよい。また、操作者が物品6を選択すると、物品収納空間9に物品6が収納されるような形態の自動販売機等でもよい。
【0026】
筐体下部2の手前側の外周壁4には、操作ブロック12が設けられている。操作ブロック12の上面には、走行型クレーン11を右方向(X方向)や後方向(Y方向)へ操作する操作ボタンが配設されるとともに、硬貨投入口13が設けられている。
【0027】
走行型クレーン11は、左手前側上方をホームポジションとして、ホームポジションの位置から操作者による操作ボタンの操作に従って右方向や奥方向に走行を開始する。走行型クレーン11が、操作者によって操作ボタンを押されている間、右方向や奥方向に走行し、停止した後、把持爪開閉部が下方に移動して把持爪を開閉することによって物品6を把持する動作を行う。この動作で物品6を掴んだり、物品6を掴むことができなくとも物品6に触れることで物品6の位置を変えたりすることができる。その後、走行型クレーン11が、物品6を把持した状態で上方に戻り、物品落とし口7の上方に水平移動して、再度把持爪が開閉し、ホームポジションに復帰する。この一連の動作によって、物品落とし口7の上方で把持爪が開閉して、物品6が物品落とし口7を介して物品収納空間9内に落下して収納されるようになっている。あるいは、把持爪開閉部が物品把持動作時に物品6に触れることで物品6を少しずつ物品落とし口7に移動させて落下させる。
【0028】
物品落とし口7に入った物品6は、物品収納空間9に収納されるので、操作者は戸21を上方向に移動させて物品取出し口8を開放することで、物品収納空間9から物品6を取出して取得することができる。ここに、操作者が戸21を上方向に移動させて物品取出し口8を開放して物品収納空間9から物品6を掴み出す際に、不正な取出しを防止する工夫が本クレーンゲーム機1になされている。
【0029】
図2は、物品取出し口8が完全に閉鎖している状態(閉鎖状態)を図示した物品収納空間9の前後方向断面図である。なお、図2において、図中左方向はクレーンゲーム機1の手前側、図中右方向はクレーンゲーム機1の奥側をそれぞれ表している。
【0030】
物品収納空間9内に設けられている戸21は、上方向に摺動可能であり、物品取出し口8を閉鎖可能な方形の板部で構成されている。具体的には、物品取出し口8に近接した物品収納空間9内の左右両側板には、戸21の移動方向を上下方向に制限するための図示しない戸案内部が設けられており、戸21が戸案内部に沿って上方向に摺動することにより、物品取出し口8が開放される構造になっている。なお、戸21の素材は物品取出し口8を閉鎖可能であればよく、素材は問わないが、操作者が物品収納空間9内に物品6が収納されているかどうかを、戸21が閉鎖している状態でも確認できるように透明または半透明素材が好ましい。
【0031】
戸21の左右幅は、物品取出し口8の左右両側板に近接して挟まれる幅長を有する。また、戸21の手前側下部には、図示しない操作者が掴むことのできる突起状の把手が設けられている。なお、把手は突起状に限定されるわけではなく、操作者が戸21を上下方向に移動させることのできる形状であればよい。また、戸21を上下方向に移動させることのできる駆動装置を備える構成としてもよい。
【0032】
戸21の左右両下端部には、物品収納空間9の奥側に設けられている遮蔽板22の一端部と連結している、奥側水平方向に延びる板状の連結部23が固定して設けられている。遮蔽板22の下端部の左右両側部には、軸部22aが設けられており、連結部23の奥端が軸着しており、遮蔽板22が傾動可能になっている。なお、連結部23は、戸21が上下方向に移動するのに伴い、遮蔽板22を移動させることができればよく、戸21の左右下端部のどちらか一方のみに設けられていてもよい。
【0033】
遮蔽板22は、垂直方向から略水平方向へと移動可能であり、物品落とし口7を遮蔽可能な方形の板部で構成されている。遮蔽板22の左右幅は、物品収納空間9の左右両側板に近接して挟まれる幅長を有する。遮蔽板22の下端部は連結部23と連結されている。また、遮蔽板22の上端部(遮蔽板22が垂直方向を向いている位置にあるときの上端部)の左右両側部には、移動方向を案内するための案内部24内に挿入されて摺動する突起状の滑動部22bが設けられている。
【0034】
案内部24は、物品収納空間9の左右両側板の奥側から手前側に向かって徐々に高くなるように傾斜する長孔である。長孔内に、遮蔽板22の滑動部22bが挿入されているため、遮蔽板22は、案内部24に沿って滑動自在に移動する。なお、案内部24は、奥側から手前側に向かって徐々に高くなるように傾斜しているのは、滑動部22bに上方向の力が加わったときに、その力が手前側に逃げることで、軸部22aを軸として遮蔽板22が手前側に傾動可能とするためである。
【0035】
戸21が最も下方向に移動している位置(ホームポジション)にあるときは、戸21によって物品取出し口8が完全に閉鎖される(閉鎖状態)。物品取出し口8が閉鎖状態のとき、遮蔽板22は物品収納空間9内の奥側で、垂直方向を向いている位置(落下口開放位置)となる。遮蔽板22が落下口開放位置に位置しているときは、物品収納空間9と物品落とし口7とは遮蔽板22によって遮蔽されていないため、物品落とし口7は開放される。
【0036】
物品取出し口8が閉鎖状態のときには、物品落とし口7が開放されているので、物品落とし口7と物品収納空間9が連通するため、物品落とし口7に入った物品6は、物品収納空間9内に収納される。物品取出し口8が閉鎖状態では、操作者は物品収納空間9内に収納された物品6を取出すことができない。
【0037】
図3は、物品取出し口8の下側半分程度が開放した状態(半開放状態)を図示した物品収納空間9の縦断面図である。なお、実施例1と共通の部材については、実施例1と共通の符号を用いる。
【0038】
戸21が上昇移動して、物品取出し口8が閉鎖状態から物品取出し口8の下側半分が開放した半開放状態になるに従って、連結部23も上昇移動することによって、物品収納空間9内の奥側で垂直方向を向いていた遮蔽板22が、滑動部22bが案内部24と摺動して、案内部24に沿って徐々に水平方向を向くように、奥側から手前側に迫り出してくる。
【0039】
物品取出し口8が半開放状態のときには、物品落とし口7の手前側が開放されているので、物品落とし口7と物品収納空間9の一部が連通するになる。ここで、物品取出し口8は下側半分程度が開放されており、かつ、物品落とし口7の手前側が開放されているため、物品取出し口8と物品収納空間9と物品落とし口7と連通することになる。しかしながら、遮蔽板22が物品落とし口7の奥側、つまり、物品6が載置されている物品載置板5の手前端から遮蔽していくことで、操作者は、物品載置板5の手前端から離れた物品落とし口7の手前側を介してプレイ空間10に手を差込んだり、掴持器具を差込んだりすることになるため、物品載置板5までは届きにくくなっている。よって、物品載置板5上の物品6を物品取出し口8から手や掴持器具を差込んでの操作者による不正取出しを防止している。
【0040】
図4は、物品取出し口8が完全に開放している状態(開放状態)を図示した物品収納空間9の前後方向断面図である。
【0041】
戸21が最大限まで上昇移動して、物品取出し口8が半開放状態から物品取出し口8が完全に開放した開放状態になるに従って、連結部23も上昇移動することによって、遮蔽板22が、案内部24に沿って略水平方向を向くように、奥側から手前側まで完全に迫り出してくる(落下口閉鎖位置)。
【0042】
物品取出し口8が開放状態のときには、物品取出し口8が完全に開放され、物品落とし口7が遮蔽板22によって遮蔽されることで、完全に閉鎖されることになる。すなわち、遮蔽板22が落下口閉鎖位置に位置しているときは、物品落とし口7と物品収納空間9が連通しなくなるため、操作者は、プレイ空間10に手を差込んだり、掴持器具を差込んだりすることができなくなる。よって、物品載置板5上の物品6を物品取出し口8から手や掴持器具を差込んでの操作者による不正取出しを防止している。
【実施例2】
【0043】
次に、図5に図示の実施例2について説明する。図5は、実施例2に係る物品収納空間9の前後方向断面図である。なお、実施例1と同一構成の部材については、実施例1と共通の符号を用いる。
【0044】
実施例1においては、遮蔽板22は垂直方向(落下口開放位置)から略水平方向(落下口閉鎖位置)へと移動していたが、実施例2では、遮蔽板32は物品落とし口7の高さを維持したまま、水平方向に移動する。
【0045】
遮蔽板32は、物品落とし口7を遮蔽可能な方形の板部と板部の手前側下部の滑動補助部32aと滑動補助部32aの左右両側部の滑動部32bとで構成されている。物品取出し口8が閉鎖状態のとき、遮蔽板32は物品載置板5の下側に位置する。滑動部32bは突起形状をしており、遮蔽板32を水平方向手前に摺動させるための案内をさせる案内部34内に挿入されて摺動する。
【0046】
戸21の左右両下端には物品収納空間9内の奥端水平方向まで延びる板状の第1連結部33aが固着されている。第1連結部33aの奥端部には左右方向に軸部33cが設けられる。軸部33cには遮蔽板32の滑動部32bに回動可能に軸着する第2連結部33bが設けられている。遮蔽板32と、滑動部32bに回動可能に軸着する第2連結部33bと、第2連結部33bに回動可能に軸着する第1連結部は、Z字を左右反転した形に構成されている。
【0047】
案内部34は、物品落とし口7の下方に位置し、物品収納空間9の左右両側板の水平方向に延びる長孔である。長孔内に、遮蔽板32の滑動部32bが挿入されているため、遮蔽板32は、案内部34に沿って水平移動する。
【0048】
戸21が最も下方向に移動している位置(ホームポジション)にあるとき(図5(a))は、戸21によって物品取出し口8が完全に閉鎖される(閉鎖状態)。戸21が閉鎖状態のとき、遮蔽板32は物品収納空間9内の奥側、かつ、物品載置板5の下側の水平位置(落下口開放位置)となる。遮蔽板32が落下口開放位置に位置しているときは、物品収納空間9と物品落とし口7とは遮蔽板32によって遮蔽されていないため、物品落とし口7は開放される。
【0049】
物品取出し口8が閉鎖状態のときには、物品落とし口7が開放されているので、物品落とし口7と物品収納空間9が連通するため、物品落とし口7に入った物品6は、物品収納空間9内に収納される。物品取出し口8が閉鎖状態では、操作者は物品収納空間9内に収納された物品6を取出すことができない。
【0050】
戸21が上昇移動して、物品取出し口8が閉鎖状態から物品取出し口8の下側半分が開放した半開放状態になるとき(図5(b))、連結部も上昇移動することによって、遮蔽板32が、滑動部32bが案内部34と摺動して、案内部34に沿って、徐々に奥側から手前側に迫り出してくる。
【0051】
ここで、物品取出し口8が閉鎖状態のとき、第2連結部33bの遮蔽板32側が垂直方向やや手前側に傾斜しているが、この点について説明する。
【0052】
戸21が上昇移動して、物品取出し口8が閉鎖状態から半開放状態になるとき、第1連結部33aが上昇移動することによって、第2連結部33bも上昇移動することになる。ここで、案内部34は水平方向に延びる長孔であり、第2連結部33bの遮蔽板32側が垂直方向やや手前側に傾斜しているため、滑動部32bに上方向の力が加わったときに、その力が手前側に逃げることで、軸部33cを軸として第2連結部33bが手前側に傾動可能となっている。
【0053】
物品取出し口8が半開放状態のときには、物品落とし口7の手前側が開放されているので、物品落とし口7と物品収納空間9の一部が連通するになる。ここで、物品取出し口8は下側半分程度が開放されており、かつ、物品落とし口7の手前側が開放されているため、物品取出し口8と物品収納空間9と物品落とし口7と連通することになる。しかしながら、遮蔽板32が物品落とし口7の奥側、つまり、物品6が載置されている物品載置板5の手前端から遮蔽していくことで、操作者は、物品載置板5の手前端から離れた物品落とし口7の手前側を介してプレイ空間10に手を差込んだり、掴持器具を差込んだりすることになるため、物品載置板5までは届きにくくなっている。よって、物品載置板5上の物品6を物品取出し口8から手や掴持器具を差込んでの操作者による不正取出しを防止している。
【0054】
戸21が最大限まで上昇移動して、物品取出し口8が半開放状態から物品取出し口8が完全に開放した開放状態になるに従って(図5(c))、連結部23も上昇移動することによって、遮蔽板32が、案内部34に沿って奥側から手前側まで完全に迫り出してくる(落下口閉鎖位置)。
【0055】
物品取出し口8が開放状態のときには、物品取出し口8が完全に開放され、物品落とし口7が遮蔽板32によって遮蔽されることで、完全に閉鎖されることになる。すなわち、遮蔽板32が落下口閉鎖位置に位置しているときは、物品落とし口7と物品収納空間9が連通しなくなるため、操作者は、プレイ空間10に手を差込んだり、掴持器具を差込んだりすることができなくなる。よって、物品載置板5上の物品6を物品取出し口8から手や掴持器具を差込んでの操作者による不正取出しを防止している。
【実施例3】
【0056】
次に、図6に図示の実施例3について説明する。図6は、実施例3に係る物品収納空間9の前後方向断面図である。なお、実施例1、実施例2と同一構成の部材については、実施例1、実施例2と共通の符号を用いる。
【0057】
実施例1及び実施例2においては、遮蔽板22、遮蔽板32は物品落とし口7を方形の板部で遮蔽していたが、実施例3では、遮蔽板42は、シャッターまたは折りたたみ式の風呂蓋状で、左右方向が長手方向となる長方形の板部が複数合わさった複合板部で構成されている。
【0058】
遮蔽板42の複合板部の左右両側部は、案内部44内に挿入されて摺動する。
【0059】
戸21の左右両下端部には、物品収納空間9の奥側に設けられている遮蔽板42の下端部(遮蔽板42の略全ての板部が垂直方向を向いている位置にあるときの下端部)と連結している、物品収納空間9の奥端水平方向にまで延びる板状の連結部23が設けられている。なお、連結部23は、戸21が移動するのに伴い、遮蔽板42を移動させることができればよく、戸21の左右下端部のどちらか一方のみに設けられていてもよい。
【0060】
案内部44は、物品落とし口7の近傍下側の位置においては、物品収納空間9の左右両側板の水平方向に延び、物品収納空間9の奥側の位置においては、物品収納空間9の左右両側板の垂直方向に延びるようなL字を上下左右反転させた形の長孔である。また、L字の角である長孔の曲がり角部分は緩やかな曲線状になっている。長孔内に、遮蔽板42の左右両側部が挿入され、かつ、左右方向が長手方向となる長方形の複数板部のそれぞれが、物品収納空間9側の端が可撓制を有して連なって構成されているため、遮蔽板42は、長孔の曲がり角では可撓して曲がることができ、案内部44に沿って摺動する。
【0061】
戸21が最も下方向に移動している位置(ホームポジション)にあるとき(図6(a))は、戸21によって物品取出し口8が完全に閉鎖される(閉鎖状態)。戸21が閉鎖状態のとき、遮蔽板42は物品収納空間9内の奥側で、遮蔽板42の略全ての板部が垂直方向を向いている位置(落下口開放位置)となる。遮蔽板42が落下口開放位置に位置しているときは、物品収納空間9と物品落とし口7とは遮蔽板42によって遮蔽されていないため、物品落とし口7は開放される。
【0062】
物品取出し口8が閉鎖状態のときには、物品落とし口7が開放されているので、物品落とし口7と物品収納空間9が連通するため、物品落とし口7に入った物品6は、物品収納空間9内に落下し、収納される。物品取出し口8が閉鎖状態では、操作者は物品収納空間9内に収納された物品6を取出すことができない。
【0063】
戸21が上昇移動して、物品取出し口8が閉鎖状態から物品取出し口8の下側半分が開放した半開放状態になるとき(図6(b))、連結部23も上昇移動することによって、物品収納空間9内の奥側で略全ての板部が垂直方向を向いていた遮蔽板42が、遮蔽板42の左右両側部が案内部44と摺動して、案内部44に沿って、順次、遮蔽板42の上端部(遮蔽板42が落下口開放位置にあるときの上端部)側の板部から、徐々に水平方向を向くように、奥側から手前側に迫り出してくる。
【0064】
物品取出し口8が半開放状態のときには、物品落とし口7の手前側が開放されているので、物品落とし口7と物品収納空間9の一部が連通するになる。ここで、物品取出し口8は下側半分程度が開放されており、かつ、物品落とし口7の手前側が開放されているため、物品取出し口8と物品収納空間9と物品落とし口7と連通することになる。しかしながら、遮蔽板42が物品落とし口7の奥側、つまり、物品6が載置されている物品載置板5の手前端から遮蔽していくので、操作者は、物品載置板5の手前端から離れた物品落とし口7の手前側を介してプレイ空間10に手を差込んだり、掴持器具を差込んだりしても、物品載置板5までは届きにくくなっている。よって、物品載置板5上の物品6を物品取出し口8から手や掴持器具を差込んでの操作者による不正取出しを防止している。
【0065】
戸21が最大限まで上昇移動して、物品取出し口8が半開放状態から物品取出し口8が完全に開放した開放状態になるに従って(図6(c))、連結部23も上昇移動することによって、遮蔽板42の上端部の板部が、案内部44に沿って奥側から手前側まで完全に迫り出してくる(落下口閉鎖位置)。
【0066】
物品取出し口8が開放状態のときには、物品取出し口8が完全に開放され、物品落とし口7が遮蔽板42によって遮蔽されることで、完全に閉鎖されることになる。すなわち、遮蔽板42が落下口閉鎖位置に位置しているときは、物品落とし口7と物品収納空間9が連通しなくなるため、操作者は、プレイ空間10に手を差込んだり、掴持器具を差込んだりすることができなくなる。よって、物品載置板5上の物品6を物品取出し口8から手や掴持器具を差込んでの操作者による不正取出しを防止している。
【0067】
以上説明をした実施例1乃至実施例3に係る物品取得装置では、物品取出し口8を開放しつつ、物品6が載置されている物品載置板5の手前端から物品落とし口7を遮蔽していく。また、物品取出し口8を完全に開放すると、物品落とし口7が遮蔽板22、遮蔽板32、遮蔽板42によって遮蔽され、完全に閉鎖される。これにより、簡易な構造で、物品載置板5上に載置されている物品6が操作者によって不正に取出されることを防止できる。
【0068】
以上、本発明の実施例について具体的に説明してきたが、本発明はこれに限定されるものでなく、この趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0069】
1 クレーンゲーム機
2 筐体下部
3 筐体上部
4 外周壁
5 物品載置板
6 物品
7 物品落とし口
8 物品取出し口
9 物品収納空間
10 プレイ空間
11 走行型クレーン
12 操作ブロック
13 硬貨投入口
21 戸
22 遮蔽板
22a 軸部
22b 滑動部
23 連結部
24 案内部
32 遮蔽板
32a 滑動補助部
32b 滑動部
33a 第1連結部
33b 第2連結部
33c 軸部
34 案内部
42 遮蔽板
44 案内部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の物品を載置する物品載置面上の物品を選び取る物品択出機構と、
前記物品択出機構によって選び取られた物品を投入する物品落とし口と、
前記物品落とし口の下方に位置し、前記物品を収納する物品収納部と、
操作者が前記物品収納部内の前記物品を取り出すための物品取出し口と、
前記物品取出し口を閉鎖、開放する戸と、
を備えた物品取得装置において、
前記物品収納部は、
前記物品落とし口を閉鎖、開放する遮蔽板と、
前記戸と前記遮蔽板とを連結する連結部と、
前記物品落とし口の近傍下側に設けられ、前記遮蔽板を案内する案内部と、
を備え、
前記遮蔽板は、
前記案内部内に挿入されて摺動する滑動部を備え、
前記戸が前記物品取出し口を閉鎖、開放するのに伴い、前記連結部と前記滑動部を介して前記案内部に沿って、前記物品落とし口を開放、閉鎖することを特徴とする物品取得装置。
【請求項2】
前記戸は、
前記物品取出し口を下側から開放し、
前記遮蔽板は、
前記物品載置面と接する前記物品落とし口の開口端から閉鎖することを特徴とする請求項1記載の物品取得装置。
【請求項3】
前記遮蔽板は、
前記戸が前記物品取出し口を完全に閉鎖している位置にある場合に、前記物品載置面の下方に収納され、前記物品落とし口を完全に開放する落下口開放位置と、
前記戸が前記物品取出し口を完全に開放している位置にある場合に、前記物品載置面の下方から迫り出すことで前記物品落とし口を完全に閉鎖する落下口閉鎖位置と、
に位置することを特徴とする請求項1又は2記載の物品取得装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−24171(P2012−24171A)
【公開日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−163422(P2010−163422)
【出願日】平成22年7月20日(2010.7.20)
【出願人】(000132471)株式会社セガ (811)